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(1)

江戸病名録

原資料・落合泰蔵編著『漢洋病名対照録』

久次米晃

現代語訳・編集

○本冊子は、落合泰蔵編著『漢洋病名対照録』を原資料としている。原著は明治十五年に刊 行されており、江戸期・明治当初の和漢洋の病名を対照させている。 ○本冊子は、原資料にある漢病名・和病名及び病気の解説のほぼすべてを掲載した。 (「 」で記されているものは、口語的な名称である。) ○西洋病名の訳が複数ある場合は最も適当だと思われるものを採用し、病気の解説も多くを掲 載した。ただし、その解説は刊行当時のものであり、現代からみれば不適切なものも含まれ ていると思われる。(●以下が、西洋病名・解説である。) 西洋病名の原語は掲載しなかった。 ○病名の読みで自信がないものは、基本的に音読みで配列した。

(2)

【あ】

→噫気

あおしい

→青盲

あおそこい

→青盲

赤くさ

→小児赤遊丹

悪血病

→癩病

悪疾

→癩病

悪食

→悪阻

あくち

→腎唇

悪蟲叮咬

蚊蟲・蝎蟄・蜂蟄。 「蛇にかまれ」・「蜂などにさされた」。 ●咬傷は各人の体質と昆虫の種類によって大きく異なるが、その症状は少しの腫れと痛み が出るが、時として凶暴な激痛・発熱・煩苦があらわれることもある。

悪孕

→悪阻

→黒子

あしなえ

→痿輭

→瘖唖 鵶

→胡気

按季

→月経不順

暗経

『小言』に、「俗に木女あるいは石女と呼ぶものがあるが、これは暗経である」とある。 「からおんな」・「きむすめ」・「うまずめ」・「いしむすめ」。 ●無月経。月経の来るはずの年齢になっても月経のないものをいう。

【い】

胃 痛

脾胃痛・胃心痛・心窩痛。また古方では脾疼という。 『病源』掲載の心疝はこれに属する。この名称から、病状を明確にしようとしても漠然とし ている。古人がいう心脾胃は多くの場合胃のことであり、名称で三つの臓器を区別している わけではない。心痛・脾疼は、胃痛のことである。解剖学的な実態が明確でないために、外 部から推測した結果である。そのため同一の病気でありながら、別の名称になっているも のも多い。後世の者が眩惑させられることになる。 「心窩の痛む病」。 ●胃痛。迷走神経及び交感神経の一部の神経痛で、胃痙攣のように激しく痛むわけではな いが、持続的な疼痛がある。 脘

胃 癰

「脾胃のうちに腫物のできる病」。 ●胃潰瘍。幽門部小弯周辺及び後壁に潰瘍ができる場合が多い。その形は扁平・漏斗状 で胃壁が破壊され、外に向かって螺旋状の小孔をができ、内へ向かって粘膜上に大孔がで きる。

噫気

噯気・噫。 『入門』に、「食気を噯轉するものを噯気と呼ぶ。」とある。 「げっぷ」・「おくび」・「べくす」。 ●噯気。胃中に発生したガスを突然口から外へ出すものである。特に慢性カタル性胃炎や 胃弱の者によく起こる。

いきれ

→紅爛

痿厥

→脚気・痿輭

縊死

「縊首(くびりくび)」。 ●縊死とは気管を絞扼したために呼吸を閉止し死ぬ者をいう。

胃心痛

→胃脘痛

遺精

→失精

一物二形

「物が二つに見える目の病」。 ●乱視。一つの眼で物が二個に見える病気である。

一物半形

「一つの物が半分に見える病」。 ●半視。片側の眼のことを言うのではない。両眼で見ても、視界の半分が見えなくなるもの をいう。

(3)

委中毒

→失栄 委中毒は膝後面膝窩横紋約中に生じるものをいう。

噎膈

→膈症

一穴

→鎖肛・鎖陰

一石米瘡

→横痃 『証治準縄』に、「俗にいう一石米瘡は百日経つと治るのをいう」とある。

逸風瘡

→疥瘡

遺溺

→遺尿

遺毒

胎毒。 遺毒の中に無皮と呼ばれるものがあるが、これは嬰児の先天性黴毒症であると思われる。 この症は全身が赤く爛れ、生命を保つ者はきわめて少ない。 『金鑑』に、「新生児の無皮に二種ある。父母の梅毒が伝染し遺ったもの、あるいは月足ら ずの早産によるもの。無皮で赤く爛れ、痛みは堪えがたい」とある。 ●先天性黴毒。父の精子の中に毒があったか、あるいは母の卵子の中に毒があり遺伝す る、または父母から伝染した初生児黴毒である。

稲目瘡

→麻疹 輭

『素問』にある痿厥・痿躄はこれである。後世、脚気の別名としているのは誤りである。 「こしぬけ」・「あしなえ」。 ●両下肢麻痺。両脚の麻痺をいう。脊髄病または脊髄の創傷が原因である。脳病を合併 することもある。

遺尿

遺溺・尿床。 溺・尿は『字彙』に小便である、とある。 『玄珠』に、「遺尿は小便が自然と出て、自覚がない。」とある。 『素問』に、「膀胱がしまらないのを遺溺という。」とある。 「寝小便」・「よばり」・「いばり」。 ●遺尿。膀胱粘膜の知覚が減退したもので、尿が貯留しても尿意を喚起することがなく、睡 眠中に不随意の排泄をするので、遺尿と呼ぶ。

いのご

→瘡建

いばり

→遺尿

胃反

→反胃 ●膠状癌が胃に生じたもの。膠状癌は内臓特に胃の下口に生じることが多い。一説にこの 癌は外部に生じることが少ないという。

衣被生虱

「衣ものにしらみたかる」。 ●衣虱。虱が衣服内に棲息し、皮膚上に食物を求める。それで、この寄生物による疹は特 に衣服が身体に接触する部分に生ずる。

痿躄

→痿輭

→疣瘡

→疣瘡

疣痔

→酒痔

疣目

→枯筋箭

いも

→痘瘡

胃癰

→胃脘癰

陰萎

→陰痿

陰痿

陰茎が萎え、性交することができない。草木が萎縮して成長しないような状態である。 腎 虚。 「えてものきかぬ」・「まらのたたぬ病」。 ●勃起不能。陰茎まったく勃起せず妊娠させる性交をすることができないのをいう。『扶氏 遺訓』所載の陽精無力、及び『内科提綱』所載の媾合不能は、これのことである。

陰疳

→疳瘡

陰癇

→驚風

陰貴

→陰狐疝

陰貴気

→陰狐疝

咽喉潰爛

→爛喉

咽喉結毒

結毒咽瘡・結毒咽疳。 「かさの毒のんどにつく病」。 ●黴毒性咽喉炎。黴毒の第二期に発

(4)

する咽喉の炎症で、特に扁桃腺・軟上顎・懸壅垂・咽の後壁などに生じるのが普通である。

咽喉瘡

→爛喉

咽喉不利

→爛喉

陰狐疝

狐疝・狐疝風・頽疝・腸頽・腸疝・陰疝・陰頽・陰躰・陰躰気・偏墜・外腎偏大頭。 この名は腸の出入りが狐と似ているところから出ている。狐が昼間穴から出て排尿し、夜に 穴に入り排尿しないようなものである。 『儒門事親』に、「狐疝は形が瓦に似ていて、横臥すると少腹に入り、立ち上がると少腹から 出て嚢中に入る」とある。 ①「せん」。 ●鼠径ヘルニア。腸の一部が鼠径管から偪出したもので、外から見ると腫起し て局所の皮膚の変色はなく、按撫しても疼痛はない。直立すると腫大緊脹し、横臥すれば 縮小弛緩、あるいは全く消散する。 ②「そい」・「そえふぐり」・「せん」。 ●陰嚢ヘルニア。腸の一部が前鼠径輪を過ぎて外方に 向い、陰嚢中に下脱するものである。本来鼠径陰嚢ヘルニアと名づけるのが妥当である。

陰痔

「陰門にできる腫物」の一つ。(→陰瘡) ●陰膣息肉。線維織あるいは結合織に係る小腫 瘍で、無脚のものもあれば、有脚で腟壁に懸るものもある。

陰虱

→八脚虫

陰蝨

→八脚虫

陰腫

「玉門の腫れ痛む病」。(→前陰腫痛) ●大陰唇膿瘡。大陰唇の炎症から起こる膿腫をいう。

陰症

→瘟疫

飲証

肋骨の内に水の溜る病。 『内秘』に、「飲証というのは、体内に停滞している水のことで津液ではない。心肺の外、胸 膜間あるいは膜内に貯留・膨張し、……」とある。これは胸水のことである。 『医源枢要』に、「胸水は一般に脚気衝心証と呼ばれている。」とあり、『療治瑣言』に、「胸 水と支飲とは別物ではない。」とあるが、二説とも妥当とも思われない。 ●胸水。胸膜間に水液が貯留するものをいう。胸膜水と呼んでもよい。一般に、この病気は 他の病気の随伴症状で、原発病ではない。

