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博 士 ( 医 学 ) 三 好 義 範

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 三 好 義 範

学 位 論 文 題 名

抗 カ ル ジ オ リ ピ ン 抗 体 の 対 応 抗 原 グ 2 グ リ コ プ ロ テイ ン I の 血 管内 皮 細 胞 に おけ る 発 現の 検討

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

緒言

  抗リン脂質抗体症候群(Antiphospholipid syndrome: APS)とは、動静脈血栓症、習慣流産、

血小板減少などの臨床症状を呈し、その患者血中に抗カルジオリピン抗体(aCL)やループ スアンチコアグラントといった抗リン脂質抗体の存在を認める自己免疫疾患で、1983年 Hughesらにより提唱された疾患概念である。

  aCLは当初、カルジオリピンに直接結合すると考えられていたが、近年の研究によりAPS

患者に特徴的に認められるaCLiま、カルジオリピンそのものを認識するのではなく、カルジ オリピンなどの陰性荷電を有するりン脂質との結合により構造変化した閏グリコプロテイン I (p2GPI)に出現するcrypticなepitopeを認識する抗体であることが示された。っまりAPS患者 に 認 め ら れ るaCLは 、 抗t32GPI抗 体 と呼 称 す べき 抗 体 であ る と 考 えら れ て いる 。   このAPSの主 要な自己抗原であるp2GPIの機能は、いまだ不明な点が多いが、ADP惹起 による血小板凝集の抑制、ト口ンピン及び凝固因子Xaの生成阻害、内因性凝固反応の抑制な どが報告されており、リン脂質依存的な血液凝固反応を抑制し抗凝固活性をもたらすことが 知られている。その一方で、活性化プ口テインCの抗凝固活性を阻害することも報告されて おり、駈GPIは凝固反応を促進と抑制の両面から制御している極めて興味深い蛋白である。

  本研究でiま、ヒトの種々の臓器における[32GPIのmRNAの発現を詳細に検討し、さらに凝 固 線溶 系 の 場として の血管 内皮細胞 の重要 性に着目 し、ヒト 臍帯静 脈血管内 皮細胞 (HUVEC)におけるt32GPI mRNAと蛋白の発現を解析した。

材料と方法 1.桧佳と細胞

  大脳、小脳、心、肺、肝、脾、腎、筋、大動脈、下大静脈、小腸、大腸の各臓器は剖検検 体より得た。

  血管内 皮細胞HUVECは継 代数3代まで の細胞を 、肝癌 由来細胞HepG2、子宮頚癌由来 細胞HeLaは対数増殖期の細胞を使用した。

2,Nortfiern blot鯉盤i

  各臓器よりAGPC法にて得たtotal RNA 20ygを1%agarose gel上で泳動し、ナイロン膜に ブ口ットした。Probeは、肝臓由来のp2GPI cDNAよりPCR法にてDIGラベルして作製した。

このProbeとナイ口ン膜を50℃で一昼夜反応させ、洗浄し、さらにアルカリフエスファター ゼ 標 識 抗 ジ ゴ キ シ ゲニ ン 抗 体と 反 応 させ た 後 、CSPDn を 用い 螢 光 発 色さ せ た 。 3,RT‑PCB

  1 yg/mlのlipopolysaccaride (LPS)の存在下で5時間刺激培養したHUVEC、及び、HepG2、 HeLaの各培養細胞よりAGPC法にてtotal RNAを抽出した。

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  上記total RNA lygをそ れぞれoligo‑dT primerを用いて逆転写反応を行いcDNAを得た。こ のcDNAを鋳型にしてf32GPIの各primerを用いPCRを行った。

