布 の曲 げ振 動 にお け る減衰 特 性
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(2) (論 文 集)Vol.49,No.12(1996). 1.緒. 65. で は,す 言. と判 定 さ れ る と い う報 告 が あ る が,基. 布 の曲 げ特性 はその風 合 いや変形 挙 動 を支配 す る 大 き な 要 因 に な る と考 え られ る.布. の 曲 げ特 性 の 測. 準 的 に 用 い ら れ て い るKESシ. 本 研 究 で は,KES‑LAB(>MODEL‑F2を. ス テ ム2)では,純 曲 げ. て,繊. 試 験 に よ る 曲 げ モ ー メ ン ト対 曲 率 の 往 復 曲線 の 中 央 部 を そ れ ぞ れ 直 線 近 似 し,曲 率0.5cm‑1と1.5cm一 よ び 曲 率 ―0.5‑1と. の 間 の 傾 斜 の 平 均 値 を 曲 げ 剛 性Bと. 査. は,歩. 験. 定 義 し,曲 率 ± 2.1実. の動的 特性 が重要 と. に動 的 な 美 的 感 覚 を与 え る要 因 と して. 振 動 テ ス タ ー に よ っ て 求 あ た.装. 置 の基本 原理 図 を. Fig.1に. さ3cmと. 示 す.試 料 は 幅1cm,長. 曲 げ て2枚. 行 や 微 風 に よ っ て 衣 服 が 揺 動 し,振 動 す る様. し,布 を. の 平 行 板 に は さ ん で 右 側 の 板 を 固 定 し,. 左 側 の 板 が 振 り子 と連 動 して 振 動 す る.初 期 振 幅 は. 子 が 最 も大 き い と考 え られ る.. 1mmと. 布 の 曲 げ 振 動 特 性 に つ い て の 解 析 で は,小. 験装 置. 布 の 曲 げ 振 動 特 性 は,KES‑LABO‑MODEL‑F2. の 風 合 い を 客 観 的 に評 価 して い る3).. 考 え られ,人. 維 集 合 体 の 曲 げ 振 動 特 性 に っ い て 検 討 し,繊. 2.実. 一1.5cm'1と. 定 義 し,そ れ ら の 特 性 値 を 用 い て 布. 衣 服 に っ い て 考 え た 場 合,布. 用 い. 維 集 合 体 の 内 部 摩 擦 効 果 に つ い て 考 察 した.. 0.5cm一 重で の ヒ ス テ レ シ ス 幅 の平 均 値 を 曲 げ ヒス テ レ シ ス2HBと. 礎現 象 の解析. で は 未 だ不 十 分 で あ る.. 定 法 に っ い て は 非 常 に 多 くの 報 告1)が あ り,現 在 標. と の 間 の 傾 斜,お. で に 松 平8)や 泉 ら9)によ り,振 動 が 長 時 間 持. 続 す る布 か ら製 作 さ れ た ス カ ー トが 揺 動 時 に美 しい. 野木. した.. 布 の 曲 げ 特 性 の 特 性 値(B,2HB)はKES‑FB2曲. ら4)によ る振 動 リー ド法 に よ る 布 の 曲 げ 剛 性 の 測 定,. げ試 験 機 に よ る純 曲 げ 方 式 の 曲 げ モ ー メ ン ト対 曲 率. 朱 ら5)によ る 布 の 非 線 形 を 考 慮 した1自. の 関 係 か ら求 め た.. 析,飽. 由度振 動 解. ら6)によ る 非 線 形 有 限 要 素 法 に よ る,は りの 曲. げ 振 動 解 析 等 が あ る.し. 実 験 は す べ て 温 度295±3K,相. か しな が ら,こ れ ら の研 究. で は布 の 曲 げ振 動 に 関 す る理 論 的 解 析 の み に注 力 し 2.2試 て お り,実 際 の 衣 服 の 振 動 に ま で 応 用 す る こ と は困 難 と 思 わ れ る.泉7)ら は 婦 人 用 薄 手 布 の 曲 げ振 動 特 性 を調 べ て い る が,基. 対 湿 度60±5%環. 境 下 で 行 っ た. 料. 広 範 囲 の 織 物 の 曲 げ 振 動 特 性 にっ い て 検 討 す る た あ,各 種 の 繊 維 素 材,構. 造(平,綾,朱. よ び実 際 の 衣 服 の 美 観 と の 対 応 の 点 で 未 だ 不 十 分 と. 礎 現 象 や 理 論 の 解 析 の 点,お. 等 の 織 物 を 選 択 した.そ. の 際,筆. 思 わ れ る.布. よ り,し な や か さ の 手 触 り感 覚 の 強 度 が 異 な る織 物. の 曲 げ 振 動 特 性 と衣 服 の 美 観 と の対 応. Fig. 1. Schematic apparatus. model of bending vibration ; KES-LABO-MODEL-F2. T325. 子),用. 途,. 者 ら の主 観 評 価 に.
