平成26年度石油産業体制等調査研究
「石炭・ガス市場に関する調査」
報告書
平成27年3月
i 目 次 1.調査の目的 ……… 1 2.要約 ……… 2 3. LP ガス市場の現状 ……… 6 (1)世界のLP ガス需給 ……… 6 (2)世界のLP ガス生産の動向 ……… 7 (3)世界のLP ガス需要の動向 ……… 9 (4)世界のLP ガス貿易の動向 ……… 12 (5)世界のLP ガスの海上貿易需給見通し ……… 15 (6)世界の主要市場のLP ガス価格 ……… 18 (7)日本のLP ガス市場 ……… 18 1)日本のLP ガス供給 ……… 18 2)日本のLP ガス輸入 ……… 19 3)日本のLP ガス消費 ……… 21 4)日本のLP ガス需要見通し ……… 23 5)日本のLP ガス輸入価格 ……… 24 6)日本のLP ガスの国内流通と備蓄 ……… 26 3.1 LP ガスの商品先物取引所への上場に向けた課題 ……… 27 3.1.1 過去におけるLP ガスの先物上場検討 ……… 27 3.1.2 その後の状況・環境の変化 ……… 28 3.1.3 LP ガスの物流・商流 ……… 29 3.1.4 LP ガス関連の主要プレーヤー ……… 31 3.1.5 LP ガスの商品先物取引所への上場に向けた課題の再検討 ……… 33 3.2 LP ガス取引状況及び商品先物取引所への上場に関する国内ヒアリング…… 34 (1)元売・卸売業者・小売事業者 ……… 34 (2)石油精製企業 ……… 36 (3)石油化学企業 ……… 36 (4)商社 ……… 37 3.3 LP ガス取引状況及び LP ガス先物取引に関する海外ヒアリング ……… 38 (1)石油化学業界団体 ……… 38 (2)ブローカー ……… 39 (3)エネルギー供給企業 ……… 42 4.石炭市場の現状 ……… 44 (1)世界の石炭需給 ……… 44 (2)世界の石炭生産の動向 ……… 47 (3)世界の石炭需要の動向 ……… 49
ii (4)世界の石炭貿易の動向 ……… 50 (5)世界の石炭の貿易見通し ……… 56 (6)世界の石炭価格 ……… 57 (7)日本の石炭需給 ……… 57 1)日本の石炭供給・輸入 ……… 57 2)日本の石炭消費 ……… 59 3)日本の石炭輸入価格 ……… 62 4)日本の石炭の国内流通 ……… 66 4.1 石炭の商品先物取引所への上場に向けた課題 ……… 67 4.1.1 過去における石炭の先物上場検討 ……… 67 4.1.2 その後の状況・環境の変化 ……… 71 4.1.3 石炭の物流・商流 ……… 71 4.1.4 石炭ビジネスの主要プレーヤー ……… 74 4.1.5 石炭の商品先物取引所への上場に向けた課題の再検討 ………… 76 4.2 石炭取引状況及び商品先物取引所への上場に関する国内ヒアリング …… 77 (1)電力企業 ……… 77 (2)セメント企業 ……… 78 (3)商社 ……… 79 (4)石炭取扱業社・石炭商社 ……… 80 4.3 石炭取引状況及び石炭先物取引に関する海外ヒアリング ……… 81 (1)電力企業 ……… 81 (2)セメント企業 ……… 82 (3)ブローカー ……… 83 5.海外商品先物取引所の石炭・ガス(LNG, LPG)取引 ……… 87
(1)European Energy Exchange(EEX) ……… 87
(2)ICE Futures Europe ……… 87
(3)NYMEX ……… 89 (4)Singapore Exchange(SGX)……… 90 (5)中国の商品取引所(上海期貨交易所ほか) ……… 90 6.日本での石炭・LP ガスの商品デリバティブ取引の可能性の検討 ………… 92 6.1 LP ガスの商品デリバティブ取引の可能性の検討 ……… 92 (1)国内関係各社の見解のまとめ ……… 92 (2)海外企業等の見解のまとめ ……… 92 (3)LP ガスの商品デリバティブ取引の可能性の検討―LP ガスの上場における 課題と今後の取組み― ……… 93 6.2 石炭の商品デリバティブ取引の可能性の検討 ……… 96 (1)国内関係各社の見解のまとめ ……… 96 (2)海外企業等の見解のまとめ ……… 96
iii (3)石炭の商品デリバティブ取引の可能性の検討―石炭の上場における課題と 今後の取組み― ……… 97 参考資料 : 石炭、ガス市場(デリバティブ)関連調査報告書一覧 ……… 100 用語集1(日本語) ……… 101 用語集2(英語) ……… 102
iv 表目次 表3-1 世界の LP ガス需給推移 ……… 6 表3-2 世界の LP ガス地域別生産と消費(2012 年)……… 7 表3-3 世界の LP ガス地域別生産量と伸び率 ……… 8 表3-4 世界の LP ガス地域別消費量とシェア……… 10 表3-5 世界の LP ガス地域別消費量と伸び率 ……… 11 表3-6 世界の LP ガスの用途別消費量・消費比率(2011 年)……… 12 表3-7 世界の LP ガス海上輸出量推移 ……… 12 表3-8 LP ガス海上輸出上位国(2013 年) ……… 13 表3-9 世界の LP ガス海上輸入量推移 ……… 14 表3-10 LP ガス海上輸入上位国(2013 年) ……… 15 表3-11 世界の LP ガス海上貿易需給見通し ……… 16 表3-12 世界の LP ガス海上貿易地域別供給見通し ……… 16 表3-13 世界の LP ガス海上貿易地域別需要見通し ……… 17 表3-14 日本の LP ガス供給の推移 ……… 19 表3-15 日本の LP ガスの国・地域別輸入推移 ……… 20 表3-16 日本の LP ガス需要の推移 ……… 22 表3-17 日本の LP ガス需要見通し ……… 23 表3-19 日本の LP ガス CP 輸入価格(US$/トン)推移(年度平均) ………… 24 表3-20 日本の LP ガス輸入価格(円ベース)の推移(年度平均) ……… 25 表4-1 世界の石炭需給推移 ……… 44 表4-2 世界の一般炭・原料炭の需給推移 ……… 45 表4-3 世界の国別石炭需給(2012 年 e) ……… 46 表4-4 世界の国別一般炭・原料炭の需給(2012 年 e) ……… 47 表4-5 世界の石炭の国別生産量と伸び率 ……… 48 表4-6 世界の石炭国別消費量と伸び率 ……… 49 表4-7 世界主要国の石炭輸出量推移(褐炭含む) ……… 51 表4-8 主要国の一般炭輸出実績推移 ……… 52 表4-9 主要国の原料炭輸出実績 ……… 53 表4-10 世界主要国の石炭輸入量推移(褐炭含む) ……… 54 表4-11 主要国の一般炭輸入実績推移 ……… 55 表4-12 主要国の原料炭輸入実績推移 ……… 56 表4-13 日本の石炭輸入量推移 ……… 57 表4-14 日本の国別石炭輸入量とシェアの推移 ……… 58 表4-15 一般炭の産業別消費実績推移 ……… 60 表4-16 原料炭の消費実績推移 ……… 61 表4-17 日本の石炭輸入価格推移 ……… 63
v 表4-18 輸入一般炭の国別価格(CIF)推移 ……… 64 表4-19 輸入原料炭の国別価格(CIF)推移 ……… 65 表5-1 海外商品先物取引所の石炭・ガス(天然ガス、LNG)の取引状況一覧 … 91 図目次 図3-1 世界の LP ガス需給推移 ……… 6 図3-2 世界の LP ガス地域別生産と消費(2012 年) ……… 7 図3-3-1 世界の LP ガス地域別生産量推移 ……… 8 図3-3-2 世界の LP ガス地域別生産伸び率 ……… 9 図3-4 世界の LP ガス地域別消費量の推移 ……… 10 図3-5 世界の LP ガス地域別消費量の伸び率 ……… 11 図3-6 世界の LP ガスの用途別消費比率(2011 年)……… 12 図3-7 世界の LP ガス海上輸出量推移 ……… 13 図3-8 世界の LP ガス海上輸出上位国(2013 年) ……… 14 図3-9 世界の LP ガス海上輸入量推移 ……… 14 図3-10 LP ガス海上輸入上位国(2013 年)……… 15 図3-11 世界の LP ガス海上貿易需給見通し ……… 16 図3-12 世界の LP ガス海上貿易地域別供給見通し ……… 17 図3-13 世界の LP ガス海上貿易地域別需要見通し ……… 18 図3-14-1 日本の LP ガス供給の推移 ……… 19 図3-14-2 日本の LP ガス供給内訳の推移 ……… 19 図3-14-3 日本の LP ガス供給割合(2013 年度) ……… 19 図3-15-1 2005年度の日本の LP ガス国別輸入構成 ……… 21 図3-15-2 2013年度の日本の LP ガス国別輸入構成 ……… 21 図3-16-1 日本の LP ガス国内需要の推移 ……… 22 図3-16-2 日本の LP ガス国内需要内訳の推移 ……… 22 図3-16-3 日本の LP ガス国内需要内訳(2012 年度 ……… 22 図3-17 日本の LP ガス需要内訳見通し ……… 23 図3-18 サウジアラビア CP と中東原油の価格変動推移と米国モント・ベルビュー のプロパン市況推移 ……… 24 図3-19 日本の LP ガス輸入価格推移(年度平均) ……… 25 図3-20 日本の LP ガス輸入価格(円ベース)の推移(年度平均 ……… 26 図3.1-1 LP ガスの物流・商流図 ……… 30 図3.1-2 LP ガスの供給・流通における主要プレーヤー図 ……… 32 図4-1 世界の石炭需給推移 ……… 44 図4-2 世界の一般炭・原料炭の需給推移 ……… 45
