• 検索結果がありません。

博士(歯学)井上 宏 学位論文題名

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博士(歯学)井上 宏 学位論文題名"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

     博士(歯学)井上   宏 学位論文題名

新規1 ステップ接着システムの象牙質研削面に対する接着 学位論文内容の要旨

[ 緒言 ]歯 科用接 着シ ステ ムは めざ まし く進歩し、現在では1ステップ接着システム が 開発 され ている。一方、これまでの接着試験は耐水研磨紙で形成したスミアー層を 被 着面 に付 与して行われており、ダイヤモンドポイントを用いて形成した被着面に対 す る接 着試 験の報告は見当たらない。本研究では、異なるダイヤモンドポイントを用 い て 形 成 し た 被 着 面に 対す る1ス テッ プシ ステ ムの 接着 強さ 及び 臨床 応用 の可 能性 について検討した。

[材料および方法]1ステップ型接着システムである試作MZ―2000 (l¥ifZ、サンメディカ ル )、One―Up BondF(OB、トクヤマ)、Reactmer Bond (RB、松風)の3種および対照 と し て2ス テ ッ プ 型 のClearfil Mega Bond (MB、ク ラレ )を 用い た。16本 のヒ ト抜 去 小臼 歯頬 側歯冠 部か ら歯 根部 にか けて スー パ‐ ファ イン ある いは レギュラーダイ ヤ モン ドポ イント を用 いて 象牙 質被 着面(SF面 およ びR面) を形 成し 、各システムで 接着処理し、コンポジットレジン(Clearfil AP−X、クラレ)を築盛した。24時間37℃ 水 中に 保存 後、各 歯を 歯軸 に垂 直に10片 に切 り分 け、 さら に接 着界 面が最狭窄部と な るよ うに 砂時計 状と し、 微小 引張 り接 着強 さ(mTBS)を測 定し た。 測定終了後、走 査 型 電 子 顕 微 鏡(SEM)にて破 断面 の破 壊形 態を 観察 した 。さ らに 、各 シス テム のス ミ アー 層溶 解能を調べるため、各システムを塗布後、光硬化させずにアセトン洗浄し た象牙質面をSEMにて観察した。

[結果]MZ (SF面:42. 6MPa、R面:21. 4MPa)およびRB (SF面:50. 9MPa、R面:27. 2MPa) で は、SF面 に対す るmTBSはR面 より 有意 に高い値を示したが、OB (SF面:45. 7MPa、 R面 :  39. 9MPa)およびMB (SF面:41. 5MPa、R面:44. 4MPa)では両面問に有意差を 認 め な か っ た 。 低 い 接 着 強 さ を 示 したMZのR面 お よびRBのR面の 破断 面で は界 面破 壊 が多 く観 察され たが 、そ の他 の破 断面 では混合破壊を多く認めた。また、R面にMZ あ るい はRBを塗布 後光 硬化 させ ずア セト ン洗 浄し た象 牙質 表面 には スミアー層の残 存が観察された。

  [考察]レギュラーダイヤモンドポイントを使用した場合、1ステップ型接着システ

(2)

ムのうち、MZとRBは、対象として用いた2ステップ型であるMBよりも有意に低い接 着強さを示したが、これらの接着材においてもスーパーファイン研削面では2ステッ プ型(膃)と同程度の接着強さが得られた。したがって、これら2つの材料について は象牙質を スーパーファイン仕上げとすることにより、高い接着強さを得るrpが できると考えられる。臨床において1ステップ型接着システムを有効に使用するため には 、 接着 に 対し て 有利 な 象牙 質 研 削面 を 形成 す る必 要 があ る と思わ れる。

  破断面のSEM観察によればレギュラー研削面において有意に低い接着強さを示した MZとRBでは界面 破壊が多く、一方、高い接着強さを示したOBとMBは混合破壊が多 くなっていた。スーパーファイン研削面ではいずれの材料も凝集破壊が見られ、特に MZとRBは界面破壊の割合が減少していた。今回の実験では全般に高い接着強さを示 すグループでは混合破壊像あるいは凝集破壊像が多く、低い接着強さを示すグループ では界面破壊像が多く.見られた。また、接着強さがスーパーファイン仕上げによって 改 善 し て い る こ と か らMZ、RBで は 接 着 挙 動 が 有 意 に 変 化し た と思 わ れ た。

  象牙質処理面の観察結果ではレギュラー研削面MZ、RBでは表面にスミヤー層が見 られた。象牙質面処理後のスミヤー層の存在が、MZ、MBの接着強さの低下のひとっの 原因と思われる。さらに、スーパーファイン研削面MZ、RBではスミヤー層の残存が 少ないことから、1ステップ型の接着機構にはスミヤー層の関与が大きいと思われる。

