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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

商業・業務地区における分単位の時系列解析に基づ くエネルギー供給設備の配置・運用計画手法の開発

上野, 貴広

https://doi.org/10.15017/4059962

出版情報:九州大学, 2019, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)

博 士 論 文

商業・業務地区における分単位の時系列解析に基づく エネルギー供給設備の配置・運用計画手法の開発

2019 年 12 月

上 野 貴 広

(3)
(4)

目次

1. 序論 ... 1

1.1. 研究の背景 ... 1

1.2. 研究の目的 ... 4

1.3. シミュレータの構成 ... 4

1.4. 既往研究調査 ... 5

1.5. 論文の構成 ... 6

1.6. 論文中の用語・計算に関する注記 ... 6

2. 非住宅建築物の時系列エネルギー需要推定手法の開発 ... 9

2.1 はじめに ... 9

2.2 非住宅建築物における需要変動の実測分析 ... 9

2.2.1. 分析概要 ... 9

2.2.2. 電力需要の実測分析 ... 12

2.2.3. 熱需要の実測分析 ... 13

2.2.4. 実測分析結果から得られた知見 ... 16

2.3. 非住宅建築物のエネルギー需要推定手法の開発 ... 16

2.3.1. 基準需要量の付与 ... 17

1) 年間需要原単位 ... 17

2) 時刻別5分間隔需要割合 ... 26

2.3.2. 需要変化プログラム ... 26

1) 延床面積に基づく変化 ... 26

2) 乱数による年間需要のばらつき ... 27

3) 電力需要の使われ方による変化 ... 31

4) 冷暖房需要の外気温による変化 ... 33

5) エネルギー用途別需要量計算式 ... 35

2.4 エネルギー需要推定手法による都市の需要分析 ... 35

2.4.1 需要分析対象地域の概要 ... 35

2.4.2 同条件建物における需要推定値の変化検証 ... 36

2.4.3 精度検証 ... 37

2.4.4 地域ごとの需要特性分析 ... 42

2.5 モンテカルロ法を用いた商業地域へのエネルギー供給設備導入に関する検討 ... 46

2.5.1 PVパネル普及時の余剰発電量の推定 ... 46

2.5.2 地域冷暖房の導入容量検討に用いるPLR の推定 ... 48

2.6 おわりに ... 49

3. 非住宅建築物のエネルギー供給設備モデルの開発 ... 52

3.1 はじめに ... 52

3.2 各供給設備のモデル開発... 52

3.2.1. CGSモデルの開発 ... 52

3.2.2. DHCとしてのCGSモデルの開発 ... 54

(5)

1) 熱供給配管長の計算 ... 57

2) 熱搬送動力の計算 ... 57

3) 熱損失の計算 ... 57

3.2.3. CGSの逆潮流可能量の設定 ... 58

3.2.4. ジェネリンクモデルの開発 ... 59

3.2.5. PVパネルモデルの開発 ... 60

1) モデルの開発 ... 60

2) 精度検証 ... 61

3) 非住宅建築物への適用 ... 65

3.2.6. 蓄電池モデルの開発 ... 65

3.2.7. 蓄熱槽モデルの開発 ... 66

3.2.8. 給湯モデルの開発 ... 67

3.2.9. エネルギー供給設備モデルの計算フロー ... 67

1) データ入力 ... 69

2) CGS応答 ... 69

3) 蓄熱槽応答 ... 70

4) 補助熱源応答 ... 70

5) PVパネル応答 ... 70

6) 蓄電池応答 ... 70

7) 給湯機器応答 ... 70

8) 一次エネルギー消費量計算 ... 71

3.3 エネルギー供給設備の容量と省エネルギー効果の分析 ... 71

3.3.1. PVパネルの分析 ... 71

3.3.2. CGSの分析 ... 72

3.4 地理条件を考慮した商業地域におけるCGSの面的普及効果の推定 ... 73

3.4.1. 対象地域の設定 ... 74

3.4.2. 各地域における非住宅建築物のエネルギー需要データの作成 ... 77

3.4.3. 各建物単体におけるCGS普及効果の推定... 79

3.4.4. DHC としてのCGS 普及効果の推定 ... 82

3.5 蓄エネルギーシステムを備えたDHCの導入効果の推定 ... 85

3.5.1. 各地域における蓄エネルギー設備なしのDHC導入効果の推定 ... 86

3.5.2. 最適ケースにおける蓄エネルギー設備の導入ポテンシャルの推定... 87

3.5.3. 蓄エネルギー設備導入による省エネルギー効果の推定 ... 88

3.6 おわりに ... 90

4. エネルギー供給設備の配置・運用計画の評価手法の開発 ... 94

4.1 はじめに ... 94

4.2 エネルギー供給設備の最適化に向けた指標の開発 ... 94

4.2.1. 一次エネルギー消費量の指標作成 ... 94

1) 対象系統電力の構成 ... 94

(6)

2) 火力発電の各発電量の推定 ... 95

3) 系統電力における動的一次エネルギー換算係数の作成 ... 98

4.2.2. LCCO2排出量の指標作成 ... 99

1) 各供給設備の運用以外におけるCO2排出量の推定 ... 102

2) 系統電力における動的LCCO2排出係数の作成 ... 105

4.2.3. 電力需給の標準偏差の指標作成 ... 106

4.3 各指標の影響の確認 ... 107

4.3.1. ケース検討概要 ... 107

4.3.2. ケース検討結果 ... 108

4.4 蓄電・蓄熱も考慮したエネルギー供給設備の最適配置・運用計画の検討 ... 113

4.4.1. ケース検討概要 ... 113

4.4.2. 各指標に応じた年間の最適ケース ... 115

4.4.3. 月別最適化による各指標の削減率への影響 ... 115

4.5 おわりに ... 116

5. 総括 ... 119

5.1. 本研究のまとめ ... 119

(7)

1. 序論

1.1 研究の背景

世界各国が温室効果ガス排出量の早期抑制に取り組んでいる。COP21ではパリ協定が採択され、

これを受けて日本も2050年のCO2排出量を2013年比で80%削減するという目標を設定した1-1)。 図 1.1に2013年度の値を100%とした場合の部門別CO2排出割合の推移1-2)を積み立て棒で示す。

また図 1.2に部門別CO2排出量の推移1-2)を折れ線で示す。近年日本はCO2排出量を削減できて おり、2017年度は2013年度から10%国内のCO2排出量を減らせている。また図 1.2から民生業 務部門、民生家庭部門を含むほとんどの部門で 2013 年から CO2排出量を減らせていることを確 認できる。

図 1.1 部門別CO2排出割合の推移(2013年度基準) 0

10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110

1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017

CO2排出割合割合(2013年度基準)[%]

年度[年度]

民生業務 民生家庭 産業 運輸 エネルギー転換部門 非エネルギー起源

(8)

図 1.2 部門別CO2排出量の推移

国内のCO2排出量を削減できている一方で、エネルギー消費量の削減はCO2排出量の削減ほど 進んでいない。図 1.3に2013年度の値を100%とした場合の部門別一次エネルギー消費割合の推 移 1-3)を積み立て棒で示す。2017年度は 2013年度から4%程度しか国内の一次エネルギー消費量 を減らせておらず、また民生業務部門および民生家庭部門の一次エネルギー消費量は2013年度か らほとんど減っていない。

一次エネルギー消費量の削減割合に比べてCO2排出量の削減割合が大きいのは、発電部門にお ける火力発電所の効率向上の他に、再生可能エネルギーの導入拡大による影響が大きいと考えら

0 100 200 300 400 500 600

1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017

年間CO2排出量[百万t-CO2]

年度[年度]

非エネルギー起源 エネルギー転換部門

運輸 産業

民生家庭 民生業務

13 12 12 12 13

16 15 15 15 15

46 45 45 45 44

25 24 24 24 23

1 1 0 1 1

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110

2013 2014 2015 2016 2017

一次エネルギー消費割合[2013年基準]

年度[年度]

民生業務 民生家庭 産業 運輸 非エネルギー起源

図 1.3 部門別一次エネルギー消費割合の推移(2013年度基準)

(9)

れる。日本政府は 2030 年に電力構成の 22~24%を再生可能エネルギーにすることを目指してお り1-4)、最大限の導入に向けて投資を拡大していくとし1-5)様々な実証研究1-6) 1-7)を行っている。日 本におけるエネルギー需給の抜本的改善の為に設定されたZEH・ZEBの政策目標を達成する為に も再生可能エネルギーの普及が喫緊の課題であるが、普及が拡大するにつれて電力系統における 需要と供給の大きな不均衡が生じるといった様々な問題を抱えており、特に地方部における送配 電網の送電容量が小さいことから太陽光発電の出力抑制が行われるといった形で、既にこれらの 問題は顕在化し、普及の足枷となっている。