陰症傷寒

→瘟疫

陰蝕瘡

→黴瘡 癮

風疹・風瘡・風掻・風癮胗・赤疹・丹疹。疹は胗とも書く。 『千金』では癮軫と書いてある。『玉機』では軻と書いてある。 『原病式』に、「軻は浮小、癮軻である」とある。 中国では外観から名づけたために、痘瘡・麻疹以外はすべて癮疹という。わが国の折衷家 と称している者は、風疹あるいは風瘡と呼んでいる。俗に加佐保呂勢(かざほろし)と総称 する。 「ほろせ」・「熱の花」・「かざうるし」。 ●①猩紅熱。一種の伝染性発疹病で。皮膚及び咽喉扁桃腺に猩紅様の斑が生じる。それ で猩紅熱の名がある。発疹は第二日に始まり第五日に終るのが普通である。二歳~十歳 の小児が最も多くかかる。(「かざほろし」・「ふきでもの」・「ちちほむ」・「ちちはくる」。) ②仮性麻疹。麻疹あるいは猩紅熱に似ているが本来全くの別種で、特殊な伝染毒から起こ る発疹熱である。特に小児を侵す。米国では俗にフランス麻疹と通称する。(「三日はし か」。) ③薔薇疹。鮮紅色、形は円または楕円、皮膚上に突起する小斑である。 ④蕁麻疹。平坦な紅色の隆起疹で、中央が白く、灼けるような痒みが我慢できないほどで、 形と感覚は蕁麻(イラクサ)で傷ができたのに似ている。それで蕁麻疹の名がある。

陰吹

『医学綱目』に、「陰吹というのは胃の気が下泄し陰吹して、甚だ喧し。これは穀気の実であ る」とある。 『彙解』に、「陰吹というのは女性の陰戸轉屎気をいう」とある。 「つびべ」。 ●直腸陰腟瘻。分娩の際に多く起こる。また、会陰瘻と併発することがある。

陰疝

→陰狐疝 『証治準縄』に、「陰疝は別名頽疝という」とある。

陰瘡

→黴瘡

(5)

『正宗』に、「婦人の陰瘡は七情の鬱火が肝脾を傷損して、湿熱が下注し、患を為す。形は 一様ではなく、邪火の化し方次第である。陰中に一筋の蛇形のものが一尺ほど挺出する」 とある。また、「陰中に菌子のようなものが突出し、鶏冠に似ている。周囲が腫痛する……」 とある。 医学書を参考に考えてみると、陰膣の中の外科的病の概称で、さまざまのものが含まれて いる。 ①「子宮に腫瘤(こぶ)のできる病」。 ●子宮腫瘤。子宮内外の両面あるいは実質中に腫 瘤が生じるものをいう。線維瘤・線維様嚢瘤・子宮ボレイブ・子宮癌腫の四種に分けられ る。 ②「陰門のうちにできる腫物」。 ●膣嚢腫。膣癌。膣膿腫。

陰頽

→陰狐疝

陰頽腫

→陰挺下脱

陰虫

→八脚虫

陰挺

「さねなが」・「まめなが」。 ●陰挺肥大。陰挺が増大したもので、時としては著しく延長することがある。その原因は先 天性あるいは手婬によって肥大する。この肥大症にかかった場合は過剰な性欲を発する。

陰挺下脱

陰頽腫・陰挺・陰脱・子宮突出・子腸不収(子腸は子宮の義)。 『壽世保元』ではこれを茄病としている。 『玄珠』に『良方』から引用して、「女性の陰挺下脱は、胞絡の傷損のために、あるいは子蔵 の虚冷(子蔵は子宮の義)のために、あるいは分娩力のために起こるものである」とある。 「茄子(なす)」。 ●①子宮脱出。子宮転位の一つで、陰門から子宮の一部または全部が脱出するものをい う。その原因はさまざまであるが、特に分娩及び分娩後に多い。 ②膣脱。腟壁の張力が虚憊し、腟壁の端が腟管中に垂れ、陰門に向って下脱するもので ある。

陰頭瘡

→疳瘡

陰頭癰

→疳瘡

陰嚢腫硬

『医療手引草』に、結毒によるとある。 「かさぎんたま」。 ●黴毒性睾丸炎。全身黴毒の一つで、その症状は疼痛がなく、副睾丸はこの患を免れる。 間質蔓延黴毒性睾丸炎とゴム性睾丸炎の二種がある。

陰嚢偏大

漢方医学で陰嚢偏大というものは、陰嚢腫大の総称である。西洋医学でいう陰嚢漏血だけ を指すのではない。 「せんき」・「ぎんたま」。 ●陰嚢漏血。漏血嚢腫の一つで、外傷が原因の場合が多いが、そうでなくて出血性炎症を 起こし、睾丸の莢膜の中に血液が漏溢する場合もある。

陰阜虱

→八脚虫

飲癖

→脾気餐泄

陰痒

『彙解』に、「婦人の前陰の痒みをいう。」とある。 「陰門のかゆがり」。 ●陰門瘙癢。外陰部つまり大陰唇・陰阜・小陰唇・膣入口周辺に分布する知覚神経の感覚 過敏で生じると考えられる。

【う】

魚目

→枯筋箭

齲歯

牙蟲・牙歯・撃歯・歯撃・歯蟲・牙歯虫・齲脱・風齲・蚛牙。 齲は『説文』に、「歯蟲である」とある。 「むしかめば」・「むしば」・「むしくいば」。 ●齲歯。歯牙の表面が軟化壊爛して次第に侵蝕され、遂に歯癪管に及び、激しい歯 痛が生じるものである。

齲脱

→齲歯

打肩

→転筋

うちわに

→鵝鴨脚

鬱症

病証であって病名ではない。

(6)

『彙解』に、「七情の気が鬱滞し、病を生じる。」とある。鬱は『字彙』では滞、抑屈の意味で ある。一般医は心虚鬱痰という。 「きおも」・「きのふさぐ病」・「うっとりとなる病」。 ●憂鬱病。身体の疾患になることはない。思慮迷妄で言語相反するが、身体及び精神の状 態で見えるような特徴はない。

烏頭毒

附子毒。 「頭菊兜(別名とりかぶと)の中毒」・「いぶすの中毒」。 ●四肢の圧重・皮膚の乾燥及び蟻行状を呈し、嘔吐・下痢、脈拍微弱、その後嗜眠・痙攣・ 譫語及び麻痺など症状があらわれる。

烏風

→黒内障

烏癩

→癩病

うわやけ

→天泡瘡

雲翳

→星翳

暈船

→舡暈

【え】

衛胃

『産科発蒙』に、「産後煩悶・嘔悪・腹満・腹痛するものを衛胃という」とある。 ●産後腹膜炎。産後に起こる腹膜の炎症で、産後たいてい二~四日に起こるのが普通で ある。その徴候は体温が上昇し、脈が数かつ小で、時に緊である。下腹部が知覚過敏で、 按圧すると痛みを感じ、皷脹し、舌は乾燥し赤色で中央が茶褐色になる。

翳膜遮障

→星翳 癭

癭は嬰である。瘤は『説文』に腫である、とある。『釈名』では流である。 『正宗』に、「癭は陽である。色が赤く高く隆起する、あるいは蒂小で下垂する。瘤は陰であ る。色が白く漫腫である」とある。 一説に癭瘤を五癭六瘤に分類する。すべて形で分類しただけだと思われる。癭と瘤は元々 も一つのものである。漢人が癭瘤の原因を陰陽不正の気に基づく、あるいは瘀濁痰滞に根 づく、あるいは脳怒が原因であると説明しているが、信頼することはできない。 「しいね」・「こぶ」。 ●瘤腫。病的贅生物で、局所組織と異なる物が異常な発生機序で生じるものである。

疫眼

→天行赤眼

腋気

→胡気

腋臭

→胡気

易疝

→母多足

疫痢

→痢病

疫癘

→瘟疫 噦 →吃逆 暍 →中暍 噦

→吃逆 噦

→吃逆

えやみ

→瘟疫・瘧疾

遠眼

→遠視

燕口瘡

→腎唇

燕口吻瘡

→腎唇

遠視

遠目・遠眼。 ●近視の反対で、平行線が網膜上に至っても焦点を結ぶことができないものをいう。

鉛錫

→鉛粉

燕燭瘍

→臕瘡

燕瘡

→腎唇

鉛丹

→鉛粉

豌豆瘡

→痘瘡

鉛粉

鉛丹・鉛錫・官粉・胡粉・韶韶。 「唐の土の毒」・「とうなしちの毒」。 ●鉛中毒。急性・慢性の二種ある。急性症は溶解性の鉛塩類を多く摂取した場合

(7)