(3) 66. 繊 維 機 械 学 会 誌. Table. Table. と して,合. 計105点 の 試 料 を採 取 出 来 た.こ. ら,素 材 の 相 違,糸 て,代. の 種 類 や 太 さ の 相 違,等. 表 的 な 試 料 の概 略 をTable1に. 1. 2. Outline. Outline. of Fabric. of Fabric. Samples. Samples. 3.. の 中か につ い. 理. 論. 実 際 の布 は繊維 あ るい はそ の集 合 体 よ り構成 され. 示 す.こ. の中. て い る.布 の曲 げ振 動特 性 は粘弾 性 的 で,完 全 弾性. か ら特 に 詳 細 に 検 討 し た試 料 の 概 略 をTable2に. 示. 体 と考 え られ る鋼鉄 の振 動特 性 や塑 性 プ ラスチ ック スな どの非線形 振動 特性 とは本質 的 に異 な る もの で. す.ま Table2に. た 比 較 の た め 検 討 した不 織 布 に つ い て も 示 し た.. あ る.振 り子 の振動 は,布 の粘性 抵 抗 およ び繊 維 あ. T326.
(4) (論 文 集)Vol.49,No.12(1996). 67. 振動 の周期Tお. よび振動 数fは 次式 で表 せ る.. (3) 粘 性 効 果 を 無 視 で き る の 場 合,す 合,(2)式. な わ ちc=0の. 場. は以 下 の 式 で 表 せ る.. (4) は じめ の 半 サ イ ク ル の 解 は. (5) とな り,次 の 戻 の 半 サ イ ク ル の 解 は Fig. 2. Equivalent fabric.. model. of bending. vibration. of. (6) とな る.た. 振 動 系 をFig.2の. 半 サ イ ク ル後 の最 大 振 幅 値 で. あ る.. る い は そ の 集 合 体 で あ る糸 の 間 に 生 じ る摩 擦 抵 抗 を 考 慮 して,Fig.1の. だ し,x1は. こ こ で,. よ うな振動 モ. デ ル に 等 価 変 換 して 解 析 す る10).. の と き を 考 え る と,. 振 動 方 程 式 は以 下 と な る.. (1) と な り,半 た だ し,m:振 c:粘. 性 抵 抗 係 数;振. の振 幅減少量 は2D/Kと. り子 自 身 の粘 性 抵 抗. ネ定 数;振. 擦 効 果 項;繊. であ る.こ の場合,減 衰 曲線 は直線 とな る.実 験条. は非 直線 あ るいは多段 階 直線 となる.. を 解 く と,粘 性 係 数. な わ ち,c2<4mKの. よっ. 減衰 振動 の過 程 で変 化 す. る場合,減 衰 振動 の振 幅減 少量 も変 化 し,減 衰 曲線. 減少過程. は負 符 号 を と る.. 初 期 条 件:t=0,x=x0で(1)式 が 比 較 的 小 さ な 場 合,す. て決 ま る.摩 擦効 果項Dが. 増 加 過 程(dx/dt>. は 正 符 号 を と り,xの. (dx/4t<0)で. 件 が一 定 の場 合,振 幅 減少量 は摩擦効 果 項Dに. 維 あ る い は糸 の 間 に 生. じ る摩 擦 抵 抗,xの 0)で. イ クル. △x=4D/K(7). り子 自 身 の 弾 性 抵 抗 係 数. と布 の 曲 げ 弾 性 抵 抗 係 数 を 含 む D:摩. な る.そ れ故,1サ. ごとに減衰振 動 の振 幅減少 量 は,. 係 数 と布 の 粘 性 抵 抗 係 数 を 含 む K:バ. サイ クル後. り子 の 質 量. 4.. 実験結 果. 場 合,. 減 衰 振 動 と な り,(1)式 の 解 は 次 式 で 表 さ れ る.. 4.1. 曲 げ振動 減衰 曲線. 布 の曲 げ振 動 減衰挙 動 の代表 例 をFig.3に 減 衰 曲線 は指 数 関数 的で はな く,2段 (2). 示 す.. 階 の直線 的 に. 減 衰 して い る.こ の減 衰特 性 は繊維 素材 の相違 によ り,振 動持続 時 間 と振 幅減 少量 が異 な る ことがわ か った.こ こで,振 動 の停止 領域 は振 り子 の効果 のみ. た だ し,. に な ると考 え られ るので,振 幅 が初 期 の約1/5に 至 るまで の減衰 曲 線 を検 討 の対象 とす る.そ の結 果,,. T327.
