92
BM, tonofilamentを認めた. Microvilliにはcoating materialを認めた,
これらの所見はepithelial cystの所見でしかもres− piratory epithelial cystの性格を有するものと考え る. 8.Belli皿i管腫瘍の1例 (腎センター・泌尿器科) 伊藤 文夫・鬼塚 史朗・柳沢 博・ 龍谷 修・中村倫之助・中沢 速和・ 東間 紘・太田 和夫 (目的)極めて稀なBenini管由来と考えられる腎腫 瘍の1例を経験したので報告する. (症例)63歳男性.慢性腎不全があり,5年前から 血液透析を続けている.本年5月,突然血尿が出現し, 当センターを受診した.尿細胞診でclass V.また逆行 性感孟造影,CT等の画像診断で右腎腎虚腫瘍が疑わ れ,6月13日右腎・尿管全摘術が行われた.摘出腎は, 大きさ7.5×3.5×3。Ocmで,特に皮質が萎縮し,上記 髄質に径1cm,割面暗黄色,充実性腫瘤を認めた.光顕 上は,clear cel!に比べN/C比の大きい円柱状上皮に よる,乳頭状および管腔状構築が認められた.更にレ クチンおよびモノクロナル抗体を用いた特殊染色を 行ったところ,下部ネフロンに染色特異性を有す
PNA, SBA, DBA, EMAで陽性となり,遠位尿細管 に染色特異性を持つTHPでは陰性となった. これらの結果は,冷雨が遠位尿細管以後の下部ネフ ロン発生の腫瘍であることを示唆している. 9.長期間原発巣が不明であった転移性皮膚腫瘍の 1例 (皮膚科)森田 久美・豊田 裕之・ 川島 真・肥田野信 (第1病理)河上 牧夫 (消化器内科)雨森 明・ 田所 洋行・小幡 裕 70歳,男性,右下眼瞼に結節を生じたものの,1年 半にわたって無症候性に経過し,突然,腹水の貯留を 来し,諸検査より胆嚢癌の存在が明らかになり,先行 した結節がその皮膚転移と判断された. 組織像:HE染色では腫瘍細胞が真皮全層にわたり 膠原線維間にびまん性に,一部は結節状に認められ, 比較的大型で,弱好酸性の胞体を持ち,核は中型でク ロマチンに富み,一部に明瞭な核小体を持つものも認 められた.さらに,印環細胞様細胞,泡沫細胞様細胞, 好酸性の細顯粒を持つ細胞が混在していた.ズダソ染 色,S・100染色陰性, PAS染色, CEA染色陽性,電顕 では胞体内に種々の電子密度の粘液穎粒と思われる多 数の穎粒を有し,微絨毛を細胞膜表面に有する細胞と, 少数の面面しか有さず絨毛の発達も悪い細胞が混在し ていた. 10.卵巣悪性中胚葉性混合性腫瘍3例の臨床病理的 検討 (産婦人科)島 由美子・ 滝沢 憲・古市 郁子・佐藤美枝子・ 井口登美子・武田 佳彦 (病院病理)平山 章 卵巣に発生する中胚葉性混合性腫瘍は極めて稀な疾 患であるが,当科では過去5年間に2例を経験し,新 たに1例を経験したのでこの3例の臨床像および病理 組織をまとめて発表する. 3症例はいずれもその臨床像が類似し発症が60歳代 であり,主訴は巨大腫瘍による周囲臓器への圧迫症状 であった.リンパ節腫大は特徴的で,両側の水腎症と 水尿管が存在していたことより腫瘍は後腹膜を浸潤し ていったことが示唆される.Labo dataではLDH, CA125が高値を示し, CA19−9は正常であった.開腹 所見も共通して腫瘍が骨盤から腹腔内へ発育し,その 表面にはS状結腸,回腸が浸潤性に癒着していた.予 後は極めて不良でいずれも半年内に死亡した. 病理組織では前回の2例は上皮性については未分化 腺癌と類内膜癌で,非上皮性については未分化肉腫で homologusなMMTであったが,今回の症例は,非上 皮性組織に軟骨肉腫などを含むのでheterologusな
MMTと診断した.
11.動物の自然発生腫瘍 1.イヌの悪性黒色腫の 1剖検例について (実験動物中央施設)金井 孝夫・小山 生子 (ダクタリ動物病院文京病院)伊藤 弘一 (第2病理)西川 俊郎・笠島 武 イヌのメラノーマの1回忌例を報告する.症例は, 年齢11歳,♂のヨークシャチリア.昭和61年6月初診, 左肩部に径1cmの黒色腫瘤, X線像で心基部,肺に結 節陰影あり,悪性黒色腫とその肺転移の疑いで入院, 経過観察した.その後,肺炎,左側運動神経症状が発 現,入院後31日で死亡.死後!2時間で剖検を実施した. 腫瘍は,皮膚のほか内臓諸臓器に広汎に転移を認めた. 原発部皮膚腫瘍は,dermisから皮下にかけ結節状で増 殖し,腫瘍は胞巣構造をとり,うすい結合織に囲まれ, 周囲に浸潤性増殖を示し,中心部は壊死性であった. 310一93 腫瘍細胞は,不規則な形で短い胞体突起を有し,種々 の程度にメラニン色素を有していた.免疫組織学的に は,一部の細胞でS100蛋白陽性,ケラチン陰性であっ た.ヒトのメラノーマと同様に腫瘍悪性度が高く,病 理学的にヒトに近似した特徴を示したイヌの悪性黒色 腫であった.
12.Human T−1ymphotrophic virus type I
(HTV正・1)associated myelopathy(HAM)の1剖検 例 (脳神経センター神経内科)佐々木彰一・ 小森 隆司・小林 逸郎・ 竹宮 敏子・丸山 勝一 (第1病理)武石 訥
Human T−lymphotrophic virus type I(HTLV−1)
associated myelopathy(HAM)の1剖検例を報告す る.症例は61歳男性,1960年1月十二指腸潰瘍で手術 し,その際輸血をうけた。同年12月両下肢のweakness に気づいた.1972年つま先歩行になり,転倒すること が多くなった.1986年9月両下肢のしびれ感および癖 痛が出現した.以後,歩行障害は緩徐に進行した.1988 年7月18日当科に入院.神経学的に両下肢は1茎性麻痺 で中等度筋萎縮を認めた.筋トーヌスは両下肢で著明 に充進し,病的反射(+).Th10以下の感覚過敏および 軽度小脳症状を認めた.血清髄液中でATLA抗体が 陽性.神経病理学的所見:脳重量は1,220g.肉眼的に は両側基底核に小梗塞巣がみられた.脊髄は全体的に atrophicで特に胸髄レベルで著明であった.光顕的に は主病変は第1頚髄から第3仙髄の脊髄側索路にみら れ,特に胸髄下部で著明であった.病変部では,脱髄, 軸索の消失,ピアリソ化した多数の細小血管およびグ リオージスが認められた. 一311一