vi 図4-3 世界の国別石炭生産と消費(2012 年 e) ……… 46 図4-4 世界の国別一般炭・原料炭の生産と消費(2012 年 e) ……… 47 図4-5 世界の石炭国別生産量推移 ……… 48 図4-6 世界の石炭の国別生産量の伸び率 ……… 49 図4-7 世界の石炭国別消費量推移 ……… 50 図4-8 世界の石炭国別消費量の伸び率 ……… 50 図4-9 世界主要国の石炭輸出量推移(褐炭含む)……… 51 図4-10 主要国の一般炭輸出実績 ……… 52 図4-11 主要国の原料炭輸出実績 ……… 53 図4-12 世界主要国の石炭輸入量推移(褐炭含む) ……… 54 図4-13 主要国の一般炭輸入実績推移 ……… 55 図4-14 主要国の原料炭輸入実績推移 ……… 56 図4-15 日本の石炭輸入量推移 ……… 58 図4-16 日本の国別石炭輸入量推移 ……… 59 図4-17 2013年の日本の国別石炭輸入量シェア ……… 59 図4-18 一般炭の産業別消費実績推移 ……… 60 図4-19 2011年の一般炭の産業別消費シェア ……… 61 図4-20 原料炭の消費実績推移 ……… 62 図4-21 日本の石炭輸入価格推移 ……… 63 図4-22 輸入一般炭の国別価格(CIF)推移 ……… 64 図4-23 輸入一般炭の米国価格(CIF)推移 ……… 65 図4-24 輸入原料炭の米国価格(CIF)推移 ……… 65 図4-25 輸入原料炭の国別価格(CIF)推移 ……… 66 図4.1-1 石炭の物流・商流図 ……… 72 図4.1-2 石炭ビジネスの主要プレーヤー図 ……… 75
1 1.調査の目的 我が国のエネルギー源の需給構造において、石炭やガス(天然ガス・LPG)の重要 性は高まっている。 石炭は、地政学的リスクが化石燃料の中で最も低く、熱量当たりの単価も化石燃料の 中で最も安いことから、安定供給性や経済性に優れた重要なベースロード電源の燃料と して再評価されている。 また、天然ガス(LNG含む)は、熱源としての効率性が高いことから、利用が拡大 しており、石油と比べて地政学的リスクも相対的に低く、化石燃料の中で温室効果ガス の排出も最も少なく、発電においてはミドル電源の中心的な役割を果たしている。 そして、LPGは、中東依存度が高くぜい弱な供給構造であったが、北米シェール随 伴の安価なLPガスの購入などが進んでおり、地政学的リスクが小さくなる方向にある。 発電用燃料として大量の石炭やガスを消費する電力会社においては、電力システム改 革の進展による料金規制の撤廃等が進めば、燃料価格のヘッジのための燃料の先物取引 のニーズが高まるとも考えられる。また、他の大口需要家においても、取引の構造変化 に伴い、新たな形でのリスクヘッジが必要となってくると考えられる。 本調査は、我が国および世界における石炭やガスの取引の情報収集・分析を実施する ことにより、我が国企業の燃料の安定的な調達に資する商品デリバティブ取引の可能性 について、具体的な上場を視野に検討する。
2 2.要約 (1) LP ガス 1)LP ガスの商品先物取引所への上場に向けた課題 約10 年前に LP ガスの先物上場の検討調査が行われており、その調査において、LP ガス市場の目指すべき目標および輸入市場と国内市場それぞれについて、その問題点 とその後の取組みの方向性に関して提言されている。 今回の調査で、この10年間の状況・環境の変化を検証し、現在の日本のLPガスの物 流・商流およびLPガス関連の主要プレーヤーを把握した。 2006年度よりCPによる調達-CPによる販売方式に変更されたこと、ここ数年で米 国からのシェール随伴のLPガス輸入が増加し、中東からのCPベースの輸入シェアが 80%を切ったことなどの環境変化が起こっている。また、日本の米国からの輸入量が 2017年には約25%、300万トン規模に達するとの見通しで、アジア市場における米国 産のLPガスのシェアが本格的に高まる2017年頃から、CP価格体系の調整も行われる と見られている。 ただ、現状のLPガスの販売は、未だ約90%はCPリンクで販売されており、上記の環 境変化がCP通告制に影響を与えるまでには未だ至っていないと考えられ、現状は、過 去にに検討された「LPガスの先物上場」の問題点とその後の取組みの方向性に関して は変わっていないと判断される。 2)LP ガスの商品デリバティブ取引の可能性の検討 ― LP ガスの上場に向けた課題と今後の取組み ― LP ガスの関連国内企業および海外企業等に実施した、国内商品先物取引所への 上場に関するヒアリングにおいて指摘・提示された事項を踏まえて、過去に検討さ れた「LP ガスの先物上場」の課題と今後の取組みの方向性は以下の通りである。 【LPガスオフショア(輸入)市場】 課題: ① 我が国の輸入スポット価格が産ガス国の輸出価格の決定に影響を及ぼしていない ② 海外市況と国内市況は連動していない ③ 先物市場の必要性と目的 ④ 既存の先物市場との差別化と予想参加者の少なさ 今後の取組み: ① LPガス産業界、関係者において、新たな取引価格指標の研究、適用の検討。
3 ② まず、既存の相対取引市場の活性化を含むオフショア市場活性化(既存市場の利 便性向上、相対取引市場における取引の安全性の確保)の方策の検討。 ③ 先物市場の必要性の確認と目的の明確化(ヘッジのための先物市場) ④ 既存の先物市場に勝る差別化と市場参加者増の方策の検討 【LPガス国内市場】 課題: ① 海外市況に連動して国内価格が形成される仕組みになっていない ② 需給を適切に反映した価格形成となっていない ③ 先物市場の必要性と目的 ④ 先物市場の対象とする国内需要が少ない状況で、先物市場が成り立つか、また、 誰が先物市場を使うのか 今後の取組み: ① LPガス産業界、関係者において、海外市況に連動して国内価格が形成される仕組 みとして、新たな取引価格指標の研究、適用の検討。 ② 先物市場の必要性の確認と目的の明確化 ③ 日本の国内市況を的確に反映できる市場形成の手段として、また、価格変動に対 する有効なヘッジ手段として、LP ガス先物市場の成立に向けて、商品取引所に おいて具体的な検討・準備の開始 (2) 石炭 1)石炭デリバティブ取引普及の可能性と課題 約 7 年前に石炭の国内先物市場の創設の検討調査が行われており、その調査におい て、我が国での一般炭の石炭デリバティブ取引普及の可能性と課題、方向性、条件に ついて検討している。 今回の調査で、この7年間の状況・環境の変化を検証し、現在の日本における石炭の 物流・商流および石炭関連の主要プレーヤーを把握した。 インデックス・リンク型での変動価格契約が増えてきたこと、また、電力小売全面 自由化の実施が迫ってきたことにより、電力会社にとって、他電力会社や新規参入事 業者との本格的な競争下では、今までのように、燃料費の価格変動も料金への転嫁が 難しいと思われ、競争力維持のためには、可能な限り料金を引き下げる必要に迫られ るものと思われる。 従って、発電用燃料としての一般炭をより安定的に購入するためには、一般炭の国 内先物市場の創設によって、国内需給を反映した価格が形成され、その価格を参照し た一般炭の輸入価格決定がなされることが求められる。過去に検討されたように、国 内先物市場の創設に向けて、課題・条件をクリアーしていかねばならない。
4 2)石炭の商品デリバティブ取引の可能性の検討 ― 石炭の上場に向けた課題と今後の取組み ― 石炭の関連国内企業および海外企業等に実施した、石炭の国内商品先物取引所 への上場に関するヒアリングにおいて指摘・提示された事項を踏まえて、過去に検 討された「石炭のデリバティブ取引」の課題と今後の取組みの方向性は以下の通りで ある。 【石炭の輸入市場】 課題: ① 輸入価格が国内需給を反映した価格形成になっていない。 ② 先物市場の必要性と目的 ③ 現金決済型または現物決済型等の制度設計 ④ FOB ベースまたは CIF ベース、基準石炭等の商品設計 輸入先、船型で CIF 日本の価格が異なり、国内全体を代表し得ないという見方。 ⑤ 既存の先物市場との差別化と予想参加者の少なさ 今後の取組み: ① 市場創設による実需家の参加で需給を反映した価格を形成し、輸入価格決定に影 響を与える。 ② 先物市場の必要性の確認と目的の明確化(ヘッジのための先物市場) ③ 石炭産業界、関係者において、採用価格指標または新取引価格指標の研究、適用 の検討。 ④ 制度設計、商品設計の具体的検討 ⑤ 既存の先物市場に勝る差別化と市場参加者増の方策の検討 【石炭の国内市場】 課題: ① 国内需給を反映した輸入価格形成になっていない。 ② 先物市場の必要性と目的 ③ ユーザーの専用船がフリーに入港して受渡しできる受渡地点(コールセンター) の整備 ④ 当業者のヘッジニースの有無 -燃料費調整制度の動向と電力会社の動き -国内一般産業のヘッジニース -商社のリスクヘッジ先としての国内デリバティブ市場のニーズ ⑤ 当事者の利用があるか -電力会社の輸入一般炭の余剰分の販売による在庫調整の市場としての利用
