平成29年度
EUとの規制協力を推進するための調査(バイオ由来素材及び
バイオプロセス等の利用促進に向けた欧州の規制動向や欧州
産業界の対応状況・関連市場動向に関する調査)
業務報告書
平成30年3月
< 目 次 >
はじめに ... 1 1. バイオ由来素材・製品及びバイオプロセスの利用促進に係る最新の欧州(EU、EU各国)規制動向、製 品の規格・標準化動向、製品の市場規模の把握 ... 2 1.1 バイオ素材に関する市場規模の予測等に関する検討結果 ... 2 1.1.1 検討の内容 ... 2 1.1.2 既存及び将来有望なバイオポリマー・モノマーの概要 ... 2 1.1.3 既存及び将来有望なバイオポリマーの製造能力 ... 4 1.1.4 主なバイオポリマーの調査結果詳細 ... 6 1.2 我が国及び欧州におけるバイオ素材に関連した規制、利用促進策、認証制度、規格等に関する調査結果 ... 34 1.2.1 調査の内容 ... 34 1.2.2 EU 等におけるバイオエコノミー分野の主な動き ... 34 1.2.3 欧州各国の社会的背景とバイオプラスチックに係る政策措置の導入状況の俯瞰 ... 34 1.2.4 欧州各国におけるバイオベースドプラスチック製造の現況 ... 37 1.2.5 欧州各国におけるバイオマス賦存量 ... 37 1.2.6 欧州各国におけるプラスチックの廃棄方法 ... 39 1.2.7 日本・米国・欧州連合(EU)の調達制度の比較 ... 40 1.2.8 欧州各国における規制、利用促進策、認証制度、規格等(詳細調査結果) ... 47 1.2.9 欧州各国における規制、利用促進策、認証制度、規格等(概要) ... 75 2. 市場獲得シナリオを踏まえた具体的な支援策の検証 ... 84 2.1 我が国におけるバイオ素材普及戦略の調査及び市場獲得シナリオを踏まえた具体的な支援策の検証 ... 84 2.1.1 効果的な市場獲得シナリオの想定 ... 84 2.1.2 具体的な支援策及び検証結果 ... 88 3. その他 ... 89 3.1 欧州渡航調査の結果 ... 89 3.1.1 調査の目的 ... 89 3.1.2 調査工程 ... 89はじめに
パリ協定が締結され、更なる地球温暖化対策が必要となっていく中で、バイオマス等の再生可能 な有機資源からの素材(プラスチック原料やゴム原料など)生産や省エネルギーバイオプロセスを 利用した材料生産を加速していくことは、低炭素社会を実現する上で不可避の課題となっている。 既に欧州においては、EU 各国においてバイオ素材以外のプラスチックバッグ利用を規制(2015 年)、 欧州委員会専門家会合がバイオ素材による製品の標準化、ラベリング、公共調達などを勧告(2016 年)するなど、規制手段等によるバイオ素材の利用促進が進められており、この動きは加速される と予想される。我が国においても、バイオ素材・バイオ製造プロセスの普及や海外での市場展開を 念頭にした利用促進施策を検討する必要がある。 本調査では、こうした状況を念頭に置きつつ、我が国のバイオ素材利用促進施策の在り方を検討 するため、日本製品の販売促進を考慮したEU 規格とのハーモナイゼーションにおける課題抽出を 目的に、①バイオ由来素材・製品及びバイオプロセスの利用促進に係る最新の欧州(EU、EU 各国) 規制動向、②欧州政府や業界、各企業における同分野の規格、標準の動向やそれら規格への対応状 況、③欧州と日本における同分野の市場規模と今後の動向を調査した。その結果に基づき、④同分 野での制度、規格、市場動向などの観点で我が国と欧州の現状を分析し、我が国のバイオ素材利用 促進施策やバイオプロセスへの転換促進策の在り方や規制の活用・改善等に関する具体的な施策の 提言を行った。 なお、本調査の実施にあたっては、日本バイオプラスチック協会に再委託し、関連情報の収集を 行った。- 2 -
1.バイオ由来素材・製品及びバイオプロセスの利用促進に係る最新の欧州(EU、E
U各国)規制動向、製品の規格・標準化動向、製品の市場規模の把握
1.1 バイオ素材に関する市場規模の予測等に関する検討結果 1.1.1 検討の内容 現在開発及び社会実装が進むバイオ素材として、バイオマスを原料に製造されるプラスチック 及びゴムのポリマー・モノマーを対象に、特性、原料及び製造方法、LCCO2排出量、主たる国内 外の製造企業、主たる用途、世界・国内および欧州での市場規模・輸出入の状況、バイオプロセ スでの生産実態や可能性、市場単価、今後の市場単価及び市場規模の見通し、補助金等の利用状 況、今後の普及に向けた課題等を調査した。 1.1.2 既存及び将来有望なバイオポリマー・モノマーの概要 既存及び将来有望なバイオポリマーとそのビルディングブロックとなるモノマーの製造経路を 図 1 に示す。またバイオポリマー・モノマーの一覧を表 1 に示す。 図 1 既存及び将来有望なバイオポリマー・モノマーの製造経路1nova Institute GmbH (2017)、「Bio-based Building Blocks and Polymers: Global Capacities and Trends 2016-2021」の「Figure 8, Pathways to bio-based polymers」をもとに JBPA で作成したものを引用
表 1 既存及び将来有望なバイオポリマー・モノマーの一覧 分類 バイオポリマー バイオモノマー 名称 バイオ 名称 原料 既存ポリ マー・モノ マー(プラ スチック) PET* 部分 MEG * 糖源 完全 MEG* + テレフタル酸 糖源 PE* 完全 エチレン(エタノール)* 糖源 PLA* 完全 乳酸* 糖源 PA(ポリアミド) -- -- -- PA11* 完全 ウンデカンラクタム 油脂源 PA1010* 完全 デカンジアミン + セバシン 酸 油脂源 PA610* 部分 セバシン酸 油脂源 PA10T* 部分 デカンジアミン 油脂源 PA11T* 部分 ウンデカンジアミン 油脂源 PHAs* 完全 ‐ 糖源、油脂 源 PHBH 完全 ‐ 糖源、油脂 源 PC(イソソルバイド系共重 合 PC)* 部分 イソソルバイド * 糖源 PTT* 部分 1,3-PDO 糖源 PU* 部分 ポリオール* イソシアネート 油脂源 糖源 スターチベースドポリマー 部分 ‐ -- PBS* 部分 コハク酸 糖源 有望ポリ マー・モノ マー(プラ スチック) アクリル樹脂(PMMA)* 完全 イソブタノール*→イソブチレ ン→MMA 糖源 ポリアクリル酸ナトリウム (SAP)* 完全 3-HP *→アクリル酸* 糖源
PEF* 完全 2,5-FDCA* + MEG* 糖源
PP* 完全 イソプロパノール 糖源 スパンデックス(ポリウレタ ン弾性繊維) 完全 1,4-BDO *→THF* 糖源 フェノール樹脂 部分 フェノール 第二世代 既存ポリ マー・モノ マー (ゴム) EPDM 部分 エチレン(エタノール)* 糖源 有望ポリ マー・モノ マー (ゴム) イソプレンゴム 完全 イソプレン 糖源 ブタジエンゴム 完全 2,3-BDO→ブタジエン 糖源 *は図 1 で記載したバイオポリマー・モノマー
- 4 - 1.1.3 既存及び将来有望なバイオポリマーの製造能力 バイオポリマー製造企業による製造能力は、nova Institute GmbH のレポートにて調査結果が示さ れている。本調査にて対象とした既存及び将来有望なバイオポリマー(表 1)について、世界の 製造能力は以下のようになる。 表 2 既存及び将来有望なバイオポリマーの世界の製造能力2 --:製造能力不明
2016年
2021年
1
PET
945,627
1,720,626
2
PE
200,000
200,000
3
PLA
213,847
323,147
4
PA
144,200
269,000
5
PHAs
68,121
251,371
6
PC(イソソルバイド系共重合PC)
20,000
20,000
7
PTT
170,000
170,000
8
PU
1,712,000
2,401,169
9
スターチベースドポリマー
430,000
433,000
10
PBS
118,000
118,000
11
PMMA
--
--12
SAP
--
--13
PEF
40
70,040
14
PP
--
--15
スパンデックス(ポリウレタン弾性繊維)
--
--16
フェノール樹脂
--
--17
既存ポリ
マー(ゴム)
EPDM
45,000
45,000
18
イソプレンゴム
--
--19
ブタジエンゴム
--
--既存ポリ
マー(プラス
チック)
有望ポリ
マー(プラス
チック)
有望ポリ
マー(ゴム)
分類
No.
