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1家 庭 科 教 育 分 科 会

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Academic year: 2021

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(1)

1家 庭 科 教 育 分 科 会

家庭科における消費者教育を どのようにすればよいか

1 はじめに

本分科会では,昭和46年度47年度の継続研究を上記のテーマで行りた。消費者教育の意義 小・中・高校および大学各科目の消費者教育に関する内容,指導計画等につき,全分科会員で検 討し,附属中学校で実践研究を行なハた。紙面の都合で,成果の一部を記す。

2 家庭科教育における消費者教育

0 消費者教育の意義 一 我が国では第二次世界大戦後,特に昭和30年以降世界を驚嘆さ せる急激な経済成長により,生産の飛躍的拡大が行なわれた。それは生活水準の著しく向上させ

ると共に,一方繁栄のもたらす幣害として,消費者物価の続騰,公害問題,過大生産と消費等,

生産を脅かす問題を急増させている。生活者即ち消費者が生活を守る力を育てる消費者教育や,

生活者の立場から経済社会や政治に働きかけていく消費者運動の必然性がある。

生産の目的は消費であっても,消費の目的は生産ではなく,人間が生きてゆくための欲望の充 足である。消費者教育とは,単に商品の選択や購入の教育のみを意味するだけでなく, 「人間が 目的に応じて,必要とする条件を考慮して,生活に必要なものを購入,使用し,真に豊かな生活 をする能力を身に付けることを目的として行なわれる教育の活動」,即ち「自主性を持った賢明 な消費者の確立の教育」であると言える。

0 学校教育における消費者教育 一 消費者教育は生涯教育として位置づける必要があるし,

わが国では学校教育より社会教育で主として行なわれている。現代社会に生き,生活の質を高め る人間教育としての消費者教育の基礎は,学校教育の中に位置づける必要がある。

消費者教育の目標として,①目標をたて主体的に行動する態度の育成,②社会全体における消 費および消費者の意義の自覚,③科学的,合理的に生活を処理する能力の育成,④合理的に購買

し,使用する能力の育成,あげることができる。

消費者教育は,学校教育全体の中に,特に関連のある道徳,社会科,理科,技術・家庭科,家 庭科の中に位置づけられるべきであろう。しかし学校教育の中の消費者教育の歴史は浅く,殆ん

ど消費者という概念が明確に打ち出されておらず,体系も出来ていない。

家庭生活を中心とする人間生活を追求創造する実践的能力の育成を目ざす家庭科には,消費者

一一

P73一

(2)

教育の目標と多くの一致点があり,現代社会の消費者教育の必然性を考慮すれば,家庭科教育の 中に消費者教育を取り入れることは,緊急に必要なことである。しかし裁縫・調理・工作などの 技術の習得を主とする家庭科教育の歴史の為に,社会経済の変化や,それに伴う家庭生活の変化 にもかかわらず,消費に関する教育は家庭科教育の実践の場で余り取り上げられていない。それ は児童生徒が生活課題の解決に学習を役立てるのを低めていると思われる。

家庭科における消費者教育の意義や位置づけ,指導内容の明確化,体系化,指導方法の研究が 必要である。

3 小学校家庭科における消費者教育

●   ■

小学校家庭科教育のれらいから,生活と学習のかかわりを特にものにはたらきかけるときに,

常に人とのかかわり合いをたいせつにしていくことが必要である。

そこで,各領域における初歩的・基礎的な指導内容と関連の深い指導事項の中から,消費生活 の合理化を目ざして,目標④の達成については,⑦金銭計画のし方,ω商品の買い方,㈲もの㌧

