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コ ン フ リク ト ・マ ネ ジメ ン ト

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(1)

コ ン フ リク ト ・マ ネ ジメ ン ト

‑ トマ ス ・モ デ ル の研 究 ‑

Ⅰ. は じめに

Ⅱ. コンフリクトのプロセス ・モデル

Ⅲ. コンフリクトの構造モデル

Ⅳ.統合モデルとコンフリクト・マネジメント

V. おわ りに

高 橋 正 泰

Ⅰ.は じ め に

行動生物学 には,遺伝子 の利 己主義 とい う考 え方があ る。進化 の過程 で成功 した遺伝子 に期待 され る特質 の うちで もっとも重要 なのは無情 な利 己主義であ り,通常 この遺伝子 の利 己主義 は,個体 の行動 における利 己主義 を生 み出す と され る ( Dawki ns ,1 9 7 6 ) 。そ うであるとすれば,人間の行動 に もこの利 己主義 の行動特質 があ らわれ るの は当然 の帰結であ り, この観点か らして も組織内の 人間行動 か ら組織 コンフ リク トが生ず ることは疑 いのないことであろ う

組織論で は以前 よ り組織 モデル として,組織 の完全合理性 モデルにかえて コ ンフ リク トを内包 す る組織 の コ ンフ リク ト・モ デルが提 唱 されて いる。 この パ ースペ クテ ィブに則 った コンフ リク ト研究が, コンフ リク ト・マネ ジネ ン ト であ る。最近 の コ ンフ リク ト研究 では, コンフ リク トが もっ機能的な側面が認 め られてお り, コ ンフ リク トが組織 にとって建設的な影響 と破壊的な影響 の ど ち らか とな るのはコンフ リク ト・マネ ジメ ン トに依存 しているとされ る

この コンフ リク ト・マネ ジメ ン ト研究 の中で, Thomas ( 1 9 7 6 ) の コンフ リク ト・

モデルを とりあげて考察す ることはコンフ リク ト研究 において重要 な示唆を得 ることが出来 ると考 え られ る

ヨ円 3 日

(2)

Thomas ( 1 9 7 6 ) はコンフ リク トを論 じるとき, その前提であるコ ンフ リク トを二者間 コンフ リク ト ( dyadi cconf l i c t ) と定義 して いる。 2 着間 コ ンフ リ ク トとは,二 つの当事者 ( 個人,集団,組織 とい った社会単位) による相互作 用 を考 え,且 つ この二者間をひとっの コ ンフ リク ト単位 とす ることを意味 して

いる

この コンフ リク トに関す る基本的認識 と して,( 1 ) 適度 な コンフ リク トはコス トとみなす必要 はない こと , ( 2) 意見 ・見方 の違 い とい うコンフ リク トは総合的 でよ り深 い理解 を生 む見方 を導 くこと,( 3 ) 攻撃的な コンフ リク トが非合理的あ るいは破壊的である必然性 はない, とい う影響 を コンフ リク トは組織 に もっ と され る

コ ンフ リク トの もっ機能 的 な側面 と逆機能 的側面 を認識 す る ことに よって, コ ンフ リク トの単 なる排斥 か らコ ンフ リク ト・マネ ジメ ン トへ とパ ー スペ クテ ィブを シフ トす ることが重要であ る

コ ンフ リク ト・マネ ジメ ン トの 基本的 な見方 は, コンフ リク トの非合理性 ・破壊性 を極力抑止 し, コ ンフ リク

トの もっ機能 的 ・建設 的側面 を助長す ることにあ ると考 え られ る1 ) 。

Thomas ( 1 9 7 6 ) はコンフ リク トを考察す るスキーマ として, モデルを コン フ リク トの プ ロセス と構造 の 2 つの モデルに分 けて,検討 して いる

プ ロセ ス ・モデルは,進行 中の システムを管理す ることに関係 し,重要事項 を扱 い, 構造変数 の影響 を予測す る知識 を提供す るものである

他方,構造 モデルはシ

ステマテ ィックな変化,す なわち長期 にわたる進歩発展 に関係 し, プ ロセスに おけるダイナ ミックスの制約要因および形成要因 となる。

以下,Thomas ( 1 9 7 6 ) の展開 に したが って検討す ることとす る

Ⅱ. コンフ リク トのプロセス ・モデル

プ ロセス ・モデル とは,基本 的 に所与 の コ ンフ リク トを一 つ のエ ピソー ド ( epi s ode)内のサイクル ・モデル と考 え,一定 の関係内で は, それぞれのエ ビ