(5) 繊 維 機 械 学 会 誌. 68. プ ル1は. △d1,△d2が. 大 き く,S1とS2は. 振 動 は 短 時 間 で 停 止 す る.こ 2は △d1,△d2が. 小 さ く,. れ に対 して,サ. 小 さ く,S1お. よ びS2は. ンプル. 大 き く,. 振 動 は 長 時 間 持 続 す る. サ ン プ ル4は. サ ン プ ル3よ. り 振 幅 減 少 量 △d1,. △d2が 大 き く,振 動 持 続 時 間S1,S2が が わ か る.こ の こ と は,Bや2HBが. 小 さい こ と 同程度 の布 で も. 布 の 繊 維 素 材 や 構 造 に よ って 曲 げ 振 動 特 性 は異 な っ て く る こ と を 意 味 して い る.そ B,2HBの. れ 故,純. 曲 げ特性 値. み に よ り布 の 動 的 な 曲 げ特 性 を評 価 す る. の は 難 し い と考 え ら れ る. 5.. 考. 5.1. 察. 布の 曲げ振 動 曲線. 布 の 曲 げ 振 動 減 衰 曲 線 は2段 階 の 直 線 に 近 似 で き Fig.. 3. A typical fabric. example. bending. of. damping. behavior. of. る こ とか ら,(7)式 に よ って,布 の 振 幅 が 小 さ い 場 合,. vibration.. 布 の 曲 げ振 動 粘性 効 果 項 が 無視 で き る と考 え られ こ の 間 の 振 動 曲 線 は大 部 分 の 試 料 で2つ 似 で き る こ と が わ か っ た.こ. の直線 で近. の こ と は 振 り子 系 の 粘. 性 効 果 項 が 無 視 で き る こ と を意 味 し て い る.ま 曲 げ 振 動 に お け る 摩 擦 効 果 が2段 こ と を 意 味 して い る.こ 表 さ れ る た め,2つ. る.こ. 実 験 した,布. た,. 階 に変 化 して い る. の 粘 性 減 衰 を 無 視 して 求 め た 共 振 振 動. 致 して い る.布. の曲 げ振動 の力学 的性 質 は繊維 集合. 体 の 構 造 に 起 因 す る と考 え られ る.そ. を 有 して い る こ とが わ か. 波 数 及 び 振 幅 が 小 さ い 場 合,布. る.. こ で,振. 動周. の曲 げ振動 摩擦 項 は. 交 差 糸 の 糸― 糸 間 の 摩 擦 項 お よ び 繊 維 ― 繊 維 間 の 摩. 本 実 験 試 料 の 中 に は,振 続 け る も の も あ り,そ. 動 が1min以. の 場 合,減. 上 も持 続 し. が ら,本. 研 究 で は,3直. 擦 項 に分 離 して 考 え る こ と が で き る と仮 定 す る. サ ン プ ル5の. 衰 振 動 曲 線 が3直. 線 以 上 の 多 直 線 で 近 似 す る こ と が で き た.し. て,検. 動 リー ド法 で. 数 の 実 験 値 と計 算 値 が よ く一致 した と い う結 果 と合. の と き の減 衰 直 線 は(7)式で. のD値. の 結 果 は最 近鮑 ら11)によ る,振. Fig.5Aに. か しな. 線 以 上 に つ い て は例 外 と し. 討 外 と した.. 布 の 曲 げ振 動 特 性 を 特 性 値 で 表 す た め,Fig.3に 示 す4個. 階 の 振 幅 減 衰 量 で あ り,△d2は. の 振 幅 減 衰 量 で あ る.S1は 間 で あ り,S2は. 第1段. 第2段. 階. せ ず,振. 至 るま. ンプ ル2は. て糸. 差 糸 の 糸― 糸 間 摩 擦 は 存 在. た,た. て糸 の み の 曲 げ 振 動 曲 線 が1. つ の 直 線 で 近 似 で き る こ とか ら,(7)式 に よ っ て,繊. を 曲 げ 特 性 値 の 結 果 と と も にTable3に. 大 き く,サ. 階 の直線 部 の振. え られ る た め,上 記 の 仮 定 の 正 当 性 が 確 認 さ れ た と. をFig.4. 維 ― 繊 維 間 の 摩 擦 効 果 に よ って 振 動 が 減 衰 して い る. れ ら の サ ン プ ル の 曲 げ振 動 特 性 値 の結 果. 