4.cD謹AdQning

  mJVECのcDNAphageIibmワ を 大 腸 菌 に 感 染 さ せ て ´ 〃Wmexdsionを 行 い 、PIasmidに 変 換 した 。ClonCapmreCDNASelectionSyStemn|によ りbiotin化したp2GPIprobeを 作成し、ReCA 蛋白存在 下に11Lgのplasmidlibraヴとの三重鎖を形成させた後|streptavidinを結合した磁気ビ ー ズ で 目 的cDNAを 含 むplasmidを 濃 縮 した 。濃 縮さ れ たplasmidlibraヴをDIGラ ベ ルし た p2GPIprobeを 用い てcolonyhybndiz面onによルスク リーニングし、得られた陽 性c10neの塩基 配列を解析した。

5,細胞内餾Q呈!蛋白の染色エおよ壟E△CSによる捻出

  HUVEC、HepG丶HeLaに 細 胞 内 蛋 白 輸 送 阻 害 剤GolgiStop刪 を 加え て5時間 培養 し た。 こ れ ら の 細 胞 を 氷上 でCn06x/C舛opennnlbtを 用い て処 理 した 。各 細胞 に10H〆mlの モ ノク 口 ー ナル 抗駈GPI抗体 、 また はコ ン卜 口ー ル マウ スIgGを 氷上 で30分間 反 応させ た後洗浄し、

さ ら にFrrC標 識 ヤ ギ 抗 マ ウ スIgF(ablkで30分 反 応 さ せ た 。 螢光 強度 はFACSCむiburmで 解析した。

結果

ヒヒ釦蛍におf士る幽G璽廻慰些の発現

  各 臓 器 に お けるp2GPImRNAの 発現 をNorthemblot法 で 解析 した とこ ろ 、肝 で多 量のBめpI mRNAの 発現 が 見ら れ、 筋に も肝とほぽ同等量の発 現を認めた。その他、大動脈 、下大静脈、

心、腎に極めて微量のBぬPImRNAの発現が認められた。

  血 流 と 直 接 接触 する 血管 組織 に おけ るpぬPImRNAの発 現は 、 注目 すべ き知 見と 考 えら れ たため、培養血管内皮細胞であるm.WECを用いて以下の検討を行った。

鼠uゝ璽Cにお【士る幽GH廻脳△の発現

  p2GPIのpdmerを 用 い てM凡 厄CのcDNAでRT.PCRを 行 っ た と こ ろ 、 予 想 さ れ た419bp の 単 一 バ ン ド が 検 出 さ れ た 。 そ の 発 現 程 度 は 未 刺 激MWECで は わず か であ った が、LPS刺 激 後 著 し く 増 加 し た 。 対 照 と し たHeLaで はp2GPIの 発 現 は 見 ら れ な か っ た 。   次 に 、 完 全 長 のp2GPImRNAが 発 現 し てい るか を検 討 する 目的 で、p2GPIの 異な る 領域 を 増 幅 す る3種類 のpnmerを用 いRT.PCRを 行 った 。肝 臓由 来の 巨 ぬPIcDNAをtemplateに用 い た 場 合 と 同 様 にmJVEC由 来 のcDNAを 用 いて も、 それ ぞ れのprimerで419bp、308bp、305bp の予想された単一バンドが検出された。

  以 上 の 結 果 よ り 、m「VECに お い て 完 全 長 のp觝PIの 発 現 が 示 唆 さ れ た た め 、mMCcDNA libraソをスクリーニングした。得られた陽性cloneの塩基配列を解析し、5.および31のnonーcoding regionを含む完全長のBぬPIcDNAを確認した。

且Hユ璽Cにお【士る幽G2!蛋白の発現

  p2GPIが 蛋 白 と し てM「VECよ り 産 生 さ れ て い る か を 確 認 す るた め、 モノ ク口 ー ナル 抗 62GPI抗体を用い、細胞内染色法を用いたFACSによる解析を行った。

  陽 性 コ ン 卜 口ー ルと して 用い たHepG2で は、 抗pぬPI抗体 によ る染 色 でコ ント 口ー ルIgG と 比し10倍 以 上の 螢光 強度 の増大がみられ、ヒス トグラムは右に大きく移動し た。これに対 しp2GPImRNAの 発現 が 見ら れな かっ たHeLaでは 、  螢光 強 度はcontolIgGと差 はなかった。