1 ) コンフ リク ト・マネジメ ントについてのまとまった研究 としては,Robbi ns

( 1 9 7 4 ) ,Ki l ma nn‑Thoma s( 1 9 7 8 ) が代表的であ る。

(3)

ソー ドはそれ以前 の エ ピソー ドの結 果 になん らか の影 響 を受 け る こ とを前提 と して い る2 ) 。この ダイ アデ ィ ック ・コ ンフ リク トの モ デル は,一 つ の エ ピソー ド 内 で ダイ アデ ィ ック関係 にあ る一 方 の当事者 の観点 か ら, 5 つ の主要 な出来事 に よ って構 成 され る ( 図 1 )。 その出来事 とは, フ ラス トレー シ ョン ( f r us t r a‑

t i on) ,概 念化 ( c onc e put ual i z at i on) ,行動 ( be havi or ),他者 の反応 ( ot he r ' S

図 1 ダイアディック・ コンフリク ト エピソー ドのプロセス・ モデル ( Tho ma s ,1 9 7 6 ,p. 8 9 5 )

2) コンフリク トのプロセス ・モデルについては ,Pondy ( 1 9 6 7 ) が有名であ る

(4)

r e ac t i on) , そ して結果 ( out c ome ) であ る

1. フラス トレーション

コ ンフ リク トは,当事者 の一方 によって 自分 の関心

3)

が満足 されないと知覚 す る ことによ って発生 す る

例 えば, 地 位 へ の関心 は個 人 間 コ ンフ リク ト

( Whyt e ,1 9 4 8 ) , 部門間 コンフ リク ト ( Se i l e r ,1 9 6 3 ) の発生 に結 びっ いている と考 え られ る。また, Ar gyr i s ( 1 9 5 7 ) によれば,自律性‑の関心 は上司 一部下 問の関係 に コンフ リク トを生み出す ことが認 め られている

2. 概 念 化

概念化 とは状況 の認識 の ことであ り,現実 を構成す ることである。ここで は, 当事者間 の関心 に関す るコンフ リク ト問題 の規定, および可能 な行動代替案 と その結果 について考慮 されてい る

プ ロセス ・モデルの この段階 において は,

①特定 の概念化 がいかにコンフ リク ト処理行動 ( c onf l i c t ‑ handl i ngbe havi or ) に影響 を及 ぼすか,②一方 の当事者 の概念化 における変化が行動 の漸次的拡大 や他 の変化が どのように して派生す るか,が重要 なポイ ン トである

また, この概念化 の過程 は,( 1 ) 問題 の明確化 と ( 2 ) 行動代替案 の認識 を含 んで いる

( 1 ) 問題 の明確化

一方 の当事者 による当該問題 に関す る規定 は, コ ンフ リク ト状況 の概念化の 最 初 の要 素 で あ る

問題 の明確 化 に は, 3 っ の次 元, す なわ ち 自己中心 性 ( e goc e nt r i c i t y) ,根底 にあ る関心、 に対す る洞察力,問題 の 「 大 きさ」( " s i z e " ) が含 まれている

洞察力 は当事者双方 の満足 を導 く解決法,すなわち 「 統合 」

( Fol l e t t ,1 9 4 1 ) に到達す る可能性 を増大 させ るのであ る。

問題 の大 きさの概念 は Fi s he r ( 1 9 6 4 ) によ って展開 された もので,問題 が大 きいとそれだけ問題解決 が困難 にな り,問題 の細分化 によ って問題管理す なわ ちコンフ リク ト・マネ ジネ ン トが容易 となるのであ る

3) 関心 ( c o nc e r n) には,欲求,公式な目的,行動の基準等のよりはっきりとした特定

概念 が含 まれ る ( Thoma s ,1 9 7 6 ,p. 8 9 5 ) 。

(5)

( 2 ) 代替案 の知覚

概 念化 の第二 の側面 は,行動 代替案 とその結 果 の認識 で あ る

当事者双方 の 関心 をそれぞれ横 軸 と縦軸 に とれば,概念化 は,( a) どち らか一方 の満足 , ( b) 蛋 協 的 なゼ ローサ ム ( z e r o‑ s um) , ( C ) 根底 にあ る関心 に関わ る問題 を明確化 す る