5 -小口ユーザーの現物決済型のデリバティブ市場への参加 -商社の相対取引でのリスクカバーに加え、海外市場との裁定取引による収益の 可能性。 今後の取組み: ① 大口、小口ユーザーが共に参加できるように設計し、一般産業も含めた国内一般 炭ユーザーの需給を一般炭価格に反映させる。 ② 先物市場の必要性の確認と目的の明確化 ③ 受渡地点(コールセンター)の整備による国内流通の活性化 ④ 当事者のヘッジニーズの確認と当事者による国内先物市場利用の確認
6 3. LP ガス市場の現状 (1)世界のLP ガス需給 2012 年の全世界の LP ガス需給実績を見ると、生産量が約 2 億 7365 万トンで、消費 量は約2 億 6393 万トンであった。2007 年の生産量 2 億 3600 万トンから 3765 万トン、 約16%増加し、消費量 2 億 3560 万トンから 2833 万トン、約 11%増加した。2007 年か ら2012 年までの生産の年平均伸び率は約 2.7%であり、消費は年平均約 2.0%伸びてい る。 以下に、世界のLP ガスの需給推移を表3-1及び図3-1に示す。 地域バランスとしては、北米が年間約6470 万トンを生産し、約 6130 万トンを消費し た。欧州ユーラシアは、年間生産量が約4430 万トンで、消費量は約 4100 万トンであっ た。中東地域は、生産量が年間約6680 万トンであるのに対して、消費量はほぼ半分の約 図3-1: 世界のLPガス需給推移 210.0 220.0 230.0 240.0 250.0 260.0 270.0 280.0 2007 2008 2009 2010 2011 2012 (百万トン) 生産 消費 表3-1:世界のLPガス需給推移 CY 2007 2008 2009 2010 2011 2012 生産 236.0 240.7 243.7 256.6 265.5 273.7 消費 235.6 239.8 240.0 249.9 259.1 263.9
(出所)The World LPG Association, “Statistical Review of Global LPG 2013” CY:Calendar Year
7 3160 万トンであった。アジア地域については、生産量が約 5850 万トンであるのに対し、 消費量は9040 万トンと大幅に多く、地域内の供給では賄えなかった。 以下に、世界のLP ガス地域別生産と消費(2012 年)を表3-2及び図3-2に示す。 世界的に見ると、中東が域外向けに約3500 万トン程度の最大の供給余力を持ち、次い で、アフリカ、北米が域外への供給余力を持つ。一方、アジア地域はその需要を賄いき れず、約3200 万トンの LP ガスを中東地域や他の地域から輸入することで需給ギャップ を解消している。 (2)世界のLP ガス生産の動向 世界のLP ガスの地域別生産量とその伸び率の推移を見てみると、中東地域の生産量は 2010 年 5760 万トン、2011 年 6410 万トン、2012 年 6680 万トンと増加しているが、そ の延び率はそれぞれ13.6%、11.3%、4.2%と減少している。北米は、シェール随伴の LP 図3-2: 世界のLPガス地域別生産と消費(2012年) 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 北米 中南米 欧州ユーラシア 中東 アフリカ アジア太平洋 (百万トン) 生産 消費 表3-2:世界のLPガス地域別生産と消費(2012年) 北米 中南米 欧州ユーラシア 中東 アフリカ アジア太平洋 世界計 生産 64.7 22.4 44.3 66.8 17.0 58.5 273.7 消費 61.3 28.5 41.0 31.6 11.1 90.4 263.9 生産-消費 3.4 -6.1 3.3 35.2 5.9 -31.9 9.8
(出所)The World LPG Association, “Statistical Review of Global LPG 2013”
8 ガス生産が増えており、2010 年 5900 万トン、2011 年 6000 万トン、2012 年 6470 万ト ンで、中東地域に匹敵する生産量となっており、その伸び率もそれぞれ3.9%、1.7%、 7.8%と増加している。 以下に、世界のLP ガスの地域別生産量とその伸び率の推移を表3-3および図3-3 -1、3-3-2に示す。 表3-3:世界のLPガス地域別生産量と伸び率 (単位:百万トン、%) CY 2007 北米 55.8 56.4 1.1% 56.8 0.7% 59.0 3.9% 60.0 1.7% 64.7 7.8% 中南米 23.8 24.0 0.8% 24.2 0.8% 23.8 -1.7% 22.4 -5.9% 22.4 0.0% 欧州ユーラシア 42.1 41.7 -1.0% 41.0 -1.7% 42.0 2.4% 43.6 3.8% 44.3 1.6% 中東 44.1 49.4 12.0% 50.7 2.6% 57.6 13.6% 64.1 11.3% 66.8 4.2% アフリカ 16.6 16.1 -3.0% 16.0 -0.6% 17.4 8.7% 17.1 -1.7% 17.0 -0.6% アジア太平洋 53.6 53.1 -0.9% 55.0 3.6% 56.9 3.5% 58.2 2.3% 58.5 0.5% 世界計 236.0 240.7 2.0% 243.7 1.2% 256.7 5.3% 265.4 3.4% 273.7 3.1% (出所)The World LPG Association, “Statistical Review of Global LPG 2013”
2012 2008 2009 2010 2011 図3ー3-1: 世界のLPガス地域別生産量推移 0 50 100 150 200 250 300 2007 2008 2009 2010 2011 2012 (百万トン) (CY) アジア 太平洋 アフリカ 中東 欧州 ユーラシア 中南米 北米
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LP ガスの生産方法は大きく3つに分類される。1つ目の生産方法は、石油精製段階か らの副産物として生産される。2つ目は、天然ガスの生産段階での随伴重質分として生 産される。3つ目は、原油の生産段階での随伴ガスとしての生産である。
世界LP ガス協会の「Statistical Review of Global LPG 2012」より日本 LP ガス協会の 試算による2011 年の生産方法別生産量と割合は以下の通りである。
石油精製からの分離ガス:約1億1000 万トン 約 40% 天然ガスの随伴ガス :約9300 万トン 約 35% 原油の随伴ガス :約6200 万トン 約 25%
因みに、2003 年の生産方法別割合(The World LP Gas Association, “Statistical Review of Global LPG 2003”から日本 LP ガス協会が試算)は、石油精製からの分離ガス が約40%、天然ガスの随伴ガス約 35%、原油の随伴ガス約 25%で、2003 年以降現在ま で生産方法別割合はほとんど変化がない。 (3)世界のLP ガス需要の動向 世界のLP ガスの地域別消費量とそのシェアの推移を見てみると、北米、欧州ユーラシ ア、アジア太平洋の3地域がLP ガスの3大消費地となっている。北米は世界の LP ガス 消費の約25%を占めていたが、2010 年、2011 年、2012 年と 22~23%のシェアと漸減 しており、同様に、欧州ユーラシアも18%台から 15%台のシェアに漸減している。一方、 アジア太平洋地域は世界のLP ガス消費の 3 割以上を占めており、2010 年~2012 年は 図3ー3-2: 世界のLPガス地域別生産伸び率 -10.0% -5.0% 0.0% 5.0% 10.0% 15.0% 2008 2009 2010 2011 2012 北米 中南米 欧州ユー ラシア 中東 アフリカ アジア太 平洋 (CY)
10 34%台のシェアを占めている。また、中東の LP ガス需要も年々増加し、2012 年には 12% を占めている。 以下に、世界のLP ガスの地域別消費量とそのシェアの推移を表3-4および図3-4 に示す。 以下に、世界のLP ガスの地域別消費量と伸び率の推移を表3-5および図3-5に示 す。 世界のLP ガス消費の平均伸び率は、2010 年 4.1%、2011 年 3.7%、2012 年 1.9%と 3 年連続で減少している。最大消費地のアジア太平洋地域の消費の伸び率が、同様に、2010 表3ー4:世界のLPガス地域別消費量とシェア (単位:百万トン、%) CY 北米 59.6 25.3% 61.8 25.8% 60.2 25.1% 57.1 22.8% 59.4 22.9% 61.3 23.2% 中南米 27.3 11.6% 27.2 11.3% 27.6 11.5% 28.0 11.2% 27.9 10.8% 28.5 10.8% 欧州 ユーラシア 43.3 18.4% 43.2 18.0% 42.0 17.5% 41.1 16.4% 41.8 16.1% 41.0 15.5% 中東 17.7 7.5% 20.3 8.5% 21.5 9.0% 26.8 10.7% 29.5 11.4% 31.6 12.0% アフリカ 10.0 4.2% 10.3 4.3% 9.9 4.1% 11.1 4.4% 11.3 4.4% 11.1 4.2% アジア 太平洋 77.7 33.0% 77 32.1% 78.8 32.8% 85.8 34.3% 89.2 34.4% 90.4 34.3% 世界計 235.6 100% 239.8 100% 240.0 100% 249.9 100% 259.1 100% 263.9 100% (出所)The World LPG Association, “Statistical Review of Global LPG 2013”
