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博士(歯学) 佐伯 歩 学位論文題名,

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Academic year: 2021

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(1)

     博士(歯学)   佐伯   歩 学位論文題名,

Modulation of growth and functions of CD4

CD25

    Foxp3

regulatoryTcells by oral streptococcl

(制御性

T

細胞の増殖ならびに免疫抑制活性に及ぼす口腔連鎖球菌の影響)

学位論文内容の要旨

【 緒 言 】

ヒ ト の 口 腔 に は , 約700種 も の 細 菌 が 常 在 し て お り , こ れ ら 口 腔 常 在 菌 は , 生 体 に と っ て 異 物 で あ る に も か か わ ら ず , 健 康 な ヒ ト に お い て は 強 い 免 疫 応 答 を 引 き 起 こ す こ と は を い . 一 方 で , 口 腔 常 在 菌 は う 蝕 , 歯 周 疾 患 の 原 因 菌 で あ り , さ ら に は 感 染 性 心 内 膜 炎 等 の 全 身 感 染 症 の 原 因 菌 と な る こ と も 知 ら れ て い る . し か し な が ら , な ぜ こ れ ら の 常 在 菌 は 口 腔 に 常 在 で き る の か は 明 ら か で は な ぃ . 近 年 , 自 己 免 疫 疾 患 や 癌 に お け る 免 疫 応 答 を 抑 制 す る 制 御 性T細 胞(Treg)の 病 因 的 役 割 が 注 目 さ れ て お り , 一 部 の 病 原 微 生 物 は 宿 主 防 御 機 構 か ら 逃 れ る た め の 感 染 戦 略 と し てTregの 免 疫 抑 制 能 を 利 用 し て い る と い う 報 告 が あ る . 我 々 は 口 腔 に 細 菌 が 常 在 で き る 理 由 と し て , 口 腔 細 菌 が 何 か 免 疫 抑 制 状 態 を 惹 起 す る 活 性 を 有 し , ま た , そ の 活 性 にTregが 関 与 し て い る の で は な い か と 考 え て い る .Tegの 生 物 活 性 は TLR2で 制 御 さ れ て い る こ と が 明 ら か に さ れ て い る . 最 近 , 我 々 は , リ ポ タ ン パ ク 質 (LP を 欠 損 し た 跏 りfcDccm甜 ぬ 恥 な ら び に &g° 脇 繃 を 作 成 し , 野 生 株 ばILR2で 認 識 さ れ る が ,LP欠 損 株 は 認 識 さ れ な い こ と を 明 ら か に し た . 本 研 究 で は , 口 腔 連 鎖 球 菌 がTLR2 介 し てTregの 生 物 活 性 を 制 御 し て い る か ど う か を 明 ら か に す る こ と を 目 的 と し , ま ず , 野 生 株 と LP欠 損 株 の Tregの 生 物 活 性 に 及 ぼ す 影 響 を 加 v mで 検 証 し た .

【 材 料 と 方 法 】 1. 菌 株

  LPの 合 成 に 必 須 なprolipoprotein diacylglyceryl transferaseを 欠失 し た &mutans (Sm‑(lLP な ら ぴ に &g° ′ め 門 釘 (SgdLP) と , そ れ ら の野 生 型 菌 株 (SmWTな ら び にSgWT) を 用い た .

379 ‑

t

(2)

2. マ ウ ス

    C57BL/6マ ウ ス(TLR2+/+)な ら び にToll‑like receptor2ノ ッ ク ア ウ ト マ ウ ス(TLR2KO)   用 い た .

3. 菌 体 刺 激 に よ る 脾 臓 細 胞 中 のTreg割 合 の 変 化

    TLR2+ ′ + あ る い はTLR2KOマ ウ ス 由 来 脾 臓 細 胞 を 各 種 口 腔 連 鎖 球 菌 な ら び に , マ イ コ プ ラ   ズ マ 由 来 合 成 リ ポ タ ン パ ク 質 で あ るFSL‑1 (TLR2の ポ ジ テ ィ ブ コ ン ト ロ ー ノ ル で 刺 激 し た ,   48時 間 の 培 養 後 ,APC‑anti‑CD4抗 体 ,PE‑anti‑CD25抗 体 ,Alexa Fluor  488 ‑anti‑Foxp3抗 体 (BioLegend)で 染 色 し , フ ロ ー サ イ ト メ ト リ ー で 脾 臓 細 胞 中 のTregポ ピ ュ レ ー シ ョ ン の 割 合 を 調 べ た .

