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石炭取引状況及び石炭先物取引に関する海外ヒアリング

ドキュメント内 平成26年度石油産業体制等調査研究 (ページ 88-99)

3. LP ガス市場の現状

4.3 石炭取引状況及び石炭先物取引に関する海外ヒアリング

海外企業等へのヒアリング内容を整理し、まとめる。

(1)電力企業 Southern Company

米国の民間発電事業者の大手で、米国のSoutheast地域をテリトリーとする。Southern Coは、4つの州に4つの電力子会社Alabama Power, Georgia Power, Gulf Power, Mississippi Powerを持ち、他に、卸専業のSouthern Power と原子力発電会社の Southern Nuclearを持つ。2013年末での発電能力は45,500メガワットで、顧客数は440 万に上る。(参考:2014年東京電力の発電能力が約68,500メガワット、中部電力が約 34,000メガワット)

1)石炭取引の現状

石炭は、2007年には発電燃料の69%を占めていたが、石炭燃焼の排出規制強化や安 価なシェール・ガスにより年々その使用比率は落ちており、2014年では40%まで減少 し、更に2016年の予測では34%まで減少すると見ている。

石炭は、国内炭が90%以上で、一部は南米コロンビアから輸入。石炭の購入量は、

2007年の約7,700万トンから、2013年4,000万トン、2014年4,500万トンと推移。

因みに、日本企業を見てみると、2013年度の中部電力の石炭使用量は約1,000万トン で、電源開発が約2,100万トン。

2)石炭の購入形態と購入価格

石炭の市場価格は、山元毎に、その硫黄分などや熱量の違いから異なっており、2008 年にトン当たり$130近くまで上昇したが、リーマンショックで下落し、現状は$40~

$60/トンで推移。

石炭の購入量の75%は、各山元と大体1年~5年の長期の個別契約による購入で、

残り25%はスポット契約による購入。長期契約は、各山元の市場価格とArgusなどの

石炭価格指標を参考に決めている。コロンビアからの輸入炭はArgusの価格指標API 2

(CIF ARAヨーロッパ)を参考に決めている。

3)石炭の先物ヘッジに関して

石炭の先物ヘッジは、山元によって契約年ごとにヘッジ率を変えている。ベースロ ードとなる山元に関しては、4年契約の場合、1年目数量の80-95%をヘッジし、2年 目数量は60-80%を、3年目数量は40-60%を、4年目数量は20-40%をヘッジする。

中間的な山元は、1年目数量の70-85%をヘッジし、2年目数量は50-70%を、3年目 数量は30-50%を、4年目数量は0-30%をヘッジする。

先物ヘッジについては、商品先物市場(例えば、NYMEXなど)は利用していない。

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代わりに銀行(例えば、モルガン・スタンレー銀行)などとファイナンシャル・ヘッジ

(ペーパー取引)をして、先物価格を固定しており、先物リスクは銀行が負っている。

銀行の場合、手数料は要らない。

4)電力自由化時の対応等について

・電力自由化はRegion(地域・州)によって違っている。一部対象になっていないエ リアやまだ以前のレギュレーションに従っているところもある。

・既存の発電キャパシティを維持するためにも、また、新しく発電設備を造った場合 でも、その建設コストを回収するためにも、長期契約をする必要がある。

・日本の電力自由化で重要なのは、発電キャパシティの維持と起こりうる競争を踏ま えて、長期的に考えて進めることである。電力構造が違えば、方策も違ってくるの で、短期的に捉えず、長期的に対処すべきである。ただ、既存の発電会社が完全自 由の下で、大きな資本を使って動くとすれば、ピュアーな競争は起きないかもしれ ない。

・政府は、必要な施策を実施することで、起こりうる競争によって、一般ユーザーの 利益に寄与することになる。

・米国北東部では、トランスミッション(送電)会社が、発電会社からの電気をユー ザーと契約し、料金を徴収したりしているが、我々Southern Co は自分でユーザー と契約し、請求、料金徴収まで行っている。