使い方,扱い方の事項があげられる。

これらを,具体的指導の場に位置づけ,児童の学習を通して得た認識が実際生活の場や,家庭 生活にまで及ぼすような生活態度を育てることがねらいである。

特に消費教育における家庭領域内容と他の領域との関連を「買い物のし方」を中心に下表に示 し,適切な購入に関する内容を位置づけてみることにした。

(例) 家庭領域の内容と他領域との関連

〈買い物のし方〉の指導計画

家庭領域      他領域 被    服 食    物 す  ま  い 買い物のし方と記帳 ・裁縫用具の選び方と購 ・食品・食物の選び方と ・日用品ならびに器具

・計画的な買い方 入のし方 購入 類の選定と購入

必要程度 ・下着の選び方と購入 ・青果物の選択と購入 ・衣に関するもの

予  算 ・製作するものと材料の アイロン

買う順 購入 ミシン

・店の選び方 ・日常着の計画的な購入 ・季節と青果物のねだん 洗濯用具など

・購入方法とれだん ・生鮮魚・肉・卵の選択 ・食に関するもの

・品の良否とねだん と購入ならびにねだん 台所用品

・既成品の買い方と買い ・既成食品の選び方と購 計量器具など

・各種マークの品質表示 物 入(農林規格品) ・住に関するもの

JIS・JAS ・洗剤その他の衣料用薬 ・店の選定と購入方法 冷暖房器具

剤の選択とその購入 そうじ用具

・買い入れの時間 ・調理用材料の購入方法. 装飾用品

・買い物の時間と時間の と実習費 照明器具等

使い方 ・燃料費とその必要資料 ・電気製品

通産省マーク

・買い物と記帳 と費用

・すまいに必要な薬剤

一174一

(3)

4 中学校技術・家庭科における消費者教育の実践

中学校における消費者教育は,新指導要領の中で特に新らしくもりこまれた内容である。そこ で中学校における技術・家庭科(女子向)においては・どのように生徒の実態をおさえたか・そ れをどのような計画におりこみ,単位時間の中でどのような指導活動を行なった焼以下その一端 についてのべる。

(1)生徒の実態をどうとらえたか。(調査項目,集計については紙面の都合で一部掲載)

① 買い物をする動機と購入のさいの観点(調査人員100名)

・日常購入品の学用品,衣料,食品の中から各

1:1 買いものをする動機

数点について調査をした。その際に本人の意

::

志であるから,他のいろいろな誘因によるも

60 のか,その動機と衣料を買うときの観点との

:二

2つの図表とその他の調査についての考察の

1:

概略は次の通りである。

10 買いものをする動機

5 6 1

 5 Q 3

6 1 23

「 5 6

1

 5

Q 3 6 12

61

2

61

2R5 6 1 2 3 5 旧

1 2

実物を見て買う傾向が高く,学年の発達

ち莞

2

3萱

:1

にそった好ましい様子であるが,このなか には商品の宣伝にまどわされたり衝動買い の因子が考えられそうである。親の意見の多いのも

衣料を買うときの観点

10 まだ一人で物を選択しようとする機会が少ないため

であろうし,中3の友達の意見の多いのも自分の判

10

F 断にあまnたものを他の意見で決断しようとする傾

ζ

向が目立ちはじめる年代と思われる。

116

衣料を買うときの観点

1。

10 この調査ではサイズ,せんい表示が高い,学年が

進むにつれてねだんについての関心度が高く・取扱

学  年

5

61

23 56

邑 23 5 δ

1 23 5 5

i 2

3

5 6

1 2 a 5 5

1 2 3 い表示よりも色・柄・デザインについて特に学年が

学  校

調査項目 せんい表示 取扱い表示

サ  4  ズ ね  だ  ん 色・柄・デザィノ メ ー  カ  1

進むにつれ好みによる傾向が強い。メーカーについ

ては低いけれども, これは農村の子どもたちと比較すれば,おもしろい結果がでるようにも思う。

ウ 学用品についての調査,これはエンピツ,ノート,消しゴム・ボール苓ンの4品である。ね だん,メ_カーに関心が高く,JISマークについては低く,流行は小学校が少し高い。

