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LP ガスの商品先物取引所への上場に向けた課題

ドキュメント内 平成26年度石油産業体制等調査研究 (ページ 34-41)

3. LP ガス市場の現状

3.1 LP ガスの商品先物取引所への上場に向けた課題

3.1.1 過去におけるLPガスの先物上場検討

平成17年(2005年)に東京商品取引所(当時の東京工業品取引所)が、当時の中部商 品取引所と共同提唱して、「LPガスの先物上場検討のための基本調査」を一財)日本エネ ルギー経済研究所に委託して実施している。

その調査において、LPガス市場の発展に向けての目指すべき目標並びにオフショア(輸 入)市場及び国内市場それぞれについて、その問題点とその後の取組みの方向性に関して 提言されている。以下に、提言内容を簡単に示す。

提言内容(要約)

1)目指すべき目標:

① LPガスの海外市況を国内市況に連動させる輸入価格形成の仕組みを構築する。

② 日本の国内市況を的確に反映できる市場を国内に構築することが必要である。

③ 日本の国内市場とオフショア市場に一貫性のある価格指標を作り、産ガス国の輸出 価格、海外市況と国内市況が連動する価格形成の仕組みを構築することにより、LP ガスの需要の維持拡大とLPガス産業界の健全化を目指すこと。

2)LPガスオフショア市場について 問題点:

① 我が国の輸入スポット価格が産ガス国の輸出価格の決定に影響を及ぼしていない 点。

② 海外市況と国内市況は連動していない点。

その後の取組み:

① LPガス産業界、関係者において、新たな取引価格指標の研究、適用の検討が行わ

れること。

② 既存の相対取引市場の活性化を含むオフショア市場活性化(既存市場の利便性向上、

相対取引市場における取引の安全性の確保)の方策の検討。

③ 取引基盤の整備等により、商品取引所が、産業界を支援することが期待される。

3)LPガス国内市場について 問題点:

① 海外の市況に連動して国内価格が形成される仕組みとなっていない点。

② 需給を適切に反映した価格形成となっていない点。

③ 価格変動に対する有効なヘッジ手段が存在しない点。

28 その後の取組み:

① 海外市況を国内市況に連動させる価格形成の仕組みとして、現状の価格体系に代わ る新たな取引価格指標の研究、適用の検討等がなされること。

② 日本の国内市況を的確に反映できる市場形成の手段として、LPガス先物の上場に 向けた具体的な検討・準備が商品取引所において開始されること。

4)商品取引所を中心とした取組みへのフォローアップ

上記の取組みをより着実なものとするため、商品取引所を中心とし、LPガス産業界は じめ関係者の参加によるフォローアップを早急に進めることが望ましい。

平成17年(2005年)調査当時のLPガスの状況は、国内需要の約75%を賄う輸入LP ガ スは、その80%以上が中東地域からの輸入で、その輸入価格は、1994 年以来、いわゆる CP(Contract Price)通告価格制がとられ、他の競合燃料と比較して総じて高水準、かつ 乱高下する状況にあった。

また、国内流通段階についても、規制緩和に伴うエネルギー間の競争が本格化するなか、

価格面において、将来とも競争力を維持できるのかどうかが問われていた。

しかしながら、輸入価格について、CP に対抗しえる透明性ある価格指標は存在せず、ま た、国内流通においても、LP ガスの仕入・販売は、価格フォーミュラ(CIF リンク、CP リンク)、相対での交渉、国内スポット市場を通じた取引等によるが、これらのうち、財 務省統計CIF にリンクしたフォーミュラによるものが、価格決定の主流をなしていた。

このCPによる調達-CIF による国内販売という方式は、海外調達価格の基準指標と国内 販売価格の基準の間に大きな(1~1.5 ヶ月)時間のずれが生じることにもなり、こうした 基準指標の違い、時間のずれにより、管理不能なマージンの変動リスクが生じていた。