・Southern Co は、余分な電気はマーケットで売り、電気が安い場合は、マーケット で買って、競争力のある電力価格を州の規則に従って計画的に販売している。

(2)セメント企業 Heidelberg Cement

ドイツの世界的セメント企業で、東欧やロシアにもセメント工場を有し、2013年のセ メントおよびクリンカーの世界市場における販売量は9,130万トンである。

1)石炭取引の現状

ドイツ国内のハイデルベルクセメントに限ってみると、年間の燃料構成は、おお よそ以下のようになっている。

・通常の石炭 5万トン ・褐炭 20万トン ・石油コークス 5万トン その他の代替燃料として、

・タイヤ、プラスティック、スラッジ他で 90万トン

これに加え、1 TWhの電力と200GWhの天然ガスを使用する。電力と天然ガス はOTCで購入している。

83 2)石炭の購入形態と購入価格

石炭に関しては、Coal Index Price (Argus 発表のAPI 2, API 4)を毎日チェックし、

Spot Priceの安いところで値決めをしている。関係会社のハイデルベルク・トレーデ

ィングが、実取引に関与している。

3)石炭の先物取引

石炭については、品質が異なるので、OTCではなく、インデックス・プライスでヘ ッジしている。

(3)ブローカー

1)globalCOAL

石炭のブローカー(仲介)ビジネスが基本で、2001年設立のインターネットを利 用した世界規模の会員制電子取引市場で、フィジカル(現物)とファイナンシャル(ペ ーパー)の両方をやっている。

2014年は5,000~6,000万トンの一般炭(現物)を商いした。世界に170社の顧 客がおり、日本の顧客も14社くらい。買い方は、EDF(フランス)、E.On(ドイ ツ)、RWE(ドイツ)などの発電会社で、売り方は、Anglo American(英国)や BHP Billiton(豪州)など鉱山会社、グレンコア(スイス)やトラフィグラ(スイ ス)などのトレーディング会社、マッコーリー(豪州)やゴールドマン・サックス

(米国)などの銀行などの参加で流動性が増している。日本の会社は、中部電力、

東北電力、電源開発、三菱RtM、三井物産など。globalCOALの主要業務はロン ドンでしているが、事務所がシンガポールとインドにあり、レポートやデータの提 供サービスなどもやっている。豪州Newcastle積みの一般炭(FOB )のインデック スが価格指標として定着している。

また、globalCOAL のStandard Coal Trading Agreement (SCoTA) が燃料用一 般炭取引の契約標準として認識され、2,000社以上にライセンシングされている。

1.1)石炭トレーディングについて

フィジカル・コールのヘッジングは、スクリーン・トレーディングで行われる。

① 固定価格契約:1か月から4~5年間(1年半~2年が多い)の先物期日で、

売り方、買い方の価格・数量提示で決まる。将来の価格変動リスクがある。

② INDEXを使う方式:globalCOALが示すニューキャッスル積みの石炭価格イ

ンデックスに対して、売り方、買い方が、例えば、+1$とか-0.5$とかを提 示して決まる。これは、差額を毎月セトルしなければならない。

インデックスを使って、1年先とか2年先に石炭を幾らで何万トン欲しいとす ると、量は押さえたが、価格が決まっていないので、その間により短期のデリ

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バティブでヘッジしていく。例えば、3ヶ月ごとの市場の動きを見ながらヘッ ジしていく。物理的なトランズアクションが無く、ペーパーで済む。

1.2)日本での石炭先物市場について

東京では、フィジカルな現物取引なのか、ファイナンシャルなペーパー取引なの か。石炭はバルクものなので、フィジカル取引を目指すことは非常に困難を伴う。

globalCOALは、それをやろうとしており、そうすることによって、もっともっと

人が、トレーダーが入って来られる。彼らの取引は、フィジカル・セツルメントが マジョリティ(90%以上)で、5,000~6,000万トンを扱い、ペーパー取引は400 万トンほどで、先物市場での現物清算を狙っている。

globalCOALは、何らかのアシストはできると思う。

1.3)globalCOALシンガポールについて

アジアでの石炭インデックスは、globalCOAL発表のニューキャッスル積み価格 インデックスが圧倒的に採用されており、アジアのデリバティブのほとんどがニュ ーキャッスル積みである。globalCOALのアジアでのフィジカル・トレーディング

の約50%をシンガポールが取り扱い、残りをロンドンが扱っている。アジアでの

ペーパー取引はほとんどをロンドンが扱っている。

2)GINGA Petroleum (S) Pte Ltd.

