血液悪性腫瘍における治療と外来診療
血液悪性腫瘍における治療と外来診療
1. 急性白血病
2. 慢性骨髄性白血病
2. 慢性骨髄性白血病
3. 悪性リンパ腫
4. 多発性骨髄腫
4. 多発性骨髄腫
*血液がん治療の特徴:
血液がん治療の特徴:
抗がん剤治療が中心
九州ガンセンター血液内科:安部康信抗がん剤治療の目標
(
標準治療が可能な場合)
治癒
1. 治癒
2 病変を可能なかぎり縮小し 寛解期間
2. 病変を可能なかぎり縮小し、寛解期間
を延長する
1を目指すか2を目指すかは 悪性腫瘍の
1を目指すか2を目指すかは、悪性腫瘍の
種類によって異なります。
種類
異なり す。
抗がん剤のみで、治癒を目指せる腫瘍は、
白血病や悪性リ パ腫などの
部のみ
白血病や悪性リンパ腫などの一部のみ。
抗癌剤の選択
1.
多剤併用療法が基本:
単剤では有効率低く、耐性が出現しやすい。
2.
多くの腫瘍で標準療法が存在する。
例えば、悪性リンパ腫:R-CHOP療法
急性骨髄性白血病:AraC / IDA療法など
但し今後新しい抗癌剤にとってかわられる可能性もあるー常にupdateな知識が必要とされる。
白血病
白血病
白血病の種類
白血病の種類
急性
病
• 急性白血病
骨髄性
骨髄性
リンパ性
リ
性
• 慢性白血病
骨髄性
リンパ性
リンパ性
*病態を理解するためには造血に関する知識が必要
*病態を理解するためには造血に関する知識が必要
骨髄
血液をつくる工場
造血とは
骨髄:血液をつくる工場
<血液の
3大成分>
<血液の
3大成分>
白血球: 細菌から体を守る 細菌から体を守る 赤血球: 赤 球 酸素を運搬する 血小板: 出血を止める 造血のモトとなる造血幹細胞 は骨髄中に存在。 造血のモトとなる造血幹細胞 は骨髄中に存在。 造血幹細胞から白血球、赤血球、血小板がつくられる。正常
常
急性白血病
急性白
病
白血病細胞が骨髄を占拠するため、貧血、 血小板減少、成熟白血球の低下をきたす。 *未熟な細胞が成熟していき、白血球としてしっかり働く急性
成熟できなくなった未熟な細胞が増殖。
急性白血病の治療理念
多くの腫瘍量
-total cell kill
therapy-白血病細胞 抗癌剤 輸血 抗癌剤 抗癌剤 輸血 抗生物質
寛解導入療法
地固め療法
寛解導入療法
地固め療法
大部分の急性骨髄性白血病は、寛解導入療法+地固め療法療法3コースで終了。地固め以降の維持療法は種類に終了 地固め 降 維持療法は種類 よって施行する場合あり。寛解導入療法:
induction therapy
py
急性骨髄性白血病 day 1 2 3 4 5 6 7 A IDA 12 / 2 di ● ● ● day 1 2 3 4 5 6 7 A IDA 12 / 2 di ● ● ● A IDA 12mg/m2 div ● ● ● Ara-C 100mg/m2 civ. ● ● ● ● ● ● ● A IDA 12mg/m2 div ● ● ● Ara-C 100mg/mgg 2 civ. ●●● ●●● ● ● ● ● ●● ● ● ● ●● ● ● ● ● B DNR 90mg/m2 div ● ● ● B DNR 90mg/m2 div ● ● ● Ara-C 100mg/m2 civ. ● ● ● ● ● ● ● Ara-C 100mg/m2 civ. ● ● ● ● ● ● ● CR率は60-70%。このAraC+アントラサイクリンを骨子 とするレジメンは過去25年間ほとんど変化なし。急性骨髄性白血病の予後因子
①
①
染色体
が寛解率や
OSを予測するのに最も重要。
②
5-y OS: good intermediate poor 各々55% 24% 5%
②
5-y OS: good, intermediate, poor 各々55%, 24%, 5%
再再 発 移植 移植
急性前骨髄球性白血病
急性前骨髄球性白血病
急性白血病の特殊型
急性白血病の特殊型
分化誘導療法
成熟をやめて増殖ばかりする細胞を 再
成熟をやめて増殖ばかりする細胞を、再
び成熟させ、増殖機能を失わせる治療法
び成熟させ、増殖機能を失わせる治療法
急性前骨髄球性白血病
(急性骨髄性白血病の5-8%をしめる)
17番染色体のRAR(ビタミンAの受容体遺伝子)が