4 Sg‑wtあ る い は Sg‑dLP刺 激 に よ る 分 離 し たTregな ら び に へ ル パ ‑T細 胞 (Th)の 増     殖 活 性

  Teg111な ら び に 抗 原 提 示 細 胞 (APC) は , マ ウ ス 脾 臓 細 胞 か らTregisolonkit

MiltenyiBiotec) を 用 い て マ グ ネ チ ッ ク セ ル ソ ー タ ー で 分 離 し た . 分 離 し たTregな ら ぴ に 111Sg_WTあ る い は SgIdLP48時 間 刺 激 後 ,1hgな ら ぴ に111の 増 殖 活 性 を3Hymidine の 取 り 込 み に よ り 調 べ た .

51regの 免 疫 抑 制 活 性

    Thgの 免 疫 抑 制 機 能 に 及 ば す 口 腔 連 鎖 球 菌 な ら び に 各 種TRリ ガ ン ド (FSL1Ec〇 館   LPSCpGDNAPolyIC) の 影 響 は , 蝕CD38抗 体 を 反 応 さ せ る こ と に よ り 惹 起 さ れ る111   の 増 殖 抑 制 活 性 で 評 価 し た .1regの 免 疫 抑 制 機 能 調 節 に 及 ば す 凡 名 の 影 響 を 調 べ る た め ,   aIL610/n11) を 培 地 に 添 加 し ,Tregの 免 疫 抑 制 活 性 を 評 価 し た .1rregの 免 疫 抑 制 機   能 調 節 に 及 ば すMkBの 影 響 を 調 べ る た め , NFn阻 害 剤 で あ る Bayll708210鵬 /ml   Treg APC Thを そ れ ぞ れ 1時 間 前 処 理 し ,1rregの 免 疫 抑 制 活 性 を 評 価 し た ,

【 結 果 】

1. 菌 体 刺 激 に よ る 脾 臓 細 胞 中 のTreg割 合 の 変 化

  菌 体 刺 激 に よ り ,TLR2+ ′ + な ら び にTLR2Koマ ウ ス 由 来 脾 臓 細 胞 中 のTregの 割 合 が 増 加 し た . そ の 程 度 は ,TLR2/十 の 方 がTLIKoよ り も 有 意 に 大 き か っ た が ,WT株 とdLP株 の 活 性 に 差 は 見 ら れ な か っ た .

2. Sg Wあ る い は SgIdLP刺 激 に よ る 分 離 し た Tregな ら び に 111の 増 殖 活 性   WT株 とdLP株 は 共 に 単 離 し た Tregの 増 殖 を 促 進 し た , し か し , WT株 とdLP株 の 活 性 に 差 は 見 ら れ な か っ た .TLR2+ ′ + とTLR2Koマ ウ ス 間 で も 有 意 な 差 は み ら れ な か っ た , ま た , 炎 症 性 サ イ ト カ イ ンIL2Tregの 増 殖 因 子 で あ る こ と か ら , こ れ ら 菌 体 の 有 す る 増 殖 促 進 活 性 はIL2に よ る 可 能 性 が 考 え ら れ た . そ こ で 凡 ‐2の ブ ロ ッ キ ン グ 抗 体 (aI2) の 存 在 下 で 増 殖 促 進 活 性 を 調 べ た が , 本 活 性 は 減 弱 せ ず ,IL2に よ るTregの 増 殖 促 進 活 性 で は な い こ と が 推 測 さ れ た .WT株 とdLP株 は 共 に 単 離 し た111の 増 殖 を 促 進 し た が ,aIL2 の 存 在 下 で こ の 増 殖 は 減 弱 し た .

