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著者 福井大学高等教育推進センター

雑誌名 福井大学高等教育推進センター年報

巻 2

ページ 1‑168

発行年 2012‑10

URL http://hdl.handle.net/10098/8934

(2)

第2部

高等教 育改革の実践研究

「知 の 創 造 の 場 」 と して の 大 学 共 通 教 育 の 授 業 に む け て

一 『消 費 社 会 と私 』 の 授 業 実 践 を 事 例 と し て 一 松 田淑 子(127)

教 育 に お け る ア ク シ ョ ン ・ リサ ー チ の た め の 実 践 コ ミ ュ ニ テ ィ の 創 造 と展 開 木 村 優(141)

〈 レ ビ ュ ー 〉 学 士 課 程 教 育 の 質 的 転 換 日本 国 内 の 動 向 と 世 界 の 大 学 改 革 の 傾 向 山 崎 智 子(161)

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「 知 の創 造 の場 」として の大学 共通教 育 の授業 にむ けて

〜r消 費 社 会 と私 』 の 授 業 実 践 を事 例 として 〜

松 田 淑 子 (教育地域科学部生活科学教育講座)

1.緒 言

現 代 社 会 は 、 生 産 と消 費 を ベ ー ス と した 経 済 最 優 先 の 時 代 か ら、 人 が 模 索 し協 働 し な が ら新 し い 知 を 生 み 出 す こ と に 価 値 が 置 か れ る 「知 識 基 盤 社 会 」 へ と移 行 して き て い る。

こ の よ うな 時 代 、 大 学 教 育 は どの よ う に あ るべ き か 。 本 年3月26日 に は 、 中 央 教 育 審 議 会 大 学 分 科 会 大 学 教 育 部 会 よ り、「予 測 困 難 な 時 代 に お い て 生 涯 学 び 続 け 、主 体 的 に 考 え るカ を 育 成 す る 大 学 へ 」 の 審 議 ま と め が 公 開 され た 。 そ の 他 各 種 部 会 か ら挙 げ られ た 審 議 内 容 も受 け 、6月4

日 に は 平 野 博 文 文 部 科 学 大 臣 よ り 「社 会 の 期 待 に 応 え る 教 育 改 革 の 推 進 」 が 発 表 され た 。 翌5日 に は 文 部 科 学 省 よ り 「大 学 改 革 実 行 プ ラ ン 〜 社 会 の 変 革 の エ ン ジ ン とな る 大 学 づ く り〜 」 が 公 開 さ れ 、 大 学 改 革 の 全 貌 や 方 向 性 が 明 白 に 打 ち 出 され た 。 ま さ に 今 、 戦 後 教 育 改 革 以 来 の 抜 本 的 な 教 育 改 革 の 波 が 訪 れ て い る 。

上 述 した 文 科 省 プ ラ ン で は 、 大 学 関 係 者 ら に 対 し 「社 会 の 変 革 を 担 う人 材 の 育 成 、 『知 の 拠 点 』 と して 世 界 的 な 研 究 成 果 や イ ノ ベ ー シ ョ ン の 創 出 な ど重 大 な 責 務 を 有 して い る との 認 識 の 下 に 、 国 民 や 社 会 の 期 待 に 応 え る 大 学 改 革 」 を 実 行 す る こ と を 求 め 、そ の 成 果 と し て 、 「社 会 を 変 革 す る エ ン ジ ン と し て の 大 学 の 役 割 が 国 民 に 実 感 で き る こ と を 目指 して 」 取 り組 む よ う明 示 し て い る 。 も ち ろ ん 、 国 の 打 ち 出 し た 方 向 性 だ か ら 正 し く 、 そ れ を 無 批 判 に 受 け 入 れ る こ と を 国 立 大 学 の ミ ッ シ ョ ン とす る こ と は 一 方 で 危 険 で あ る が 、 現 在 の 日本 、 世 界 の 状 況 や 、 目の 前 の 学 生 た ち 、 そ の 背 後 に あ る 小 ・中 ・高 等 学 校 の 教 育 の 現 状 を 鑑 み れ ば 、 社 会 の 変 革 が 必 要 で あ る こ と 、 そ の 大 き な 一 角 を 大 学 教 育 が 担 うべ き で あ る こ と は 実 感 せ ざ る を 得 な い 。 今 後 、 国 の 求 め に応 え る形 で 様 々 な 大 き な 改 革 が 繰 り広 げ られ る で あ ろ う。 し か し な が ら、 本 来 、 そ の 問 題 意 識 は 既 に 大 学 関 係 者 の 中 に こ そ 先 に あ る べ き も の で あ る。

本 論 は 、 大 学 教 育 に 携 わ る 者 の 一 人 と して 、 ま ず 足 元 の 大 学 の 授 業 改 革 に つ い て 授 業 実 践 事 例 を も と に 考 察 、 提 案 す る も の で あ る。

現 代 の よ うに 複 雑 化 した 世 界 に お い て 、 そ の 在 り様 を 変 革 す る こ とは 容 易 い こ と で は な い 。 当 然 き れ い な 「正 解 」 な ど存 在 す る は ず の な い 中 で 、 学 生 た ち に つ け る べ き カ と は 何 で あ ろ うか 。 社 会 の 進 展 と と も に 爆 発 的 に 膨 れ 上 が る 知 識 を 得 る こ と は 必 要 不 可 欠 で あ り知 識 技 術 の 習 得 を な い が し ろ に す る こ と は で き な い 。 しか し同 時 に 、 知 識 技 術 の 習 得 を 目的 化 した 教 育 の 限 界 は す で に 誰 の 目に も 明 ら か で あ る 。 文 科 省 は 前 述 の プ ラ ン の 中 で 、 社 会 が 求 め る 人 材 像 を 「主 体 的 に 学 び 考 え 、 ど ん な 状 況 に も 対 応 で き る 多 様 な 人 材 」 と し、 「学 生 の 主 体 的 な 学 び の 確 立 」 を 大 学 教 育 に 求 め て い る 。そ して そ の た め に は 、大 学 教 育 の 質 的 転 換 、「教 員 と学 生 とが 意 思 疎 通 を 図 りつ つ 、 学 生 が 相 互 に 刺 激 を 与 え な が ら知 的 に成 長 す る課 題 解 決 型 の 能 動 的 学 修 を 中 心 と し た 教 育 へ と転

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換 す る 」 こ と の 必 要 性 を 謳 っ て い る。 筆 者 は こ の 方 向 性 に 賛 同 して お り、 す で に 以 前 よ り、 前 任 校 の 高 校 現 場 で も 、 現 任 校 の 大 学 現 場 、 特 に 大 学 院 の 少 人 数 ゼ ミ に お い て そ の よ うな 教 育 の 在 り 方 を試 み て き た 。 そ して 、 教 師 も 生 徒 、 学 生 も 共 有 す る切 実 な 問 題 、 唯 一 の 「正 解 」 な ど な い 問 題 に 対 し 、と も に 向 き 合 い 、学 び 合 い 、意 見 を 高 め 導 き 出 す 営 み と して の 授 業 を 、「知 の 創 造 の 場 」

と位 置 付 け 価 値 を お い て き た(1)。冒 頭 に 述 べ た よ う に 、 「人 が 模 索 し協 働 しな が ら新 し い 知 を 生 み 出 す こ と に 価 値 が 置 か れ る 『知 識 基 盤 社 会 』 へ と移 行 して き て い る 」 現 代 社 会 に お い て 、 生 徒 た ち 、学 生 た ち が 、新 し い 知 を 創 り出 す 場 と して の 授 業 を 経 験 す る こ と は 、「知 識 基 盤 社 会 」を 体 感 ・ 認 識 し、 自 ら も そ の 社 会 の 主 体 的 担 い 手 で あ る こ と を 自覚 化 す る 意 味 で も 重 要 な こ と で あ ろ う。

本 論 で は 、1991年 の 大 学 設 置 基 準 大 綱 化 以 降 、そ の 低 迷 が 著 し い 教 養 教 育 を 授 業 の 対 象 と し て い る。2010年 の 日本 学 術 会 議 に よ る提 言 「21世 紀 の 教 養 と教 養 教 育 」 で も示 され た よ う に 、 「21 世 紀 の 世 界 に 教 養 教 育 の 展 望 を 拓 く た め に 、 人 間 、 自然 お よ び 社 会 に 関 わ っ て 人 類 が 共 有 し な け れ ば な ら な い 『知 』」 の 模 索 と創 造 は 現 代 社 会 の 課 題 で あ る 。本 授 業 実 践 は 、そ の よ うな 現 代 に 即

した 教 養 教 育 の 一 事 例 で も あ る 。

「知 の 創 造 の 場 」 と して の 共 通 教 育 の 授 業 実 践 例 を 提 示 し考 察 す る こ と を 通 し て 、 そ の 価 値 の 確 認 と授 業 の 意 味 に つ い て 提 案 した い 。

2.授 業 実 践 の 様 子 と考 察

(1)本 授 業 の 位 置 付 け 及 び 受 講 生 等 の 内 訳

本 論 で 追 究 す る 「知 の 創 造 の 場 と して の 大 学 共 通 教 育 の 授 業 」 実 践 事 例 と して 、 『消 費 社 会 と 私 』 の 授 業 を 用 い る 。 本 授 業 は 、 本 学2011年 度 後 期 の 共 通 教 育A群 共 通 教 養1分 野(社 会)「 生 活 と 生 活 空 間 の 科 学 」 系 に 属 す る授 業 で あ る 。 授 業 者 は1名(筆 者)で あ り、 部 分 的 に ゲ ス トテ ィ ー チ ャ ー2名 が 参 加 した 。

受 講 生 は19名 。 男 女 比 は 男 性14名 、女 性5名 で あ っ た 。 うち2名 は 市 民 開 放 講 座 受 講 の 一 般 の 方 で あ る。17名 の 学 生 の 内 訳 は 、4年 生1名 、3年 生1名 、2年 生7名 、1年 生7名 、 留 学 生 1名 で あ っ た 。16名 の 本 学 学 部 生 の 内 訳 は 、 教 育 地 域 科 学 部2名 、 工 学 部14名 で あ っ た 。 受 講 生 ら は 、 本 授 業 履 修 を 通 じて 初 め て 知 り合 っ た 者 同 士 で あ る 。 な お 、 上 記 受 講 生 の 内 訳 か ら は 、 登 録 は 行 っ た が 全 く も し く は ほ と ん ど 出 席 せ ず に 単 位 認 定 対 象 と な らな か っ た 者 は 除 い て い る 。

