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LP ガス取引状況及び LP ガス先物取引に関する海外ヒアリング

ドキュメント内 平成26年度石油産業体制等調査研究 (ページ 45-74)

3. LP ガス市場の現状

3.3 LP ガス取引状況及び LP ガス先物取引に関する海外ヒアリング

海外企業等へのヒアリング内容を整理し、まとめる。

(1)石油化学業界団体 AFPM(American Fuel & Petrochemical Manufacturers)

AFPMは、米国の石油会社および石油化学会社の業界団体である。AFPMには、およ そ50社の石油化学企業が登録している。石油化学工業は装置産業であり、巨額の資金 を必要とすることから、登録企業は大企業が多く、中小企業は少ない。

AFPMは各種情報データ(生産関連情報が主体で、価格情報を除く)を収集し、会員 会社に提供しているほか、外部には有料で販売もしている。

1)ガス使用の現状

石油化学工業における基礎化学品であるエチレンは、米国では、その約70~80%

がエタンから生産され、残り約30~20%がナフサやLPガス(主にプロパン)から 生産される。LPガス(プロパン)は、エチレン生産用としては、ナフサ代替で使われ るが、プロパンは脱水素反応をさせてプロピレンの生産に使われることが多い。

2014年の使用量・生産量:

-エチレン生産用に使われたエタンの量:約480億ポンド(約2176万トン)

-エチレン生産用に使われたLPガス(プロパン)の量:約203億ポンド(約920万トン)

-石油精製過程で分離されたLPガス(プロパン)の量:約179億ポンド(約812万トン)

-化学処理(ナフサ・クラッキングやプロパンの脱水素処理)により生産された プロピレンの量:約121億ポンド(約549万トン)

2017年から2020年かけて、改造・新設のエチレン生産プラントが稼働することから、

エタンの使用量が大幅に増えると予想されるが、同時に、プロパンの使用も増える可能 性がある。

2)ガスの購入形態と購入価格

2008 年頃の天然ガス価格(ヘンリー・ハブ)は、12ドル/MMBTU くらいしてい たが、現在は3~4ドル/MMBTUと安くなっている。

石油化学企業は、通常、ガス会社から、天然ガス(主成分はメタン)から分離され たエタンやプロパンの長期契約をして堅実な量を購入している。一方、ガス会社は顧 客への供給用パイプライン敷設等の建設投資の回収を長期契約で担保しておく必要が ある。具体的な購入価格メカニズム等価格に関する情報については、反トラスト法の 関係で、情報開示できない。(価格については、例えば、ヘンリー・ハブ価格の月平均 などをベースに、分離コスト、パイプライン輸送コスト等を加えたものと予想する。)

39 3)ガスの先物ヘッジに関して

石油化学企業は、先物ガス価格を固定し、利益確定の意味から、商品取引所(例え ば、NYMEXなど)で先物ヘッジをしている。

4)日本の先物市場に関して

日本はガスをほとんど輸入していると認識しているが、輸入品の先物市場は、日本 国内の需給とは無関係に変動し、サプライヤー次第だろうから、難しいのではないか。

5)その他

-LP ガス(主にブタン)が自動車用にも使われているが、主に、巡回バスと配達用ト ラックである。これらの自動車は、天然ガスとの共用車である。

-LNG輸出に関して、米国政府が、申請毎に審査して、ケース・バイ・ケースで輸出許 可を与えており、2017年以降、LNGの輸出が増えるだろう。

-(サイド情報)LPガスは、LNGと違い、輸出許可制ではないこともあり、シェール・

ガス由来のLPガスの米国からの輸出が急増している。

(2)ブローカー GINGA Petroleum (S) Pte Ltd.

GINGA Petroleum社は、シンガポールに本社を置くエネルギー関連仲介業者で、石油、

化学品、石油の金融派生商品等を含むエネルギーに関するマーケット情報に詳しいこと から、日本で石炭・LPガスの先物市場を立ち上げるに当たっての課題等に関して、

関連情報やこれまでの経験を踏まえたアドバイス・見解を聴取した。

1)先物市場をつくる目的

先物市場をつくる目的をはっきりさせることが重要である。目的には3つあり、ど れを一番の目的とするのかが大事である。

①価格発見(discover)のため

普通のフューチャーズでもいい。現物を伴う売買。

②ヘッジのため

・価格ヘッジ

価格ヘッジのためだけであるなら、普通のフューチャーズは余り意味がないし、

やりづらい。現物のデリバリーを伴わないペーパー取引といわれるデリバティブ、

俗にいうスワップスがベターである。フューチャーズにするかOTCにするかは別 にして、スワッップスのマーケットをつくって行くのがいい。ただ、スワップス の場合は、取引の基準とする、既にある信頼される価格指標が必要になる。例え

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ば、CPとかPlattsとかArgusとかRIMとか。ただし、スワップスでは価格発 見はできない。