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(3)

3. Tegの免疫抑制活性

  Tregの免疫抑制活性はいずれの菌株刺激においても増強されることはなく,逆に有意に 弱め られた, また,TLR2リ ガンドで あるFSL‐1,TLIめりガンドであるCpGDNA,TLR4   リガンドであるLPSで,菌体刺激時と同様にTregの免疫抑制活性は減弱したが,TLIUリ ガンドであるPolyIニCでは減弱しなかった.菌体刺激によるTregの抑制活性の減弱はIL―6 の ブ ロッ ク キ ング 抗 体に よ り 部分 的 に阻 害され た,また ,TregをNF‐KBの 阻害剤

¢AY11‐7082)で処理ずることでTregの抑制活性はほば消失したが,抗原提示細胞(APC) を処理したところ,Tregの抑制活性は顕著に増強した,

  【考察】

  口腔 連鎖球菌はTLR2依存的,LP非依存的に脾臓細胞中のTregの割合を増加させた,

このことは,これら菌体のpeptidoglycan,lipoteichoicacidなどLP以外の菌体構成成分が Tregある いは脾臓 細胞中のTLR2発現細胞 で認識さ れたこと を示している.また,&

舮´め門釘はTLR2非依存的,LP非依存的,凡‐2非依存的に分離したTregの増殖を促進した が,菌体構成成分のうち何が分離したTregの増殖を促進したのかは明らかではない.口腔 連鎖球菌は予想に反してTregの免疫抑制活性を減弱させた.急性感染時に産生される炎症 性サイトカインのうち,凡‐2はTregの増殖を促進し,IL名はTregの免疫抑制活性を阻害 することが知られている.これらの炎症性サイトカインが減弱する感染後期あるいは慢性 感染では,増殖していた1、regが免疫抑制活性を回復し,過剰な免疫応答を抑制することで 恒常性を維持するという報告がある,したがって,本研究で観察された,菌体刺激による 1rr・egの増殖促進ならびに免疫抑制活性の減弱は,感染後期あるいは慢性感染にっながる準 備段階であると考えることができた.そこで,凡―6ならぴにNF−KBの関与を調べたところ,

菌体刺激によるTregの免疫抑制活性の減弱には,APCの産生するIL−6を含むNF‐KBで制 御されている何らかの物質が関与していることが示唆された,

  【結論】

  本研究により,口腔連鎖球菌はTLR2依存的,あるいは非依存的にTregの増殖と機能を 調節できることが示唆された.

381 ‑

(4)

学位論文審査の要旨 主 査    教 授 横 山 敦 郎 副 査    教 授 柴田健一 郎 副 査    教 授    田村正 人

学 位 論 文 題 名

  IVIodulation of growth and functions of CD4゛ CD25゛     Foxp3十 regulatoryTcells by oral streptococci

( 制 御性T細 胞の 増殖 ならび に免 疫抑 制活 性に 及ぼ す口 腔連 鎖球 菌の 影響 )

  審査は、主査、副査が―堂に会し、論文提出者が論文内容の要旨を説明しながら、

その内容について審査担当者が口頭試問を行った。以下に提出論文の要旨と審査の内 容を述べる。

論文要旨

  近 年, 自己 免疫疾 患や 癌に おけ る免 疫応 答を 抑制 する 制御 性T細胞(Treg)の病因 的役 割が 注目 されて いる 。一 部の 病原微生物は宿主防御機構から逃れるための感染 戦略 とし てTregの免 疫抑 制能 を利 用しているという報告がある。また、最近、Treg が腸 管の 恒常 性の維 持に 重要 な役 割を果たして韜り、経口免疫寛容に関与している こと が報 告さ れてい る。 学位 申請 者らは唾液と共に毎日数千億の口腔細菌を嚥下し ていることから、口腔常在細菌に対しても経口免疫寛容が成立し、このことにばTreg が関 与し てい るので はな いか と考 えた。Tregの生物活性はTLR2で制御されているこ と が 明 ら か に さ れ て お り 、 学 位 申 請 者 ら は 、 リ ポ タ ン パ ク 質(LP)を 欠 損 し た Streptococcus mutansならびにSgordoniiを作成し、野生株ばTLR2で認識されるが,LP 欠 損 株 は認 識 さ れな いこ とを 明らか にし た。 本研 究に おい ては 、口 腔連 鎖球 菌が TLR2を介 してTregの 生物 活性 を制 御しているかどうかを明らかにすることを目的と し、まず、野生株とLP欠損株のTregの生物活性に及ばす影響をin vitroで検証した。