で、醋酸鉛の中毒が多い。慢性症は少量の鉛剤を長期間摂取した場合及び鉛を扱う 工業に従事する場合、あるいは鉛を含有する水を飲用とする場合に発する。

【お】

→嘔吐

嘔逆

→嘔吐

嘔血

→吐血

横眼

→横痃

横痃

便毒・血疝・魚口・外疝・一石米瘡・石米瘡・羊核・便癰・偏癰・疣痃・実血疝・横眼・騎馬癰・ 騙馬墜・片馬癰。 「横根(よこね)」。 ●①無痛便毒。真黴毒の一つで、腺の数個が硬結腫脹し、指で按すと数個累々としてい る。けれども熱や疼痛はなく、経過甚だ緩慢で、化膿することも少ない。そこから無痛便毒 の名がつけられている。この病気は幸にして急性便毒に比べれば少ない。 ②急性便毒。軟下疳の毒が水脈腺より伝わって発するものである。その症状は腫脹して疼 痛が激しい。時に寒熱が往来する。局所の炎勢が増進し経過が良好であれば、数日の後 化膿し、破開し多量の膿が出る。そうでない時は炎症が四方に広がり、水脈腺数個を侵し 周囲の結合組織を荒撫して瘻状をなすことがある。

横産

●横位出産。頭蓋及び尾骶骨部が側部を占めるもので、頭蓋が左側に位置する場合が最 も多い。

鴨瀉

→泄瀉

黄腫

→黄胖

黄腫病

→黄胖

黄水瘡

『正宗』に、「黄水瘡は頭面耳項に黄粟を生じ、脂水を破流すると、痒みがひどい。」とある。 『瘍科瑣言』に、「黄水瘡は水瘡という。」とある。 『瘍医大全』では滴膿瘡という。 「水瘡」・「蟹跂瘡」。 ●顔面水疱疹。顔面特に耳翼・口囲・鼻孔などに生じる水泡疹をいう。この病気は通常小 児にできることが多い。

黄疸

この名は『素霊』・『難経』・『金匱』などの書物に出ており、古今の通称である。疸は黄という 意味で、黄疸と通称している。別に黄癉ともいう。 『景岳全書』所載の膽黄は、黄疸のことである。漢方医が病因を「鼠糞あるいは生黄瓜を食 べて起こる。」としているが、きわめて荒唐無稽な臆説である。 「きばむ病」。 ●①肝臓で産生された胆液を血中に吸収したり、あるいは血液を分解して血中に胆液を新 生することで起こる。 ②胆管カタル。胃及び十二指腸から蔓延波及する場合が最も多い。それで、腸管胃十二指 腸カタルの別名もある。 ③胆石病。肝実質から始まる肝管枝別から胆嚢までの間に生じる結石をいう。 癉

→黄疸

黄疸気

→胆黄

黄疸風

→瘟黄

嘔吐

嘔・吐逆・嘔逆。 浅田栗翁が、「嘔逆は嘔吐のはげしいのをいう。吐逆も同じである」と言っている。胃風・冷 癇の二種類ある。いずれも頑固な嘔吐を指すと思われる。 「へどつく」・「たまひ」・「もどす」・「あげる」。 ●嘔吐。一回的に痙攣性の収縮で胃が逼迫し、胃壁も自ら収縮し、胃内のものを噴門より 逆出するのをいう。[反胃の項、参照]

鴨溏

→泄瀉

鴨溏瀉

→泄瀉

黄豆瘡

→揚梅瘡

黄胖

この名は元々俗称である。 脾労・癉黄・胖病・黄腫病・黄腫。 『本草綱目』及び『証治準縄』に、「食労疳黄、別名黄胖という」とある。 『医通』に、「食労黄疸は俗に黄胖という」とある。

(8)

原南陽が、「黄胖が女性に発すれば、月経は水を加えたように薄い」と。また、「胖は『大 学』では體が胖たかであるということ」と。 朱子が、「胖は安舒ということであり、この病気を 患う者は、眩暈・喘息して速く歩いたり動くことができない。いつも安静にしていたがる。そ れで胖と呼ぶ」と言っている。 本間玄調が、「黄胖は、粗食蔾糗の農夫が患うことが多い……」と言っている。 浅田栗翁が、「この症は女性だけでなく男性にもある」と言っている。 また、鼠黄・糞黄と呼んでいる症(農夫が病む)があり、わが国ではこれをくそかぶれという が、黄胖とは症状が異なる。 「あおの病」・「浮苦病」・「坂の下」。 ●萎黄病。婦女に起こる病(男子にも起こることがある)で、その症候は身体疲労・月経貧 少・面色帯黄・心悸亢進・胃弱に食欲不振を伴い、大便秘結などを生じる。

→噫気 瘀

血腹痛

浅田栗翁が、「産後腹痛し、瘀血が下るのを、瘀血腹痛という」と言っている。西洋医学でい う後陣痛である。瘀血が下り終わって痛みがあるのは、児枕痛という。西洋医学でいう産後 子宮痛である。二者には先後の別がある。後陣痛と児枕痛を同一のものとするのは正しく はない。」という。児枕痛は血枕痛ともいう。 「しりはら」・「あとはらの痛み」。 ●後陣痛。分娩後に子宮の痛性収縮が起こるのをいう。その痛みは陣痛と同じように間歇 的で、血塊及びその他の残留物を排泄する機能を助けるものである。 杇

→多骨疽

おこり

→瘧疾

おしちかぜ

→天行中風

悪心

→食迷風

悪阻

帯孕・病鬼・擇食。 『小品方』では阻病という。 『女科準縄』では、女性の悪阻を俗に選飯という、と。 『病源』には、悪阻病は世間で悪食といい、悪孕ともいう、と。 『玄珠』ではこれを子病と呼ぶ。 『子玄子産論』では、単に阻と言っている。 『正伝』に、「悪阻というのは妊娠時で、悪心して飲食できない」とある。 わが国では女性が妊娠して五ヶ月に必ず布片で帯を作り、胸下を締めて胎気を鎮め、上衝 を防ぐ法とする。これを鎮帯といい、腹帯あるいは纈帯と俗称する。妊娠第五月戌の日にこ れを巻くのが通例である。古くは神功皇后が三韓を征した時に妊娠し、鎧を着ても鎧を合す ることができなかったので、この帯を作り、締めて、凱旋して応神天皇を産んだ。埀害がな かった。鎮帯のしきたりはここから始まっている。 「つわり」。 ●妊娠中頑固な嘔吐を発するもので、初期に発する場合はたいてい第十二週~第十四週 になって終わるのが普通である。

越智病

→瘧疾

おとみつわ

→脾疳

おとみやみ

→脾疳

重身

妊娠・妊孕・受胎・懐胎。 「うぶめ」・「かいにん」・「みおも」・「はらむ」・「はらめ」。 ●卵の受胎から始まり、卵の受胎後、その胎が母体中で成熟するまでの間、つまり分娩に 至るまでの経過をいう。

悪露

『大成論鈔』の註に、悪露は産後の余血である、とある。 「おりもり」。 ●産褥排泄。産後に子宮内から汚穢の液汁(つまり悪露)が洩出するのをいう。その液汁 は数日間必須の排泄物である。 瘖

唖・瘖瘂。一時の脳病で起こるのを暴瘖・卒瘖という。 「おぶし」・「うぶし」・「いわず」。 ●聾唖。先天性の耳聾から起こるもので、言語を学習できないことによる。一時的な脳疾患 によって瘖唖となることもあるが、脳疾患が治癒すれば回復する。 瘖瘂 →瘖唖

(9)

瘟疫

(温疫) 労役感冒・内傷外感・陰証傷寒・陰証・時疫・疫癘・伏熱病傷寒などは医学書ごとに呼び名 が異なるが、瘟疫に含まれる。漢方医学では発疹チフスを熱毒斑疹と診断することが多 い。陰陽疑似・少陰下痢症なども腸チフスに相応する。 『瘟疫論』に詳しい。 『英国合信』に、「中国では有毒のことを温疫という」とある。 呉の孫権が合肥城を囲んだ時に、疫病が流行して士卒が多く死亡した。この病気のことで ある。 わが国でも中国でも歳首歳暮五節の儀式では、疫を攘うということを必ず行う。屠蘇酒がそ うであり、除夜に薬嚢を井の中に浸し、元日になると水を汲み、酒樽に置き、家中でこれを 飲むと、瘟疫にかからない、と。唐の『韓鄂歳華紀麗已』にこのことが載っている。昔からこ の病気はおそれられていたということである。 『医学正伝』で論じられている陰症傷寒は、東垣のいう内腸労役であって、仲景のいう陰症 傷寒とは違うものである。混同してはいけない。 「えやみ」・「やくびょう」・「じえき」・「しょうかん」。 ●①発疹チフス。陣営中で発症したり、一地方に流行することがある。伝染あるいは接触に よったり、泥沼気が媒介する猛毒の伝染病である。一千七百五十九年メキシコ人医師サー ウェージ氏が初めてチフスと命名した。以来各国の諸大家もこれに倣った。チフスとは元来 ギリシャ語で精神昏迷の意味である。 ②腸チフス。十五歳~三十歳の人がかかりやすく、それ以外では稀で、五十歳以上ではほ とんどない。流行する時は、最初はぱらぱらと一人ずつで発症するが、次第に一家一町村 内に蔓延し、更には地方全体に流行することもある。アメリカの一地方ではこの病気を落葉 熱あるいは秋日熱ともいう。秋冷の時候に流行するためである。

