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博士(歯学)山野 茂 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(歯学)山野   茂 学位論文題名

アデノウイルス 5 型初期遺伝子 E40rf677 による     p 53 依存性細胞死の誘導

学位論文内容の要旨

【本 研究 の意 義, 目的 およ ぴ方法 】近 年の 分子腫瘍学の進歩により,がん細胞の 増殖 や転 移の メカ ニズ ムを 遺伝子 レベ ルで 解明することが可能となった.そのた め, 従来 の外 科療 法, 化学 療法, 放射 線療 法に加え,遺伝子治療によってがんの 抑制 を図 るこ とも また 可能 となっ てき てい る.我が国ではわずか数種類を数える 遺伝 子治 療臨 床研 究プ ロト コール 数も ,米 国では百数十を越えており,その大半 はが んを 対象 とし てい る. 遺伝子 治療 全般 で最もよく用いられているべクターは レトロウイ少スであるが,最近ではがんを対象にしたアデノウイルス(Ad)ベクター も増 加傾 向に ある .し かし ,Adベ クタ ーの 腫瘍特異性や細胞増殖抑制能について は基 礎的 に解 決す ぺき 課題 が残さ れて おり ,今後もAdの遺伝子解析を通してべク タ ー の 開 発 に 貢 献 し て い か な け れ ば な ら な い と 考 え ら れ る ・   Adの 初 期 遺 伝子 産 物EIAや ヒ ト パ ピ ロ ー マウ イ ル ス(HPV) 16型,18型 の初 期 遺 伝 子 産 物E7はが ん 抑 制 遺伝 子産 物で あるRBと 結合 する こと が知ら れて いる . EIAあ るい はE7がlRBと 結合 すると ,RBと複 合体を形成し不活化している細胞転写 因子E2FがRBーE2F複合 体か ら遊離 し活 性化 され る. 一方 ,E2F遺伝 子は 過剰発現 させ るこ とに よっ て細 胞に アポト ーシ スを 起こすことが知られている.Ad初期遺 伝子E4は複数の遺伝子読み取り枠(open reading frame: orf)を持っが,その遺伝子 産物 のひ とつE40r6/7はAd五2遺伝 子上 流の プロ モー ター 領域 に結 合し たE2Fと複 合 体 を 形 成 し ,E2プ ロ モ ータ ーか らの 転写 を活 性化 する 。本 研究で は転 写因 子 E2Fの安定活性化に関与する第二のAd初期遺伝子丘.40f鰤に着目し,その機能を解 析す る目 的で まずAd5型 (Ad5)E40m邪cDNAをRT−PCRに よルク ロー ニン グした.

次にこれを発現するプラスミドおよび組み換えアデノウイルスを作製し,E40rf6〃 の転 写活 性能 はa汀 アッ セイ によ り, 細胞 増殖 抑制 能はG418コ ロニ ーア ッセイに よ り , そ し て アポ ト ー シ ス誘 導能 は組 み換 えア デノ ウイ ルス 感染NRK細 胞のsub G1分 画を フロ ーサ イト メト リーに より 定量 して検討した.また,E40rf6〃の部分

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欠 失変 異株を作製し,転写活性能およびアポトーシス誘導能に関与するE40rf6〃の 機能ドメインの同定を試みた.

【 結 果 お よ ぴ 考 察 】E2F結 合 配 列 を2つ 有す るAdE2プ ロ モ ー タ ー 下 流 にCAT遺 伝 子を組み込んだC灯リポータープラスミドをE40rf・6〃発現プラスミドとともにCV−1 細 胞 に 導 入 し て 行な ったCATア ッセ イに より 、E40rf6〃cDNAがE4全領 域を 含むE4 断 片と ほぽ 同レ ベル でE1A12Sの 転写 活性 能を 増強 する こと が示 された(相対活性 比で約7倍).G418コロニーアッセイによりE40rf6〃の細胞増殖抑制効果を検索した 結 果 ,E40rf6〃 は 初 代 培 養REF細 胞 ,3Y1細 胞 の 増殖 を抑 制し (細胞 生残 率で 約 25ー30ワ。),がん抑制遺伝子pカを両アレル欠失する10(1)細胞の増殖を抑制しなかっ た(細胞生残率で約90ワ。).このことからE40m珈の細胞増殖抑制能はp53依存性で あ るこ とが示唆された.また,組み換えアデノウイルスの感染実験から騨卿誘ワ遺 伝子がアポトーシス活性を有し,この活性が・p53に依存性であることが示された.

さ らに ,E40rf6〃欠失変異株の導入実験においてE40擶〃のC末59アミノ酸をコード す る 変 異 株 に 転 写活 性能 およ び細 胞増殖 抑制 能を 認め た. 以上 の結 果は ,AdElA やHPVE7によ るE2Fの 遊離活 性化 と同 様,E40rf6/7によ るE2Fの 安定化が細胞のア ポトーシスを誘導することを示唆している.