LPの 合成 に必 須なprolipoprotein diacylglyceryl transferaseを欠失したSmutans (Sm‑dLP)な ら び にSgordonii (Sg‑dLP)と そ れ ら の 野 生 型 菌 株(Sm‑WTな ら び に Sg‑WT)を用いた。C57BL/6 (TLR2+′+)ならびにTLR2ノックアウト(TLR2KO)マウス 由来脾臓細胞中のTregの割合は、APC‑anti‑CD4抗体、PE‑anti‑CD25抗体、Alexa Fluor 488‑anti‑Foxp3抗体で染色し、フローサイトメーターで調べた。TegはTregiSolationkit で分離し、増殖活性は3H―mymidineの取り込みで、また、抑制活性はa−CD3£刺激で惹

382 ‑

(5)

起され るへルパーT細胞増殖の抑制で評価した。菌体刺激により、TLR2十/゛ならびに TLR2KOマウス由来脾臓細胞中のTregの割合が増加した。その程度は、TLR2+′+の方が TLR2KOよ り も 有意 に 大き か っ たが 、WT株 とdLP株 の 活 性に 差 は見 ら れ なかっ た。

WT株 とdLP株は 共 に単 離 し たTregの 増 殖を 促進し たが、WT株 とdLP株の活 性に差は 認められず、TLR2十/十とTLR2KOマウス間においても有意な差はみられなかった。Treg の免疫 抑制活性 はいずれ の菌株刺 激において も有意に 減弱され た。また、TLR2リガ ン ド で あ るFSL‑1、TLR9リガ ン ド であ るCpGDNA、TLR4リ ガン ド であ るLPSで、 菌 体刺激 時と同様 にTregの免疫 抑制活性 は減弱したが、TLR3リガンドであるPolyI:Cで は減弱 しなかった。菌体刺激によるTregの抑制活性の減弱はIL‑6のブロックキング抗 体 によ り 部 分的に阻 害された 。また、NF‑KBの阻害剤(BAY11‑7082)で抗原提 示細胞 (APC)を 処 理し たところ、Tregの抑制活 性は顕著 に増強し た。以上 より、口 腔連鎖 球菌はTLR2依存的に 脾臓細胞 中のTregの増 殖を促進す るが、Tregの免疫抑制活性は 減弱さ せること が明らか となった 。また、口 腔連鎖球 菌によるTregの抑制活性の減 弱にはAPCの産生す るNF‑KBで制御 されてい る何らかの 物質、お そらくIL‑6が関与し ている ことが示 唆された 。本研究 の結果から 、口腔連 鎖球菌はTLR2依存的、あるい は 非 依 存 的 に Tregの 増 殖 と 機 能 を 調 節 で き る こ と が 示 唆 さ れ た 。

審査の内容

1.経口免疫寛容の成立機構について 2. dLP欠損株の増殖について

3. CD4(十)細胞中のTregの比について

4. 11− 2の ブ ロ ッ キ ン グ 抗 体 を 使 用 す る 理 由 に つ い て 5. TLR2非 依 存 的 に Trgを 口 腔 細 菌 が 認 識 す る 理 由 に つ い て   などについて審査担当者から質問があり、申請者は適切に回答した。

  本 研 究により 、口腔常 在細菌がTregの 増殖と機 能を調節 している 可能性が 示され た。これ らの結果 は、自己 免疫疾患や癌に対する新たな治療法の開発にっながるもの と期待さ れ、将来 性の点に おいても高く評価されるものであった。よって学位申請者 は博士( 歯学)の 学位授与 に値する ものと判定 した。

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参照

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