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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 丹 野 裕 司

学 位 論 文 題 名

アルミニウム電解コンデンサ用電極箔の 交流エッチングに関する研究

学位論文内容の要旨

  我が国のアルミニウム電解コンデンサ製造産業は,その生産量において、全世界の過半数を数え,

名実ともに世界をりードする先端産業のーつである。我が国の電解コンデンサ産業が、このように 世 界一の 座を占 めている理由のーつは、電解コンデンサの電極面積を拡大する手法として、1970 年代に開発されたアルミニウム箔の交流エッチング技術を飛躍的に発展させることができたからで ある。本論文は、この交流エッチングに関し、拡面倍率をより向上させることを目的として、エツ チ層の生成機構の解明についての一連の研究をまとめたものである。

拡面化を施す際の電解溶液および電流密度や周波数をどの諸因子がエッチング過程におよばす影響 を 明らか にする ため、交流電流のアノードおよびカソードの各サイクルにおける電極現象をしら べ 、 そ れ ら が ェ ッ チ 層 の 形 成 す を わ ち 拡 面 倍 率 に お よ ば す 効 果 を 検 討 し た 。   各章どとの概要は,次のようである。

  第1章は緒論であり、アルミニウム電解コンデンサの概要、その電極面の拡面化の手法およびそ れらに関係する諸因子について述べた。次いで拡面化技術の進展の経過を概観し、最後に本研究の 必要性と目的を提示した。

  第2章 に おい て は , 純度99.99%ア ル ミ ニ ウム 箔 の3.6およ び10 wt%塩 酸溶液 、T=303K中 におけるエッチング挙動をガルバノダイナミックボルタンメトりによりしらべ、電流密度(む)およ び周波数(f)をどの電解条件が拡面倍率(d)におよばす影響を検討するとともに、dが電解条件に よって変わる原因を追究するため、発生したピットの形状やエッチングの際に生ずる生成物を走査 型電子顕微鏡(SEM)により観察した。その結果、1)アノード半サイクルにおいて,電位は時間とと もに上昇するが、ある時点で電位のピークを示したのち、上昇・下降する、2)aは、むにほとんど 依存しをいが、3 ‑5 Hzの周波数において極大を示す、3)エッチングにより生成するエッチピット の内表面は,アノード半サイクルにおいて生成する酸化物内層と、カソード半サイクルにおいて析 出する水和酸化物外層の二層構造を有する皮膜に覆われていることが見出された。す誼わちアノー ド半サイクルにおける電位ピークは、アノード酸化皮膜の生成と破壊に対応し、エッチングの際の ピ ッ ト の 増殖 は 、 ア ノー ド半サ イクル 初期に 生成す るアノ ード酸化 皮膜のH+およびcrの作 用 に よ る 局 部 的 を 破 壊 に 続 く 、 素 地 金 属 の 溶 解 に よ り 進 行 す る と 推 測 さ れ た 。   第3章においては、金属の全面溶解を防ぎ、ピットの発生およびその増殖に必要とをる保護膜の 生成を吟味するため、ガルバノダイナミックボルタンメトりにおける分極曲線におよばす塩酸溶液 の濃度(CHCl)、温度(T)、電流密度(めおよび周波数(Dの影響をしらべた結果、1)アノード半サ イクルにおける電位ピークは、fの増大とともに高くをるが、Tの上昇C.″cfの増大により低くをる     −58−

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  こ と、2)dが極大を示すfは、Tの上昇C 馳!の増大により 高周波数側にシフトすることが明らか   に をった。上述の実験結果は、fの増大によるピットサイズ の減少と、表面からの溶解速度の増大   が複 雑 に作 用する結 果として理解された。すをわ ち、Tの上昇およびの矧の増 大により、アノー   ド 半サイクルにおける皮膜の破壊が促進され,ピット内に溶解したA戸゛のカソード半サイクルにお

