博 士 (情 報 科 学 ) 中 村 啓 太
学 位 論 文 題 名
Studies on Emergence of Behavior Intelligence on Artificial Creature in Virtual Fluid Environments (仮想流体環境下における人工生物の行動知能創発)
学位論文内容の要旨
本論文では,人工生 命の技術を用いて,人工生物の行動獲得実験を行い,人工生物が獲得した行動を 解析することで,生 物が獲得する行動 に影響を与える要 素を明らかにすることを研究目的としてい る.従来の人工生物 の行動獲得実験では,一部を除いてコンピュータ上で環境を考慮することをく人 工生物の挙動獲得を シミュレーションすることが多く行われていた.しかしをがら,実際の生物の振 る舞いをシミュレー トする場合,物理法則に従う環境をコンピュータ上で構築し,人工生物に影響さ せる必要がある.ま た,人工生物の歩行のような自律行動獲得では,地上行動での行動獲得が行われ ているが,そこでは 摩擦カと衝突回避が考慮される場合が多く,そのよう抵研究では空気や水をど流 体による影響を考慮 していをい.そこで本研究では,液体や気体のようを流体の影響を考慮した人工 生物の自律行動獲得 の実現が取り扱われている.そのために,実時間でシミュレーション可能を仮想 近似流体環境の構築 を最初に提案して いる.このように して構築した環境下で,簡易を形状の剛体 を関節で繋げた人工 生物モデルを作製 し,Neuro‑evolutionを人工生物の関節制御に適用し,構築し た環境及び人工生物 の形状に応じて, 人工生物が自律的 な移動行動を獲得可能であることをシミュ レーション実験によ り明らかにしている.また,人工生物の行動獲得には,環境と人工生物自体の形 状が影響を及ばすこ とから,『環境』や『人工生物の形状』が変化した場合に。人工生物の行動獲得 にどのようを影響を 与えるのかを明ら かにしている.
本 論文は全5章で構成さ れている.第1章では序論と して研究背景,目 的及び関連研究が 述べら れている.ついで. 人工生物の行動獲 得を実現するため に適用される人工二ユーラルネットワーク (ANN)及び その 行 動最 適化 を 学習 とし て 実現 する 最 適化 アル ゴ リズ ムに ついて概観して いる.
第2章で は,コンピュータ 上で計算量が小さい 物理法則に従う流 体環境を構築する方法が提案さ れている.この方法 は,翼型のプロペラやタービンブレードの設計式に使用される経験式を基にした ものである.このよ うにして構築した擬似水中環境において,魚を模倣して作製した人工生物が,実 際の魚のようを遊泳 行動を獲得できる かを検証している.このために,Neuro‑evolutionを作製した 人工生物の関節制御 に適用し,構築し た水中環境で人工 生物が形状に適した行動を獲得可能である ことを明らかにして いる.
第3章で は,人工生物の形 状,すなわち形態と 関節数が人工生物 が獲得する行動に与える影響に 関して述べられてい る.形態と行動については,地球上の生物の体重と移動速度め関係がべき乗則に 従うことが報告され ており,体重が増加するにっれ移動速度が増加することが報告されている.しか しをがら,流体中に おける形状,すをわち形態と関節数が遊泳の移動速度に影響を持っかどうかは明 らかにされていをい ,そこで,「遊泳する魚」に注目し,流体の影響カすなわち流体抗カを実現した 仮想環境内で,簡易 的謡形態を持つ人工生物の遊泳行動獲得実験を実施し,人工生物の関節の数を一 定とし人工生物の形 態をアフィン変換 させた場合と,形 態に関して全長を一定とし人工生物の関節 数を変化させた場合 の行動獲得実験を実施している.前者の実験では,形態の大きさが人工生物の体
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重に関連するので,遊泳には人工生物の体重と遊泳のために獲得する移動速度の関係が,実際の生物 の体重と移動速度の関係と同様にべき乗則に従うことが明らかにされた.後者の実験についてな,全 長 に 応 じ て 速 く 遊 泳 す る た め の 最 適 を 関 節 数 が 存 在 す る こ と が 明 ら か に さ れ た . 第4章では ,異を る流体 環境 が人工生物が獲得する獲得する行動に与える影響に関して述べられ ている.この影響を調べるため,人工生物の密度と流体の密度を等しく置き,その密度を変化させてゝ 簡易的を形状の人工生物の行動獲得実験が実施されている.その結果は。密度が小さくをればをるほ ど,獲得する移動速度がより速く顔ることが示されている.また,人工生物の密度を一定とし,流体 の密度 のみを 変化さ せた 環境に おいて 鳥を模 倣した 人工生物の上昇行動獲得実験も実施されてい る.この場合は,水中環境で獲得する行動と空気環境で獲得する行動とは異をる行動が創発されるこ とが検証されている.