瘟黄

『明医雑著』に初めて出ている。 本間玄調が、「瘟黄は天行の黄疸である」と言っている。 わが国では安政元年の春に広く流行した(江戸及びその近郊に大流行した)。凡庸な医者 の多くは大食傷と誤診する。あるいは黄疸の一種と考えたりする。 長い経過の後、天行病であることがわかり、世間では黄疸風と呼ぶようになる。 「黄疸風」。 ●黄疸・嘔吐を伴う急性熱性伝染病で、西インド・メキシコ湾・アメリカ合衆国・アフリカ州セ ネガル地方の流行病・地方病である。一度この病気にかかると、二度とかからないと言わ れている。

慍羝

→胡気

瘟毒痢

→瓜瓤瘟

温病

『傷寒論』に、「太陽病、発熱して渇し、悪寒しないものを温病という」とある。 温は、『説文』に、「熱なり」とある。 先人はおおむね太陽病を単純熱に当てた。妥当ではない。そもそも太陽病というのは発熱 悪寒を標準とする。漢方医学ではおおよそ単純熱を温病と診断する場合が多い。 「ぽかぽかする熱のある病」。 ●単純熱。熱病の一般症状を示すだけで特別な徴候はない。

【か】

痎 →瘧疾

解頤

→落架風

悔気瘡

→疣瘡 痎

→瘧疾

がいけ

→「桂枝加厚朴杏人参蘇飲などの症」・「麻黄湯・金沸草散の症」

咳血

喀血。 『準縄』には、「紅縷のごとき血が痰の中に混じる。欬して血が出るのは、肺絡が熱傷を受 けたための血である。その場合は治癒しにくい。」とある。 『玉案』には、「痰の中に血が出る時、小さな点のようであったり、糸のよにう細かったりす る。量からいうと、たいしたことでないように思われる。けれども、病根はかえって深い。この 血は胃から出た血ではない。肺臓の中から出たものである。肺虚の状態に火が侵襲し、血 痰が出る。その血量が少ないのはなぜかというと、元々肺臓は気が中心で、多気少血であ る。それで出る血も少ない。」とある。 『回春』には、「咳血というものは、肺から出る。欬嗽した時に痰の中に血が混じる。」とあ

(10)

る。 また、ある医学書に、「咯血唾血の血は腎臓よりから出る。」と書いてあったりするが、 これはまったくの間違いである。体内のことが分かっていないのである。ただ、その記述を よく読むと、「咯血というのは西洋医学でいう気管支出血あるいは肺出血で、唾血というの は口内の出血である。」とある。 ●気管支の血管が破れて出血するもので、血液を咯血(ちをはく)するところから、咯血とも 言う。

蟹跂瘡

→黄水瘡

回食病

→反胃 『回春』の翻胃門に、「回食病は食下れば吐する」とある。

外腎偏大頭

→陰狐疝

外吹

乳癰が産後に発するのをいう。 →乳癰

蟹睛

旋蜆尖起・突起睛高・肝脹・隻睛突出。 『金鑑』の註に、「烏睛努出、豆や珠に似ている。形は蟹睛に似ている」とある。 「眼球のとびでる病」。 ●角膜葡萄腫。角膜潰瘍などで穿孔し、その孔口から虹彩が突出して潰瘍の口縁に付着 し、次第に瘢痕組織が形成され、前房水の圧力によって瘢痕と共に前方に挺出されること が多いが、角膜の破開がなくて起こることもある。

疥癬

→疥瘡

外疝

→横痃

疥瘡

小瘡・湿瘡・疥癬。 『瘍科瑣言』に、「疥瘡は逸風瘡・膿泡瘡という名がある。逸風瘡とは皮膚に散在するように 生ずるのをいう。」とある。 『医言』に、「疥は手指の間に小瘡が生じ、きわめて痒く、最終的には全身に広がるのをい う。つまり、わが国でいう肥前瘡である。肥前州で初めて発症したところから名づけられた」 とある。 「肥前瘡」・「しつ」。 ●疥癬。疥虫という名の小虫がいて、深く皮膚層内に侵入するため に、パピュレイ(小柱状の小結節)・小疱・小瘡が生じる。 欬

呷嗽という名もある。 『病源』には、「呷嗽とは欬嗽である。呷は『玉篇』では吸呷のことで、つまり引く息である。」 とある。 『丹台玉案』には、「音のあるセキをして痰が出ないのを『咳』と言い、痰が出て音のあるセ キをしないのを『嗽』と言う。セキの音も痰もでるのを欬嗽と言う。」とある。けれども、セキの 音が出ないのというのは、全然音がしないというのではない。セキをするが大きな音がしな いというのである。痰が出ないというのもまったく痰が出ないというのではない。セキをして 疲れているために、痰が出にくいというのである。 『医言』には、「欬嗽というのは、内気暴聚逆発して、音の出るセキをすることである。」と。 また、妊娠欬というのがあるが、これは孕咳とも言う。後世には、子嗽と呼んでいる。つま り、妊婦にする欬嗽のことである。 欬嗽とは、気道の病気に併発して呼気激動し発声する 症状を言う。欬嗽には、痰の出るものと出ないものがある。

害大風

→癩病

害白眼

→白眼痛

塊癖

→積聚

解顱

『入門』に、「解顱は小児の泉門が開いたままで閉じない状態。腎は髓を主り、脳髄が少な い者は、木に根がないようなものである。千日を過ぎないで廃人になる」とある。 解顱は天窓(別名顱会・顱門・伏皷泉。俗に「おどり」・「ひよめき」と呼ぶ)が開くという意味 で、頭蓋内に液が貯留するのをいう。 先人は驚風を脳水腫に対照しているが、漢方の驚風というのは特に小児の搐掣を指してい う。脳水腫に対照するのは、妥当ではない。 「はちひらく」・「さいづちあたま」・「きょうふう」・「とにゅう」。 ●①脳水腫。脳内あるいは頭蓋内に漿液が貯留するものの総称である。貯留する部位に よって脳内水腫と脳外水腫に区別し、経過によって急性・慢性を区別する。また、慢性を更 に先天・後天に分ける。 ②脳肥大。脳髄が増大するので、この名称がある。けれども解剖的検査をしてみると神経

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原質の肥大があるわけではないので、この名称は妥当ではない。

花翳

→星翳 暍

→中暍

鵝鴨脚

「わにあし」・「かもあし」・「うちわに」・「そとわに」。

牙疳

●膝彎屈。内屈・外屈の別がある。特に内屈の症が多い。 症状の軽重・種類によって名が異なる。宣露風(別名、牙齦宣露)・齗疽・齶疽などである。 宣露風は歯根の肉が落ちるのをいう。齗疽はそれの程度がひどいものをいう。齶疽は歯根 骨が腐蝕するのをいう。先人が青腿の牙疳を壊血病に相当させたことがあった。この症は 壊血病に含まれるともいえるが、症状は違っている。 「はくさ」。 ●壊血病。長期間新鮮で多液の植物を食しないために起こる一種の複雑病である。

→牙癰風・角架風 『指掌』に、「歯茎の上に腫れ盛り上がり、聚毒瘡ができるのが、これである」とある。

牙齦腫痛

懸 風・懸 ・蠱毒風。 この症は歯齦炎に含まれる。 「歯齦のはれて痛む病」。 ●歯齦炎。一般の口内炎や、その刺激で分泌が増加した粘液が腐敗し悪臭を放ち、歯石 に澱着し、更に歯石の圧迫で炎症が続くものである。

牙齦宣露

→牙疳

→膈症

→膈症

膈噎

→膈症

角架風

→牙癰風・角架風 『百効』所載。

角弓反張

→痙病・瘈瘲

鶴膝手臂

→鶴膝風 『医言』鶴膝痺の項に、「手・肘が腫大して痛みがある。臂臑と腕後が次第に痩せ細くなる のは鶴膝手臂と呼ぶのが適当である」とある。

鶴膝痺

→鶴膝風

鶴膝風

鶴膝痺・鶴節風・皷槌風・鶴膝手臂・膝遊風・遶蹕風・膝蓋風。 『準縄』に、「両膝の内外が虎が咬むかのように腫痛し、寒熱が生じ、太腿が次第に細くな り、膝がますます腫大する。鶴膝風という」とある。 「ひざぶしのはれもの」・「ひざつづら」。 ●①関節水腫。『外科説約』に、「この病気は捨挫・打撲・衝突・牽引・堕墜・截創などで生じ ることが多いが、薄弱の人の場合は、冒寒後に関節滑液膜に炎症が生じ……」とある。こ の病気は全身の諸関節のうち、特に膝関節に多い。 ②関節化膿性炎。外傷から起こる場合、腺病から起こる場合、黴毒から起こる場合がある が、リウマチから起こることは稀れである。また、重症の外傷(裂創関節折断)は化膿性に なりやすい。