17番染色体のRAR(ビタミンAの受容体遺伝子)が
15番染色体のPMLと結合することにより、
ビタミンAの働きが十分できなくなる
ビタミンAの働きが十分できなくなる。
急性前骨髄性白血病 急性前骨髄性白血病 ここから分化成熟するにはビタミンAが必要。 その働きがうまくいかないと 成熟をやめ その働きがうまくいかないと、成熟をやめ ガン化増殖をはじめる。
分化誘導療法
大量のレチノイン酸 大量のレチノイン酸 (活性化ビタミンA)分化誘導による形態変化
分化誘導による形態変化
レレ
チ
ノノ
イ
ン
診断時 診断時((未熟未熟)) 治療中治療中 成熟成熟ン
酸
診断時 診断時((未熟未熟)) 治療中治療中((成熟成熟))ビタミン
A+抗がん剤
寛解率:
92%
年無病生存率
3年無病生存率:92%
維持療法
急性骨髄性白血病では一般的には施行されないが、急性前骨髄 球性白血病では維持療法(地固め療法ののちに、さらに寛解維 持を目指して施行する治療 内服治療が中心)が施行されること 持を目指して施行する治療。内服治療が中心)が施行されること が多い。 下記のビタミンA製剤①あるいは②を3か月に2週間、約2年投与 する(間歇投与が中心) ① ド 寛 初 ①ベサノイド:寛解導入療法など、初回から使用。 ②アムノレイク:ベサノイドに比べ強力な分化誘導能 皮膚に分布するレチノイン酸受容体γに親和性がないことから 皮膚に分布するレチノイン酸受容体γに親和性がないことから 皮膚障害等の副作用がベサノイドに比べて軽いことが想定。 併用禁忌:ビタミンA製剤(チョコラA)を投与中の患者 *副作用:口や唇の乾燥、肌荒れ、発熱、頭痛、中性脂肪の上 昇、肝機能値の異常など慢性骨髄性白血病
慢性骨髄性白血病
分子標的治療
による 慢性白血病特異
分子標的治療
による、慢性白血病特異
的蛋白質の阻害
内服薬中心の治療:外来が主
内服薬中心の治療:外来が主
慢性白血病
成熟するが、各成熟段階の細胞がどんどん増加
急性白血病
正常
慢性白血病
慢性白血病
フィラデルフィア染色体
フィラデルフィア染色体
フィラデルフィア染色体と
BCR-ABL
ABL
慢性白血病 番染色体の 部と 番染色体の 部が 相互に入れ替わる 9番染色体の一部と22番染色体の一部が、相互に入れ替わる ことにより、本来はとおく離れている22番染色体上のBCRという 遺伝子と9番染色体のABL蛋白が融合して全く新しい蛋白質を 遺伝子と9番染色体のABL蛋白が融合して全く新しい蛋白質を つくり、この蛋白が細胞のつよい増殖に関与する。慢性骨髄性白血病の経過
移行期 慢性期 急性期 平均3-5年で必ず急性白血病に移行。 急性白血病に移行すると治療抵抗性。 ハイドレア インターフェロン インタ フェロン 悪性細胞(異常遺伝子をもつ細胞) 悪性細胞(異常遺伝子をもつ細胞) 正常細胞グリベック:慢性白血病特異的な 蛋白である、BCR/ABL蛋白の重 要な部分に、はまりこむように設 計されており、そのため蛋白が機 能できなくなり 悪性細胞を死滅 能できなくなり、悪性細胞を死滅 させる。
2000年代:グリベックの登場
悪性細胞(異常遺伝子をもつ細胞) 悪性細胞(異常遺伝子をもつ細胞) 正常細胞ほぼ
100%
1%以下
骨髄中の異常細胞の割合
ほぼ
100%
1%以下
化学療法 (ハイドレア) IFN グリベック 血液学的完全寛解: 血算(CHR complete hematological response)
( ) IFN グリベック 血球数の正常化
細胞遺伝学的効果: 染色体
PCR(partial cytogenetic response): Ph染色体陽性率1 35% の減少 Ph染色体陽性率1-35%への減少 CCR(complete cytogenetic response):
Ph染色体の完全消失 Ph染色体の完全消失
*MCR (major cytogenetic response):CCR+PCR
分子遺伝学的効果:遺伝子 PCR MMR(major molecular response)
>3 l d ti (0 1%) f BCR ABL RNA >3-log reduction (0.1%) of BCR-ABL mRNA *CMR: PCR法によるBCR-ABL mRNAの消失