バイオポリマ ー
製造能力( トン/年)
図 2 既存及び将来有望なバイオポリマーの世界の製造能力 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 PU PET スターチ ベースドポリマー PLA PE PTT PA PBS PHAs EPDM PC PEF
製造能力(千トン
/年)
2016年 2021年- 6 - 1.1.4 主なバイオポリマーの調査結果詳細 PLA (1) 名称 1) PLA(Polylactic acid、ポリ乳酸)と呼ばれる3。 区分 2) バイオ由来かつ生分解性を有する素材である4。 概要 3) 100%バイオベースドであり、かつ、一定の条件下ではバイオデグレダブル・コンポスタブル (インダストリアルコンポスタブル)なポリマーである。世界中で様々な会社が製造しているが、 最大手はNature Works LLC である。また、Total Corbion PLA がタイに同社初の PLA 製造プラン トを建設しており、まもなく製造が開始される。
主たる用途 4)
Food Packaging(冷凍食品等の容器包装)、Non food packing(窓付き封筒のフィルム)、農業資材、 自動社内装材5、AV 機器・DVD 機器・携帯電話・オフィス機器部品等の電気・電子部品6,7等が主 な用途である8。うち、廃棄物の焼却に伴う温室効果ガス削減に寄与する用途は、容器包装、窓付 き封筒のフィルム、農業資材、自動社内装材、電気・電子部品等である9。 原料及び製造方法 5) トウモロコシ等のデンプン作物を糖化・発酵後に得られる乳酸が重合され、ポリ乳酸が合成さ れる。1kg のバイオマスからおよそ 0.4kg のポリ乳酸が得られる10。 LCCO2排出量(kgCO2/kg) 6)
NatureWorks の調査によると、NatureWorks の PLA(IngeoTM)の 2014 時点での原材料入手から製 品出荷までの温室効果ガス排出量は、0.62kg CO2 eq/kg である11。
製造企業 7)
日本の主な製造企業は、帝人株式会社、武蔵野化学研究所12、三井化学株式会社13である。海外 の主な製造企業は、Total Corbion PLA14、Synbra Technology15(オランダ)、Futerro16(ベルギー)、 NatureWorks17(米国)、浙江海正生物材料(中国)等である1819。 製造能力 8) 2020 年に約 23 万トンが予測されている20。 輸出入量 9) 財務省貿易統計によると、日本へのPLA の輸入量は約 4,200 トン(2016 年)である21。 今後の欧州市場見通し(現状推移ケース、バイオ優遇ケース) 10) 2016 年の製造能力が約 8 千トンであり、2021 年の製造能力も 2016 年度と同程度の約 8 千トン となる見込み22。
今後の展望 11) バイオベースドプラスチック全体で共通する課題であるが、石油由来プラスチックに比べて高 価格なため、スケールメリット化を進め、単価を下げる努力を進める必要がある。今後、更なる 市場の拡大に向け、生産コストを1€/kg 程度まで下げる必要がある23。 特記事項 12)
- 8 - PA(ポリアミド) (2) 名称 1) PA は Polyamide(ポリアミド)と呼ばれる。PA はモノマーの組み合わせにより様々バリエーショ ンが存在する、ファミリーの総称である。Polyamide はラクタムの開環重合や、ジアミンとジカル ボン酸の共重合により生産され、ポリマーの名称は、モノマーの炭素数や名称が参照されている。 名称 説明 PA11 炭素数11 のウンデカンラクタムを原料とするため PA11 と呼ばれる。 PA1010 モノマーとしてジアミンが炭素数10 のデカンジアミン、ジカルボン酸が炭素数 10 のセバシン酸を使用するため、PA1010 と呼ばれる。 PA610 モノマーとしてジアミンが炭素数 6 のヘキサメチレンジアミン、ジカルボン酸 が炭素数10 のセバシン酸を使用するため、PA610 と呼ばれる。 PA10T モノマーとしてジアミンとして炭素数10 のデカンジアミン、ジカルボン酸とし てテレフタル酸(Terephthalic acid)を使用するため、PA10T と呼ばれる。 PA11T モノマーとしてジアミンとして炭素数11 のウンデカンジアミン、ジカルボン酸 としてテレフタル酸(Terephthalic acid)を使用するため、PA10T と呼ばれる。 区分 2) バイオベースドポリマーである。ただし、各PA の種類によってバイオベース度は異なる。 名称 説明 PA11 完全バイオ。 PA1010 完全バイオ。2 種のモノマーがともに植物由来原料から製造される。 PA610 部分バイオ。炭素基準で約60%がバイオマス由来24。 PA10T 部分バイオ。25%がバイオマス由来25。 PA11T 東洋紡株式会社は、30%と 70%のラインナップを持つ。 概要 3) PA は、様々バリエーションがある大きなポリマーのファミリーの総称である。バイオベース ド PA は、植物由来原料から製造されるモノマーが使用されており、個別の PA のバイオベース 度は40-100%まで多様である。 主たる用途 4) 主な用途は以下に示す通り。 名称 説明 PA11 アルケマ社…パソコンのコネクターカバー、デジカメのボディキャップ、自動 車の燃料配管、スキー靴等26。 東洋紡…電子部品(表面実装)、液晶ディスプレイ部品(リフレクター)27 PA1010 PA610 PA10T 電気・電子部品、自動車部品 PA11T 電気・電子部品、光学用途
原料及び製造方法 5) PA にはヒマシ油から製造するセバシン酸など、植物由来原料を用いる。各 PA の原料と製造方 法は以下の通り。 名称 説明 PA11 植物由来原料のウンデカンラクタムを原料とする。 PA1010 植物由来原料であるデカンジアミンとセバシン酸を重合する。 PA610 石油由来原料であるヘキサメチレンジアミンとセバシン酸を重合する。 PA10T 植物由来原料であるデカンジアミンと石油由来原料であるテレフタル酸を原料 とする。 PA11T 植物由来原料であるウンデカンジアミンと石油由来原料であるテレフタル酸を 原料とする。 LCCO2排出量(kgCO2/kg) 6) 主なLCCO2排出量は以下に示す通り。 名称 説明
PA1010 Evonik 社の VESTAMID Terra DS は 4.0 kg CO2eq/kg28。
PA610 Evonik 社の VESTAMID Terra HS は 4.6 kg CO2eq/kg29。
製造企業 7) 主な製造企業は以下に示す通り。 名称 説明 PA11 Arkema(フランス) PA1010 Arkema(フランス)、Evonik(ドイツ)、DuPont(米国)、EMS-Grivory(スイス) PA610 Arkema(フランス)、BASF、(ドイツ)、Evonik(ドイツ)、DuPont(米国)、 EMS-Grivory(スイス)、東レ株式会社(ブランド名: アミラン) PA10T Evonik(ドイツ)、ユニチカ株式会社(ブランド名: ゼコット) PA11T 東洋紡株式会社(ブランド名:バイロアミド) 製造能力 8) 2016 年の PA の製造能力は 144.2 千トン/年である。2021 年までにはほぼ倍の 269.0 千トン/年に 拡大することが予測されている。生産体制の拡充は、特にアジア地域で顕著である30。 PA に広く使用される原料は、この 5 年程でその市場規模が大きく増加した。アジピン酸は 2016 年に3,000 kt/年の市場規模があり、その総額は 54 億ユーロであり、さらに年 3-5%で拡大を見せて いる。ヘキサメチレンジアミンの市場規模は1,400 kt/年であり、その総額は 28 億ユーロである。 また、ε-カプロラクタムは 5,500 kt/年で、その総額は 130 億ユーロとなっている31 輸出入量 9) 財務省貿易統計32によると、2016 年のポリアミド(39.08)の日本の輸出量は、11.1 万 t/年、602 億円/年、日本の輸入量は、17.5 万 t/年、595 億円/年となっている。ただしこれはバイオ由来品に 限らない値である。