最 後 に , 第5章 で は , 本 論 文 の 結 果 を ま と め , 今 後 の 展 望 が 述 べ ら れ て い る ,
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学 位 論 文 審 査 の 要 旨
主 査 副 査 副 査 副 査 副 査
特任教授 古 教授 栗 教授 鈴 教授 小 教授 山
川 正 志 原 正 仁 木 恵 二 野 哲 雄 本 雅 人
学 位 論 文 題 名
Studies on Emergence of Behavior Intelligence on Artificial Creature in Virtual Fluid Environments (仮想流体環境下における人工生物の行動知能創発)
生物の行動は,生存 する環境と共に生物の形態(形状とトポロジー)に依存する.これは,近年盛ん に 研究されている人工 生物(生命)に対 しても同様と推論 される,特に,人工生物の行動獲得は,ロ ポ ットと同じようを物 理的制御体系に於 いて,シミュレー ションを通して実施される.しかし,生息 す る 場に存在 する環境の物理場 としてのカ学をモデ ル化し,その場に おいて形態が人工 生物の行動 獲 得にどのようを関係 を持っかは,調ぺ られていをぃ.例 えば,行動生物学に置いては,飛翔を行う 生 物の翼の面積は,体 重の2/3乗に従うことが報告 されているが,こ れは重力場に於ける空気抗カで 生 ま れ る 数 字 で あ っ て , こ れ ま で の 人 工 生 物 の 行 動 獲 得 で は 考 慮 さ れ て い を い . 本 論文の視 点は,水中や大気 中におぃてのカ学場 をモデル化し,そ のようを場で形態 が変化する と , 人工生命 がどのようを行動 獲得を行えるかに対 し,新しい知見を 与えようとするも のである.
そのために,まず, 環境構築には,重力,歩行時の地上の摩擦力,水中や大気中の浮力及び移動(飛 翔 )にともをう抗カの モデル化を行う方 法を構築する方法 を提案している ,水中や大気中の抗カは 現 象が複雑をため,こ うしたカのモデリングの方法が必要とをる.特に,人工生命の分野におぃては.
行 動獲得にNeuro‑evolutionが 使用されるために, 莫大をシミュレー ション数が必要とをり,厳密を 抗 カの計算よりは実用 的に精度が保たれ れぱ高速を近似計 算法が望まれる.この問題に対しては,本 論 文 において は,ヘリコプタ一 等の空カ機械の設計 に用いられる抗カ の高速毅計算法を 採用可能で あ ることを示し,十分 に実用的であるこ とを検証している .
