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博 士 ( 医 学 ) 寺 崎 康 展

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 寺 崎 康 展      学 位 論 文 題名

    An HLA ― A3 ― binding prostate acid phosphatase − derived peptide can induce CTLs     restricted to HLA ― A2 and − A24 alleles

(HLA 一A3 結合PAP 由来ベプチドのHLA 一A2 および      ― A24 拘 束 性 CTLs へ の 誘導 能の研 究)

学 位 論 文 内 容 の 要旨

【背景と目的】

  癌患者に対するべプチドワクチンの臨床研究は近年盛んに行われている。しかし、免疫療 法に 用いる べプチドはHLA拘束性をもっているので、現在行われている多くの臨床試験も 頻 度 の高 いHLAで あ るHLA‑A2も し くは‑A24陽性 の患者に 限られて いる。 従ってそ れら 以外の癌患者はべプチドを用いた免疫療法を受ける事が出来ず、そのような患者にも広く使 用できるべプチドの同定が必要と考えられた。

  我 々 はHLA‑A24結 合ベ プ チ ド で、 異 な るHLAに対 しCTL誘 導 能を 持 つ ぺプ チ ド を 報 告し た。そ こで今回 我々は 、いまま でに我々が同定した14種のHLA‑A3スーバータイプ拘 束 性CTL誘 導能 を 持 つ べプ チ ド の中 でHLA‑A2も し く は‑A24拘 束 性CTLに対し 同様に 誘 導能を持つべプチドが無いか検討した。

【材料と方法】

材料:

PBMCはHLA‑A2及 び ‑A24の 前 立 腺 癌 患 者 の 血 液 か ら 分 離 し た も の を 用 い た 。 使用 した細 胞株は、PAPの 発現を確 認した前 立腺や 大腸の癌 細胞株 や、RMA‑SというHLA をトランスフェストしたマウスの細胞株を用いた。

ベ プ チド は 、こ れまでに 我々が同 定して きたHLA‑A3ス ーバータ イプ結 合能を有 する14 種 類 と 、HLA‑A2及 びHLA‑A24に 結合 能 を 有す るEBV由 来 ベプ チ ド 、HIV由来 ベ プ チ ド を そ れ ぞ れ ポ ジ テ イ ブ タ ー ゲ ッ ト 、 ネ ガ テ イ プ タ ー ゲ ト と し て 用 い た 。 方法:

HLA安 定 化 試験 では、HLA‑A0201、‑0206、‑0207、‑2402、‑2601をそれぞ れトラ ンスフ ェク トさせ たRMA‑S細 胞株を 用いて、HLA‑A3スーバ ータイプ に結合 能をもつべプチドが そ れ ら の HLAに 対 し て も 交 差 結 合 能 を 持 っ か を 実 際 に 結 合 さ せ 検 討 し た 。 ベ プ チ ド 特 異 的CTL誘 導 試 験 で は 、 実 際 にHLA‑A2及 び‑A24のPBMCにHLA‑A3ス ー パータイプ結合ペプチドで刺激し、HLA拘束性〔)′rL誘導能を持つかを、産生されたIFN‑

アをELISAで測定することにより検討した。

細 胞 傷害 活 性試 験では、 ベプチド の刺激 によりIFN‑アを産生 したPBMCを 用い、実 際に 癌細胞に対し細胞傷害活性があるかを、51Crを取り込ませた癌細胞株を用いて、癌細胞が障 害されて放出された51Crを測定する事により検討した。またその細胞障害活性がHLA‑class I特異的なものをそれぞれの抗体を入れることにより、さらにべプチド特異的なものかを、

ベプチドでパルスし51Crを取り込ませていないコールドターゲットを混ぜて測定すること によりそれぞれを検討した。

    ―23−

(2)

【結果】

HLA安定化試験

14種類のHLA‑A3スーバータイプ結合ベプチドのうち、PAP155̲163だけがm´A‑A0201、ーA0206、

‑A2402に対し濃度依存性を持って結合能を認めた。またHLA‑A0207、‑A2601に対しては結合能 を 持 た なか った 。さ らにp‑ttibuliri5 309‑318はHLA‑A2402に のみ 結合 能 を認 めた 。 ベプチド特異的CTL誘導試験

PAP155̲163で刺 激し たHLA‑A0201、‑A0206、‑A2402のPBMCは、 ネガ テイ プ コン 卜口 ー ルのべプチドで刺激したPBMCと比較し有意にIFNアを産生した。

細胞傷害活性試験

PAP155̲163で 刺 激 し 誘 導 さ れ たHLA‑A0201、‑A0206及 び‑A2402のCTLは 、同 じHLAの 癌細胞株に対して、 異なるHLAの細胞株と比較し 有意に細胞傷害活性を持っていた。また そ れぞ れの 抗体を加える事により、その細胞傷害活性はHLA‑classI特異的であることが 判った。さらにPAP155̲163またはHIV由来ベプチドでパルスしたコールドターゲットを加え ることにより、その活性はべプチド特異的である事も判った。