工 食品についての調査,これは牛乳,かん詰め,ラーメン,ジュース等について調査した・着 色料などの添加物や内容物等の関心が低く製造年月日だけが高かった。

オ悪い商品を買らたときどうしたかの調査.とりかえア・のが多いがそのまま使ったのも半灘 あり,どこへ知らせたかは,買った店が一番高くつぎがメーカー,消費者センターは知っている

一175一

(4)

者が少なかった。

② 家庭用機械器具等の保有状況調査(調査人員94名,個数上段は48年2月下段は46年度)

個   数 個   数 個   数 個   数

品 名 品 名 品 名 品 名

1 2 3 4 1 2 3 4 1 2  3 4 1 2 3 4 白35 6 3 0 47 9 2  1 77 9 1 0 7312 1 0

テレビ 自動車 ミシン 掃除機

黒6822 3 0 38 5 1 0 89 12 0 0 8112 2 0

カ58 14  1 1 12 36 23 10 22 3220 10 0 0 0 0

自動車 カメラ 時 計

149 18 0 0 19 39 20 11 48 46 21 15 3027 11 8 18 2720 24 75 11 1  1 86  3 0 0 48年最高は10以土43

ラジオ 冷蔵庫 洗濯機

27 3827 17 87 13 2  1 67 4 0 0

この調査で2年前に比較してみるとテレビの一家庭における保有状況は白黒現44,46年93,       ,

カラー現74,46年67で,カラーが1軒に2台あるのをみると,台数では92台あることにな る。その他,自動車の台数は2年に約2倍,冷蔵庫はこのうち25台が2ドアである。ミシンの 台数のへっているのは・既成品の購入等が多くなったためだろうか。時計は今まさに時をはかる

ものから部屋のアクセサリーに変り,1軒に10個以上ある現状に驚く。しかもこれが全部正し い時間をさしていることのすくないことにも割目したい。商品は街にあふれるばかりでなく家庭 にもあふれている現状を見逃すことができない。

(2) 「消費に関する内容」についての年間計画

この消費については,目標④の商品に対する正しい知識,正しい使用法,合目的の選択,の三 つにしぼり・目標①,②,③の正しい消費者としての生活態度は全学習に関連があるためこの表 からは省略する。

1年指導活動・指導事項 2年指導活動・指導事項 3年指導活動・指導事項 L わたしたちの食物 1. 成人の食物(1年の他) 1,幼児食・老人食・行事

①食品の調理上の性質 ①強化食品・添加物 食(1〜2年の他)

食 ・食品の良否の見分け方 強化食品と加工食品の ①調理材料と費用の見積

・調理中の変化・特徴 表示,添加物内容

②食品と調理用具の選択 ②食品加工と貯蔵 ②調理上の性質。(凝固・

・調理用具の特徴 インスタント食品の選 温度変化)

物 ・目的・使用頻度・耐久 択,使用目的に応じた ③食生活の合理化 度・ねだん考えての選 選択のしかた ・食物費と生活費 択 ③商品の品質表示 ③調理用具の取扱い選択 ・計画・購入・記録

2.日常着の製作 2.休養着の製作(1年の 3.外出着の製作(1〜2

①被服材料と製作用具の 他) 年の他)

選択 ①目的に応じた選択 ①着用目的・価格に応じ

〜176一

(5)

・布地の品質表示 3.被服の整理 た既成服の選び方

被 ・型紙の選択 ①用剤の特徴・選択 ②T・P・0にあった選

・材料・用具の特徴規格 ②用具の扱い方・選択 択と着装

・計測用具・裁断用具・ 4.手 芸 ③被服費と生活費との関      ●

服 ミ.シン・アイロン選択 ・あみものとししゆう材 係・生活の合理化 料・用具φ選択 ④衣料事情と家庭経済

1年 3.すまい 5 家庭機械 4.家庭電気

住居 ①家具の選択 ①材料の特徴 ①屋内配線図の読図

・空間のはたらき ・部品・潤滑油の性能 ②工具の使用と選択 2年 ・家具の形状と寸法 ・互換性 ③導電・絶縁材料の特徴 機械 ・JIS規格,表示記号 ②機械の選び方 ④定格値