純 曲 げ 剛 性Bと. の 直 線 的 に減 衰 して い る こ と が わ. 幅 の減 衰 は 繊 維 ― 繊 維 間 摩 擦 に基 づ く と考. 考 え られ る.ま. 布 の 曲 げ 振 動 減 衰 特 性 の 代 表 的 な4例. プ ル1は. だ けの曲 げ振動特性 は検討 し. 示 す.糸. の み の 曲 げ 振 動 で は,交. 曲 げ振 動 特 性 値. に示 す.こ. をFig.5Bに. 幅 減 少 量 に ほ ぼ 近 似 して い る こ と が わ か る.た. で の 振 動 持 続 時 間 で あ る. 4.2. て 糸 だ け の 曲 げ振 動 減 衰 特 性. か り,振 幅 減 少 量 は 同 一 布 の第2段. 階 の振 動 持続 時. 振 幅 が 初 期 振 幅 値 の1/5に. 一 サ ンプ ル の よ こ糸 方 向 の 糸 を. す べ て 取 り 除 い た,た. た 範 囲 内 で は1つ. の パ ラ メ ー タ を 取 り上 げ る.す な わ ち,△d. 1は 第1段. た て 方 向 の 曲 げ振 動 減 衰 曲 線 を. 示 し,同. 示 す.サ. ヒ ス テ レ シ ス2HBが. こ と が 明 らか に示 さ れ た.そ れ 故,第2段. ン. 部 の 振 幅 減 少 量 は糸 の 構 造 や 繊 維 の種 類 に 依 存 す る. 最 も. と考 え られ る.こ の 種 の検 討 は他 の2例. ンプ. 実 験 を行 っ た が,同. そ れ ら が 最 も小 さ い.サ. ル3と. サ ン プ ル4は. が,両. 者 の 曲 げ 振 動 特 性 に は顕 著 な 差 が あ る.サ. 階 の直線. そ れ ら の 値 は ほ ぼ 同 じで あ る. 次 に,糸. ン. て,曲. T328. につ いて も. 様 な 結 果 を 得 た.. が 存 在 しな い繊 維 集 合 体 の不 織 布 を用 い. げ 振 動 実 験 を行 っ た 結 果 をFig.6に. 示 す が,.
(6) 69. (論 文 集)Vol.49,No.12(1996). Sample. 1. Sample. Fig. 4. Table. 3. Sample. 3. Sample. Four representative bending vibration.. results. Mechanical Parameters Property and Bending. T329. 4. of fabric. of Pure Vibration. Bending. 2.
(7) 繊 維 機 械学 会 誌. 70. (A). Fig. 5. (B). Damping direction. behavior of fabric in warp (A), and that of warp yarns. (B).. 布 の ヒ ス テ レ シ ス2HBが. 大 き く な る に 従 い,曲. げ変 形 の エ ネ ル ギ ー と 回 復 の エ ネ ル ギ ー の 差 は 大 き くな り,布. の 曲 げ振 動 摩 擦 項 は大 き くな る.す. なわ. ち,振 幅 減 少 量 は大 き く な り,振 動 持 続 時 間 は 小 さ く な る.サ. ンプ ル1は. シ ス2HBが. 大 き い の で,振 幅 減 少 量 は大 き く,振 動. サ ンプ ル2に 比 べ,ヒ. 持 続 時 間 は 小 さ い の で あ る.サ 3と 比 べ る と,2HBは ル4は. ン プ ル4を. ステ レ. サ ンプル. ほ ぼ 同 じ値 で あ るが,サ. ンプ. 強 撚 フ ィ ラ メ ン ト糸 で 構 成 され て い る た め,. 糸― 糸 間,あ. る い は 繊 維― 繊 維 間 の 接 触 面 積 お よ び. 接 触 圧 力 が 大 き く な り,摩 擦 項 は大 き く な る.そ の 結 果,振. 幅 減 少 量 は大 き くな り,振 動 持 続 時 間 は 短. くな る. Fig.. 6. Damping. behavior. of. non-woven. fabric.. 第1段. 階 か ら第2段. 