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Studies Toward Total Synthesis of Ginkgolides      ( ギ ン ゴ ラ イ ド の 全 合 成 研 究 )

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 理 学 ) 佐 藤 幹 也

     学位論文題名

Studies Toward Total Synthesis of Ginkgolides      ( ギ ン ゴ ラ イ ド の 全 合 成 研 究 )

学位論文内容の要旨

1

. ジ ハ ロ ア ル ケ ン と 有 機 鋼 試 薬 の 反 応 を 用 い た ( 勿 一 三 置 換 ヨ ー ド ア ル ケ ン の 合 成

    

ハロアルケンはクロスカップリング反 応に広く用いられ、それらの位置および立体選択的合

  

成法の開発は有機合成上の重要な課題で ある。従来のヨードアルケンの合成例は二置換に関す

  

るものが多く、三置換ヨードアルケンの 立体選択的合成法は比較的限定されている。本研究で

  

は1,1‑ジハ ロアルケンと有機銅試薬を用いる(め一三置換ヨードアルケンの新規合成法につい

  

て検討を行った。

    1

,1一ジブロモアルケンに対しGilman試薬を作用させると立体障害の少ない(め一臭素とのハ

  

ロゲン金属交換反応が進行し、続くアルキル基の転位を経て(めービニル銅中聞体が生成する。

  

生じた三置換ビニル銅中間体をヨウ素で捕捉することにより、(めーヨードアルケンを67%の収

  

率で得たが、分離困難なブロモ体の副生 が問題となった。そこで、1,1‑ジクロロアルケンおよ

  

び1,1   ‑ジョードアルケンを用いて同様の反応を行ったところ、ジクロロ体の反応は満足な結

  

果 を 与 え な か っ た が 、 ジ ョ ー ド 体 か ら は

57

% の 収 率 で 純 粋 な 目 的 物 が 得 ら れ た 。

せ 丶 ・      |

.   CuMe     .    Br      Cu

2

. ギ ン ゴ ラ イ ド

C

の 全 合 成 研 究

       r‑‑‑‑       '‑‑‑‑‑‑‑‑‑

̲ ‑M   Me    9‑01‑‑‑‑‑‑:'         inseparable   '

OBn し マ Me +

1 5     2 6

OBn

  

イ チ ョ ウ の 苦 味成 分と して 単離 され たギ ンゴ ライ ド はア レル ギー や喘 息に 深 くか かわ る血 小板 活性化因子の作用を強カに抑制するこ´

とが 知ら れ てい る。 また 近年 、アルツハイマー病の悪化防止にも有効 であ るこ と が発 見さ れ、 注目 を集 めて いる 。ギ ンゴ ライ ドは6つの環 がカ ゴ型 分 子を 形成 し、 その ユニークな化学構造および生物活性の両 面か ら多 く の合 成化 学者 の興 味を集めてきた。ギンゴライドの合成上

208

→ 鵠

        r    

B

― 百

(2)

の最重要課題は、連続する2つのスピロ四級不斉炭素をいかに立体選択的に構築するかという点 にある。本研究では、不飽和ラクトンの分子内共役付加反応および分子内ラジカル環化反応を鍵 反応とする合成ルートを立案し、これまで達成されていないギンゴライドCの全合成を目指した。

    ー ´ O R     ラ ジ カ ル

。 O R ≧ 警 ー ぞ ≦ .         匸 ニ ニ ニ     | O         b r     B r

        R C

  

市販 のエステ ル

2

からブ ロモケトン3を経由して合成した不飽和ラクトン5に対しMe2CuLi を作用させると(め―ビニル銅中間体6を経て分子内共役付加反応が進行し、スピロ環化体7が単 一の立体異性体として高収率で得られた。スピロラクトン7から3工程で誘導したヨードアルケ ン8をラジカル環化反応に付したところ、分子内付加がtBu基の反対側から立体選択的に進行し、

望む 三環性化合物9を与えた。さらに

2

工程で

B

環ケトンをエノールトリフラート

10

へと変換 後、ギ酸還元によルオレフイン11へ導いた。シリル保護基を除去した後、ラクトンを加水分解 して生じたアルコール

13

Mn02

で酸化すると分子内

Michael

付加反応が進行し、ギンゴライド の

ABCD

環に相当する四環性化合物14が得られた。このように

2

つの立体選択的スピロ環化反 応を鍵工程とする独自の環構築法を開発し、隣接する2つのスピロ四級不斉炭素を含むギンゴラ イドCのコア部の合成に成功した。

B

5

   3 steps 96%

Me2CuLi

ether  o 'C, 30 min

DMF 65 'C.  1.5 h 84Yo

BU3SnH AIBN

3

    OLi   づ参`OtBu  DBU

.一−−−−−う一−−−−−1

Me 6

71

];