このようにスミヤー層を少なくし、接着強さを向上させるためには、スーパーファイ ンダイヤモンドポイントを用いることは有効な臨床術式であると思われる。以上より、

SF面ではいずれのシステムでも高い接着強さが得られたが、R面では、コンディショ ニング成分によるスミア層の溶解が充分ではない場合があり、この残存スミアー層が プライミング成分やポンディング成分の象牙質基質への浸透を妨げ、接着強さを低下 させることが示唆された。臨床において1ステップ接着システムを有効に使用するに あたっては、接着に対して有利な象牙質研削面を形成する必要があると思われる。こ のようなアプローチはこれまで報告がなく、この研究により新たな臨床技法が提起さ れたと考えられる。

  [まとめ]

レギュラーダイヤモンドポイントとスーパーファインダイヤモンドポイントを用い て形成した象牙質研削面に対する試作1ステップ型接着システムMZ―2000 (MZ)、2種 の市販の1ステップ型接着システムOneーup Bond F(OB)、Reactmer Bond(RB)、およ び2ステップ型接着システムであるMega Bond (MB)の微小引張り接着強さを比較検討 し、その破断面の破壊形態をSEMにて観察し、さらに、各システムのスミヤー層溶解 能を調べるため、各システムを塗布後、アセトン洗浄した象牙質面をSEMにて観察し て以下の結論を得た。

(3)

1.  レギュラーダイヤモンドポイント研削面への接着強さは接着システムによって は低い値を示すものもあった。

2.  スーパーファインダイヤモンドポイント研削面へ接着するとレギュラーダイヤ モンドポイント研削面では低い接着強さを示した接着システムでも接着強さが向上 した。

3.低い接 着強さを示 したグループの破断面では界面破壊が多く観察されたが、高 い 接 着 強 さ を 示 し た グ ル ー プ の 破 断 面 で は 混 合 破 壊 を 多 く 認 め た 。 4.低い接 着強さを示 したグループではアセトン洗浄した象牙質表面にはスミヤー 層の残存が観察されたが、高い接着強さを示すグループではほとんど溶解されていた。

  以上より、スーパーファイン研削面ではいずれのシステムでも高い接着強さが得ら れたが、レギュラー研削面では、コンディショニング成分によるスミヤー層の溶解が 充分ではない場合があり、この残存スミヤー層がプライミング成分やボンディング成 分の象牙質基質への浸透を妨げ、接着強さを低下させる因子となることが示唆された。

  1ステップ型接着システムでは、厚いスミヤー層の存在がレジンモノマーの象牙質 面への浸透を妨げ接着強さを低下させる可能性があるが、適切に研削された象牙質研 削面に対しては十分な接着強さを示すことが示唆された。

(4)

学位論文審査の要旨 主査    教授    佐野英彦 副査    教授    亘理文夫 副査    教授    大畑    昇

学 位 論 文 題 名

新規1 ステップ接着システムの象牙質研削面に対する接着

  審 査 は 主 査 、 副 査 全 員 が 一 堂 に 会 し て 口 頭 で な さ れ た 。 は じ め に 本 論 文 の 要 旨 の 説 明 を 求 め 、 申 請 者 か ら 以 下 の よ う な 内 容 に っ い て の 論 述 が な さ れ た 。

  歯 科 用 接 着 シ ス テ ム は め ざ ま し く 進 歩 し 、 現 在 で は1ス テ ッ プ 接 着 シ ス テ ム が 開 発 さ れ て い る 。 一 方 、 こ れ ま で の 接 着 試 験 は 耐 水 研 磨 紙 で 形 成 し た ス ミ ヤ ー 層 を 被 着 面 に 付 与 し て 行 わ れ て お り 、 ダ イ ヤ モ ン ド ポ イ ン ト を 用 い て 形 成 し た 被 着 面 に 対 す る 接 着 試 験 の 報 告 は 見 当 た ら な い 。 本 研 究 で は 、 異 な る ダ イ ヤ モ ン ド ポ イ ン ト を 用 い て 形 成 し た 被 着 面 に 対 す る1ス テ ッ プ シ ス テ ム の 接 着 強 さ 及 び 臨 床 応 用 の 可 能 性 に つ い て 検 討 し た 。

  1ス テ ッ プ 型 接 着 シ ス テ ムで ある 試作MZ2000 (MZ、 サン メデ ィカ ル) 、One−Up Bond F (OB、 ト ク ヤ マ ) 、Reactmer Bond (RB、 松 風 ) の3種 お よ び 対 照 と し て2ス テ ッ プ 型 のClearfil Mega Bond  (MB、 ク ラ レ ) を 用 い た 。 ヒ ト 抜 去 小 臼 歯 頬 側 歯 冠 部 から 歯 根 部 に か け て 、 ス ー パ ー フ ァ イ ン あ る い は レ ギ ュ ラ ー ダ イ ヤ モ ン ド ポ イ ン ト を 用 い て 象 牙 質 被 着 面(SF面 お よ びR面 ) を 形 成 し 、 各 シ ス テ ム で 接 着 処 理 し 、 コ ン ポ ジ ッ ト レ ジ ン(Clearfil APX、 ク ラ レ ) を 築 盛 し た 。24時 間37℃ 水 中 に 保 存 後 、 各 歯 を 歯 軸 に 垂 直 に10片 に 切 り 分 け 、 さ ら に 接 着 界 面 が 最 狭 窄 部 と な る よ う に 砂 時 計 状 と し 、 微 小 引 張 り 接 着 強 さ(mTBS)を 測 定 し た 。 測 定 終 了 後 、 走 査 型 電 子 顕 微 鏡(SEM) て 破 断 面 の 破 壊 形 態 を 観 察 し た 。 さ ら に 、 各 シ ス テ ム の ス ミ ヤ ー 層 溶 解 能 を 調 べ る た め 、 各 シ ス テ ム を 塗 布 後 、 光 硬 化 さ せ ず に ア セ ト ン 洗 浄 し た 象 牙 質 面 をSEMに て 観 察 し た 。