階 へ と 移 る点 は,布. の摩 擦項. の 主 要 因 が 糸 ― 糸 間 の 摩 擦 か ら繊 維― 繊 維 間 の 摩 擦. 不 織布 の場 合 も直線 的 に減 衰 して い る こ とが 明 らか であ る.不 織 布 の場 合,糸 だ け の振動 特性 と同様,. へ と変 化 す る点 と考 え られ る た め,S1は. 繊 維―繊 維 間 の相 互作 用 のみ が存在 す ると考 え られ. 両 者 の 合 計 で あ る た め,繊. るので,1つ. い る と考 え られ る.例. 布 の組織. や糸 ― 糸 間 の 接 触 圧 力 に 関 連 して い る.一 方,S2は. の 直線 で近似 で き る と考 え られ る.こ. の ことは上記 の仮 定 の正 当性 を よ り強 く裏付 けて い. ンプ ル に お い て も,2HBが. る.. は,布. 布 の場 合,交 差 した糸 と糸 との 間の接 触 の幾何 学. 維 の 集 合 構 造 に関 連 して. 示 は しな い が,他. の多数 の サ. ほ ぼ 同 じ値 を有 す る場 合. の 組 織 が 異 な る と布 の 曲 げ 振 動 特 性 は異 な っ. た挙 動 を示 した.例. え ば,綾. 織 物 と平 織 物 と の 比 較. 的 な位置 関係,糸― 糸 間 の接 触圧 力,摩 擦係 数等 が. で は,綾 織 物 の 方 が 振 幅 減 少 量 は大 き く,振 動 持 続. 摩擦 項 に関係 す るた め,そ れ らが 曲げ振 動特 性 に大. 時 間 は短 か っ た.. きな影響 を及 ぼす と考 え られ る.す な わ ち,布 の組. 今 後,よ. 織,糸 の構 造,繊 維 の種 類等 によ り曲 げ振 動 特性 が. り広 範 囲 な布 の組 織,糸. の 構 造 や 種 類,. 繊 維 素 材 に つ い て 曲 げ振 動 特 性 を 検 討 した い.. 異 な って くる.. T330.
(8) 71. (論 文 集)Vol.49,No.12(1996). 5.2. 振 幅 減 少 量 と 曲 げ特 性 値2HBと. ただ し,α:補 正項,. の関係 の. β:振 幅減 衰係 数 と定義 す る. ここで βは繊 維素 材 に依存 す ると考 え,本 実 験条. で に川 端 が 次 の理 論 式 を提 出 し. 件 で求 め た試 料 すべ て に対 して 回帰 式 を誘 導 し,4. 布 の 曲 げ 振 動 曲 線 の 振 幅 減 少 量 △dと2HBと 関 係 に つ い て は,す て い る12).. 種 の素材別 にま とめた と ころ,Table4に (8). た だ し,d:静 L:振. ス. テ ムで得 られ る純 曲 げ特 性 の ヒステ レシ ス2HBか. 止 時 の 平 行 板 間 隔(cm). ら布 内 の内部摩 擦効 果 が予想 で き,布 の 曲 げ振 動特. り子 の 長 さ(cm). 性 の振幅減 少量 が推 定で きる ことを意 味 して い る.. 本 式 を 用 い た場 合,2HBが. 小 さ な値 の範 囲 で は実. 今 後,よ り実 際 的 な 衣服 の 曲 げ振 動 特 性 を検 討. 験 値 と理 論 値 とが 一 致 す る こ と が 泉 ら7)によ り確 認 さ れ て い る.し か しな が ら,2HBが 両 者 の差 が 大 き く,ま. し,衣 服 の美観 の客 観評 価へ と発 展 した い.. 大 きい場 合 に は. 6.. た,繊 維 の 種 類 に よ っ て 摩 擦. 項 が 異 な る た め,本 式 で は不 十 分 で あ る と考 え られ. 結. 論. 繊 維集 合体 の曲 げ振動 減衰 特性 につ いて,内 部摩. る.. 擦 との 関連 で解 析 し,以 下 の結論 を得 た.. 本 実 験 条 件 で は,重 錘 の 質 量mが. 布 の曲 げ弾性. 抵 抗 係 数 に 比 べ て は る か に 大 き い た め,(7)式. (1) 布 の振動 減衰 挙動 は布 の粘 弾性 抵抗 係数 が無. のK. 視 で き,繊 維素 材,糸 や布 の構造 にかか わ らず,減. は 振 り子 自 身 の 弾 性 抵 抗 係 数 に ほ ぼ 等 し くな る.従. 衰 が初 期 振 幅 の 約1/5に. っ て,(7)式. 