グリベック開始後8年のデータ
初 使 す 約 患者 病気 初回から使用することにより約90%の患者さんは病気
の進行なく生活が可能
*MMR:major molecular response グリベックの治療目標 standard baselineからのbcr/abl mRNA量の3log(0.1%)減少。
* CMR: complete molecular response
分子遺伝学的完全寛解
bcr/abl mRNAの4.5log以上の低下 ,0.0032% or less bcr/abl mRNAの4.5log以上の低下 ,0.0032% or less 8年間のグリベック治療で約40%の患者が到達。
グリベックで更に悪性細胞が減少(0.0032%以下)した
患者での グリベ ク中止の可能性
患者での、グリベック中止の可能性
•観察期間は短いが観察期間は短いが、 約40%の患者さんで再 発を認めていない。 再発しない患者 Lancet Oncol. 2010:1029-35.早期の病気の進行を抑え、
MMR
により高率に到達するために
第2世代
TKI
Nilotinib(タシグナ):
高い阻害活性と選択性
(ABL)
Imatinibの抑制 PDGF>KIT>ABL Nilotinibの抑制 ABL>PDGF>KITDasatinib(スプリセル):
高い阻害活性とマルチ
ターゲット
ABL PDGF KITのみならずSRCやLYNも抑える。 ABL, PDGF, KITのみならずSRCやLYNも抑える。Targets of Imatinib, Nilotinib and Dasatinib
Imatinib Nilotinib Dasatinib
ABL ARG BCR-ABL ABL ARG BCR-ABL ABL ARG BCR-ABL ACVR2 BRAF EGFR/ERBB1 MAP3K2 MAP3K3 MAP3K4 KIT PDGFR DDR1 NQO2 KIT PDGFR DDR1 NQO2 KIT PDGFR SRC YES FYN EPHA2 EPHA3 EPHA4 EPHA5 EPHA8 MAP4K1 MAP4K5/KHS1 MAPK11/p38 beta MAPK14/p38 alpha MYT1 FYN LYN HCK LCK FGR BLK EPHA8 EPHB1 EPHB2 EPHB4 EPHB6 ERBB2 MYT1 NLK PTK6/Brk QIK QSK RAF1 BLK FRK CSK BTK TEC ERBB2 ERBB4 FAK GAK GCK / RAF1 RET RIPK2 SLK STK36/ULK BMX TXK DDR1 DDR2 ACK HH498/TNNI3K ILK LIMK1 LIMK2 MAP2K5 SYK TAO3 TESK2 TYK2 ZAK ACTR2B MAP3K1
Hantsschel O et al. Leuk & Lymph 49: 615, 2008
1st
lineとしての2nd TKI (1)
N Engl J Med 2010;362:2251-9. Nilotinib (タシグナ) vs Imatinib(グリベック) 新規患者のMMR到達率を検証1st
lineとしての2nd TKI (2)
N Engl J Med 2010;362:2260-70. Dasatinib (スプリセル) vs Imatinib (グリベック) Dasatinib (スプリセル) vs Imatinib (グリ ック) 新規患者のMMR到達率を検証スプリセル
(Dasatinib)