・物のヘッジ

このことを考えるなら、現物デリバリーが伴うので、普通のフューチャーズは意 味がある。

③相場をつくって取引を活性化させるため

スペキュレーターの相場を考えると、フィジカル(現物)が伴うとやりにくくな る。

2013年11月にTOCOM(東京商品取引所)と合弁でつくったJOE(Japan OTC

Exchange)は、LNGの日本の価格発見が目的である。普通の先物売買取引であり、

スワップスはできない。

2)LPガスの価格フロー

日本のLPガスの現在の価格フローは、以下のようになっている。

現在、元売の国内販売価格は、前月CP価格と当月CP価格を足して2で割り、それ にプラスαコスト(船賃と諸掛)をほぼ年間固定金額で上乗せして販売する形を取っ ている。このαコストは、船賃の変動をある程度吸収できるように余裕を持たせた金 額に設定されている。

LPガスの元売業界は、競争が少なく、しかも合併で競争力を上げている。今度のコ スモ石油ガス、昭和シェル石油等4社の統合も然りである。石油精製企業はその精製 過程で出来るLPガスを系列元売に売っている。

このように、非常に競争が少ないので、これまで何度か先物市場を創ろうという話 が出ていながら出来ないのは、関係者を皆が知っていて、誰が先物市場を使うのかと いうことが理由であった。

3)LPガスの既存スワップ取引 ― 国内先物市場について 日本のLPG価格フロー

LPG 積地

価格ベース 価格指標 割合 価格指標 リンク割合

中東 CP価格

中東以外 FEI (Far East Index、Argus)

CP価格 CFR Japan (合わせて約10%)

RIMリンク 米国

MB価格 (ほとんどゼロ)

輸入者(元売) 国内マーケット(卸売)

(昔100%、今は90%)

30-20% FEIリンク CP+コスト(船賃+諸掛) 60-70% CPリンク 

MB (米モントベルビュー) 約10% MBリンク

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・輸入者(元売)は、CPで買ってCPリンクで売るので、若干のタイミングのずれは あるが基本的には問題ない。αコスト(船賃と諸掛)を抑えることに努力している。

・一方、国内マーケットの大手需要家(石油化学会社、電力会社、ガス会社)にとっ ては、CPリンクで買っているので、CPの絶対値の振れが大きいため、(予算との関 係等で)このCPをどこかのタイミングで絶対値(固定値)に変えたいという要望が ある。そのため、大手需要家は、CPスワップをやっている。

・CPスワップは、主に外資系銀行(モルガンスタンレー銀行など)が行っている。大 手トレーダー(ビトール、グレンコールなど)もやるが、日本側の数量が少なく、

また1年間というマーケット条件があるため余りない。

・この銀行がやっているCPスワップのマーケットの代わりに、日本に国内先物市場を 創るかということである。CPのペーパー取引である。

・大手需要家の中でも、石油化学会社は、LPガスを元売からナフサリンクで購入して おり、その時のナフサ価格マイナス幾らという形で買っている。従い、この場合は、

元売がヘッジをしていないといけない。元売はCPで買ったものをナフサリンクで売 るため、金融機関を使ってCPをナフサリンクに変えている。

・輸入者のところでは、既に先物のマーケットができている。CPスワップやFEIス ワップ、それにMOPJスワップ(Mean of Platts Japan = ナフサリンク)など。こ れらの先物マーケットは、シンガポールやロンドンに拠点を置くブローカーが介在 するマーケットである。これに新しくMBスワップもできた。このように、現実的 に大きなマーケットがあるので、輸入業者・元売はヘッジのためのニーズは十分カ バーできている。

・従い、オフショア(輸入価格)の先物マーケットを作っても余り意味がないだろう。

以前にLPGの先物マーケットを作ろうとした時にも議論されたはずで、輸入のとこ ろなのか、国内のマーケットなのかと。その時、輸入のところは余り意味がないと いうことで、国内マーケットを作ろうということになったが、それでは、誰が使う のかいうことになった。誰が参加して、誰がやるのというところがポイントだった。

・国内先物マーケットを誰が使うか。

民生用は卸業者、小売業者がCPリンクで、プラスαの部分を大きく取って売って いる世界であり、価格の柔軟性(変動)を余り求めない。CPが動いてもα部分で吸 収しているので、大体同じ値段になっている。また、石油化学会社は、輸入者(元 売)がリスクを取ってナフサリンクで売っているので、そこに先物の発想はない。

従って、国内需要の残り2~3割のところで、先物マーケットができるのかという ことである。

・また、LPガスの国内市場は、需要がどんどん増えていくというより、頭打ちの状況 であり、先物市場は何のために作るのか。スペキュレーターのためか。一般の投資 家がどんどん入って来るとは思えない。

4)LPガスの物流

ドキュメント内 平成26年度石油産業体制等調査研究 (ページ 45-74)