これらのことから、再生可能エネルギーの普及拡大には都市部の様な電力需要が集中しており、

送配電網が強靭な地域への導入が必要になってくると考えられる。市区町村単位での電力消費量 といった都市部での電力需要が分かる統計データは存在しないため、建物の集中度合いと電力需 要の集中度合いには相関があるとして、建物の延べ床面積割合を分析した1-8) 1-9)。非住宅建築物と 民生業務部門、住宅建築物と民生家庭部門、工場・倉庫と産業部門がそれぞれ延床面積と電力需 要に相関があるとして、建物を大きくこれら 3つの用途に集計して分析を行った。図 1.4に政令 指定都市と東京23区を合わせた日本の都市部(以下、大都市)とそれ以外の市、さらに町村の3つ の分類における自治体面積と各建物の延床面積の割合を示す。この図から、自治体面積では全国

の3%程度の都市部に、全国の35%と多くの非住宅建築物が立地していることが分かる。またこの

ことから、民生業務部門のエネルギー消費の多くが、都市部の非住宅建築物が立地している地域

(=商業地域)から行われていると言える。これらをまとめると、日本のCO2排出量削減目標の達成

には、エネルギー消費が集中している都市部の商業・業務地区(以下、商業地域)における低炭素化、

省エネルギー化が有効であると考えられる。

図 1.4 自治体面積と各建物の延床面積の割合

しかし、都市内における再生可能エネルギーの電力としての活用には以下のような問題がある。

1. 主力である太陽光発電は天候の影響により数十秒から数分で発電量が変化する

2. 建物側のエネルギー需要についても住宅・非住宅ともに様々な要素により時々刻々と変動する 3

55 42

35 57

8 26

64

10 17

69

14

0 10 20 30 40 50 60 70 80

大 都 市

市 町

村 大

都 市

市 町

村 大

都 市

市 町

村 大

都 市

市 町

自治体面積 非住宅建築物 住宅建築物 工場・倉庫

割合[%]

(10)

3. 発電量が電力需要量を上回れば送電線へ電流が逆流し、機器の故障や停電が生じる

4. 余った電力の蓄電や他の建物への融通は、蓄電池や送電設備のコスト面から少量ずつしかでき ない

これらのことから、都市内での再生可能エネルギーを組み込んだ分散型エネルギーシステムの 構築には、その導入時に、扱いが難しいが幅広い用途に使える電力、あるいは、より易しく扱え るが用途が限られる熱、どちらを供給する設備が最適かを適切に判断しなければならないと言え る。この判断には建物ごとに各用途の時系列のエネルギー需要予測が必要であり、更に需要量と 供給量の差を分間隔で調整するためにはエネルギーの融通や貯蓄といった運用方法をどう上手く 使うかまで考慮しなければならない。

1.2 研究の目的

そこで本研究では、エネルギー需給の時系列解析から、再生可能エネルギーを組み入れた商業 地域の最適なエネルギー供給形態を導く手法を開発する。研究目的のイメージを図 1.5 に示す。

全国都市部の商業地域で時系列解析に基づきエネルギー供給設備の最適な配置・運用計画を検討 可能にすることが本研究の目的である。より厳密に言えば、建物のエネルギー需要量と供給設備 のエネルギー供給量を分間隔の時系列で計算し、計算結果を定量的に評価することで、供給設備 の構成、配置、運用方法の 3つの要素の組み合わせのうち、どのパターンが最もエネルギーを削 減できるかを地域規模で検討可能なシミュレータを開発することである。

図 1.5 研究目的のイメージ

1.3 シミュレータの構成

電力は逆潮流に金銭的利点がない設備機器があること、熱は搬送動力や配管の熱損失を考慮し なければならないことなどを検討条件に加え、現実的な制約を加味したシミュレータを開発する。

そこでGeographic Information System:地理情報システム(以下GIS)を用いて各建物の位置情報や属

性情報を取得し、需要予測や発電量計算などを行う。

本研究では以下の3つの作業を中心にシミュレータを開発する。

エネルギー需要に基づく構成、配置、運用の最適化 etc.

分散型エネルギー供給設備

(11)

(1) エネルギー需要推計手法の開発

商業地域のエネルギー需要については、GIS に含まれている地域内の各建物の情報から電力需 要と冷房、暖房、給湯の3 つの熱需要をそれぞれ推計する。建物業種ごとに年間の標準需要パタ ーンを作成し、これに外気温度や建物特性などの影響を加味してばらつきを与えながら分間隔に 分配していく。

(2) エネルギー供給設備のモデル開発

標準的な非住宅建築物への設置を想定した各エネルギー供給設備の汎用モデルを作成し、シミ ュレータに組み込むことで各設備の運用を再現可能にする。

(3) エネルギー供給設備導入効果の定量評価手法の開発

各エネルギー供給設備の容量、配置、および運転設定などに基づいて1 年間の運用シミュレー ションを行い、シミュレーション結果を定量的に評価する手法を開発することで、対象地域に適 した供給設備計画の導出を可能にする。評価指標は複数作成することで、エネルギー供給設備の 導入効果を多面的に評価する。

1.4 既往研究調査

商業地域や非住宅建築物を対象としたエネルギー供給設備の最適化に関しては、これまで様々 な既往研究が行われており、国内でも多数の文献が発表されている。池田ら1-10)はメタヒューリス ティクスを用いて蓄熱槽を含む地域冷暖房システムの最適運用計画を導く手法を開発している。

高村ら1-11)は地域の電力需要推計モデルを構築し、PVパネルおよび蓄電池の配置計画を行ってい

る。加用ら1-12)は遺伝的アルゴリズムを用いて、複数建物における分散型エネルギー供給設備の最 適化を行った。三原ら1-13)はPVパネル、蓄熱槽、蓄電池を有する事務所ビルを対象に、電力負荷 平準化運転の省エネ、省コスト効果を推定した。太田ら1-14)、高貫ら1-15)は地域熱供給システムの ための建物用途別負荷データの作成や未利用エネルギーの評価指標を作成した。高ら 1-16)は一連 の研究から、実測データを基に分散型エネルギー供給設備の経済性なども考慮した最適化モデル を開発している。また、国外においても多くの既往研究が行われている。例として、Huangら1-17) は PCM 蓄熱システムを有する複数の建物におけるデマンドレスポンス制御の最適化効果を明ら かにした。Rostampour ら 1-18)は都市部における帯水層蓄熱システムの導入効果を推定している。

Li ら 1-19)は非協力ゲームモデルを用いて住宅、商業、産業といった異なる需要家を組み込んだ蓄

電池を有する分散型エネルギーシステムの最適計画と運用について検討した。Onishi ら 1-20)はジ ェネリンクを有する業務用CGSについて、エネルギー需要と価格の長期的変動を考慮した最適設 計手法を提案している。Rosalesら1-21)は大規模オフィスビルへの蓄電池を含むエネルギー供給シ ステムの導入効果を推定した。Bonatiら1-22)は都市の脱炭素を目的とした、PVパネルや蓄熱槽、

ヒートポンプを有するエネルギー供給システムの最適設計手法を開発した。

一方で、対象地域の各建物における電力需要と熱需要の 5分間隔での年間解析に基づく、地理 条件まで考慮した複雑なエネルギー供給システムの最適化は行われていない。このような最適化 手法は上記の先行研究と比較しても、①電力・熱の両方を扱うこと、②5分間隔の需要と供給の計 算を行うこと、③電力および熱搬送における制限や、必要な動力および損失を組み込むこととい った3点から十分な学術的先進性を有すると言える。

また開発するシミュレータは、GIS データさえあれば日本全国の都市で使用できるため、地方

(12)

自治体などによるエネルギー供給計画を支援することができる。都心の高密度化が進む日本にお いて、高密度地域に再生可能エネルギーを最大限取り込む方法の検討は喫緊の課題であるため、

この課題同時に答えを出せる点で本研究の有用性が期待できる。

1.5 論文の構成

本論文は、背景と目的に基づき、都市シミュレータを現実の商業地域へ適用して行った、供給 エネルギー設備の最適配置・運用計画の立案に関する研究成果をまとめたものである。以下に、

