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振動締固めに伴う材料分離がコンクリートの品質に与える影響

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Academic year: 2022

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第40回土木学会関東支部技術研究発表会 第5部門

振動締固めに伴う材料分離がコンクリートの品質に与える影響

東京理科大学 学生会員 ○樫村 康介 東京理科大学 正会員 三田 勝也 東京理科大学 正会員 加藤 佳孝

1.はじめに

コンクリートを充填させる為に振動締固めを行 うが,締固めの程度は技術者の経験に頼られている 部分が多く,コンクリートの品質との関連について 不明な部分が多い.しかし,振動締固めによる材料 分離の定量的な評価や,硬化コンクリートの品質に 与える影響を定量的に把握した報告は少ない.

本研究では種々の条件で振動締固めた時の骨材 の分離状況を把握するとともに,振動締固めがコン クリートの品質に及ぼす影響を定量的に把握する ために切断面からの物質透過性(表層透気性,塩分 浸透性)を評価した.

2.実験概要 2.1実験フロー

内部振動機により締固めた時の供試体各層の材 料構成割合に着目し,配合および締固め時間の違い による材料構成割合の把握(実験Ⅰ),材料構成割 合が硬化後の物質透過性に影響を与えるかの検討

(実験Ⅱ)をする.硬化後のコンクリートの分割方 法を図-1に示す.

2.2供試体概要

コンクリートの配合を表-1に示す.使用材料は,

普 通 ポ ル ト ラ ン ド セ メ ン ト ( 記 号:C, 密 度

3.15g/cm3),富士川産・川砂(記号:S,密度2.61g/cm3) および秩父産・砕石(記号:G,密度2.72g/cm3),AE 減水剤(記号:Ad)を用いた.供試体は φ15×30cm の円柱供試体とし,高さ方向に3分割し,上から第 一層,第二層および第三層としている(図-1参照). 2.3締固め方法

締固め方法は練混ぜ直後に打設し,5,20秒締固 めたものと,練混ぜ終了から30分静置後に打設し 5秒締固めた3通りとした.

2.4洗い分析試験方法

洗い分析試験は,JIS A 1112を参考に,5mmふる いに留まるものを粗骨材,0.15mmふるいに留まる ものを細骨材とした.各層で,粗骨材,細骨材およ びセメントペーストの質量を求め,各層の材料構成 割合を算出した.

2.5表層透気試験方法

表面透気試験はトレント法を用い,表層透気係数

(kT値)を求めた.測定面は供試体の切断面6面 を対象とした.

2.6塩水浸漬試験方法

表層透気試験終了後の供試体を 2 日間飽水した

後に,7日間NaCl濃度10%の塩水中に浸漬した.

評価方法は塩分浸透深さとした.

キーワード 振動締固め,材料分離,粒度分布,透気係数,塩分浸透深さ

連絡先 278-8510 千葉県野田市山崎2641 TEL04-7124-1501 Email:j7609029@ed.tus.ac.jp 配合

No.

(%) (kg/m3) (ml/m3) cm

s/a W C S G Ad SL

① 50 150

330

928 929

0.66

5.5

② 45 156 830 1022 6.0

③ 40 153 741 1115 7.5

45

165 821 1022 0.99 11.5

⑤ 156 830 1022 1.65 16.0

⑥ 189 400 763 937 0.80 19.0

切断

上面 0cm

0cm

30cm

10cm

20cm

30cm 図-1 供試体の分割方法

表-1 コンクリートの配合

(2)

第40回土木学会関東支部技術研究発表会 第5部門

3.実験結果および考察

図-2 に洗い分析試験より得られた各層のコンク リートの質量構成割合を示す.配合③(SL=7.5cm)

のコンクリートは,全層の構成割合がほぼ等しく,

振動締固めによって,各層における質量構成割合の 変化はなかった.一方,配合⑥(SL=19cm)のコン クリートは,すべての層の構成割合が異なり,下層 部に粗骨材が比較的多く存在していた.本実験の配 合では,No.①~③は(a),No.④~⑥は(b)の構成割合 となった.No.①~③は締固め時間20秒であっても,

構成割合は締固め時間5秒の時と変わらなかった.

一方,単位水量およびAE 減水剤の添加量が多く,

流動性が高いNo.④~⑥の配合は,締固め時間5秒 に比べて締固め時間20秒では,さらに顕著な材料 分離を生じていた.

図-3 に各切断面における表面透気試験結果を示 す.表層透気係数は下層に向かうほど増加する傾向 となっていた.既往の研究では,表層部における透 気係数は下層にいくほど小さくなると報告されて いるが,本実験でのコンクリート内部の透気係数は 逆の傾向を示していた.

図-4 に塩分浸透深さの結果を示す.全ての配合 において,下層に向かうほど塩分浸透深さが増加し ていく傾向がみられた.また,スランプが小さい配 合ほど塩分浸透深さは大きい値となっていた.

本研究で対象とした物質透過性は,全ての配合で 下層に向かうほど増加しており,その増加傾向は締 固め時間20秒の方が大きくなった.

物質透過性は,測定面における骨材界面の遷移帯 量や気泡により影響を受けると考えらており,今後,

測定面の粗骨材面積率や気泡の有無について,検討 を行う必要があると考える.特に表層透気係数につ

いては,値のばらつきが大きいため,測定面の影響 は大きいと考えられる.

4まとめ

本実験で得られた知見を以下に示す.

(1) 振動締固めによる材料分離の有無はスランプ の値で評価でき,本実験ではSL=11.5cm以上で 発生した.

(2) 材料分離するコンクリートでは,過剰に締固め ることにより材料分離の程度は大きくなる.

(3) 断面内の表層透気係数および塩分浸透深さは,

上層から下層にかけて増加する傾向がみられ たが,測定面の状態が大きく影響すると考えら れる.

(a) SL=7.5 cm (b) SL=19cm

図-2 コンクリートの質量構成割合(締固め時間5秒) 図-3 透気係数(締固め時間5秒)

(b) SL=19cm

図-4 塩分浸透深さ(締固め時間5秒)

(a) SL=7.5 cm

参照

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