の に適 した形 の定 ま らな い暖味 な概念化 ,( a) 解決不可能 ,にパ ター ン化 され る。

これ ら ( a ) か ら ( d) まで の概 念 化 は, そ の後 の行動 パ ター ンへ と連 関 す るので あ る。

3. 行 動

コ ンフ リク ト ・プ ロセ スにお け る行動 は,方 向づ け ( or i ent at i on) ,戦 略的 目 的 ( s t r at e gi cobj e c t i ve s ) ,戟術 的行動 ( t ac t i c albe havi or ) か ら構成 され る。

方 向づ け は,概念化 のパ ター ンを うけて①支配 ,①宥和,①妥協,④ 無視,①

図 2 5 つのコンフリク ト処理指向

( Tho ma s ,1 9 7 6 ,p . 9 0 0 )

(6)

統合の行動パ ター ンとなる ( 図 2) 。これ らの行動パ ター ンは,コンフ リク トの 解消方法 とオーバー レイ していることは明白である

戦略的 目的 は,方向づけと相互作用 してお り,当事者双方が得 ることので き るパ イの大 きさを示す とい う統合的次元 とパ イの分配 とい う次元 を持 ってい る。 これ らのどち らの次元 にそった行動 を起 こすかは,利害の コンフ リク トの タイプと程度,すなわち概念化 によって左右 され る。例 えば, コンフ リク ト状 況 の認識 に したが って支配 の方 向づ けを望 み,選択 した と して も,相手 にパ ワーがあることがわかれば,何 らかの妥協 を含んだ戦略的 目的を考え られなけ ればな らないであろう

このように, コンフ リク ト状況 に応 じて戦略的 目的が 設定 されることとなるのである

つ ぎに, この戦略的 目的の次元 に したが って,競争戟術 もしくは協調戟術 と 言 う戦術的行動が選択 され る。取引 として展開 され る競争戦術 は分配戦術であ り,一方の満足 には他者 の犠牲を ともな う。協調戟術 は統合戦術であ り,双方 の満足を増大 させ ることを意図 している

協調戦術 は問題解決法 とも言われ, この問題解決 には 3 つの段階がある

すなわち,( 1 ) 当事者 の本質的関心 の明確 化 ,( 2 ) 代替案 の探索 と結果 の認識 , ( 3 ) 当事者双方が満足する代替案 の明確化, がそれである。これ らの過程 が可能 となるためには,正確な情報 の公平 な交換, 柔軟 な ものの見方,信頼の確保が必要である

この協調戟術が望 ま しいことは 容易 に理解す ることが出来 よ うが,常 に協調戦術が可能 であるとは限 らない

し, また,常 に管理 にとってよい結果を生 むとは言 い難 いとも言 えよ う

4. 相 互 作 用

プロセス ・モデルにおいては,概念化,行動, そ して他方の当事者 の反応が ひ とつのループを措 いて いる

このダイア ッ ド関係 にあ る二者間の相互作用 は,漸次的拡大 と縮小のダイナ ミックスを含んでお り, この交渉過程で当事者 はお互 いに反応 して方向づ け,戦略的 目的,戦術を変更す ると考え られている

この交渉過程 には,( 1 ) 問題 の明確化 と選好 される代替案 の再評価 ,( 2) 予想 され

る他者 の行動 によって強化 される反応の同質化 ,( 3 ) 他者 に関す る知覚 に依存す

るバ イアスの生起 , ( 4 ) 単純化 された知覚 によるもうひとつのバイアスの生起,

(7)

( 5 ) コ ミュニケー ションによる知覚 の修正 ,( 6 ) コ ミュニケー シ ョンの中断 はお互 いの歪んだ見方 を発展 させ,かつ維持 させ, その結果 お互 いの敵意 の源泉 とな ること,( 7 ) 敵意,不信 が増大す ると当事者 の戦術 は強制的 とな り,問題解決 を 低減 させ ること ,( 8 ) 最初 の関心 を満足 させ るための競争 を した後 は,最初 の関 心 を見失 い,利害関係 のための単純 な競争 とな って しまうこと ,( 9 ) 当事者間の 競争 は他 の問題 にまで波及 して しまうこと ,( 1 0 ) 競争 の波及 と認知 の単純化 に と もな って二者 間の本質的関心 が両立 しないと知覚 して しま う恐 れがあ ること, ( l l ) したが って,分化 が統合 に先だ って行 われなければな らず, それは見方 をか え ることによって可能 とな ること,つま りお互 いの共通利益, プ ラスの特徴 を 正 しく認識すれば統合が可能 となること,が含 まれているのである。