本論文の構成を示す。

第1章 はじめに

第1 章では、研究の背景、目的および本論文の構成について示す。また、既往研究の成果につ いて述べるとともに、本研究の特色および関連研究内での位置づけについて記述している。

第2章 非住宅建築物の5分間隔エネルギー需要推定手法の開発

第2 章では、実測データの分析に基づく非住宅建築物の5 分間隔需要推定手法の開発と、2つ の商業地域の需要推定と分散型エネルギー供給設備導入の検討結果を記述している。

第3章 非住宅建築物のエネルギー供給設備モデルの開発

第3 章では、既往プログラムや参考文献に基づいた、非住宅建築物におけるエネルギー供給設 備の応答モデルの構築を説明している。また特性の異なる商業地域の推定需要データから、逆潮 流可能量やCGSの普及形態、蓄エネルギー設備の導入容量の違いによる省エネルギー効果やピー クカット効果の差の推定を記述している。

第4章 エネルギー供給設備の配置・運用計画の評価手法の開発

第 4 章では、3 つのエネルギー指標に基づく評価手法の作成と、この評価手法を用いた商業地 域におけるエネルギー供給設備の最適な配置および運用計画の検討を記述する。

第5章 総括

第5章は総括であり、本研究で得られた成果を要約し、今後の課題をまとめている。

1.6 論文中の用語・略語に関する注記 本論文中の用語・略語を表 1.1にまとめる。

(13)

表 1.1用語・略語のまとめ

参考文献

1-1) 環境省: 地球温暖化対策計画, 2016.5, (online), available from <

https://www.env.go.jp/press/102512.html> (参照 2019-10-16)

1-2) 国立環境研究所地球環境研究センター温室効果ガスインベントリオフィス: 日本の温室効果

ガス排出量データ, 2019.4, (online), available from < http://www-gio.nies.go.jp/aboutghg/nir/nir- j.html> (参照 2019-10-16)

1-3) 日本エネルギー経済研究所 計量分析ユニット: 2019年版 エネルギー・経済統計要覧, pp.42-

43, 2019.3

1-4) 総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会, 第5次エネルギー基本計画の骨子案, 2018.04

1-5) 日本経済再生本部: 日本再興戦略2016 ―第4次産業革命に向けて―, 2016.06

1-6) 資源エネルギー庁: 次世代エネルギー・社会システム実証事業 ~総括と今後について~,

2016.06

1-7) 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構: 電力系統出力変動対応技術研究開

発事業(Ⅱ)予測技術系統運用シミュレーション電力系統における運用実証試験, スマートコミュ ニティ部成果報告会, 2016.11

1-8) 総務省: 平成30年度 固定資産の価格等の概要調書 Ⅱ.家屋 4.木造家屋に関する調および

5.木造以外の家屋に関する調, 2018, (online), available from <

http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/ichiran08_h30_00.html> (参照 2019-10-16)

1-9) 国土地理院: 全国都道府県市区町村別面積調, 2018.10

1-10) 池田 伸太郎, 大岡 龍三: 地域エネルギーシステムの最適化における学習的探索手法と機

械学習の複合アルゴリズムの開発 第2報−建物間熱融通システムの運用最適化における強化学 習との比較, 空気調和・衛生工学会論文集, Vol. 43, No.254, pp.23-32, 2018.5

1-11) 高村 しおり, 他: 太陽光発電と省エネルギー技術の大規模導入を考慮した地域電力需要の

将来推計, 日本建築学会環境系論文集, Vol. 77 No. 680, pp.805-811, 2012.10

略語・用語 名称 内容

CGU コージェネレーションユニット:

Cogeneration Unit

業務用コージェネレーション設備の略。ここでは 業務用コージェネレーション設備の本体をいう。

CGS コージェネレーションシステム:

Cogeneration System

ここではCGUやジェネリンクを含む システムの系統全体をいう。

DHC 地域冷暖房:

District Heating and Cooling

地域冷暖房の略。

ここでは地域冷暖房システム全体をいう。

LCCO2

ライフサイクルCO2: Life cycle CO2

建物のライフサイクル(建設~運用~解体)で 排出するCO2量の合計数値をいう。

PCS パワーコンディショナ:

Power Conditioning Subsystem

パワーコンディショナの略。ここでは主に 蓄電池用のパワーコンディショナをいう。

PVパネル 太陽光発電パネル:

Photo Voltaics Panel

太陽光発電パネルの略。ここではPCSを含めた 太陽光発電システム全体をいう。

ジェネリンク 排熱投入型吸収冷温水機:

Genelink

排熱投入型吸収冷温水機の略。ここでは 排熱投入型吸収冷温水機の本体をいう。

(14)

1-12) 加用 現空, 大岡 龍三: 複合街区における分散エネルギーシステムの面的活用に関するGA 最適化, 日本建築学会環境系論文集, Vol. 75, No.649, pp.297-303, 2010.3

1-13) 三原 邦彰, 他: 電力負荷平準化のための効率的な運用方法と経済性に関する研究 第3報−

電力負荷平準化技術の効果と経済性の検討, 空気調和・衛生工学会論文集, Vol. 42, No.245, pp.1- 8, 2017.8

1-14) 太田 貴博, 他: 建物用途別負荷原単位及び未利用エネルギーデータの整備, 空気調和・衛

生工学会論文集, Vol. 42, No.239, pp.27-35, 2017.2

1-15) 髙貫 悠右, 他: 地域熱供給システムにおける負荷特性と未利用エネルギーのマッチング評

価指標の提案, 空気調和・衛生工学会論文集, Vol. 42, No.238, pp.9-18, 2017.1

1-16) 高 偉俊, 他: 分散型エネルギー技術の選択手法及びその利用に関する研究, 日本建築学会

環境系論文集, Vol.75, No.650, pp.389-395, 2010.4

1-17) Pei Huang, et al: A hierarchical coordinated demand response control for buildings with improved performances at building group, Applied Energy, Vol.242, pp.684-694, 2019.5

1-18) Vahab Rostampour, et al: Aquifer Thermal Energy Storage (ATES) smart grids: Large-scale seasonal energy storage as a distributed energy management solution, Applied Energy, Vol.242, pp.624-639, 2019.5

1-19) Yinan Li, et al: Design and management of a distributed hybrid energy system through smart contract and blockchain, Applied Energy, Vol.248, pp.390-405, 2019.8

1-20) Viviani C. Onishi, et al: Stochastic optimization of trigeneration systems for decision-making under long-term uncertainty in energy demands and prices, Energy, Vol.175, pp.781-797, 2019.5

1-21) Enrique Rosales-Asensio, et al: Microgrids with energy storage systems as a means to increase power resilience: An application to office buildings, Energy, Vol.172, pp.1005-1015, 2019.4

1-22) Antonio Bonati, et al: The integration of exergy criterion in energy planning analysis for 100%

renewable system, Energy, Vol.174, pp.749-767, 2019.5

(15)

2. 非住宅建築物の時系列エネルギー需要推定手法の開発 2.1 はじめに

本章では分散型エネルギー供給設備の最適化に用いる非住宅建築物の5 分間隔需要推定手法を 開発した。都市規模のエネルギー需要推定手法の開発や、需要推定に基づく分散型エネルギー供 給設備の最適化に関しては、これまで様々な既往研究が行われており、国内でも多数の文献が発 表されている。高村ら 2-1)は地域の電力需要推計モデルを構築し、PV パネルおよび蓄電池の配置 計画を行っている。永井2-2)は地域冷暖房運転時に生じる余剰熱を隣接する建物に熱融通する手法 を構築し評価を行っている。加用ら2-3)は遺伝的アルゴリズムを用いて、複数建物における分散型 エネルギー供給設備の最適化を行った。崔ら2-4)は地域の建物間熱融通の導入可能性および効果の 評価手法を構築し分析を行っている。高ら2-5)は一連の研究から、実測データを基に分散型エネル ギー供給設備の経済性なども考慮した最適化モデルを開発している。また、国外においても機械 学習を用いた手法を中心に多くの既往研究が行われている。例として、Xu ら 2-6)はソーシャルネ ットワーク分析とニューラルネットワークを用いて複数の建物のエネルギー需要を推定する手法 を開発し、実際の大学地域のエネルギー需要を推定している。Kimら2-7)はリカレントニューラル ネットワークと畳み込みニューラルネットワークを組み合わせた手法を用いて過去 3 日間~7 日 間の変電所の電力供給データと、気象データなどを用いて30分間隔で翌日の地域合計エネルギー 需要を推定する手法を開発した。Aaronら2-8)は4つの異なる機械学習法を用いて、1年間の電力 需要実測データなどから複数の建物のエネルギー需要を15分間隔で予測した。