膈証

噎膈・膈・隔食・膈噎・膏盲・蔾。 膈は拒格の意味である。鬲・蔾と書くこともある。 『素問』では隔という。どれも同音で意味が異なるわけではない。 『正伝』に、「上焦に問題があると、水は飲むことができるが、食物が入らず、時に入るが多 くはない。これを噎という。中焦に問題があると、食物が入りにくく、胃に入ってもしばらくし て再び出てくるのを膈という」とある。 『入門』に、「飲食が下らず、大便が通じないのを、噎膈という」とある。 『医言』に、「噎は飲食物が咽嗌と胸膈の間に窒塞するという意味である」とある。 噎は『説文』では、飯窒である、とある。この病は高齢者に多く、それで昔は鳩杖を老人に 持たせていた。後漢の『禮義志』に、「七十歳になった者に杖を贈るが、鳩鳥の飾りをつけ る」とある。註に、「鳩のように噎しないようになりたいと、老人は思う。鳩は噎しない鳥であ る」とある。 「かくの病」。『牛山活套』に、わが国では一般にこの病を龍馬という。将棋の駒と同じで角 の時はまだなすべき治療法があるが、角がなって龍馬になると四角八方に走り回って押え 難いという。誠におかしきことながら理である。

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●①麻痺性嚥下困難症。胃の筋線維の収縮力が失われて、食物を運搬する機能がなくな ったものである。 ②食道変広。食道全体が一様に変厚するものである。あるいは上部にだけ狭窄部ができ たり、筋層の裂隙から粘膜が延長挺出して憩室となる場合もある。 ③食道狭窄。狭窄は特に噴門の上・気管分岐の下の間に生じる。普通は一局部だけであ るが、稀には広く長くなる場合もある。狭窄部より上の管部は拡張して慢性カタルの状態に なる。 ④食道癌。通常硬性癌・髓様癌である。その位置は特に噴門の上・咽頭の下で、その部位 に環状の硬結ができ、食道が狭くなる。

隔食

→膈症

鶴節

→胎怯 『病源』に、「小児が先天的に血気不足し、肌肉肢体が柴のように痩せ、骨がごつごつとあ らわれ、鶴の脚節のようである」とある。

鶴節風

→鶴膝風

額前痛

「額の痛む病」。 ●前額神経痛。原因が三叉神経の眼球枝にあるものは、眼窩上縁から前額部・眼内角に 疼痛があり、眼球が痛むこともある。

齶疽

→牙疳

癨乱

→霍乱

霍乱

癨乱。霍乱は『素霊』に初めて出る。 『病源』に、「その症候を揮霍撩乱と呼ぶ。」とある。揮霍は「はやい・すみやか」、撩乱は「擾 乱する」の意味で、急に腹痛吐瀉をすることを指し、煩燥悶乱の意味である。 『大成論鈔』に、「手を揺するのを揮といい、手を反すのを攉といい、通じて霍の字を使う。 揮霍は卒遽という意味である。」とある。一説に、霍は臛であり、肉羮の中毒のことである、 と。 「しりよりくちよりこく病」・「吐下痢」・「はくらん」。 ●特発コレラ。夏季に燥熱の天気が急に湿冷に変化した時、あるいはは昼暑く夜冷えると いう気候で起こる特発病で、吐逆・泄瀉が続き、胃痛・腹痛・煩悶・重墜・努責なども併なう。

鵝口

鵝口瘡・雪口・白珠子。 『病源』の鵝口の項に、「新生児の口内に白屑ができ、舌の上に広がる。瘡ができ鵝の口内 のように見える。世間ではこれを鵝口と呼ぶ」とある。 『玉案』に、「鵝口は口全体が白くなり、鵝の口内のようになる。俗にこれを雪口ともいう」と ある。 「しろじた」・「がこう」・「したしとぎ」。 ●①アフタ性口内炎。口内炎の一種で、白色あるいは黄色の小斑が粘膜面に生じ、その斑 の周囲に赤暈ができる。その様子は扁平の小水泡に似ている。その後しばらくすると次第 に剥離し治癒する。 ②寄生性口内炎。口内粘膜に寄生する植物が原因である。

鵝口瘡

→鵝口

かさはち

→胎痑

仮死

「死んで蘇生する」。 ●溺水あるいは閉塞した場所で炭酸ガスを吸入し、あるいは過度のコロロホルム吸引によ って起こる。

牙歯

→齲歯

牙痔

●歯齦息肉。粘膜結合組織瘤の一種で、顎骨の歯床部及び齦肉の一部が突隆して瘤状を なすものをいう。

菓子瘡

→揚梅瘡

牙歯虫

→齲歯 瓤

瓜 瘟

瘟毒痢。 蕃痧・沙病・暴瀉・卒霍乱なども一般の医者はこれに含めるが、よくわかっていない。 呉又可が、「疫気は雑気中の一つであるが、他の気より激しいところがある。」と言ってい る。 発症すると、きわめて重症になる。それで厲気と名づけられている。進行が緩慢な場合は 朝に発症して夕方に死ぬ。進行が急な場合は数刻で死亡する。種々の疫の中でも最も重

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い病気である。 浅田栗翁は、「最近いわれているコレラ病は『瘟疫論』の瓜瓤瘟、『医林改錯』の瘟毒痢の 類である。虎狼病及び交腸痧をコレラ病に対照しているが、それは牽強付会である。虎狼 病というのは、『回春』では霍乱の俗称とされており、交腸痧あるいは霍乱の異名である」と 言っている。けれども漢方医学の歴史を見ると、今まで明確に論じているものはない。 この病気は乾隆嘉慶の際に流行したことは、世人が知っているところである。わが国では、 はっきりしていないが、文政五年壬午の秋に、この病気にかかった者がいるとされている が、この病気だと確定したのは天保五年以後の事である。 「ころり」・「とんころり」・「三日坊」(『導水瑣言』)。 ●コレラ。泥沼性伝染性の急発病で、コレラ毒というもので発症する。コレラの名は元来ギ リシャ語の胆液流溢の意味であると言われる。また簷霤の意味から出たという説もある。昔 はアジア地方だけに流行した。それでアジアコレラという名もある。けれども、各国の交流 が進むようになって、各地方に流行し、現在では世界中にその害毒が広まってしまった。

鵝掌癬

→鵝掌瘡

鵝傷瘡

→鵝掌瘡

鵝掌瘡

鵝傷瘡・鵝掌風癬・鵝掌風・鵝掌癬。 『医言』に、「鵝掌瘡は手掌足底に生じることが多く、軽い場合は手掌に小白星があらわ れ、少し痒く、爪で掻き取ると皮になる」とある。 千層癬・廣癬という症状もある。どれも鵝掌瘡の一種である。 「水虫」・「はざくろ」。 ●掌内鱗屑癬。屑癬が手掌に生じるのをいう。

鵝掌風

→鵝掌瘡

鵝掌風癬

→鵝掌瘡

風邪

→感冒

牙生骨長

→変蒸

風引

→感冒 寒冷にあい、皮膚からの蒸発がうまくいかず、全身がだるくなり、悪風・発熱・頭痛などの症 状が出るものをいう。

牙宣

→牙疳

牙槽風

→骨槽風

火帯瘡

『準縄』に、「腰の周囲に珠のように瘡を生じる。火帯瘡また纏腰火丹という…」とある。 『正宗』に、「これを纏腰丹また帯腰瘡という。」とある。 「つづらご」。 ●帯状泡疹。赤斑が境界線を引くように半身を囲み、あるいは帯のように全身(特に腰部) をめぐり小疹を生じ、我慢できない痒さがある。

かたぎ

→拗頸

火丹

→丹毒

かち

→消渇

牙蟲

→齲歯

嫁痛

→小戸嫁痛

牙痛

→風牙

脚気

隋唐の時から二種に区別している。腫れる時は湿脚気といい、腫れない時は乾脚気とい う。 『玄珠』に、「昔は脚気という考え方はなかった。『内経』では厥といって、前漢・後漢の時代 に緩風と呼ばれるようになり、宋斉の後初めて脚気というようになった。」とある。 『千金方』に、「脚気は『黄帝』の緩風、湿痺がこれのことである。」と。また「頑弱を緩風とい い、疼痛するのを湿痺という。」と。 『医学綱目』に、「脚気の頑麻腫痛するのを痺厥といい、足痿軟して収まらないのを痿厥と いい、脚気が心に衝き上げるのを厥逆という」とある。 『千金方』に脚弱と載っているのは、脚気のことか。 『医言』に、「思うに、脚気と言い始めたのは晋代で、次第に南北朝を経て、唐に至って後盛 んに言われるようになった。」と。 『療治瑣言』に、「脚気病は享保の後初めて京師に流行し、諸国に伝染した」とある。