5. 結 果

特定 の コ ンフ リク トによるエ ピソー ドの結果 は,現実 の同意以上 の ものを含 んでいる

新 しい同意か らフラス トレー ションが, そ して交渉 の過程 で相手 の 行動 か ら敵意 や不信 が生ず るか もしれない。 この説明のつかない感情 は短期的 関係か ら言 えば, それは次 の コ ンフ リク ト・エ ピソー ドの原因 のひとっ ともな

る。 これを Pondy ( 1 9 6 7 ) はコンフ リク トの余波 と呼んでいる。

一般的な観点 か らすれば,他者 の目標達成 は当該当事者 の協調行動 によ って 助長 され るのであ り,強化理論 によれば,好意的 な知覚 は良好 な反応 を導 くと

され る

したが って,他者 の目標達成 を含 めた長期的な観点 か らすれば,結局, 統合行動が よい結果 を生 むが, この行動 が うま く行かない場合,競争戦術 も有 効 となると言 えよ う

Ⅲ ∴ コンフ リク トの構造モデル

コ ンフ リク トの構造 モデルは,特定のエ ピソー ドにつ いての重要 な理解 を提 供す る。このモデルは,二者間の交渉 で用 い られ る行動 の総体 に関係 してお り,

いわば ダイアデ ィック ・コンフ リク ト状況 の心理 的環境要因を表 していると思

われ る

構造 モデルは 4 つの変数,すなわち,( 1 ) 一部 は当事者 の動機 および能

力 か らくると思 われ る行動性 向,( 2 ) 当事者 を取 り巻 く社会環境 か ら受 ける圧

(8)

力 ,( 3 ) その場 の状況 におけるコ ンフ リク トの報酬巾こ対す る反応, そ して ( 4 ) 当事 者 を制約す る規則 と手続 きの フ レームワーク内での相互作用か ら構成 されてい

る ( 図 3) 。

図 3 ダイアデ ィック ・コ ンフ リク トの構造 モデル ( Tho ma s ,1 9 7 6 ,p . 9 1 2 )

1.行 動 性 向

コンフ リク ト状態 にあ る当事者 は, 自分 の行動 になん らかの行動傾 向を持 っ ていると考 え られて いる。つ ま り, コンフ リク トに対す る対処 についての階層 構造 を持 っているのであ って,それはプ ロセス ・モデルにおける行動パ ター ン

にその優先順位 を提供す るもの と考え ることがで きる

2. 社会的圧力

当事者 は様 々な方 向か ら社会的圧力 を受 け,影響 され ると考 え られ るが, こ れ らの圧 力 は当事者 によ って代表 され る集 団 か らの圧 力 で あ る構成 的圧 力 ( c ons t i t ue ntpr e s s ur e ) と中立 の第三者 や傍観者 か ら受 ける環境的社会圧力 ( a mbi e nts oc i a lpr e s s ur e ) に分類 され る。

( 1 ) 構成的圧力

当事者 の属す る集団 よ り受 ける圧力であ り,集団規範 がその例 であ る

この

圧力 は当事者 に直接 的に関与す る社会圧力であ る

コ ンフ リク トに直面す ると

当事者 は自分 の選好 や判断 に したが って交渉 を行 うが, それは必ず しも自由で

あ るわけで はない。交渉 に際 し,当事者 は彼 の属す る集団の代表す る者 とな り,

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彼 は集団の英雄 あるいは裏切 り者 として集団の評価を受 ける

この集団の圧力 ( 集団規範 と言 って もよい)は,集団の目的 に寄与す ると知覚 した り,また他 の 行動 を戒 める代表行動 を是認す るのであ る。 この構成的圧力 は,文献 によれば 一般 に競争行動 となることが指摘 されている