【考察】

  ベプ チド を用 いた 癌ワ クチ ン療 法と は、 ペ プチドが特定のMHCに結合し、その特定の MHCを もつ 癌細 胞 やウ ィル ス感 染に 反応 するCTLを 活性 化さ せる もの であ る。ベプチド とMHCの結合は非常に特異的なものだと考えられてきた。

  近年の研究では、ベ プチドが異なるHLAに結合できる可能性がある事が示唆されている。

この研究でも、HLA‑A3スーバータイプ拘束性CLT誘 導能を持つべプチドであるPAP155̲163 が 、 異 な るHLAで あ る‑A0201、‑A0206、‑A2402に 結合 能を も ち、CTL誘導 能を 持つ こ と が示 され た。PAP155̲163の 配列 はYLPFRNCRPで あり 、BioInformatic and Molecular Analysis Section上で のHLA‑A0201や‑A24に対 する 結合 スコ アは 、HLA‑A3スー バー タ イ プに 対す るも のと 比ペ、非常に低い。しかし 実際はHLA‑A0201、,A0206、‑A2402のト ランスフェクタント細胞と結合能を有した。その矛盾がなぜかははっきりとは解っていない。

  HLA‑A2結 合 ベ プ チ ド の 特 徴 は 、 ア ミ ノ 酸 配 列 の2番 目 がIも し く はL、C末端 がVも し くはF、Mであ る。 しか しま れにHLA‑A0207のよ うに 確実 にHI」A.A2ス ーバータイプ だと言しゝ切れないも のもあり、HLAーA2結合ペプ チドでもHLA.A0207に結合しないべプ チドの報告もある。

  一 方 、HLA‐A2402結 合 ベ プ チ ド は ア ミ ノ 酸 配 列 の2番 目 がFも し く はYでC末 端がF も しく はL、I、Wであ るが、HLA.A2301、・A3001とも交差結合性を有している。したが って、それらを含むHLA・A24スーパータイプの結合モチーフは2番目が(FWYI;YIMT)、C 末端が(FrYWIM)と言える。

  これらの事から、PAP155一163aLPFRNCRP)はHLA・A0201、.A0206、・A2402と結合し、

かつ.A0207と結合しない事の推測とできる。

  また、PAPは前立腺関連抗体あり前立腺癌患者で の癌ワクチンとして使用されている。

しかしPAPは前立腺だけでなく、膵臓の神経内分泌 腫瘍や膵島細胞腫瘍、小腸腫瘍、膀胱 腺癌などでも免疫組織 学的に陽性であり、また血管内大細胞型B細胞リンパ腫の腫瘍マー カ ーと して も検 討さ れている。また食道や肺小 細胞癌でも発現しており、PAP特異的CTL はそれらの細胞傷害活性を示している。その上、正常組織や正常の肛門や尿道の腺組織、胃 幽門の粘膜組織でも発現が確認されている。

  前立 腺癌 患者 に対 するPAP関 連蛋 白を 含む 樹状 細胞を用いた第1相臨床試 験では、PAP を標的とした免疫療法 は安全で;病気の進行とPAPに対する免疫反応とが関連しているこ とが明らかになっている。また我々はかつて前立腺癌に対するテーラーメイド型癌ワクチン におしゝてPAP2は221がHLA‐A24拘束性CTLを誘導し、臨床的反応を誘導するべ プチドの1 つであることを報告し ている。また、その免疫反応がPAP特異的なものであることも報告 している。

【結諭】

  HIA・A2、・A24、.A3スーパータイプを合わせるとアジア人では98%、割合の少ない黒

‑ 24 ‑

(3)

人でも59% をカバーしている。このべプチドは多くの前立腺癌だけでなく大腸癌や胃癌患 者にとって の癌ワクチンになる可能性があると考える。

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(4)

学位論文審査の要旨

     学位論文題名

    An HLA ― A3 ― binding prostate acid phosphatase 一derived peptide can induce CTLs     restricted to HLA ―A2 and − A24 alleles

(HLA − A3 結 合 PAP 由 来 ベ プ チ ド の HLA − A2 お よ び

‑A24 拘 束 性 CTLs へ の 誘 導能 の 研究 )

   現在、世界的にペプチドワクチンを用いた癌免疫療法の臨床試験が行われて いる。しかし、治療に用いられているベプチドは HLA 拘束性を持って韜り、同 じ HLA タイ プによる患 者の制限が ある。しか し我々は以前にHLA‑A24 結合ペ プチドで、異なるHLA への交差結合能を有するぺプチドを同定した。そこで今 回我々は、現在までに我々が同定してきたHLA‑A3 スーパータイプ結合ペプチ ドの中から、異なる HLA に対し交差結合能を有するペプチドを同定する事を目 的 と し た。 まず HLA 結合試 験でHLA‑A3 スーパー タイプ14 種類 のペプチド を HLA‑A0201 、‑A0206 、‑A0207 、‑A2402 、‑A2601 への結合能を検討した。結果、