(2)授 業 テ ー マ に 関 し て

「知 の 創 造 の 場 と し て の 授 業 」 を 展 開 す る 上 で 、 そ の 授 業 テ ー マ は 非 常 に 重 要 で あ る 。 『消 費 社 会 と私 』 の 授 業 テ ー マ に つ い て 、 そ の テ ー マ 選 定 の 理 由 を 以 下 に 示 す 。

「消 費 社 会 」 の 土 台 に 位 置 す る 資 本 主 義 社 会 と は 、 モ ノ(商 品)と ヒ ト(労 働 力)が 自 由 に 売 買 さ れ る社 会 で あ り、 売 買 の 場 で あ る 「市 場 」 に よ っ て 「生 産 」 と 「消 費 」 が 分 断 され た 社 会 と も 言 え る。 そ して そ の 進 展 と と も に 、 重 心 は 「生 産 」 か ら 「消 費 」 へ と移 行 し、 「消 費 社 会 」 を 形 成 す る よ うに な っ た 。

ジ ャ ン ・ボ ー ド リヤ ー ル は 、 そ の 著 『消 費 社 会 の 神 話 と構 造 』(2)で、 「消 費 社 会 」 に お い て は モ ノ は そ の 本 来 の 使 用 目的 の み な らず 「記 号 」 的 な 意 味 合 い を 持 ち 得 て い る こ と を 明 ら か に した 。 す な わ ち 、 「消 費 社 会 」 と は 、モ ノ が そ の 使 用 価 値 を 超 え 、消 費 者 の 社 会 的 権 威 の 誇 示 、つ ま り他 者 と の 差 異 を 示 す 優 位 的 欲 求 の 象 徴 と な っ て い る 社 会 で あ る 、 と定 義 した の で あ る 。

一 方 、 そ の よ うな 「消 費 資本 主義 」化 が進 展 した 社 会 へ の警 鐘 と して 、 宇 沢 弘 文 は、 『社 会 的 共 通 資 本 』(3)にお い て 、 自然 環 境 や 社 会 的 イ ン フ ラ ス トラ ク チ ャ ー 、 及 び 、 教 育 や 医 療 とい っ た 制 度 資 本 な ど の 「社 会 的 共 通 資 本 」 の 管 理 ・運 営 ま で 、 市 場 消 費 的 基 準 に 従 っ て い て よ い の か と い う問 い を 投 げ か け て い る 。 宇 沢 の 指 摘 の み な らず 、 昨 今 の 資 本 主 義 経 済 の 行 き 詰 ま りや 地 球 環 境 の 問 題 は 、 「消 費 資 本 主 義 社 会 」 の 限 界 と 、そ れ を 超 え た 未 来 社 会 の デ ザ イ ン の 必 要 性 を 示 して

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い る。

こ の よ うに 、 現 代 人 に と っ て 「消 費 」 と は 、 自分 自身 の 内 面 と こ の 社 会 や 他 者 と の か か わ り を 見 つ め る上 で も 、 主 体 的 に 近 未 来 社 会 を デ ザ イ ン す る 上 で も 、 非 常 に 重 要 な キ ー ワー ドで あ る 。 現 代 人 の 歴 史 的 立 ち 位 置 の 確 認 と 自 覚 に 基 づ き 、 こ の 「消 費 社 会 」 を相 対 化 し た 上 で 、 未 来 の 自 分 と社 会 、 「消 費 資 本 主 義 社 会 」 を超 え た 「ポ ス ト消 費 社 会 」 を 消 費 者 と して 主 体 的 に デ ザ イ ン で き る 、 そ の よ うな 可 能 性 を 持 っ た テ ー マ だ と言 え る 。

本 テ ー マ 『消 費 社 会 と私 』 は 、 社 会 や 環 境 の 現 状 や 課 題 を 認 識 し、 学 生 自 ら が 、 探 究 的 に 、 協 働 的 に そ の 解 決 を 模 索 し実 行 へ の 一 歩 を 踏 み 出 す た め の 学 び 合 い の で き る 、 つ ま り 「知 の 創 造 の

場 と し て の 授 業 」 を 実 現 し得 る テ ー マ と し て ふ さ わ しい も の と思 わ れ る。

(3)授 業 展 開 1)授 業 の 全 体 像

全15回 の 講 義 は 、 以 下 の よ うに 展 開 し た 。 第1回 か ら第6回 ま で の 前 半 は 、 主 と して 「資 本 主 義 社 会 」 「消 費 社 会 」 に つ い て の 基 礎 的 理 解 を 深 め る 授 業 で あ っ た 。 但 し、講 義 形 式 の 部 分 は 最 小 に と ど め 、 学 習 ゲ ー ム な ど も 取 り入 れ な が ら実 践 的 に 理 解 で き る よ うに した 。 ま た 、 前 半 の 授 業 の 中 で 、 ペ ア 学 習 や グ ル ー プ 学 習 を盛 り込 み 、 毎 回 の 授 業 の 最 後 に意 見 ・感 想 等 を 書 か せ た も の を 次 回 授 業 で 活 字 化 し全 学 生 に フ ィ ー ドバ ッ ク す る な ど、 協 働 的 な 学 び の 基 礎 も培 っ て き た 。 そ の 後 第7回 か ら第14回 ま で の 後 半 の 授 業 で は 、 あ る 想 定 され た 話 に 基 づ く プ ロ ジ ェ ク ト学 習 を行 い 、 最 終 授 業 で は 、 全 体 の 総 括 を 行 っ た 。 本 論 で 示 す の は 、 主 と し て 後 半 の プ ロ ジ ェ ク ト 型 の 授 業 の 部 分 で あ る 。

【第1回 】 オ リ エ ン テ ー シ ョ ン 及 び プ レテ ス トの 実 施

【第2回 】 資 本 制 の 成 り立 ち に つ い て 及 び ペ ア で 売 買 体 験 ゲ ー ム

【第3回 】 貿 易 ゲ ー ム

【第4回 】 貿 易 ゲ ー ム の 振 り返 り と 消 費 社 会 に つ い て ①(消 費 社 会 と は)

【第5回 】 消 費 社 会 に つ い て ②(消 費 社 会 と子 ど も)

【第6回 】 消 費 者 教 育 と 消 費 者 市 民 社 会

【第7回 】 今 後 の プ ロ ジ ェ ク ト学 習 の 課 題 提 示 と グ ル ー プ 決 定 、 グ ル ー プ ミー テ ィ ン グ

【第8回 】 グ ル ー プ 別 調 査 活 動 と 打 ち 合 わ せ ①

【第9回 】 グ ル ー プ 別 調 査 活 動 と 打 ち 合 わ せ ②

【第10回 】 模 擬 会 議 ①(中 間 報 告 会)

【第11回 】 グ ル ー プ 別 調 査 活 動 と 打 ち 合 わ せ ③

【第12回 】 グ ル ー プ 別 調 査 活 動 と 打 ち 合 わ せ ④

【第13回 】 グ ル ー プ 別 調 査 活 動 と 打 ち 合 わ せ ⑤(主 と して 発 表 準 備)

【第14回 】 模 擬 会 議 ②(最 終 報 告 会:各 班 の プ レゼ ン テ ー シ ョ ン と全 体 会 議)

【第15回 】 授 業 全 体 の 総 括

2)プ ロ ジ ェ ク ト学 習 の 課 題

第7回 の 講 義 で は 、 は じめ に 、 以 下 の 課 題 を 提 示 し、 補 足 説 明 を行 っ た 。

*学 習課題

1992年 の 地 球 サ ミ ッ ト(リ オ デ ジ ャ ネ イ ロ)で 、 セ ヴ ァ ン ニ ス ズ キ と い う12歳 の 少 女 が 別 紙 (本 論 で は 省 略)の よ う な ス ピー チ を 行 い ま し た 。 ま た 、 こ の 地 球 サ ミ ッ トで 採 択 さ れ た 「ア ジ ェ ン ダ21」 で は 、 自 然 環 境 を 尊 重 し育 む よ う な 開 発 を 追 求 す る 上 で 、教 育 が 果 た す 役 割 が と て も

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高 い こ と も 示 さ れ て い ま した 。 そ し て そ の10年 後 の2002年 、 ヨ ハ ネ ス ブ ル グ に お い て 開 催 さ れ た サ ミ ッ ト(第2回 地 球 サ ミ ッ トと も 呼 ば れ て い ま す)に お い て 、 日本 が 提 出 した 決 議 案 、 「国 連 持 続 可 能 な 開 発 の た め の 教 育 の10年 」(UnitedNationsDecadeofEducationforSustainable

Development)(2005〜2014年)が 採 択 さ れ ま した 。 そ の 最 終 年 の2014年 、UNESCO国 際 会 議 が 日 本(名 古 屋 ・岡 山)で 開 催 され ま す 。

以 上 の 経 緯(こ こ ま で の こ と は事 実 で す)を も と に 、 以 下 の よ うな 近 未 来 の 【想 定 】 を しま した 。 2014年 、UNESCO国 際 会 議 が 日本 で 開 催 さ れ ま した 。そ の 会 議 に 、 リオ デ ジ ャ ネ イ ロ に お け る 、 セ ヴ ァ ン ニ ス ズ キ の 再 来 の よ う に 、 あ る 少 女 が ス ピー チ を 行 い 、 各 国 首 脳 陣 に 向 け て 次 の よ う な 提 案 を し ま した 。

「世 界 の 穀 物 の 全 生 産 量 は 約22億 トン(2005年 国 連 食 糧 農 業 機 関 の 概 算)で す 。 地 球 の 人 ロ は 約65億 人 で す 。 だ か ら、1年 間 に1人 が 約340kgの 穀 物 を 食 べ る こ と が で き ま す 。 そ れ は 、1

日1人 当 た り約2000kcalの 充 分 な エ ネ ル ギ ー に あ た りま す 。 で も 、 現 実 に 発 展 途 上 国 の 人 を 中 心 に 、 約8億5千 万 人 の 人 が 常 に 飢 え て 苦 しん で い ま す 。 食 べ も の だ け で な く 、 水 も 不 足 して い