一方で, これらの検討では非住宅建築物の需要は 1 時間以上の間隔で測定、推定されている。

また、上記の機械学習によるエネルギー需要推定には、過去のエネルギー需要データが必要とな るため、測定が行われていない建物を含む地域規模の需要推定には使用できない。実際には年間 を通じて非住宅の需要変動も住宅と同様に時々刻々と変動していることから、商業地域への設備 導入時に、より現実に即した分散型エネルギー供給設備の最適計画を作成するためには、1 時間 より細かい時間間隔で地域内の非住宅建築物の需要変動を年間で推定する手法が必要であると言 える。

そこで本章では、非住宅建築物における各エネルギー使用用途のエネルギー需要を 5分間隔で 推定する手法を提案する。また、将来の分散型エネルギー供給設備の普及を見据えた商業地域に おける設備設定や配置計画、運用スケジュールの最適化について、実街区を対象とした需要の推 定によってエネルギー供給設備の計画、制御に関する知見を得る。

手順としては、得られた建物の実測データから、電力需要・熱需要それぞれの変動を分析する ことで、非住宅建築物における需要変動の大きさを明らかにする。次にこの結果から需要変動の 確率分布を組み込んだ非住宅建築物の 5分間隔需要推定手法を開発する。この手法により推定し た商業地域の各非住宅建築物におけるエネルギー需要を積み上げることで計算対象街区における 非住宅建築物の需要モデルを構築し、モデルの計算結果から商業地域における再生可能エネルギ ー活用の知見を得る。

2.2. 非住宅建築物における需要変動の実測分析 2.2.1. 分析概要

矢田ら 2-9)は住宅を対象に計測時間間隔の違いによる電力消費量や分散型エネルギー供給設備

(16)

の評価を行っている。本報でもこの方法に倣い、1 分値をベースに、5 分、15 分、30 分、1 時間積 算値それぞれのピーク値およびピーク発生時刻を比較することで計測時間間隔が与える影響を分 析する。また、非住宅建築物のエネルギー需要予測においては季節、あるいは月ごとに決まった スケジュール・機器運用がされていると想定され、各月の平均的な 1 日を代表日として計算され る場合が多い。そこで上記の分析に加え、同月・同時刻における実測需要のばらつきが計測時間 間隔ごとにどれだけ異なるかについても分析した。なお、実測対象建物は全て非住宅建築物のた め、営業日と休業日ではエネルギー消費量が大きく異なる。そのため、建物ごとに営業中かどう か判断する閾値を設定し、閾値以上の値が営業時間帯のうち半分以上計測されている日を営業日 とした。

実測分析対象建物概要を表 2.1に示す。分析は電力需要(Office1)と熱需要(Office2, Office3) に分け、それぞれ分析対象建物から 1 分間隔の計測データを取得した。図 2.1に Office1 の電力 需要、図 2.2に Office2 の冷熱需要の冬期(1 月)、夏期(8 月)、中間期(10 月)としての代表週 における実測値、および営業日を特定するために設定した閾値を示す。Office1 の電力需要は季節 によって大きさが異なるが、時間帯ごとの変化の傾向は変わらない。また図 2.1から延床面積 9000

㎡の中規模事務所建物であっても、平日8時~16時の営業時間帯には季節によらず短時間で大き な需要変動が起きていることから、空調機器の制御以外に居住者の行動によって建物の電力消費 が変動していると考えられる。一方で、冷熱需要に関しては変動傾向に差があり、夏期は需要の 立ち上がりが早い。また冬期の需要は他の時期に比べると小さく、時間ごとの変動が小さいため 営業日の判定が困難であった。そこで、営業日の判定には時期ごとに異なる閾値を設定した。ま た熱需要の分析では冷房、暖房それぞれで使用されていないと思われる月の分析は行わなかった。

表 2.2に設定した営業時間と閾値、抽出した営業日数を示す。

表 2.1 分析建物概要

Office1 Office2 Office3

所在地 神奈川 大阪 大阪

延床面積 9,000㎡ 106,000㎡ 79,500㎡

建物用途 事務 事務 事務、商業

測定期間 2015/08/01~

2016/08/31

2009/08/01~

2010/10/31

(17)

図 2.1 代表週におけるOffice1の1分間隔電力需要

図 2.2 代表週におけるOffice2の1分間隔冷熱需要 表 2.2 営業時間と閾値の設定値および抽出した営業日数まとめ

日 月 火 水 木 金

0 50 100 150 200 250 300 350

0:00 4:00 8:00 12:00 16:00 20:00 0:00 4:00 8:00 12:00 16:00 20:00 0:00 4:00 8:00 12:00 16:00 20:00 0:00 4:00 8:00 12:00 16:00 20:00 0:00 4:00 8:00 12:00 16:00 20:00 0:00 4:00 8:00 12:00 16:00 20:00 0:00 4:00 8:00 12:00 16:00 20:00 0:00

電力需要[kW]

1月 8月 10月 閾値

日 月 火 水 木 金

0 5 10 15 20 25

0:00 4:00 8:00 12:00 16:00 20:00 0:00 4:00 8:00 12:00 16:00 20:00 0:00 4:00 8:00 12:00 16:00 20:00 0:00 4:00 8:00 12:00 16:00 20:00 0:00 4:00 8:00 12:00 16:00 20:00 0:00 4:00 8:00 12:00 16:00 20:00 0:00 4:00 8:00 12:00 16:00 20:00 0:00

冷房需要[GJ/h]

1月 8月 10月 閾値(8月) 閾値(10月)

電力 [KW]

秋期 夏期 春期 秋期 夏期 春期 営業時間 9:00~16:50

閾値 120 3 9 4.8 3 9 4.8 3 6

営業日数 249 78 56

8:00~17:50 8:00~17:50 8:00~17:50

245 191

冷房 暖房

[GJ/h]

Office1 Office2 Office3

Office2 Office3

(18)

2.2.2. 電力需要の実測分析

得られた電力需要の実測データを用いて、集計時間間隔の違いによるピーク値、ピーク発生時 刻、値のばらつき幅について分析した。表 2.3 に電力需要の集計時間間隔の違いによる最大値の 変化を示す。測定期間における各月の最大値と 1 分間隔値に対する割合(括弧内の数値)を分析 した。既往研究2-1)~2-5)の測定、計算時間間隔である 60 分間隔では 1 分間隔値の 90%以下になる 月が 7 つあり、中には 80% 程度まで減少した月もある(表 2.3下線部)。再生可能エネルギーの導 入可能性を検討する場合には瞬間的な需要変動が重要であり、集計間隔を長くするほど必要な設 備容量などを的確に見積もれない可能性が高くなる。続いて表 2.4 に電力需要の集計時間間隔の 違いによる最大値発生時刻の違いを示す。また、図 2.3に 2 月のピーク記録日における集計間隔 ごとの消費電力推移を示す。1 分間隔ではピーク負荷が午前中に発生していることが分かるが、

集計間隔が 30 分を超えるとピーク発生時刻に 1 時間以上の差が表れ、午後にシフトした月もある (表 2.4 下線部)。これらのことから、非住宅建築物の電力需要についても集計間隔の違いによっ てピーク需要の値や発生時刻に差があると考えられる。

更に集計間隔の違いによって値のばらつきがどのようになるかを分析する為、各月における同 一時刻の標準偏差を集計した。標準偏差は値のばらつきを示す指標であり、標準偏差を 3 倍にし た範囲内にほとんどのデータが含まれる。表 2.5 にそれぞれの集計時間間隔での標準偏差の平均 値を 3 倍した値を示す。1 分間隔と比べ、60 分間隔では全体的に 85%ほどにばらつきの範囲が縮 小している。このことから、非住宅建築物の電力需要についても、測定、計算間隔が長ければ実 際の変動を捉えられなくなる可能性があると言える。

表 2.3 Office1における電力需要の集計時間間隔の違いによる最大値の変化

1分

2015年 8月 289 276 (96) 274 (95) 273 (95) 272 (94) 2015年 9月 267 250 (94) 244 (92) 232 (87) 231 (86) 2015年 10月 243 231 (95) 222 (92) 203 (84) 195 (80) 2015年 11月 239 230 (96) 222 (93) 209 (88) 196 (82) 2015年 12月 255 246 (97) 241 (95) 240 (94) 227 (89) 2016年 1月 275 262 (95) 260 (95) 255 (93) 255 (93) 2016年 2月 261 250 (96) 243 (93) 234 (90) 225 (86) 2016年 3月 288 284 (99) 281 (98) 274 (95) 256 (89) 2016年 4月 291 275 (94) 267 (92) 254 (87) 240 (82) 2016年 5月 274 263 (96) 258 (94) 252 (92) 246 (90) 2016年 6月 276 266 (97) 259 (94) 259 (94) 255 (92) 2016年 7月 320 304 (95) 300 (94) 299 (94) 295 (92) 2016年 8月 313 300 (96) 296 (95) 296 (95) 289 (92)