- 10 - 今後の欧州市場見通し(現状推移ケース、バイオ優遇ケース) 10) 情報なし。 今後の展望 11) 情報なし。 特記事項 12)
PHAs(PHBH を除く) (3) 名称 1) PHA(polyhydroxyalkanoate、ポリヒドロキシアルカン酸)と呼ばれる。PHA はモノマーの種類 や、その組み合わせ方により様々なバリエーションが存在する、ポリマーのファミリーの総称を 指す。そこでここではPHAs と表記する。 区分 2) バイオ由来かつ生分解性を有するポリマーである33。 概要34 3) PHA は 100%バイオベースドで生分解性である素材で、冷たい海水中でも分解されるものもあ る。PHA は主に特定のバクテリアにより発酵プロセスを経て生産される。多くの異なる企業が、 多様なPHA 製品の生産に関与しており、それらは互いに比較することが難しいものである。その 市場はまだ小さいが、今後巨大な市場に成長することが期待されている。PHA は、市場が成熟す るためにはまだ時間を要する。それにもかかわらず、PHA の製造企業といくつかの新しいプレー ヤーは楽観視し、PHA の可能性について期待を寄せており、そのため、2021 年までに製造規模は 3 倍に拡大する見込みである。いくつかの製糖会社が PHA に投資を行ってもいる。 主たる用途 4) プラスチック袋、ボトル、トレー等の用途が開発されている1。 原料及び製造方法 5) PHAs は発酵法により生産され、合成されたポリマーが細胞内で蓄積される。そのため、モノマー の生産から重合反応まで、すべてバイオプロセスで製造可能である。なお、原料や発酵生産に使 用する菌種は、さまざまなバリエーションが考えられる35。 LCCO2排出量(kgCO2/kg) 6)
Cristóbal らは、2016 年に発表した論文にて、これまでに実施された PHAs に関する 12 の LCA 分析結果について、環境フットプリントにて比較分析を行っている36。その結果、気候変動インパ クトは、-2.3 ~ 6.9 kg CO2 eq/kg PHA の範囲となることが分かっている。なお、この値は、原材料 の種類や、バイオマスの残渣の燃焼処理の有無、下流プロセスなどによって変化する。 製造企業 7) 日本では、株式会社カネカにおいて、PHA の一種である PHBH(3-ヒドロキシ酪酸と 3-ヒドロ キシヘキサン酸の共重合ポリエステル)が製造、販売されている(PHBH は別途項目立てをして いるため、そちらを参照)。海外では、Meredian Holdings Group(米国)、Bio-On(イタリア)、Tianan Biopolymer(中国)、Tianjin GreenBio (+DSM)(中国)、Newlight Technologies(米国)などが PHA を生産している。
1 国立研究開発法人科学技術振興機構ウェブサイト、「生分解プラの大量生産「微生物工場」で成功」 https://www.jst.go.jp/pr/jst-news/pdf/2014/2014_10_p08.pdf
- 12 - 製造能力 8) 2016 年の製造能力は世界全体で 68 kt/年となっている。地域別の製造能力をみると、北米が約 7 割を占め、アジアが3 割弱となっている。今後、生産量は大きく伸びる見込みであり、2021 年に は、2016 年の 3 倍以上の 251 kt/年に達するものと予測されている37。 輸出入量 9) 情報なし。 今後の欧州市場見通し(現状推移ケース、バイオ優遇ケース) 10) 企業における製造能力は、欧州では40 トン t/年(2016 年)となっている。2021 年には、400 倍 以上となる、19 千トン/年まで拡大する見込み。 今後の展望 11) 欧州における規制により、バイオベースドであり生分解性を併せ持つ素材は、今後需要が拡大 することが期待される。 一方、いくつかのPHA は代替対象となる PET、PE、PP、スチレンといったポリマーと比べると 価格がまだ高くなっている。市場拡大のためには、長期的な生産コストを€1/kg 程度にする必要が ある38。 特記事項 12) PHAs は海洋における分解性を有するものがあることが特徴の一つであり、カネカ、Meredian Holdings Group(米国)、RWDC Industries(米国)、Metabolix(米国)の 4 社が PHAs の中で OK Marine degradable で認証を取得している2。
2 VINÇOTTE nv/sa ウェブサイト「OK biodegradable MARINE; OK biodegradable SOIL; OK biodegradable WATER; and Conformity Marks」(2018 年 3 月 24 日アクセス) http://www.okcompost.be/data/pdf-document/okb-mate.pdf
PC(イソソルバイド系共重合 PC) (4) 名称 1) PC(polycarbonate、ポリカーボネート)と呼ばれる39。 区分 2) バイオ由来である。生分解性を示さない40。 概要 3) バイオベースドのPC は、世界では日本の三菱ケミカルと帝人の 2 社で製造している。三菱ケミ カルが生産するDURABIO™(デュラビオ™)は高い透明性と優れた光学特性、耐傷つき性等を有 すため、スマートフォンの全面透明パネルや、自動車の内装材等として、実際にマツダ、スズキ、 ルノーで前面パネル等に採用されている41,42。また、帝人はPC フィルムに特化しており、自動車 外装用フィルム等に採用されている。 主たる用途 4) 自動車の内装・外装、電子機器のパネル、フィルム等が主たる用途である43。 原料及び製造方法 5) ジオールと糖質由来のイソソルバイドを共重合させ製造する。ジオールは芳香族系と脂肪族系 に分かれ、帝人では芳香族ジオールを使用した芳香族系PC を製造している。三菱ケミカルでは、 脂環式ジオールを用いて脂肪族PC を製造している44。 LCCO2排出量(kgCO2/kg) 6) 情報なし。 製造企業 7) 日本では、三菱ケミカルホールディングス(DURABIOTM)45、帝人株式会社(PLANET、PLANET D-7000)46において製造、販売されている。海外では、製造、販売されていない模様47。 ① 三菱ケミカルホールディングス(DURABIO™(デュラビオ™)) DURABIO™は、植物由来のイソソルバイドが主原料のバイオエンジニアリングプラスチック で、ビスフェノールA(以後 BPA と略す)を原料とする従来のポリカーボネート樹脂(以後 PC 樹脂と略す)と比較し、高い透明性、優れた光学特性などの特徴があるとともに、耐傷付き性 に優れ、PC 樹脂に匹敵する耐衝撃特性を示す。なお、植物由来のポリマーではあるが、生分解 性ポリマーではない。光学・エネルギー関連部材や、高機能ガラスの代替部材、電子機器・自 動車の筐体・内外装材など、幅広い分野への展開が可能である48。 ② 帝人株式会社(PLANEXT、PLANEXT D-7000) 植物由来のイソソルバイドを原料としたPLANEXT は、優れた成形性や耐薬品性、表面硬度、 剛性を有するバイオプラスチックであるが、石油由来のPC 樹脂に比べて耐熱性や耐衝撃性が低 い。改良されたPLANEXT D-7000 は従来の PLANEXT と比べて高い耐熱性(ガラス転移温度: 120℃、cf.従来品:98℃)と高い耐衝撃性を有し、高い難燃性(1.6mmV-0 相当・透明難燃)を 付与することも可能となっている。また、従来品同様に、石油由来のPC 樹脂と比べて高い表面