ま す(*注1)。

私 は 、 な ぜ そ の よ う な こ とが 起 こ る の か を 学 校 の 授 業 で 調 べ た り考 え た り し ま した 。 調 べ て み る と 色 ん な こ と が 分 か りま し た 。例 え ば 、2007年 に は1億 トン の 穀 物 が バ イ オ 燃 料 を つ く る た め に 使 わ れ ま した 。世 界 の 商 業 用 大 豆 の 収 穫 量 の 約80%と 、世 界 の 穀 物 の 収 穫 量 と商 業 漁 獲 量 の 約 3分 の1が 家 畜 の 飼 料 に な っ て い る こ と も わ か り ま した 。牛 肉1kgの た め に 、15,000Ω の 水 が 必 要 な こ と も わ か りま した 。 だ か ら発 展 途 上 国 の 人 々 は 飢 え 乾 い て い る の で す 。 そ れ と は 正 反 対 に 、 ほ と ん ど の 人 が 肉 や 卵 、 ミ ル ク を 食 べ た り飲 ん だ り して い る 先 進 国 で は 、 肥 満 や 肥 満 が 原 因 の 糖 尿 病 や 心 臓 病 で 苦 しん で い る 人 が 沢 山 い る こ と も わ か りま し た 。2005年 の 統 計 で は ア メ リ カ 人 の 約40%が 肥 満 で し た 。(事 例 は 『食 料 の 世 界 地 図 』 第2版 丸 善 株 式 会 社 よ り引 用 。)

こん な こ と は と て も お か しな こ と だ と 思 い ま す 。 よ くな い こ と だ と 思 い ま す 。 だ か ら 、 私 は 、 世 界 中 の み ん な が 、 肉 を 食 べ る の を や め る と い う 約 束 を して 欲 し い と思 い ま す 。 穀 物 を 燃 料 に す

る こ と も や め て くだ さ い 。 そ うす れ ば 、 飢 え る 人 も 肥 満 の 人 も い な く な る の で す 。 世 界 中 の み ん な が 幸 せ に な りま す 。 な ぜ 大 人 た ち が こ ん な 簡 単 な こ と に 気 付 か な い の か 不 思 議 で す 。」

この ス ピー チ を 受 け て 、 各 国 首 脳 は 、 彼 女 の 提 案 に 対 し国 と し て どの よ う な 回 答 を す る か を 持 ち 帰 っ て 検 討 す る こ と に な り ま した 。

日本 で も 、 ど の よ う な 合 意 を し 、 回 答 す る の か 、 早 急 に 決 定 し な け れ ば な らな くな りま した 。

さ て 、ま ず あ な た 自 身 は ど う回 答 しま す か?そ して 、 日 本 は 、世 界 は ど う す れ ば よ い と 思 い ま す か?

こ こ で は 、 「日本 は ど う す れ ば よ い か 」 と い う観 点 で 議 論 を 展 開 し て い き ま し ょ う 。

*注1:バ ー チ ャ ル ・ウ ォ ー タ ー に つ い て の 補 足 説 明

バ ー チ ャ ル ・ウ ォ ー タ ー と は 、 食 料 を 輸 入 して い る 国(消 費 国)に お い て 、 も し そ の 輸 入 食 料 を 生 産 す る と した ら 、 ど の 程 度 の 水 が 必 要 か を 推 定 した も の で あ り 、 ロ ン ドン 大 学 東 洋 ア フ リ カ 学 科 名 誉 教 授 の ア ン ソ ニ ー ・ア ラ ン 氏 が は じ め て 紹 介 した 概 念 で す 。(日 本 で は 、東 京 大 学 の 沖 大 幹 が 第 一 人 者)

例 え ば 、1kgの トウ モ ロ コ シ を 生 産 す る に は 、灌1既用 水 と して1,800リ ッ トル の 水 が 必 要 で す 。 ま た 、牛 は こ う した 穀 物 を 大 量 に 消 費 しな が ら育 つ た め 、牛 肉1kgを 生 産 す る に は 、そ の 約20,000 倍 も の 水 が 必 要 で す 。 つ ま り 、 日本 は 海 外 か ら食 料 を 輸 入 す る こ と に よ っ て 、 そ の 生 産 に 必 要 な 分 だ け 自 国 の 水 を使 わ な い で 済 ん で い る の で す 。 言 い 換 え れ ば 、 食 料 の 輸 入 は 、 形 を 変 え て 水 を 輸 入 して い る こ と と 考 え る こ とが で き ま す 。

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3)プ ロ ジ ェ ク ト学 習 の 展 開

① 受 講 生 の は じ め の 意 見 と グル ー プ 分 け

学 習 課 題 提 示 後 、 「日本 は ど うす れ ば よ い か 」 と い う問 い に 対 し、 彼 女 の 提 案 に全 面 賛 成 を10 点 、 全 面 反 対 を0点 と して 、 段 階 的 に 自身 の 価 値 を 数 値 化 し黒 板 上 に 示 させ た 。 こ の 数 字 自身 は 主 観 的 な も の で あ り、 例 え ば 同 じ5点 を つ け た か ら と い っ て 、 そ の 価 値 観 や 思 い が 同 じ わ け で は な い 。 し か し、 ク ラ ス の 全 体 像 を 概 観 し 、 自分 の 意 見 を 相 対 化 す る に は 有 効 と考 え た 。 ま た 、 似 通 っ た 点 数 の 者 同 士 で グ ル ー プ(一 人 も可)結 成 を 行 っ た 。 意 見 表 明 後 、 微 調 整 は 可 能 と した 。 各 グ ル ー プ は そ れ ぞ れ 一 つ の 「政 党 」 だ と仮 定 した 。

黒 板 に 示 され た 受 講 生 た ち の 意 思 表 示 と11グ ル ー フ゜(A〜K)の 結 成 状 況 を 以 下 に 示 す 。

*留 学 生 のRiと 授 業 者 の 相 談 に よ り、Riの み 「日本 は ど うす れ ば よ い か 」 を 「(母国)中 国 は ど うす れ ば よ い か 」 に 変 更 して 考 え る こ と に した 。 そ の こ と に 関 して 、 他 の 受 講 生 に も 了 承 を 得 た 。

【図1】 少 女 の 意 見 に 対 す る 賛 否 と11グ ル ー プ(A〜K)の 結 成 状 況

上 記 の 通 り、A・Bグ ル ー プ と な っ た3名 を 除 き 、 ほ とん どの 意 見 は 中 間 辺 りか ら 「反 対 」 に か け て 集 中 した 。 グ ル ー プ は 点 数 に 応 じ て1〜3名 で 結 成 した 。

そ の 後 、 第7回 の 残 りの 時 間 と第8・9回 の 講 義 時 間 の ほ とん ど を グル ー プ 学 習 と し た 。 は じ め に 各 グ ル ー プ 内 で 各 人 の 意 見 を 表 明 し合 い 、 グ ル ー プ 内 の 意 思 疎 通 を と る よ う指 示 した 。 そ し て 、 自分 た ち の 意 見 の 根 拠 や 正 当 性 を 表 明 で き る よ う、 イ ン タ ー ネ ッ トや 図 書 館 の 書 籍 を利 用 し て 調 査 し、 中 間 報 告 会 に 向 け て グ ル ー プ の 主 張 を ま と め る よ う促 した 。

② 中 間 報 告 会 で の 主 張 と展 開

第10回 の 講 義 時 、 中 間 報 告 会 に お け る 各 グ ル ー プ の 主 張 の 骨 子 は 表1の 通 りで あ っ た 。 発 表 は 表 に 示 した 順(反 対 の 強 い グ ル ー プ か ら)で 行 っ た 。 各 グル ー プ の 発 表 ご と に 言 葉 の 意 味 な ど シ ン プ ル な 質 疑 応 答 の み を行 い 、 全 グ ル ー プ 終 了 後 に ま とめ て 質 疑 応 答 や 議 論 の 時 間 を 設 け た 。 そ れ ら を 踏 ま え て 、 ゲ ス トテ ィ ー チ ャ ー の 島 田 広 氏 に感 想 と今 後 の 活 動 に 向 け た 助 言 を 頂 い た 。

*島 田 氏 は 、 日 本 弁 護 士 連 合 会 消 費 者 対 策 問 題 委 員 会 副 委 員 長 で 消 費 者 教 育 ネ ッ トワ ー ク 部 会 部 会 長 を 務 め る 弁 護 士 で あ る 。2009年 に は 「消 費 者 市 民 社 会 」 先 進 国 と も い え る ノ ル ウ ェ ー

を 訪 問 、 そ の 成 果 の も と に 「消 費 者 市 民 社 会 」 と そ の 教 育 の 構 築 に 努 め て い る 。

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【表1】 中 間 報 告 会 で の 各 グ ル ー プ の 主 張 内 容

班 主 張 理 由 代 替 案

・肉 を 食 べ る の を や め る の は 現 実 的 で は な

・肥 満 の 人 か ら お 金 を 徴 収 し、飢 餓 の 国 い か ら 。

J 全面反対 に 回 す 。

・味 を 知 っ て し ま っ て い る 者 は 戻 れ な い し、 栄 養 的 に も よ くな い か ら 。

・食 料 に 関 す る 産 業 の 衰 退 は よ く な い か ら 。 H ・肉 食 文 化 の 尊 重 の 観 点 か ら。

ほぼ反対 ・た だ 肉 食 を や め る だ け で は 皆 が 何 も 考 え

.■■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 一一 一 一 一 一 一 一 一一 一 一 一 一 一 一 一一■■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

な く な る か ら 。

■ ■■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 一

G ・肉 の 輸 入 国 で あ る 日本 が 肉 食 を や め る こ 反対 と で 、 飢 え た 人 々 の 食 料 問 題 解 決 に は つ

な が ら な い か ら 。

・助 け た い 気 持 ち は わ か る が 、 非 現 実 的 な

F ・バ イ オ 燃 料 を や め る。

提 案 だ か ら 。(先進 国 で は 肉 に か か わ る 産

ほぼ反対 ・農 業 技 術 の 支 援 を す る 。

業 が 衰 退 し、 発 展 途 上 国 内 で も 食 料 が い

・肉 類 の 生 産 を 制 限 す る 。 き わ た る と は 考 え られ な い 。)

