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学位論文題名Immune responses to Echinococcus 7nultilocularなinf・eCtionandimmunemodulationbytheparaSite inthedefinitivehosts

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博 士 ( 獣 医 学 ) 加 藤 尚 子

     学位論文題名

Immune responses to Echinococcus 7nultilocular な inf ・ eCtionandimmunemodulationbytheparaSite     inthedefinitivehosts

( 終宿主の 多包条虫 感染に対す る免疫応 答と免疫抑制)

学位論文内容の要旨

多包条虫Echinococcus mul tilocularisは北半球に広く分布し、人において重篤な疾 病を引きおこす。人への感染機会を減少させるために、駆虫薬入りのベイトの散布な どいくっかの試みがなされてきたが、終宿主に対するワクチン開発は重要な課題であ る。終宿主の多包条虫感染の免疫学的研究の大半は診断目的で、腸管の成虫感染に対 する免疫応答に関するものは限られている。

本研究は多包条虫成虫感染における宿主一寄生虫相互関係を明らかにすることを目 的とし、本来の終宿主であるイヌと代替終宿主モデルであるスナネズミを用いて、多 包条虫の感染に対する免疫応答を観察し、腸粘膜における多包条虫の定着・生存に重 要と考えられる寄生虫成分の免疫系への影響について調べ、また、糖鎖成分にっいて も解析した。

まず、第I章では基礎的な感染後の免疫応答を明らかにするために、2頭の犬を用い て 多 包 条 虫 感 染 後 の 液 性 お よ ぴ 細 胞 性 免 疫 応 答 を 経 時 的 に 観 察 し た 。 1.感染後、寄生虫に対する抗体産生が誘導され(血清IgGlは感染後10日目、IgG2は 感染後7日目から)、特に原頭節の排泄・分泌抗原に対する抗体応答が顕著であった ことから 、腸粘膜 における虫 体の免疫 原として の頭節の 重要性が示唆された。

2.コンカナバリンA (ConA)に対する末梢血単核球の増殖応答は感染後7日日に低下 し、一過性の免疫抑制が示唆された。

3.感染後21日までの観察期間を通し、末梢血単核球の原頭節抗原の刺激に対する細 胞増殖応答は認められなかったが、感染後21日目に脾細胞、腸間膜リンパ飾およぴ パイエル板細胞の細胞増殖応答を調ぺたところ、1頭の犬のパイエル板細胞において、

原頭節の排泄・分泌抗原に対する増殖応答が観察され、頭飾から排泄・分泌される物 質に対する腸管局所の細胞性免疫応答が示唆された。

4.しかし、原頭節抗原の添加によってConAに対する細胞増殖応答が全体的に抑制さ れ、特に原頭節の排泄・分泌抗原で抑制が顕著であったことから、局所の免疫応答の 抑制により、虫体の小腸における定着を促進するものと推測された。また、この原頭 飾排泄・分泌抗原の抑制効果は感染前・感染後のりンパ球の両方において観察された ことから、原頭飾排泄・分泌抗原は感染初期だけでなく、再感染時においても虫体の

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定着 ・生 存を 促進 する 役 割を 果た すこ とが 推察 され た。

第II章 で は、 終宿 主モ デル とし て のス ナネ ズミ の多 包条 虫に 対す る免 疫応 答に つい て調 べた 。齧 歯類 の代 替 終宿 主モ デル としてはステロイド処置されたスナ ネズミが用 いら れて いる が、 本実 験 では 免疫 応答 を観察するために、プレドニゾロン 未処置の動 物を 主に 用い て多 包条 虫 感染 に対 する 免疫 応答 を観 察し た。

1. プ レ ド ニゾ ロン 未処 置動 物で は感 染後3日以 内に ほと んど の虫 体が 体外 に排 出さ れ 、 原 頭 飾 に 対 す る 腸 管IgA抗 体 は 感 染 後7日 目 よ り 上 昇 が 認 め られ 、14日目 の検 査で は血 清IgG抗体 が検 出さ れた 。一 方、 プレ ドニ ゾ ロン 処置 動物では抗 体応答は認 めら ず、 虫体 が長 期間 残 存し た。

2.プ レド ニゾロン 未処置のスナネズミに原頭飾を経口投与した後、原頭節 抗原に対す る脾 細胞 、腸 問膜 リン パ 節お よぴ パイ エル板細胞の増殖応答を調べたとこ ろ、パイエ ル板 細胞 で顕 著な 増殖 応 答が 観察 され た。

3, 原 頭 節 虫体 抗原 によ る免 疫応 答の 抑制 効果 をマ イト ジェ ン(ConAお よぴLPS)に対 する りン パ球 増殖 応答 の 阻害 程度 によ り調べたところ、スナネズミにおい ても原頭節 抗原 によ るり ンパ 球増 殖 応答 の抑 制が 認め られ た。