しか し, この他 の集団 との競争

は集団の凝集性をたかめ る機能 を一面で もっているのである

( 2 ) 環境的社会圧力

当事者 を取 り巻 く環境 よ り受 ける圧力であ り, コンフ リク ト関係 にある当事 者 の属す るより大 きな システムよ り受 ける社会的圧力,すなわち組織 あるいは 集団の規範,文化的価値, そ して公共 の利害がそれである。 また,行政体等 の 公的権力 による圧力を受 ける場合 もある

労使交渉のような場合,政府の勧告 がそれである。組織内において も,管理者が公式 な権限を用 いて コンフ リク ト に対処 しよ うとす ることを )ある

しか し多 くの場合, この社会的圧力 ( 規範) はよ り大 きな システムの観点か ら,分裂の抑止 や強制 による権力行使 を抑制す る機能 を もっようである。

3. 誘 因 構 造

ここでの誘因構造 は広 い意味で用 い られ,当事者二者間の関心 の相互関係 を 意味 している。つ まり,‑ 一方 の当事者 の利害関係 の満足 は,他 の当事者 の満足 に結 びっいていると言 うことである

プ ロセス ・モデルにおいては,概念化が 行動 の決定要因 として扱われたが,構造 モデルではあ らわれ る行動 に関す る諸 条件 に関心 を向けている

主観的現実 はプロセス ・モデルに関連 し,客観的現 実 は構造 モデルに関連 しているようである

構造 モデルでは,誘因構造 は 2 つの局面 を もっている

一つ は関係内に含 ま れ る関与であ り,他の一つは当事者利害関係間の利害 コンフ リク トである

関 与 は他者 の行動 に依存 した当事者 の利害関係の重要性 であ り,利害 コンフ リク

トは二者間の利害 の両立,不両立 の一般的程度 を示 している

高 い関与 は独断 的行動 を誘発す るが,それは当事者間の依存の程度 に相関す る

利害 コンフ リ

ク トには,利害が基本的 に共通す る領域 を もっ ものと共通領域 を もたない もの

がある

前者 は共通問題 として扱 われ,協調行動を導 く。後者 は競争的問題 と

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な り,非協調的行動 と結 びつ く

この関与 と利害 コンフ リク トを二次元 モデル と して考え, コンフ リク ト処理行動 の二次元 モデル と重ね合わせ ると,両立 し ない利害関係 にあ り,かつ高 い関与 は競争行動 とな ると理解 され る

4. 規則 と手続

ここでの規則 と手続 とは, コンフ リク ト関係 にある二者問 の交渉 を統制す る

「 意思決定 の機械」を意味 してお り,この機械 は,( 1 ) 意思決定 の規則 ,( 2 ) 交渉 の 手続 ,( 3 ) 調停 と裁定 とい う構成要素 か ら成 り立 って いる。

( 1 ) 意思決定 の規則

ここでの 「 意思決定 の規則」 は,問題が生 じた ときに代替案 を選別す るかあ るいは回避す るかを特定化す るとい う規則 を相互 に受容す ることを意味 してい る

この規則 は,当事者間の感情的問題 を抑制す る作用を もって いる。 また, コンフ リク ト・エ ピソー ドにおいて この規則 は, あ る意味で時間, エネルギー を節約 し, そ して潜在的な敵意 を回避 した りす る。 それは,規則 によって指示 され る行動 は自動的であ り, その場 の状況 はもはや コンフ リク ト問題 と して概 念化 されな

か らであ る

しか しなが ら, この規則 にはコ ンフ リク トを統合 に導 く問題解決 の足かせ と な った り , 「 勝 ち一負 け」の競争行動 を導 いた り,公式規則 を増大 させ ることに より統制 を強化す るとい う脅威 とな った り, また規則を犯す ことを恐 れて進ん で問題 を引 き受 けな くなるとい う官僚制化 を導 くことに もなるのであ る

( 2 ) 交渉 の手続

当事者間 は無作為 に相互作用す るわけで はない。組織内ではなん らかの交渉 方法が存在す るものである

それ らはコンフ リク ト処理 の場づ くりと して考 え られ るもの‑ であ り,手続 は慣習的な ものか ら入念 に公式化 された規定 など様 々 である。 ただ,行動上 の交渉手続 が長引 くと敵意 をお こさせて協調 を減退 させ た り,公式 な提案が 自分 のおかれて いる立場 に コ ミッ トメ ン トす るあま り競争 を助長 した りす ることに もつなが ることもあるのである