2011 2012 2007 2008 2009 2010 図3ー4: 世界のLPガス地域別消費量の推移 0.0 50.0 100.0 150.0 200.0 250.0 300.0 2007 2008 2009 2010 2011 2012 (百万トン) (CY) アジア 太平洋 アフリカ 中東 欧州 ユーラシア 中南米 北米
11 年8.9%、2011 年 4.0%、2012 年 1.3%と 3 年連続で減少しているほか、中東地域も同様 に、それぞれ24.7%、10.1%、7.1%と 3 年連続で減少し、アフリカ地域も 3 年連続で減 少している。欧州ユーラシアとアフリカ地域は、2012 年の消費伸び率はマイナスであっ た。 次に、世界のLP ガス需要の構成を見ると、2011 年の用途別使用量は、家庭業務用が 約45%、化学原料用が約 29%、工業用が約 9%、自動車用が約 7%となっており、家庭 業務用と化学原料用がLP ガスの2大用途となっている。 因みに、2003 年の世界の LP ガスの用途別使用量を見ると、家庭業務用が約 50%、 化学原料用が約23%、工業用が約 12%、自動車用が約 8%となっており、家庭業務用 表3ー5:世界のLPガス地域別消費量と伸び率 (単位:百万トン、%) CY 2007 北米 59.6 61.8 3.7% 60.2 -2.6% 57.1 -5.1% 59.4 4.0% 61.3 3.2% 中南米 27.3 27.2 -0.4% 27.6 1.5% 28.0 1.4% 27.9 -0.4% 28.5 2.2% 欧州ユーラシア 43.3 43.2 -0.2% 42.0 -2.8% 41.1 -2.1% 41.8 1.7% 41.0 -1.9% 中東 17.7 20.3 14.7% 21.5 5.9% 26.8 24.7% 29.5 10.1% 31.6 7.1% アフリカ 10.0 10.3 3.0% 9.9 -3.9% 11.1 12.1% 11.3 1.8% 11.1 -1.8% アジア太平洋 77.7 77.0 -0.9% 78.8 2.3% 85.8 8.9% 89.2 4.0% 90.4 1.3% 世界計 235.6 239.8 1.8% 240.0 0.1% 249.9 4.1% 259.1 3.7% 263.9 1.9% (出所)The World LPG Association, “Statistical Review of Global LPG 2013”
2012 2008 2009 2010 2011 図3ー5: 世界のLPガス地域別消費量の伸び率 -10.0% -5.0% 0.0% 5.0% 10.0% 15.0% 20.0% 25.0% 30.0% 2008 2009 2010 2011 2012 北米 中南米 欧州 ユーラシ ア 中東 アフリカ アジア 太平洋 (CY)
12 と化学原料用がLP ガスの2大用途に変わりはないが、家庭業務用と工業用が減り、化学 原料用が増えている。自動車用は変わっていない。 (4)世界のLP ガス貿易の動向 LP ガスは、世界の年間需要量の約 23%に相当する約 6000~6300 万トンが海上貿易に よって取り引きされている。表3-7および図3-7に、世界のLP ガスの海上輸出量の 推移を示す。 表3ー6:世界のLPガスの用途別消費量・消費比率(2011年) 消費量(百万トン) 消費比率(%) 参考:2003年(%) 家庭業務用 116.3 44.7 49.7 化学原料用 74.3 28.6 23.0 工業用 22.8 8.8 11.8 自動車用 18.4 7.1 7.9 輸出用 23.7 9.1 製油所使用5.6 農業用 4.4 1.7 2.0 合計 259.9 100 100
(出所)The World LPG Association, “Statistical Review of Global LPG 2012”
図3ー6:世界のLPガスの用途別消費比率(2011年) 44.7% 28.6% 8.8% 7.1% 9.1% 1.7% 家庭業務用 化学原料用 工業用 自動車用 輸出用 農業用 表3ー7 :世界のLPガス海上輸出量推移 CY 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 輸出量 5,320 5,430 5,380 5,680 5,470 5,530 5,900 6,050 6,330 出所:日本LPガス協会資料(IHSLPGセミナー2014.6資料より) (単位:万トン)
13 次に、2013 年の LP ガスの海上輸出上位国を表3-8および図3-8に示す。中東の カタール、UAE、サウジアラビア、クウェートおよびイランの5カ国で世界の LP ガス 輸出の約50%を占めている。次いで米国が約 14%を占め、アフリカのアルジェリアと ナイジェリアの2カ国で約11%、ノルウェーとイギリスの2カ国で約 11%を占め、豪州 が3%を占めている。 図3ー7:世界のLPガス海上輸出量推移 4,800 5,000 5,200 5,400 5,600 5,800 6,000 6,200 6,400 6,600 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 (単位:万トン) (CY) 表3ー8:LPガス海上輸出上位国(2013年) 国名 輸出量(万トン) シェア 1 カタール 1,060 16.7% 2 米国 910 14.4% 3 UAE 850 13.4% 4 サウジアラビア 770 12.2% 5 ノルウェー 490 7.7% 6 アルジェリア 490 7.7% 7 クウェート 430 6.8% 8 イギリス 200 3.2% 9 ナイジェリア 200 3.2% 10 豪州 190 3.0% 11 イラン 90 1.4% その他 650 10.3% 6,330 100% 出所:日本LPガス協会資料(IHSLPGセミナー2014.6資料より) 合計
14 一方、LP ガスの世界の年間輸入量の推移を、表3-9および図3-9に示す。 図3ー8:世界のLPガス海上輸出上位国(2013年) 16.7% 14.4% 13.4% 12.2% 7.7% 7.7% 6.8% 3.2% 3.2% 3.0% 1.4% 10.3% カタール 米国 UAE サウジアラビア ノルウェー アルジェリア クウェート イギリス ナイジェリア 豪州 イラン その他 表3ー9 :世界のLPガス海上輸入量推移 CY 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 輸入量 5,330 5,440 5,390 5,690 5,470 5,540 5,890 6,040 6,330 出所:日本LPガス協会資料(出展:Waterborne) (単位:万トン) 図3ー9:世界のLPガス海上輸入量推移
4,800
5,000
5,200
5,400
5,600
5,800
6,000
6,200
6,400
6,600
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
(単位:万トン) (CY)15 また、2013 年の LP ガスの海上輸入上位国を表3-10および図3-10に示す。最大 の輸入国は1206 万トンを輸入した日本が 19%を占めた。次いで、インド 9.3%、韓国 8.6%、中国 5.8%、インドネシア 4.1%とアジア諸国が上位を占めている。 (5)世界のLPガスの海上貿易需給見通し 2014 年から 2020 年までの世界のLPガスの需給見通しを表3-11および図3-11 に示す。供給については、2014 年の約 7150 万トンから 2020 年には約 9400 万トンまで 増加すると予測されている。一方、需要については、2014 年の 7110 万トンから 2020 年には8880 万トンに増加すると予測されている。 表3ー10:LPガス海上輸入上位国(2013年) 国名 輸入量(万トン) シェア 1 日本 1,206 19.1% 2 インド 590 9.3% 3 韓国 546 8.6% 4 中国 369 5.8% 5 インドネシア 260 4.1% 6 オランダ 247 3.9% 7 フランス 234 3.7% 8 ベネズエラ 197 3.1% 9 ブラジル 188 3.0% 10 タイ 181 2.9% その他 2,312 36.5% 6,330 100% 出所:日本LPガス協会資料(出展:Waterborne) 合計 図3ー10:LPガス海上輸入上位国(2013年) 19.1% 9.3% 8.6% 5.8% 4.1% 3.9% 3.7% 3.1% 3.0% 2.9% 36.5% 日本 インド 韓国 中国 インドネシア オランダ フランス ベネズエラ ブラジル タイ その他
