8) 一次エネルギー消費量計算
3.4 地理条件を考慮した商業地域における CGS の面的普及効果の推定
3.4.4. DHC としての CGS 普及効果の推定
表 3.21 計算対象地域の各グループにおけるCGUの最適容量
各グループにおける合計 CGU 容量と、各建物単体での最適設定における逆潮流可能量が電力
需要の12%の場合の合計CGU容量の比較を表 3.22に示す。合計CGU 容量が各建物単体の場合
よりも小さくなった結果と、各建物単体の場合よりも大きくなった結果が半々となったが、これ はケース検討間の容量幅が数千kWと大きいためである。例えばB地域の2グループは、表13か ら、そのCGU最適容量が3,800kW*8台と2,000kW*8台となっている。2,000kW*8台(計16,000kW) の次に小さい容量は 3,800kW*4 台(計 15,200kW)と、その差は 800kW だが、3,800kW*8 台(計
30,400kW)の次に小さい容量は3800kW*6台(計22,800kW)と、その差は7,600kW あり、これはB
地域の 2 グループにおけるCGU 最適容量と建物単体におけるCGU 最適容量の差(3,305kW)より も大きい。これが原因で B地域の 2グループにおけるCGU 最適容量が建物単体よりも増加して いると考えられる。よって容量の検討ケース数を増やし、ケース検討間の容量幅を数百 kW 程度 に小さくすることで、全地域で各建物単体の場合よりも合計CGU容量が小さくなると言える。
表 3.22 建物単体とDHCとのCGU最適容量の比較[kW]
地域全体の年間一次エネルギー消費量削減率を図 3.19に示す。各建物単体での最適設定におけ る逆潮流可能量が電力需要の 12%の場合の省エネ効果(図 3.16)と比較して、全地域、全グループ で省エネ効果が大きくなった。これは電力需要、熱需要のどちらかが小さいと、発電への制限や 排熱の大気への放出といった余剰供給が発生するが、エネルギー需要の集約によって各需要の変 動が平準化されたことでCGUの発電が安定し、余剰供給の発生を減らしたためであり、その効果 は熱搬送時の損失や動力の電力消費による増エネを上回ることを確認した。また、建物用途構成 や建築密度の分布などがそれぞれ異なるにもかかわらず、全地域でグループ間における削減率の 差は小さい。この結果と表13から、商業地域へのDHC普及において、一次エネルギー消費量に 関しては、対象地域を分割して、それぞれ対象建物群の各最適CGU容量を合計した値の90~100%
の CGU 容量で DHC として CGSを導入していけば、その省エネ効果が対象地域に DHC として CGSをまとめて導入する場合とほぼ等しくなることが期待できる。
A B C D E F
1グループ - 9600 * 8 5200 * 8 5200 * 8 5200 * 8 1200 * 8 700 * 4 1 5200 * 8 3800 * 8 3800 * 6 1200 * 8 700 * 6 700 * 4 2 5200 * 8 2000 * 8 3800 * 6 3800 * 8 700 * 8 100 * 6 1 3800 * 8 2000 * 8 1200 * 8 1200 * 8 700 * 2 100 * 6 2 2000 * 8 1200 * 8 2000 * 6 1200 * 6 700 * 8 100 * 1 3 2000 * 8 1200 * 8 1200 * 8 2000 * 8 700 * 4 100 * 1 4 3800 * 8 1200 * 8 2000 * 8 1200 * 8 100 * 8 700 * 2 地域
ナンバー
容量* 台数 [kW]
2グループ
4グループ
A B C D E F
86350 43095 42985 39635 10405 6890 1グループ 76800 41600 41600 41600 9600 2800 2グループ 83200 46400 45600 40000 9800 3400 4グループ 92800 44800 47200 42400 10600 2200 建物単体
DHC
図 3.19 DHCにおける最適ケースの地域合計年間一次エネルギー消費量削減率
年間の熱搬送動力による消費電力の年間電力需要に対する比率を図 3.20に示す。また、年間 の冷熱、温熱の搬送熱損失のそれぞれの年間熱需要に対する比率を図 3.21、図 3.22に示す。どの 地域でも1グループよりも4グループの方がすべての比率が小さくなっている。これは分割によ って熱供給配管の合計距離が短くなったことで、搬送動力や熱損失が減少したためだと考えられ る。地域間を比較すると、搬送動力の比率は A~E 地域間では大きな差はないのに対して、熱損 失の比率は容積率の大きい A 地域や B 地域は小さく、容積率の小さいE地域は大きくなってい る。これは今回の計算では熱搬送時の流速を固定しているため、搬送動力は配管径が変化すると 水量が変化することから大きな影響を受けるのに対し、熱損失は配管径が変化しても大きな影響 を受けないためである。また容積率の小さい F地域の熱搬送動力の比率が小さい理由は、F地域 は他5地域と比べても容積率が極端に小さいためにエネルギー需要密度が小さいことから、DHC が稼働せず熱の搬送自体が行われなかったためであると考えられ、この結果図 3.19に示したよう に他 5 地域と比べて DHC の地域全体の年間一次エネルギー消費量削減率が小さくなったと考え られる。
図 3.20 DHCにおける最適ケースの年間熱搬送動力の年間電力需要に対する比率 19.4
20.7 21.2
19.8
19.2
16.5
19.5 20.7 20.7 19.8 19.1
17.0 19.7
20.7 20.8
19.8 19.0
16.4
0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0
A B C D E F
削減率[%]
1グループ 2グループ 4グループ
0.89
0.87 0.84 1.01 0.77
0.26 0.79
0.60 0.68 0.72 0.69
0.26 0.45 0.42 0.41 0.49 0.44
0.14 0
0.3 0.6 0.9 1.2 1.5
A B C D E F
搬送動力の割合[%]
1グループ 2グループ 4グループ
図 3.21 DHCにおける最適ケースの年間搬送冷熱損失の年間冷熱需要に対する比率
図 3.22 DHCにおける最適ケースの年間搬送温熱損失の年間温熱需要に対する比率
地域合計電力需要のピークカット効果を図 3.23に示す。全地域、全グループでピーク電力需要
が 85~90%にまで減少した。また、全地域でグループ間におけるピークカット効果の差が小さい
ことを確認した。ピーク時刻に関しても全地域、全グループのピーク時刻が冬期の夕方や夜間、
朝方へと変更された。
図 3.23 DHCにおける最適ケースの地域合計電力需要のピークカット率
またこれらの計算結果から、DHC としての CGS 普及効果の方が、同じ逆潮流可能量における 各建物単体の場合のCGS普及効果よりも、年間一次エネルギー消費量およびピーク電力需要の削 減量が全地域、全グループで大きいことを確認できる。