( 3 ) 調停 と裁定

当事者 の二者間で, ある問題 において合意 を得 られなか った場合,解決 を図

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るために第三者 の意思決定への関与 が図 られ るであろ う

このよ うな事例 と し て は,労使交渉 をあげることがで きよ う

この場合,第三者 の介入 として は, 調停 と裁定 の方法 が考 え られ る

調停で は,当事者への援助 とコンサル タン トが第三者っま り調停者 の役割 と なる。調停者 は解決 を当事者 に課 さず,受容可能 な代替案 を提示す るのである。

調停者 の行動 を通 して,調停者 は全体 の諸関係 か ら当 事者 が よ り生産 的で,且 つ非競争的 な交渉形態 を とるよ うに仕向 けることが重要 であろう

裁定 の場合 は,当事者 に合意 の義務 を背負わせ る七 とにな り,裁定者 によ っ て解決が命令 され ることになる

この点 で,裁定 は調停 と性格 が異 な る。 この 裁定 にはよ り深 い洞察が必要 にな る。裁定が当事者 に とって不公正 とな った場 合,多 くの困難 が生 じる。最 も良 いとされ る裁定 は,当事者両者 に勝利観 を抱

かせ ない ものであろう ( Bl a ke‑Mo ut o n ,1 9 6 4 ) 。

Ⅳ. 統合モデルとコンフ リク ト・マネ ジメ ン ト

二 つの コンフ リク ト・モデルはそれぞれ コ ンフ リク ト現象 の異 な る側面 を説 明 してお り, コンフ リク トを考察す るとき相互補完的であるよ うであ る。 プ ロ セ ス ・モデル は コ ンフ リク ト・エ ピソー ドに起 こる事象 の連続性 に焦点 を当 て, その コンフ リク トにおいて起 こる出来事 の流れを理解 した り,直接 コンフ

リク トに介入す る必要性 に直面す るときに有用 なモデルであ る

他方,構造 モデルはあ る関係下 にあ るコンフ リク ト行動 を形成 した り,望 ま しい行動パ ター ンを容易 にす るために状況 を再構成す るのに役立っよ うな条件 に焦点 を当ててい るのである。

コンフ リク ト・マネ ジメ ン トの観点か らすれば, どち らも必要 なモデルであ る

コンフ リク ト・マネ ジメ ン トの フ レームワークは, コンフ リク トの受容可 能性 を探索 す る こと, コ ンフ リク トの源泉 を診断す る こと,介入 を行 うこと

( Ki l ma nn‑Thoma s ,1 9 7 8 ) によって,コンフ リク トを組織 にとって機能的,

さ らに言 えば組織 の存続 と発展, そのための革新 に結 びっけることである

のためのモデル と して コ ンフ リク トのダイアデ ィック ・モデルを考察す ること

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は意味のあることであ る。

Thomas ( 1 9 7 6 ) によるコンフ リク トの ダイアデ ィック ・モデルは,確 かに 二者間の コンフ リク ト関係 を対象 と しているが, そ こには常 に第三者 の存在 が 考 え られている。つま り,実際 には三者間モデルである。第三者 とはコ ンフ リ

ク トを統制す る者 であ り,多 くの場合 それ は管理者 であろ う

ここに管理者 の 役割 と して コ ンフ リク ト・マネ ジメ ン トが とりあげ られ るべ き必然的帰結 があ

るのであ る。

構造 モデルにおいて は,調停 と裁定 とい う二つの コンフ リク トへの介入方法 が考 え られていた。先 のプ ロセス ・モデルにおいて は, コンフ リク トへの介入 はどうであろ うか 。Thomas ( 1 9 7 6 ) は第三者 のプ ロセス介入 につ いて,三つあ げている。第‑ は協調 であ り, それはプ ロセス ・モデルの 「 結果」 の局面 に属 す る問題 である

全体 として は,相互協調 は問題 の望 ま しい状態であるといえ る。時 によって は,時間的制約 とか,よ り激 しい競争 を引 き起 こす よ うな場合, 回避行動 を とった り,抑制 した りす ることが必要であ って,必ず しもコ ンフ リ

