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博 士 ( 医 学 ) 竹 馬 俊 介

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 竹 馬 俊 介

     学 位 論文 題 名

CytotoxicTLymphocyte Associated Molecule‑4 (CTLA‑4)      分 子 を介 す る T 細 胞 抑制 性 シ グナ ルの分 子生物 学的 解析

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

T細胞活性化に伴って細胞膜上に発現されるCrI`LA―4は、抗原提示細胞上に発現している り ガン ドで あるB7‑1およ びB7―2と 強い 親和 性で 結合 する 。CTLA−4ノッ クア ウト マウス に おい てはT細胞 のポ リク 口ー ナル な活 性化 がお こり 、激しい炎症反応を生じて生後2〜4 週 齢 で 死 に 至 る 。 そ の た め、CTLA‑4は 末梢で のT細胞 活性 化の 負の シグナ ルを 伝達 する と 考え られ てい る。 その シグナル伝達機構についてはおもにin vitroの系で精力的に研究 が 行わ れて いる が、 未だ あきらかになっていない。したがってこのシグナル伝達機構を分 子 生 物 学 的 な 手 法 を も ち い て 明 ら か に す る こ と を 本 研 究 の 目 的 と し た 。 は じ め に 筆 者 はCTLA一4レ セプ ター に直 接会 合す る膜 近傍 のシ グナ ル分子 に注 目し た。

C′rLAー4の 細胞 内に はN末端 から165ア ミノ 酸、182番 目アミノ酸の位置にに2つのチ口シ ン 残 基 が 存 在 し 、 そ れ ぞ れ 機 能 分 子 の 会 合 に 重要 と 思 わ れるYVKMおよびYFIP配列 を形 づ く っ て い る 。YVKM配 列 が チ 口 シ ン リ ン 酸 化 され る とSHPー2チロ シンフ オス ファ ター ゼ がSH2結合 部位 を介 して の丶LA―4に会合することが明らかになっている。また、おなじ YVKM配 列 が り ン 酸 化 さ れ てい ない 状態 ではク ラス リン アダ プタ 一夕 ンバ クで あるAPー2 が(了T`LA−4の細胞内ドメインに会合するため、工ンドサイトーシスによりCTLAー4の膜発 現 が 抑 制 さ れ 、 リ ガ ン ド か ら の 刺 激 を 受 け る こと が で き ない 。そ のため 、YVKM配 列の チ 口 シ ン リ ン 酸 化 はCTLA−4の シグ ナル 伝達 に必 須で ある と思 われ る。し かし なが ら、

CTLAー4に 直 接 会 合し 、YVKM配 列 を チ 口 シ ン リ ン 酸 化 す る チ 口 シ ン キ ナ ー ゼの 本 態 は い まだ 不明 であ った 。筆 者はりポフウクション法を用いた共発現法によってサイトカイン レ セ プ タ ー の 主 要 な シ グ ナ ル 伝 達 分 子 で あ るJAK2チ 口 シ ン キ ナ ー ゼ がCTLAー4のYVKM 配 列を 特異 的に チ□ シン リン 酸化 するこ とを 明ら かに した 。ま た、JAK2は293T細 胞株お よ びHUT78ヒ トT細 胞 株 で く'TLA―4の細 胞内 のプ □リ ンに 富む 特定 の領域 に恒 常的 に会 合 して いる こと をカ ルボ キシル末端欠失型くTLA―4を作製して明らかにした。インターフ ェ口ンY刺激により細胞内のJAK2を活性化させたところ、くニTLAー4の細胞膜上への発現が 上 昇し たこ とよ り、JAK2はサ イト カイン 刺激 など によ って 活性 化し 、CrI`LAー4のYVKM 配 列を チ口 シン リン 酸化 する こと によりCTLA―4の細 胞膜 上へ の輸送 を起 こし 、CTLA−4 のシグナル伝達に関わることが示唆された。