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わが国の脚気の起源については、上古の時代には特に論じられず、中世以後に論じられ るようになったか。『続日本紀』に、「天平十六年安積親王が脚病になったために、桜井頓 宮より帰還した」とあるのが、国書に記載された脚気の名称の最初である。治療法を医学 書に載せるのは、丹波康頼の『医心方』が最古である。 「あしのけ」。 ●脚気。暑い時分、つまり六月から九月の間に起こる亜急性の痺気毒性伝染病で、主症 は皮膚の知覚障害・筋の萎縮麻痺・知覚過敏・脈拍数増加などである。しばしば水腫を併 発する。この病気で最も恐しいのは漢方医学でいう衝心症で、心臓麻痺に陥る場合であ る。

喀血

→咳血

咯血

→咳血 急に血を吐く病(「血へど」というのは、大部分胃出血を指す)。 ●肺出血。①肺臓出血性梗塞―この病気は、肺気胞の組織・その内部に漿液が浸潤する のを言う。原因は、肺の毛細血管の血圧上昇(多血)による場合が多い。 ②肺臓卒中―この病気は、「溢血」が肺組織を壊すものである。肺壊疽・肺癌などが大血管 を侵蝕して起こる。

滑精

→失精

かったい

→癩病

蝎蟄

→悪蟲叮咬

渇病

→消渇

渇利

→消渇

華癲

花風・相思病。 「淫乱」。 ●性欲亢進。性欲が過度に亢進してて満足することができないものをいう。この病気は性 交未経験の女性が子宮脱を起こし、処女膜に圧迫を覚え、腟内を持続的に刺激することで 起こることが多い。

花風

→華癲

鵝風

→喉痺 喎

→口眼喎斜

牙縫血

→牙疳

蝦蟇瘟

→痄腮 浪子瘟。 『古今医鑑』では浪子唖病という。この病気は『彙解』の字義形容の説によると、オタフクカ ゼと呼んでいるものは耳下腺炎に近い、と。 浅田栗翁は、「この病気は耳下腺炎ではない。おそらく顔面ロースを指していると思われ る。耳下腺炎は漢方医学でいう痄腮である。痄腮と蝦蟇瘟とは同じでない」と。 『玄珠』に、「蝦蟇瘟は一般にいう顔面腫である。」とある。 『医療手引草』には大頭瘟という。 一般の医者には耳下腺炎を蝦蟇瘟とする者が多い。 ●顔面にできる丹毒。

蝦蟇毒

「蝦蟇の毒にふれた病」。 ●蝦蟇の毒は皮腺及び耳腺にある。人がこの毒に接触すると、感覚機能が亢進し、嘔穢・ 嘔吐などの症を発する。

亀腹

→鼓脹

かもあし

→鵝鴨脚

牙癰風

→牙 風・角架風 牙 風・角架風・牙癰・附牙癰。 『百効』に、「牙癰風は癤瘡が牙洲に生じる」とある。 捜牙風というものがあるが、牙癰風の一種である。 「歯齦の腫物」。 ●歯齦膿瘍。炎症が次第に周囲に波及し、歯肉内あるいは歯槽の深底に膿汁が貯留する のをいう。

からおんな

→暗経

→脾疳

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乾嘔

『医言』に、「嘔するばかりで吐かないのを乾嘔という」とある。 「からえずき」。 ●乾嘔。喉が不随意に攣縮するために起こるもので、本当の嘔吐にはならない。

がんかさ

→臕瘡

雁瘡

→臕瘡

疳眼

羞明・疳傷眼(『眼科錦嚢』所載)。 腺病性の結膜炎と同一症である。『内秘』に説明がある。大人に生じるものを爛弦風とい い、小児の場合を疳眼という。 「むしめ」。 ●腺病性結膜炎。通常腺病素質の者に発する。頑固の症の場合は何年も続くことがある。 腺病質の小児に発症した場合は、角膜に波及するのが普通である。

疳鬾

→脾疳

寒瘧

→瘧疾

肝虚目睛

→黒内障

陥経

→崩漏 唅

「ねぼける」。 ●夢遊病。睡眠中無意識で突然歩行し言語を発するもので(あたかも覚醒しているかのよ うに)、覚醒した後そのことを記憶していない。

汗血

→黒斑

肝血痛

→脇肋痛

眼眩

→眩運

眼痔

→胞瞼結核

間日瘧

→瘧疾

頷車蹉

→落架風

疳傷眼

→疳眼

巻心

→疳瘡

眼睛垂出

→眼胞菌毒

寒泄

→泄瀉

乾癬

風癬(『入門』所載)・燥癬。乾疥の一症状である。 『病源』に、「乾癬は匡嗝がある。皮膚が乾燥し痒く、掻くと白屑が出る。」とある。 『入門』に、「乾疥は、痒く、皮膚が乾燥し、屑が生じる」とある。 「はたけ」。 ●鱗屑癬・乾癬。白色で少し光沢を帯び、上皮に鱗屑ができる。一、二の斑点ができるだけ の場合も、皮膚の大部分に広がる場合もある。

汗癬

→苔癬

眼旋

→眩運

頑癬

『瘍科瑣言』に、「小さいのは銭瘡といい、大きいのは田虫という」とある。 『医言』では癬と呼んでいる。 「田虫」・「銭瘡」・「銭虫」。 ●寄生性匐行疹。禿髪及び陰部匐行疹などの総称がある。漢方医学でいう頑癬は頭部及 び陰部以外に起こる寄生性匐行疹をいう。

皯驓

→黧黒斑

寒瘡

→凍瘡

疳瘡

下疳・下疳瘡・陰疳・陰頭瘡・陰頭癰・恥瘡。 医学書所載の狐惑は下疳・牙疳の古名である。狐を下疳とし、惑を牙疳とする説が『古訓 医傳』に出ており、『医宗金鑑』に引用されている。 『古訓医伝』に、「疳は嵌であり、闕けて蝕するということである。肉のくぼむ状態が嵌の形 に似ていることから、この名になっている。五疳というのは、五蔵が蝕闕することがある。甘 味が原因であるとする説は、疳の字に論拠がある。元より牽強付会である。蝕の意味は、 蟲が葉を食うのに似ているということである。それで疳蟲の語もできている。間違いも甚だし い」とある。 わが国の慶長元和の書には、これをマラヤク病として載せている。漢方医学でいう蝋燭発・ 蝋燭下疳・巻心蛀疳瘡・蛀梗・巻心(『黴瘡秘録』に、「陽物を爛去するのは蛀梗あるいは巻

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心と呼ぶ」とある)の類は、西洋医学でいう侵蝕性下疳・壊疽性下疳のことである。 「かんそう」・「らやく」・「げかんそう」・「じくじくをわずわう」(加賀)・「さおのできもの」。 ●①硬性梅毒潰瘍。汎発性黴毒(真黴毒)の一つで、性器に発する一種の潰瘍である。全 身黴毒に転じることもある。その症状によって、ヒュンデル氏下疳平坦下疳と凸隆下疳の二 種に区別される。古くは疳瘡と黴毒とを混同していたが、一千八百五十二年(嘉永五年)バ ッセレール氏の発見で、疳瘡のうち黴毒とそうでないものとを区別するようになった。つまり 硬軟の二種である。 ②軟性梅毒潰瘍。局発性黴毒(類黴毒・仮性梅毒)の一つで、性器に発する一種の潰瘍で ある。その性質は他の潰瘍と異なり、特に原発黴毒性潰瘍つまり硬性梅毒潰瘍とは自ら区 別がある。また、症状から尋常軟下疳・平坦下疳・侵蝕下疳・壊疽下疳の四種に区別する。

眼丹

針眼・偸鍼痣・偸針眼・胞贅。 『瘍科瑣言』に、「眼丹はわが国ではものもらい・のびるめと呼ぶ」とある。 『医学綱目』所載の目眥瘍は眼丹に含まれる。 「目疣」・「目瘡」・「のびるめ」・「ものもらい」・「めもらい」。 ●瞼縁麦粒腫。睫毛脂腺炎の一つで、眼瞼に生じる麦粒大の小瘡をいう。この病気の多く は軽症であるが、腺及び周囲に炎症が波及し知覚過敏になり、熱痛・腫脹がある。

肝脹

→蟹睛 『奇疾方』に、「肝脹は瞳が下垂し鼻に至り、黒角のようになる」とある。 「動気強くして頸腫れ眼球飛び出る病」。 ●バセドー病。ニーマイル氏が、「バセドー病とは心拍頻数・頸脈頭脈の拍動・甲状腺腫脹 ・眼球突出の諸状症に、激しい動悸の自覚がある場合、一つの病気と考える」と言ってい る。

