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博 士 ( 工 学 ) 赤 井 泉 明

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 赤 井 泉 明

学 位 論 文 題 名

メ タ ノ ー ル エ ン ジ ン の 低 温 始 動 性 改 善 に 関 す る 研 究

( 部 分 酸 化 反 応 に よ り 得 ら れ る 可 燃 ガ ス の 利 用 と エ ン ジ ン ヘ の 適 用 )

    学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  メ タ ノ ー ル は , 蒸 気 圧 が 低 く 本 質 的 に 氷 点 下 の 低 温 で は 引 火 せ ず , 低 温 始 動 性能 に 問 題 が あ る 燃 料 で あ る . 本 論 文 は , メ タ ノ ー ル を オ ッ ト ー タ イ プ エ ン ジ ン の 燃 料と し て 使 用 す る 際 に 問 題 と な る 低 温 始 動 性 能 の 新 し い 改 善 方 法 を 提 案 し , 要 素 技 術 に必 要 と さ れ る 指 針 を 与 え る も の で あ る . 自 動 車 の 実 用 性 を 考 え た 場 合 , 米 国 北 部 , 欧 州

( 北 欧 を 除 く ) お よ び 日 本 で は‑30℃ の 環 境 で ク ラ ンキ ン グ時 間が30秒 以内 での エン ジ ン 始 動 が 必 要 で あ る こ と か ら , 本 研 究 で はMl00( ニ ー ト メ タ ノ ー ル ) を 燃 料 と す る オ ッ ト ー タ イ プ エ ン ジ ン に つ い て , こ の 基 準 を 目 標 に 改 善 方 法 の 提 案 と 実 証 を 行う ・   エ ン ジ ン の 吸 気 系 に 設 置 し た 部 分 酸 化 燃 焼 器 に お い て , 超 音 波 燃 料 噴 射 弁 に より 微 粒 化 さ れ た メ タ ノ ー ル 噴 霧 を 放 電 火 花 に よ り 点 火 し , 過 濃 燃 焼 に よ る 部 分 酸 化 反応 に よ り 水 素 と 一 酸 化 炭 素 を 瞬 時 に 生 成 さ せ る . 次 に こ れ ら の 可 燃 ガ ス を エ ン ジ ン の燃 焼 室 に 導 入 し , 始 動 す る . 本 コ ン セ プ ト を4気 筒 のMl00エ ン ジ ン に 適 用 し た 結 果 ,‑30

℃ で 約 10秒 間 の ク ラ ン キ ン グ 時 間 で 始 動 す る こ と に 成 功 し た .   本 研 究 で は , こ の コ ン セ プ ト を 実 現 さ せ る た め の 要 素 技 術 に つ い て 検 討 し た . ま ず‑30℃ に お け る 放 電 火 花 に よ る メ タ ノ ー ル 噴 霧 の 点 火 , 部 分 酸 化 反 応 に よ る 可 燃 ガ ス の 生 成 , 得 ら れ た 可 燃 ガ ス と 希 釈 空 気 に よ る 可 燃 混 合 気 の 形 成 に つ い て の 検 討 を 行 っ た . 次 に 本 シ ス テ ム を 多 気 筒 エ ン ジ ン に 適 用 し , 部 分 酸 化 燃 焼 器 で 生 成 さ れる 可 燃 ガ ス の 低 発 熱 量 に つ い て 調 べ , . 最 後 に 実 用 上 の 問 題 に つ い て 検 討 し た .   本 論 文 は8章 か ら な る . 以 下 に 各 章 の 概 要 を 述 べ る ・

  第1章 で は , メ タ ノ ー ル 自 動 車 を 開 発 す る 上 で の 解 決 す べ き 課 題 を 挙 げ , そ の 中 の 低 温 始 動 性 の 改 善 に 関 す る 研 究 動 向 に つ い て ま と め た . ま た 本 研 究 の 目 的 お よ ぴ概 要 に つ い て 述 べ た .

