胎衣
→胞衣滞頤
垂液。『医通』に、「涎が流出して頤間に潰す」とある。『字書』に、滞は灑散の様子、とある。
「よだれくり」・「よだれをたれる」。
●吐涎・流涎。多量の津唾が口内に湧溢して口外に流出するのをいう。この病気は小児に 起こる場合が多い。
胎黄
『医通』に、「胎黄は母体の熱を受け、胎に伝える。新生児が生れた時、全身・顔面すべて 黄色で、まるで黄金のようである。発熱し、大便不通、梔子知るの如し。母乳を飲もうとしな い」とある。「赤子の黄疸」・「あかんぼうのきばむ病」。
●新生児黄疸。新生児に起こる黄疸で、黒便の排泄できないために、胆液を血中に吸収し て起こる。
大 泄
瘕 →痢病 嬭岩
→乳岩胎気
→胎水體気
→胡気胎怯
『壽世』に、「小児顔面に精光がなく、肌肉薄弱で、大便は水のようで、全身の血色が悪く、目に精彩がない」とある。
『字書』に、「怯は弱であり柔である」とある。
医学書に「胎怯を五軟とする。」とあるが、その症状は五軟とは違いがある。
「よわむし」。
●小児発育不全。小児が栄養不足のため生じる発育不全をいう。
滞下
→痢病帯下
蔵堅癖。『素問』及び『金匱』に出ている。
『病源』に、「穢液と血液とが共に(帯び)下るため、これを帯下と呼ぶ」とある。
『玉案』に、「帯脈は腰にあり、帯の形に似ている。女性が帯下を患う時、病は帯脈にある。
一説に帯は滞であり、穢物が停滞して下るの意味である。痢病もまた滞下といい、二つの 病気が紛れてしまう虞がある。それで女性の帯下は『さんずい』を取り、区別する」とある。
浅田栗翁は、「帯下は女性の下部の総称である。婦人科を帯下医といい、帯下に三十六疾 ある」と言っている。
「白血(しらち)」・「こしけ」。(赤帯下を「ながち」という。)
●①子宮粘膜炎。『外科説約』に、「子宮粘膜に炎症が起こるのは、カタル性・ブレノレー性
・急性・慢性がある。主な症状は粘液湧流・白帯下・疼痛・出血なでどある」とある。
②陰膣粘膜炎。『外科説約』に、「この病気の症状は、腟粘膜の分泌が非常に多く、粘液は 希薄無色であることもあれば、乳汁のようであることもあり、あるいは稠厚にして膿様なるこ とあり、多く陰腟の底に鬱積することもある」とある。分泌液の性質により大小陰唇の表皮 剥離し、大腿の内面に発疹することもある。
対口疽
→頸癰大孔虫
→短虫対口発
→頸癰大産
→平産胎刺
『彙解』に、「疹形が針刺痕に似ている。形は赤く、小さい点状である」とある。嬰児の薔薇 疹のことと思われる。「血の花」。
●嬰児薔薇疹。しばしば嬰児に流行する。または小児の炎症性疾患の経過中にあらわれ ることも多い。
胎痑
『入門』に、「小児の胎痑は頭上に紅餅瘡が生じる」と。『彙解』に、「一般にいう小児のカサハチである。頭上に餅の形のものが生じる。」とある。
「かさはち」。
●頭上膿泡疹。頭部に生じる湿潤性の疹で、汚穢灰白色の膿痂ができる。その痂には毛 髪が粘結し、膿泡を毛髪が指し貫く形になる。
代指
天蛇毒・蛇頭疔・天蛇頭・蛇頭瘡。『入門』に、「代指は指頭が腫脹して炎症で熱く、次第に爪甲の周辺に醸膿する。重症の場 合は爪甲が剥落する」とある。
「ゆびひょうそ」・「うらぶ」。
●爪根炎。爪根辺縁が膿潰・糜爛する際の炎症で、通例損傷に継発する場合が多いが、
悪液体質の者はこれにかかりやすい。
大眦赤脈穿
→小眦赤脈穿睛。●角膜炎。一帯の血絡が直ちに角膜を囲繞し、角膜は曇暗となり、重い時は全く不透明と なってしまう。
胎腫
→胎水大眦漏
「絶え間なく涙の出る病」。●涙管漏。『眼科説約』に、「この病気は内眥に孔竅ができる症で、潰瘍が破裂することで 起こることが多い。
胎水
妊娠浮腫・妊娠胎水腫満・子腫・子気・胎腫・胎気。『入門』に、「妊娠すると経血を閉ざして胎を養う。胎中に水湿を挟み、血とぶつかって湿気 が流溢する。そのため面目肢体、全身が浮腫する。胎水という」とある。