・木材や合板の性質 ・使用目的・人数・頻度 ⑤電気機器の購入 3年 ②生活様式と家具 数・場所・価格・耐用 ⑥法的制度

電気 ・快適な生活のために必 年数を考慮した選択 ⑦説明図・仕様書 要な家具 ③説明図・仕様書

       一

u 保  育   ①安全な遊び道具(おもちゃの選択) ②おもちゃの製作幼児服の特徴)

(3年のみの教材)③幼児の衣生活(着用目的に応じた被服の製作・既成服の選択)

(3)指導事例

第3学年技術・家庭科学習指導案(48年1月19日.小・中・大研修)

       5 閨@  材 家庭電気(家庭機器の購入)

設定の理由 この学習については,つぎのような問題が予想されるので,この課題を解決するた めに以下の学習形態をとりた。

(問題点) ①生徒自身買う必要感がない ②①のため選択の条件はあくまで仮定となる。③機 械の操作は,教えてもらえばよいと考えているため買nた時に説明書を読んだり,

セールスマンから聞けばよいと考えている。④機械やメーカーがいろいろあるので どれを選んでよいかわからないという商品知識のないこと。

本時の目標 家庭用電気機器について正しい選択の条件や選択の手順を理解きせ積極的に商品知 識を求めようとする意欲や今後の消費者としてのあり方についての溝えを作る。

①使用目的・条件・価格などに応じて電気機器の選び方について考える。

②電気機器の銘板やカタログを読んで選択について考える。

計   画 家庭電気(25時間取扱い)

第一次 電熱器具(7時間)   第二次 屋内配線(7時間)

第三次 照明器具(7時間)   第四次 機器の購入(2時間)(本時は1時)

準備資料 カタログ・模造紙・サインペン,0・H・P,プリント(自動せんたく機)

展   開

一一

P77一

(6)

ねらい 課 題 場 面 学 習 活 動 内 容 ̀  態 指導上の留意点

カタログの 。自分のおかれ ・せんたく機のメーカー グループ ・売り手と買い手に 内容を読み た立場に立っ にわかれてグル〜プを わかれる(教師買 とる て考える(セ くむ(日立・サンヨー 手,生徒売り手)

一ルス側にな ・ナショナル・NEC ・セールスマンにな

る) ・東芝・家電) ったつもりでのP

・ヵタログを読む(要点 Rをグループで話

を書きぬく) しあう

・機種のPRを考え発表 ・要点を10項目に

者をきめる しぼり機種の特徴

各機種の特 ・各機種を対比 ・発表をきく 全  体 をカタログから選 徴をつかむ してその特徴 せんたく機のはたらき (個別) び出す

を知る や使用条件・価格・使 個人でも発表をき 用目的・場所を考える きながらチェック 選択の条件 。消費者の立場 ・OHPではたらきを比 全  体 してよいものを選

を知る で考え,売り べる ばせる

手側の宣伝に ・プリントで全自動せん (個別) ・発表したもので同 なノ「ているこ たく機について調べる じものは消去,残 とをみつける ・選択の条件は第一にそ 全  体 った機種独自の特 の働きを考え,その上 徴をぬきださせる 生活の主体 ・消費者の立場 で諸条件をみたすもの ・買手になっとくさ 性を知りか に立つ を選ぶ一よい商品一商 せられたか

しこい消費 品知識一今後の勉強 ・もっとよくしらべ

者になる ・今後の消費者? ・生徒と消費(選択) る方法は?

評   価  L カタログだけではよい商品かどうかはわからない。実さいの商品を操作して 比較検討する必要があると気づいた。

2。かしこい消費者となるためには正しい商品知識が必要であるとしった。

(執筆担当  附小 片山八重子  附中 小林ヒナ  大学 村山淑子)

一178一

参照

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