【 結論 】Ad5E4〇r瓸′7遺伝子の機能を検討する目的で,Ad5E40rf6冖を発現するプ ラ スミ ドお よぴ 組み 換えア デノ ウイ ルス を作 製し て転 写活 性化 能,細胞増殖抑制 能 ,ア ポト ーシ ス誘 導能に つい て解 析した.またE40rf15〃の変異株を作製して,

田 〇 施 ′ 7遺 伝 子 に お け る 機 能 ド メ イ ン を 同 定 し , 以 下 の 結 論 を 得 た . 1, 亜40m遺 伝 子 はE1A誘 導 性E2転 写 活 性 を 増 強 す る 活 性 を 有 し , そ のメ カ ニ ズ ム はE40rf6〃遺 伝子 産物が 転写 因子E2Fと結合し安定な活性型複合体を形成するこ と , す な わ ちE2プロ モー ター 上に おけるE2Fの安 定化 によ るこ とが強 く示 唆さ れ た.

2. 騨om遺 伝 子 は げ っ 歯 類 動 物 線 維 芽 細 胞REF,3Y1の 増殖 を 抑 制 し , ま たp53 を欠失する10(1)細胞では細胞増殖抑制が認められないため,丘,,40m遺伝子の細胞 増殖抑制能はp53に強く依存すると考えられた.

3.p53の 過 剰 発 現 に よ りE40m5〃 発 現 組 み 換 えァ デノ ウイ ルス がラ ットNRK細 胞 に アポ トー シス を誘 導する こと から ,目卸卿フ遺伝子はp53依存性アポトーシスを 誘導すると考えられた.

4,E2転 写 活性 化 およ び細 胞増 殖抑 制に 必要 なE4〇d醪7遺 伝子 の機能 ドメ イン は E40rf6〃のC末59アミノ酸にマップされた.また,p53依存性アポトーシスの誘導に 必 要 な 剛 〇 鰯 ′7遺伝 子の 機能 ドメ イン も同 領域 に存 在す るこ とが予 想さ れた .

(3)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

アデノウイルス 5 型初期遺伝子 E40rf6/7 による     p 53 依存性細胞死の誘導

審 査 は 審 査 担 当 者2名 ( 主 査 中 村 ( 太 ) と 副 査 久 保 木 ) と 副 査1名 ( 渡 辺 ) に よ 2回 に 分 け て 口 頭 に よ り 行 わ れ た 。

  Ad( ア デ ノ ウ イ ル ス ) の 初 期 遺 伝 子 産 物EIAや ヒ ト ノ ` ピ ロ ー マ ウ イ ル ス(HPV) 16型 ,18型 の 初 期 遺 伝 子 産 物E7は が ん 抑 制 遺 伝 子 産 物 で あ るRBと 結 合 す る こ と が 知 ら れ て い る .EIAあ る し 〕 はE7RBと 結 合 す る と ,RBと 複 合 体 を 形 成 し 不 活 化 し て い る 細 胞 転 写 因 子E2FRBE2F複 合 体 か ら 遊 離 し 活 性 化 さ れ る . 一 方 ,E2F遺 伝 子 は 過 剰 発 現 さ せ る こ と に よ っ て 細 胞 に ア ボ 卜 一 シ ス を 起 こ す こ と が 知 ら れ て い る .Ad 初 期 遺 伝 子E4は 複 数 の 遺 伝 子 読 み 取 り 枠(open realingmeorf)を 持っ が, その 遺 伝 子 産 物 の ひ と つE40rf67Ad& 遺 伝 子 上 流 の ブ ロ モ 一 夕 一 領 域 に 結 合 し たE2F と 複 合 体 を 形 成 し , & ブ ロ モ ー 夕 一 か ら の 転 写 を 活 性 化 す る 。 本 研 究 で は 転 写 因 子

Fの 安 定 活 性 化 に 関 与 す る 第 二 のAd初 期 遺 伝 子E40rf67に 着 目 し ,そ の機 能を 解析 す る 目 的 で ま ずAd5型 (Ad5E40rf67cDNARTPCRに よ ル ク ロ ーニ ング した .次 に こ れ を 発 現 す る ブ ラ ス ミ ド お よ び 組 み 換 え ア デ ノ ウ イ ル ス を 作 製 し,E40d6/7の転 写 活 性 能 はCATア ッ セ イ に よ り , 細 胞 増 殖 抑 制 能 | まG418コ ロ ニ ー ア ッ セ イ に よ り , そ し て ア ポ ト ー シ ス 誘 導 能tま 組 み 換 え ア デ ノ ウ イ ル ス 感 染NRK細 胞 のs11bGl分 画 を フ ロ ー サ イ ト メ ト リ ー に よ り 定 量 し て 検 討し た, また ,E40rf67の 部分 欠失 変異 株を 作 製 し , 転 写 活 性 能 お よ び ア ボ ト ー シ ス 誘 導 能 に 関 与 す るE40噺 /7の機 能ド メイ ンの 同 定 を 試 み た 。