さら に多 包条 虫抗 原の 宿主 免 疫応答の抑制効果を調べるために、未感染スナネズミの 脾細 胞に 原頭 節の 虫体 抗原 お よび排泄・分泌抗原、成虫の虫体抗原およぴ排泄・分泌 抗 原 を マ イ ト ジ ェ ン(ConAお よ ぴLPS)と 共 刺 激 し 、 増 殖 応 答 の 抑 制 を 観 察 し た 。 ほと んど の多 包条 虫抗 原が 脾 細胞 のConA応 答を 用量 依存 的に抑制したが、LPS応答の 抑制 は顕 著で なか った こと か ら、 多包 条虫 抗原 はB細胞 の 機能 より 、T細胞 また はマ クロ ファ ージ の機 能を 顕著 に 抑制することが示唆された。ConA応答の抑制効果は原頭 節排 泄・ 分泌 抗原 にお いて 顕 著で あっ た。

第III章で は、多包条虫抗原の糖鎖成分について検討した。

1.糖染色 によって多包条虫抗原は糖鎖成分を含有している.ことが明らかとなった。特 に原頭節排泄・分泌抗原の糖/蛋白比 が高い値を示した。

2.原頭飾 および成虫抗原(虫体抗原および排泄・分泌抗原を含む)の多包条虫感染犬の 血清 を用 いた イム ノ プロ ッテ ィン グによる 解析から、多包条虫に対する抗体の多くが 糖に対するものであることが示唆され た。

3.多包条 虫抗原の糖鎖成分を調べるためにレクチンプロットを行ったところ、すべての 多包条虫抗原において、〃型および〇型糖鎖の両方を混合していた。また、多包条虫の成 虫 が 〇 型 糖 鎖 を 含 有 ・ 分 泌 し て い る こ と を 初 め て 明 ら か に し た 。 これらの結果から、多包条虫が排泄・分泌する物質に含まれる糖鎖、特にムチン型糖鎖お よびシアル酸が宿主―寄生虫相互関係において重要な役割を果たしている可能性について 考察した。

本研究によって、終宿主の 腸粘膜に寄生する多包条虫に対して液性およぴ細胞性免疫応 答が誘導されるが、多包条虫が糖鎖を多く含んだ物質を排泄・分泌することで、局所の免 疫応答を抑制することが示唆され、この糖鎖を多く含む排泄・分泌物が寄生虫の腸におけ る定着・生存に関与するも のと推察された。

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学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主 査    教 授    片 倉    賢 副 査    教 授    小 沼    操 副 査    教 授    高 島 郁 夫 副査   助教授   奥   祐三郎

     学位論文題名

Immune responses to Ec カ励ococci/ts 7nultilocularis infection and immune modulation by the parasite     in the definitive hosts

( 終宿主の 多包条虫 感染に対 する免疫 応答と免疫抑制)

  多包条虫Echinococcus multilocularis対策には、終宿主の腸管内における寄生 虫の定着や虫卵の形成・排泄を阻止するワクチンの開発が望まれている。本研究ば、

終宿主である犬と代替終宿主と成りうるスナネズミにおいて、多包条虫の感染によ る 免 疫 応 答 と 虫 体 成 分 の 免 疫 系 へ の 影 響 を 検 討 し た も の で あ る 。   まず,論文提出者は2頭のビーグル犬に多包条虫の原頭節を投与し,原頭節の分 泌・排泄抗原に対して顕著な抗体産生が起こること、ならびに感染局所のパイエル 板 におい て細胞増 殖応答が 誘導される ことを示 した。ー 方、末梢 血単核球 の concanavalinA(ConA)刺激に対する増殖応答がー過性に抑制されること、および ConA刺激に対する腸問膜リンパ節やパイエル板などのりンパ球増殖が原頭節抗原の 添加によって抑制されることを示し、多包条虫感染犬において免疫抑制が起こるこ とを明らかにした。

  っぎに、スナネズミの多包条虫感染においても,犬の場合とほぼ同様に、原頭節 抗原の添加によってConA刺激に対するりンパ球増殖応答が抑制されることを示し た。しかし,lipopolysaccharideに対するその抑制は顕著でなかったことから、多 包条虫抗原はT細胞またはマクロファージの機能を抑制している可能性を示唆し た。

  加えて,多包条虫抗原は糖鎖成分を多く含み,〃型および〇型糖鎖の両方を含有 することなどを明らかにした。

  以上、論文提出者は,多包条虫が感染した終宿主においては免疫応答が誘導され るが,虫体から分泌・排泄される糖鎖を多く含んだ物質が宿主の腸管局所の細胞性 免疫応答を抑制し,腸管での寄生虫の定着や生存を有利に導いている可能性を示唆 した。

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  よって、審査委員一同は、上記博士論文提出者加藤尚子の博士論文は、北海道大 学大学院獣医学研究科規程第6条の規程による本研究科の行う博士論文の審査等に 合格と認めた。

参照

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