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雑誌名 静岡大学大学院電子科学研究科研究報告

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Academic year: 2022

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階層分割及び自動的分割に基づく大規模回路シミュ レーションの高速化

著者 西垣 正勝

雑誌名 静岡大学大学院電子科学研究科研究報告

巻 17

ページ 190‑192

発行年 1996‑03‑29

出版者 静岡大学大学院電子科学研究科

URL http://hdl.handle.net/10297/1213

(2)

氏名・

(本

)  

西

  

  

  

(岐

阜県

)

学位 の種 類

 

 

 (工

)

学位 記 番 号

  

工博甲第

 H3 

号 学位授与の日付

  

平 成 7年 3月 24日 学位授与の要件

  

学位規則第 4条 第 1項 該当

研究科 ・ 専攻の名称

  

電子科学研究科

 

電子応用工学専攻

学位論文題目

  

階層分割及び動的分割に基づ く大規模回路 シミュレーショ ンの高速化

論 文 審 査 委 員

   (委

員長)

教 授 市 り

│1  

教 授 阿 部 圭 一

 

教 授 池 田 弘 明 教 授 宮 川 達 夫

 

教 授 邊 健

助教授 浅 井 秀 樹

論 文 内 容 の 要 旨

近年のⅥLSI技術 の進歩 によ り、回路 の大規模化、高密度化が著 しく進 んでいる。更 に、最近 におけ るLSIの 動作速度の高速化 は、デ イジタル回路 において もアナログ的な影響 を考慮す る必要性 を引 き起 こ した。 これに伴 い、大規模 回路 をアナログレベ ルで高速 かつ高精度 に解析 で きる回路 シ ミュ レー タ の重要性が非常 に高 まって きている。本論文 では、 アナ ログ レベ ルの大規模 回路解析 を高速化す る こ

とによ り、速度 と精度 の両者 を満足す る次世代大規模 回路 シ ミュ レー タの実現 を目指す。

アナログシ ミュ レー シ ョンを高速化す る方法 としては数学的 なアプローチ と物理的 なアプローチが 考 え られる。数学的な方法 は数値解析 アル ゴリズムその もの を効率化す る ものであ り、従来の直接法 に対す る緩和 アルゴリズム等が これに当たる。 また最近では、論理 シ ミュ レーションとアナログシ ミュ レー シ ョンを融合 したデ イジタル・ アナ ログ混合解析、直接法 と緩和法の長所 を融合 した混合モー ド 解析 なども提案 されて い る。 これ らは、従来、別個 の解析 アルゴリズムで用い られていた手法 の長所

を融合す ることで効率化 を図るとい うもので、効果的 な次世代回路 シ ミュ レー タを実現す るには有効 な手段 である と言 える。一方、物理的なアプローチ とは回路 の持 つ様 々な特性 を有効 に利用 し計算 を 高速化す る もので、回路 の階層構造の利用、及び、潜在性 、マルチ レー ト性等 の活用が挙げ られ る。

次世代 回路 シ ミュ レー シ ョンでは、 これ らを効果的 に活用す る必要がある と考 え られ る。

ここで重要 となるのは、大規模 回路 の分割手法が高速化 と密接 な関わ りを持つ ことである。 回路分

‑190‑

(3)

割の効果は分割 アルゴリズムに依存する。適切 な分割 を行 うには回路の構造 と部分回路間の結合強度 を考慮 しなければならない。構造(幾何学)的には、回路の疎結合部で分割 し、密結合部 をブロック化 することが望 ましい。 また、大規模回路が階層的に設計 されることか ら、回路の階層構造 を反映 した 分割方法が適当であると考 えられる。回路の潜在性は回路の階層構造 に大 きく依存するので、分割の 階層化 により潜在性の有効的な利用が期待で きる。つ まり、ある部分回路が潜在的でな くともその部 分回路 を構成 している小部分回路 は潜在的であるか もしれない とい う階層的な潜在性 を考えることが 可能 とな り、潜在性 をどん欲 に活用することがで きる。一方、結合強度の面から考えると、弱結合部 で回路 を分割することが望 ましい。分割 とは部分回路 を他の部分回路から切 り離すことである。通常、

相互影響が強い部分での分割は決定的な誤差 を引 きおこし、緩和反復の収束が得 られない等の問題 を 生 じさせる。部分回路間の結合強度 は時間とともに変化するので、結合強度の変化にともない回路の 分割状態 を動的に更新するアルゴリズムが有用である と考えられる。直接法・緩和法混合モー ド解析 では、各時刻 において直接法で解 く必要のある強結合ブロックを検出 しなければならないので回路の 動的分割が特 に重要 となる。