14 種 類の う ちPAP155 ベプ チ ドだ け がHLA‑A0201 、 ‑0206 、 ‑A2402 に濃度依 存性を持って結合能を有し、かつ HLA‑A0207 、‑2601 に結合能を持たなかった。

次 に こ の PAP155 ペ プ チ ド に 対 し HLA‑A0201 、 ‑A0206 及 ぴ HLA‑A2402 の 癌 患 者末梢血へ のペプチド 刺激によるCTL 誘導試験をinVIVO で行った。結果、

ど ち ら の HLA に 対してもペ プチド特異 的CTL を誘 導した。こ のPAP ペプ チド 特異的 CTL は、クロム遊離試験においても、HLA‑A0201 、 ‑A0206 、及び ‑A2402 の CTL は 同 じHLA タ イ プ の癌 細 胞を 強 く障 害 する 一 方、 異 なる HLA タ イ プ の癌細胞に対しては細胞傷害性を示さなかった。さらにHLA 拘束´陸、CD8 依 存 性 及 ぴペ プ チド 特 異性 を 検討 す るた め 、CTL からCD8 を抽出した 後、抗 HLA‑classI 分子 抗体による 抑制試験及 びcoldtarget による競合抑制試験を 施 行した。誘 導されたCTL の細胞傷害活性は抗HLA‑classI 分子抗体添加によ り抑制された事、さらにPA `ペプチドをパルスしたcoldtarget により抑制さ れた事から、 HLA‑classI 拘束性、かっペプチド特異性である事が証明された。

こ れらの結果 より、 HLA‑A3 スー パータイプ 結合ペプチ ドであるPAP155 ペプ チ ド は HLA‑A0201 、‑0206 、及ぴHLA‑A2402 に対し交差 結合能を有 し、かつ CTL 誘導能を持っことが示された。

    ‑ 26 ー

司 俊

孝 弘

村 田

西 秋

授 授

教 教

査 査

主 副

(5)

   公開発表後、まず副査の秋田教授から、@PAP155 ペプチドがHLA‑A2 と ‑A24 に結 合 す る機 序 、◎ PAP155 ベ プ チド の 、HLA‑A3 スーパー タイプPBMC に対 する 反 応 と、 HLA‑A2 や ‑A24 の PBMC に 対 する反応の 違いについ て、◎ペプ チド療法の展望についての質問があった。それらに対し、@結合を規定するア ミノ酸以外の立体的な配列が、HLA‑A2 や ‑A24 に結合するのに適合している可 能性 が ある。 ◎IFN ッ の産生能は HLA‑A3 ス ーパータイ プのPBMC に対す るも のよりも低いが、細胞傷害活性に明らかな違いは認めなかった。◎現在臨床試 験により安全性が確認され、かつ臨床効果も認められてきている。今後も同様 なペプチドを同定し、より多くの患者へのペプチドワクチンの使用が可能にな る、等の回答があった。

藤堂教授からは、@ペプチド特異的IgG 抗体を誘導する機序およぴevidence 、

◎ペプチド療法の未来についての質問があった。それらに対し、◎投与された ペプ チ ドワク チンがCD4 のエピト ープにもな りCD4 陽性 T 細胞を 誘導する。

臨床的にIgG 抗体が上昇した症例のほうが有意差を持って予後が良い。◎腫瘍 のHLA 発現低下の有無や、腫瘍による免疫抑制などの課題を克服しつつ、術後 補助療法やあるいは術前の治療法としても確立することを期待する、等の回答 がなされた。

また主査 の西村教授 より、(DPAP155 ペプチ ドのHLA‑A2 や‑A24 の患者に対す る臨床試験について、◎HLA‑A2 、‑A24 の患者に対する反応、◎stabilisaation assay の際 のHLA‑A3 スーパータイプとの違いについての質問があった。これ らに対し、@実際にそれらを対照とする臨床試験はまだ行われていないが、

HLA‑A2 、 ‑A24 も併せ持 つHLA‑A3 スーパータ イプ患者に対しては使用されて おり、◎ペプチド特異的IgG の上昇を認めている。◎stabilization assay に関 しては、 HLA‑A0201 、 ‑A0206 と ‑A2402 への結合能は低くはない。等の回答が なされた。

   本論文は 本来 HLA 拘 束性をもっ ぺプチドが 、異なるHLA への結合すること を報告した論文であり、ペプチドワクチン療法の可能性を広げるものである。

今後の臨床応用が期待される。審査員一同は、これらの成果を高く評価し、申

請者が博士(医学)の学位を受けるのに充分な資格を有するものと判定した。

参照

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