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論文内容要旨

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Academic year: 2021

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論文内容要旨

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経 口 抗 悪 性 腫 瘍 薬 S - 1 投 与 患 者 に お け る 眼 障 害 に 関 す る 検 討

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薬学専攻 医薬情報解析学 守屋 賀奈絵

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近年,医療経済的観点や患者意識の変化などから,抗がん剤治療は入院 から外来へと急速に移行しており,それに伴い,経口抗悪性腫瘍薬の処方 頻度も増加している.

S-1 は 5-フルオロウラシル(5-FU)のプロドラッグであるテガフール

(FT)を主薬とし,ギメラシル(CDHP)およびオテラシルカリウム(Oxo)

を加えた 3 剤が配合されたフッ化ピリミジン系の経口抗悪性腫瘍薬であ る.現在,幅広いがん腫に対して適応が認められており,併用療法のエビ デンスの確立も進められいることから,日本のがん化学療法におけるキー ドラックの一つとなっている.

S-1 による眼障害は,直接的に生命にかかわる副作用ではないが,視界 不良や視力の低下による生活の質(QOL)の低下,さらに,その外観か ら心情的な面で周囲の誤解を受ける可能性もあり,患者にとっては重大な 問題である.また,重症例では,休薬期間の延長や他剤への変更が必要と なる場合もあることから注意が必要である.

眼障害については,主に流涙発現患者についての症例報告が多数挙げら れているが,発現群と非発現群を比較した報告は少ない.そこで,本研究 では,第Ⅰ章として昭和大学病院において S-1 を含むレジメンが処方され た患者を対象として,眼障害発現群と非発現群の患者背景および S-1 投与 状況の比較を行い,関連因子の抽出を行った.当院における眼障害発現率 は 10.7%であった.発現期間中央値は 3.0 ヶ月(1.5 - 4.5 ヶ月)と早期か ら発現が認められた.S-1 による眼障害発現の関連因子として,単変量解 析では性別, S-1 総投与量中央値および S-1 総投与期間中央値の 3 項目が 抽出された.更に,多重ロジスティック回帰分析より,男性で長期間服用 する場合に眼障害の発現率が高くなることが示された.

次に,S-1 による眼障害においては,5-FU では報告の少ない角膜傷害

をより高頻度で発現していることから,その含有成分である FT,CDHP

および Oxo が角膜細胞への傷害性を有する可能性を考え, 第 2 章として,

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見本3

各成分の角膜上皮細胞への細胞傷害性を検討した.不死化ヒト角膜上皮細 胞への曝露において 5-FU による生細胞数の低下が認められた.S-1 配合 成分である CDHP, Oxo による角膜細胞への影響は認められず, S-1 の主 薬である FT については,FT から 5-FU への代謝活性化を阻害したとこ ろ,FT 曝露群で認められていた生細胞数の低下および LDH 活性測定に よる細胞傷害率の上昇が改善した.この結果より FT の細胞毒性は,その 代謝により生成した 5-FU により生じていることが示唆された.

本研究により S-1 内服患者における眼障害が 5-FU により生じているこ とが示唆された.また,S-1 を男性が長期間服用する場合に眼障害の発現 率が高くなることが示されたことから,高リスクとなる患者に対しては,

今後,予防措置や定期的な眼科受診についても考慮する必要がある.

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