段 階 の直線 にな る ことを示 した.. は以 下 の 式 に 変 換 で き る.. た だ し,g:重. お よび繊 維― 繊維 間 の摩 擦 の2つ に分 け られ るこ と. 力 の 加 速 度=980cm/s2. が明 らか にな った.. 繊維 集合 体 の曲 げ変形 時 の内部摩 擦 は変形 ― 回復. (3) 布 の曲 げ振 動パ ラメー タの うち,第1段. サ イ ク ル にお け るエ ネ ル ギ ー消 費 の原 因 とな るの 擦 項Dは. ヒス テ レ シ ス2HBに. と考 え る こ と が で き る.ま た,平. 糸 間 の摩擦 に関連 してい る.第2段. 布 の. 小 さ い ほ ど摩. 擦 が 大 き く な る と 考 え られ る た め,摩. 擦 効 果 項 はd. の 第1段. こで,振. 関連 してい る.第1段 階 の減 衰持 続 時 間S1は 減衰 の主要 因摩擦 項 が糸,糸 間の摩 擦 か ら繊 維― 繊維 間. 大き. い ほ ど糸 ― 糸 間 の 摩 擦 が 小 さ く,dが. の摩擦 に移 行す る点 を表 し,布 の組 織 や糸― 糸 間の 接触圧 力 に関連 して い る.布 の全体 的 な曲 げ振動 減. 動 減衰. 衰持 続 時間S2は 布 の純 曲 げ特 性 と繊 維 の集 合構 造. 階 の 減 少 量 に対 して 以 下 の 式 を 考 え る.. に関連 して いる. (10). Table. 4. Regressed. 直線 部 の振幅 減. 衰 量 △d2は 糸 の構 造 お よび繊 維 ― 繊 維 間 の摩 擦 に. 曲 げ振 動 時 の 曲 率 半 径 を 決 定 して お り,糸 ― 糸 間 の 接 触 状 況 に直 接 的 に 影 響 を及 ぼ して お り,dが. 直線. 部 の振 幅減 衰 量 △d1は 布 の純 曲 げ特 性 お よ び糸 ―. 比 例 して い る. 行 板 間 隔dは. に 反 比 例 して い る と仮 定 で き る.そ. 至 る まで は減 衰 曲 線 は2. (2) 振 幅 が小 さい場合,布 の内部 摩擦 は糸 一糸 間. (9). で,摩. 示 す結果. が得 られた.こ れ らの回帰 式 を用 いれ ば,KESシ. (4) 布 の初期 曲 げ振 動減 衰量 と布 の ヒステ レシス. Equations. T331. of Bending. Vibration.
(9) 72. 繊 維機 械 学 会 誌. 2HBと. の 間 に,繊 維 素材 別 に新 しい回帰 式 を誘導 で. きた. 文 1). 献 日本 繊 維 機 械 学 会,布 い― 基 礎 と実 際,日. 2) 川 端 季 雄;繊 3) 川 端 季 雄;. の 風 合 い編 集 委 員 会 編:. 布の風合. 本 繊 維 機 械 学 会,P.171(1972).. 維 機 械 学 会 誌(繊 維 工 学),26,P721(1973). 風 合 い 評 価 の標 準 化 と解 析,第2版. 維 機 械 学 会,風. ,日 本繊. 合 い計 量 と規 格 化 研 究 委 員 会,(1980).. 4). 小 野 木,安. 5). 朱,石. 6). 鮑,高. 寺,篠. 原;繊. 羽;家. 政 学 雑 誌,32,309(1981).. 川. 藤,杉 他;繊. 中;繊. 維 学 会 誌,10,32(1954).. 維 機 械 学 会 誌(論. 7). 泉,丹. 8). 松 平 光 男;繊. 維 機 械 学 会 誌(論. 9). 泉,丹. 政 学 雑 誌,34,96(1983).. 羽;家. 10). 斉 藤 秀 雄;. 11). 鮑,高. 12). 川 端 季 雄;. 寺,篠. 工 業 基 礎 振動 学 原;繊. 文 集),45,T115(1995).. ,養. 賢 堂,P.35(1989).. 維 学 会 誌,50,92(1994).. や さ しい布 の力 学 と風 合 い. 会 講 習 会 テ キ ス ト,16(1978).. T332. 文 集),40,T81(1987).. 維 学 会 誌,49,383(1993).. ,日 本 繊 維 機 械 学.
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