筆 者 は 次 にCTLA−4独 特 の 抑制 性シ グナ ルを 伝達 する 会合 分子 をT7ファー ジcDNAデ ィス プ レ イ 法 を も ち い て 検 索 す る こ と を 試 み 、 マ ウス 活 性 化 脾臓 細胞 よりT7ファ ージcDNA

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ライ ブラリーを 構築した。CTLA―4の細胞内アミノ酸配列を模したべプチドのYVKM配 列にあらかじめりン酸化を施したぺプチドを標的としてこのファージライブラリーをスク リーニングしたところ、機能不明のEST(Expressed Sequence′Fag)データベース登録配 列を持ったク口ーンが非常に強く会合し、増幅された。この断片をプ口ーブとして各臓器 でのメッセンジャーRNA発現をノーザンブ口ッティングで解析したところ、胸腺、リン パ節および脳で強い発現がみられ、この分子がCTLA−4のシグナル伝達に重要なはたらき をもっていることが示唆された。

さらに筆者はCTI」A−4が影響をあたえる細胞内シグナル伝達カスケードについての解析を 行っ た。CTLA一4はT細 胞においてTCRの刺激下におけるJNK、ERKおよびI¥fFKBといっ たシグナル経路を抑制することが知られている。しかしながら、これらのシグナル伝達経 路はTCR刺激のみならず多くのサイトカインレセプター、アポトーシス刺激、ストレス 刺激などを核に伝達するために広く用いられる共通の経路である。したがって、く'TLA―4 が他の刺激に関してもこれらのシグナル経路に干渉する可能性が考えられ、この点を明ら かにするため、筆者は非騰田胞であるNIH3T3細胞にCTLA―4を恒常的に導入した細胞を 樹立 し、この細胞を用いてサイトカイン刺激によるJNK、ERKおよびNFKB経路の活性化 にCTLA―4がどのように干渉するかをそれぞれの分子の活性化型特異的抗体を用いたウェ スタンブ口ットによって解析した。CTLA―4発現細胞においては1、NFa刺激時における JNK、ERKお よ びNFKB経 路 の活 性 化が 有 意に 亢 進し ていること がわかった 。よって CTLA―4はこれらの経路にTCR非依存性に干渉し、必ずしも抑制的に働かずある条件下で は活性化を促進することがわかった。T細胞の運命はTCRからの刺激のみならずサイトカ イン、増殖因子、ストレスなどのシグナル伝達によって複雑に調節されており、CTLA−4 はこれらのシグナル伝達経路に干渉することによってT細胞の活性化状態を調節する可能 性が示唆された。

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学位論文審査の要旨 主 査    教授    上出利光 副査   教授   小野江和則 副 査    教授    石橋輝雄

     学位論文題名

CytotoxicTLymphocyte Associated Molecule‑4 (CTLA‑4)

分子を介するT細胞抑制性シグナルの分子生物学的解析

T細 胞活 性化 に伴 って 細胞 膜上 に発 現さ れるTCLA‑4は抹消でのT細胞活性化の負のシグ ナルを伝達 すると考えられている。そのシグナル伝達機構については未だあきらかになっ ていない。 申請者はこのシグナル伝達機構を分子生物学的な手法をもちいて明らかにする ことを目的 とし、3種の研究を行った。

