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Manipulation of cardiac phosphatidylinositol 3-kinase (PI3K)/Akt signaling by apoptosis regulator through modulating IAP expression (ARIA) regulates cardiomyocyte death during doxorubicin-induced cardiomyopathy.

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Academic year: 2021

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論 文 内 容 の 要 旨

論文提出者氏名 北村 洋平

論 文 題 目 Manipulation of Cardiac Phosphatidylinositol 3-Kinase (PI3K)/Akt Signaling by Apoptosis Regulator through Modulating IAP Expression (ARIA) Regulates Cardiomyocyte Death during Doxorubicin-induced Cardiomyopathy

論文内容の要旨

Phosphoinositide-3 kinase (PI3K)/ phosphatase and tensin homologue deleted on chromosome 10 (PTEN) 経路は心筋細胞において生物学的, 生理学的恒常性維持を調節し, 細胞死や心 筋肥大, 心筋収縮, 電気生理学, 代謝などに重要な役割を果たしている. PI3K は脂質キナー ゼ と し て , 膜 リ ン 脂 質 で あ る phosphatidylinositol-3,4,5-phophate[PtdIns(3,4,5)P3] を 介 し て 3’-phosphpoinositide-dependent kinase-1 (PDK1) 及び Akt を活性化する. Akt は PI3K によって 活性化される重要な分子で, 下流の GSK3β, mTOR, eNOS, Bad などをリン酸化する. 一方 PTEN は膜リン脂質フォスファターゼで PtdIns(3,4,5)P3 を PtdIns(4,5)P2 に脱リン酸化し, PI3K の内因性アンタゴニストとして機能している. PTEN は主に細胞質において存在する が, 基質リン脂質は細胞膜に結合する. PTEN は細胞膜において PI3K のアンタゴニストとし て機能するため, 細胞内における PTEN の細胞膜局在は PTEN が活性するのに重要である. ドキソルビシンはその臨床的有用性にも関わらず, 致死的心毒性のためその使用には限 界がある. ドキソルビシン誘導性の心筋障害は, フリーラジカル及び活性酸素を介してア ポトーシス経路が活性化し, 心筋細胞死が起こることで生じるとされている. PI3K/Akt 経路 は直接的, 間接的に Bcl-2 ファミリーの機能調節を行いアポトーシスから細胞を保護する. 更にドキソルビシンは PP1 フォスファターゼの発現を増加させることで Akt 活性を減弱さ せると報告もある. PI3K/Akt 経路を活性化させることで in vitro におけるドキソルビシン誘 導性の心筋細胞死を抑制でき, 成長因子調節性の PI3K/Akt 経路が in vivo におけるドキソル ビシン誘導性の心筋障害からの保護に非常に重要である.

我々は新規遺伝子 ARIA (apoptosis regulator through modulating IAP expression) を世界に先 駆けて発見し, ARIA が一回膜貫通型タンパクとして血管内皮及び内皮前駆細胞に高発現し, 血管新生を調節することを報告してきた. 今回, 新たに ARIA が心筋細胞にも多く発現して いることを見出し, さらに ARIA が PI3K/Akt 経路の調節を介してストレス誘発性の心筋細 胞死を制御していることを発見した. 今回, 新たに ARIA が心筋細胞にも多く発現していることを見出し, さらに ARIA が PI3K/Akt 経路の調節を介してストレス誘発性の心筋細胞死を制御していることを発見した. ARIA を H9C2 心筋細胞で恒常的に過剰発現させると PTEN の細胞膜局在が増加し, その結 果 PI3K/Akt シグナルが減弱した. 加えて, これら細胞では Akt の下流分子であり, 心筋細胞 死を正に制御する Bad の活性が有意に増強していた. その結果, ARIA を過剰発現させた H9C2 心筋細胞ではドキソルビシン刺激によるアポトーシスが有意に亢進しており , この ARIA 過剰発現によるアポトーシス亢進は Bad のノックダウンにより完全に消失した.

次に ARIA の心臓における機能を解析するため ARIA ノックアウトマウス(ARIA-KO マウ ス)を作製した. ARIA-KO マウスの心臓は Akt 及び Bad のリン酸化は有意な亢進が見られた が, 心重量や心筋細胞のサイズ, 心機能は野生型マウスと同等であった. しかしドキソルビ シン投与により心筋傷害を誘導したところ, 野生型マウスでは心収縮能が有意に低下し心 筋の菲薄化が見られたのに対して, ARIA-KO マウスでは心収縮能の低下がほぼ完全に抑制 され心筋の菲薄化も野生型マウスに対して有意に保たれていた. また, ARIA-KO マウスで は野生型マウスで見られた心筋細胞アポトーシスや心臓の線維化が有意に減弱していた.ド キソルビシン投与により野生型マウスの心臓では Akt 及び Bad のリン酸化が顕著に減弱し ていたのに対し, ARIA-KO マウスの心臓ではこれら分子のリン酸化が良く維持されていた. さらに ARIA 欠損による心保護効果が PI3K/Akt 経路の亢進を介していることを確認する ため, 心筋細胞特異的に dominant negative PI3K (p110α)を過剰発現させ, 心筋細胞中の PI3K 活性を低下させたマウスと ARIA-KO マウスを交配した ARIA ノックアウト/dominant negative PI3K ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク マ ウ ス (ARIA-KO/PI3K-Tg マ ウ ス ) を 作 製 し た . ARIA-KO/PI3K-Tg マウスは ARIA ノックアウトマウスで見られた Akt のリン酸化の亢進が 完全に消失しており, 心筋細胞アポトーシスや心臓の線維化, 心臓超音波検査における ARIA 欠損による心筋保護効果はほぼ完全に消失した.

ま た 心 筋 細 胞 特 異 的 に ARIA を 過 剰 発 現 さ せ た ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク マ ウ ス ( α MHC-ARIA-Tg マウス)を作製した. αMHC-ARIA-Tg マウスは野生型マウスと比べ心臓にお ける PTEN の細胞膜局在が増加しており, その結果として ARIA-KO マウスとは逆に野生型 マウスと比較してαMHC-ARIA-Tg マウスの心臓の Akt 及び Bad のリン酸化は有意に減弱し ていた. ドキソルビシン投与により, αMHC-ARIA-Tg マウスは野生型マウスよりも心収縮 能が有意に低下し心筋の菲薄化が見られた. また, αMHC-ARIA-Tg マウスでは心筋細胞ア ポトーシスや心臓の線維化が野生型マウスよりも有意に悪化した. 更にドキソルビシン誘 導性の Akt, Bad のリン酸化の減弱は野生型マウスの心臓よりもαMHC-ARIA-Tg マウスの 心臓で顕著に悪化が見られた. 一方血管内皮特異的に ARIA を過剰発現させたトランスジ ェニックマウスは下肢虚血モデルにおいて虚血誘導性の血管新生が野生型マウスと比較し て有意に減弱するのに対して, ドキソルビシンによる心筋傷害は野生型マウスと差を認め なかった. これら結果から, ARIA の欠損は心筋細胞の PI3K/Akt シグナルを増強することで 心筋細胞死・心筋傷害を抑制すると考えられた. 以上の結果より ARIA が PI3K/Akt 経路を介して心筋細胞死を調節する新規分子であるこ とを今回はじめて明らかとした。ARIA はストレス誘導性の心筋傷害に対する新たな薬物治 療の標的として有望である.

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