・企 業 や 消 費 者 の 出 した 廃 棄 物 に 税 金 を E ・肉 食 を や め る の は 心 身 の 健 康 に 悪 い の で

反対 か け 、そ の お 金 を 食 糧 支 援 に 回 す 。(優

よ く な い か ら 。

良 企 業 に は 賞 金 も) D ・飢 餓 問 題 の 根 本 は 政 治 問 題 だ か ら。 ・農 業 技 術 の 支 援 を す る 。

反対 ・食 文 化 が 衰 退 す る か ら 。 ・政 治 の 支 援 を す る。

C ・魚 中 心 の 食 生 活 へ 。(教 育 や広 報 活 動

少 し賛成

で 啓 蒙 。)

反 対 だが

B ・世 界 中 で 、余 分 な 食料 輸 入 を 出来 な い

問題 意 識 ・飢 餓 問 題 の 根 本 は 分 配 の 問 題 だ か ら。

よ う に 取 り決 め る 。 は 同 じ 。

・皆 が 健 康 に な る 方 法 だ か ら。

A ・豚 等 飼 料 を か け ず に 育 て られ る も の の

賛成 ・美 味 し い か ら、 お 金 が あ る か ら 、 と い う

み 食 用 とす る 。 こ と は 理 由 に は な ら な い と思 うか ら。

K ・問 題 の 根 本 は 貧 しさ 。 お金 が な いか ら飢 ほぼ反対

え る 。

・経 済 発 展 の た め の 支 援 を す る 。

*1グ ル ー プ(Yg)は 欠 席 。 *下 線 は 筆 者 に よ る 。

中 間 報 告 会 は 、 反 対 意 見 の 強 い グ ル ー プ か ら発 表 し た 。 前 半 、 多 くの グ ル ー プ の 主 張 は 、 そ の 理 由 は 異 な る と は い え 、 少 女 の 示 した 解 決 方 法 で あ る 肉 食 を 止 め る こ と に つ い て の 反 対 意 見 が 中 心 とな っ た 。 調 査 期 間 が 短 か っ た に も か か わ らず 代 替 案 を 提 示 す る グ ル ー プ も複 数 あ っ た 。

発 表 の 後 半 、Dグ ル ー プ やBグ ル ー プ は 、 少 女 の 真 の 問 題 意 識 で あ る 飢 餓 の 根 本 的 原 因 に 言 及 した 。 っ ま り、D・Bグ ル ー プ は 、 少 女 の 主 張 を 方 法 と 目 的 と に 分 け て 考 え る 必 要 が あ る こ と 、

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肉 食 全 廃 とい う方 法 に つ い て の 議 論 に の み と ら わ れ る の で は な く 、 飢 餓 で 苦 しむ 人 を 助 け た い と い う少 女 の 根 本 的 願 い で あ る 目的 を 実 現 す る た め に 、 飢 餓 の 原 因 を 追 究 し 、 そ れ を どの よ うに 解 決 し た ら よ い か とい う こ と を 考 え る と い う発 想 で 意 見 を 述 べ た 。

ま た 、 全 グ ル ー プ 発 表 終 了 後 、 全 体 で の 質 疑 応 答 や 議 論 の 時 に は 、 以 下 の こ と が 指 摘 さ れ 、 今 後 全 体 で も 共 有 す べ き 重 要 な 視 点 と な っ た 。(ア)はAz、(イ)はKtか ら と 、 共 にDグ ル ー プ の

メ ン バ ー か ら指 摘 さ れ た 意 見 で あ っ た 。

(ア)先 進 国 の 人 の 良 好 な 健 康 状 態 の 維 持 と 、 飢 餓 で 死 ん で い く人 の 問 題 を 同 等 に 考 え られ る か?

(イ)Jグ ル ー プ か ら 、「肥 満 の 人 か らお 金 を 徴 収 し、 飢 餓 の 国 に 回 す 」 と い う 代 替 案 が 提 示 され た が 、 そ も そ も こ の 問 題 は 「肥 満 の 人 」 な ど の 個 人 攻 撃 で 解 決 で き る の か?一 方 で 、 肥 満 の 原 因 は フ ァ ー ス トフ ー ド問 題 と も 言 わ れ て お り、実 は 先 進 国 の 内 部 に も 格 差 の 問 題 が あ

り複 雑 だ と 聞 い た こ とが あ る 。

(ウ)少 女 は 肉 食 云 々 と い う こ と よ り、 世 界 中 の 皆 が 食 料 問 題 に 対 す る 意 識 を も ち 、考 え る 必 要 が あ る と い う こ と を 訴 え て い る の で は な い か 。 そ の た め に は ど う した ら よ い の だ ろ う?

後 半 の 発 表 か ら質 疑 応 答 ・議 論 に お け る 展 開 は 、 本 授 業 に と っ て 大 き な 転 換 点 で あ っ た 。 受 講 生 た ち は 、何 を10〜0の も の さ し とす べ き な の か 、何 の た め に こ の 想 定 文 に 基 づ く学 習 を して い る の か 、 自分 た ち は 何 を 考 え る べ き な の か な ど、 答 え を 導 き 出 す こ と 以 上 に 問 い そ の も の の 意 味 を 皆 で 考 え 合 う こ との 重 要 性 を 感 じ と る こ と が で き た と思 わ れ る。

中 間 報 告 会 を 経 て の 一 言 コ メ ン ト欄 に は 、 「こ の 問 題 に は 様 々 な 問 題 が 絡 ん で い る こ と が 改 め て 分 か っ た 。 ま だ 自分 の 班 は 色 々 と調 べ が 足 り な い と思 っ た 。」(Aグ ル ー プKd)「 自 分 た ち の グ ル ー プ の 考 え が 甘 い な あ とい う こ と を ひ しひ し と感 じ ま す 。 完 壁 な 解 決 策 な ん て も の は な い と思 い ま す が 、 こ うや っ て 意 見 を つ き あ わ せ た り して 、 考 え て い か ね け れ ば と思 い ま す 。」(Cグ ル ー プTn)「 い ろ い ろ な 意 見 が 出 た の で 、 パ ク リ に な る か も しれ な い が 取 り入 れ て い き た い 。」(Dグ ル ー プKt)な ど の 記 載 が あ っ た 。

中 間 発 表 会 と は 、 単 に そ れ ぞ れ の グ ル ー プ の 進 捗 状 況 を 披 露 し合 うだ け の 時 間 で は な く 、 問 い の 意 味 そ の も の を 掘 り下 げ 、 確 認 し合 い 、 協 働 の 場 で あ る こ と を 自覚 化 で き る 時 間 な の で あ る 。 一 方、 ゲ ス トテ ィ ー チ ャ ー の 島 田広 先 生 か ら は 、 こ の 中 間 報 告 会 で の 議 論 に 対 し高 い 評 価 を 頂 く と 同 時 に 、これ か ら の グ ル ー プ 活 動 に あ た っ て 、追 加 して 考 え る べ き 視 点 に つ い て 助 言 頂 い た 。

イ)自 分 の 食 生 活 が 大 き な 力 に つ な が る 。 持 続 可 能 な 生 産 の 流 れ を つ く る た め に 消 費 者 が 世 界 に 与 え る 影 響 の 大 き さ に つ い て も考 え て 欲 し い 。

ロ)商 品 の 終 着 点 、 お 金 の 出 発 点 、 ゴ ミ の 出 発 点 に 着 目 して み て 欲 しい 。

ハ)今 の 先 進 国 の ラ イ フ ス タ イ ル は こ の 先 も続 け て い く こ と が で き る の だ ろ うか と 一 人 ひ と りが 考 え て 欲 し い 。 制 度 や 経 済 の 問 題 は 大 き い け れ ど 、 国 や 世 界 を 動 か す の は 誰 な の か 、 誰 が 国 や 世 界 を 動 か す の か 考 え て み て 欲 しい 。

③ 中 間 報 告 会 後 の 展 開

中 間 報 告 後 、 翌 週 の 授 業 で は 、 表1や 島 田 氏 の 助 言 を 提 示 し全 体 で 中 間 報 告 会 を 振 り返 っ た 。 こ の 授 業 も含 め 最 終 報 告 会 に 向 け た グ ル ー プ 活 動 や 授 業 者 との ミー テ ィン グ な ど の 授 業 を3回 もっ た 。

そ の 間 、 授 業 者 に 対 し、Bグ ル ー プ のHhか ら 島 田 氏 の イ)や ハ)の 助 言 の 意 味 に つ い て 詳 し く教 え て 欲 しい との 依 頼 が あ っ た 。 そ こ で 、 授 業 者 か らチ ョ コ レ ー トを 例 に 以 下 の よ う に 説 明 し

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た 。 説 明 の 途 中 か らDグ ル ー プ も そ の 中 に 加 わ り話 を 聞 い た 。

先 進 国 の 人 々 が 低 価 格 で 食 べ る こ との で き る チ ョ コ レー ト、 そ の 原 料 で あ る カ カ オ の 収 穫 は 現 地 の 労 働 者(児 童 労 働 も 含 む)た ち の 過 酷 な 労 働 と 低 賃 金 に よ っ て 成 り立 っ て い る 。 そ の よ う な 現 実 に 対 し、 先 進 国 の 中 か ら も 異 議 を 唱 え る 動 き と して フ ェ ア トレー ドな ど が あ る 。(フ ェ ア ト レー ドと は そ の 名 の 通 り適 正 な 価 格 に よ る 貿 易 で あ り 、 国 の 格 差 に 基 づ く 買 い た た き 、 そ れ に よ る 不 当 な 労 働 を さ せ な い 一 方 、 高 品 質 の 商 品 を 提 供 して も ら う と い う 関 係 性 を 継 続 的 に 保 つ も の で あ る 。)フ ェ ア ト レー ドの チ ョ コ レー トは 一 般 の チ ョ コ レー トの 価 格 に 比 べ 高 く な る が 、 カ カ オ の 収 穫 に 児 童 労 働 は 使 わ な い 、 農 薬 等 は 最 小 限 に と ど め る な ど そ の 背 景 は 一 般 の チ ョ コ レー トと 大 き く異 な っ て い る 。