- 14 - 硬度(鉛筆硬度:H)や耐候性、耐薬品性も有しており、光線透過率も高く(92%、cf.石油由来 のPC 樹脂:89%)透明性を要求される自動車やエレクトロニクス等の用途に適している49。加 えて、2018 年には PLANEXT を改良した PLANEXT SN4600 を使用したフィルムを開発。優れ た耐ガソリン性、成形性、耐候性から、自動車のドアハンドル(ホンダロック株式会社のスマー トエントリーシステム用)に採用されている50。 製造能力 8) 2016 年の脂肪族 PC の製造能力は日本のみにあり、2 万トン/年となっている。欧州では製造さ れていない。2021 年も引き続き 2 万トン/年の製造能力の見込み51。 輸出入量 9) 情報なし。 今後の欧州市場見通し(現状推移ケース、規制によるバイオ優遇ケース) 10) 三菱ケミカルの(DURABIO™(デュラビオ™))がルノーで採用されたこともあり、今後の欧州 での伸びが期待される。欧州では、2015 年においてバイオ PC が製造されていない模様。2021 年 における生産の見込みも無い模様52。 今後の展望 11) 帝人のバイオ PC 素材が株式会社ホンダロックのスマートエントリーシステム用のドアハンド ルに採用され、今後、展開していく見込み。加えて、自動車のドアハンドル以外の自動車部品に も展開する見込み53。 三菱ケミカルでは、今後、自動車や航空機のモビリティ分野で、内外装品・透明パネルに使用 されるDURABIO の拡販を進めていくとしている54,55。 特記事項 12) 従来の石油由来のPC 樹脂と比べて、透明性や光学特性等に優れている56。
PU (5) 名称 1) PU(polycarbonate、ポリウレタン)と呼ばれる。 区分 2) バイオ由来である。生分解性を示さない。 概要 3) 部分バイオPU のバイオベースドは 10~100%となり得る。PU は天然油系のポリオール、ポリ オールベースドのAPC、バイオベースドイソシアネートより製造される。世界の PU 市場(石油 由来の PU を含む)は成長傾向にあるが、バイオベースド PU の市場はより早く成長することが 期待されている57。 主たる用途 4) 自動車用シート等の自動車内装材58、マットレス、枕、カーペットクッション、カーペット裏 地、家具59等の用途に利用される。 原料及び製造方法 5) 大豆やヒマシ油由来のバイオベースドポリオールとイソシアネートの重合反応またはポリオー ルとバイオベースドイソシアネートの重合反応により生成される。 LCCO2排出量(kgCO2/kg) 6) 情報なし。 製造企業 7) 日本では、三井化学株式会社60、トーヨーソフランテック等61において製造されている。海外で は、Biobased Technologies LLC(米国)、Cagill Inc.(米国)、Covestro AG(ドイツ)62、Metzeler Schaum
GmbH(ドイツ)等が製造している63。 ① 三井化学株式会社(エコ二コール®/Econykol®) ヒマシ油(非可食)を原料とした植物由来のポリウレタンであるエコニコール®を製造してい る。PU のバイオベースドは 20~40%であり、従来品比より約 8%CO2排出量の削減効果がある。 食糧問題と競合しない植物由来材料であり、自動車シート用等の自動車内装材用へ用いられる64。 ② トーヨーソフランテック(ソフランエコフォーム) ヒマシ油(非可食)を原料とした植物由来のポリウレタンであるソフランエコフォームを製 造しており、バイオマスマークを取得している。PU のバイオベースドは 30%程度である65。 ③ Covestro AG(Impranil®eco) 非化石系の原料由来の炭素含有率が 70%を有する脂肪族イソシアネート(Desmodur®eco N7300)よりバイオベースドの水性ポリウレタン分散体を製造している。服、アクセサリー、耐 水性の用途等に用いられ、バイオベースドは65%に達する66。
- 16 - ④ Cargill 社 大豆油由来を原料とした植物由来のポリオールであるBiOH®よりバイオ PU を製造している。 スペイン及びブラジルの工場において、2016 年に年産 3,500t ほど PU を製造している67。 製造能力 8) 2016 年におけるバイオベースド PU の世界の生産キャパシティは 1,712,000t と推定されており、 2021 年には 2,401,169t となると推定されている68。 輸出入量 9) 2016 年度における石油由来 PU の輸出量は 31,048t(2,2836,230 円)、輸入量は 11,194t(6,072,773 円)である69。 今後の欧州市場見通し(現状推移ケース、バイオ優遇ケース) 10) 情報なし。 今後の展望 11) 情報なし。 特記事項 12) 情報なし。
スターチベースドポリマー (6) 名称 1) Starch-based Polymer(スターチベースドポリマー)70。 区分 2) バイオ由来かつ生分解性を有する素材である71。 概要 3) スターチベースドポリマーは 1 種または複数種のポリマーとブレンドされた生分解性を有す 25~100%のバイオベースドなポリマーである。現在 Novamont(イタリア)が現在の市場リーダー である。2016 年に開始されたフランスにおけるプラスチック袋に関する新たな規制により、フラ ンス市場がNovamont をはじめ中小のスターチベースドポリマーのコンパウンダーにとって魅力 的な市場となっている72。 主たる用途 4) ばら売り用野菜・果物袋、ショッピングバッグ、農業用マルチフィルムや生ごみ分別回収袋等 のフィルム等に用いられる73,74,75。 原料及び製造方法 5) トウモロコシ等のデンプンを可塑化して他の生分解性樹脂やバイオマスプラスチックとブレン ドすることで作られる76。 LCCO2排出量(kgCO2/kg) 6) 情報なし。 製造企業 7)
海外の主な製造企業は、Novamont S.p.A77(イタリア)、BioLogiQ(米国)、Biotec78(ドイツ)、
Ingredion(米国)、等である79。 製造能力 8) 2016 年の製造能力は世界全体で約 430kt/年となっている。地域別の製造能力をみると、ヨーロッ パが約254kt、アジアが約 116kt、北米が約 42kt となっている。今後、生産量は横ばい傾向で推移 し、2021 年には約 433kt/年になると予測されている80。 輸出入量 9) 日本への輸入量はNovamont より農業用マルチフィルムを中心に約 150t 程度。 市場単価 10)
Rodenburg Biopolymers 社製の Solanyl®の単価は 0.8~1.5€/kg であり、スターチベースの製品の中 では、最も価格帯が低い製品である81。
今後の欧州市場見通し(現状推移ケース、バイオ優遇ケース) 11)
- 18 - 見込み82。 今後の展望 12) 石油由来プラスチックとの価格差を縮め、ライフサイクルでのトータルコストダウンを図る必 要がある83。 特記事項 13)
アクリル樹脂(PMMA) (7)
名称 1)
PMMA(Poly Methyl Methacrylate、ポリメタクリル酸メチル樹脂)と呼ばれる。 区分 2) バイオ由来であるが、生分解性を示さない。 概要 3) バイオベースドのPMMA の製造方法として、既存の MMA モノマー製造プロセスにバイオマス 原料を適用する新規製造技術やバイオマス原料から発酵法を経由した新規 MMA モノマー製造技 術等が旧三菱レイヨン株式会社(現三菱ケミカル株式会社)にて研究されていた。エレクトロ二 クス、照明器具、自動車等の多岐の用途に使用される。 主たる用途 4) エレクトロニクス、照明器具、建設、看板・ディスプレイ、自動車等の分野において活用され る。エレクトロニクス分野では、LED スクリーン、LCD スクリーン、カバーパネル等に用いられ る84。 原料及び製造方法 5) 既存の MMA モノマー製造プロセスにバイオマス原料を適用する新規製造技術やバイオマス原 料から発酵法を経由した新規MMA モノマー製造技術が研究されている。 LCCO2排出量(kgCO2/kg) 6) 情報なし。 製造企業 7) 日本では、旧三菱レイヨン株式会社(現三菱ケミカル株式会社)がバイオマス資源を原料とす る MMA モノマー製造技術の開発への着手を表明している85。海外では、Arkema(フランス)等 がPLA 等のバイオベースド素材と PMMA をブレンドした部分バイオベースドの PMMA を製造し ている86。 製造能力 8) 情報なし。 輸出入量 9) 貿易統計によれば、PMMA の 2016 年の輸出量は、数量ベースで 58,220 トン、金額ベースで 17,398 百万円であり87、2016 年の輸入量は数量ベースで 17,391 トン、金額ベースで 3,662 百万円である88。 ただしこれらの数字はバイオベースドを考慮していないことに注意。 今後の欧州市場見通し(現状推移ケース、バイオ優遇ケース) 10) 情報なし。
