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家庭科教育分科会
陶冶された人間の形成を目標とする学校教育の中で,家庭科教育は児童生徒に家庭生活 に必要な知識や技術の習得をさせ,それを通して家庭生活の意義を理解させ,よりよい家 庭生活を創造する実践的能力や態度を陶冶するのを目標と.している。家庭生活に必要な内 容を小学校では被服,食物,すまい,家庭とし,中学校技術・家庭科では被服,食物,住 居,家庭機械,家庭電気,保育とし,高等学校では家庭経営,被服,食物,保育,住居を 家庭一般の科日の内容とし,また家庭一般のおのおの領域は選択の科目となっている。
家庭科教育の独自な特徴としては次のことが考えられる。家庭は個人の生活の基盤さあ ると同時に社会の単位として意義があるが,家庭科教育では児童生徒に,社会の外側から でなく家庭内で行われている生活に焦点を当てさせ,家庭生活と自分の立場を理解させ,
家庭の生活を中心として,よりよい生活をする意識や態度を身につけさせるのをねらいと している。またその意識や態度は抽象的に考えて知らせるのではなく,衣・食・住・保育 などに関する科学的知識や技術を実習を通して習得きせながら,実践的態度を養うのを特 徴とする。また各領域の学習は,個々の知識や技術の習得させながら実践的態度を養うのを 特徴とする。また各領域の学習は個々の知識や技術の習得だけをねらうのでなく,人間,物
(金銭),時間がからむ家庭の生活を合理的,経済的,計画的,能率的に処理する経営的な 生活技術と,家族への愛情とよりよい家庭の実現への意識の育成につながるよう指導する。
また児童生徒の成長発達に応ずるよう,家庭科目標を,小学校では家族の一員として家 庭生活に協力する立場におき,中学校技術。家庭科では技術の習得を通して生活の合理化
をはかることに,高等学校では家庭経営者として自分の家庭のみでなく近隣の地域社会の 家庭生活を含めて改善をはかることにおき,更に職業科では職業能力を養うことも加えて いる。家庭科の目標や内容は上級に進むにつれ段階的に深まるようにし,各領域の内容も それぞれ関連をもって,児童・生徒の進歩に応ずるものとする必要がある。また家庭科で は各領域で他教科で学んだ多くの内容を統合し,家庭生活に役立てる必要があるので,内 容の構造化については他教科との関連を特に重視する必要がある。
以上に述べた家庭科教育と一般学校教育,家庭科教育の基礎となる科学(家政学)との 関係を図で示すと次頁の図のように考えられる。
家庭科教育学研究を進めてゆくために8月中旬に,附属小,中学校教官と学部家政科研 究室一同で第一回の会合を持った。資料として,附属小学校からすまいの領域の指導,附 属中学校から技術・家庭科教育の資料,学部研究室から家庭生活実態調査と家庭科教育意
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学校教育・家庭科教育・家政学(基礎科学)との関連図 D.__.______一.ィ人間形成_一_.__他教科教育
家 政 学
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基礎論
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家庭科教育分科会 ,135
識調査の試案の一部がだされ,話し合いの糸ロとなった。家庭科教育について,それぞれ の研究の進め方や家庭科教育現状の問題点の話し合いの後,今後の研究の進め方について 話し合った結果,茨城県における家庭生活実態調査と家庭科教科教育意識調査を行い) そ
の結果の分析を基として家庭科教育の構造化と指導の研究を進めてゆくことを決めた。
この二つの調査を研究課題に選んだのは次のような理由からである。家庭生活改善の実 践力の養成をめざす家庭科の学習において,児童生徒の経験的背崇のほとんど総べては彼 等の家庭や地域の生活形態であり,学習目標達成のためにはそれぞれの児董生徒が学校で の学習を家庭生活に生かすことが望まれるので,学習内容を選択し構造化するに当って,