ピーク電力需要 (1分値に対する割合) [kW(%)]

5分 15分 30分 60分

(19)

表 2.4 電力需要の集計時間間隔の違いによる最大値発生時刻の違い

図 2.3 Officw1の2月代表日における集計間隔ごとの消費電力推移 表 2.5 各集計時間間隔における電力需要標準偏差の3倍値

2.2.3. 熱需要の実測分析

続いて熱需要の分析を行う。表 2.6に冷暖房需要の時間間隔の違いによる最大値の変化を示す。

電力需要と同様に、測定期間における各月の最大値と 1 分間隔値に対する割合を分析した。60 分 間隔では全体の約 6 割の月でピーク需要量が 1 分間隔の 90%未満になり、中には 60%以下になる月 もあった(表 2.6下線部)。次に表 2.7に暖房需要の集計時間間隔の違いによる最大値発生時刻の 変化を示す。また、図 2.5に 8 月のピーク記録日における集計間隔ごとの消費冷熱推移を示す。

電力需要と同様、集計時間が長くなれるにつれピーク発生時刻が 1 分間隔のものと 1 時間以上差

1分 5分 15分 30分 60分

2015年 8月 9:10 9:10 9:15 9:00 9:00 2015年 9月 10:17 10:15 10:15 15:00 15:00 2015年 10月 10:22 10:20 10:45 13:00 13:00 2015年 11月 9:02 9:00 9:00 8:30 8:00 2015年 12月 8:53 9:15 9:00 9:00 9:00 2016年 1月 10:38 10:40 10:30 10:00 10:00 2016年 2月 8:54 9:00 9:00 9:00 13:00 2016年 3月 9:04 9:05 9:00 9:00 9:00 2016年 4月 10:34 10:30 10:30 10:30 10:00 2016年 5月 13:15 13:15 13:00 13:00 13:00 2016年 6月 8:54 8:50 9:15 9:00 9:00 2016年 7月 9:50 9:25 9:45 10:00 9:00 2016年 8月 9:04 9:05 9:15 9:00 9:00

ピーク時刻[h:mm]

0 50 100 150 200 250 300

0:00:00 1:00:00 2:00:00 3:00:00 4:00:00 5:00:00 6:00:00 7:00:00 8:00:00 9:00:00 10:00:00 11:00:00 12:00:00 13:00:00 14:00:00 15:00:00 16:00:00 17:00:00 18:00:00 19:00:00 20:00:00 21:00:00 22:00:00 23:00:00 0:00:00

消費電力[kW]

時刻[hh:mm]

1分間隔 5分間隔 15分間隔 30分間隔 60分間隔

1分

55 53 (95) 51 (93) 50 (90) 47 (85) 標準偏差 3σ (1分値に対する割合) [kW(%)]

5分 15分 30分 60分

(20)

があるものが表れており、5 分間隔でも 1 時間以上の差が出る月もある(表 2.7下線部)。表 2.8に それぞれの集計時間間隔での標準偏差の平均値を 3 倍した値を示す。1 分間隔と比べ、60 分間隔 では全体的に 95%ほどにばらつきの範囲が縮小している。このことから、非住宅建築物の空調熱需 要についても、測定、計算間隔が長ければ実際の変動を捉えられなくなる可能性があると言える。

表 2.6冷暖房需要の時間間隔の違いによる最大値の変化 1分

2009年 8月 21,269 21,179 (100) 21,106 (99) 20,956 (99) 20,927 (98) 2009年 9月 18,580 18,527 (100) 18,446 (99) 18,367 (99) 17,968 (97) 2009年 10月 14,374 14,172 (99) 13,857 (96) 13,681 (95) 13,563 (94) 2009年 11月 13,006 12,745 (98) 11,420 (88) 11,192 (86) 9,475 (73) 2009年 12月 5,754 5,350 (93) 5,256 (91) 5,226 (91) 5,040 (88) 2010年 2月 5,357 5,282 (99) 5,198 (97) 5,101 (95) 5,036 (94) 2010年 3月 5,931 5,246 (88) 5,189 (87) 5,081 (86) 4,831 (81) 2010年 4月 11,141 10,606 (95) 9,593 (86) 9,276 (83) 9,051 (81) 2010年 5月 17,294 16,567 (96) 15,759 (91) 15,176 (88) 13,714 (79) 2010年 6月 22,735 22,224 (98) 21,160 (93) 20,591 (91) 20,367 (90) 2010年 7月 24,340 24,066 (99) 23,913 (98) 23,061 (95) 22,806 (94) 2010年 8月 27,027 24,736 (92) 23,558 (87) 22,749 (84) 22,194 (82) 2010年 9月 24,962 24,708 (99) 24,272 (97) 23,595 (95) 22,244 (89) 2010年 10月 12,919 12,835 (99) 12,788 (99) 12,723 (98) 12,626 (98) 2009年 8月 24,644 23,892 (97) 22,230 (90) 22,068 (90) 21,989 (89) 2009年 9月 22,626 20,955 (93) 20,466 (90) 20,383 (90) 20,130 (89) 2009年 10月 24,962 24,070 (96) 21,047 (84) 19,658 (79) 17,927 (72) 2009年 11月 7,790 7,629 (98) 7,376 (95) 7,165 (92) 7,109 (91) 2010年 3月 9,362 9,091 (97) 8,735 (93) 7,582 (81) 5,910 (63) 2010年 4月 13,500 12,705 (94) 11,562 (86) 10,741 (80) 10,339 (77) 2010年 5月 18,361 16,956 (92) 16,564 (90) 15,718 (86) 15,664 (85) 2010年 6月 29,333 29,137 (99) 28,899 (99) 27,459 (94) 27,102 (92) 2010年 7月 28,931 28,393 (98) 28,277 (98) 28,248 (98) 28,028 (97) 2010年 8月 32,342 30,794 (95) 30,647 (95) 30,524 (94) 30,043 (93) 2010年 9月 32,947 32,334 (98) 31,305 (95) 30,040 (91) 28,862 (88) 2010年 10月 25,850 25,354 (98) 24,894 (96) 19,009 (74) 14,904 (58) 2009年 11月 13,105 12,012 (92) 11,144 (85) 10,195 (78) 9,529 (73) 2009年 12月 14,487 14,164 (98) 13,699 (95) 12,956 (89) 12,131 (84) 2010年 1月 15,244 15,141 (99) 14,245 (93) 13,312 (87) 11,300 (74) 2010年 2月 14,067 13,220 (94) 12,480 (89) 11,760 (84) 10,247 (73) 2010年 3月 9,891 9,680 (98) 9,425 (95) 8,631 (87) 8,429 (85) 2010年 4月 9,411 8,998 (96) 8,619 (92) 7,970 (85) 7,589 (81) 2009年 11月 11,494 11,313 (98) 10,392 (90) 9,313 (81) 8,565 (75) 2009年 12月 16,178 16,108 (100) 15,678 (97) 15,544 (96) 15,098 (93) 2010年 1月 18,807 18,636 (99) 18,521 (98) 18,325 (97) 16,953 (90) 2010年 2月 16,674 16,573 (99) 16,143 (97) 16,006 (96) 14,961 (90) 2010年 3月 14,066 13,919 (99) 13,604 (97) 12,782 (91) 12,020 (85)

ピーク冷房需要および暖房需要 (1分値に対する割合) [MJ/h(%)]

5分 15分 30分 60分

冷房 Office2Office3

暖房 Office2Office3

(21)