廣東瘡

→揚梅瘡

寒熱病

→労瘵

寒熱病

→瘧疾

かんのむし

→脾疳

汗斑

『彙解』に、「汗斑は夏季汗痕瘢を生じる。」とある。 「汗なまず」。 ●夏月斑。帯黄褐色の斑で、大きさは一、二分~数寸になる。一カ所に生じる場合もあれ ば全身に生じる場合もある。通常は掻痒感はないが、表皮が剥落する時は痒くなることが ある。

頑痺

→麻木

緩風

→脚気

頑風

→癩病

官粉

→鉛粉

感冒

「傷風」・「冒風」などという。名前は違うが、同じ病気である。 『方考』には、「感冒は皮膚の浅い部分に邪を受けることによる」とある。 『大成論鈔』には、「感冒は時気の咳気である」とある。 『医通』には、「傷風の時は、人迎脈が浮大、咳嗽・自汗、鼻から清涕が流れ、咳すると必ず 痰も出る。発散すると治る」とある。 『入門』には、「冒風の多くは肺に属す。肺は皮毛を主り、膀胱に通じ、最も感冒しやすい。 咳嗽が始まり、悪風で鼻がふさがり、声が重くなり、クシャミをするというのが、この病気で ある」とある。

眼胞

→睢目

眼胞菌毒

鶏冠蜆肉・眼睛垂出・瞼中生贅。 「眼の中のこぶ」。 ●眼窩内に異物腫瘍が生じて眼球を圧迫するために突起が生じる。その腫瘍は贅肉・糊 瘤・海綿様血管瘤・胞虫・肉瘤・骨瘤などである。

雁来瘡

→臕瘡

寒痢

→痢病

【き】

→中暍 癭

→粉瘤

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鬼魘

卒魘・沙魘。 『内秘』に、「睡眠中卒魘吃々として声を発する」とある。 「おそわるる」・「睡魔」・「うなさるる」。 ●悪夢。なんということもなく寝床につき安眠するが、しばらくして突然驚愕し急につんざく ような叫声を発するものである。

亀胸

→佝僂病

桔 梗 湯 ・ 桔

→肺瘍の一種

梗 白 散 湯 な

「肺臓のくさる病」。

どの症

●肺壊疽。肺の下部で通常の胞響とは異なる粗大な粘液響を発するとともに、褐色で臭気 のある粘痰を喀血し、呼吸困難のために衰弱がひどくなる。

気語

→吃逆

鬼交

→夢洩精 嬭

→脾疳

肌衄

→黒斑

亀手

→皹裂

気腫

→瘰癧

気積

→奔豚気

気疝

→鼓脹

鬼体

→鬼胎

鬼胎

鬼体。 『彙解』に、「異形異類を懐胎するのをまとめて鬼胎と呼ぶ」とある。 ●奇體。『産科要訣』に、「鬼体とは胎児の発育異常あるいはその形態が奇怪なものをい う。こうなった時は分娩が渋滞することがよくある」とある。

吃は『説文』に「言蹇難である」とある。 『和名類聚鈔』では、「ことどもり」と呼んでいる。 「ことどもり」・「どもり」・「どとくり」。 ●吃音。一音一音が吃々として聞きにくいものをいう。先天的なものがある。また、腺状体 溢血・中風後膿瘍・延髄及び小脳の腫瘍が原因の場合もある。

気痛

→伏梁

吃逆

古くは噦と呼ぶ。 『素問』・『傷寒論』・『金匱』などのの書には、皆噦と載っている。 噦は『説文』では気語とある。 『玄珠』に所載の吃絡も同じである。 『医学綱目』の景岳の類註に、「呃逆が昔の噦にあたり、晐逆は晐嗽である。」とある。 「しゃっくり」・「ぎくり」。 ●横隔膜痙攣。横隔膜が急に痙攣性の収縮を起こし、急に吸気するために声帯が緊張し 変な音が出る。呼気は異なることはない。

狐憑

→邪祟

吃絡

→吃逆

亀背

→佝僂病

騎馬癰

→横痃

鬼病

→邪祟

鬾病

→脾疳

喜忘

浅田栗翁は、「西洋医学でいう失語は漢家の喜忘のことである」という。 一説に、健忘を喜忘とする者がいる。けれども健忘と喜忘とは似ているが同じではない。 総称「どうすれ」。 ●失語。

欹目

→偏視

脚汗

→手心汗

逆産

→倒産

脚指瘡

→甲疽

瘧疾

痁病・寒熱病・皮寒病・痎瘧・痎。(癆瘵も寒熱病というが、これは別である。)

(18)

『説文』に、「痎は二日に一回起こる瘧である」とある。 『玉案』に、「瘧は残瘧の意味で、字は病と虐で構成される」とある。 『大同類聚方』では越智病という。また寒瘧という呼び名もある。 『素問』に、「最初に寒を感じ、後に熱するのを寒瘧という」とある。 瘧を総称して瘠瘧という。 この症状が隔日に起きるのを間日瘧という。西洋医学の隔日熱がこれである。 『入門』所載の老瘧は、頑固で慢性化し治癒しがたいという。 他に、労瘧がある。つまり労復の意味で、瘧の再発をいう(この説は『病源』にある)。 「えやみ」・「わらわやみ」・「おこり」。 ●間歇熱。発熱時には華氏百六度~百八度に上昇するが、間歇時は全く平熱に戻ったり、 あるいは平熱より下がることもある。

逆上

頭痛・逆上(のぼせ)。 ●脳充血。脳髄に血液の充填するのをいう。脳髄と脳膜とは血管が密に連携しているため 区分されることがない。

逆生

→倒産

脚肚瘡

→臕瘡

脚軟

→痿輭

瘧母

医学書を参考にして考えると、瘧母は癥の呼び名であり、瘧は癥から生ずるものされる。そ こでこれを瘧母と呼ぶ。 「おこりのかたまり」。 ●脾臓肥大。脾臓の実質あるいは脾材が増殖したもので、脾臓充血のような疼痛はなく、 特に間歇熱あるいは弛張熱に原因があるものが多い。

脚了

→紅爛

急黄

『病源』に、「脾胃に熱があり、穀気鬱蒸する。その熱毒のために突然発黄し、心満・気喘、 死が差し迫る。急黄という」とある。 一説に急黄疸という。 ●肝臓腺肉炎。肝臓実質が炎症になるのをいう。この病気は非常に稀で、二三十歳の妊 婦あるいは産婦に起こる。症状は、黄疸・脳症・発熱が中心で、肝臓の濁音は日をおって縮 小する。

急黄疸

→急黄

急驚風

→癲癇

急鼓脹

→衝疝 『内科秘録』に出る。

牛癬

牛皮癬・牛皮血癬。 『正宗』に、「牛の項の皮に似て頑固で堅く、爪で掻くと朽木のようである」とある。 「こせかき」。 ●魚鱗状癬。蔓延性で表皮が増殖し肥厚し、蒼白で炎症のない真皮に生じるものをいう。

牛程蹇

『瘍科瑣言』に、「この症は俗に底豆という」とある。 足底に小豆大の頑肉が生じ、次第に大きくなり皮が厚くなり、頑肉と生肉との間に腐水が貯 留する。 「底豆」。 ●皮下結組織炎。『外科説約』に、「この病気の特徴は、赤色濃厚で、指頭で圧しても消散 することなく、固形物が滲出するために著しく硬腫し疼痛があり、最終的には化膿し潰瘍あ るいは壊疽となり、皮膚実質を損傷する」とある。

急肥

『小児直訣』所載の胎肥は小児の先天的な肥満をいう。 「こえふとる病」・「ぶたごえ」。 ●脂肪過多。脂肪の生成が一定量を越え、皮下及び内臓の周囲に蓄積することをいう。

牛皮血癬

→牛癬

牛皮癬

→牛癬

『和名類聚鈔』に『令義解』を引用して、「狂者は走り出そうとしたり高い所に上ろうとし、自 分が聖賢であると自称する」とある。また、別書に「狂人を風癲漢と呼んだり、風子と呼ぶ」 とある。 後世、癲狂と呼ぶことがあるが、間違いである。癲と狂とは別の病気である。 「ものくるい」・「らんしんもの」・「きちがい」。

(19)

●癲狂病。怒り、哀み、憂鬱、鬱憂、狂躁し、普段とは異なった気質があらわれ、義を失うよ うな、あるいは親交を絶つような行いをするのが、この病気の特徴で、その他にも多くの症 状が出るが、ここでは略す。

驚癇

→驚風

驚悸

→心忪

狂犬毒

→瘋犬齩齩

夾胑

→瘡建

頬子病

→落架風

頬車病

→落架風

頬車風

→落架風

胸水病

浅田栗翁は、「西洋医学でいう心嚢水腫は胸水病の一種である。」と言っている。 「心水」という名称は『金匱』や隋唐諸家の著書に掲載されているが、心嚢水腫とは異なる。 心水というのは、水腫を五臓に配当して論じたものである。 ●心嚢水腫。心嚢内に液が貯留する病気で、全身水腫、肺臓と心嚢の癒着、その他、肺気 脹・肺臓顆粒状変質・僧帽弁膜口の開閉不全症などに継発する。 搐