1. 食事の影響は受けないが、毎日一定の時間にきちんと服用(1日1回)。 2. CYP3A4で主に代謝 • CYP3A4阻害剤(イトリコナゾール、フルコナゾール、エリスロマイシン、グレープ フルーツジュース)⇒併用時は代謝阻害によるdasatinibの血中濃度上昇、有害 事象の発現に注意。 • CYP3A4誘導剤(デカドロン、リファンピシン、フェノバルビタール) 3. セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品) ⇒併用時はdasatinib の血中濃度低下 治療効果減弱の可能性あり 原則併用しない の血中濃度低下、治療効果減弱の可能性あり、原則併用しない。 4. 胃内pH上昇によりdasatinibの吸収が低下する。 • 制酸剤(水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなど):dasatinib服用前後2時制酸剤(水酸化アルミ ウム、水酸化マグネシウムなど):dasatinib服用前後2時 間は服用しない。服用時間をずらす。 • H2拮抗剤、PPI⇒基本的に併用は避ける。持続的な酸分泌抑制により吸収が 抑制される可能性あり 抑制される可能性あり。 5. QT間隔延長:抗不整脈剤との併用でQT延長作用増強の可能性あり。 6. 胸水貯留といった特有の副作用が発現することあり、咳などの呼吸器症状に注 6. 胸水貯留といった特有の副作用が発現することあり、咳などの呼吸器症状に注 意が必要。タシグナ
(Nilotinib)
1. 服用:食事の影響うける。食事の後に服用する場合:食後2時間以降に服用。 また、服用後1時間は食事が摂れない。食事の前に服用する場合:食事の1時 間以上前に服用 服用 間隔は 時間毎を目安に空ける 間以上前に服用。服用の間隔は、12時間毎を目安に空ける。 2. QT延長に注意が必要:電解質異常(低カリウム/低マグネシウム)が、ある場合 は補正が必要。 外来時の患者指導①下痢や嘔吐があった時は、来院して心 は補正が必要。 外来時の患者指導①下痢や嘔吐があった時は、来院して心 電図検査うけること。血清カリウムが低下し、QT間隔が延長することあり。②新 たに薬を服用する時は主治医に連絡すること。併用でQT間隔が延長すること あり あり。 3. 本剤は主にCYP3A4および一部CYP2CAで代謝される。慢性骨髄性白血病治癒のために
• グリベックより深く悪性細胞数を減少させ、かつ
速やかに達成できる 第2世代の薬剤である
速やかに達成できる、第2世代の薬剤である
スプリセルやタシグナが2011年より初回から使用
能とな た
可能となった
急性白血病へ移行する予後4-5年の病気 急性白血病へ移行する予後4-5年の病気 薬を飲んでいれば安定する慢性疾患 薬の中止可能な治癒する病気? (但し臨床試験による検証が必要)急性リンパ性白血病
Acute lymphoblastic
leukemia
(ALL)
22成人
ALLは小児に比べて予後が悪い。
フィラデルフィア染色体陽性
ALLは成人ALLの
フィラデルフィア染色体陽性
ALLは成人ALLの
約
25%を占める
グリベックにより予後は改善したが、
依然とし
再発が問題
依然として再発が問題
・
スプリセル等の新規薬剤への期待
維持療法
急性リンパ性白血病(ALL)では維持療法が、寛解導入後から約2年 施行されることが多い 施行されることが多い。 ①フィラデルフィア染色体陽性ALLでは、グリベックあるいはス プリセルが使用される(タシグナは保険適応外) プリセルが使用される(タシグナは保険適応外) ②フィラデルフィア染色体陰性ALLでは、内服薬として6-MPや MTXプレドニンが使用される(使用法はプロトコールで異なる) 高 酸 症治 薬 *6MP:高尿酸血症治療薬との相互作用に注意! フェブキソスタット(フェブリク)は、本剤の代謝酵素であるキ サンチンオキシダ ゼの阻害作用を有するため 併用により本剤 サンチンオキシダーゼの阻害作用を有するため、併用により本剤 (ロイケリン)の血中濃度が上昇し、骨髄抑制等の副作用を増強 する可能性があることから「禁忌」、アロプリノールは「注意」 する可能性があることから 禁忌」、ア プリノ ルは 注意」 だが、6MP量を1/3-1/4に減じる必要あり。白血病では腫瘍崩壊に 伴う高尿酸血症予防のため、フェブリクなどが投与されているこ とが多く注意が必 使 頻度少な が注意が必 とが多く注意が必要。6MP使用頻度少ないが注意が必要!公知申請による効能追加
公知申請による効能追加
