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Studies toward Total Synthesis of Ciguatoxin CTXIB      ( シ ガ ト キ シ ン CTXIB の 全 合 成 研 究 )

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Academic year: 2021

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全文

(1)

博 士 ( 理 学 ) 田 中 秀 輝

     学位論文題名

Studies toward Total Synthesis of Ciguatoxin CTXIB      ( シ ガ ト キ シ ン CTXIB の 全 合 成 研 究 )

学位論文内容の要旨

  シガテラ中毒は珊瑚礁周辺の魚介類によって引き起こされる世界最大規模の自然毒食中毒 である。年間2万人以上の患者が発生し、深刻な社会問題となっている。その主要原因毒で あるシガトキシンCTXIB(1)の毒性は極めて強カで、神経生理学あるいは公衆衛生学など の多方面から注目を集めている。しかしながら、天然からの供給量は極めて限られているた め、その治療法などに関する研究は現在立ち遅れており、合成化学的な試料の供給が待たれ ている。また、環状工了テルが梯子状に連なった巨大かつ複雑な化学構造は有機合成化学的 にも興味が持たれている。申請者は簡便かつ効率的な1の全合成を目指し、研究に着手した。

    Me

H

O H

  申請者の研究室では巨大分子の1を効率合成する方法として、アシルアニオン等価体を用 いるカップリング反応と還元的環化を機軸とした収束的なセグメントの連結法を既に開発し て いる。申請 者はこの 方法を用 いて1の左 半分であるABCDEF環部2を合成しようと計画 し た。2はアシ ルアニオ ン等価体 であるAB環 部3とアル デヒドを 有するEF環部4から構 築出来ると考えた。AB環部3の合成は、ビニルエーテルに対するヒドロホウ素化を鍵反応 として不斉工ーテル炭素を効果的に導入することで、完了できた。さらに、この鍵反応を応 用したEF環部4の効率合成経路を考案し、その可能性を検討した。以下この概要を述べる。

R

    2  3  4

  まず3のB環部の合成を行った。D−グルコースより誘導したラクトンをェキソメチレン 化し、その後ヒド口ホウ素化・酸化を行った。この時、保護基の選択によルヒド口ホウ素化 の選択性に差違を生じた。TBSで保護されたェキソメチレン5では選択性が見られなかっ たの に対し、架 橋型ジシ口キサンであるTIPDSで保護された6からは選択的に9を得るこ とができた。また、9―BBNを用いると9を単一生成物として得ることができた。この選択 性の違いはビニルェーテルの立体配座に起因する事が、詳細なNMRの解析から示唆された。

156

(2)

    BH3‑THF HO/丶   〆

    → 賊 ユ Ph十 Hく ぃ ヱ ァ 。

Rし   .   丶 一 ′   Ph  RO.   Rし   .  OR

5: R,R = TBS 6: R,R = TIPDS

  OR       OR

7: R,R=TBS       (12)      8:R,R=TBS 9: R,R =TIPDS       (9:1)        10: R,R = 11PDS

  次 にA環 部 の 側 鎖 の 導 入 も 同 様 の手 法を 用 いた 。11を閉 環メ タセ シス によ り7員 環不 飽 和 ラ ク ト ン12と し た 後 に1、ebbe試 薬 に よ り 共 役 ピ ニ ル エ ー テル13へ と 変換 した 。13に 対す るヒ ド口 ホウ 素化は、近傍に不斉な環境が無いのにも関わらず、 位置及び立体選択的に 進行 し14を与 えた 。環 状ピ ニル エー テ ルの ヒド 口ホ ウ素 化に よる 不斉 誘起が環状エーテル の合 成法 とし て有 効で ある こと を実 証 した 。

Ph MesNユぬ。

  等 | あ ッ

Ph

12: X= 0       14 13, X= C)H2) Tebbe

  ポリ ェ ーテ ル化 合物の合成には還元的エーテル化反応 が利用される。そのルイス酸性条件 に 耐え う る保 護基 としてべンジル(Bn)基がよく用いられ る。しかしながら、同様に酸への耐 性 を 持 ち ベ ン ジ ル と 異 な る 条 件 で 除 去 でき る 保護 基は 少な い。 そこ でケ ブロ モベ ンジ ル (PBB)基 の 新 た な 除 去 条 件 を 見 出 し 、 保 護 基 と し て の 有 効 性 を 実 証 し た 。 ´