GINGA Petroleum社は、シンガポールに本社を置くエネルギー関連仲介業者で、石油、

化学品、石油の金融派生商品等を含むエネルギーに関するマーケット情報に詳しいことか ら、日本で石炭・LPガスの先物市場を立ち上げるに当たっての課題等に関して、関連情 報やこれまでの経験を踏まえたアドバイス・見解を聴取した。

2.1)先物市場をつくる目的

石炭の先物市場をつくる目的をはっきりさせることが重要である。どれを一番の目 的とするのかが大事である。

① 価格発見(discover)のため

普通のフューチャーズでもいい。現物を伴う売買。

② ・価格ヘッジ

価格ヘッジのためだけであるなら、普通のフューチャーズは余り意味がないし、

やりづらい。現物のデリバリーを伴わないペーパー取引といわれるデリバティ ブ、俗にいうスワップスがベターである。フューチャーズにするかOTCにする かは別にして、スワッップスのマーケットをつくって行くのがいい。ただスワ ップスの場合は、取引の基準とする、既にある信頼される価格指標が必要にな

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る。例えば、アーガス・マクロスキーとかグローバルコールとか。ただ、スワ ップスでは価格発見はできない。

・数量ヘッジ

このことを考えるなら、現物デリバリーが伴うので、普通のフューチャーズは 意味がある。

③ スペキュレイト・マーケットを作る

一般投資家も呼び込む先物マーケット。ただ、OTCもあって、金融業者や現物 のペーパートレーダーもいる。

JOE (Japan OTC Exchange) のようなOTCとするのか、TOCOM(東京商品取引 所)のガソリンのような先物取引とするかは、目的に合わせて決まる。現業者にとって は、OTCの方は使いやすいし、先物市場であっても、ボリュームが多くないと使いづ らい。

何を目的として、どういう風に作るかという設計をして、それに合わせたマーケット を作っていくことが重要であり、今回は、基本的には将来の価格の安定化のための価格 ヘッジのマーケットを作ることだと思う。

2.2)石炭の先物市場について

今回の石炭の先物市場は、スパーク・スプレッドでやっていくためのものを作って いくのだと思う。

電力、LNG、原油、石炭の先物市場において、例えば、電力を売って、LNGを買っ て価格を固定させて、利益を確定していくことが、ある程度の部分はヘッジしていける というスパーク・スプレッドを作っていくためにも、石炭の先物市場が必要と見ている。

石炭の日本着(CFR Japan)ベースの先物マーケットを作っていくのか。私見では

あるが、non-deliverable forward marketにした方がいいのではないか。ペーパー取引 ではあるが、取引単位を大きくして、現物を扱っている人たちにある程度使いやすいマ ーケットにする。取引単位が小さいと現物のヘッジなどに不便である。

また、石炭の品質がばらばらであるのを一つにしようとすれば、いろいろと弊害がで

てくる。従い、OTCのnon-deliverable forward marketにすればよいと思う。物を渡 さなくてよいので。フューチャーズにしたとしても、ICEのブレントと同じような non-deliverable futuresにするか。もうひとつは、スワップスのマーケットをつくる か。OTCかフューチャーズでもいいが、どの信頼できる価格インデックスにするのか。

2.3)石炭のスワップス取引における価格指標 ・グローバルコールについて:

グローバルコールの指標は、元々石炭生産者のマーケット価格であったため、出て くる指標が操作されたりしていたので、関係者の間では嫌って使用しない者もいたが、

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