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論文内容要旨

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Academic year: 2021

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論文内容要旨

シスプラチンを含む高度催吐性化学療法における最適な制吐療法の開発 薬学専攻 医薬情報解析学 鈴木 賢一

2010

年、抗悪性腫瘍薬に起因する悪心嘔吐(chemoterapy induced nausea

and vomiting: CINV

)に対する新しい制吐薬として、パロノセトロン

(palonosetron: PALO)が発売された。悪心嘔吐の原因物質であるセロトニン

受容体への結合を競合的に阻害する薬剤であり、従来のグラニセトロン

(granisetron: GRA)等に比べ、半減期が長い点や高親和性が特徴である。ま

た価格は従来の

5HT

3受容体拮抗薬(.5-hydroxytryptamine-3 receptor antagonist :

5-HT

3

RA)と比べ約 7-8

倍高価な薬剤である。

日本癌治療学会の制吐薬適正使用ガイドラインでは、シスプラチン等の 高度催吐性化学療法(highly emetogenic chemotherapy: HEC)では、NK1受容 体拮抗薬であるアプレピタント、デキサメタゾン、

5-HT

3

RA

3

剤併用療 法が推奨されている。ただし、

5-HT

3

RA

PALO

をはじめ、同列で複数の 安価な薬剤が使用可能となっているため、臨床では混乱しやすい状況とな っていた。そこで我々は

HEC

における

3

剤併用制吐療法での、GRAに対 する

PALO

の優越性を検証するために二重盲検比較無作為化第Ⅲ相試験

(TRIPLE study)を実施した。その結果、PALO 群は

GRA

群に比べ全期 間の嘔吐完全抑制(complete response: CR )率はそれぞれ

65.7%、59.1%と PALO

群でより有効であったが、統計学的には僅かに優越性を示すには至 らなかった(OR 1.35 95%CI 0.99-1.82 : p=0.0539)。

しかしながら、臨床的に管理が難渋する遅発期の

CR

率では

PALO

群が

GRA

群に比べ約

8%良好であった ( p=0.0142)。一方悪心を含めた比較で

は、

PALO

を使用してもなお約

50%の患者で症状が発現していることが確

認された。これは患者によって薬効の差に明らかな違いがあることを示唆 している。我々は、TRIPLE studyにエントリーされた患者の採血を行い、

ABCB1

トランスポーターの遺伝子多型の有無による制吐効果の違いを検

証するために

TRIPLE Pharmacogenomics study

を実施した。これまで

CINV

のリスク因子として、若年、女性などが示唆されてきたが、本研究では

GRA

群においては

ABCB1 3435 TT

型を有している症例で、明らかに制吐 効果が高い結果となった。これは採血により、GRAを用いた安価な制吐 療法で十分か、あるいは、高価な

PALO

を使用するかを治療前に判断でき る可能性がある。今後はこの結果を踏まえ、標準制吐療法との比較試験な

(2)

どにつなげていく意義のある結果であると考える。

参照

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