[製品名] ハイドレアカプセル500㎎ [製 ] ㎎ [効能・効果]慢性骨髄性白血病,本態性血小板血症,真性多血症 [用法・用量] 通常成人1日500 2 000 を1 3回に分けて経 投与する 通常成人1日500㎎~2,000㎎を1~3回に分けて経口投与する。 副作用は、頻度は稀ながら特異なものとして、皮膚潰瘍(下肢に 好発する)の報告があります 皮膚のただれや発赤等認めた場合 好発する)の報告があります。皮膚のただれや発赤等認めた場合 は、速やかに連絡してください。 添付文書には2次性の白血病に注意との記載があります。但し、 治療経過中に白血病を発症する頻度は高くないことと、真性多 血症や本態性血小板血症の数%は自然経過でも白血病に移行する ため 本当に イドレアが2次性白血病をひきおこすかどうかに ため、本当にハイドレアが2次性白血病をひきおこすかどうかに 関しては賛否両論あり、結論はでていません。悪性
パ腫
悪性リンパ腫=
リンパ節のがん
ほかの臓器のがん
(たとえば大腸がんや肺がんなど)の治
療同様、多剤併用抗がん剤治療を
3-4週ごとに繰り返す。
療同様、多剤併用抗
剤治療を
週
繰り返す。
悪性リンパ腫と他の固形がんとの違い
悪性 パ腫 固形がん 悪性リンパ腫 • 抗がん剤治療の位置づけ: 初回から使用 多くのリン 固形がん • 抗がん剤治療の位置づけ: 手術前後 あるいは手術不 初回から使用。多くのリン パ腫では、抗がん剤治療で 治癒を目指す。 手術前後、あるいは手術不 能の進行例に使用。抗が ん剤のみでは治癒しない。 治癒を目指す。 • リンパ節以外にも生じる ん剤のみでは治癒しない。 • 原発臓器以外に生じた場 • リンパ節以外にも生じる。 • 組織型が複雑(聞きなれな 原発臓器以外に生じた場 合は転移。 • 組織型:たとえば肺がんで • 組織型が複雑(聞きなれな い?) 組織型 たとえば肺がんで は、扁平上皮がん、腺癌、 小細胞がん、大細胞がん など など悪性リンパ腫の組織分類
悪性リン
腫の組織分類
悪性リンパ腫
悪性リンパ腫
Malignant lymphoma[ML]ホジキンリンパ腫
非ホジキンリンパ腫
Hodgkin’s Lymphoma[HL] Non-Hodgkin lymphoma[NHL]
B細胞性リンパ腫 T細胞性リンパ腫 その他のリンパ腫
B細胞性リンパ腫 T細胞性リンパ腫 その他のリンパ腫
CHOP療法:非ホジキンリンパ腫の標準治療
CHOP療法:非ホジキンリンパ腫の標準治療
シクロフォスファミド
750mg/m
21日目
ドキソルビシン
50
/
21日目
ドキソルビシン
50mg/m
21日目
ビンクリスチン
1.4mg/m
21日目
プレドニゾロン
100mg/m
21-5日
ABVD療法:ホジキンリンパ腫の標準治療
ドキソルビシン
25mg/m
21日目 15日目
ドキソルビシン
25mg/m
1日目 15日目
ブレオマイシン
10mg/m
21日目 15日目
ビンブラスチン
6
/
21日目 15日目
ビンブラスチン
6mg/m
21日目 15日目
ダカルバジン
375mg/m
21日目 15日目
*外来での点滴治療が基本。
抗がん剤治療の繰り返しで病変の縮小、消失目指す。
悪性リンパ腫の組織分類
悪性リン
腫の組織分類
悪性リンパ腫
悪性リンパ腫
Malignant lymphoma[ML]ホジキンリンパ腫
非ホジキンリンパ腫
Hodgkin’s Lymphoma[HL] Non-Hodgkin lymphoma[NHL]
B細胞性リンパ腫 T細胞性リンパ腫 その他のリンパ腫
B細胞性リンパ腫 T細胞性リンパ腫 その他のリンパ腫
*全体の80%前後を占める最 も多いリンパ腫 も多いリンパ腫。B細胞リンパ腫:
CD20抗原の染色
ほとんどのB細胞性リンパ腫ではCD20抗原が発現して おり かも 細胞 外 細胞 は発現 な た おり、しかもB細胞以外の細胞には発現していないた め、抗がん剤のターゲットとして最適リツキシマブ
(リツキサン)
リツキシマブ
(リツキサン)
CD20抗原を認識するヒト
ウ キメラ抗体
マウスキメラ抗体
マウス由来:ヒトの CD20抗原を認識 CD20抗原を認識 ヒト由来: ヒト抗体に近 ヒト由来: ヒト抗体に近 づけることにより、モノ クローナル抗体に対する 抗体をできにくくし、反 復投与を可能にするC1q結合
CDC
(complement-dependent cytotoxicity) リツキシマブの作用機序ADCC
(antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity)
C1q結合 補体活性化 cytotoxicity) MAC FcγRⅢa 細胞傷害 細胞傷害 CD20抗原 エフェクター細胞 (NK細胞、マクロファージなど) CD20抗原 直接あるいは自分の免疫細胞 (NK細胞等)や補体システムを 介してCD20抗原を発現するB
直接的細胞傷害
細胞を攻撃。R CHOP療法:
R-CHOP療法:
びまん性大細胞型
B細胞性リンパ腫の標準治療
リツキシマブ
375mg/m
21日目
シクロフォスファミド
750mg/m
22日目
ドキソルビシン
50mg/m
22日目
ビ
ビンクリスチン
1.4mg/m
22日目
プレドニゾロン
100mg/m
22-6日
*
3週間ごとに6-8回繰り返す
プレドニゾロンは内服だが 他は注射
プレドニゾロンは内服だが、他は注射
九州リンパ腫研究会での、
1057例の解析
(Int J Hematol. 2010;91:258-66) (Int J Hematol. 2010;91:258 66) リツキサン(Rituximab)を、抗がん剤と併用することで、 治療成績は改善! ① グラ セト ンバ グを点滴します 化学療法を受けられる患者様へ 1 2 3 4 5 6 リツキサン 点滴 ● オンコビン 点滴 ● アドリアシン 点滴 ● 2日目~ CHOP(チョップ)療法 吐き気を抑えます ② オンコビンを数分で点滴します (抗がん剤) ① グラニセトロンバッグを点滴します アドリアシン 点滴 ● エンドキサン 点滴 ● プレドニン 内服 ● ● ● ● ● 1日目 リツキサン ①過敏症状(アレルギー様の症状)の予防 ●ロキソニン錠 1錠 ●ポララミン錠 1錠 ④ アドリアシンを数分で点滴します (抗が 剤) ③ 生理食塩液を数分で点滴します 10:30頃 ※眠気を催すことがあります。外来時に持参 (抗がん剤) ⑤ 生理食塩液を数分で点滴します ⑥ エンドキサンを2時間で点滴します ②リツキサンを点滴します (抗がん剤) 11:00頃~ 【点滴中 ~ 点滴後24時間の注意】 ⑥ エンドキサンを2時間で点滴します (抗がん剤) ⑦ 生理食塩液を数分で点滴します 4~8時間(またはそれ以上)点滴します。 点滴速度はゆっくり開始し、副作用がない ことを確認して点滴速度を上げます。 (抗がん剤) 【点滴中 ~ 点滴後24時間の注意】 リツキサンの過敏症状 (アレルギーの様な症状)が知られています 【主な症状】 発熱、悪寒(震え)、頭痛、痒み・発疹、ほ ⑧ メチコバールを注射します ⑦ 生理食塩液を数分で点滴します しびれを予防軽減します 発熱、悪寒(震え)、頭痛、痒み 発疹、ほ てり、 むくみ、咳・呼吸困難、血圧の変化、 頻脈など。 ⇒ 気になる症状はすぐに医療スタッフへお 知らせ下さい。症状に応じて対処します。 プレドニン錠(ステロイドホルモン剤) 2日目~6日目に内服 リツキサンによる症状は、1回目に特に注意を要します。 2回目以降は、症状の頻度・程度ともに軽くなります プレドニン錠(ステロイドホルモン剤) 1日 2回 朝食後 錠・昼食後 錠 5日間内服主な副作用と対策 ● 白血球減少(白血球:細菌やウィルスから体を守る役割) ● ムカムカする・吐く・食欲がなくなる 点滴して約1週間後頃から一時的に白血球(好中球)が減少 し、抵抗力が弱くなります。感染や口内炎を予防するために、 手洗い、うがい(1日5回以上を目安)をして清潔に努めま 吐き気予防の点滴と内服をします。 それでも吐き気が出たときは、他のお薬もあります ので我慢せずお知らせ下さい。 しょう。必要に応じて白血球(好中球)を増やす注射や抗菌 薬を使用することがあります。 治 治 治 治 ● 便秘(~腸管麻痺) 下剤(マグラックス、センノサイドなど)で早めに お通じを調節しましょう。 水分をし かりと摂ることも大切です 治 療 治 療 白血 球数 治 療 治 療 治療のお休み期間 7~10日 ● しびれ メコバラミン(ビタミンB12)で予防・軽減します。 水分をしっかりと摂ることも大切です。 