3.1.2 その後の状況・環境の変化

1)LPガスの国内販売方式の変更

CPによる調達-CIF による国内販売方式による、基準指標の違いや時間のずれによるマ

ージンの変動リスクを回避した管理をするため、某元売企業が2006年度より、CPによる調 達-CPによる販売方式に変更した。即ち、当月の販売価格ベースを、前月CPと当月CPを 50:50にした。他の元売企業も追随した。

2)最近の世界のLPガス供給構造の変革

・世界の天然ガス新規プロジェクト(豪州、ロシア、アフリカなど)により、原油随伴LP ガス(中東依存)から天然ガス随伴のLPガスに変わり、ガスソースの多様化が進む。

・米国シェール随伴LPガスの増産と輸出

・日本の米国産LPガスの輸入開始

29 3)LPガスの調達先の変化・多様化

2005年度と現在のLPガスの地域・国別輸入量と構成比の推移は以下のとおりである。

尚、本内容は、3章(7)日本のLPガス市場 2)日本のLPガス輸入の項でも触れている。

2005年度 中東からの輸入量1197万トン 全体輸入量の85%

中東以外からの輸入は212万トン 全体輸入量の15%

豪州から108万トン7.7%、東ティモールから2.4万トン0.2%、

米国から3.3万トン0.2%、インドネシアから62.7万トン4.5%

その他から34.7万トン2.4%

2012年度 中東からの輸入量1105万トン 全体輸入量の83.8%

中東以外からの輸入は214万トン 全体輸入量の16.2%(+1.2%)

豪州から70万トン5.3%、東ティモールから72万トン5.4%、

米国から46万トン3.5%、インドネシアから0トン0%

その他から26万トン2.0%

2013年度 中東からの輸入量872万トン 全体輸入量の76.4%

中東以外からの輸入は269万トン 全体輸入量の23.6%(+7.4%)

豪州から53万トン4.7%、東ティモールから49万トン4.3%、

米国から102万トン9.0%、その他から65万トン5.7%

2014年度 中東からの輸入量 全体輸入量の76%

(上期) 中東以外からの輸入量 全体輸入量の24%(+0.4%)

豪州から5%、東ティモールから4%、米国12%、その他3%

上記のように、2012年度、2013年度、2014年度上期の米国からのシェール随伴のLPガ ス輸入シェアが、3.5%, 9.0%, 12%と増加するとともに、2013年度に中東以外からの輸入が 約24%を占め、中東諸国からの輸入が76.4%と初めて80%を切った。2014年度上期も中東 諸国からの輸入は76%である。(数値出所:日本LPガス協会-財務省通関統計)

3.1.3 LPガスの物流・商流

2013年度の数字に基づく現状のLPガスの物流・商流図3.1-1を次ページに示す。

2013年度のLPガスの物流をみると、国内供給量約1,414万トンの約8割を占める輸入 LPガス(約1,141万トン)は、元売企業(14社)によって産ガス国から輸入されたもので、

一方、残り2割の国内生産LPガス(約273万トン)は、石油精製企業が原油の精製過程 で分離・抽出したものであり、系列の元売企業に販売される。元売企業は、卸売業者(約 1,100社)に販売するほかに、直接、需要分野(工業用323万トン21%、化学原料 用277万トン18%、都市ガス用108万トン7%、自動車用108万トン7%、電力用62万

30

輸入LPガス 国内生産LPガス

1,141万トン 民間備蓄

150万トン

(50日分) 273万トン

・ CP+船賃+保険での ・系列元売へCPリンクで販売

国家備蓄 購入が約70% (一部オイルリンク、CIFリンク)

84万トン ・ 残り30%は、FEI と

(目標150万トン) MBベースの購入

  供給量 需要量

  1,414万トン 1,540万トン

・ナフサ リンク

        販売

(卸売価格+諸掛)

CP:サウジアラムコ社通告のLPガスのFOB価格 FEI:Argus社発表のFar East Index。LPガスの価格指標 MB:米国モント・ベルビューのLPガス価格指標。

RIM:LPガス価格情報配信(日本企業)

*大丸エナウィン社「LPガスの流通経路図」を参考に作成。

・CPリンク販売

・CPリンク販売

図3.1ー1 LPガスの物流・商流図

(2013年度)