- 20 - 今後の展望 11) 2015 年の世界全体のバイオベースドポリメタクリル酸メチル樹脂の市場規模は 42 億ドルであ り、欧州の市場規模は世界全体の33%である。2021 年の世界全体の市場規模は 55.6 億ドルと見込 まれている89。
PP (8) 名称 1) polypropylene(ポリプロピレン)と呼ばれる。 区分 2) バイオベースド素材とすることが有望視されている素材である。製法によって、部分バイオベー スド、完全バイオベースドのPP が製造できる。 概要 3) PP は使用量が大きな汎用樹脂である。バイオ化に向けた技術的な製造可能性は検証が進められ ており、今後、バイオベースドPP を生産することが有望視されている。 主たる用途 4) 現時点でバイオPP は商業生産されておらず、よって主な用途は存在しない。 バイオに限らなければ、PP は汎用樹脂として Food Packaging(食品包装、フィルム、トレイ等)、 Nonfood Packaging(非食品包装)、Consumer Products(日用品)などに使用される90。
原料及び製造方法 5)
PP のモノマーであるプロピレンは、糖質作物から製造したバイオエタノールを原料として PP を製造することができる91。バイオエタノールから生産するバイオエチレン(C2)と、ブテン(C4) から、C3 化合物のプロピレンを 2 分子生成する手法がオレフィンコンバーションテクノロジー (Olefins Conversion Technology;OCT)として知られている92。
また、プロピレンはプロパノールからも製造することができ、プロパノールの発酵生産により 完全バイオPP の生産が可能になる。 LCCO2排出量(kgCO2/kg) 6) Braskem S.A.(ブラジル)の発表によれば、予備研究にて、1 トンのバイオ PP により 2.3 t の CO2 を固定し隔離できるとしている93。 製造企業 7) Braskem 社がサトウキビ由来のエタノールを利用してバイオ PP を市場投入することを計画して いた(Braskem 社は石油由来 PP も製造しているため、差別化のために製造するバイオ PP を「グ リーンPP」と呼称している)。2008 年の BioJapan にて、同社は初めて、ASTM D6866 に準拠し 100% 再生可能資源から生産されるグリーンPP のサンプルを発表した。グリーン PP の研究開発にはブ ラジル国内の大学、研究機関に加えて、Novozymes 社(デンマーク)との連携も実施94。2010 年 10 月には、従来の PP と同様に利用できる品質のものを生産する工場建設について、概念設計を 完了したと発表した95。しかし、現在当該プロジェクトは留保されている96。 我が国では、2008 年からの 5 年間、産業技術研究所、触媒技術研究組合、東京工業大学からな る研究グループがバイオエタノールからのプロピレン製造プロセスの開発プロジェクトを実施し ていた97。
- 22 - 製造能力 8) 2016 年現在、Braskem 社によるバイオ PP の商業生産はなされていない。また 2021 年までに生 産が行われる見通しもない98。 石油由来PP については、国内生産量は 2,466,311 トン(2016 年)である99。 輸出入量 9) バイオPP については輸出入量はゼロである。石油由来 PP については、2016 年の輸出量は数量 ベースで275,796 トン、金額ベースで 45,709 百万円である100,101。2016 年の輸入量は数量ベースで 221,019 トン、金額ベースで 30,520 百万円である102,103 今後の欧州市場見通し(現状推移ケース、バイオ優遇ケース) 10) 情報なし。 今後の展望 11) 汎用プラスチックの1 つであり消費量が多く、バイオベースド PP に置き換えた際の効果が大き い。今後、バイオベースドPP の製造が期待される。 特記事項 12) 特になし。
スパンデックス(ポリウレタン弾性繊維) (9) 名称 1) スパンデックスという通称で呼ばれる、ポリウレタン弾性繊維である。 区分 2) バイオ由来であるが、生分解性を示さない104。 概要 3) ストッキング等の製造に使用されるスパンデックス(ポリウレタン弾性繊維)は、需用量が多 いため、将来有望と期待されるバイオポリマーである。1,4-ブタンジオールから生産されるテト ラヒドロフラン(THF)をモノマーとして、ポリテトラメチレンエーテルグリコールというポリ マーを経て製造される。以下では、モノマーであるTHF について記載を行う。 主たる用途 4) 下着、アウトウェア、スポーツウェア、水着等の衣類等に用いられる105。 原料及び製造方法 5) バイオベースドのコハク酸を触媒下で蒸留し製造される1,4-BDO を脱水することで製造される 106。研究ベースで、林地材木であるユーカリ樹皮を原料としたフルフラールからバイオベースド THF を製造する技術が研究されている。 図 3 三菱ケミカル株式会社が研究しているバイオベースド THF の製造方法107 LCCO2排出量(kgCO2/kg) 6) 情報なし。 製造企業 7) 日本では、商業ベースで製造、販売されていないが、三菱ケミカル株式会社が非可食性バイオ マス由来フルフラール法THF 製造技術の開発を進めている108。海外では、BioAmber Inc.(米国)、
- 24 - BASF(ドイツ)109等が製造している110。 製造能力 8) 2016 年のバイオベースド THF の製造能力は不明。BioAmber Inc.によるバイオベースド THF の 製造能力は2016 年で 0 トン/年、2021 年で 30,000 トン/年と見込まれている111。 輸出入量 9) 貿易統計によれば、THF2016 年の輸出量は数量ベースで 2,926 トン、金額ベースで 739 百万円 であり112、2016 年の輸入量は数量ベースで 6,201 トン、金額ベースで 1,473 百万円である113。ただ しこれらの数字はバイオベースドを考慮していないことに注意。 今後の欧州市場見通し(現状推移ケース、バイオ優遇ケース) 10) 欧州では、BASF がバイオベースド THF を製造しているが、データは無い模様114。 今後の展望 11) 三菱ケミカル株式会社が研究しているバイオベースドTHF の製造方法では、フルフラールの製 造コストが市販価格を上回るため、安価原料の再調査や製造プロセスにおける断熱対策等による コスト削減対策を検討する見込み115。 特記事項 12)
EPDM (10)
名称 1)
EPDM はエチレンプロピレンゴム(Ethylene Propylene Diene Monomer Rubber)と呼ばれる。 区分 2) バイオ由来である。生分解性を示さない。 概要 3) 部分バイオEPDM は、バイオベースドのエチレンから製造され、バイオベースドが 50~70%に 達し得る。特に、Lancess 社がブラジルにおいてバイオベースド EPDM を製造している。市場は 小さいものの、新たなグレードや用途の開発を通じた安定した成長が期待されている116。 主たる用途 4) 主に自動車用途に用いられ、建築、オイル、ワイヤー等の用途へ利用される。 原料及び製造方法 5) サトウキビを原料とするバイオエチレンとプロピレンの重合反応によりバイオベースド EPDM が製造される。 LCCO2排出量(kgCO2/kg) 6) 情報なし。 製造企業 7)