結 果

  E2F結 合 配 列 を2つ 有 す るAdE2ブ ロ モ 一 夕 一 下 流 にG灯 遺 伝 子 を 組 み 込 ん だCAT リ ボ 一 夕 一 プ ラ ス ミ ド をE40d6/7発 現 ブ ラ ス ミ ド と と も に (N1細 胞 に 導 入 し て 行 な っ たCATア ッ セ イ に よ り 、E40d6cDNAE4全 領 域 を 含 むE4断 片 と ほ ほ 同 レ ベ ル E1A12Sの 転 写 活 性 能 を 増 強 す る こ と が 示 さ れ た ( 相 対 活 性 比 で 約7倍 ) . 餠18コ ロ ニ ー ア ッ セ イ に よ りE40d67の 細 胞 増 殖 抑 制 効 果 を 検 索 し た 結 果 ,E40rf6冖 は初 代培 REF細 胞 ,3Y1細 胞 の 増 殖 を 抑 制 し ( 細 胞生 残率 で約2530%) ,が ん抑 制遺 伝子p53 を 両 ア レ ル 欠 失 す る101) 細 胞 の 増 殖 を 抑 制 し な か っ た ( 細 胞 生 残 率 で 約90% ) .   こ の こ と か らE40d6冖 の 細 胞 増 殖 抑 制 能 | まp53依 存 性 で あ る こ と が示 唆さ れた .ま た , 組 み 換 え ア デ ノ ウ イ ル ス の 感 染 実 験 か らE40d6〃 遺 伝 子 が ア ボ ト ー シ ス 活 性 を 有 し , こ の 活 性 がp53に 依 存 性 で あ る こ と が 示 さ れ た . さ ら に ,E40噺 /7欠 失 変 異 株 の

保 男

太 継

村 邊

   

   

中 渡

授 授

教 教

査 査

主 副

(4)

導入実験においてE40rf 6/7のC末59アミノ酸をコードする変異株に転写活性能および 細 胞増 殖抑 制能 を認め た. 以上 の結 果は ,Ad EIAやHPV E7によるE2Fの遊離活性化 と同様,E40rf 6/7によるE2Fの安定化が細胞のアボトーシスを誘導することを示唆し ていると考えられた。

【結論】Ad5 E40rf6/7遺伝子の機能を検討する目的で,Ad5 E40rf 6/7を発現するブラ ス ミド およ び組 み換え アデ 丿ウ イルスを作製して転写活性化能,細胞増殖抑制能,

アボ卜一シス誘導能について解析した.またE40rf6[7の変異株を作製して,E40rf 6/7 遺伝子における機能ドメインを同定し,以下の結論を得た.

1. E40rf6/7遺伝子はEIA誘導性E2転写活性を増強する活性を有し,そのメカニズム は E40rf 6/7遺伝子産物が転写因子E2Fと結合し安定な活性型複合体を形成すること,

す な わ ちE2ブ ロ モ 一 夕 一 上 に お け るEZFの安 定化 によ るこ とが 強く示 唆さ れた . 2. E40rf6/7遺伝子はげっ歯類動物線維芽細胞REF,3Y1の増殖を抑制し,またp53を 欠失する10(1)細胞では細胞増殖抑制が認められなぃため,E40rf 6/7遺伝子の細胞増 殖抑制能Iまp53に強く依存すると考えられた・

3・ p53の過剰発現によりE40rf 6/7発現組み換えアデノウイルスがラットNRK細胞に アボトーシスを誘導することから,E40rf 6/7遺伝子はp53依存性アポトーシスを誘導 すると考えられた.

4,E2転 写活 性化 およ び細 胞増 殖抑 制に必 要なE40rf 6/7遺 伝子 の機能 ドメ イン は E40rf 6/7のC末59アミノ酸にマッブされた.また,p53依存性アボトーシスの誘導に 必 要 なE40rf 6/7遺 伝 子 の 機 能 ド メ イ ン も同 領域 に存 在す るこ とが予 想さ れた .   以上が本論文の要旨である。

弓fき続 いて 論文 提出 者に 本論 文内 容お よび その関 連事 項、 本研究の今後の発展性 などについて質問された。

    こ れ ら の 質 問 に 対 し て 論 文 提 出 者 よ り 明 快 か つ 適 切 な 解 答 が 得 ら れ た 。 以 上 よ り 、本 論文 提出 者は 博士 (歯 学) の学 位授 与に 値す るも のと認 めら れた 。

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