つ いで,先 に提案した環境構 築の下で形態と行動 獲得の関係をシミ ュレーションによ り調査して い る,ここでは,同じ 形態である場合の 水中と大気中での 行動獲得の違い,同じ形態であっても。形 態 を モデ ル化 す るプ リミ テ ィプジョイン ト数の違いによる 獲得される行動の違 い,形態の2次元ア ス ベ ク ト 比 を , 定 に し た 場 合 の 残 り1次 元 の 変 化 に よ る 行 動 の 違 い , 等 を 明 ら か に し た . 本 論文 は全5章で 構 成さ れて い る. 第1章 では 序 論として研究背景 ,目的及び関連研 究が述べら れ て いる.つ いで,人工生物の 行動獲得を実現する ために適用される 人工二ユーラルネ ットワーク (ANN)及 び そ の 行 動 最 適 化を 学 習と して 実 現す る最 適 化ア ルゴ リ ズム につ い て概 観し て いる . 第2章 で は, コン ピ ュー タ上 で計算量が小さい物 理法則に従う流体 環境を構築する方 法が提案さ れ て いる.こ の方法は,翼型の プロベラやターピン プレードの設計式 に使用される経験 式を基にし 物が。
実 際の魚の ようを遊泳行動を獲 得できるかを検証 している.このた めに,Neuro‑evolutionを作 製し た 人工 生 物の 関節 制 御に 適用し,構築 した水中環境で人工 生物が形状に適し た行動を獲得可能 であ ること を明らかにしてい る,
第3章 では , 人工 生物 の 形状 ,す を わち 形態 と関節数が 人工生物が獲得す る行動に与える影 響に 関 して 述 べて いる . 形態 と行動につい ては,地球上の生物 の体重と移動速度 の関係がべき乗則 に従 うこと が報告されている .しかし,流体中に おける形状,すを わち形態と関節数 が遊泳の移動速度に 影響を 持つかどうかは明 らかにされてい毅い ,そこで,「遊泳 する魚」に注目し ,流体の影響カすを わち流 体抗カを実現した 仮想環境内で,簡易 的を形態を持つ人 工生物の遊泳行動 獲得実験を実施し,
人 工生 物 の関 節の 数 を一 定とし人工生 物の形態をアフィン 変換させた場合と ,形態に関して全 長を 一 定と し 人工 生物 の 関節 数を変化させ た場合の行動獲得実 験を実施している .前者の実験では ,形 態 の大 き さが 人工 生 物の 体重に関連す るので,遊泳には人 工生物の体重と遊 泳のために獲得す る移 動 速度 の 関係 が, 実 際の 生物の体重と 移動速度の関係と同 様にぺき乗則に従 うことが明らかに して い る. 後 者の 実験 に つい ては,全長に 応じて速く遊泳する ための最適を関節 数が存在すること が明 らかに された,
第4章 では , 異を る流 体 環境 が人 工 生物 が獲 得する獲得 する行動に与える 影響に関して述べ てい る.こ の影響を調べるた めっ人工生物の密度 と流体の密度を等 しく置き,その密 度を変化させ,簡易 的を形 状の人工生物の行 動獲得実験が実施し ている.その結果 は,密度が小さく 教ればをるほどっ獲 得する 移動速度がより速 くをることを示して いる.また,人工 生物の密度を一定 とし,流体の密度の みを変 化させた環境にお いて烏を模倣した人 工生物の上昇行動 獲得実験も実施し ,この場合は,水中 環 境で 獲 得す る行 動 と空 気環境で獲得 する行動とは異毅る 行動が創発される ことを検証してい る,
最 後 に , 第5章 で は , 本 論 文 の 結 果 を ま と め , 今 後 の 展 望 を 述 べ て い る . これ を要するに,著者 はっ人工生命の環境 と形態の視点に於 いて,行動獲得が 異をることを明らか にし, 特に,流体抗カの 働く場に置いては,人工生命の移動速度(遊泳能力)と形態は,抗カの受ける 形態の 面積が移動速度と べキ乗法則にあり, また,トポロジー の違いによっても 獲得される行動が異 を るこ と を具 体的 に 明ら かにした.従 って,本学位論文は 人工生命技術や複 雑系工学の発展に 寄与 す る と こ ろ 大 で あ り , 博 士 ( 情 報 科 学 ) の 学 位 を 授 与 す る に 値 す る も の と 認 め る .
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