´け る水和酸化物としての析出量が増大する結果,表面からの溶解が抑制され、ゼが極大を示すfが、

  高 周波数側にシフトすると推測 された。

    第4章においては、表面からの溶解が激しく,ピットの増殖が比較的困難を中濃度,高温度の塩酸   溶 液(3.6wt%HC1,333K)に硫酸を添加した場合についての交流エッチング挙動について検討する   と ともに、オージェ電子分光分 析により表面に生成する水和酸化物の組成と厚さをしらべた。その   結 果、0.2wt%の硫酸添加によ り、1)アノード半サイクルにおけるピーク電位が上昇し、aが大き   く 増大すること、および2)試料箔表面には4た〇3.チあ〇の組成の水和酸化物が厚く成長すること   が 見出された。すをわち、硫酸 イオンは、試料表面からの溶解を抑制し、拡面倍率を増大させる作   用 を持つことが推測された。

    第5章 にお い ては 、SEM観 察お よび オージェ電 子分光分析により、エッチ層 の深さ、水和酸化   物 の量とその分布状態をしらべ、拡面倍率(d)に対する影響を検討した。さらに電位‐時間曲線の   解 析により、エッチ層内にっく られるピットのサイズと周 波数(Dとの関係を求め、ピット生成に   お ける電流効率とピット数の周波数依存性を論じた。その結果、1)エッチ層に存在するピットの内   表面には水和酸化物が析出しているが、その量は,エッチ層内部では少をく,表面付近に多いこと、

  2)aは,エッチングの際のアル ミニウムの溶解量とは、直接的を関係が認められ誼いが、エッチ層   内 表面に析出する水和酸化物の 量が多いほど大きい値を示すことが明らかとをった。また、ピット   の サイズは、fの‐1.6乗で変 化し、このことからfの増大とともにピット数が増大し、電流効率が   滅 少することが推察された。

    第6章においては,カソード 電流波形を対称三角波とし, アノード電流の最大値に到達する時間   (り:0‐O.ls)を変化させる非対称三角波交流電流を適用した交流エッチングについて検討した結   果 、1)T=303  Kに お い て は 、dは り に 依 存 し を い が 、T〓323Kに お い て は 、 り 0.08s   で 極大を示すとともに,ピット 内表面に析出する水和酸化物の量が多いことが明らかになった。こ   れ は、アノード半サイクルの後 半において、高い速度でアルミニウムが溶解し、ピット内濃度が高   く なるためと推測された。

    第7章においては、アノード 電流波形を対称三角波とし、 カソード電流波形を矩形波(む〓5.2   蚶 ソm2、む 0.02−0.5s)とした際の交流工ッチングについて検討した結果、aは、fc O.03  s   に おいて極大を示し、その際に は,ピット内表面における水和酸化物の析出量がか菰り大きいこと   が わかった。む冫0.5sでは,ジュール熱により析出水和酸化物が再溶解するため,試料表面からの   溶 解を抑制できず、aが減少す ると推測された。

    第8章は,結論であり,本研 究で得られた結果の概要をま とめた。

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学位論文審査の要旨

主査    教授   高橋英明 副査    教授   大塚俊明 副査    教授   幅崎浩樹

副査    教授   牧野英司(弘前大学理工学部)

副査    助教授   坂入正敏

学 位 論 文 題 名

アルミニウム電解コンデンサ用電極箔の 交流エッチングに関する研究

我が国のア ルミニウム電解コンデンサ製造産業は、世界をりードする先端産業のーつである。我が 国の電解コ ンデンサ産業が、世界一の座を占めている理由のーつは、アルミニウム箔の交流エッチ ング技術を 飛躍的に発展させ、電極面積を飛躍的に拡大することができたからである。丹野裕司氏 の学位論文 は、この交流エッチングに関して調ベ、エッチ層の生成機構の解明とともに最適エッチ ング条件の探索について研究したものである。

  各章ごとの概要は、次のようである。

  第1章は緒 諭であり、アルミニウム電 解コンデンサの概要、その電極面の拡面化の手法およびそ れらに関係 する諸因子について述べるとともに、拡面化技術の進展の経過を概観し、本研究の必要 性と目的を提示している。