  第2章 で は , メ タ ノ ー ル エ ン ジ ン の 低 温 始 動 性 を 改 善 す る た め に 試 み た @ 噴 霧 の 微 粒 化 , @ 燃 料 加 熱 , ◎ メ タ ノ ー ル の 改 質 な ど の 方 法 に つ い て 述 べ た .M85( メ タ ノ ー ル85%, ガ ソ リ ン15% ) 燃 料 で は , @ 噴 霧 の 微 粒 化 と ◎ 燃 料 加 熱 を 組 み 合 わ せ る こ と に よ っ て‑30℃ に お け る10秒 以 内 の 始 動 を 達 成 で き る が ,Ml00燃 料 で は 改 善 効 果 が 認 め ら れ な か っ た . ま た ◎ メ タ ノ ー ル の 改 質 がMl00燃 料 で も 効 果 が あ る こ と , こ の 中 で は 触 媒 反 応 ( オ ン ボ ー ド リ フ オ ー マ ) の 利 用 よ り も 燃 焼 反 応 に よ っ て 得 ら れ る水 素 お よ び 一 酸 化 炭 素 を 利 用 す る 方 法 が 改 善 効 果 が 大 き い こ と が 明 ら か に な っ た .

(2)

  第3章で は,部分 酸化燃焼 器におい て噴射さ れたメタノ ール噴霧 の点火には.放電 火花に より液滴 を気化さ せ,点火 する必要 があること から,‑30℃ の条件でメタノー ル噴霧 が点火さ れる条件 を検討し た,その結果,放電期間内に火花の中を通過する液 滴 の直 径 が 小さく, 総個数が多 いほど噴 霧を点火 しやすい ことが明 らかにな った.

  第4章で は,部分 酸化燃焼 器で水素 および一 酸化炭素を 高濃度で 生成させるための 条件を 調ベ,得 られる可 燃ガス濃 度の上限値を把握する実験を行った.次に可燃ガス と空気 との混合 気の点火 する条件 について調べ,始動に必要な希釈空気量の条件につ いて検討した.得られた結果は以下のとおりである.

@ メタ ノ ー ルを予混 合燃焼させ ると,空 気過剰率 が0.41で過濃 限界とな る.この と き の水 素 お よび 一 酸化 炭 素 濃度 が 上限 値 で,そ の濃度は 両者とも に約20%であ る.

◎ 可燃 ガ ス と希釈空 気による混 合気が点 火すると きの水素 ,酸素濃 度はそれ ぞれ約 5%以 上 , 約9% 以 上 で ある . また こ の 条件 は ,エ ン ジ ンの 初 爆条 件 と 一致 す る .

◎可燃 混合気の 形成には ,部分酸 化燃焼器 の入口条件 における 空気過剰率(スb)を 0.6以下 で 燃 焼さ せ て約9%以上 の 水 素濃 度を 得ること と,希釈 率DR(部分 酸化燃焼 器の供 給空気量 と希釈空 気量の比 )を1.8〜3.2の範囲とすることが必要条件である.

  第5章 で は,‑30℃の条件 でエンジン 始動後に 部分酸化 燃焼器で 得られた 可燃ガス のみで アイドリ ングさせ た場合, 回転速度 を1000rpm以上に上 昇させることができな かった ため,無 負荷運転 に要する 熱量(ENL)を実験的に調べた.その結果,‑30℃の環 境 に お い て 排 気 量2Lの4気 筒 エ ン ジ ン の 始 動 直 後 に , エ ン ジ ン 回 転 速 度 を 一 定

(1000rpm)に保持しながら運転させるために必要な熱量(1100〜1300J/cycle)を明らかに することができた.

  第6章 で は, 部分酸化 燃焼器で得 られる可 燃混合気 の低発熱 量と,第5章で得ら れ たENLの比 較を行い ,部分酸 化燃焼器 で発生し た熱量で運 転できる 負荷の範囲を検討 した. その結果,可燃混合気の低発熱量は,500〜850J/cycleであり,この値はスロッ ト ル全 開 運 転時のメ タノール理 論混合気 の10〜15%に相 当するこ と,ENLと可 燃混合 気の低 発熱量と がつり合 う回転速 度の最大値は約800rpmであり,部分酸化燃焼器から の 熱 量 に よ り , エ ン ジ ン の 始 動 か ら 無 負 荷 運 転 ま で 可 能 な こ と が 示 さ れ た .   第7章で は,エン ジン始動 後に負荷 運転させ る場合には ,始動後 の早期における燃 料噴射 (超音波 燃料噴射 弁からポ ートインジェクタ)の切り換えが課題となることか ら,燃 料噴射の 切り換え に必要な 温度条件について検討した.その結果″点火プラグ の座面 温度が燃 料噴射切 り換え時 の情報に適していること,始動後約30秒後には点火 プラグ の座面温 度が約5℃ に到達し ,ポート インジェク タから噴 射されるメタノール のみで通常の負荷運転が可能となることが明らかになった.