→搐搦

蟯虫

短虫。 「蟯虫」は『史記』倉公伝に出ている。穀道虫・大孔虫という名もある。 婦人の陰中に細虫 が生じ、がまんできないほど痒くなることがある。医師がしばしば見かける。この蟯虫が肛 門から出て、膣内に匍入すると思われる。漢方医はこれを陰痒と混同することがある。 「しりの孔にうじのわく病」。 ●蟯虫。この虫は寄生虫のうち最も小さい。腸の一部に居着くが、通常は盲腸にいる。

強中病

腎漏。 『病源』に、「強中病は陰茎が長く勢がある。萎えることがなく精液が自然と出る」とある。 『本草従新』に、「陰茎が長く勢があるのに性交しなければ、精液が自然と出る。これを強中 という」とある。 『大成論鈔』に、「陰茎が萎えないのを腎漏と呼ぶ」とある。 「陰茎のたちつづける病」・「えてものたちつづけ」。 ●男子性欲亢進。陰茎の勃起しやすいことで、男子生殖器機能の病的興奮による。

強直

→痙病

脇痛

「むねいたみ」。 『彙解』に、「脇痛が慢性的になれば、脇癰を起こす」とある。 ●胸膜炎。胸膜の炎症を言う。『医方研幾』所載の胸脇痛、『泰西方鑑』所載の真胸痛など の症状は、皆これに含まれる。この名称は、必ず疼痛が起こることによる。

胸痺

→脇肋痛 「どうき」、「むねいたみ」。 ●①胸気。空気やガスが胸腔内に集積するものをいう。内側に向けて肺臓肋膜・肺質及び 気管支を穿通するか、外に向けて胸壁肋膜及び胸壁を穿通することがある。通常、この病 気は片胸のみに起こる。 ②心臓肥大。心臓筋線維が増殖するものをいう。心臓の一部が肥大するが、稀に心臓全 体が全心肥大するものもある。 ③心臓萎縮。心臓が萎縮し変小するものをいう。原因はさまざまであるが、種々の消耗疾 患(窒斯・結核・貧血など)から起こる場合が多い。 ④心臓拡張。心室が拡大するものをいう。左右の一方が拡張する場合と、左右ともに拡張 する場合がある。

遶蹕風

→鶴膝風 『回春』に、「足の内踝骨が赤く腫れ痛むのを遶蹕風という」とある。

驚風

小児の搐搦症で、麻疹・痘瘡・解顱、その他熱性病が原因で起こる。急性と慢性があり、急 性を急驚風といい、慢性を慢驚風という。 『本事方』に、「急驚風を陽癇と呼び、慢驚風を陰癇と呼ぶ」とある。 医学書に驚癇の名がある。小児が鬼忤夢魘にあったり、外物に驚いて起こるのを搐搦とい う。 →搐搦

(20)

「小児のひきつける病」。 ●一、二の随意筋または無数の随意筋に亘って知覚及び五神機能を障害する弛緩性及び 緊張性の痙攣をいう。

魚鱗痣

→疣瘡

脇肋痛

脇肋痛は症状であって病名ではない。 懸癖を含める場合もある。 もっぱら左側に起こる場合は左肋痃癖または肝血痛という(浅田栗翁の説)。 『内秘』所載の胸痺は肋筋リウマチを指すか。 本間玄調が、胸痺は胸肋の間が隠々と痛み、あるいは背骨全体が痛み、あるいは脇下に ひっぱり、あるいはあちこちに痛みが走り、あるいは呼吸や前後屈伸時に痛む」と言ってい る。 「あばらぼねの痛む病」。 ●肋間神経痛。第五~第八肋間の神経走行に沿い、脊椎から胸骨に向って波及する激痛 である。多くの場合は片側で、特に左側が多い。軽擦したり深呼吸するだけでも痛みは増 悪し、強圧ではかえって減少する。

虚眼

「よわりめ」・「かすみめ」。 ●弱視。視覚の不全症で、感受する神経部の異常が原因で起こる視力減退症である。視 管減衰の程度がこれよりも一層重いものを黒内障という。

玉翳浮満

→星翳

居経

→月経不順

魚口

→横痃 『正宗』に、「左を魚口とし、右を便毒とする。どちらも精血が交錯して両胯合縫の間に生じ て結腫する。これに近いのは小腹の下陰毛の傍に生じて、結腫する。横痃といい、外疝とも いうのが、これである」とある。(「便毒」参照。)

魚腮風

→痄腮

虚瘍

→腫瘍

虚聾

→耳聾

虚労

→労瘵 裏虚不足の症をいう。体液脱泄及び精力虚耗によって生じる消削病はすべてこれに含まれ る。肺労に混同する医者もいるが、誤りである。 「労症」・「よわみ」。 ●虚労。『西医方選』所載の寒壊液病(虚労)と同じもので、体液の脱失及び精力虚耗のた め生じる消削病はすべてこれに含まれる。

皹裂

手足皸裂・皴裂・皸瘃・竈瘃・凍裂・皸。 『正宗』に、「これを手足破裂という」とある。 『病源』に、「皹裂は肌肉が破れることである」とある。 冬季に風寒に冒触し、肉皮が折裂したものだと、思われる。 『正宗』所載の朘痛はわが国でいう「ひび」である。 『荘子』所載の亀手も「ひびあかがり」をいう。 「ひみ」・「あかがり」。 ●手足に発することが多く、時気の変更(特に凍寒)によって発する。

気聾

→耳聾

齦血

→歯衄

噤口

→臍風

噤口痢

→痢病

近眼

→近視

近視

短眼・短睛・短視・近眼。 「近目(ちかめ)」。 ●眼の角膜上に平行光線が落ちる時、その光線が網膜に達する前に交叉するものをいう。 齗

→牙疳

金瘡

『外科精義』に、「刀斧による傷を金瘡という」とある。 瘡の本字は創である。『字書』では傷とある。

(21)

『漢書』に、「曹参が全身に七十創を被る」とある。 『金匱要畧』に金創の字がある。『後漢書』に、金痍とあり、金創のことをいう。 「きりきず」。 ●刃傷。刀剣斧鍼の類で切割した創痍をいう。

金創痙

→破傷風

金瘡出血

傷損出血。 「傷口より血いずる」。 ●創口からの出血は外傷によって血管が切断あるいは挫滅して起こるものである。これを 出血と漏血の二つに分類する。

菌毒

菌(きのこ)の中毒。 方言できのこを「なば」・「くさびら」ともいう。 ●毒茸中毒。胃腸疼痛に吐瀉が加わり、口渇・眩暈、脈細数、痙攣・譫妄、瞳孔散大など の症状があらわれる。

筋痺

→指痺

噤風

→臍風

筋瘤

筋癭。 『正宗』に、「筋瘤は堅く、色は紫で壘々として青筋盤曲する。ひどい場合は結して蚯蚓のよ うになる」とある。 『医言』に、「輿夫急脚の類の者は、足腨紫赤色の筋脈が浮絡のようにあらわれ、斜縄のよ うに隆起縦横する」とある。 世間一般にはこれを寸白蟲と呼ぶ。これを寸白蟲と呼ぶのは因州近郊の方言であるが、 筋瘤の名は適当ではない。 「すばこ」・「せんきのすじきれる」(下肢に生じるもの)。 ●静脈瘤。静脈が怒張して迂曲し蛇蟠状をなすのが、皮下に見える。これに最もかかりや すいのは下腿の内母静脈である。

【く】

苦船

→舡暈

くちひび

→腎唇

くつちかき

→癲癇

蜘蛛咬

「毒蜘蛛にかまれた傷」。 ●蜘蛛の咬傷によって生じる毒をいう。この有毒蜘蛛は六月から八月の頃に多く群集する ものをいう。

蜘蛛病

→脾疳

蜘蛛蠱

→脾疳

佝僂病

亀胸・亀背。 佝僂は傴偃とも書く。「佝」は『廣韻』で短醜の容姿を指し、傴は『説文』では僂である。僂は 『字彙』では附である。 『対韻』には、身曲病であるとある。 亀胸・鶏胸・亀背・背僂とも呼ぶ。亀胸・亀背はその形が亀甲に似ているからである。戚施・ 駄背・駝背・腰駝などの別名がある。 「せむし」・「はとむね」・「かたかい」。 ●骨質が成長する時に石灰分の沈着が少ないために、骨質が硬固でなく長い間柔軟な場 合をいう。

黒痣

→黒子

くろくさ

→黧黒斑

→皹裂 瘃

→皹裂

裙風

→臕瘡

裙邉瘡

→臕瘡

【け】

脛疫痛

→風湿

経解

筋解。

参照

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