私 た ち 先 進 国 に 暮 ら す 者 に と っ て 、 商 品 の 購 入 は 各 自 の 判 断 に 委 ね られ て い る 。 つ ま り、 ど の チ ョ コ レー トを 購 入 す る か は 自 由 選 択 で あ る 。 逆 に 言 え ば 、 消 費 者 と し て 購 入 す る も の に は そ の 人 の 価 値 が 表 れ る と い う こ と で も あ る 。 さ ら に 言 え ば 、 商 品 購 入 の 背 後 に は ど の よ う な 社 会 を 望 む の か と い う 主 張 ま で も組 み 込 ま れ る の で あ る 。 つ ま り、 現 代 の 消 費 資 本 社 会 に お け る 購 入 ・消 費 行 動 と は 実 は 選 挙 で 一 票 を 投 じ る こ と と 同 等 と も 言 え る 。

ま た 、Jグ ル ー プ のTmは 授 業 者 に 対 し 、 以 下 の よ う な 話 を し た 。

中 間 報 告 会 で 、 こ の テ ー マ は 表 面 上 の こ と を 言 っ て い る の で は な い こ とが 明 らか に な っ た 。 格 差 是 認 な の か 地 球 全 体 で 持 続 可 能 性 に 向 か う方 向 転 換 を す る か と い う こ と な の だ と 思 う 。

実 は 自分 は 高 校 時 代 、 「世 界 が 一 つ に な れ ば い い 」 と真 剣 に 考 え て い た 。 「現 在 、 世 界 の 何%

の 人 が 飢 え て い る 。 そ れ を 救 お う とす る と ま た 新 た な 人 に 害 が 行 く の で 、 数%の 犠 牲 は 結 局 仕 方 が な い こ と な の だ 。」 と い う発 想 で は だ め だ と 思 う。8億5千 万 人 の 人 一 人 ひ と りが 今 飢 え て い る の だ と い う 現 実 を何 と か した い 。 で も ど うす れ ば よ い の か 本 当 に わ か ら な い 。

た だ 、 こ ん な こ と を 授 業 で 言 え る の は 初 め て だ 。

そ の 他 、Hグ ル ー プ のStは 授 業 者 に 対 し、 「中 間 報 告 会 で は 主 張 し き れ ず 後 悔 した 。 自分 が サ ー クル で 行 っ て い る活 動 な ど も含 め て しっ か り主 張 した い 。」 と述 べ た。 ま た 、一 般 受 講 生 のA グル ー プNzさ ん は か な り高 齢 の 方 で あ り、 自分 の 価 値 観 や 感 覚 が 若 い 人 と は 随 分 異 な る か ら と 遠 慮 され て い た 。最 終 報 告 会 で は 是 非 主 張 して 欲 しい と授 業 者 よ り依 頼 し た 。

④ 最 終 報 告 会 で の 主 張 と展 開

最 終 報 告 会 で は 、 く じ引 き で 決 め た 順 番 で 各 グ ル ー プ の プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン(5〜7分)を 行 な っ た 後 、 全 体 で の 討 論 や ゲ ス トテ ィー チ ャ ー(中 間 報 告 会 に も参 加 の 島 田 広 弁 護 士 、 島 田 氏 の 同 僚 の 神 保 美 智 子 氏)か らの 講 評 を 頂 い た 。

各 グ ル ー プ の 主 張 の 要 旨 を 表2に 示 し た 。 発 表 順 の 通 り示 して あ る。

【表2】 最 終 報 告 会 で の 各 グ ル ー プ の 主 張 内 容 な ど E 少 女 の 意 見 に は 反 対 。

我 々 は 肉 を し っ か り食 べ る べ き で あ る 。

餓 死 者 を救 う と い う問 題 解 決 の た め に 、 先 進 国 で の 失 業 者(肉 の 生 産 や 流 通 に か か わ る 人)の 増 加 な ど新 た な 問 題 を 起 こ す の は よ くな い 。

知 ら な い 遠 く の 人 々 の こ と よ り も 身 近 な 人 の こ と の 方 が 大 切 な の は 当 た り前 で あ る 。 そ して 、 自 分 た ち の 人 生 の 「質 」 を 落 と した くな い 。

(12)

J

A

D

F

H

K

しか し何 よ り大 切 な の は 、 この 問 題 を 色 ん な 人 に 真 剣 に 考 え て も ら う こ と で あ る 。 そ の た め に 例 え ば 、 食 料 廃 棄 物 に 税 金 を か け 業 者 や 客 に 請 求 す る 、 な ど の 政 策 を と り、

皆 に 考 え る き っ か け を も た ら した い 。

少 女 の 提 案 した 「方 法 」 に つ い て は 現 実 的 で は な い の で 反 対 だ が 、 発 展 途 上 国 に 支 援 す る こ と に は 賛 成 。

代 替 案 は 、 デ ン マ ー ク の よ う に 脂 肪 分 の 多 い 乳 製 品 や 肉 類 に 税 金 を 課 す こ と と 、肉 の 生 産 量 を 制 限 す る こ と 。

但 し、 これ ら を 日 本 だ け で す る の で は な く 、世 界 的 に 先 進 国 が 分 担 して 支 援 す る こ と を 取 り決 め る 。

少 女 の 意 見 に か な り賛 成 。

肉 の 中 で も 特 に 飼 料 と して 最 も 多 く の 穀 物 を 必 要 と す る 牛 の 肉 の 輸 入 は 止 め る 。そ の 程 度 な ら 栄 養 的 に も 代 替 可 能 。

そ れ で も 起 こ り得 る 問 題 を 防 ぐた め 、食 に 関 す る 教 育 の 徹 底(牛 肉 を 止 め る 理 由 を 考 え る 。 食 べ 物 を 無 駄 に し な い 。)や 失 職 対 策 ・支 援 を 行 う。

自分 た ち だ け が 美 味 し い も の を 食 べ 、地 球 環 境 や 飢 え た 人 は ど う で も よ い と は 思 え な い 。 少 し私 た ち が 我 慢 す れ ば い い 。

日本 は 、 老 人 力 等 を 活 用 して 食 料 自給 率 を あ げ 、 輸 入 を 減 らす べ き 。

「肉 を 食 べ な い 」 と い う少 女 の 「方 法 」 に は 反 対 。

肉 と 言 っ て も 、 か か る 飼 料 は 牛 〉 豚 〉 鶏 … 一 律 に は 扱 え な い 。

お 金 の 支 援 で は 、 政 府 に と ら れ か ね な い の で 、 代 替 案 と して 、発 展 途 上 国 の 食 料 が 安 定 す る よ う農 業 支 援 を 行 う 。 日 本 も 食 料 輸 入 を 減 らす よ う に す る 。(太 っ て い る 人 で は な く)儲 け て い る 企 業 か ら税 金 を 多 く徴 収 して 途 上 国 支 援 に 回 す 。

自分 た ち の 生 活 水 準 が 変 わ る よ う な 少 女 の 意 見 に は 反 対 。

バ イ オ 燃 料 に 使 わ れ て い る穀 物 量 は 極 力 減 ら し 、肉 の 生 産 に 上 限 を 設 け れ ば 、計 算 上 、 少 女 が 言 う ほ ど極 端 に し な く て も(1割 程 度 削 減 で)大 丈 夫 。

少 女 の 主 張 そ の も の は 賛 成 だ が 、 「方 法 」 に は 反 対 。

重 要 な こ と は 、 食 べ 物 の 背 景(こ の 食 材 は 誰 が ど う や っ て 作 っ た の か 。 毎 日食 べ 物 が あ る こ と は 当 た り前 の こ と じ ゃ な い 。)で あ り 、 自 分 の 生 活 が 如 何 に し て 成 り立 っ て い る か と い う こ と を 意 識 す る こ と 。

そ の た め に 、 例 え ばTFT(TableForTwo:先 進 国 の 私 た ち と 発 展 途 上 国 の 子 ど も た ち が 時 間 と 空 間 を 超 え 食 事 を 分 か ち 合 う と い う コ ン セ プ ト。対 象 と な る 定 食 や 食 品 を 購 入 す る と 、TFTを 通 じて20円 が 発 展 途 上 国 の1食 分 の 給 食 費 と し て 寄 付 さ れ る 。)の な ど へ の 取 り組 み を増 や して い く 。

食 文 化 の 存 続 と 言 う こ と で は 、 「肉 食 禁 止 」 に は 違 和 感 が あ る 。

経 済 成 長 期 に あ る 中 国 で は 、 今 、 肉 食 禁 止 は 無 理 で あ る 。 しか し、 少 女 の 気 持 ち は よ く わ か る し無 視 した く は な い 。

中 国 の 現 状 か ら 、問 題 視 され る の は レ ス トラ ン な ど で 捨 て られ て い る 大 量 の 食 べ 物 で あ る 。 そ の よ う な 食 べ 物 を 出 した 企 業 に 対 して 「浪 費 税 」 を作 り そ の お 金 で 支 援 。 税 金 に よ っ て 富 裕 層 か ら 貧 困 層 へ お 金 が 回 る よ う に し た い 。(税 を か け る こ と で 捨 て る 量 が 減 る こ と に も 期 待 した い 。

経 済 の 流 れ を 止 め る の で は な く変 え る こ と で 解 決 に 近 付 け た い 。

(13)

B

C

意見 交換

ゲ ス ト 丁 イ ー チ ヤ ー の 講 評

少 女 の 意 見 に 賛 成 。 肉 の 消 費 量 を ゆ っ く り減 ら して い き た い 。

少 女 の 指 摘 通 り 、 同 じ地 球 で 飢 え た 人 と 食 べ 過 ぎ で 困 っ て い る 人 が い る の は お か し い 。 そ して 、 発 展 途 上 国 が 飢 え て い る に も か か わ ら ず 、 先 進 国 が よ り よ い 食 の 質 と 量 を 求 め 続 け る 現 状 は お か しい 。

しか し、 そ れ は 国 の 政 策 で は 変 わ ら な か っ た 。 そ れ で も今 、 社 会 を 根 本 か ら 変 え て い く必 要 が あ る 。 そ して 変 え る に は と て も 大 き な 力 が 必 要 だ 。

