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∑ 走行車両による地盤振動に及ぼす成層性の影響

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Academic year: 2022

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(1)

走行車両による地盤振動に及ぼす成層性の影響

神戸大学 正会員 〇山本 和宏 神戸大学 正会員  北村 泰寿 大阪ガス 正会員  髙橋 あおい

1. はじめに

著者らは,移動調和振動荷重に対する理論解と数値解の誘導および解の検証 1,2,3)を進めており,数値解に おいて,成層地盤モデルへの適用 4)も行っている.本研究では,これらの成果を踏まえ,地盤の成層性が,

走行車両による地盤振動に及ぼす影響について調べた.

2.

解析手法の概要

地盤を最下端に粘性境界を有する薄層粘弾性体にモデル化し,x-y 平面を地表面,z 軸を深さ方向にとり,

振動荷重の走行方向を

x

軸とする.また,時刻

t=0

のときの荷重位置を原点とする.

図-1に移動調和振動荷重に対する数値解の誘導過程を示す.まず,運動方程式に空間

x,y

に関するフーリ エ変換,時間

t

に関する有限フーリエ変換を施し,波数‐周波数領域における解を求める.つぎに,波数に 関する逆変換によって求められた周波数領域の変位解を重ね合わせることによって実空間領域の解を得る.

有限フーリエ逆変換の際,最大周波数と有限時間長の検討が必要となるが,詳細は既報4)に譲る.

走行車両による地盤振動のシミュレーションに際しては,路面凹凸を入力とする車両の運動方程式を解き,

タイヤの動的接地荷重を求める.接地荷重のパワースペクトル

S

Q

(p)は車両の接地荷重の周波数応答と路面凹

凸のパワースペクトルから求まる.このパワースペクトルから時系列を発生させ,さらに,この時系列をフ ーリエ級数に展開する方法を用いれば,接地荷重のシミュレーション式は次式のように書き表される.

( )

=

( ( ) )

≠−

=

=

N j

j N j

t p i i j j Q

j

j

e

e p p S t

Q

0

ϕ  

(1)

運動方程式

x,yに関する

フーリエ変換

t,zに関する偏微分方程式

tに関する

有限フーリエ変換

zに関する常微分方程式

zに関する

薄層要素法

連立一次方程式

周波数−波数領域の解

k

xに関する

逆変換 周波数−波数ky領域の解

k

yに関する 逆変換 周波数

ω

n領域の解

ω

nに関して 重ね合わせ 求める実空間の解

運動方程式

x,yに関する

フーリエ変換

t,zに関する偏微分方程式

tに関する

有限フーリエ変換

zに関する常微分方程式

zに関する

薄層要素法

連立一次方程式

周波数−波数領域の解

k

xに関する

逆変換 周波数−波数ky領域の解

k

yに関する 逆変換 周波数

ω

n領域の解

ω

nに関して 重ね合わせ 求める実空間の解

図-1 移動調和振動荷重に対する解 ここに,

p

j

ϕ

は有限な周波数領域を

N

個に分割したときの

j

番目区間の中央値 および位相である.

j

上式より,接地荷重が調和振動荷重を 重ね合わせたものとなっており,移動調 和振動荷重に対する解を用いることがで きる.

3.

計算結果と考察

  図-2に示す三種類の成層地盤モデルを

考える.

Case1

は表層が硬く,

Case2

は表

層が柔らかい地盤を,Case3 は表層と基 盤が柔らかい層を挟む地盤とし,図-3に 固定加振源に対する変位の周波数応答を 示す.また,接地荷重の時刻歴とそのス ペクトルは図-4に示す.同図から,バネ 上,バネ下の振動成分が数

Hz

と十数

Hz

に見られる.つぎに,各ケースにおける

(0,5m)地点の地表面および地中の変 位応答と加速度応答を図-5 に示す.図-6

100 Vs(m/s)

10 5

15 20

0 200 300

(m)

GL 100 Vs(m/s)

10 5

15 20

0 200 300

(m)

GL 100 Vs(m/s)

10 5

15 20

0 200 300

(m) GL

図-2 成層地盤モデル

Case1

     

Case2

     

Case3

キーワード:地盤振動,走行車両,成層地盤,数値解析

連 絡 先:〒

657-8501

 神戸市灘区六甲台町

1-1

 神戸大学工学部建設学科  ℡:

078-803-6274

土木学会第57回年次学術講演会(平成14年9月)

‑1787‑

I‑894

(2)

には,変位応答のスペクトルを示す.

図-5より,同じ接地荷重を用いても地盤の成層性によって振動応答に差異が現われることがわかる.地表 面における変位応答では,Case3 が他のケースに比べ振動数が低く,振幅が大きくなっている.図-3 をみる と,Case3はバネ上振動数とほぼ一致する

3 Hz

付近にピークがある.ピーク値の大きさは

Case2

の方が大き いが,接地荷重にその振動数成分は少ないため

Case3

より変位振幅は小さくなる.また,Case1,Case2では 地中深くになるほど,高周波成分から減衰しているようにみえる.加速度応答では,バネ下の振動数である 十数

Hz

が重要となる.そのため,十数

Hz

の変位応答が最も小さい

Case3

における加速度応答の振幅が小さ くなっている.逆に,Case2の加速度応答が大きな振幅となる.

以上より,成層地盤において,走行車両による振動応答は,成層地盤の共振特性と接地荷重に含まれる周 波数成分との組み合わせによって大きく異なることがわかった.

[参考文献]

1)北村・松尾・武居:土木学会第 53

回年講,1998.

2)

松尾・北村:土木学会関西支部年講,

1999.

3)北村・松尾:土木学会関西支部年講,1998.

4)

髙橋・山本・北村:土木学会関西支部年講,

2002.

0 10 20

0 10 20

周波数 (Hz)

変位 (μm)

Case1 Case2 Case3

 

図-3 固定加振に対する変位解   図-4 接地荷重の時刻歴とスペクトル

   

   

図-5 走行車両による変位応答と加速度応答

図-6 変位応答のスペクトル

–2 0 2

–100 0 100

時間 (sec)

接地荷重 (kN)

0 10 20

0 5 10 15

周波数 (Hz)

スペクトル (kN*sec)

–2 0 2

時間 (sec)

Case1

変 位

00m

05m

15m

–2 0 2

時間 (sec)

Case2

変 位

00m

05m

15m

–2 0 2

時間 (sec)

Case3

変 位

00m

05m

15m

5(μm)

–2 0 2

時間 (sec)

Case1

加速度

00m

05m

15m

–2 0 2

時間 (sec)

Case2

加速度

00m

05m

15m

–2 0 2

時間 (sec)

Case3

加速度

00m

05m

15m

5(gal)

0 10 20

10–4 10–2 100 102

周波数 (Hz)

スペクトル (μm*sec)

Case1

0m 5m 15m 深さ

0 10 20

10–4 10–2 100 102

周波数 (Hz)

スペクトル (μm*sec)

Case2

0m 5m 15m 深さ

0 10 20

10–4 10–2 100 102

周波数 (Hz)

スペクトル (μm*sec)

Case3

0m 5m 15m 深さ

土木学会第57回年次学術講演会(平成14年9月)

‑1788‑

I‑894

参照

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