表 2.7暖房需要の集計時間間隔の違いによる最大値発生時刻の変化 1分 5分 15分 30分 60分

2009年 8月 9:31 9:30 9:30 9:30 9:00 2009年 9月 17:13 17:10 17:00 17:00 17:00 2009年 10月 16:02 16:00 15:15 15:30 15:00 2009年 11月 8:15 8:15 8:15 8:00 8:00 2009年 12月 15:39 15:35 15:30 15:30 15:00 2010年 2月 13:09 13:05 13:00 12:30 12:00 2010年 3月 10:38 17:40 17:45 17:30 17:00 2010年 4月 8:10 8:10 12:45 11:00 11:00 2010年 5月 8:14 8:10 8:15 8:00 8:00 2010年 6月 9:00 9:00 8:45 9:00 9:00 2010年 7月 8:57 8:55 8:45 9:00 9:00 2010年 8月 8:54 8:55 9:00 9:00 11:00 2010年 9月 9:02 9:00 9:00 9:00 9:00 2010年 10月 15:51 15:50 15:45 15:30 15:00 2009年 8月 8:14 17:15 17:15 9:30 10:00 2009年 9月 8:16 8:40 9:00 9:00 9:00 2009年 10月 8:42 8:40 8:45 9:00 9:00 2009年 11月 10:18 10:15 15:00 14:00 14:00 2010年 3月 11:07 11:05 11:00 11:00 10:00 2010年 4月 12:44 12:40 13:45 11:00 11:00 2010年 5月 10:23 10:15 10:15 10:00 10:00 2010年 6月 9:22 9:20 9:15 9:00 9:00 2010年 7月 8:40 8:40 9:00 9:00 9:00 2010年 8月 8:09 9:05 9:00 9:00 9:00 2010年 9月 8:41 8:40 8:45 9:00 9:00 2010年 10月 8:53 8:50 8:45 9:00 9:00 2009年 11月 8:27 8:25 8:30 8:30 8:00 2009年 12月 8:36 9:10 9:00 9:00 9:00 2010年 1月 9:14 9:10 9:00 9:00 8:00 2010年 2月 8:51 8:50 8:45 8:30 8:00 2010年 3月 9:20 9:20 9:15 9:00 9:00 2010年 4月 8:34 8:20 8:30 8:30 8:00 2009年 11月 12:19 12:15 12:15 12:00 12:00 2009年 12月 10:17 10:15 10:15 10:00 10:00 2010年 1月 9:24 9:50 9:45 9:30 9:00 2010年 2月 9:15 9:10 9:00 9:00 8:00 2010年 3月 9:56 9:55 9:45 9:30 10:00 暖房 Office2Office3

ピーク時刻[h:mm]

冷房 Office2Office3

(22)

図 2.4 Officw2の8月代表日における集計間隔ごとの消費冷熱推移 表 2.8各集計時間間隔における冷暖房需要標準偏差の3倍値

2.2.4. 実測分析結果から得られた知見

ここまでの分析では、非住宅建築物においてもエネルギー需要の測定時間間隔を短くしないと ピーク需要量などを見誤ることを明らかにした。需要推定においても、太陽光発電の発電量の変 動間隔に合わせるならば1 分や秒単位で行うことが望ましいと言える。しかし都市規模のエネル ギー需要を推定する場合には、計算負荷も考慮してある程度計算間隔を広げることも重要である。

これらのことを考慮して、5 分間隔の分析結果が 1 分間隔のものと誤差が小さかったことから、5 分間隔でも実態に即した需要変動を再現できると考え、非住宅建物の需要推定手法を 5 分間隔で 開発した。

また、非住宅建築物は同業種であっても勤務時間や業務内容が異なり、それらを網羅した調査 データは存在しないため、これらの需要推定には住宅の需要推定で行われているような居住者に 行動スケジュールを割り付け、行動の消費エネルギー量から需要を積み上げるような手法は適用 が難しい。そこで建物内での需要変動を確率的に捉え、これを乱数シミュレーションで再現する ことにした。

2.3. 非住宅建築物のエネルギー需要推定手法の開発

需要量の計算手法は非住宅建築物の6業種(事務、医療、商業、宿泊、飲食、教育)を対象に開発 した。開発した手法は各業種の基準 5分間隔需要原単位から各建物固有の需要量を作成するプロ グラムである。本章では需要推定手法の計算フロー(図 2.5)における各手順の詳細と使用したデー タについて述べる。

0 5 10 15 20 25 30

0:00:00 1:00:00 2:00:00 3:00:00 4:00:00 5:00:00 6:00:00 7:00:00 8:00:00 9:00:00 10:00:00 11:00:00 12:00:00 13:00:00 14:00:00 15:00:00 16:00:00 17:00:00 18:00:00 19:00:00 20:00:00 21:00:00 22:00:00 23:00:00 0:00:00

消費冷熱[GJ/h]

時刻[hh:mm]

1分間隔 5分間隔 15分間隔 30分間隔 60分間隔

1分

Office2 5,851 5,829 (100) 5,786 (99) 5,741 (98) 5,695 (97) Office3 7,271 7,225 (99) 7,112 (98) 6,962 (96) 6,721 (92) Office2 3,257 3,220 (99) 3,155 (97) 3,100 (95) 3,034 (93) Office3 4,192 4,174 (100) 4,115 (98) 4,054 (97) 3,975 (95) 暖房

標準偏差 3σ (1分値に対する割合) [MJ/h(%)]

5分 15分 30分 60分

冷房

(23)

図 2.5 需要推定手法の計算フローおよびフロー内各ステップの計算イメージ

2.3.1. .基準需要量の付与

まず業種ごとに基準となる年間エネルギー需要原単位、5 分間隔需要割合を作成した。

1) 年間需要原単位

年間エネルギー需要原単位を作成するにあたり、4業種(事務、医療、商業、宿泊)については

参考文献2-14)に記載されている年間需要原単位を採用した。なお、本文献には事務所、商業の給

湯用途、また飲食、教育施設について記載がないため、前者はそれぞれ参考文献2-11)に記載され ている空調熱需要に対する給湯熱需要の比率と参考文献 2-10)の空調用途の年間需要原単位とを 掛け合わせた値とし、後者は参考文献2-10)での需要推定方法と同様にBEST専門版2-12)を用いて モデル建物法2-13)に使用されているモデルをもとに参考文献2-10)と同じ計算条件で各エネルギー 用途の需要を計算した。基にしたモデルの図面を飲食施設は図 2.6 (a)~(c)に、教育施設は図 2.7 (a)~(d)に示す。

図 2.6 図 2.7 START

END

①建物データ入力

②ベース需要付与

③年間需要変化

④5分間隔需要変化 Energy demand

5-minute interval

②ベース需要

③年間需要変化

④5分間隔需要変化

エネルギー需要

5分間隔

(24)

(a) 1階平面図 図 2.6飲食施設の図面

(25)

(b) 2階平面図

図 2.6 飲食施設の図面(続き)

(26)

(c) A-A'断面図 図 2.6 飲食施設の図面(続き)

(27)

(a) 1階平面図

図 2.7 教育施設の図面

(28)

(b) 2階平面図

図 2.7 教育施設の図面(続き)

(29)

(c) 3階平面図

図 2.7 教育施設の図面(続き)

(30)

(d) A-A'断面図 図 2.7 教育施設の図面(続き)

(31)

参考文献2-10)とモデル建物法の計算条件はほぼ同じであるため、精度検証は年間一次エネルギ ー消費原単位の BEST 専門版の計算値とモデル建物法の基準値とを比較することで行った。年間 一次エネルギー消費量原単位はBEST専門版の計算値が飲食店では5,545MJ/㎡、学校では1,257MJ/

㎡となり、モデル建物法の基準値である飲食店の5,482MJ/㎡、学校の1,209M J/㎡とほぼ同じ値と なった。飲食店、学校の使用用途別年間一次エネルギー消費量原単位の比較を図4(a)~(d)に示す。

BEST 専門版の計算では飲食店の客室(全体の 66%の床面積)および学校の教室や事務室(全体の 62%の床面積)の換気を外気処理室内機で行ったため、計算値の空調空気搬送のほとんどは客室換 気のエネルギーである。BEST専門版の計算結果は、飲食店では空調、学校ではその他の一次エネ ルギー消費原単位がやや大きいが、概ね使用用途の割合はモデル建物法と同じであるため、本計 算結果を標準的な値とし、これらをもとに両業種の需要別年間需要原単位および5 分間隔需要割 合を作成した。6業種それぞれの用途別年間需要原単位を表 2.9に示す。

図 2.8年間一次エネルギー消費原単位の比較 表 2.9 年間需要原単位

事務 医療 商業 宿泊 飲食 教育 電力[kWh/㎡] 115 209 284 183 206 64 冷房[MJ/㎡] 295 363 627 366 432 246 暖房[MJ/㎡] 55 162 188 200 322 67 給湯[MJ/㎡] 8 270 117 423 1,305 77