ク トの処理 には唯一正 しい方法 があ るわけで はない。 ただ,協調 を確保す るこ とは組織 にとって有益 であることには違 いないのであ る

第二 は漸次的減少 である

第三者 は競争 の コス トを明 らか に して, コ ンフ リ ク トの解消や減少 に結 びっ く誘 因を提供す ることが望 ま しいと考 え られ る。 そ のためには第三者 はコ ミュニケー シ ョンを開 き,当事者 を動機づけ,敵意 をな

くし,問題解決 を促進 しなければな らない4 ) 。

第 三 は問題 直視 で あ り, コ ンフ リク ト問題 の明確 化 で あ り ( Sc hmi dt‑

Tanne nbaum ,1 9 6 0 ) ,局面 の分化 ( Wal t on ,1 9 6 9 ) である

ここで は直面 す る 問題 を明 らかに して, さ らけ出 し,当事者間 の協調行動 あ るいは問題解決行動 を とらせ ることが第三者 の重要 な目的である。

以上 のよ うに, Thomas の コンフ リク ト・モデルには, い くつかの管理的介

4) 労使交渉 はこの顕著 な例 である。

(13)

人 の方法 が論 じられて いる

ある意味では, この介入方法が コンフ リク ト・マ ネ ジメ ン トの有効性 を決 める要因であると言 え る

V. お わ U に

Thomas ( 1 9 7 6 ) の コンフ リク ト・モデルは, これまで整合性 を欠 いたよ う に研究 されて きた コンフ リク ト研究 を,一つのまとまったモデル として統合 し たとい う点 において評価す ることがで きる

プロセス ・モデルにおいて はコン フ リク ト・マネ ジメ ン トの管理的介入 の機会 を考 え ることがで きるし, また構 造 モデルにおいて はコンフ リク トの管理的介入 の基盤 やその条件 を知 ることが

で きる

しか し己むを得 ない こととは言 え, Thomas の この コ ンフ リク ト・モデルは 心理学的傾向が強 く,組織論 の研究成果 を十分 に取 り入れた ものにな って はい ない。 この ことは, コンフ リク ト研究 が多岐 にわた り, また同 じ研究分野,例 えば役割 コンフ リク トの研究 において も,関連諸概念が複雑 に絡 み合 って一つ の役割 コンフ リク トとい う研究領域 を形成 しつつ も,統合的研究成果 がなかな か得 られない実状か らも推測 で きよ う

プ ロセス ・モデルで提起 された概念化 の問題 において も ,1 9 6 0 年代 か ら研究 が盛ん に行われている認知心理学 の成果 が十分 に反映 されて はいない。 ただ 1 9 8 0 年代 に入 り組織論上 あ ま り活発 に コ

ンフ リク ト研究 が行 われていないのは, コンフ リク トその ものを とりあげるこ との困難性か ら, む しろ他 の組織概念 との関係 において研究 した方 がよ り実 り ある成果 が期待 で きるとしているか らか もしれな

とは言 え, コンフ リク ト その ものを正面 か らとりあげ ることが無意味であ ると言 っているので はない。

さ らに両方面 か らの研究 アプ ローチが必要 である。

現実 には組織管理 において,管理者 が コ ンフ リク トをいかに処理 して い くか

は管理者 の管理能力が評価 され るところであ る。経営管理 における実践的側面

か らも, また理論的側面か らして もコンフ リク ト現象 を組織 の重要 な側面 とし

て考え ることには異議 があるとは考 え られない。 そ うした中では, コンフ リク

トその ものを対象化 した研究 およびそのマネ ジメ ン トにつ いての多 くの研究 が

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実証 を加 えつつ,展開 されな くてはな らない5 ) 。組織 のあ らゆる レベル ( 組織間 か ら組織 メ ンバ ーの個人内 まで) で コンフ リク トの研究が展開 されなければな

らない し, またその場合, コンフ リク ト・マネ ジメ ン トの基本的視点 であ る組 織発展 の機能的側面 を十分考 え,組織革新へ と導 く 「 混乱効果 」( Pe l t z ,1 9 6 7 )

を認知 して研究 を進 め ることが重要であ る

参 考 文 献

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がある。

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図 1 ダイアディック・ コンフリク ト エピソー ドのプロセス・ モデル ( Tho ma s ,1 9 7 6 ,p. 8 9 5 )
図 2 5 つのコンフリク ト処理指向 ( Tho ma s ,1 9 7 6 ,p . 9 0 0 )

参照

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