62GPImRNAの 発 現 が 確 認 さ れ たLPS刺 激 後m「VECで は 、2種 類 のモ ノク 口ー ナル 抗 体い ず れを用いた場合も明かな螢光ヒス卜グラムの移動が見られた。

諳語

  本研 究に お いて は、APSの主 要な 自己 抗 原で あるB2GPIの ヒト 組織 に おける 発現を詳細に 検 討し た。 そ の結 果従 来発 現が知られていた肝以 外に筋、大動脈、大静脈、心 などにおいて も 即GPImRNAの 発現 が認 め られ た。 血管 内 皮の 凝固 線溶 系の 場 とし ての 役割 に着 目 し、 血

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管 内皮 細胞 HUVEC を 用い て さらに検討した ところ、HUVEC は完全長のp2GPI mRNA を発 現し、その発現はLPS 刺激により著明に増加することが明かとなった。さらに特異的抗体 と細胞内染色をもちいたflow cytometry による解析で、LPS 刺激HUVEC は細胞内にp2GPI 蛋白を発現することが証明された。以上より肝のみならず血管内皮細胞もまた[32GPI を産生 し、また血管内皮局所で産生された[32GPI が凝固線溶の制御やAPS の病態形成にも重要な役 割を果たしている可能性が示唆された。

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

抗カルジオリピン抗体の対応抗原汐2 グリコプロテインI の 血管内皮細胞における発現の検討

   抗リ ン脂 質抗 体症 候群 QVitiphosph ( 〓め dsynd ぬロ e : APS ) 患者 血清 中に 認め ら れる 抗カ ルジ オリ ピン 抗体は、カルジオリピンそのものを認識する のではなく、

カ ルジ オリ ピン など の陰 性荷電を有するりン脂質との結合により構造 変化した阯グ リ コプ 口テ イン I (陀 PD に 出現 する Cryp 血な ep 辻 (顧ミを認識する抗 体であること が 知ら れて いる 。

   こ の APS の 主 要 な 自 己 抗 原 で あ る p2GPI の 機 能 は 、 いま だ不 明な 点が 多い が、

ADP 惹 起 に よ る 血 小 板 凝 集 の抑 制、 卜口 ンピ ン及 び凝 固因 子Xa の生 成阻 害、 内因 性 凝固 反応 の抑 制な どが 報告されており、リン脂質依存的な血液凝固 反応を抑制し 抗 凝固 活性 をも たら すこ とが 知 られ てい る。 その 一方で、活性化プ口テインC の抗 凝 固活 性を 阻害 する こと も報 告 され てお り、 p 弼 PI は凝固反応を促進 と抑制の両面 か ら制 御し てい る極 めて 興味 深 い蛋 白で ある 。

  p 弼 PI は 、 主 に 肝 で 産 生 され 、そ の約 伽% がり ポ蛋 白分 画中 に、 残り は血 中に 約 20 叩 g/n 咀 の濃 度で フリ ーの 状態 で存 在し てい るが、肝以外の臓器 での発現の有 無 は詳 細に はわ かっ てい ない 。

   そ こ で APS に お け る 主 要 な 自 己 抗 原 で あ る p 弼 PI の ヒト の種 々の 臓器 にお ける 産 生を 検討 する 目的 で、 以下 の 実験 を行 った 。