冷暖房 熱源 熱搬送 換気

照明 給湯 エレベーター その他

1,261

658

767 2,083

0 713 1,423

493 100 745 2,088

20 677

508

8 127 236

123 0

255

520

121 230

121 0

218

(a) 飲食施設の計算値(BEST) (b) 飲食施設の基準値(モデル建物法)

(c) 教育施設の計算値(BEST) (d) 教育施設の基準値(モデル建物法)

(32)

2) 時刻別5分間隔需要割合

5分間隔の時刻別エネルギー需要割合を作成するにあたり、参考文献2-10)を基にまず1時間間 隔の時刻別需要割合を作成した。参考文献 2-10)ではBEST 専門版を用いて 5 分間隔で計算を行 い、計算結果を月、曜日区分別に1 時間間隔で集計して基準需要割合を作成していたため、本報 も同様の手順で飲食店および学校の基準需要割合を作成した。年間需要原単位と同様に、病院、

ホテル、事務所、商業の4業種は参考文献2-10)と参考文献2-11)の記載値を、飲食店と学校はBEST 専門版の5分間隔計算値をもとに月、曜日区分(平日、土曜、休日)ごとに作成した。この1時間間 隔の時刻別エネルギー需要割合を基に、以下の手順で 1 時間間隔の需要から、その変動傾向を掴 んだ5分間隔の需要割合を求めた。なお、移動平均の区間を設定するにあたって、区間を3区間

~50区間まで変更して検討した結果、13区間での作成値が1時間の需要変動のピークを最も捉え ていると判断した。

(1) 各一時間の需要割合を12で割り同時間内での5分間隔の値を作成 (2) ⑴のデータをもとに13区間で移動平均をとり、平準化

作成した 5 分間隔の時刻別需要割合は各月の各曜日区分における合計値である。したがって 1 日の値を計算する際には対象月の対象曜日区分の日数で割る必要がある。この日数は参考文献 2-

11)をもとにしたものとBEST専門版の計算値をもとにしたもので異なるため、それぞれに対応す

る日数データを作成し、計算に用いた。例として 8月の各業種電力需要における年間需要原単位 に対する5分間隔需要割合を図 2.9に示す。

図 2.9 電力需要における年間需要に対する8月の5分間隔需要割合

2.3.2. 需要変化プログラム

需要推定プログラムでは前節で作成した基準の年間エネルギー需要原単位や需要割合を、対象 建物の延床面積や外気温、また建物内の使われ方などを模した乱数シミュレーションによって変 化させ、各建物独自の需要を作成する。

1) 延床面積に基づく変化

建物の需要に影響を与えると考えられる建物属性は部屋数、階数、使用者数、築年数、営業時 間などが考えられるが、本報では特に影響が大きいと考えられる建物属性として建物の延床面積 に着目した。

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.12 0.14

0:00 3:00 6:00 9:00 12:00 15:00 18:00 21:00 0:00

需要割合[%]

事務 医療 商業 宿泊 飲食 教育

(33)

非住宅建築物の環境関連データベースの公開データ(以下、DECCデータ) 2-14)を用いて同一温度 区分(6地域)、同一業種建物の延床面積に対する年間一次エネルギー消費原単位の関数を自然対数 で作成し、延床面積による一次エネルギー消費原単位の変化率と各エネルギー用途の年間需要原 単位の変化率は等しいとして、この関数を面積による年間需要原単位の変化式とした。なお、DECC データには建物の面積区分のみが示され延床面積自体は記載されていないため、データをスクリ ーニングしながら、各面積区分内で中央値となる延床面積に、その面積区分の一次エネルギー消 費原単位の平均値をプロットし、これらを各面積区分の代表値とした。作成した変化式を図 2.10 に示す。また変化式の係数と決定係数のまとめを表 2.10に示す。飲食店、学校業種については面 積区分ごとのデータ数が少なく、また飲食店には大規模建築が少ないと考えられるため両業種の 変化式は定数として設定した。

図 2.10 延床面積に対する年間一次エネルギー消費原単位の変化式

表 2.10 自然対数の係数および決定係数のまとめ

2) 乱数による年間需要のばらつき

現実的には同業種、同延床面積の建物が 2つあったとしても、それらの年間エネルギー需要は 異なると考えられる。そこで本報では前節の手順に加えて更に確率分布を用いて年間需要原単位 を変化させ、各建物固有の年間需要原単位を設定する。

各業種別の確率分布の作成のため、DECCデータの温度区分が6 地域の各業種、各面積区分に おける年間一次エネルギー消費原単位から各業種の度数分布を作成した。図 2.11 (a)~(f)に事務

y = 540.00

y = 6.14 ln(x) + 39.24

y = 8.46 ln(x) + 10.40 y = -17.71 ln(x) + 281.30

y = 6.90 ln(x) + 28.83

y = 26.00 0

50 100 150 200

0 20000 40000 60000

0 150 300 450 600

年間需要原単位に対する割合[%]

延床面積[m2]

年間需要原単位に対する割合(飲食)[%]

飲食 事務 医療

商業 宿泊 教育

事務 医療 商業 宿泊 飲食 教育

補正式の係数 6.14 8.46 -17.71 6.90 0.00 0.00 補正式の定数 39.24 10.40 281.30 28.83 540.00 26.00 決定係数(R2) 0.86 0.94 0.94 0.96 - -

(34)

所、病院、商業施設、ホテル、飲食店、学校のDECCデータの温度区分が6地域の各業種、各面 積区分における比率に応じた度数分布を示す。これらの図から、十分な件数のデータから作成し た度数分布はすべて正規分布に近い形を示していると判断した。

(35)

図 2.11 DECCデータの度数分布

面積区分1 面積区分2 面積区分3 面積区分4 面積区分5

(a) 事務 (b) 医療

(c) 商業 (d) 宿泊

0 20 40 60 80 100

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200

度数[-]

延床面積による年間需要の変化式計算値との比率[%]

0 10 20 30 40 50 60 70 80

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200

度数[-]

延床面積による年間需要の変化式計算値との比率[%]

0 20 40 60 80 100 120 140 160

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200

度数[-]

延床面積による年間需要の変化式計算値との比率[%]

0 50 100 150 200 250 300 350

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200

度数[-]

延床面積による年間需要の変化式計算値との比率[%]

(36)

図 2.11 DECCデータの度数分布 (続き)

(e) 飲食 (f) 教育

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200

度数[-]

延床面積による年間需要の変化式計算値との比率[%]

0 50 100 150 200 250

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200

度数[-]

延床面積による年間需要の変化式計算値との比率[%]

(37)

図の結果を基に、DECC データの各業種で最もデータ数が多い面積区分から、それぞれの正規 分布の分散を求め、平均を100%とした正規分布に求めた分散を組み込み、この正規分布の累積分 布関数を乱数による年間需要のばらつきを表す変化式(式(2.1))とした。なお、飲食店に関しては正 規分布の形が確認でなかったが、そもそも飲食店のデータ数が少なかったこと、本報対象地域内 の全非住宅建築における飲食店の延床面積比率を考慮すると地域のエネルギー需要に飲食店が与 える影響は大きくないことから、面積区分1 のデータを用いて分散を作成した。設定した分散を 表 2.11に示す。この変化式に建物ごとに作成した乱数を当てはめ、年間需要に掛ける倍率を計算 する。

x = ∫ { 1 / √2𝜋𝜎2

𝑦 0

𝑒−(𝑡−100)2 / 2𝜎2 }𝑑𝑡

ここで、x:乱数[%],π:円周率[-],σ2:分散[%2] ,e:ネイピア数[-],y:確率(年間需要原 単位にかける倍率)[%],μ:平均(=100) [%]

表 2.11年間需要に対する倍率の確率分布の分散

3) 電力需要の使われ方による変化

非住宅建築物の5分間隔電力需要の変動は建物にいる従業者の行動の変化に大きく影響を受け ると考えられる。そこで従業者の人数に応じて電力需要の変動幅も変化すると考え、従業者がほ とんどいない時間帯を非営業時間、従業者が多い時間帯を営業時間、また従業者が出社する時間 帯を始業時間、退社する時間帯を終業時間とし、この 4つの時間帯区分ごとに5分間隔電力需要 の使われ方による変化を確率分布によって再現した。

2章のOffice1の実測データから時間帯区分ごとに5分間隔電力需要の時刻別平均値に対する比

率を集計した。図 2.12に時間帯それぞれの同月同時間帯区分同時刻平均値に対する比率の度数分 布を示す。これらの図から、十分な数のデータから集計すればすべての時間帯区分で集計結果が 正規分布に近い形を示していることを確認した。