また学習指導に当っては,他教科と異なり地域や児童生徒の家庭生活を特に重視すること が必要である。また家庭科教育を効果的に行うためには,教育を受ける者,教育する者,
教育をささえる者の意、識を重.視することが大切である。
近年家庭生活には激しい変化がもたらされ,また将来も更にこの傾向が続くものと予測 される。憲法民法の改正は民主主義社会の前進をもたらし,また科学技術の発達は経済的 社会的変化をもたらし,それらの影響は家庭生活を大きく変えている。過去の変化の少な い社会では,家庭内では伝統を守り慣習化された生活様式や考え方を繰り返していればよ かったが,この変化ある時代においては適切な方法により家庭生活を進歩向上させること を賢明に行なうことが必要であり,青少年にその能力を養わせる必要がある。増加した大 量生産は経済構造の変化を生み,所得水準の向上,豊富な物資の消費, レジャーの増大な どのよい生活状態を生みだす条件をもたらしたが,社会の物質的な豊かさが必ずしも家庭 生活を改善向上させているとはいえない。また家庭や家族員の価値・目標の変化や生活の
し方は,その変化を正しく受けいれることがさらに困難なことが多い。そのために物心の バランスがくずれが家庭生活に諸種の混乱をもたらしている現象もみられ,家庭生活を近 代化(合理化と民主化)してゆくには多くの問題点があるものと:考えられる。
茨城県についてみれば昭和30年頃までは産業は農業が中心で;家庭生活も農村を中心と する伝統的な生活であったが,近年経済成長の結果がようやく本県に及び,産業形態や家 庭生活の変化をもたらしている。学園都市,工業都市,東京隣接地域や水戸その他の主要 都市中心の急速な都市化により入口の流動性を増し,家庭生活も都市化しつつあり,農村 地域においても農業の兼業化により,農村の家庭生活にも変容がもたらされている。
このような家庭生活の物心両面の変化の中にあり,児童生徒に現在および将来に役立つ家 庭科教育を行ってゆくためには,地:域における家庭生活の実態を知ると共に家庭科教育に ついての意識を知り,その結果を家庭科教育学に生かしてゆくことが必要であろうと考え
た。
136 教育研究所紀要第一号
家庭生活実態調査については,家政科の被服,食物,住居,家庭経営の各研究室の専門 的立場から,家庭生活のそれぞれの実態をとらえるために質問項月を作成した。この調査 は現在の家庭生活のみでなく,将来の家庭生活の変化をとらえるのにも役立たせることが できると考えている。家庭科教育意識調査では,家庭科の目標と内容の主たるものを小学 校家庭科,中学校技術・家庭科別に項};1をたて,学校教育全体の中で児童生徒が学習し身 につける目標や内容としてどの程度重要であると考えるかを,各項目につき5段階に評定
してもらい,その結果を分析することとした。調査対象は教育を受ける者として児童生徒 を,教育するものとして家庭科教師と教育学部家政科学生を,間接的に家庭科教育をささ える者として父兄と学校管理者を選んだ。
調査項目の検討に意外に時間を要し現在調査実施までに進んでいないが,これから多く の方々に協力いたゴき調査を完了することができるのを望んでいる。調査実施後はその結 果を分析し,それを家庭科教育の構造化と指導の研究に役立たせたいと思っている。
次に現在までの経過とこれからの予定を記す。
昭和43年8月 8月〜12月 昭和44年1月
2月
3月 4月 5月〜
小。中・大学合同会議 研究題目決定 調査内容の検討(大学研究室)
予備調査実施 (小・中・大学合同)
調査内容の確定( ク 調査対象の抽出(大学研究室)
調査用紙印刷 ( ク ) 調査対象に依頼( 〃 ) 調査用紙回収 ( 〃 ) 集計作業 ( 〃 ) 集計結果分析 ( 〃 )
︶
調査結果に基づく家庭科教育の構造化と指導の研究(小・中・大学合同)
(家政研究室 村山淑子)