素材物性学雑誌 第11巻 第2号 45‑50(1998)
請 文
初期充填時における粉体嵩密度の静電気 による 制御可能性 について
昌 子 智 由*
OnControllabilityoHnitialPowderBulkDensityinACellbyElectrostatieEffect by
TomoyoshiSHOJI† Abstract
Today,thepartsofcomputerandcommunicationinstrumentarerequested tobeaccurateandreliable. Manypartsininstrumentsar,eceramicsandare produced via powder handling on the way ofthe ceramics manufacturing processes.Inthiscase,thefinalperformanceofproductsareeffected by the powderhandling. FirstofallthebulkdensltyOfpowderhassomeeffectson sinteredpowdercompact. Thisshowsthateven ifchemicalcomponentsare same,thefinalperformanceofproductsaredifferenteachotherdependingon bulkdenslty.
Inthispaper,theapplicationofelectrostaticeffectoninitialbulkdenslty ofpowderinacellistakennotice.AnditisexperimentallydiscussedusingX‑
rayradiographsystem. Astheresults,averageequivalentbulkdensltyatOne pointpackinglSpointedouttodecreaseasappliedvoltageincreases,and at twopointpackingitkeepsconstantindependentofelectrostaticeffect.
Key Words:X‑ray Radiograph,PowderBulk Density,ElectrostaticEffect, PowderPacking
1.は じめに
情報化時代の進展 にともない, コンピュータ,通信 機器の役割 は益々重要 となって きて い る。 と りわ け,
平成10年10月20日受付
*秋 田大学工学資源学部環境物質工学科
〒010‑8502秋 田市手形学園町1‑1
TDepartmentofMaterlals‑processEngineering&Applled ChemistryforEnvironments,FacultyofEnglneerlng&
ResourceSclenCe,AkitaUniverslty
l‑1TegataGakuencho,AkitaOIO18502,Japan
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これ らの機器を構成す る部品素子 の性能 の製造 プロセ ス学的確立 は緊急な課題 となっている。 これ らの部品 素子の多 くはセラ ミクス素子であ り,その製造 プロセ スに沿 っての原料又 は中間生成物 の状態が粉体 として 存在す る場合が多い。 この場合,粉体の製造 プロセ ス を構成す る単位操作 に供給す る方法 により最終製品の 性能 に大 きな影響 を与 え ることが指摘 されて い る1)。 セ ラ ミクス製造 プロセスにおいては粉体成形体の嵩密 度分布が焼成体の嵩密度分布 に影響 を与え る2)。 この ことは原材料の化学的な性質が同 じであって も粉体 と
昌 子 智 由
しての集合体 の性質が ことな ると最終製品 に も影響が 出 ることを示 している。つ まり,最適 な粉体 の嵩 密度 をいかな る粉体原料 の成形 セル内への充填 の方i去によ
り実現す るかを解明す ることが期待 されている。
以上 の観点 よ り本報で は,粉体 の操作 の一つであ る 成形 セルへの充填 に着 目 し,その嵩密度 の制御 を静電 気 によ りで きるか につ いて実験 的に検討 したので報告 す る。
2.実 験装 置 お よび方 法 2.1実験装置
実験装置 はX線透視撮影装置,画像処理 システムお よび充填用 セルか ら構成 させ る。
充填用 セルの概 略図 をFig.1に示 す。Ⅹ線 撮 影 の ためにアク リル樹脂 にて作成 している。セル内の大 き さは70×70×15mmであ る。Ⅹ線撮影装置 はFig.2に 示す よ うにⅩ線 発生 装 置 (理 学電機 製100GSB2 100
そ してX線透視 像 を観察 す るためのX線蛍光 倍増 管 (理学電機製THX141GKV)とそのモニタか らな って いる。なお,X線 フィルムに撮影す ることとX線透視 像を観察す ることは同時 には行 えない構造 にな ってい る。画像処理 システム3)はFig.3に示す よ うに画 像処 理 装置 (浜松 ホ トニ クス製VideoFrameMemory C1901MARKⅡ), コ ンピュータ(Apple社製Power Macintosh7100)か ら構成 され る。 この画像 処理 装
Fig.1 Dimensionofpackingtestcell
Ⅹ‑rayshieldbox
Ⅹ‑raysource
c e l l
琵 二 二
丑…ImageIntensifier
(RigakuTHX141GKV)
○
Fig.2 Conceptualdiagram ofX‑rayradiograph
rd F 貰 鷲
Fig.3 Conceptualdiagram ofimageprocessing system.
置 は16ビッ トビデオ フレームメモ リで,画像 の算 術演 算,補正等 の処理 を有す るものである,本 システ ムで はⅩ透視撮影 したX線 フィルムの濃淡分布 をTVカメ ラを通 して画像処理装置に取 り込み,さらにコンピュー タにて定量化す る。
2.2実験方法
実験手順 は以下 に示す通 りである。
①充填用セルをFig.4に示 す よ うに電 極 に挟 み込 む
Fig.4 Conceptualdiagram ofpowderpacking method.
