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博士論文要旨

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Academic year: 2021

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[様式-学 5]

博士論文要旨

論文題名:実時間音声分析合成技術と音場再現に基づく高 臨場感歌唱体験システムの研究

立命館大学大学院情報理工学研究科 情報理工学専攻博士課程後期課程

ふりがな なかの こうた 氏 名 中野 皓太

日本発祥の文化の一つであるカラオケは,身体的な負担の少ない歌唱を採用し誰でも気軽に 利用できる優れたエンタテインメントの一つである.その敷居の低さから仲間との交流を図る 道具として利用される場合もある.しかしながら歌唱は各個人の歌唱力に依存するため,歌唱 を不得意とする使用者は歌唱行為およびカラオケを敬遠し,平等な交流が図られない問題があ る.カラオケでは楽曲のキー(音高)の制御により歌唱行為に対する使用者の負担低減が行われて いるが,使用者の歌唱力そのものを支援するものではないため高い効果は望めない.

本論文では使用者の歌声を実時間で制御し,あたかも使用者自身が熟練歌唱者であるかのよ うな歌唱体験を使用者に提供するシステムを提案する.本提案では音声分析合成技術に基づき 熟練歌唱者の特徴を使用者の歌声に転写することで,使用者の声質および熟練歌唱者の歌唱様 式に基づく歌声を復号する.また復号された使用者の歌声や楽曲の伴奏を提示する際に,公演 用舞台などの音環境をスピーカシステムと音場模擬技術によって高臨場に再現し使用者へ提示 する.これらの処理により使用者はあたかも自身が熟練歌手であるかのような歌唱体験を得る ことができる.本システムは使用者本人の歌唱力や歌唱される環境に依存しないため,歌唱の 不得意な使用者を支援することができる.またその他の使用者にとっては,他人の歌唱様式や 様々な音環境を体験できる新たなエンタテインメントを提供できる.

本論文では第1に,線形分離等価回路モデルに基づく音声分析合成技術を用いて使用者の歌 声を符号化し,熟練歌唱者の歌唱様式を使用者の歌声に転写するシステムを提案する.提案シ ステムは高品質な音声分析合成技術であるSTRAIGHTを採用するため,STRAIGHTスペクト ルに基づく逆フィルタ法を用いたSTRAIGHT の高速化および実時間処理を提案する.評価実 験の結果,本システムが実時間で熟練歌唱者の歌唱様式を使用者の歌声に転写できることが示 された.

第2に,音場再現のためのスピーカシステムと音場模擬技術について検討し,スピーカシス テムと音場模擬に基づく音場再現システムを提案する.提案システムはクロストークなく音場 再現の可能なセミトランスオーラルシステムと,座標変換によって演算精度の改善した有限差 分時間領域法に基づく.評価実験の結果,提案手法が高精度に音場模擬を実現でき音像の定位 を制御できることが示された.

最後に高臨場感歌唱体験システムについて検討し,歌唱様式の転写と音場再現の統合に基づ くシステムを提案する.提案システムは楽器などの声部毎に音像を構築し,制御された使用者 の歌唱をセミトランスオーラルシステムに基づいて使用者に提示する.評価実験の結果,歌唱 体験システムの不足分を音場再現システムが補い,使用者の歌唱行為を効率的に支援できるこ とを確認した.

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