第一にCTLA‑4の会合チロシンキナーゼを検索し、サイトカインレセ プターのシグナルに 必 須 で あ るJAK2CTLA‑4の 細 胞 内 領 域 に 恒 常的 に会 合す るこ と 、JAK2C'IIA̲4 細胞内領域 に存在し、初期のシグナルに必須であると考えられているチロシン残基をりン 酸 化す るこ とを 明ら かにした。また、IFNアによ る刺激後CTIA‑4の細胞膜への発現量が 上 昇し たこ とか ら、 サ イト カイ ンレ セプ ターの 刺激によるJAK2の活性化はCTLA‑4のチ ロシンリン酸化とそれに伴う細胞膜へのCrflーA‑4の輸送を起こすことが示唆された。第二 c'n̲一A‑4独特 の抑制性シグナルを伝達する新 規の会合分子を17ファージcDNAディス プ レイ 法を もち いて 検 索す るこ とを 試み 、マウ ス活性化牌臓細胞より17ファジcDNA イブラリー を構築し、CTLA‑4の細胞内アミ丿酸配列を模したべプチ ドに非常に強く会合 し、増幅さ れた未知のタンバク質をコードする遺伝子断片を単離した。第三にCTI A‑4 影響をあた える細胞内シグナル伝達カスケードについての解析を行った。CmーA‐4はT 胞 に お い てTCRの 刺激 下に おけ るJNK、ERKお よぴNF KBとい った シグ ナル 経路 を抑 制 することが 知られている。しかしながら、これらのシグナル伝達経路は多くの刺激を核に 伝達するた めに広く用いられる共通の経路である。したがって、CTLA‑4が他の刺激に関 してもこれ らのシグナル経路に干渉する可能性が考えられ、この点を明らかにするため、

申 請者 は非T細胞 であ るNIH3T3細胞 にCTLA‑4を恒 常 的に 導入 した 細胞 を樹立し、この 細 胞 を 用 い て サ イ ト カ イ ン 刺 激 に よ るJNKERKお よ びNF KB経 路 の 活 性 化にCTLA4 がどのよう に干渉するかをそれそれの分子の活性化型特異的抗体を用いたウエスタンブロ ッ トに よっ て解 析し た 。CTLA‑4発現 細胞 におい ては'INF口刺激時におけるJNK、ERK よび経路の 活性化が有意に亢進していることがわかった。よってCTLA‑4はこれらの経路 TCR非 依存 性に 干渉し、必ずしも抑制的に働か ずある条件下では活性化を促進するこ

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とがわか った。T細胞 の運命はTCRか らの刺激のみならずサイトカイン、増殖因子、スト レスなど のシグナ ル伝達 によって 複雑に調節されており、CTLA‑4はこれらのシグナル伝 達経 路 に 干渉 す る こと に よ ってT細胞 の活性 化状態を 調節す る可能性 が示唆 された。

公開発表 において 申請者 は主に第 一の研究成果にっいてスライドを用いて約15分にわた って発表 した。その後副査の石橋教授からサイトカインレセプターとCTLA4の関係につ いて 質問があ った。 ついで同 教授から プロリ ンに富む 配列がCTLい4JAK2の 会合に独 特な会合の様式であるかどうかという質問があった。次に副査の小野江教授よルサイトカ イン 刺 激 によ るCTLA4の 膜 発 現はJAK2に よ るCTLA‐4の りン酸化 を直接 介するも の か、それを確かめるためにこれら必要な実験は何かという質問があった。最後に主査の上 出教 授 よ りIFNアレ セ プ ター がCnA4の 発現 に 影 響 する な ら、IFNアレセ プター 発現量 の 多い1h1細 胞 と 少な いTb2細 胞 とで はCTLA4の 発現 に 差 があ る か どう か と いう 問 い かけがあった。いずれの質問にっいても申請者は最新の文献や自らの実験データをもとに 明確に回答した。

この論文は、従来の分子生物学的手法を用いて(冫nA‐4シグナル伝達の初期イベントを明 らか に し た事 で 高 く評 価 さ れ、Wフ ァー ジcDNAデ ィ スプ レイ 法やESTクロー ニングと いった斬新な方法を導入した点など随所に申請者の工夫がみられる。この成果をもとに免 疫系の維 持に必須なCTLA4分子のシグナルがさらに明らかにされることが期待される。

審査員一同はこれらの成果を高く評価し、大学院課程における研鑽や習得単位などもあわ せ、 申請者が 博士( 医学)の 学位を受 けるの に充分な 資格を 有するも のと判 定した。

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参照

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