日本でEPDM を商業生産している製造企業は無い模様。海外では、Lanxess AG(ブラジル)が 主な製造企業である117。 ① LANXESS(Kentan® Eco) サトウキビを原料とするバイオエチレンとプロピレンの重合反応によりバイオベースド EPDM を製造している。バイオエチレンを最大 70%程度原料に用いており、従来の EPDM と同 等の特性を有す118。ブラジルの工場における2011 年の EPDM の生産量は 40,000t であった119。 製造能力 8) アフリカにおける2016 年の生産量が 45,000t であり、2021 年の生産量も 45,000t を見込む。日 本やヨーロッパでの商業ベースでの製造は無い模様120。 輸出入量 9) 2016 年度における石油由来 EPDM の輸出量は 89,556,537t(22,711,972 円)、輸入量は 16,818,542t (3,818,652 円)である121。 今後の欧州市場見通し(現状推移ケース、バイオ優遇ケース) 10) 情報なし。 今後の展望 11) 情報なし。
- 26 - 特記事項
12)
イソプレンゴム (11) 名称 1) モノマーであるイソプレンを重合させたポリマーが、ポリイソプレンであり、ポリイソプレン のことを一般的にイソプレンゴムと呼ぶ。なお、ゴムに利用されるイソプレンは正確にはシス-1,4 ポリイソプレンである。 区分 2) バイオベースドポリマーである。また、天然ゴムおよび合成ポリイソプレンゴムについては、 微生物分解されることが報告されている122。 天然ゴムはパラゴムノキから生産されるバイオベースドポリマーである(下図①)。 合成ゴムの 1 つであるポリイソプレンは、通常、工業化学的に石油からできたイソプレンを重 合することで生産され、非バイオベースドであるが(下図②)、近年、モノマーのイソプレンを糖 から発酵生産する技術開発も進められており、合成ポリイソプレンゴムであってもバイオベース ドにすることが出来るようになっている(下図③)。 図 4 イソプレンゴムの製造経路 以下では、上図①、③のバイオベースドのものについて記載する。 概要 3) イソプレンは従来原油から製造される化学物質である。イソプレンを重合させたポリマーはポ リイソプレンと呼ばれ、一般的にはイソプレンゴムと呼ぶ。近年、イソプレンをバイオマスから 生産する技術開発が主にタイヤメーカー等を中心に進められている。モノマーのイソプレンを工 業的に重合させたものは合成イソプレンゴムと呼ばれるのに対して、天然イソプレンゴムは、パ ラゴムノキから、直接取得できるポリマーである。 植物 (ゴムノキ) バイオマス 石油 ポリイソプレン (天然ゴム) ポリイソプレン (合成ゴム) イソプレン
①
②
③
- 28 - 主たる用途 4) 天然ポリイソプレンゴム 天然ゴムの用途は、自動車タイヤ(特に大型自動車)、産業用トラクタータイヤ、履物、ホース、 ベルト、空気ばねなど一般用及び工業用品である123。特に、国内では約 90%がタイヤ用途に消費 されている124。 バイオベースド合成ポリイソプレンゴム 合成ポリイソプレンゴムの用途は、自動車、航空機用タイヤをはじめとして、天然ゴムの用途 をほぼ代用できる125。 原料及び製造方法 5) 天然ポリイソプレンゴム 一般的な天然ゴム(cis-ポリイソプレンが主成分)はパラゴムノキから樹液として取得される。 ゴムの樹液は、原則1 年を通じて生産される。 バイオベースド合成ポリイソプレンゴム バイオベースド合成ポリイソプレンゴムは、糖から微生物発酵により生産したイソプレンを、 重合することで製造される。 LCCO2排出量(kgCO2/kg) 6) ポリイソプレンを主成分とする天然・合成ゴムの主用途であるタイヤについて、LCCO2算定ガ イドラインが発行されている126。当ガイドラインによれば、天然ゴムの生産のGHG 排出係数は、 6.39×10-1 kgCO2e/kg であり、合成ゴム(石油由来;ゴムの種類の特定はなし)の生産の GHG 排 出係数は、2.40 kgCO2e/kg である。 合成ポリイソプレンに利用されるイソプレンがバイオマス由来になれば、その CO2排出量は従 来の約1/4 に削減される見込み127。 製造企業 7) 天然ポリイソプレンゴム 天然ゴム(cis-ポリイソプレンが主成分)は農業製品であり、タイ、インドネシア、ベトナム、 中国の順に生産量が多くなっている128。生産企業を特定して示すことは難しいため割愛する。 バイオベースド合成ポリイソプレンゴム バイオベースドイソプレン生産(および続く合成ポリイソプレンゴム生産)に取り組んでいる 企業として、以下のような企業が挙げられる。多くの企業では研究開発段階にあるとみられる。 味の素株式会社、株式会社ブリヂストン 2012 年 5 月に、バイオマス由来の合成ポリイソプレンゴムを共同開発したことを発表129。 日本ゼオン株式会社、横浜ゴム株式会社、理化学研究所 2015 年 9 月に、バイオマス由来の合成ポリイソプレンゴムを共同開発したことを発表。 生産性向上のために、理化学研究所による、コンピュータによる微生物の代謝設計技術が
活用されている130。 住友ゴム工業株式会社、東北大学、埼玉大学 2016 年 10 月に、パラゴムノキにおける天然ゴムの生合成機構について研究成果を発表131。 これにより、パラゴムノキの品種改良や、他植物や植物体以外でのゴム生産などの応用が 期待されている。 Michelin、Amyris、Braskem Michelin(フランス)、Amyris(米国)、Braskem(ブラジル)は 2011 年より、共同でバイ オマス由来のイソプレンを生産するバイオプロセスを開発している(Braskem は 2014 年 より合流)132。 Goodyear、Genencor(DuPont) Goodyear (米国)と Genencor(米国、DuPont が買収)は、2008 年より、共同でバイオ イソプレンの事業化に向けた開発を行っている133 GlycosBioBiotechnologies、Bio-Xcell GlycosBiotechnologies 社(米国)は Bio-Xcell 社(マレーシア)と共同で、2014 年よりマ レーシア南部にて年産 4 万トンのバイオイソプレンの商業生産を行うことを発表した (2010 年)134,135。一方、現在 GlycosBiotechnologies 社のウェブサイトに記載はなく、プ ロジェクトの状況は不明。 図 5 イソプレン開発企業を巡る相関図
- 30 - 製造能力 8) 2015 年の世界のゴム消費量は、2,673.1 万トンとなっている。(再生ゴム、屑ゴムを除く)。天然 ゴムと合成ゴム(イソプレンゴム以外も含む)の消費比率は、この10 年程は約 4:6 で推移してい る136。 天然ゴム 世界の天然ゴム消費量は1,216.7 万トン(2015 年)であり、消費量上位 5 か国は、中国、インド、 米国、日本、タイの順である。天然ゴムの生産量は消費量とほぼ同量の 1231.4 万トン(2015 年) であり、タイ、インドネシア、ベトナム、中国の順に生産量が多くなっている137。 合成ゴム 日本ゴム工業会の合成ゴム品種別出荷量統計138によれば、2016 年の合成イソプレンゴムの出荷 量(国内、国外向け)は、計73,923 トンである。この数値は化学合成されたものであることに留 意。 イソプレン 民間調査会社によれば、イソプレンの世界市場規模は19 億 3,000 万ドル(2015 年)と推計され、 2021 年には 29 億 6,000 万ドルに拡大すると予測されている139。 輸出入量 9) 日本では天然ゴムは100%輸入に依存している。一方、合成ゴムの約 90%は国内生産されている 140。日本ゴム工業会の合成ゴム品種別出荷量統計141によれば、2016 年の合成イソプレンゴムの出 荷量計73,923 トンのうち、30,776 トンが輸出向けの出荷となっている。ただしこの値はバイオベー スドのものではないことに注意。 今後の欧州市場見通し(現状推移ケース、バイオ優遇ケース) 10) 情報なし。 今後の展望 11) 特記事項 12) 天然ゴム(ポリイソプレン)は、数あるゴムのなかでも最もゴムらしい弾性をもった素材であ る。耐摩耗性などの力学的性質が優れている。合成ポリイソプレンゴムも、天然ゴムとほとんど 同じ性質を持ち、「合成天然ゴム」とも呼ばれている142。