  第8章は 本論文の 終論であ り,本研 究の結論 ,工学的寄 与ならび に今後の課題につ いて記述した.

(3)

学位論文審査の要旨 主 査    教 授    伊 藤献 一 副 査    教 授    宮 本    登 副 査    教 授    菱 沼孝 夫 副査   助教授   藤田   修

学 文 題 名

メダ ノールエンジンの低温始動性改善に関する研究

( 部 分 酸 化 反 応 に よ り 得 ら れ る 可 燃 ガ ス の 利 用 と エ ン ジ ン ヘ の 適 用 )

  メ タノ ール を火 花点 火エ ンジ ンの 燃 料と して 使用 する 場合 、燃 料の 蒸気 圧が 低い ため 低 温 始 動 限 界 は 約O℃ と な り、 冬季 寒 冷地 にお ける 実用 性に 問題 があ る。 本論 文は 、こ の問 題を 解決 する ため の新 しい 改善 方法 を提案し、その要素技術について検討した ものである。

本論 文で は、 自動 車の 実用 性の 観点 か ら、Ml00(ニ ート メタ ノー ル) を使 用し て、 ―30℃ の環 境で クラ ンキ ング 時間 が30秒以 内 を目 標と して 、改 善方 法の 具体 的提 案を 実証 を行 つ てい る。

  本 論文 で; まま ず、 低温 条件 にお ける放電火花による噴霧への点火、および 部分酸化反応 によ る可 燃ガ スの 生成 、可 燃混 合気 の 形成 につ いて 検討 し、 これ をも とに 部分 酸化 燃焼 シ ステ ムに よる 始動 方法 を提 案し 、多 気 筒工 ンジ ンに 適用 した 成果 を述 べて いる 。  すな わ ち、 超音 波燃 料噴 射弁 によ り従 来よ り 微細 なメ タノ ール 噴霧 を形 成し 火花 点火 によ る噴 霧 への 着火 を確 実な もの とし 、過 濃燃 焼 によ る部 分酸 化反 応に より 水素 と一 酸化 炭素 を発 生 させ 、こ の可 燃ガ スに 希釈 空気 を導 入 し可 燃混 合気 そ形 成し 、エ ンジ ンを 始動 する シス テ ムを 提案 した 。こ れに より 、4、 気筒 のMl00エ ンジ ンを‑ 30℃下で約10秒のク ランキング時 間で 始動 する こと に成 功し てい る. 。

  つ いで 、メ タノ ール 噴霧 の点 火の 条 件に 関す る解 析を 行い 、放 電火 花の 中を 通過 する 燃 料液 滴数 が点 火条 件を 決定 する こと を 明ら かに して いる 。ま た、 可燃 ガス 混合 気の 点火 条 件を ガス 濃度 およ びエ ンジ ン運 転制 御 に必 要な 希釈 率に より 整理 でき るこ とを 示し 、希 釈 率1ま1,8〜3. .2の 範 囲 と す る こ と が 必 要 条 件 で あ る こ と を 見 い だ し て い る 。   さ らに 、可 燃ガ ス混 合気 の低 発熱 量 と、 エン ジン 無負 荷運 転に 要す る熱 量を 算定 する 方 法を はじ めて 提案 し、 これ によ り部 分 酸化 燃焼 器で 発生 した ガス の熱 量で 運転 可能 な回 転 速度 の範 囲を 示し 、エ ンジ ン無 負荷 運 転要 求熱 量と 部分 酸化 燃焼 器と の整 合技 術に 指針 を 与え てい る。

  こ れを 要す るに 、著 者は 、従 来不 可 能で あっ たー30℃ にお ける メタ ノー ル火 花点 火エ ン ジン ,の 始動 を実 用上 のレ ベル で可 能とする新しい方法を提案し、代替燃料エ ンジンの開発 にお いて 有益 な新 知見 を得 たも ので あ り、 燃焼 工学 およ び内 燃機 関工 学に 寄与 する とこ ろ 大で ある 。

  よ っ て 、 著 者 は 北 海 道 大 学 博 士 ( 工 学 ) の 学 位 を 授与 され る資 格あ るも のと 認め る。

    ―534―

参照

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