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土屋 菜歩 論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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土屋 菜歩 論文内容の要旨

主 論 文

DEMOGRAPHIC, SOCIO-ECONOMIC, BEHAVIORAL AND CLINICAL FACTORS PREDICTING VIROLOGIC FAILURE OF GENERIC FIXED-DOSE

COMBINATION ANTIRETROVIRAL THERAPY BEFORE THE UNIVERSAL COVERAGE OF HEALTH INSURANCE IN NORTHERN THAILAND

(国民健康保険導入前の北タイにおいて、ジェネリック抗 HIV 薬による多剤併用 療法のウイルス学的失敗に影響を与えた社会経済的、行動的、臨床的因子の研究)

Naho Tsuchiya, Panita Pathipvanich, Tadashi Yasuda, Yumi Mukoyama, Archawin Rojanawiwat, Toru Matsubayashi, Siriphan Saeng-aroon, Wattana Auwanit, Akiko

Matsuyama, Pathom Sawanpanyalert and Koya Ariyoshi

(The Southeast Asian Journal of Tropical Medicine and Public Health 4012009年掲載予定)

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科新興感染症病態制御学系専攻

(主任指導教員:有吉 紅也 教授)

緒 言:

タイでは 2002 年以降、抗 HIV 薬多剤併用療法が急速に普及し、死亡率は劇的に低 下した。一方で、抗 HIV 薬の副作用、薬剤耐性、通院患者数の急増など新たな問題も 生じている。タイをはじめとする中~低所得諸国において、定期的なウイルス量や CD4 値のモニタリングは資源の不足により実施困難であり、限られた資源の中で抗 HIV 薬 治療をより効果的に実施していくには、治療失敗に対するハイリスクグループを特定 することが有用である。そこでタイ国で生産し普及したジェネリック抗 HIV 薬併用 療法(GPOvir®、d4T/3TC/ Nevirapine合剤)失敗症例のリスク因子を明らかにする ことを目的とし、HIV感染者数がタイ国内で上位5位に入る北タイランパン県におい て、前向きコホート研究を行った。

(2)

対象と方法:

タイ国ランパン県に位置するランパン病院 HIV 外来にて 2002 4 ~2004 1

月にGPOvir®治療を開始し、研究参加の同意を得たHIV 陽性患者を対象とした。治

療開始前、治療開始後6ヶ月、24ヶ月にHIVウイルス量を測定、カルテとインタビ ューから社会経済的、行動的、臨床的情報を収集し、24 か月時のウイルス量的治療 失敗に関連するリスク因子解析を Logistic Regression により実施した。さらに解析 の結果を裏付ける質的情報を得るため、200710月に10人の患者を対象としたイ ンタビューとグループ討論を実施した。本研究はタイ保健省倫理委員会およびランパ ン病院倫理委員会の承認を得ている。

結 果:

本研究期間中に 409 名が参加、184 (45%)が男性、234 名(57.2%) 35 歳未満 であり、子供がいると答えた者は 243 名(64.3%)であった。治療開始前の CD4 は中央値44.0 / ㎕(4分値:15.0-109.0)HIVウイルス量は中央値246,834 copies / ml 4分値:86,978-547,520)であった。71.1%の患者は過去に抗HIV薬治療経験が なかった。 治療開始後 6 ヶ月時点で17.0%24 ヶ月時点で 15.0%がウイルス学的 失敗症例(HIVウイルス量> 400 RNA copies/ml)であった。

単変量解析では「単剤または2剤による抗HIV薬投与歴あり」(OR, 3.08)「自己 評価によるアドへレンス不良」(OR, 2.97)のほか、「子供がいない」(OR, 1.85)、が治 療失敗と有意に相関していた(p<0.05)。多変量解析では「抗HIV薬投与歴あり」(OR, 2.94p<0.01)のみが治療失敗と統計的に有意な相関を示したが、「子供がいない」と 治療失敗との傾向が認められた(OR, 1.89, p=0.07。さらに質的研究データから、子 供の存在は、服薬遵守の有力な動機付けになっていることが明らかになった。性別、

CD4+細胞数、年齢と治療失敗との相関はなかった。

考 察:

単剤、2剤による抗HIV薬投与歴が多剤併用療法失敗のリスク因子となることは、

過去の研究の結果と同様であった。本研究の結果から、子供の有無といった社会的要 因とウイルス量で判断した治療結果との関連が示唆された。中、低所得国において多 剤併用療法を効果的に実施していくためには、治療結果に影響する社会的、経済的因 子についてさらなる研究が必要である。

参照

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