小売事業者 約 21,000社 輸入基地

35カ所

製油所等での石油精製 課程で分離。35カ所

元売 14社

卸売業者 約 1,100社

充填所 2,100カ所

・CPリンク(CIF+諸掛)での販売が90% ・FEIリンク、RIMリンクでの販売が10%

  (元売価格+諸掛)

産ガス国 原油国

自動車

用 工業用

家庭業務 用2500万 世帯

一般 家庭等

化学

原料用 電力用

LPガス スタンド 1,500

カ所 都市ガス

200

108万トン

7%)

323万トン

21%)

662万トン

43%)

108万トン

7%)

277万トン

18%)

62万トン

4%)

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トン4%)のユーザーにも販売する。卸売業者は小売事業者(約21,000社)に販売するほ

か、自動車用のLPガススタンドや工業用、都市ガス会社にも販売する。また、小売事業者 は家庭業務用として662万トン(43%)を全国約2,500万世帯に販売している。

現状(2013年度)のLPガスの商流をみると、元売企業は、産ガス国からの輸入のうち、

その約7割をCP (FOB)+船賃+保険で購入していると思われ、残り3割をFEIベース(CFR Japan)およびMBベースで購入している模様である。FEI(Far East Index)は、Argus社 が発表している北東アジアにおけるLPガスの価格指標であり、MBは米国モント・ベルビ ューのLPガス価格指標である。 国内石油精製企業からのLPガスは、基本的にはCP価格リ ンク(一部オイルリンク、CIFリンク)で購入していると思われる。

元売企業の国内販売は、CPリンク(CIF+諸掛)での販売が約9割を占め、FEIリンクや RIMリンクでの販売が残り1割と見られている。(RIM社は日本企業で、LPガスの価格情 報を配信している。)ただ、石油化学会社への化学原料としてのLPガスの販売は、石油化 学会社がLPガスをナフサ代替で購入することから、ナフサリンクで販売している。

卸売業者は、元売企業からCPリンク(CIF+諸掛)で購入したLPガス価格に卸売の諸掛 を加えて、小売事業者に販売し、小売事業者は、卸売価格(CPリンク)に小売諸掛を加え て家庭業務用ユーザーに販売する。

因みに、エルピーガス振興センターの「LPガスガイド」による2010年度のLPガスの小売 価格構成は、輸入価格(CIF)が18.7%、元売諸掛が4.5%、卸売諸掛が13.8%、小売諸掛 63.0%となっており、小売段階におけるコストが多い。これは容器配送、保安点検など人手 を要する業務のため、人件費が多くを占めている。

3.1.4 LPガス関連の主要プレーヤー

次ページに、現状のLPガスの供給・流通における主要プレーヤー図を示す。

元売企業は14社で、アストモスエネルギー社は、出光興産と三菱商事の合弁企業であ

り、ENEOSグローブ社は、JX日鉱日石エネルギーと三井物産、丸紅の合弁企業である。ジ

ャパンガスエナジー社は、JX日鉱日石エネルギーと日商LPガスと伊藤忠エネックスの合弁 企業である。独立系としては岩谷産業が卸売も行っている。また2015年4月には、コスモ石 油ガス、昭和シェル石油、住友商事、東燃ゼネラル石油の4社によるLPガス部門の統合が 予定されている。

卸売業者は、全国に約1,100社あり、代表的な企業としては、ミツウロコ・グループ、

日本瓦斯、TOKAIホールディングス、伊藤忠エネックス、エネサンスホールディングスな どである。小売事業者は、全国に約21,000社ある。

LPガスの国内生産は、JX日鉱日石エネルギー、出光興産、コスモ石油、東燃ゼネラル石 油などの石油精製企業が行っている。化学原料としてLPガスを購入している石油化学企業 は、三菱化学、三井化学、昭和電工、旭化成ケミカルズ、東ソーなどで、その他、都市ガ スの火力増強用として購入している都市ガス会社が約200社である。

ドキュメント内 平成26年度石油産業体制等調査研究 (ページ 34-41)