9

ー 209―

4

7

2 steps  TBSO

−−−一一一・|1ト   43%

  5 steps 64%

10

12

…→

    A I     O . ,

< 7       (     w                             o

      h  

偽 織『

b

二 二

  8    

   

o

z

(3)

‑  O I Z 

(4)

学位 論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査 副査

教 授    宮 教 授    及 教 授    鈴 教 授    坂 助 教授    谷

下 正昭 川 英秋 木 孝紀 口 和靖 野 圭持

     学位論文題名

Studies Toward Total Synthesis of Ginkgolides      (ギンゴライドの全合成研究)

   ギンゴライドはイチョウの苦味成分でアレルギーや喘息に深く関わっている血小 板活性化因子の作用を強カに抑制するユニークな生物活性を示すとともに、近年ア ル ツ ハ イ マ ー 病 の 防 止 に も 有 効 で あ る こ と が 報 告 さ れ 注 目 さ れ て い る 。 ギンゴライドは高度に酸素官能基化されたカゴ型分子で、6 個の環が縮環した極め て複雑な化学構造を有するジテルペン系化合物である。顕著な生物活性ならびに薬 理活性に加え、複雑な化学構造を有することから多くの科学者の関心を集め、ギン ゴライドの化学合成を巡って内外で活発な研究が行われている。申請者は博士課程 の研究課題として最も酸化状態が高く最も合成が難しいギンゴライドC の全合成研 究を目指した。ギンゴライドの合成上の最重要課題は隣接するニっのスピロ四級不 斉炭素の立体選択的構築であるが、有機銅試薬を用いる新しい分子内共役付加反応 に基づくスピロ四級不斉炭素の立体選択的構築ならびにラジカル環化反応を基軸と するもう1 個のスピロ四級不斉炭素の立体選択的構築を考案し、ギンゴライドの全 合成研究を展開した。

   第1 章では 3 置換ヨードアルケンの新規合成法の開発ならびに分子内環化反応へ

の展開について記述している。ヨードアルケンは様々なクロスカップリング反応に

広く利用できることから、それらの位置およぴ立体選択的合成法の開発は有機合成

上の重要な課題である。しかし従来のヨードアルケンの合成法は2 置換に関するも

のが多く、これに対し3 置換のヨードアルケンの合成法は非常に限られていた。こ

    ‑ 211 ―

(5)

の よう な背 景のも と、 申請 者は 新た にジ ブロ モアルケンとGilman 試薬を組み合わせ た チ選 択的 3 置換 ヨー ドア ルケ ンの 合成 法を開 発す ると とも に、 系内 に生 じるビニ ル 銅 中 間 体 を 巧 み に 利 用 す る 新 し い 分 子 内 環 化 反 応 を 開 発 し た 。    第2 章 では 、上 記の 有機 銅試 薬を 用い た分子 内共 役付 加反 応に よる スピ ロ四級不 斉 炭素 の立 体選択 的構 築な らび にラ ジカ ル環 化反 応を キー ステ ップ とする もう1 個 の スピ ロ四 級炭素 の立 体選 択的 構築 につ いて 記述しており、これらの合成法によル ギ ンゴ ライ ドの合 成上の最重要課題であるABCDE 環部の立体選択的合成に成功した。

な お 本 成 果 を 第 48 回 香 料・ テル ペン およ び精 油に関 する 討論 会で 発表 し、 ベス ト プレゼンテーション賞を受賞した。

   この よう にジブ ロモ アル ケン とGilman 試薬 を組み合わせたZ 一選択的3 置換ヨード ア ルケ ンの 新しい 合成 法を 開発 する とと もに 、系内に生じるビニル銅中間体を巧み に 利用 する 斬新な 分子 内環 化反 応を 開発 し、 本法をギンゴライドの全合成研究に展 開 した 。そ の結果 、合 成が 最も 難し いギ ンゴ ライ ドの ABCDE 環部 の立 体選 択的合成 に成功した。

   よって著者は、北海道大学博士(理学)の学位を授与される資格あるものと認める。

参照