「みもちのすいき」。
●妊娠水腫。妊婦に発する水腫をいう。
胎赤
赤子胎毒眼・胎風赤爛。『病源』に、「胎赤は最初目を洗浄しないと、穢汁が眥に浸漬する。眼瞼が赤く爛れ、治りに くくなる」とある。
「目渋(めしぶ)」。
●新生児膿漏結膜炎。眼瞼が赤く腫れて粘液を漏泄する。出生後直ちに発症することもあ れば、二、三日経ってから発症することもあるが、たいてい一週間以内に発症する。時間が 経たないうちに進行して白色帯黄の膿状液を流出し、眼瞼がふさがるのが通常である。
苔癬
:汗癬(『保元』所載)。●腺病質の者に多い。症状は小結節腫で、その頂点に小さい鱗がある。少しだけ掻痒感が ある。
易
疝
→陰狐疝『素問』に出ている。
『入門』に、「易疝が婦人にある時は、陰戸が突出する」とある。易は元々頽敗の意味で、こ れが病であることから「やまいだれ」を冠している。
胎疽
→胎黄大足
→母多足胎動
胎児が子宮内で運動するのをいうと思われる。この症は妊娠の一現象であり、元より病名 ではない。「はらみごの動くもの」。
●子宮内の胎児の運動をいう。これは一種の感覚であり、一様ではない。
帯桃花
→桃花蛀大頭腫
→頭瘟大頭天行
→頭瘟胎毒
→遺毒胎毒目
→爛弦風大皮風
→癩病大風
→癩病胎風赤爛
→爛弦風・胎赤大風瘡
→揚梅瘡・癩病大便自利
「たれながし」。●直腸麻痺。肛門括約筋の麻痺で、脊髄疾患が原因の場合が多い。また、膀胱麻痺を併 発し、失禁することもある。
大麻風
→癩病帯孕
→悪阻戴陽
→桃花蛀胎瘤
紅絲瘤。『金鑑』に、「嬰児の初患、胎瘤・胎熱・瘀血、色紫、次第に熱が出るが、透刺し膿血を放出 すれば、自然と治る」とある。
●頭蓋血腫。新生児の頭外皮と頭骨との間に血液の溢出するのをいう。
袋瘤
「ふくろこぶ」。●嚢瘤。周囲の閉じた腔の状態が嚢に似ていて、流動物あるいは半流動物、稀には固形 物を含有するものである。その嚢は結合組織から生じて内面には小内皮を布被し、ウエイ 膜に類似している。
擇食
→悪阻たぐる
→咳嗽胼胝
重繭。胼胝は『字書』に、皮が堅厚であること、とある。
『史記』に「禹の手足に胼胝」とある。
「たこ」・「たたみだこ」・「すわりだこ」・「にぎりだこ」。
●表皮または皮質が堅厚となるものの総称で、魚目と大同小異である。その違いは、魚目 は凸隆であるが、胼胝は平坦であるという点である。
蛇 傷
齩 蛇傷・蛇蟄。毒蛇はわが国には少ないというが、ひばかり・ひしらず・はみの類は毒蛇に属する。琉球国 にハブ蛇がいる。わが国の毒蛇の中の最も悪蛇である。
●毒蛇の咬傷は激しい刺激を感じ、その痛みが全身に広がり、創口は腫脹し暗赤色にな り、眩暈・呼吸困難・精神昏潰及び麻痺などを発する。
多骨疽
剰骨・杇骨・剰骨疽。 これらは附骨疽の症状で、腐骨が出るだけである。●脱離腐骨片。骨質の一部が壊疽に陥り、反応性の骨炎症のために健全な骨質から分離
・剥離するものである。これは骨壊疽の一症状で病名ではない。
多指・多趾
→枝指蛇虱
→蛇皮蛇傷
→蛇齩傷蛇體
→蛇皮蛇體皮
→蛇皮蛇蟄
→蛇齩傷脱頷
→落架風脱臼
「ほねのたがい」・「ほねのぬけたけが」。●関節脱臼。関節の両骨頭が完全にその位置から転脱し、あるいは半ばその位置から脱 し、そのために関節包・靱帯が破裂する状態となることである。
脱肛
脱疘。『医通』に、「『正伝』では脱肛と書いてある。疘は、音は工。下部の病で、一般に肛と書くの は誤りである」とある。脱肛は肛門翻出の意味であると思われる。肛と書くのも誤りではな い。『大成論鈔』では、肛脱と言っている。腸痔という言い方もあるが、『瘍科瑣言』に「腸痔 は脱肛痔である」とある。
「しりいずる病」・「だっこ」。