本論文では、効果的な次世代大規模 回路 シミュレーションとして、回路の階層分割及び動的分割に 基づ く直接法・緩和法混合モー ド解析エルゴリズムを提案する。階層分割にともなう階層的潜在性の 活用 と、動的 回路分離"手法 を用いた直接法ベニスの混合モー ド解析が本アルゴリズムの特徴である。

回路の分離 とは、部分回路 ごとの解析が完全に独立 して実行で きるほど結合強度の弱い節点間で分割 することを指す。通常の分割では無視 された部分回路間の相互影響 を何等かの方法で補足する必要が あるのに対 し、分離手法によれば回路 は完全に分割 されるので、部分回路 ごとに独立に直接法により 解析することが可能 となる。回路の分離は緩和法の概念 に類似 してお り、回路分離手法 を導入 した直 接法による回路解析は直接法・緩和法混合モー ド解析 に相当する。回路の分離によって共通時間刻み で解析するにも関わらず各時刻で所望の部分回路のみを解析することが可能 となるので、部分回路 ご との潜在性 を巧妙 に利用で きる。本論文では、回路分離技法 と論理 シミュ レーションで用い られるセ レクティブ・ トレース方式 を結合することにより、活性 な部分回路のみを階層的に選択 して解析する アルゴリズムを実現 している。各部分回路の活性度 に応 じて解析ポイン トを選出することは波形緩和 法等で用いられるマルチ レー ト数値積分の考え方に相当するため、本アルゴリズムは直接法・波形緩 和法混合モー ド解析 と言える。最終的に、本アルゴリズムを実装 した回路 シミュレータ

sP…

が作成 さ れ、幾つかの回路 に対する過渡解析の結果からその有効性が示される。

‑191‑

(4)

論 文 審 査 結 果 の 要 旨

近年のVLSI技術の進歩 にともない、大規模デイジタル回路の解析 を高速にも、それ も、アナログ的 な挙動 をも考慮 した詳細 レベルの解析 により高精度で行 うことに対する要求が高 まっている。

本論文では、速度 と精度の両者を満足する効果的な次世代 回路 シミュレーション技術 として、回路 の階層分割及び動的分割 に基づ く直接法・緩和法混合モー ド解析アルゴリズムを提案 している。

1章で本研究の背景、目的を述べた後、第2章で回路の幾何学的な階層分割の有効性 を示 している。

階層分割の適用 は、階層設計 されている大規模回路の回路構造 を考慮 した解析 を可能にする。 ここで は、階層分割 システムの作成が行われ、階層分割が従来のスパース処理に基づ く行列計算の効率化 に 匹敵する能力 を有することが検証 される。第3章では階層分割 にともなう階層的潜在性の有効性 を示 し ている。一般 に、大規模回路の潜在性は高 く、不活性(潜在的)な部分回路 に対する計算 を省略するこ とにより解析が大 きく高速化 されることが知 られている。潜在性 を階層的に考 え潜在回路の規模 に応 じて潜在性 をどん欲 に活用することにより、非常 に効率的な解析が行われる。 ここでは、特に、階層 的な反復域潜在性の活用効果が検討 される。第4章では動的 回路分離"の適用について述べている。回 路の分割 とは、部分回路間の相互結合の弱い節点間での分割 を意味する。分離 された部分回路 は全 く 独立 に直接法 により解析することが可能である。本手法によ り、結合強度に応 じて動的に直接法・緩 和法 を選択する混合モー ド解析が実現 される。ここで、分離 された部分回路間の相互影響はほとん ど な く、従って、部分回路間の緩和操作は必要ない。つまり、本混合モー ド解析は直接法がベースとなっ てお り、強結合回路の解析にも適する。更に、第5章では、回路分離手法 と論理解析で用いられている セ レクテイブ・ トレース方式の解析 を結合することにより、活性 な部分回路のみを動的かつ階層的に 選択 して処理する解析法 を提案 している。本手法は直接法ベースの解析における階層的な時間域潜在 性の活用技術 を包含 している。この結果、各部分回路の活性度 に応 じて解析ポイン トが選出され、マ ルチ レー ト性 を活用 した解析が可能 となる。本論文で示されたアルゴリズムを実装 した回路 シミュレー タ

SPLFが

作成 され、幾つかの解析結果か らその有効性が示 される。最後に、第6章 で本論文の総括が 述べ られている。

以上の成果は回路 シミュレーション分野 を中心 とし、工学的分野において価値 を持ち、博士の学位 (工)を与えるにふ さわ しいと認定する。

参照

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