そ の 大 き な 力 に 「消 費 者 」 が な れ る よ う に 、 「消 費 者 」 に 対 し意 識 を 変 え る よ う な 広 告 活 動 や 教 育 を 行 う べ き 。 「飢 餓 に 苦 し む 人 が い る 」 と い う 実 態 を も っ と 広 く世 間 に 浸 透 さ せ て 、 「消 費 者 」 と して の 行 動 に よ っ て 世 界 を 変 え て い き た い 。

少 女 の 極 端 な 「方 法 」 に は 反 対 だ が 、 主 張 そ の も の は 重 要 な こ と 。 ま ず 飢 餓 へ と 国 内 外 の 目 を 向 け させ る こ と が 大 切 。

そ の た め に 、 ま ず 先 進 国 日本 が 自 ら 肉 の 輸 入 を1割 削 減 す る 。 そ れ に よ り外 国 に 対 し て ア ピー ル で き る し、 国 内 で も 議 論 の 種 と な る 。 議 論 の 広 が り は 、 国 民 の 目 を 飢 餓 国 に 向 け さ せ る こ と に つ な が る 。

*こ れ ま で の 議 論 の 中 で は 出 て こ な か っ た こ と だ が 、 単 な る 「食 べ 物 」 「消 費 の 対 象 」 と して だ け で 生 物 の 「生 命 」 を 捉 え て よ い の か?そ の よ う な 視 点 も あ っ て よ い の で は な い か 。(Hグ ル ー プ よ り)

*自 分 た ち の グ ル ー プ の 意 見 は 、 他 の グ ル ー プ と は か な り異 な る も の で あ っ た 。 しか し、 社 会 の 中 で は 、 遠 い 国 の 大 き な 苦 しみ よ り身 近 な 人 の 小 さ な 苦 しみ の 方 が 重 い の は 「現 実 」 で は な い の か 。(Eグ ル ー プ よ り)

問 題 文 の 意 味 の 深 さ を 感 じた し、そ れ に 対 す る 皆 の 意 見 一 つ 一 つ も深 く素 晴 ら しか っ た 。 生 活 の 中 で 見 過 ご さ れ て い く こ と を 見 よ う と し 、 取 り組 む こ と の 価 値 は 大 き い 。

授 業 後 、 これ か ら あ な た は ど う して い くの か!?是 非 、 何 か 一 歩 踏 み 出 して 欲 し い 。 例 え ば 、 ツ イ ッ タ ー で つ ぶ や く 、友 人 に 伝 え る な ど 、 こ の 授 業 を 受 け て い な い 誰 か に 対 し て 、発 信 者 と な る こ と で も 踏 み 出 す こ と は で き る 。小 さ な 発 信 と 行 動 の 積 み 重 ね が 世 界 を 動 か す 。

ま た 、 こ の 問 題 は 世 界 経 済 の 流 れ に も 大 き く影 響 して き て い る の だ か ら 、将 来 的 に 企 業 人 と して も 踏 み 出 し て 欲 し い が 、 何 よ り既 に 消 費 者 で あ り、 消 費 者(消 費 者 市 民)と

して 、 次 代 を 創 っ て い く こ と が で き る 。

*1グ ル ー プ(Yg)・Gグ ル ー プ(In)は 欠 席 。 *下 線 は 筆 者 に よ る 。

中 間 報 告 会 で の 議 論 を 受 け 、 少 女 の 「肉 食 禁 止 」 と い う 「方 法 」 に 対 して は 反 対 で あ る が 、 主 張 そ の も の や 気 持 ち に は 賛 同 す る と い う意 見 が 多 く見 られ た(グ ル ー プJ・D・H・K・C)。 特 に 、 前 述 し た よ うに 、中 間 報 告 会 で 主 張 し き れ な か っ た こ と を 後 悔 し て い たHグ ル ー プStの 発 表 は 、

「食 べ 物 の 背 景 」 に 目 を 向 け る こ と の 重 要 性 を 力 説 し 、TFTと い う具 体 策 も 挙 げ た 説 得 力 の あ る も の で あ っ た 。 ま た 、 当 初 よ り少 女 の 意 見 に 賛 成 で あ っ たBグ ル ー プ のHhは 、 ゲ ス トテ ィ ー チ ャ ー の 島 田氏 の 助 言 内 容 に 強 く ひ か れ た 。 そ し て 消 費 者 市 民 を 育 て る 教 育 に 期 待 し 、 政 治 が 変 え られ な か っ た こ の 世 界 を 消 費 者 が 変 え る 、 つ ま り消 費 者 市 民 社 会 の 構 築 を 目指 す とい う主 張 を し た 。Hhは 、 島 田氏 か ら の 学 び を も と に 自分 の 主 張 を確 か な も の と し て 創 造 し 、 発 信 す る こ と に よ っ て 、 他 の グ ル ー プ に 衝 撃 を 与 え た 。

Bグ ル ー プ 同 様 、 当 初 よ り少 女 の 意 見 に 賛 成 だ っ た が 世 代 の 違 い か ら遠 慮 し て 発 言 を 控 え て い たAグ ル ー プNzさ ん は 、 同 グ ル ー プ のKdの 発 表 の 後 ご 自身 で 「自分 た ち だ け が 美 味 し い も の を食 べ 、 地 球 環 境 や 飢 え た 人 は ど うで も よ い と は 思 え な い 。 少 し私 た ち が 我 慢 す れ ば い い 。 そ し

(14)

て 、 日本 は 、 老 人 力 等 を 活 用 し て 食 料 自 給 率 を あ げ 、 輸 入 を 減 らす べ き 。」 と の 主 張 を され た 。 Nzさ ん の 発 言 に 対 し て 、Dグ ル ー プ のKtは 、 第15回 に 提 出 し た 『本 授 業 全 体 を 振 り返 っ て 』 に 以 下 の よ うに 記 述 して い る 。

こ の 授 業 は 同 じ テ ー マ で 話 し合 い 、 プ レ ゼ ン す る の で 、 新 し い 考 え が 出 て き ま し た 。 私 の 思 っ た 新 しい 考 え と は 、"我 慢 す る"と い う こ と で す 。私 の グ ル ー プ の 意 見 は ど ち ら か と い う と"我 慢 しな い"方 向 で した 。 しか し、Nzさ ん が 、 「私 た ち が 我 慢 す れ ば い い ん じ ゃ な い の か?」 と 言 っ て い て 、身 近 で そ ん な 事 を 言 う 人 が 少 な か っ た の で 、「あ あ そ うか も な あ」 と思 い ま した 。 お 金 で な ん と で も な る 時 代 な の で 、 本 当 に 人 の こ と を 思 い や っ て 考 え る っ て 大 切 な の か も しれ な い と思 え る よ う に な りま した 。

生 き た 時 代 に よ っ て 価 値 観 の 異 な る方 と の 学 び 合 い が 、 新 しい 世 代 の 価 値 観 を 揺 さぶ り、 新 た な 知 を 創 造 し て い く た め の 礎 を 築 い た の で あ ろ う。

本 時 は 、 集 合 時 刻 を 早 め て 開 始 した が 、 そ れ で も 時 間 不 足 で 、 最 後 の 討 論 は 意 見 交 換 に と どま っ て し ま っ た 。 ま た 、 授 業 後 の 感 想 の 記 述 に も ほ と ん ど時 間 を とれ ず 、 非 常 に 残 念 で あ っ た 。 そ の 中 で 、最 終 的 に 他 の グ ル ー プ と最 も異 な る 主 張 と な り、意 見 交 換 の 際 も 再 提 案 したEグ ル ー プ のOkは 以 下 の よ うな 記 述 を し て い る 。

議 論 で き な か っ た の が す ご く 残 念 で な ら な い 。(中 略)自 分 の 予 想 を 超 え た 反 論 を 聞 い て み た か っ た 。 しか し、 い ろ ん な 人 の 考 え を 発 表 を 通 し て 知 れ た の が 良 か っ た 。何 が 正 しい と か 間 違 っ て い る と か そ ん な こ と は ど うで も 良 く て 、 こ う い っ た 発 表 を 通 し て 、い ろ ん な 考 え を 知 る こ と 、 そ して 、 そ れ に つ い て 考 え る こ と が 大 切 で あ り 、僕 自 身 も 今 回 の 問 題 に つ い て い ろ ん な 人 の 、 意 見 を 知 っ た の で 、 今 後 も 考 え て い き た い 。

Okの 指 摘 は 、 異 質 な 意 見 か らの 学 び の 重 要 性 で あ る 。Okの 指 摘 通 り、 新 し い 知 の 創 造 と は 、 異 質 の ぶ つ か り合 い の 中 で 生 ま れ て く る も の で あ ろ う。

前 述 し た よ うに 、Hグ ル ー プ で 留 学 生 のRiは 、 一 人 だ け 中 国 の こ と を 検 討 して き た の だ が 、 母 国 の 実 態 を 冷 静 に 考 察 した 上 で 提 案 し た 「浪 費 税 」や 、 「経 済 の 流 れ を止 め る の で は な く変 え る こ と で 解 決 に 近 付 け た い 」 とい う発 想 は 、 他 の 受 講 生 か ら 「流 石 」 と の 評 価 を 得 た 。 以 下 に 示 し た よ うに 、Ri自 身 も 『最 終 報 告 ・討 論 を 経 て 』 に お い て 、 異 な る 国 に つ い て 検 討 し て き た 他 の グ ル ー プ の 意 見 と 自分 の 意 見 を あ わ せ て 考 え る と と も に 、 こ の よ うな 教 育 が 国 を 超 え て 重 要 で あ る こ と を 提 案 し て い る 。Riの 指 摘 もOk同 様 、 異 な る視 点 が 新 しい 知 を創 り上 げ て い く こ と を 証 明

して い る。 さ ら に 、Riは そ うい う場 を も っ と広 げ る こ と も 提 案 して い る 。

他 の グ ル ー プ の 提 案 で も 、私 の 提 案 した 浪 費 を 防 止 す る こ と が で き る と思 い ま す 。そ して 、 食 教 育 は ど の 国 に と っ て も 必 要 と 思 い ま す 。 皆 さ ん か ら い い 意 見 や 提 案 が た く さ ん 提 出 さ れ ま した 。も し 、も っ と 多 くの 人 に 聞 け ば 、も っ と 効 果 的 な 提 案 が 出 て く る か も しれ な い 。全 国 で 飢 餓 問 題 の 解 決 を 求 め て 、 積 極 的 に 実 施 し て 欲 し い で す 。