減少までの期間 回復への期間 7~10日 減少している期間 減少している期間 ● 出血性膀胱炎 予防のため点滴当日は水分を多くとり、尿をしっかり 出しましょう。 減少している期間 減少している期間 ● ヘモグロビン減少(貧血)、血小板減少(出血しやすくなる) ● プレドニン錠による副作用 胃部不快感、食欲、気分変調、寝つきが悪くなる、血圧・ 血糖値の変化、免疫力の低下、しゃっくりなど 必要に応じて輸血をします。 血糖値の変化、免疫力の低下、しゃっくりなど プレドニン錠を5日間内服終了後、一時的に(1~2日程 度)体のだるさ、食欲低下、まれに発熱などが現れること があります。 その他 脱毛、口内炎、下痢、腎障害、肝障害、 だるさ、 心毒性など 九州がんセンター
T細胞性リンパ腫
T細胞性リンパ腫
特に九州に多い成人T細胞性リンパ腫
(
) 対する
国産
抗体療法
が期待され
(ATL)に対する
国産の抗体療法
が期待され
ている。
ている。
モガムリズマブ(ポテリジオ): 抗CCR4抗体 ケ カイ セプタ を標的とした ト化抗体 CCケモカインレセプター4(CCR4)を標的としたヒト化抗体。 CCR4は成人T細胞白血病リンパ腫瘍(ATL)の90%に陽性 (cells/μL) 治験例:再発患者 8000 10000 1.0mg/kg KW-0761血液学的完全寛解
6000 8000 好中球血液学的完全寛解
4000 好中球 投与後速やかに 血液中のATL細胞 0 2000 リンパ球 ATL細胞 血液中のATL細胞 が激減! 0 0 14 28 42 56 70 Time (days) 細胞悪性リンパ腫の内服抗がん剤療法
経口薬を含む標準治療はほとんどない。 下記のような抗がん剤が再発難治例に使用されることあり 下記のような抗がん剤が再発難治例に使用されることあり ①ソブゾキサン (ペラゾリン細粒 ) :トポイソメラーゼ阻害薬 悪性リンパ腫と成人T細胞白血病リンパ腫に適応あり。 悪性リン 腫 成人 細胞白 病リン 腫 適応あり。 九州がんセンターではラステットと併用し、下記処方でよく使用 ラステッと25mg+ペラゾリン400mg 隔日3-5日投与で28日ごと。 ② ダ ビ ②フルダラビン 静脈内投与製剤もある。 内服の適応は 再発または難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリン 内服の適応は、再発または難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリン パ腫、マントル細胞リンパ腫。通常40mg/m2(体表面積)を1日1回5日 間連日経口服用し、23日間休薬する。これを1クールとし、服用を繰り 間連日経 服用し、 日間休薬する。 れを ク ルとし、服用を繰り 返す。しばしばリツキサンと併用されるが、重篤な感染症に対して注意 が必要であり、感染症予防のためにスルファメトキサゾール・トリメトプ ム( )合剤と シク ビ 投与が推奨される( パ腫は免疫低 リム(ST)合剤とアシクロビルの投与が推奨される(リンパ腫は免疫低下 例が多い)。骨髄腫=形質細胞
(plasma cell)の悪性腫瘍
*形質細胞:免疫グロブリン(IgG, IgA, IgMなど)を産生するBリンパ球の一種。 *増殖の場所 形質細胞は造血の場である骨髄に存在。 形質細胞は造血の場である骨髄に存在。 骨髄で増殖することで、骨を脆くし、貧血をおこす。 アンバランスな免疫蛋白の 過剰産生(M蛋白)
骨髄腫治療の変遷(日本)
骨髄腫治療の変遷(日本)
年代 メ プ ド 療法 登場 そ • 1960年代:MP(メルファラン+プレドニン)療法の登場。その 後、約30年間、生存期間でMP療法を凌駕する治療法なし 1990年代 大量メルフ ラン+自家造血幹細胞移植の登場 • 1990年代:大量メルファラン+自家造血幹細胞移植の登場 • 2000年代:新規薬剤の承認、日本では 2006年 ボルテゾミブ(ベルケイド) 再発難治例に対して 2006年:ボルテゾミブ(ベルケイド) 再発難治例に対して 2008年:サリドマイド(サレド) 再発難治例に対して 年 レナリドミド(レブラミド) 再発難治例に対して 2010年:レナリドミド(レブラミド) 再発難治例に対して 2011年:ボルテゾミブ(ベルケイド) 初発例に対して 現在 初発例 使 能な新薬はベ ケイド 現在、初発例に使用可能な新薬はベルケイドのみ ベルケイド、サレド、レナリドミド これら新薬の登場により、予後は著明に改善。ルケイド、サレド、レナリドミド れら新薬の登場により、予後は著明に改善。新規骨髄腫患者の予後の変遷