事務 医療 商業 宿泊 飲食 教育 693 514 920 387 841 136

(2.1)

(38)

図 2.12 Office1の同月同時間帯区分における同時刻平均値に対する電力需要比率の度数分布 0

500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 4,500 5,000

0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6

度数[-]

同時刻平均値に対する比率[-}

0 20 40 60 80 100 120 140 160

0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6

度数[-]

同時刻平均値に対する比率[-}

0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600

0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6

度数[-]

同時刻平均値に対する比率[-}

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200

0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6

度数[-]

同時刻平均値に対する比率[-}

(a) 非営業 (b) 始業

(c) 営業 (d) 終業

(39)

そこで時間帯区分別に実測データから分散を求め(表 2.12)、各分散で平均100%の正規分布の累 積分布関数を時間帯区分ごとの電力需要の変化式とした。なお、出社、退社共に度数分布の広が りが大きいが、退社に関しては代表週における分間隔の電力需要実測値を示した図 2.13の18時 前後のように同じ月、同じ曜日区分であっても日によって退社時刻が違うことから、需要変動の 傾き自体が異なる。そこで退社時刻の影響を除くため、退社時刻が安定していた期間のデータで 再度度数分布を作成し、これらの値から分散を作成した。また1日24時間のうち何時がどの時間 帯区分に該当するかは建物の業種によって異なると考えられる。そのため、各業種の基準時刻別 需要割合から業種ごとの時間帯区分を設定した。

表 2.12時間帯区分別の電力需要に対する倍率の確率分布の分布

図 2.13 Office1電力需要の時系列測定値

4) 冷暖房需要の外気温による変化

冷房、暖房需要は外気温の影響を受けると考えられる。この影響を再現するため、2章のOffice2

とOffice3の実測データから各時刻における外気温の、対象時刻の月平均値との差に応じて対象時

刻の冷房需要、または暖房需要の月平均値に掛け合わせる倍率を集計した(図 2.14)。

非営業 始業 営業 終業 49 361 121 100

0 5 10 15 20 25 30 35 40

5:00 6:00 7:00 8:00 9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00 18:00 19:00 20:00 21:00 22:00 23:00

消費電力量[kWh]

時刻

2015年11月1日 2015年11月2日 2015年11月3日 2015年11月4日 2015年11月5日 2015年11月6日 2015年11月7日

(40)

図 2.14 Office2, Office3の外気温差による熱量の変化率

さらに同一温度差における実測値と線形近似との差を度数分布で集計した。例として図2.10 (c) の赤枠(Ⅰ),(Ⅱ)の部分における集計結果を図 2.15に示す。このように十分な数のデータから集計す れば正規分布に近い形となったため、実測値のデータ数が多い温度差帯のデータから求めた分散

(=400)の平均100%の正規分布の累積分布関数を確率分布として設定し、式(2.3)と基準需要から計

算した外気温による需要に更に掛け合わせ、冷房、暖房の変化を再現した(式(2.2))。

𝑦 = 𝑘𝑥 + 100 𝑦 = (𝑘𝑥 + 100)・𝑅 / 100

ここで、y:月平均に対する割合[%],k:係数 (冷房:6.47,暖房:-6.97) [% / K],x:平均外 気温との差[K],R:乱数と正規分布により再現されたばらつきの割合[%]

-1.0 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0

-10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10

月平均値に対する割合[-]

平均外気温との差[℃]

測定値 線形近似

(Ⅰ) (Ⅱ)

(a) 非営業 (b) 始業

(c) 営業 (d) 終業

(2.2) (2.3) -1.0

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0

-10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10

月平均値に対する割合[-]

平均外気温との差[℃]

測定値 線形近似

-1.0 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0

-10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10 12

月平均値に対する割合[-]

平均外気温との差[℃]

測定値 線形近似

-1.0 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0

-10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10

月平均値に対する割合[-]

平均外気温との差[℃]

測定値 線形近似

(41)

図 2.15 Office3 冷房の度数分布

5) エネルギー用途別需要量計算式

前節までの手順を加味した電力、冷暖房、給湯のエネルギー需要の各計算式を式(2.5)~(2.6)に 示す。これらの式で建物ごと、時刻ごとに計算を行い、需要変動を再現する。

EEl(t) = EyElREl(t) / NdAC(A)RyRd ECo,He(t) = EyCo,HeRCo,He(t)/ NdAC(A)RyR(temp))

EHw(t) = EyHwRHw(t) / NdAC(A)Ry

ここで、EEl (t):時刻別電力需要[kWh],EyEl:業種別年間電力需要[kWh/㎡・年],REl (t):年間電力 需要対時刻別需要割合[-],Nd:月別曜日種別日数[日] ,A:建物の延床面積[㎡] C(A):面積によ る年間需要補正値[-],Ry:年間需要ぶれ倍率[-] Rd:時刻別電力需要ぶれ倍率[-],ECo,He (t):時刻別 冷暖房需要[MJ],EyCo,He :業種別年間冷暖房需要[MJ/㎡・年],RCo,He (t):年間冷暖房需要対時刻別 需要割合[-],R(temp):外気温に伴う冷暖房需要ぶれ倍率[-],EHw (t):時刻別給湯需要[MJ],EyHw : 業種別年間給湯需要[MJ/㎡・年],RHw (t):年間給湯需要対時刻別需要割合[-]

2.4. エネルギー需要推定手法による都市の需要分析

開発したエネルギー需要推定プログラムを用いて福岡県福岡市の天神・博多地区におけるエネ ルギー需要の推定、分析および考察を行った。対象地域の非住宅建築物 1件ずつのエネルギー需 要を積み上げることで地域全体の需要を計算した。なお、需要分析に住宅建築物のエネルギー需 要は含まれていない。

2.4.1. 需要分析対象地域の概要

福岡市天神地区、博多駅前地区それぞれの業種別の非住宅建築物の件数とその総延床面積を表 2.13に示す。天神地区は事務所建物や商業施設で構成されている福岡市の中心業務地区に当たる。

対して博多駅前地区は事務所建物の件数が多くを占めており、また駅前地区のためホテル用途の 建物が多い。

(a) 温度差0±1℃(Ⅰ) (b) 温度差2±1℃(Ⅱ)

(2.5) (2.4) (2.6) 0.0

0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 2

割合[%]

熱量の線形近似に対する比率[-]

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 2

割合[%]

熱量の線形近似に対する比率[-]

図  2.1  代表週における Office1 の 1 分間隔電力需要  図  2.2  代表週における Office2 の 1 分間隔冷熱需要  表  2.2  営業時間と閾値の設定値および抽出した営業日数まとめ  土日月火水木金0501001502002503003500:004:008:0012:0016:0020:000:004:008:0012:0016:0020:000:004:008:0012:0016:0020:000:004:008:0012:0016:0020:000:004:008:0
表  2.7 暖房需要の集計時間間隔の違いによる最大値発生時刻の変化  1分 5分 15分 30分 60分 2009年 8月 9:31 9:30 9:30 9:30 9:00 2009年 9月 17:13 17:10 17:00 17:00 17:00 2009年 10月 16:02 16:00 15:15 15:30 15:00 2009年 11月 8:15 8:15 8:15 8:00 8:00 2009年 12月 15:39 15:35 15:30 15:30 15:00 2010年 2月 13:09
図  2.4 Officw2 の 8 月代表日における集計間隔ごとの消費冷熱推移  表  2.8 各集計時間間隔における冷暖房需要標準偏差の 3 倍値  2.2.4.  実測分析結果から得られた知見 ここまでの分析では、非住宅建築物においてもエネルギー需要の測定時間間隔を短くしないと ピーク需要量などを見誤ることを明らかにした。需要推定においても、太陽光発電の発電量の変 動間隔に合わせるならば 1 分や秒単位で行うことが望ましいと言える。しかし都市規模のエネル ギー需要を推定する場合には、計算負荷も考慮して
図  2.5  需要推定手法の計算フローおよびフロー内各ステップの計算イメージ  2.3.1. .基準需要量の付与  まず業種ごとに基準となる年間エネルギー需要原単位、5 分間隔需要割合を作成した。  1)  年間需要原単位  年間エネルギー需要原単位を作成するにあたり、4 業種(事務、医療、商業、宿泊)については 参考文献 2-14)に記載されている年間需要原単位を採用した。なお、本文献には事務所、商業の給 湯用途、また飲食、教育施設について記載がないため、前者はそれぞれ参考文献 2-11)に記載され て
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