こ の よ うに 最 終 報 告 会 で は 、 中 間 報 告 会 で の 学 び の 深 ま り を 経 て 、 少 女 の 主 張 の 奥 に あ る真 意 を 自分 た ち は ど の よ う に くみ 取 り、 ど う応 え る の か とい う新 た な 問 い の も と発 表 が 行 わ れ た 。 こ の テ ー マ の 根 底 に あ る 構 造 的 な 問 題 、 消 費 と環 境 、 そ して そ の 背 後 に あ る世 界 経 済 の 問 題 に 至 る ま で 目 を 向 け て い っ た グ ル ー プ も 多 く み られ た 。

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ま た 、 異 な る世 代 、 異 な る 意 見 、 異 な る 国 な ど 、 異 な る 視 点 との 出 会 い か ら新 し い 知 が 創 造 さ れ た 。 哲 学 的 ・倫 理 的 な ど の 異 な る ア プ ロ ー チ か ら も新 た な 知 が 創 り出 さ れ た 。 こ の よ うに 、 最 終 報 告 会 の 授 業 は 「知 の 創 造 の 場 」 とな っ て い た こ と が 伺 わ れ る 。

⑤ 最 終 授 業 の 展 開

最 終 授 業 の 第15回 に は 、 後 半 の プ ロ ジ ェ ク ト学 習 を 例 に し な が ら前 半 の 講 義 内 容 を 改 め て 振 り返 っ た 。 多 く の 受 講 生 に は 、 倫 理 的(ethical)消 費 、 消 費 者 市 民 社 会 、 持 続 発 展 社 会 な ど の 用 語 も 単 な る知 識 と し て で は な く未 来 社 会 の 創 り手 で あ る 自分 自身 の 生 き 方 ・在 り方 に っ な が る 価 値 と して 受 け 止 め られ た こ とだ ろ う。

最 後 に 、 授 業 者 自身 こ の 半 年 間 の 素 敵 な 学 び 合 い に 感 謝 し て い る こ と を 告 げ 、 授 業 を 締 め く く っ た 。

3.「 知 の 創 造 の 場 」 と して の 授 業 構 築 の た め に

本 実 践 全 体 を 振 り返 り、 本 時 の 最 後 に 受 講 生 が 提 出 し た 『本 授 業 全 体 を 振 り返 っ て 』 や 課 題 レ ポ ー ト(テ ー マ:『 消 費 社 会 と 私 』 の これ か ら)を 引 用 し な が ら、 「知 の 創 造 の 場 」 と して の 授 業

の構 築 に つ い て 考 察 し た い 。

前 半 の 授 業 で 行 っ た 貿 易 ゲ ー ム に お い て も 持 ち 前 の リー ダ ー 的 な 素 質 を 発 揮 し発 展 途 上 国 チ ー ム の 大 逆 転 を 成 し遂 げ たJグ ル ー プTmは

、 以 下 の よ うに 記 述 し て い る 。

普 段 の 生 活 で は 考 え な い よ う な こ と 、 考 え た と して も ぼ ん や り した よ う な 思 い を この 講 義 で は 深 く考 え させ られ ま した 。 消 費 生 活 を テ ー マ に 挙 げ て 議 論 す る 上 で 、 命 や 倫 理 的 な と こ ろ ま で 考 慮 し な け れ ば な ら な い と は 思 い ま せ ん で し た 。 座 学 で は な く、 グ ル ー プ デ ィ ス カ ッ シ ョ ン や 報 告 ・討 論 会 に 重 き を 置 く こ の 授 業 は 、 特 に 私 の よ うな 人 間 に と っ て は と て も 良 い 経 験 と な り 、 他 の 講 義 で も こ の よ う な 形 式 で 授 業 を し て くれ た ら、 と 強 く思 い ま した 。

Tmが 指 摘 す る よ うに 、 実 際 に は 、 大 学 の 授 業 に お い て こ の よ う な 授 業 形 態 は ま だ ま だ 少 数 派 で あ る。 筆 者 の 行 う他 の 授 業 で も 類 似 の 意 見 は 多 く 出 され る 。 こ の よ うな 授 業 へ の 要 請 は 学 生 か

ら も 多 く 出 され て い る の で あ る 。

但 し、 形 態 だ け で は な く 、 真 の 意 味 で 学 び 合 い の 場 を 形 成 し授 業 を 「知 の 創 造 の 場 」 す る た め に は 、 ま ず テ ー マ の 選 考 、 中 間 報 告 会 の 在 り方 、 受 講 生 へ の フ ィ ー ドバ ッ ク な ど 、 様 々 な 授 業 者 サ イ ドの 配 慮 が 必 要 で あ る 。そ れ に よ っ て 、受 講 生 自身 が 異 な る 価 値 との 出 会 い に よ っ て 成 長 し 、 授 業 は 「知 の 創 造 の 場 」 と な る の で あ る。 以 下 、Cグ ル ー プTrの 課 題 レ ポ ー トに は 、 そ の 成 長 が 明 確 に 示 され て い る 。

中 間 報 告 会 の 時 は 自 分 の 考 え が ま と ま ら ず チ ー ム メ ン バ ー の 考 え に 従 っ て い ま した 。 しか し、

他 の チ ー ム の 意 見 は 自 分 の 予 測 、 考 え を 超 越 し た も の ば か りで す ご く参 考 に な り ま し た 。 中 で も"日 本 で の 贅 沢 は 貧 困 地 で の 命 に 代 え られ る も の だ ろ うか?"こ れ は す ご く 印 象 的 だ と 感 じま した 。 や は り 、 貧 困 地 の 立 場 に 立 た な い と考 え 付 か な か っ た も の だ っ た の で 、 そ れ だ け に 命 の 重 み は も っ と 大 き い も の で あ る と感 じ ま し た 。 そ れ か ら は 自 分 自 身 の 意 見 を 言 え る よ う に な っ た の で 、 皆 の 意 見 を 参 考 に 最 終 討 論 に 向 け 考 え を ま と め て い け ま した 。 最 終 報 告 会 で は 、 や は り他 の グ ル ー プ と 比 べ る と調 べ た 量 が 少 な い か な と 感 じま した 。 中 間 報 告 会 と 比 べ る と さ ら に 色 々 な 観 点 か ら 主 張 す る グ ル ー プ が 増 え て い ま した 。 しか し、 自分 の 意 見 を 伝 え られ た こ と は 自 分 の 中 で も 大 き な こ と だ っ た の で と て も 新 鮮 な 気 持 ち で した 。

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他 者 か ら発 せ られ た 新 しい 価 値 との 出 会 い に よ っ て モ チ ベ ー シ ョ ン が 高 ま り、 自分 自 身 の 学 び の 深 ま りを 実 感 し 自信 を 持 て る よ うに な る 、 そ う し て そ れ ぞ れ の 者 が 学 び 合 うに ふ さ わ し い 存 在 に 成 長 し、 さ ら に 他 者 を 認 め 合 え る 、尊 敬 し合 え る 関 係 を創 っ て い く。Trの 成 長 は そ の こ と を 物 語 っ て い る。

さ て 、 そ の よ うな 受 講 生 の 成 長 を一 層 促 す た め に 大 切 な こ と、 そ れ を 以 下 に 示 したCグ ル ー プ Tnの 記 述 か ら読 み 取 る こ とが で き る。

グ ル ー プ ワ ー ク を 途 中 で 投 げ 出 して しま っ た の で 、 単 位 は 別 に ど ん な 風 に な っ て も 構 わ な い と 思 っ て い ま す 。(中 略)そ れ で も こ の 授 業 は 大 切 だ と 思 うの で 、 ま た 来 年 も 受 講 生 の 方 と 学 び 合 い を 広 げ て 欲 し い と 思 い ま す 。 あ りが と う ご ざ い ま した 。

も と も と グ ル ー プ ワ ー ク 等 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 必 要 な 授 業 形 態 に 苦 手 意 識 を 持 つTnは 、 一 般 市 民 受 講 生 のMtさ ん と うま く 関係 性 を 保 っ こ と が で き な か っ た 。 途 中 で 授 業 を リタ イ ア し そ うに な りな が ら も何 と か 最 後 ま で 頑 張 っ た 。 「人 間 力 」 「コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョン カ 」 「協 働 」 な ど、 時 代 が 求 め る能 力 で は あ る が 、 そ の よ うな 教 育 ・社 会 に 入 れ な い 者 が 多 い の も事 実 で あ る 。 た だ 、 そ の よ うな 、Tnの 記 述 の 中 に 大 き な ヒ ン トが あ る よ う に 思 わ れ た 。

Tnは 、 「受 講 生 の 方 の 」 で は な く 「受 講 生 の 方 と 」 と表 して い る 。 つ ま りTnは 、 学 び 合 い 、 知 を創 造 し た の は 受 講 生 だ け で な く授 業 者 も だ っ た と認 識 して い る の で あ ろ う。

授 業 と い う場 に お い て 、 学 習 者 は 、 異 な る価 値 を も っ た 他 者 と 出 会 い 、 学 び 、 自分 に 自信 を 持 て る よ うに な っ て い く。 そ の 上 で ま た 互 い に 尊 重 し合 え る者 同 士 の 学 び 合 い が な され た 時 、 そ の 場 は 互 い の 小 さ な 「知 」 が つ な が り合 い 、 新 た な 「知 」 を 生 み 出 す 「知 の 創 造 の 場 」 と な り得 る 。

これ は 、 そ の よ うな 場 に 近 付 い た と思 わ れ る授 業 を 振 り返 り考 察 す る こ と に よ っ て 見 え て き た こ とで あ る。

