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各建物単体における CGS 普及効果の推定

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8) 一次エネルギー消費量計算

3.4 地理条件を考慮した商業地域における CGS の面的普及効果の推定

3.4.3. 各建物単体における CGS 普及効果の推定

CGSを導入する場合、一般的には発電容量をピーク電力需要の20%~40%程度とし、逆潮流は 行わずに電力需要に追従して運転させる3-39)。しかし、現在のCGSと系統電力との連結は一般的 には逆潮流が可能なものとなっており、逆潮流が行われていない理由は売電による経済メリット が得られないことが多いためである。そこで、今後の分散型エネルギーシステムとしてのCGSの 普及を踏まえ、逆潮流の採否も考慮して各建物の最適な設定でCGSを普及させた際に、地域全体 でどれだけの省エネルギー効果が期待できるかを検討した。

検討ケースを表 3.18に示す。CGU の定格発電容量は3ケース設定し、建物の延床面積に応 じて各ケースの容量を変更した。建物ごとにCGSの容量3ケース×台数5ケース×運転モード2 ケースの計30ケースを、逆潮流可能量が電力需要の0%、12%、28%の3パターン検討し、各パタ ーンで最も年間一次エネルギー消費量が小さかったケースを地域ごとに最適ケースとしてまとめ、

以下の式((3.19)で最適ケースの年間一次エネルギー消費量削減率を計算した。なお、対象とした地 域内の非住宅建築はそのほとんどが中小建物であり、その多くはビル用マルチ空調を採用してい ると考えられるため 3-40)、本報では CGS を設置しなかった場合の非住宅建築における空調機器を すべてビル用マルチ空調として検討した。

𝑅𝑏𝑒𝑠𝑡 =𝐶𝑑𝑒𝑓− 𝐶𝑏𝑒𝑠𝑡 𝐶𝑑𝑒𝑓 ・100

ここで、Rbest:最適ケースの年間一次エネルギー消費量削減率[%], Cdef:CGSを設置しなかった場 合の地域合計年間一次エネルギー消費量[MJ], Cbest:最適ケースの地域合計年間一次エネルギー消 費量[MJ]

表 3.18 建物単体におけるCGU設定ケース

A B C D E F

電力 GWh 365 184 181 164 37 24 冷房 827 414 400 378 83 57 暖房 241 132 137 110 27 15 給湯 203 142 186 110 40 18

TJ

延床面積 <

20000㎡

延床面積 ≧ 20000㎡

1 5 100 1 電力需要追従 0

2 35 700 2 熱需要追従 12

3 100 1200 4 - 28

4 - - 6 -

-5 - - 8 -

-容量 [kW]

台数 [-]

運転設定 [-]

逆潮流 可能割合

[%]

(3.19)

逆潮流可能量による最適ケースへの影響を表 3.19にまとめる。逆潮流なしの最適ケースでは多 くの建物の運転設定が電力需要追従運転であった。これは CGU の発電効率が系統の効率を上回 っているため、熱をある程度捨ててでも電力需要を賄った方がCGSの省エネルギー効果が高くな るためであり、この運転は従来の考え方と一致している。しかし逆潮流可能量の増加によって、

台数の増加などから CGU の合計設置容量が増加する建物が出現し、逆潮流可能量が電力需要の

28%までになるとA~D地域では地域内の30% 以上の建物の最適容量が増加した。また逆潮流可

能量の増加によって熱追従運転の発電制限に余裕ができた結果、A~D 地域では宿泊施設や飲食 店といった熱需要の大きい建物を中心に、地域内の数%程度の建物で最適な運転設定が電力追従 運転から熱追従運転に変更された。なお、E、F地域はほか4地域と比べ影響を受けた建物の割合 が小さいが、これはE、F地域の非住宅建築のほとんどが小規模であるため、逆潮流可能量の増加 によるこれらの建物の発電ポテンシャルへの影響がCGSの容量と比べて小さいためである。

表 3.19 最適ケースにおける建物設定値の逆潮流可能割合0%との比較

逆潮流可能量の増加によって合計CGS容量や運転設定が変更された建物を抽出し、一次エネル ギー消費量削減率を逆潮流不可の場合の最適ケースと比較することで、各建物で逆潮流可能量の 増加によってどれだけの省エネルギー効果が向上したのかを計算した(図 3.15)。どの地域でも平 均して逆潮流可能量が12%では1ポイント、28%では3~4ポイント省エネ効果が増加した。また

28%の場合は各地域で5ポイント以上省エネ効果が増加している建物がある。

表 3.19および図 3.15の結果から、CGS普及時に系統電力への逆潮流を採用し、現実的な逆潮 流量を設定することで、多くの建物でより省エネ効果が高い CGU 容量や運転方法を計画できる

A B C D E F

12% 24.2 17.1 14.5 11.9 6.9 7.9 28% 41.8 35.4 33.8 30.5 13.0 18.2 12% 8.2 6.7 6.9 3.8 1.7 1.3 28% 5.7 4.3 4.4 3.0 1.5 1.3 最適容量の増加

電力需要追従から 熱需要追従への設

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0

12% 28% 12% 28% 12% 28% 12% 28% 12% 28% 12% 28%

A B C D E F

0%からの削減率増加量[ポイント]

図 3.15 最適ケースにおける設定変更建物の一次エネルギー消費量削減率の増加量

と考えられる。

各最適ケースにおける地域全体の計算結果を図 3.16に示す。逆潮流を行わない場合、CGSを各 建物に適切な容量普及させることで、14~16%程度地域の一次エネルギー消費量を削減させた。

また逆潮流可能量を 12%、28%と増加させていくにつれ、地域全体の削減率が約1 ポイントずつ 向上した。逆潮流可能量を28%とした場合の6地域合計の削減効果(=2,349TJ)はCGSを設置しな かった場合のC 地域の年間一次エネルギー消費量(=2,175TJ)と同程度である。

図 3.16 建物単体における最適ケースの地域合計年間一次エネルギー消費量削減率

最適ケースにおける地域合計電力需要のピークカット効果を図 3.17に示す。逆潮流を行わない 場合、適切なCGU容量のCGSを各建物に普及させることで、ピーク電力需要を20~40%にまで 抑えられることを確認した。また、逆潮流可能量の増加によってピークカット効果が増加してお り、逆潮流可能量が 28%になると F地域を除く全地域で10 ポイント以上ピークカット効果が増 加している。ピーク時刻に関しても全地域のピーク時刻が8月の昼間から、CGSの設置によって 12月や2月といった冬期の夕方や夜間、朝方へと変更された。

図 3.17 建物単体における最適ケースの地域合計電力需要のピークカット率

これらの結果から、年間一次エネルギー消費量の削減と電力需要のピークカットのどちらに対 しても、CGSの逆潮流可能量の増加が有効であると言える。

15.9 16.0 16.0 14.8 15.2 14.1 17.1 17.5 17.4 15.9 16.6 15.4

18.4 19.2 19.0 17.3 18.5 16.9

0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0

A B C D E F

削減率[%]

0% 12% 28%

60.082.6 73.3 68.1 76.6 75.1 82.6 86.0 82.7 82.6 88.4 85.2 90.3

86.0 87.4 89.6 93.8 85.5

0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 120.0

A B C D E F

ピークカット率[%]

0% 12% 28%

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