●直腸が脱出するもので、大人よりは小児に起こることが多い。細密に診察すると、直腸脱 と脱肛とは自ら区別がある。
脱疘
→脱肛脱疽
『正宗』に、「脱疽は外腐内壊である」とある。『病源』に、「足趾に生じるのを脱疽という。その形状が赤黒のものは死ぬ。赤黒でないもの は死なない。治療していて衰退しない場合は、急いで切除すれば治癒する。切除しないと 死ぬ」とある。
『霊枢』所載の脱癰・脱疽のことである。また血餘というものもあるが、脱疽のことである。
『奇疾方』に、「手の十指の節断壊して筋連だけが残っていて、筋肉はない。血餘という」と ある。
●①脱疽・壊死。局所に栄養が供給されず、死に陥ることの総称である。寒・熱・乾・湿の四 つの脱疽に区別する。
②転移壊疽。チヒユス熱皮膚炎・血液変質病・急性関節リウマチ・トロンボース(血栓)及び エンポリー(栓塞)などから生じる。 ③病院壊疽。種々の組織にジフテリが生じた際、流行 性となって起こるものである。この病気は病院で特に伝播しやすいので、この名がある。
脱癰
→脱疽多溺
→消渇蛇頭瘡
→代指蛇頭疔
→代指駄背
→佝僂病駝背
→佝僂病蛇皮
蛇體皮・蛇身・蛇體。『彙解』に、「蛇皮は皮膚片起の病である。」とある。
『病源』に、「蛇體皮というのは皮膚上に蛇皮のように鱗甲がある。一般に蛇身という」とあ る。
『瘍医大全』には白疕症について、「白疕は俗に蛇虱という。皮膚に生ずる形は疹疥似てい て、色が白くて痒い。掻くと白皮が生じる」とある。これは糠粃疹に含まれると思われる。
「はたけ」。
●①糟粃疹。小さな糠に似た白色の鱗状皮片が表皮から連綿と剥離するもので、単性糠 粃疹と赤色糠粃疹に分類される。
②赤色糠粃疹。極めて稀な病気である。発症した時は皮膚が暗赤色となり、鱗屑の剥離が 甚だしく、広く広がる。再発し慢性化することもある。
打撲
「うちみ」。●粗暴な機械的作用によって身体組織分子の連絡が障害される、あるいは断絶したもの をいう。
淡飲
→痰飲痰飲
癖嚢・淡飲・淡水・留飲・停飲。後世、「淡」の字の代わりに「痰」とし、『金匱』では痰飲として いる。元々は「淡飲」と書いたが、後世の人が「さんずい」をとり「やまいだれ」を加えたので ある。「利」に変えて「痢」としたり、「淋」を「痳」とするなどの類である。『千金翼』・『脈経』には淡飲と書いてあり、『傷寒論』に「心下に水気があり、胸下に水気が ある」とある。これは淡飲のことである。
淡飲の他に、懸飲・溢飲・支飲の三つの飲症がある。諸書を参考にして考えてみると、その 症状は胃腸カタルに相当すると思われる。
淡飲・懸飲・溢飲・支飲を合わせて留飲とするのは、香川太仲の説である。
浅田栗翁は、「留飲という名は総称であり、ある場合は懸飲を指し、ある場合は支飲を指 す。懸飲は水が胸下に貯留し痛むのをいう。支飲は水が心下に貯まり、気息喘満するのを いう。留飲が表面化せず、腰部に疼痛がある場合を伏飲という」と言っている。
従来一般に、万病の原因は痰であると考えられてきた。肺労を痰労といい、喘息を痰喘と いい、胸痛を痰積という。甚だしい場合、中風・眩暈・頭痛などの症状もすべて痰が原因で あるとするのは、元代の王隠君の「内外百病皆痰に生ずる」の説を根拠としている。臆想妄 断である。加藤謙斉が、「痰が原因で病が生じるのではなく、病の方が原因で痰が生じる、
痰が変化して百病になる。」と言っている。今村亮翁の説も同様である。卓見である。
現在単に痰と呼んでいるのは、涕唾濁沫のことであって、留飲ではない。また、漢方でいわ れてきた腹痛・飲痛・食痛などの名称はすべて慢性胃カタルに相当する。
『小言』の薬方、当帰湯の項に、「腹痛は食事をとると激しくなり、吐いてしまうと楽になる、
噯気呑酸辛臭が鼻をつく場合は、旋覆花代赭石湯・附子粳米湯が効く」とある。
「むねつかえ」・「むねしわる」。