  MZ (SF面 :42. 6MPaR面 :21. 4MPa)お よ びRB (SF面 :50. 9MPaR面 :27. 2MPa) で は 、SF面 に 対 す るmTBSR面 よ り 有 意 に 高 い 値 を 示 し た が 、OB (SF面 :45. 7MPa R面 :  39. 9MPa)お よ びMB (SF面 :41. 5MPaR面 :44. 4MPa)で は 両 面 間 に 有 意 差 を

(5)

認めなかった。レギュラーダイヤモンドポイントを使用した場合、1ステップ型接着 システムのうち、MZとRBは、対象として用いた2ステップ型であるMBよりも有意に 低い接着強さを示したが、これらの接着材においてもスーパーファイン研削面では2 ステップ型(MB)と同程度の接着強さが得られた。したがって、これら2つの材料に ついては象牙質をスーパーファイン仕上げとすることにより、高い接着強さを得る ことができると考えられる。

  破断面のSEM観察によればレギュラー研削面において有意に低い接着強さを示した MZとRBでは 界面破壊が多く、一方、高い接着強さを示したOBとMBは混合破壊が多 くなっていた。スーパーファイン研削面ではいずれの材料も凝集破壊が見られ、特に MZとRBは界面破壊の割合が減少していた。今回の実験では全般に高い接着強さを示 すグループでは混合破壊像あるいfま凝集破壊像が多く、低い接着強さを示すグループ では界面破壊像が多く見られた。

  象牙質処理面の観察結果ではレギュラー研削面MZ、RBでは表面にスミヤー層が見 られた。象牙質面処理後のスミヤー層の存在が、MZ、MBの接着強さの低下のひとつの 原因と思われる。さらに、スーパーファイン研削面MZ、RBではスミヤー層の残存が 少ないことから、1ステップ型の接着機構にはスミヤー層の関与が大きいと思われる。

  このようにスミヤー層を少なくし、接着強さを向上させるためには、スーパーファ インダ イヤモンド ポイントを 用いること は有効な臨 床術式であ ると思われ る。

  以上より、SF面ではいずれのシステムでも高い接着強さが得られたが、R面では、

コンディショニング成分によるスミヤー層の溶解が充分ではない場合があり、この残 存スミヤー層がプライミング成分やボンディング成分の象牙質基質への浸透を妨げ、

接着強さを低下させることが示唆された。

  以上の論文内容について、ひきっづき各審査員と申請者の問で、実験方法、結果、

考察、展望、及び関連分野の質疑応答がなされ、申請者はいずれにも明快な回答、説 明を行った。本研究により、1ステップ接着システムの接着強さは象牙質被着面の性 状によって影響を受けるものがあり、臨床において1ステップ接着システムを有効に 使用するにあたっては、接着に対して有利な象牙質研削面を形成する必要があると思 われることが示唆された。このようなアプローチはこれまで報告がなく、この研究に より新たな臨床技法が提起されたと考えられる。これらから、歯科医学の発展に貢献 す る 研 究 で あ り 、 博 士 ( 歯 学 ) 学 位 の 授 与 に 十 分 値 す る と 認 め ら れ た 。

参照

関連したドキュメント

の例であると推察される。これらの斑岩銅鉱床は約lOMa

   ホタテ貝柱平滑筋で は、生筋や、スキンドフんイ パ―を用いた実験と、in vitro での実 験結果から、細胞内の

   パチニ一小体の中央を占める軸索の径は3‑5 ルm 位で、先端部では層板を分けて双

舮´め門釘はTLR2 非依存的,LP 非依存的,凡‐2 非依存的に分離したTreg の増殖を促進した

   歯 科矯正治 療にお いては、 矯正カ により歯 周組織 の改造現 象を惹起 して歯 を移動させ 不 正咬合の 治療を 行うが、 その組 織反応を より活性 化させ れば歯の 移動速

   観察し た歯種の全ての部位において、歯髄線維と象牙前質基質線維との両方に連絡 す る IOF が 認 めら れ るこ と か ら、 IOF の 大部分 は歯髄の 線維芽細

  s .mutans MT8148 を用 いたHAP カラ厶法による菌付 着実験では,リン酸緩衝液に よる濃 度勾配によ って,無処置 HAP

   切片に直接、及びコロジオン膜で被覆してから乾式法で乳剤貼付 を行なったものでは、いわゆるpositlve chemography