16 2014 年から 2020 年までの世界の LP ガス海上貿易の地域別供給見通しを、以下、表 3-12および図3-12に示す。 中東地域は、引き続き世界のLP ガス輸出の約 40%に相当する約 3400 万トン(2014 年)から3600 万トン(2020 年)を供給する最大の輸出地域である。米国/米州は、シ ェール随伴のLP ガス輸出が増え、世界の LP ガス輸出の約 24%から 30%に増え、2014 年の約1400 万トンから 2020 年の約 2900 万トンに増加すると予測される。 表3ー11:世界のLPガス海上貿易需給見通し CY 2014 2015 2016 2017 2020 供給 71.5 78.5 83 86.7 94.2 需要 71.1 76.2 79.6 83.4 88.8 (出所)LPガスE社見通し (単位:百万トン) 図3ー11: 世界のLPガス海上貿易需給見通し 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 2014 2015 2016 2017 2020 (百万トン) (CY) 供給 需要 表3ー12:世界のLPガス海上貿易地域別供給見通し CY 2014 2015 2016 2017 2020 中東 33.9 34.7 35.2 35.7 36.3 アジア大洋州 2.5 2.7 2.8 3.3 3.8 アフリカ 11.8 11.4 12.2 12.4 12.8 米国/米州 13.7 18.9 21.7 23.8 28.6 欧州 9.5 10.8 11.1 11.5 12.7 世界計 71.5 78.5 83.0 86.7 94.2 (出所)LPガスE社見通し (単位:百万トン)
17 次に、2014 年から 2020 年までの世界の LP ガス海上貿易の地域別需要見通しを、以下、 表3-13および図3-13に示す。 アジア太平洋地域は、引き続き世界のLP ガス輸入の約 57%~65%に相当する約 4000 万トン(2014 年)から約 5500 万トン(2020 年)を輸入すると予測される最大の輸入地 域である。 次いで欧州が、1600~1700 万トンを輸入すると予測されている。 図3ー12:世界のLPガス海上貿易地域別供給見通し 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 2014 2015 2016 2017 2020 (百万トン) (CY) 欧州 米国/米州 アフリカ アジア大洋州 中東 表3ー13:世界のLPガス海上貿易地域別需要見通し CY 2014 2015 2016 2017 2020 中東 3.2 3.3 3.3 3.4 3.5 アジア大洋州 40.6 44.2 47.4 50.4 54.8 アフリカ 15.2 3.6 3.6 3.7 3.9 米国/米州 8.7 9.1 9.2 9.4 9.5 欧州 9.5 16.0 16.1 16.5 17.1 世界計 71.1 76.2 83.0 83.4 88.8 (出所)LPガスE社見通し (単位:百万トン)
18 (6)世界の主要市場のLP ガス価格 世界のLP ガスの価格は、原油、天然ガス価格の動向に大きく影響を受けて形成される。 主要な価格を形成する市場地域は、3つに大別される。 1つは、米国モント・ベルビュー市場を中核とした北米地域。2つ目は、英国北海、 北西ヨーロッパ、アルジェリア(ソナトラック)の地中海を中核とした欧州地域。3つ 目は、サウジアラビア・アラムコ社のコントラクト・プライス(CP)をベースとした中 東・アジア太平洋地域である。 (7)日本のLP ガス市場 1)日本のLP ガス供給 2013 年度の日本の LP ガス供給は、約 19%を国内生産で賄っており、残り約 81%を 海外から輸入している。国内で生産されるLP ガスの大部分は、石油精製過程から副生 されたもので、一部は石油化学でのナフサ生産過程から回収されたものもある。海外か ら輸入されるLP ガスは、原油・天然ガスの生産過程から随伴ガスを分離・抽出して副 次的に生産されたものである。 以下に、日本のLP ガスの供給の推移と 2013 年度の供給割合を表3-14および図3- 14-1,3-14-2,3-14-3に示す。 図3ー13:世界のLPガス海上貿易地域別需要見通し 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 2014 2015 2016 2017 2020 (百万トン) (CY) 欧州 米国/米州 アフリカ アジア大洋州 中東
19 2)日本のLP ガス輸入 日本のLP ガス輸入は、その約 85%をカタール、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジア ラビア、クウェートなどの中東諸国から原油随伴のLP ガスを輸入している。残りの約 15%は、豪州、インドネシア、東ティモールなどから天然ガス随伴の LP ガスを輸入し、 米国からはシェール随伴のLP ガスを輸入している。 表3ー14:日本のLPガス供給の推移 FY 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 国内生産 4,186 4,749 4,608 4,557 4,328 4,719 4,431 3,655 3,742 2,733 19.3% 輸入 13,719 14,083 13,532 13,522 13,126 11,597 12,332 12,633 13,189 11,408 80.7% 合計 17,905 18,832 18,140 18,079 17,454 16,316 16,763 16,288 16,931 14,141 100% (出所)日本LPガス協会 FY:Fiscal Year (単位:千トン) 2013 図3ー14-1: 日本のLPガス供給の推移 13,000 14,000 15,000 16,000 17,000 18,000 19,000 20,000 (千トン) (FY) 図3ー14-3: 日本のLPガス供給割合(2013年度) 国内 生産 19.3% 輸入 80.7% 図3ー14-2: 日本のLPガス供給内訳の推移 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 16,000 18,000 20,000 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 (千トン) (FY) 国内生産 輸入
20 ここに来て、世界の天然ガス新規プロジェクト(豪州、ロシア、アフリカなど)によ り、原油随伴LP ガス(中東産)から天然ガス随伴の LP ガスに変わり、ガスソースの多 様化が進むとみられるほか、米国シェール随伴 LP ガスの増産と輸出増により、日本の LP ガスの輸入構造に変化が起こっている。2005 年度と最近3カ年度に輸入実績を比べ ると、以下のようになっている。 2005 年度 中東から 85%、 中東以外から 15%(米国から 0.2%) 2011 年度 中東から 87.2%、中東以外から 12.8%(米国から 0.8%) 2012 年度 中東から 83.8%、中東以外から 16.2%(米国から 3.5%) 2013 年度 中東から 76.4%、中東以外から 23.6%(米国から 9.0%) 2014 年度上期 中東から 76%、 中東以外から 24%(米国から 12%) 2011 年度および 2012 年度を見ると、中東地域からの輸入は 85%前後と変わりがない が、米国からのシェール随伴のLP ガス輸入が、2011 年度 0.8%、2012 年度 3.5%と徐々 に増え、2013 年度は 9%に増加し、その他豪州からの輸入 4.7%、東ティモールからの輸 入4.3%等と合わせ、中東以外からの輸入が約 24%を占め、中東諸国からの輸入が約 76% と初めて80%を切った。 また、2016 年のパナマ運河の拡幅工事完了後には、米国からの LP ガス輸入が更に増 えると予想されており、輸入先の多様化が進み、更に中東依存度が下がると予想される。 以下に、日本のLP ガスの国・地域別の輸入推移と 2005 年度と 2013 年度の国別輸入 構成を表3-15および図3-15-1,3-15-2に示す。 」 表3ー15:日本のLPガスの国・地域別輸入推移 カタール 1,262 9.0% 4,156 32.9% 4,046 30.7% 3,127 27.4% UAE 3,428 24.3% 2,855 22.6% 3,116 23.6% 2,903 25.4% サウジアラビア 5,405 38.4% 1,844 14.6% 1,989 15.1% 1,387 12.2% クウェート 1,489 10.5% 1,579 12.5% 1,878 14.2% 1,303 11.4% 中東その他 384 4.3% 581 4.6% 20 0.2% - -中東計 11,968 85.0% 11,016 87.2% 11,049 83.8% 8,720 76.4% 豪州 1,084 7.7% 910 7.2% 704 5.3% 532 4.7% 東ティモール 24 0.2% 316 2.5% 717 5.4% 485 4.3% 米国 33 0.2% 101 0.8% 462 3.5% 1,022 9.0% インドネシア 627 4.5% 37 0.3% 0 0% 10 0.1% 中東以外その他 347 2.4% 244 1.9% 258 2.0% 638 5.5% 中東以外計 2,115 15.0% 1,617 12.8% 2,141 16.2% 2,688 23.6% 総計 14,083 100% 12,633 100% 13,189 100% 11,408 100% (出所)日本LPガス協会(財務省通関統計) 2005年度 2011年度 (単位:千トン) 2013年度 2012年度