本 論 は 、 大 学 共 通 教 育 の 『消 費 社 会 と 私 』 の 授 業 を 振 り返 り、 考 察 を行 っ た 。 知 識 注 入 で は な く学 生 が 主 体 と な っ て 行 うプ ロ ジ ェ ク ト型 授 業 の 設 定 、 そ の 際 の テ ー マ 選 定 の 重 要 性 、 学 生 が 交 流 しや す い 授 業 設 計 、 学 生 へ の 情 報 の フ ィ ー ドバ ッ ク と共 有 、 授 業 者 や ゲ ス トテ ィー チ ャ ー に よ る 適 切 な 助 言 な ど 、 い くつ か の 授 業 者 側 か ら の ア プ ロー チ は 見 え て き た 。 但 し、 そ れ ら を マ ニ ュ ア ル 化 して 守 っ て もお そ ら くそ の 授 業 は 「知 の 創 造 の 場 」 に な らな い だ ろ う。 な ぜ な ら 、 授 業 者 自身 が 学 び 手 と し て 、 新 た な 知 へ の 探 究 を し て い な い か ら で あ る 。 忘 れ て は な ら な い の は 、 授 業 者 も ま た 知 の 創 造 の 担 い 手 と して 受 講 生 と相 似 形 で あ る とい う こ とで あ ろ う。

児 童 ・生 徒 ・学 生 ら の 主 体 的 な 学 び へ と教 育 改 革 が 求 め られ る 時 代 、 何 よ り大 切 な こ と は 、 授 業 を 受 け る側 もす る 側 も と も に 学 び 手 で あ り、 知 の 探 究 者 で あ る こ とな の か も しれ な い 。 大 学 の 授 業 改 革 、 教 養 教 育 改 革 に お い て も 、 同 様 な の で は な い だ ろ うか 。

(1)こ れ ら の 取 り 組 み に つ い て は 、 拙 論 「知 の 創 造 と し て の 授 業 を め ざ し て 〜 授 業 改 革 へ 向 け て の 一 提 案 〜 」(教 師 教 育 研 究 第3巻(Vol.3),217‑224頁,2010年)や 、 松 田 淑 子 ・山 田 志 穗 ・吉 村 祐 美 ・質 璃 「大 学 院 の 授 業 に お け る 『学 び 合 い の 場 』 の 創 出 と そ の 意 義 」(福 井 大 学 教 育 地 域 科 学 部 紀 要 第2号,305‑317頁,2012年)な ど を 参 照 。

(2)ジ ャ ン ・ボ ー ド リ ヤ ー ル,今 村 仁 司 ・塚 原 史 訳 「消 費 社 会 の 神 話 と構 造 」 紀 伊 國 屋 書 店,1995年 (原 著 は1970年 刊 行)

(3)宇 沢 弘 文 「社 会 的 共 通 資 本 」 岩 波 新 書,2000年

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参考文献

阿 部 治 監 修 、 荻 原 彰 編 著 、2011、 高 等 教 育 とESD一 持 続 可 能 な 社 会 の た め の 高 等 教 育 一 、 大 学 教 育 出 版

池 田 香 代 子+マ ガ ジ ン ハ ウ ス 、2008、 世 界 が も し100人 の 村 だ っ た ら 総 集 編 、 マ ガ ジ ン ハ ウ ス 宇 沢 弘 文 、2000、 社 会 的 共 通 資 本 、 岩 波 新 書

内 橋 克 人 、2000、 浪 費 な き 成 長 、 光 文 社

ジ ャ ン ・ボ ー ド リ ヤ ー ル 、1995、 消 費 社 会 の 神 話 と 構 造 、 紀 伊 國 屋 書 店 セ ヴ ァ ン ・カ リ ス=ス ズ キ 、2003、 あ な た が 世 界 を 変 え る 日 、 学 陽 書 房 日本 国 際 飢 饒 対 策 機 構 編 、2003、 世 界 と 地 球 の 困 っ た 現 実 、 明 石 書 店 平 成20年 版 国 民 生 活 白 書 、2009、 内 閣 府 、 社 団 法 人 時 事 画 報 社

松 田 淑 子 、2010、 『知 の 創 造 と し て の 授 業 を め ざ し て 〜 授 業 改 革 へ 向 け て の 一 提 案 〜 』 教 師 教 育 研 究 、 第3巻(Vo1.3)、217‑224頁

松 田 淑 子 ・山 田 志 穂 ・吉 村 祐 美 ・質 瑚 、2012、 『大 学 院 の 授 業 に お け る 「学 び 合 い の 場 」 の 創 出 と そ の 意 義 』、 福 井 大 学 教 育 地 域 科 学 部 紀 要 、 第2号 、305‑317頁

レ ス タ ー ・ブ ラ ウ ン 、2010、 プ ラ ンB4.0一 人 類 文 明 を 救 う た め に 、 ワ ー ル ド ウ ォ ッ チ ジ ャ パ ン CEL98号 特 集:倫 理 的 消 費 一 持 続 可 能 な 社 会 へ の ア ク シ ョ ン 、2012、 大 阪 ガ ス(株)エ ネ ル

ギ ー ・文 化 研 究 所(CEL)

ErikMillstone、2009、 食 料 の 世 界 地 図(第2版)、 丸 善 株 式 会 社

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教 育 にお け るアクション ・リサ ー チ の た め の 実 践 コミュニ ティの 創 造 と展 開

木 村 優 (教育学研 究科教職 開発講座)

1.教 育 実 践 研 究 の 課 題

教 育 研 究 の 諸 領 域 に お い て,教 育 実 践 に 基 盤 を 置 き,研 究 者 が 教 育 実 践 に 関 与 ・参 与 し な が ら 臨 床 的 研 究 を 進 め,実 践 者 が 自 らの 実 践 か ら 開 発 し た 教 育 方 法 や 教 育 内 容 を 分 析,検 討 す る"実 践 研 究"が 増 え つ つ あ る。 実 践 研 究 の 増 加 の 学 術 的 背 景 に は,例 え ば,学 習 科 学 に よ る教 授 ・学 習 研 究 の 発 展 や 質 的 研 究 の 発 展 が 挙 げ ら れ(能 智,2009),さ ら に,こ れ ら学 術 研 究 の 発 展 に 基 づ く これ ま で の 教 育 研 究 に 対 す る 反 省 も 挙 げ られ る。 例 え ば,教 育 心 理 学 や 教 育 社 会 学 の 研 究 領 域 で は, 学 校 や 教 師 を 対 象 と した 調 査 研 究 を これ ま で 盛 ん に 行 っ て き た が,研 究 者 は,調 査 者 あ る い は 参 観 者 と い う立 場 で 教 育 実 践 を 外 側 か ら 客 観 的 に 測 定,記 述 す る 手 法 を 用 い,そ の 手 法 に 基 づ き,

教 育 実 践 や 子 ど も/生 徒 の 学 習 ・発 達 過 程,学 校 の 制 度 設 計 な ど に 関 す る 一 般 化 さ れ た 法 則 の 導 出 を 目指 し て き た 。 ま た,実 践 者 に よ る研 究 は 内 側 か ら の 主 観 的 な解 釈 と 見 な され,学 術 研 究 か ら排 除 さ れ て き た 。 した が っ て,法 則 性 を 求 め る教 育 研 究 は,"実 学"と し て の 教 育 実 践 に 関 わ る 公 共 的 使 命 を 脇 に 置 い て き た と も 言 え る。こ の 反 省 が,教 育 研 究 者 を 教 育 実 践 の 現 場,す な わ ち, 学 校 や 教 室 へ と駆 り立 て る と共 に,教 師 の 実 践 研 究 を 再 評 価 し奨 励 す る原 動 力 と な っ た 。 ま た, 同様 の 反 省 か ら,教 育 研 究 者 が 学 校 や 教 師 と の 協 働 関 係 を 形 成 し,学 校 や 教 師 と連 携 し て 学 校 づ く り,授 業 改 善 を 推 進 す る 取 組 も 盛 ん に 行 わ れ る よ うに な っ た 。

しか し,例 え ば 『教 育 心 理 学 研 究 』 に1999年 か ら2011年 ま で の12年 間 で"実 践 研 究"と して 掲 載 され た 論 文 を 概 観 す る と,教 育 心 理 学 研 究 領 域 に お け る 実 践 研 究 に は 以 下,少 な く と も2つ の 課 題 が 残 され て い る 。 第1の 課 題 は,実 践 研 究 と して 研 究 者 が 教 育 実 践 に 関 与 ・参 与 し て は い る も の の,実 践 の"当 事 者"と して の ス タ ン ス が 希 薄 な こ とで あ る 。つ ま り,研 究 者 が 学 校,授 業, 校 内 ・校 外 研 修,教 師 や 子 ど も/生 徒 に 寄 り添 い 係 り な が ら,そ れ らの 変 容 と進 化 を 支 え 促 す 協 働 研 究 に 従 事 し た も の は 少 な い 。 第2の 課 題 は,学 校 教 師 や カ ウ ン セ ラ ー な ど,実 践 者 に よ る実 践 研 究 が 行 わ れ て い る が,そ の 実 践 研 究 で 示 され る の は,あ る 特 定 の 教 育 方 法 や 教 育 内 容 の 分 析, も し く は 授 業 分 析 か ら捉 え られ る1サ イ ク ル の 知 見 が 多 い こ と で あ る。 す な わ ち,実 践 者 が い か に 実 践 の 省 察 を 行 い,実 践 を 変 容 し再 構 成 し て い っ た の か とい う重 層 的,螺 旋 的 サ イ ク ル の 知 見 を 示 した 研 究 が 少 な い 。

ま た,研 究 者 と 学 校 や 教 師 と の 連 携 に 目 を 向 け て も,"協 働"と は 名 ば か りに 研 究 者 が 学 校,教 師 に対 す る指 導 助 言 に 収 敏 した り,特 定 の 研 究 領 域 で 構 築 され た グ ラ ン ド ・セ オ リー を 実 践 の 場 へ 持 ち 込 み ,そ の遂 行 を学 校 ・教 師 に要 請 した りす る事 例 も見受 け られ る。教 育 実 践,あ るい は, 教 育 現 場 へ の こ の よ う な 上 意 下 達 的 な 研 究 者 の 係 わ り方 で は,学 校 や 教 師 と の 長 期 に 渡 る 信 頼 関 係 を 築 く こ と,さ ら に,学 校 組 織 や 授 業 の 中 に 潜 在 す る 複 雑 で 重 層 的 な 実 践 の 理 論 を 導 出 す る こ

と は 難 し い と思 わ れ る 。

参照

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