   剖検 検体 より 得た ヒト の種 々 の臓 器よ りそ ねぞ ・ね全RNA を抽出し 、ノーザンブ 口 ッ 卜 法 で p2GPI の n 水 NA の 発 現 を 検 討 し た 。 そ の 結 果、 肝臓 以外 に骨 格筋 、大 動 脈 、 大 静 脈 、 心 、 腎 に お い て も 32GImRNA の 発 現 が 認 め ら れ た 。 血 管 組 織 に お け る D 弼 PImRNA の 発 現 は 、 p 弼 PI の 凝 固 線 溶 系 の 制 御 因 子 と し て の 役 割 を 考 え 併せ ると 、注 目す べき 知見と考えらた。そこで凝固線溶反応の場で ある血管内皮 細 胞 に 着 目 し 、 ヒ ト 臍 帯 静 脈 血 管 内 皮 細 胞 く HUVEC ) に お け る 脳 ロ ImRNA の 発 現 を RT ― PCR 法 と HUVECcDNA ラ イ ブ ラ リ ー ス ク リ ー ニ ン グ で 解 析 し 、 さ ら

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夫 敬

隆  

  利

池 木

小 吉

授 授

教 教

査 査

主 副

(5)

に蛋白発現をモノク口ーナル抗32GPI 抗体を用いた細胞質内フ口ーサイトヌトリ ー で検 討 し た。 そ の結 果、HUVEC にお いても完 全長 32GPI mRNA の発 現が認め られ、 その発現 は LPS 刺激に より増強 した。ま た、HUVEC は細胞 内に [32GPI 蛋 白を発現することが判明した。

  HUVEC は、血管内皮細胞の基本的性質をよく反映する材料として用いられてい ることから、ヒト血管内皮細胞はf32GPI 蛋白を産生している結論づけることができ た。

  f32GPI と血管内皮細胞との関わりとして、(1 )t32GPI が、血管内皮細胞上での 外因系凝固反応の開始点であるTi̲ss ue  FactcLFact ぱ Vn による F ;aCt 凹X の活性 化を抑制している、( 2 ) p 弼 PI は血管内皮細胞上で ac 廿 v 泣 ed 西成e 缸C (觚℃)

や prde 弧 S の 機能を抑 制してい る、(3 )魁ロ I は血管内皮細胞のりン脂質に結 合し、抗カルジオリピン抗体の抗原を提示する、などが報告されている。これらは す べて 肝 か ら流 血 中に 供 給 され る p2 く pI と の 関 係での み考えら れてきた。

   本研究により、血管内皮細胞自体も脳ロI 産生してしゝることが明らかになり、流 血 中の 賦 PI の み なら ず血 管局所で 産生され る隧 pI も凝 固線溶の 制御や APS の 病態に重要な役割を果たしている可能性が示唆され、APS における血栓形成機構を 理 解 す る 上 で の 新 た な 鍵 と な り う る 可 能 性 と が 考 え ら れ た 。    発表終了後、吉木教授より使用した剖検検体の死因と年齢、各臓器に含まれる血 管がノ ーザンブ 口ットの 結果へ及 ぽす一影響、MWEC の刺激にLPS を使用した理 由 、 HUVEC の サイ ト カイ ン に よる 刺 激の 検 討 の有 無 、流 血 中 での aCL と 衂I の状態及びその反応について質問があった。続いて、上出教授よりH 【卩ゾEC 以外の 血管内皮細胞における脳ロI 発現の検討の提案があり、血管内皮、p 弼PI 、凝固系 蛋白の局在及び局所での作用§弼PI のポリモルフィズムとAPS の関連について質 問があった。最後に小池教授より動脈内皮でのp2GPI 発現の有無、APS において発 症頻度の高い脳梗塞とp 弼 PI の局所での発現との関連についての質問があった。こ れらの質問に対し、申請者は概ね適切な回答をした。

   この論文は、抗リン脂質抗体症候群における主要な自己抗原であるp 卿I の発現 に関する基礎的検討を詳細に行った研究として高く評価され、今後、p 弼 PI の生理 的機能や抗リン脂質抗体症候群の病態形成機序の解明に大きく貢献するものと期待 される。

   審査員一同は、これらの成果を高く評価し、大学院課程における研鑽や取得単位

なども併せ申請者が博士(医学)の学位を受けるのに十分な資格を有するものと判

定した。

参照

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