21 3)日本のLP ガス消費 日本のLP ガスの国内需要は、1996 年度の 2000 万トン弱をピークに漸減傾向にあり、 2005 年度に 1840 万トンまで戻したが、その後も減少を続け、2012 年度は約 1670 万ト ンであった。 LP ガスの国内需要の構成は、2012 年度では、家庭業務用が約 40%、工業用が 21%、 化学原料用が15%、都市ガス用が約 7%、自動車用が約 6%、電力用が約 9%となってい る。 以下に、日本のLP ガス需要の推移および 2012 年度の需要内訳を表3-16および図 3-16-1、3-16-2、3-16-3に示す。 図3ー15-1: 2005年度の日本のLPガス国別輸入構成 9.0% 24.3% 38.4% 10.6% 2.7% 7.7% 0.2% 0.2% 4.5% 2.5%
2005年度
カタール UAE サウジアラビア クウェート 中東その他 豪州 東ティモール 米国 インドネシア 中東以外その他 図3-15-2: 2013年度の日本のLPガス国別輸入構成 27.4% 25.4% 12.2% 11.4% 4.7% 4.3% 9.0% 5.5%2013年度
カタール UAE サウジアラビア クウェート 豪州 東ティモール 米国 中東以外その他22 表3-16:日本のLPガス需要の推移 FY 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 家庭業務用 7,827 7,942 7,969 7,933 7,404 7,153 7,312 7,134 6,811 40.7% 工業用 4,572 4,599 4,335 4,023 3,759 3,637 3,614 3,337 3,511 21.0% 化学原料用 2,085 2,502 2,901 3,348 3,051 3,268 2,819 2,583 2,518 15.0% 都市ガス用 1,642 1,626 1,594 1,570 1,486 1,409 1,370 1,295 1,116 6.7% 自動車用 1,434 1,296 848 842 789 819 904 1,008 1,036 6.2% 電力用 343 436 422 472 631 312 306 958 1,546 9.2% 国内需要計 17,903 18,401 18,069 18,188 17,120 16,598 16,306 16,294 16,538 98.8% 輸出 1 4 103 120 141 199 160 60 201 1.2% 需要合計 17,904 18,405 18,172 18,308 17,261 16,797 16,466 16,354 16,739 100% (出所)日本LPガス協会 (単位:千トン) 2012 図3-16-1: 日本のLPガス国内需要の推移 15,000 15,500 16,000 16,500 17,000 17,500 18,000 18,500 19,000 (単位:千トン) (FY) 図3-16-3: 日本のLPガス国内需要内訳 (2012年度) 40.7% 21.0% 15.0% 6.7% 6.2% 9.2% 家庭業務用 工業用 化学原料用 都市ガス用 自動車用 電力用 図3-16-2: 日本のLPガス国内需要内訳の推移 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 9,000 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 (単位:千トン) (FY) 家庭業務用 工業用 化学原料用 都市ガス用 自動車用 電力用
23 4)日本のLP ガス需要見通し 日本のLP ガスの需要見通しに関しては、経済産業省の石油市場動向調査委員会にて 2018 年度までの需要見通しが公表されている。それによれば、2013 年度の国内需要の実 績見込みは約1470 万トンで、前年度比約 3%の落ち込みであるが、その後は、1500 万 トンを回復し、2018 年度まで微増である。 以下に、LP ガスの需要見通しを表3-17および図3-17に示す。 表3-17:日本のLPガス需要見通し H25年度 実績見込み H26年度 H27年度 H28年度 H29年度 H30年度 2013 2014 2015 2016 2017 2018 6,590 6,524 6,481 6,383 6,317 6,200 -5.9% -1.0% -0.7% -1.5% -1.0% -1.9% 3,217 3,312 3,366 3,431 3,501 3,578 -0.3% 3.0% 1.6% 1.9% 2.0% 2.2% 1,100 1,142 1,257 1,280 1,304 1,491 5.7% 3.8% 10.1% 1.8% 1.9% 14.3% 1,052 1,032 1,015 1,002 994 992 -13.1% -1.9% -1.6% -1.3% -0.8% -0.2% 2,777 3,071 2,967 2,919 2,933 2,900 1.5% 10.6% -3.4% -1.6% 0.5% -1.1% 14,736 15,081 15,086 15,015 15,049 15,161 -3.1% 2.3% 0.0% -0.5% 0.2% 0.7% 電力用(参考) 654 - - - - -15,390 15,735 15,740 15,669 15,703 15,815 -8.4% 2.2% 0.0% -0.5% 0.2% 0.7% 上段:LPガス内需量(千トン) 下段:前年度比(%) (出所)日本LPガス協会(出展:経済産業省 石油市場動向調査委員会より) FY 化学原料用 国内需要計 需要計(参考) 家庭業務用 工業用 都市ガス用 自動車用 図3-17: 日本のLPガス需要内訳見通し 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 2013 2014 2015 2016 2017 2018 家庭業務用 工業用 都市ガス用 自動車用 化学原料用 (FY)
24 5)日本のLP ガス輸入価格 日本を含む極東アジア向けのLP ガスの輸入価格は、サウジアラビア国営石油会社(サ ウジアラムコ)の長期契約者向け輸出価格(FOB)が指標価格になっている。この価格 はCP(コントラクト・プライス(通告価格))と呼称され、1994 年 10 月から導入され てから20 年になる。 CP 制度は、アラムコが期近のスポット原油の価格動向や LP ガスマーケットの需給動 向等を勘案してLP ガス価格を決定し、毎月通告してくる制度である。一方的な通告価格 となっており、透明性に乏しく、結果的に同時期の原油価格と比較して、CP は必要以上 に割高に推移し、かつ乱高下しやすいという構造をもっている。 図3-18:サウジアラビアCP と中東原油の価格変動推移と 米国モント・ベルビューのプロパン市況推移 (出所:日本LP ガス協会資料より転記) 以下に、日本のLP ガスの CP 輸入価格(ドル建て)の推移を表19および図19 に示す。2013 年度平均 CP は、プロパンが 863.8 ドル/トン、ブタンが 892.9 ドル/ト ンで、総LP ガスの日本着価格は CIF ベースで 930 ドル/トンであった。 表3-19:日本のLPガスCP輸入価格(US$/トン)推移(年度平均) FY 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 CP(プロパン) 286.8 283.0 363.9 478.5 497.8 676.4 673.8 573.8 739.2 871.7 887.1 863.8 CP(ブタン) 276.2 275.4 371.6 488.1 500.1 693.5 687.1 590.4 750.8 915.8 887.1 892.9 総LPガス(CIF) 308.5 320.3 394.7 519.6 544.9 703.3 751.5 590.8 771.2 924.3 966.7 930.0 (出所)日本LPガス協会資料より作成 CP : FOB CIF:財務省通関統計 (単位:US$/トン)