ブタジエンゴム (12) 名称 1) ブタジエンゴムは、厳密にはブタジエン(Butadien)を重合した合成ゴムを指す。ただしここで はモノマーのブタジエンに注目するため、ブタジエンゴムとはブタジエンが使用されるゴム全般 を含むものとする。 区分 2) バイオベースドである。 概要 3) ブタジエンは、現在化石資源から製造されているビルディングブロックである。ブタジエンを モノマーとするスチレン・ブタジエンゴムや、ブタジエンゴムは代表的な合成ゴムであり、その 流通量も多い。近年、ブタジエンをバイオマスから生産するための技術開発が進められており、 将来的に、ブタジエンを使用する合成ゴムもバイオベースド製品に置き換わっていくことが期待 される。本項では、主にモノマーであるブタジエンについて記載を行う143。 主たる用途 4) 主な用途は合成ゴム、ABS 樹脂等の原料である144。ブタジエンゴムは、合成ゴムの中でも生産 量・使用量が多い特徴がある145。 原料及び製造方法 5) 植物バイオマスから発酵法によって生産されるエタノールを原料として固体触媒によりブタジ エンを生成する方法や、糖から一段階の反応でブタジエンを合成する方法が報告されている(こ のケースではアセトアルデヒドを経由するが前後で同一触媒を利用)146。特に、エタノールを原 料としてブタジエンを合成する方法については古くから知られ、研究が盛んである147。また、発 酵法により直接糖類からブタジエンを生産することも報告されている148。 LCCO2算定方法・補足情報 6) タイヤについて、LCCO2算定ガイドラインが発行されている149。当ガイドラインによれば、合 成ゴム(ゴムの種類の特定はなし)の生産のGHG 排出係数は、2.40 kgCO2e/kg である。 製造企業 7) (バイオ)エタノールからブタジエンを合成する手法は古くから知られ、米国では1940 年代に は年産約30 万トンのブタジエンが生産されていた150。現在、持続可能なブタジエンの生産プロセ スに注目が集まっており、以下に示す企業等が生産、および商業化に向けた研究開発を行ってい る。 国内(いずれも開発段階) 株式会社ブリジストン151 横浜ゴム株式会社、東京工業大学152
- 32 - 海外153
INVISTA 社(米国)、LanzaTech 社(米国)154
Michelin 社(フランス)、Axens 社(フランス)、Tereos 社(フランス) Global Bioenergies 社(フランス)155、Synthos 社(ポーランド) Genomatica 社(米国)、Versalis 社、Braskem 社(ブラジル) Cobalt Technologies 社(米国) 図 6 ブタジエン開発企業を巡る相関図 製造能力 8) 国内ブタジエン生産量は872,703 トン(2016 年)である156。 また、ブタジエンの供給量の予測が、経済産業省「平成25年度石油産業体制等調査研究 (石油化学産業の市場構造に関する調査)」157によってなされており、2020 年には約 13 百万ト ン/年の見込みで 2030 年には約 20 百万トン/年に拡大することが予測されている。 輸出入量 9) 石油化学工業協会の統計資料によれば、2016 年のブタジエンの輸入量は 54,353 トン(6,596 百 万円)である。輸出量は、同資料では「ブタジエン及びイソプレン」と統合されており、あわせ て2016 年は 34,472 トン(3,953 百万円)となっている158。 今後の欧州市場見通し(現状推移ケース、バイオ優遇ケース) 10) 情報なし。
今後の普及に向けた課題 11) ブタジエン技術開発は進められているものの、生産効率やコスト面での課題が引き続き残って いると考えられる。 その他 12) ブタジエンは従来石油の分画・精製により生産されてきたが、近年依存度が高まっているシェー ルガスにはブタジエンがほぼ含まれていない。また国内のエチレンクラッカー設備の縮小により、 将来的にブタジエン供給不足が懸念されている159。
- 34 - 1.2 我が国及び欧州におけるバイオ素材に関連した規制、利用促進策、認証制度、規格等 に関する調査結果 1.2.1 調査の内容 わが国及び欧州におけるバイオマスを原料としたプラスチックに関連する導入目標値、規制、 利用促進策、認証制度、規格等に関する情報を整理した。 1.2.2 EU 等におけるバイオエコノミー分野の主な動き EU 等におけるバイオエコノミー分野の主な動きを以下に示す。 表 3 欧州におけるバイオエコノミー分野の主な動き160 年 主体 出来事 2009 OECD 2030 年のバイオエコノミー実現に向けた政策提言書を発表 2010 ドイツ バイオエコノミーの長期的な研究戦略を発表 2012 EU 欧州委員会がバイオエコノミー戦略を採択 2013 ドイツ バイオエコノミー国家戦略を採択 2014 EU 研究開発プログラム「Horizon2020」で総額 37 億ユーロの投 資を決定。 2015 EU サーキュラーエコノミーパッケージ発表 ドイツ 第1回 グローバルバイオエコノミーサミット開催 2016 イタリア バイオエコノミー戦略を発表 スペイン バイオエコノミー戦略を発表 2017 フランス バイオエコノミー戦略を発表 2018 EU 欧州プラスチック戦略を発表 EU バイオエコノミー戦略の改訂版を発表予定 ドイツ 第2回グローバルバイオエコノミーサミット開催(予定)
OECD 「Innovation for Bioeconomy」を出版予定(4 月)
1.2.3 欧州各国の社会的背景とバイオプラスチックに係る政策措置の導入状況の俯瞰
ここでは、本調査で対象とした欧州連合(EU)および欧州の主要国(イタリア、英国、オラン ダ、スペイン、ドイツ、フランス)の社会的背景および、政策的措置の実施状況を俯瞰する。
次ページに示す表 4 は、欧州連合(EU)と欧州各国の状況を比較可能な形で取りまとめたもの である。
表 4 各国の社会背景と政策的措置の状況 イ タリア 英国 オランダ スペイ ン ドイツ フランス ■バイオエコノミー戦略(2012) ■サーキュラーエコノミーパッケージ(2015) ・優先項目としてプラスチック、食品廃棄物、希少資源、建設・解体、バイオマス 及びバイオマス製品。 ■プラスチック戦略(2018) ■バイオエコノミー戦略(2016) ■バイオエコノミー戦略 ・準備中 ■バイオエネルギー戦略(2012) ■アグリテック戦略(2014) ■バイオエコノミー戦略 ・準備中の模様 ■バイオエコノミー戦略(2016) ■バイオエコノミーの長期的な研究戦略 (2010) ■バイオエコノミー国家戦略(2013) ■バイオエコノミー戦略(2017) 糖質作物 の生産 ・生産量(糖質換算):1,099万トン/年 ・生産量(糖質換算):1,428万トン/年 ・生産量(糖質換算):261万トン/年 ・生産量(糖質換算):1,264万トン/年 ・生産量(糖質換算):2,897万トン/年 ・テンサイの生産量:大 ・生産量(糖質換算):3,731万トン/年 ・テンサイの生産量:大 食糧需要 ・穀物自給率:69% ・穀物自給率:86% ・穀物自給率:16% ・穀物自給率:75% ・穀物自給率:113% ・穀物自給率:189% 製造規模 ・国内生産量:20万トン/年(※判明分のみ) ・国内生産量:0万トン/年(※判明分のみ) ・国内生産量:7.1万トン/年(※判明分のみ) ・国内生産量:1.7万トン/年 (※判明分のみ) ・今後拡大予定 ・国内生産量:8.1万トン/年 (※判明分のみ) ・国内生産量:8.1万トン/年 (※判明分のみ) 主要プ レーヤー ・Novamont(大手樹脂メーカー) ―― ・Rodenburg Biopolymers(Starch-based polymerの生産量大きい) ・Succinityによる増産計画あり ・BASF(大手樹脂メーカー) ・BioTech(大手コンパウンダー) ・Sphere(大手コンパウンダー) 焼却率 25-30% 5-10% 約60% 15-20% 65-70% 40-45% 埋立率 45-50% 約70% 5-10% 約55% < 5% 35-40% 【EU】 枚数制限 指令 【各国】 禁止 ■プラスチック袋 【EU指令8a(2015年)】 ・50ミクロン未満の袋の使用量を2019年末までに90枚/人/年、2025年末までに 40枚/人/年に削減するための施策を講じること。 ・加盟国の対応期限:2019年末 ※もしくはEU指令8bを満たすこと ■レジ袋 ・使用禁止(2011年実施) ※除外規定あり(生分解性要件を参照) ―― ―― ■15~50ミクロン未満の袋 ・使用禁止予定(法制化予定、遅延中) ■50ミクロン以上の袋 ・使用禁止予定(法制化予定、遅延中) ・除外要件:50%以上のリサイクルプラス チック含有 ―― ■レジ袋(厚さ50ミクロン未満) ・使用禁止(2016年~) ■ばら売り用の野菜・果物袋 ・使用禁止(2017年~) ※除外規定あり(生分解性要件、バイオ ベース度要件を参照) 有償化 ■プラスチック袋【EU指令8b(2015年)】 ・厚さ50ミクロン未満を有料化。または同等に有効な施策を講じること。 ・15ミクロン未満のプラスチック製小分け袋は例外。 ・加盟国の対応期限:2018年末 ※もしくはEU指令8aを満たすこと ―― ■使い捨て袋 ・大型の小売店では使い捨て袋を有償化 (2015年~) ■使い捨て袋 ・小売店等での無料プラスチック袋の使 用禁止(2016年~) ・一部の例外規定はあり ・課金料金は事業者に委ねられている (政府推奨値は存在) ■15ミクロン以上の袋 ・有償化を義務付け(2018年~、遅延中) ■プラスチック袋 ・スーパーマーケット等でプラスチック袋 の有償化の取組あり(自主協定であり法 的拘束力はない)(2016年) ―― 生分解性 要件 ―― ■レジ袋 ・禁止規定の除外要件:コンポスタブル要 件(2011年実施) ■15ミクロン未満の使い捨て袋 ・禁止規定の除外要件:コンポスタブル要 件(2012年実施) ―― ―― ■15ミクロン未満の袋 ・コンポスタブル(堆肥化可能)要件あり (2018年法制化予定、遅延中) ―― ■ばら売り用の野菜・果物袋 ・禁止規定の除外要件:ホームコンポスタ ブル性能(2017年~) バイオ ベースド 要件 ―― ■15ミクロン未満の使い捨て袋 ・禁止規定の除外要件:バイオベースド 要件(2018年実施、段階的に引き上げ) ―― ―― ―― ―― ■レジ袋 ・禁止規定の除外対象:50ミクロン以上の 再使用可能なプラスチック製か、紙や繊 維などその他の素材の袋(2016年~) ■ばら売り用の野菜・果物袋 ・禁止規定の除外要件:一定割合以上の バイオベース度(段階的に引き上げ) (2017年~) ラべリング ■プラスチック袋 【EU指令】 ・欧州委員会は、2017年5月27日までに、生分解性プラスチック及びコンポスタブ ル(堆肥化可能)なプラスチック袋の認証ラベル/マークの運用に向けた施行規 則を採択するものとしている。 ・EU加盟国は、欧州委員会による施行規則の採択から18か月後ままでに施行 規則に沿ったラベル運用の開始を要求としている。 ※本施行規則の発表は、2018年3月現在確認できていない。 ―― ―― ―― ―― ―― ―― 禁止 ―― ―― ■マイクロビーズ ・化粧品等に使用するマイクロビーズの 製造、販売を禁止(販売禁止は2018年後 半の実施予定)。 ―― ―― ―― ■使い捨て容器・食器 ・禁止予定(2020年~) ※除外規定あり(生分解性要件、バイオ ベース度要件を参照) 生分解性 要件 ―― ―― ―― ■容器包装 ・コンポスタブルの場合、課金額減免 ―― ―― ■使い捨て容器・食器 ・禁止規定の除外要件:ホームコンポスタ ブル要件 バイオ ベースド 要件 ―― ―― ―― ―― ―― ―― ■使い捨て容器・食器 ・禁止規定の除外要件:50%以上のバイ オベース度(2025年からは60%)。 有償化 ―― ―― ―― ■容器包装 ・プラスチックの容器包装に対して課金。 生分解性プラスチックの場合は課金額が 減免されている ―― ―― ―― ―― ―― ―― ・禁止予定(2020年~) ―― ―― 項目 EU 社会的 背景 国家戦略等 バイオマス 賦存量 ■概要 各国でバイオマス賦存量は異なる。農業国も含まれ、バイオマス生産量は概し て日本より多く、また食糧自給率も高い バイオベー スドプラス チック製造 ■概要 汎用プラ製品は廉価な中国製品等が流通。EU域内に樹脂メーカー、コンパウン ダーは存在 プラスチック 廃棄物の処 理方法 ■概要 各国によって、焼却、埋立の処理方法は異なる。概して、日本と比べて埋立処 理が盛ん 規制の 導入 プラスチック 袋 その他のプ ラスチック オキソデグレダブル袋 ■ 【EU指令】 ・「欧州委員会は酸化分解型プラスチック製の使い捨て袋の使用が環境に及ぼ す影響を調査し、欧州議会及びEU理事会に報告し、必要に応じて対策を講じ る」 ■ 【プラスチック戦略】 ・「酸化型プラスチックの使用を規制するためのプロセスを開始する」 ■エレンマッカーサー財団の動き ・ニュープラスチック・エコノミー・イニシアティブにて、オキソ分解性プラスチックパッケージの禁止を求める声明を発表 ・署名機関にはグローバル企業、業界団体、NGO、研究機関、欧州議会議員等が含まれており、計150以上の組織が声明を支持。
1.2.4 欧州各国におけるバイオベースドプラスチック製造の現況 以下では、我が国におけるバイオ素材普及戦略を調査するために、まずは欧州各国における戦 略の社会的背景の分析を行った。 バイオベースドプラスチックの2016 年の製造能力を、各国ごとに示すと以下のようになる。本 調査で対象とした欧州6 ヶ国では、イタリアが 20.0 万トン/年と最も製造規模が大きく、次いでド イツとフランスがともに 8.1 万トン/年、オランダが 7.1 万トン/年と続く。なお、このデータは、 バイオマスからの生産だけでなく、バイオベースドモノマーからポリマーを製造する企業も集計 対象となっていることに留意が必要である。我が国のバイオベースドポリマーの2021 年の予想製 造規模は 4.2 万トン/年であるが、バイオベースドモノマーを輸入してポリマー化している事業者 も多いことから、バイオマスからの製造量は大きくないと考えられる。 ここでは、さらに各国におけるバイオベースドプラスチックの製造に必要なバイオマス量の概 算を行った結果を併せて示している。 表 5 各国のバイオベースドプラスチック製造量と必要な糖質量
データはnova Institute GmbH (2017)、「Bio-based Building Blocks and Polymers – Global Capacities and Trends 2016-2021」より、各国内で生産されるバイオベースドプラスチック量のうち、製造量が明確に把握できたものを 合計。「バイオベースドプラスチック製造に必要な糖質量」の算出にあたってはバイオベースドプラスチックの 炭素含有量を70%と仮定した。 1.2.5 欧州各国におけるバイオマス賦存量 上述のバイオベースドプラスチックの製造量に対して、各国のバイオマス賦存量の比較を行う と、各国とも、生産されるバイオマスに対してバイオベースドプラスチックの製造量は非常に小 さくなっていることを示す。例えば、フランスではバイオマスの糖質換算量が 3,731 万トン/年で あるのに対し、バイオベースドプラスチックの生産に必要な糖質換算量は 14.1 万トン/年であり、 バイオマス生産量の0.4%程度である。 各国のバイオマス賦存量として、糖質作物(デンプン作物と狭義の糖質作物の合計)の生産量 を調査した。糖質理論収率を考慮した結果、各国における各作物の糖質換算量は次のようになる。 イタリア 英国 オランダ スペイン ドイツ フランス 日本 タイ(参考) 20.0 0.0 7.1 1.7 8.1 8.1 4.2 12.0 35.0 0.0 12.4 2.9 14.1 14.1 7.4 21.0 項目 バイオベースドプラスチック 製造量(万トン/年) バイオベースドプラスチック製造に 必要な糖質量(万トン/年)