OBn 15:

O H     O B n         1 7

  後 の 還 元 的 環 化 に 備 え て14のC4位 とC12位 をPBB基 で 、Cll位 をBn基 で 保 護 し た 後 に 、 ジ チ オア セタ ール モノ ー51オキ シド 誘 導体 へ変 換し 、AB環部3の 合 成を 達成 した 。

H

14

  EF環 部4の 合 成 に は 以 下 の 計 画 を 立 案 し た 。4のE環 部 の 側 鎖 の 不 斉 点 は 、A環 部 と 同 様 に 環 状 ビ ニ ル エ ー テ ル18に 対 す る ヒド 口ホ ウ素 化に より 導入 する 。18は ラク トン19よ り 誘 導 し よ う と 考 え た 。19は 分 子 内Reformatsky反 応 に よ り20から 、ま た は閉 環メ タセ シ ス に よ り21か ら 構 築 で き る と 考 え た 。

O

R

: 二ニ> RO

4     1 8     1 9

    21 X= CH2     22 X=H.H

  モ デル 化合 物を 用い た検 討の 結果 、20に 相当 する ブ口 モピ ルビ ン酸 エステルが極 めて不 安 定 で あ り、Reformatsky反 応に よる 経路 では 合 成中 間体 とし て不 適当 であ るこ とが 判明 し た 。 一 方 、22に 対 応 す る ピ ル ビ ン 酸エ ステ ル は安 定で あり 、こ れを 経由 して21に 対応 する2―オキソ―3−ブテン酸工ステルの合成の 可能性を示すことが出来た。これにより閉環メ タ セ シ ス を 利 用 す る 経 路 が 効 率 的E環 部 構 築 に 有 望 で あ る こ と を 明 ら か に 出 来 た 。

1571

B

… →

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丿 な

(3)

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査 副査

教 授    鈴 教 授    宮 教 授    辻 教 授    澤 助 教授    藤

木 孝 紀 下 正 昭      康 之 村 正 也 原 憲 秀

     学位論文題名

Studies toward Total Synthesis of Ciguatoxin CTXIB      ( シ ガ ト キ シ ン CTXIB の 全 合 成 研 究 )

   表題 化 合物 の シガ トキ シン CTXIB は 、南太平洋 で年間2 万人もの 患者を出 す世界最大の食中毒シガテラの原因物質であるが、天然からの供給量が極めて少 ない為、中毒発生の機構解明や治療法の開発には合成的供給が不可欠である。

   本論文では、 12 個のエーテル環がはしご型に連結された特異な構造を有する この 物質の、A 環からF 環と名付 けられた左半分構造を収束的に構築すべく合 成研 究を展開した。即ち、 AB 環部とEF 環部の2 つのセグメントを予め準備し、

それらを連結しながらCD 環部を形成する方法を立案した。連結法については、

共同研究者によって開発された方法論が採用できるため、ここでは如何に効率よ くセグメントを不斉合成するかが重要課題となる。まず初めに、A 環部分の不斉 合成を、鎖状ピニルエーテルの立体選択的ヒドロホウ素化反応を用いて達成した。

その結果から、ビニルエーテルを環構造に固定することで、より容易に立体化学 の制御が可能であるとぃう考えを導いた。実際、D −グルコースより導いた環状 ビニルエーテルから、非常に高いジアステレオ選択性で、天然型の立体配置を有 する B 環部分を得ることに成功した。このものを閉環メタセシス等の変換反応 により再度環状ビニルエーテルに導いた後、その立体選択的ヒドロホウ素化を鍵 反応とすることで、すべての官能基と後の連結に必要な連結基を備えたAB 環の 不斉合成を達成した。また連結反応に際して必要となる、 p‑bromobenzyl 基の選 択的な脱着法についても新たな方法論を確立した。その後、AB 環部との連結パ ートナーとなるEF 環部の合成についても検討を加え、立体選択的ヒドロホウ素 化反 応を鍵とするE 環部分の構築法について有用な知見を得た。これらの結果 は、シガトキシンの全合成にむけた大きな進歩であるとともに、有機合成化学分 野の発展に貢献するところ大なるものがある。

   よって著者は、北海道大学博士(理学)の学位を授与される資格あるものと認

める。

参照

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