25 次に、日本のLP ガスの輸入価格(円ベース)の推移を表20および図20に示す。 2007 年度には円安もあり、79千円台まで上昇したが、その後は円高傾向で 2009 年度 には54千円台まで値下がりした後、2010 年度66千円台、2011 年度72千円台、2012 年度80千円台と徐々に上昇し、2013 年度は史上最高の93千円台になった。 今後は、ガスソースの多様化が進み、米国シェール随伴の安価なLP ガスの輸入が増え るなど、日本のLP ガスの輸入構造に変化が起こっており、従来からの価格指標となって いるCP 制度にも影響が出てくるものと思われる。 , 図3-19:日本のLPガス輸入価格推移(年度平均) 0.0 200.0 400.0 600.0 800.0 1000.0 1200.0 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 CP(プロパ ン) CP(ブタン) 総LPガス(CIF) (US$/ton) (FY) 表3-20:日本のLPガス輸入価格(円ベース)の推移(年度平均) FY 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 総LPガス(CIF) 37,442 36,097 42,056 58,089 63,243 79,617 75,589 54,928 66,348 72,979 80,124 93,157 為替(円/$) 122.21 113.49 107.34 113.06 116.98 114.67 100.51 92.97 86.03 78.96 82.88 100.17 ドル換算 306.37 318.06 391.80 513.79 540.63 694.31 752.05 590.81 771.22 924.25 966.75 929.99 (出所)日本LPガス協会資料より作成 CIF:財務省通関統計 (CIF:円/トン)
26 6)日本のLP ガスの国内流通と備蓄 2014 年 11 月現在(日本 LP ガス協会調べ)、日本には、LP ガスの元売会社が 15 社、 卸売業者が約1,100 社、小売業者が約 21,000 社あり、国内には、輸入業者、ユーザーの 所有する輸入基地(一次基地)が35 ヵ所全国に存在する。 また、LP ガス生産基地として、石油会社の製油所や石油化学会社の工場などが全国 35 ヵ所に存在している。輸入基地からLP ガスが転送されて国内の配送拠点となる二次基地 は全国に40 ヵ所存在している。 LP ガスの備蓄に関して、民間備蓄については、2013 年度で約 150 万トンを達成して おり、今後2014 年度から 2018 年度までの年間需要量の見通し等を踏まえて、1日あた りの輸入量に備蓄義務日数(50 日)を乗じた 150 万トン台を維持する見通しである。一 方、国家備蓄については、2013 年度で 84 万 2 千トンを達成しており、輸入量の約 40 日 分を確保するとの考えから2016 年度には 135 万トン、2017 年度には 150 万トンを目標 としている。 , 図3-20:日本のLPガス輸入価格(円ベース)の推移(年度平均) 0.00 200.00 400.00 600.00 800.00 1,000.00 1,200.00 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000 80,000 90,000 100,000 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 総LPガス(CIF) ドル換算 ($/トン) (FY) (円/トン)
27 3.1 LP ガスの商品先物取引所への上場に向けた課題 3.1.1 過去におけるLP ガスの先物上場検討 平成17年(2005 年)に東京商品取引所(当時の東京工業品取引所)が、当時の中部商 品取引所と共同提唱して、「LP ガスの先物上場検討のための基本調査」を一財)日本エネ ルギー経済研究所に委託して実施している。 その調査において、LPガス市場の発展に向けての目指すべき目標並びにオフショア(輸 入)市場及び国内市場それぞれについて、その問題点とその後の取組みの方向性に関して 提言されている。以下に、提言内容を簡単に示す。 提言内容(要約) 1)目指すべき目標: ① LPガスの海外市況を国内市況に連動させる輸入価格形成の仕組みを構築する。 ② 日本の国内市況を的確に反映できる市場を国内に構築することが必要である。 ③ 日本の国内市場とオフショア市場に一貫性のある価格指標を作り、産ガス国の輸出 価格、海外市況と国内市況が連動する価格形成の仕組みを構築することにより、LP ガスの需要の維持拡大とLPガス産業界の健全化を目指すこと。 2)LPガスオフショア市場について 問題点: ① 我が国の輸入スポット価格が産ガス国の輸出価格の決定に影響を及ぼしていない 点。 ② 海外市況と国内市況は連動していない点。 その後の取組み: ① LPガス産業界、関係者において、新たな取引価格指標の研究、適用の検討が行わ れること。 ② 既存の相対取引市場の活性化を含むオフショア市場活性化(既存市場の利便性向上、 相対取引市場における取引の安全性の確保)の方策の検討。 ③ 取引基盤の整備等により、商品取引所が、産業界を支援することが期待される。 3)LPガス国内市場について 問題点: ① 海外の市況に連動して国内価格が形成される仕組みとなっていない点。 ② 需給を適切に反映した価格形成となっていない点。 ③ 価格変動に対する有効なヘッジ手段が存在しない点。
28 その後の取組み: ① 海外市況を国内市況に連動させる価格形成の仕組みとして、現状の価格体系に代わ る新たな取引価格指標の研究、適用の検討等がなされること。 ② 日本の国内市況を的確に反映できる市場形成の手段として、LPガス先物の上場に 向けた具体的な検討・準備が商品取引所において開始されること。 4)商品取引所を中心とした取組みへのフォローアップ 上記の取組みをより着実なものとするため、商品取引所を中心とし、LPガス産業界は じめ関係者の参加によるフォローアップを早急に進めることが望ましい。 平成17年(2005年)調査当時のLPガスの状況は、国内需要の約75%を賄う輸入LP ガ スは、その80%以上が中東地域からの輸入で、その輸入価格は、1994 年以来、いわゆる CP(Contract Price)通告価格制がとられ、他の競合燃料と比較して総じて高水準、かつ 乱高下する状況にあった。 また、国内流通段階についても、規制緩和に伴うエネルギー間の競争が本格化するなか、 価格面において、将来とも競争力を維持できるのかどうかが問われていた。 しかしながら、輸入価格について、CP に対抗しえる透明性ある価格指標は存在せず、ま た、国内流通においても、LP ガスの仕入・販売は、価格フォーミュラ(CIF リンク、CP リンク)、相対での交渉、国内スポット市場を通じた取引等によるが、これらのうち、財 務省統計CIF にリンクしたフォーミュラによるものが、価格決定の主流をなしていた。 このCPによる調達-CIF による国内販売という方式は、海外調達価格の基準指標と国内 販売価格の基準の間に大きな(1~1.5 ヶ月)時間のずれが生じることにもなり、こうした 基準指標の違い、時間のずれにより、管理不能なマージンの変動リスクが生じていた。 3.1.2 その後の状況・環境の変化 1)LPガスの国内販売方式の変更 CPによる調達-CIF による国内販売方式による、基準指標の違いや時間のずれによるマ ージンの変動リスクを回避した管理をするため、某元売企業が2006年度より、CPによる調 達-CPによる販売方式に変更した。即ち、当月の販売価格ベースを、前月CPと当月CPを 50:50にした。他の元売企業も追随した。 2)最近の世界のLPガス供給構造の変革 ・世界の天然ガス新規プロジェクト(豪州、ロシア、アフリカなど)により、原油随伴 LP ガス(中東依存)から天然ガス随伴の LP ガスに変わり、ガスソースの多様化が進む。 ・米国シェール随伴LP ガスの増産と輸出 ・日本の米国産LP ガスの輸入開始
29 3)LPガスの調達先の変化・多様化 2005年度と現在のLPガスの地域・国別輸入量と構成比の推移は以下のとおりである。 尚、本内容は、3章(7)日本のLPガス市場 2)日本のLPガス輸入の項でも触れている。 2005 年度 中東からの輸入量 1197 万トン 全体輸入量の 85% 中東以外からの輸入は 212 万トン 全体輸入量の 15% 豪州から 108 万トン 7.7%、東ティモールから 2.4 万トン 0.2%、 米国から3.3 万トン 0.2%、インドネシアから 62.7 万トン 4.5% その他から34.7 万トン 2.4% 2012 年度 中東からの輸入量 1105 万トン 全体輸入量の 83.8% 中東以外からの輸入は 214 万トン 全体輸入量の 16.2%(+1.2%) 豪州から 70 万トン 5.3%、東ティモールから 72 万トン 5.4%、 米国から46 万トン 3.5%、インドネシアから 0 トン 0% その他から26 万トン 2.0% 2013 年度 中東からの輸入量 872 万トン 全体輸入量の 76.4% 中東以外からの輸入は 269 万トン 全体輸入量の 23.6%(+7.4%) 豪州から 53 万トン 4.7%、東ティモールから 49 万トン 4.3%、 米国から102 万トン 9.0%、その他から 65 万トン 5.7% 2014 年度 中東からの輸入量 全体輸入量の 76% (上期) 中東以外からの輸入量 全体輸入量の 24%(+0.4%) 豪州から 5%、東ティモールから 4%、米国 12%、その他 3% 上記のように、2012年度、2013年度、2014年度上期の米国からのシェール随伴のLPガ ス輸入シェアが、3.5%, 9.0%, 12%と増加するとともに、2013年度に中東以外からの輸入が 約24%を占め、中東諸国からの輸入が76.4%と初めて80%を切った。2014年度上期も中東 諸国からの輸入は76%である。(数値出所:日本LPガス協会-財務省通関統計) 3.1.3 LP ガスの物流・商流 2013 年度の数字に基づく現状の LP ガスの物流・商流図3.1-1を次ページに示す。 2013 年度の LP ガスの物流をみると、国内供給量約 1,414 万トンの約8割を占める輸入 LP ガス(約 1,141 万トン)は、元売企業(14 社)によって産ガス国から輸入されたもので、 一方、残り2割の国内生産LP ガス(約 273 万トン)は、石油精製企業が原油の精製過程 で分離・抽出したものであり、系列の元売企業に販売される。元売企業は、卸売業者(約 1,100 社)に販売するほかに、直接、需要分野(工業用 323 万トン 21%、化学原料 用277 万トン 18%、都市ガス用 108 万トン 7%、自動車用 108 万トン 7%、電力用 62 万