(Mayo Clinic)
経口メルファラン(
y
)
経口メルファラン (1962) 自家移植 自家移植 (1996) 新規薬剤 (1999~) (1999 ) 2000年以降で生存率の改善が顕著であり、自家移植が可能 Blood 2008;111:2516 な65歳以下の年齢で目立つ(中央値60ヶ月vs33ヶ月)、高齢 者では32ヶ月vs26ヶ月初期からの新規薬剤導入により完全寛解率が上昇
z 移植非適応患者での初期治療.(NEJM.2008.359:906-917) VISTA study プ 新:ベルケイド+メルファラン+プレドニン(VMP) 旧:メルファラン+プレドニン(MP) VMP:CR=30% ORR=71% VMP:CR=30% ORR=71% MP:CR=4% ORR=35% VISTA生存曲線
新薬に関する留意点:
ボルテゾミブ(ベルケイド)
z 骨髄腫に有効な新薬(プロテアソーム阻害) z 骨髄腫に有効な新薬(プロテアソーム阻害) 2011年から初発患者でも使用可能。 MPあるいは、エンドキサン+デカドロンに併用されることあ 、 併 あり(VMP, VCD療法) 骨髄腫では大量のM蛋白が産生され、その制御のためプロテアソーム活性が亢進 骨髄腫では大量のM蛋白が産生され、その制御のためプロテアソ ム活性が亢進ベルケイド副作用
ベルケイド副作用
z 副作用として末梢神経障害がある。 (1) 高齢の方で発現しやすいため、通常は週2回だが、高齢者で は週1回投与などが検討される (2) 皮下投与が承認された (2) 皮下投与が承認された *日常生活に支障をきたす障害(グレード3以上) 週2回静注では15%前後 週2回静注では15%前後 週1回静注、週2回皮下注では7%前後 *難治例ではリリカ(末梢性神経障害性疼痛の効能効果あり)使 用も考える 帯状疱疹ウイルスの活性化おこしやすく アシク ビルの予防 z 帯状疱疹ウイルスの活性化おこしやすく、アシクロビルの予防 投与が認められている『原則として、「アシクロビル【内服薬】」 を「ボルテゾミブ使用時の管理」 「造血幹細胞移植時の管理」 を「ボルテゾミブ使用時の管理」、「造血幹細胞移植時の管理」 に対して処方した場合、当該使用事例を審査上認める』。新薬に関する留意点:
サリドマイド(サレド)
1 骨髄腫に有効な新薬(内服薬)
1. 骨髄腫に有効な新薬(内服薬)。
再発・難治例に有効。
高齢者において病初期からの使用が検討されている
高齢者において病初期からの使用が検討されている
(MP療法との併用など)。
自家移植後の地固め療法
自家移植後の地固め療法
(
VTD:ベルケイド、ステロイドと併用)
血球減少おこしにくい
血球減少おこしにくい。
2 副作用として眠気 末梢神経障害がある
2. 副作用として眠気、末梢神経障害がある。
強い催奇形性をもつことから、厳格な安全管理手順
が求められる(確実な避妊)
が求められる(確実な避妊)。
血栓症(足の腫れ等)にも注意が必要。
immunomodulatory derivatives
(IMIDs:免疫調整薬)
骨髄腫細胞 の直接的な増殖抑制作用 細胞死を誘導する • 骨髄腫細胞への直接的な増殖抑制作用:細胞死を誘導する • 免疫調節作用:免疫細胞に働きかけ、免疫を賦活させる • 血管新生阻害作用 • 血管新生阻害作用骨髄腫細胞そのものに働くばかりでなく、周囲の免疫細胞 (NK細胞 T細胞)を活性化し骨髄腫細胞を攻撃させたり 周 (NK細胞、T細胞)を活性化し骨髄腫細胞を攻撃させたり、周 囲の環境に作用して骨髄腫細胞が骨髄に住みにくくする。 奏効率: プラセボ群 20%、 レナリドミド群 60%(25%が完全寛解) 再発後は より早期にレナリドミド(+デカドロン)で治療した方 再発後は、より早期にレナリドミド(+デカドロン)で治療した方 が質の高い奏功、長期生存につながる