第11巻 第2号(1998) 初期充填時 にお ける粉体高密度 の静電気 による制御可能性 につ いて
よ うに設置 し,所定量 (75g)の珪砂 (p,‑2.67×
103kg・m 3)を漏斗 よ り一点充填 また は二点充填 を 行 う。なお,印加電圧 は直流で0,2,4,6,8,10,12kV
とした。
②充填後のセルをX線透視装置内に設置 し,Ⅹ線透視 撮影す る。
③Ⅹ線 フイルムを現像後,画像処理 システムで濃淡分
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布を同一条件で取 り込む。
④取 り込んだ濃淡分布 の情報を もとに して,その条件 における濃淡度 の平均値,変動率を求める。
3. 実額結果および考察
Fig.5(a)〜(g)とFig.6(a)〜(g)に画像処理 シス テムに取 り込んだⅩ線透視撮影画像の例を示す。なお,
(a) AppliedvoltageOkV (b) Appliedvoltage2kV (C) Appliedvoltage4kV
(d) Appliedvoltage6kV (e) Appliedvoltage8kV. (∫) AppliedvoltagelOkV
(g) Appliedvoltage12kV
Fig.5 Ⅹ‑rayphotographofonepointpacking.lEffectof Appliedvoltage‑
呂 子 智 由
(a) AppliedvoltageOkV. (b)̲Appliedvoltage2kV. (C) Appliedvoltage4kV
(d) Appliedvoltage6kV. (e) Appliedvoltage8kV. (∫) AppliedvoltagelOkV
Fig.6 X‑rayphotographoftwopointpacking.lEffectof appliedvoltage‑
(g) Appliedvoltage12kV.
画像 はネガで あ るので明 るい部位 が嵩密度 が高 く, 暗い部位が嵩密度が低 くな っている。一点充填 の場合 は漏斗の下 には嵩密度が高い部分がで きて,そ こか ら 左右 に層状 に広が っている様子がわか る。また,二点 充填 の場合 は漏斗の下 に嵩密度の高い部分がで き, さ らに中央 に落下地点か ら流れ込んだ桂砂の衝突 による 嵩密度の高 い部分がで きていることがわか る。
Fig.7に濃淡度 に統計処理を行 った結果を示す。縦 軸 は濃淡値の平均値,横軸 は印加 した電界強度である。
濃淡値 は0か ら255の値をとり,255の場合 に嵩密度 は最大値をとり,0の場合 に嵩密度 は最小値 を とるこ とになる。なお,濃淡度 と嵩密度 は 1対 1に対応 して いる。そのため,濃淡度の平均値 は平均嵩密度 と して 扱 っている。 また,変動率 はⅩ線写真の濃淡度分布 の
第11巻 第2号 (1998) 初期充填時における粉体高密度の静電気 による制御可能性 について
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ATTStZaY)ITnqJuaTt!^mba払t:Ja^V
2 4 6 8
AppllCdヽ′Oltage lkV】
Fig.7 Experimentalresultbetweenaverage equivalentbulkdensltyandApplied voltage.
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L・こlT岩aPITnq一uaTtMnbヱOuOTttZtJt:A
0 2 4 6 8 10 12
Applledvoltage lkVl
Flg.8 Experimentalresultbetweenvariation ofequivalentbulkdensityandApplied voltage.
広が りを示す値であ り,変動率が小 さいほど均一 な分 布 を もっ ことにな り,つ ま り均一 な嵩密度分布 を もつ
ことにな る。
その結果,印加 した電界強度が大 き くな るにつれて 平均濃淡値 は小 さ くな る,すなわち平均嵩密度 は減 少 してい くことがわか る。 この ことは充填時 に静電気 に よって桂砂が は じき飛 ばされ,密 に充填 されに くくな るため と考え られ る。充填終了後,電圧印加状態 で は 珪砂 の充填 されている容積 は徐 々に増えてい くことが 観察 されているので嵩密度が減少す ることとは 一致 し ている。
変動率 について は電界強度が増大す るにつれて変動 率 も大 き くな ってい くことがわか る。 この変動率 は濃 淡度分布 の広が りであるので嵩密度分布 の広が りを示 す ことにな る。
Fig.8に二点充填 の結果 を示す。二点充填 の場 合 は
仰504030201000耶8070
台TSUaP31TnqTuare^tnb3品己9^V
0 2 4 6 8
Applledvoltage LkV]
10 12
Fig.9 Experimentalresultbetweenaverage equivalentbulkdensityandApplled voltage.
1000叩8070細知仰30っJ3つ▲つム222「▲つん0000ハUOOOO
[・]^)TSVaPITnq)U3TmTnbo30t]Ot]t'tJm
49
0 2 4 6 8 10 12
Applledvo)tage lkV]
Fig.10 Experlmentalresultbetweenvariation ofequivalentbulkdensltyandApplled voltage.
一点充填の場合 に比べて平均嵩密度が電界 の影響 を受 けに くくな っていることがわか る。
また,変動率 は電界強度が増大す るにつれて大 き く な ってい くことは‑∴責充填 の場合 と同 じ傾向にある。
4.おわ りに
本報で は粉体 の成形 セルへの一点 および二点充填 に おける充填後 の粉体 の嵩密度が静電気 の摘要 によりい かに制御で きるか について実験的 に検討 した。その結 果,一点充填で は電界強度 の増加 させ ることによ り平 均嵩密度を減少 させ ることがで きること,そ して,二 点充填で は平均嵩密度 は電界 の適用 にはあま り影響 を 受 けず, ほぼ一定 とな ることを明 らか に した。 また,
いづれの場合 も嵩密度の分布 の広が りは電界強度 の増 加 につれて大 きくなることがわか った。
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References
昌 子 智 由
3) K.Makino,A Higashiyama,M.Yamada,K.
Kuramitsu:J.Soc.PowderTecnol.,Japan22, 1) Y.Kuwahara,K.Suzuki,S.Kanzaki:J.Soc. 526(1985)
PowderTecnol.,Japan20,301(1983)
2)K.MaklnO,T.Shoji,T.Sugawara:∫.Soc. Nomenclature
MaterialsEngineeringforResources,Vol・4No. pp:particledenslty [kg・m3]
274‑84(1991)