30 輸入LPガス 国内生産LPガス 1,141万トン 民間備蓄 150万トン (50日分) 273万トン ・ CP+船賃+保険での ・系列元売へCPリンクで販売 国家備蓄 購入が約70% (一部オイルリンク、CIFリンク) 84万トン ・ 残り30%は、FEI と (目標150万トン) MBベースの購入 供給量 需要量 1,414万トン 1,540万トン ・ナフサ リンク 販売 (卸売価格+諸掛) CP:サウジアラムコ社通告のLPガスのFOB価格 FEI:Argus社発表のFar East Index。LPガスの価格指標 MB:米国モント・ベルビューのLPガス価格指標。 RIM:LPガス価格情報配信(日本企業) *大丸エナウィン社「LPガスの流通経路図」を参考に作成。 ・CPリンク販売 ・CPリンク販売
図3.1ー1 LPガスの物流・商流図
(2013年度) 小売事業者 約 21,000社 輸入基地 35カ所 製油所等での石油精製 課程で分離。35カ所 元売 14社 卸売業者 約 1,100社 充填所 2,100カ所 ・CPリンク(CIF+諸掛)での販売が90% ・FEIリンク、RIMリンクでの販売が10% (元売価格+諸掛) 産ガス国 原油国 自動車 用 工業用 家庭業務 用2500万 世帯 一般 家庭等 化学 原料用 電力用 LPガス スタンド 約1,500 カ所 都市ガス 約200社 108万トン (7%) 323万トン (21%) 662万トン (43%) 108万トン (7%) 277万トン (18%) 62万トン (4%)31 トン4%)のユーザーにも販売する。卸売業者は小売事業者(約 21,000 社)に販売するほ か、自動車用のLP ガススタンドや工業用、都市ガス会社にも販売する。また、小売事業者 は家庭業務用として662 万トン(43%)を全国約 2,500 万世帯に販売している。 現状(2013年度)のLPガスの商流をみると、元売企業は、産ガス国からの輸入のうち、 その約7割をCP (FOB)+船賃+保険で購入していると思われ、残り3割をFEIベース(CFR Japan)およびMBベースで購入している模様である。FEI(Far East Index)は、Argus社 が発表している北東アジアにおけるLPガスの価格指標であり、MBは米国モント・ベルビ ューのLPガス価格指標である。 国内石油精製企業からのLPガスは、基本的にはCP価格リ ンク(一部オイルリンク、CIFリンク)で購入していると思われる。 元売企業の国内販売は、CPリンク(CIF+諸掛)での販売が約9割を占め、FEIリンクや RIMリンクでの販売が残り1割と見られている。(RIM社は日本企業で、LPガスの価格情 報を配信している。)ただ、石油化学会社への化学原料としてのLPガスの販売は、石油化 学会社がLPガスをナフサ代替で購入することから、ナフサリンクで販売している。 卸売業者は、元売企業からCPリンク(CIF+諸掛)で購入したLPガス価格に卸売の諸掛 を加えて、小売事業者に販売し、小売事業者は、卸売価格(CPリンク)に小売諸掛を加え て家庭業務用ユーザーに販売する。 因みに、エルピーガス振興センターの「LPガスガイド」による2010年度のLPガスの小売 価格構成は、輸入価格(CIF)が18.7%、元売諸掛が4.5%、卸売諸掛が13.8%、小売諸掛 63.0%となっており、小売段階におけるコストが多い。これは容器配送、保安点検など人手 を要する業務のため、人件費が多くを占めている。 3.1.4 LPガス関連の主要プレーヤー 次ページに、現状のLPガスの供給・流通における主要プレーヤー図を示す。 元売企業は14社で、アストモスエネルギー社は、出光興産と三菱商事の合弁企業であ り、ENEOSグローブ社は、JX日鉱日石エネルギーと三井物産、丸紅の合弁企業である。ジ ャパンガスエナジー社は、JX日鉱日石エネルギーと日商LPガスと伊藤忠エネックスの合弁 企業である。独立系としては岩谷産業が卸売も行っている。また2015年4月には、コスモ石 油ガス、昭和シェル石油、住友商事、東燃ゼネラル石油の4社によるLPガス部門の統合が 予定されている。 卸売業者は、全国に約1,100社あり、代表的な企業としては、ミツウロコ・グループ、 日本瓦斯、TOKAIホールディングス、伊藤忠エネックス、エネサンスホールディングスな どである。小売事業者は、全国に約21,000社ある。 LPガスの国内生産は、JX日鉱日石エネルギー、出光興産、コスモ石油、東燃ゼネラル石 油などの石油精製企業が行っている。化学原料としてLPガスを購入している石油化学企業 は、三菱化学、三井化学、昭和電工、旭化成ケミカルズ、東ソーなどで、その他、都市ガ スの火力増強用として購入している都市ガス会社が約200社である。
32 輸出国 (千トン) LPG元売(14社) 家庭業務用 43% カタール 10,600 アストモスエネルギー プロパンをボンベで供給 米国 9,100 LPG事業者(元売14社) ENEOSグローブ 工業用 21% UAE 8,500 アストモスエネルギー(出光、三菱商事) 岩谷産業 金属加熱用・食品乾燥用 サウジアラビア 7,700 ENEOSグローブ(JX日鉱、三井物産、丸紅) ジャパンガスエナジー 自動車用 7% ノルウェー 4,900 ジャパンガスエナジー(JX日鉱,日商,伊藤忠エネ) コスモ石油ガス LPガス車25万台 アルジェリア 4,900 コスモ石油ガス 全国農業協同組合連合、他 都市ガス用 7% クウェート 4,300 岩谷産業 (2015年4月 コスモ石油ガス+昭和シェル 火力増強用 イギリス 2,000 エスケイ産業 +住商+東燃ゼネラルの4社統合) 化学原料用 18% ナイジェリア 2,000 キグナス液化ガス ナフサ代替(ブタン) 豪州 1,900 全国農業協同組合連合 電力用 4% イラン 900 EMGマーケティング合同会社 LPG卸売業者(約1,100社) その他 6,500 住友商事 ミツウロコグループ 昭和シェル石油 日本瓦斯 電力事業者 中東計 32,000 太陽石油 TOKAIホールディングス 伊藤忠商事 伊藤忠エネクス 都市ガス会社 東京ガス エネサンスホールディングス、他 (約200社) 石油化学会社 三菱化学 石油精製会社 LPG小売事業者(約21,000社) 三井化学 JX日鉱日石エネルギー 昭和電工 出光興産 旭化成ケミカルズ コスモ石油 東ソー 東燃ゼネラル石油 出所:日本LPガス協会、各社HP、新聞報道等 日本触媒 太陽石油 東燃化学、他 【日本の需要分野】 15,390千トン(2013年度) 火力発電所のバックアップ燃料 図3.1-2 LPガスの供給・流通における主要プレーヤー図 63,300 千トン(2013年) 【世界のLPガス輸出】 15,504 千トン (2013年度) 【LPG元売・卸売・小売】 【国内生産】 2,733 千トン(2013年度) 【日本の供給量】 14,141千トン(2013年度) 【日本の輸入】 11,408 千トン(2013年度)
33 3.1.5 LP ガスの商品先物取引所への上場に向けた課題の再検討 2006年度より、CPによる調達-CPによる販売方式に変更されたこと、ここ数年で米国 からのシェール随伴のLPガス輸入が増加し、中東からのCPベースの輸入シェアが80%を 切ったことなどの環境変化が起こっている。 また、2014年の「LPガス国際セミナー」における日本LPガス協会の見通しでは、日本の 米国からの輸入量が2017年には約25%に相当する300万トン規模に達するとのことである。 また、コンサルタント会社のFacts Global Energy社(本社ロンドン)は、アジア市場にお ける米国産のLPガスのシェアが本格的に高まる2017年頃から影響が強まり、CP価格体系の 調整も行われるとの見方を示しているように、米国産のLPガス輸入が増えて、購入ソース が多様化していくことで、近い将来には、CP価格体系に影響を及ぼすことが予想される。 ただ、現状のLPガスの商流を見ると、販売に関しては、未だ約90%はCPリンクで販売 されており、上記の環境変化がCP通告制に何らかの影響を与えるまでには至っていないと 考えられ、現状は、平成17年に検討された「LPガスの先物上場検討のための基本調査」 において提言された、その問題点とその後の取組みの方向性に関しては変わっていないと 判断される。