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榎本 温子 学 位 の 種 類 博士(歯学)

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Academic year: 2021

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ふ り が な

氏 名

えのもと あつこ

榎本 温子 学 位 の 種 類 博士(歯学)

学 位 記 番 号 甲 第 863 号 学 位 授 与 の 日 付 令和 2 年 3 月 6 日

学 位 授 与 の 要 件 学位規則第 4 条第 1 項に該当

学 位 論 文 題 目 Impact of short-term saliva storage at room temperature on the microbial composition

(唾液の室温での短期保存による微生物組成への影響)

学 位 論 文 掲 載 誌 Journal of Osaka Dental University 第 54 巻 第 1 号 令和 2 年 4 月

論 文 調 査 委 員 主 査 馬場 俊輔 教授 副 査 田村 功 教授 副 査 沖永 敏則 教授

論文内容要旨

ヒトの口腔には、特有の共生微生物が存在している。現在までに、口腔微生物の変化が、齲蝕、歯

周病、インプラント周囲炎などの口腔疾患、および心血管疾患などの全身の健康に影響を及ぼすこと

が明らかになっている。唾液は、口腔および全身の健康と口腔微生物叢との関係を解明するために頻

繁に使用され、唾液サンプルを用いた大規模コホート研究がいくつか進められている。特に腸内菌叢

研究では、サンプル採取から解析までのサンプル保存条件が解析結果に影響を及ぼすことが示唆され

ているが、口腔サンプルを用いた研究ではその影響はほとんど明らかになっていない。 次世代シーケ

ンシング技術の進歩により、常在微生物叢に関するデータ報告が散見されるようになってきたが、得

られるデータの精度と、サンプル処理手順の標準化の関係について未知の部分が多い。唾液採取後の

サンプル保存条件と

DNA

抽出ステップでは、データにバイアスをおこす可能性があり、細菌破壊法に

よって微生物叢分析の結果に偏りがでてくることが報告されているため、サンプル間で微生物叢を比

較する際に同じ

DNA

抽出法を使用することが重要である。 凍結直後のサンプルを-80°C で保存する

ことが唾液のサンプル保存に最適であることは広く受け入れられているが、室温で

3

日間放置した後

も微生物叢のβ多様性は大きく変化しないことが報告されている。また、我々の予備研究では、唾液

を室温で

3

時間または

6

時間保存すると、β多様性のシフトが最小限になることが確認された。 そこ

で本研究では、唾液サンプル採取後に室温保存した際の経時的な菌叢変化をモニターすることで、口

腔菌叢解析におけるサンプル保存条件の影響を検証した。11 名の被験者より採取した唾液を滅菌プラ

スチックチューブに入れ、室温(23℃)に保ったビーズバス恒温槽で保温した。1~3 時間保温したサ

ンプルから

DNA

を抽出した後、

16S rRNA

遺伝子の

V3-V4

領域を

PCR

増幅し、次世代シークエンサ

ーMiSeq により配列解読を行った。細菌叢の変化は、R スクリプトを用いて評価した。3 時間の室温

(2)

保存において、唾液細菌叢のα多様性の有意な減少、つまり細菌構成比率の偏りが認められた。主座 標分析では、 細菌叢の構成の特徴を示すβ多様性の変化は認められなかったが、

4

種類の

operational taxonomic unit

OTU

)において有意な増減が観察された。以上の結果より、室温での短期保存でも、

唾液細菌叢の多様性、全体の細菌叢の特徴、特定の

OTU

へ影響することを明らかにした。

論文審査結果要旨

近年、ヒトの健康と常在細菌叢の関係を解明するため、大規模コホート研究が進められている。特 に、腸内菌叢研究では、多くの解析結果から健康への関与が数多く報告されている。このような研究 において、サンプル採取から解析までのサンプル保存条件は、解析結果に影響を及ぼすことが示唆さ れ、腸内菌叢研究でも多くの検証がなされている。一方、口腔細菌叢研究では、未知な部分が多く、

今後の研究展開が期待されている。本学位審査論文は、このような背景を踏まえて、今後展開される 大規模なコホート研究を見据え、唾液等の口腔内サンプルの保存条件について検証を行っている。

本論文では、唾液サンプル採取後に室温保存した際の経時的な菌叢変化をモニターすることで、口 腔菌叢解析におけるサンプル保存条件の影響を検証している。11 名の被験者より採取した唾液は滅菌 プラスチックチューブに入れ、室温(23℃)に保ったビーズバス恒温槽で保温した。1~3 時間保温し たサンプルから DNA 抽出後、16S rRNA 遺伝子の V3-V4 領域を PCR 増幅し、次世代シークエンサーMiSeq により配列解読を行っている。細菌叢の変化について、R スクリプトを用いて評価している。その結果、

3 時間の室温保存において、唾液細菌叢のα多様性の有意な減少、つまり細菌構成比率の偏りが認めら れている。また、主座標分析では、細菌叢の構成の特徴を示すβ多様性の変化は認めないものの、4 種類の operational taxonomic unit(OTU)において有意な増減が観察されている。以上の結果より、

室温での短期保存でも、唾液細菌叢の多様性、全体の細菌叢の特徴、特定の OTU へ影響することを明 らかにしている。

本論文では、口腔細菌叢解析において、サンプルの保存条件が一定条件でない場合、解析結果に相

違が生じることを明らかにしており、今後、口腔環境と健康の関係を明らかにしていくなかで、口腔

細菌叢の関りについて、大規模なコホート研究を展開する際、どのようなサンプル保存条件が適切か

について明らかにしており、この点において、本論文は博士(歯学)の学位を授与するに値すると判定

した。

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