  第2章にお いては、塩酸溶液中におけ るエッチング挙動をガルバノダイナミックポルタンメトリ (GDV)により調ベ、電流密度(む)および周波数(f)が拡面倍率(?ロゆんロ)におよばす影響を検討す る とともに、発生し たピットおよび反応生成物 を走査型電子顕微鏡(SEM)に より観察している。

その結果、1)アノード半サイクルにお いて、電位は時間とともに上昇するが、ある時点で電位の ピークを示 したのち、上昇・下降する、2)?alphaは、むにほとんど 依存しをいが、3−5Hzの周波 数において極大を示す、3)エッチピットの内表面は、アノード半サイクルにおいて生成する酸化物 内層と、カ ソード半サイクルにおいて析出する水和酸化物外層の二層構造を有する皮膜に覆われて いることを 見出すとともに、アノード半サイクルにおいて、アノード酸化皮膜の生成と破壊が生起 することを推測している。

  第3章に おい ては 、GDVに おけ る 分極 曲線 にお よば す塩酸溶液の濃度(CHCl)、温度(T)、電流 密度(いお よび周波数(f)の影響をしらべた結果、1)アノード半サイクルにおける電位ピークは、

′の増大とともに高くをるが、丁の上昇、C,HCIの増大により低くをる、2)?alphaが極大を示すァ は、丁の上 昇、C,HCLの増大により高周波数側にシフトすることを明らかにしている。上述の実験 結果に基づ き、丁の上昇およびCHCIの増 大により、アノード半サイ クルにおける皮膜の破壊が促     ー60−

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  進 され、ピット内に溶解したAl3+のカソード半サイクルに おける水和酸化物としての析 出量が増   大 するというメカニズムを提案 している。

    第4章においては、ピットの 増殖が比較的困難を中濃度、 高温度の塩酸溶液に硫酸を添加した場   合 についての交流エッチング挙 動について検討した結果、0.2 wt?

´  第5章 にお い ては 、SEM観 察お よび オー ジ ェ電子分光分析により、エ ッチ層の深さ、水和酸化   物の 量 とそ の分 布状 態を調べるとともに、GDVにより、エッチ層内にっ くられるピットのサイズ   と 周波数0つとの関係を求めて いる。その結果、1)?alphaは 、エッチ層内表面に析出する水和酸化   物 の量が多いほど大きく、2) ピットのサイズは、アの‑0.63乗で変化することを見出すとともに、

  ア の 増 大 と と も に 、 ピ ッ ト 数 が 増 大 し 、 電 流 効 率 が 減 少 す る こ と を 推 察 し て い る 。     第6章においては、カソード 電流波形を対称三角波とし、 アノード電流の最大値に到達する時間   ( り:0−O.ls)を変化させる非 対称三角波交流電流を適用した交流エッチングについて検討した結   果、1) 丁〓303Kに おい ては 、?alphaは 、り に依存しをいが、丁=323Kにおいては、り 0.08s   で 極大を示すとともに、ピット 内表面に析出する水和酸化物の量が多いことを明らかにしている。

    第7章 にお い ては 、ア ノー ド電 流 波形 を対 称三 角 波と し、 カソ ード 電流波形を矩形波(む〓

  5.2kA/rTI2、む 〓 0.02―0.5s)とし た際 の 交流エッチングについて検 討した結果、?alphaは、

  tc〓O.03ぷにおいて極大を示し、その際には、ピット内表面における水和酸化物の析出量がかをり   大 きいことを明らかにするとと もに、り冫0.5sでは、ジュール熱による析出水和酸化物の再溶解の   た め、?alphaが減少すると推測 している。

    第8章 は、 結 論で あり、本研究で得られた 知見をまとめるとともに、?alphaの増大のための交   流 工ッチングの最適条件を提案 してる。

    これを要するに、著者はアル ミニウム電解コンデンサ製造におけるアルミニウム箔の交流エッチ   ン グのメカニズムに新知見を得 るとともに、表面積増大のための最適エッチング条件を提示し、表   面 工学・金属表面技術の発展に 貢献するところ大をるものがある。よって著者は、北海道大学博士   ( 工学)の学位を授与される資 格あるものと認める。

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参照

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