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論文の要旨及び判定理由

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Academic year: 2021

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(1)

博士課程用(甲)

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(様式6-A)A. 雑誌発表論文による学位申請の場合

山田 和哉 から学位申請のため提出された論文の審査要旨

題 目

MFG-E8 drives melanoma growth by stimulating mesenchymal stromal cell-induced angiogenesis and M2 polarization of tumor-associated macrophages

Cancer Research 76:4283

~4292, 2016

Kazuya Yamada, Akihiko Uchiyama, Akihito Uehara, Buddhini Perera, Sachiko Ogino,

Yoko Yokoyama, Yuko Takeuchi, Mark C Udey, Osamu Ishikawa, Sei-ichiro Motegi

論文の要旨及び判定理由

分泌蛋白質MFG-E8は分泌蛋白の1つであり、それが持つRGD配列を介して、マクロファージによるアポ トーシス細胞の貪食促進機能やコラーゲン代謝能の制御など様々な機能制御に関わっている。これまでに山 田氏のグループは、既に悪性黒色腫内の血管周皮細胞(ペリサイト)がMFG-E8を多く分泌し、分泌された MFG-E8がVEGFレセプターやPDGFレセプターシグナルを活性化させて血管新生を促すことを報告している。

他方、ペリサイトの中に多分化能を持つ間葉系幹細胞(以下,MSC)が含まれることが報告されていること、腫瘍 においてはMSCが血管周囲に遊走してペリサイトとしての役割を果たし血管新生を促進させることも報告されて いる。そこで、山田氏は悪性黒色腫においてMFG-E8がMSCの機能を制御しているという仮説を立て、これを証 明することを目的とし研究を行った。

ペリサイトはMSC由来の細胞であることから、マウス骨髄細胞由来MSCにおけるMFG-E8の発現を調べた結 果、骨髄由来MSCは悪性黒色腫細胞やペリサイト様細胞10T1/2細胞と比べ、多くのMFG-E8を発現していること を見出した。MFG-E8野生型(WT)マウス、MFG-E8欠損(KO)マウスの骨髄より作成したMSCの細胞表面分子 の発現量を比較した結果、MSCのマーカーであるSca-1, CD105, CD44の発現量に差はないことを確認した。次 に悪性黒色腫細胞とGFPマウス骨髄由来MSCを同時にマウスに皮下移植し、MSCの局在を検討したところ、MS Cは悪性黒色腫内で血管内皮細胞周囲に局在し、一部はペリサイトマーカーであるNG2MFG-E8を発現してい ることを確認した。

次に、MSCの悪性黒色腫の増殖に対する影響を見るため、マウスの皮下に①メラノーマ細胞単独、②悪性黒 色腫細胞とMFG-E8 WTマウス由来MSC、③悪性黒色腫細胞とMFG-E8 KOマウス由来MSCを移植する3群を作 製し、腫瘍の成長を比較した。その結果、メラノーマ細胞単独①と比較して、MSCを共移植した腫瘍(②、

③)は増殖が亢進すること、悪性黒色腫細胞とMFG-E8 KOマウス由来MSCを移植した腫瘍③は、悪性黒色腫細 胞とMFG-E8 WTマウス由来MSCを移植した腫瘍②と比べて増殖が抑制されることを確認した。この結果より、

MSCによる悪性黒色腫の増殖促進効果にMFG-E8が重要な役割を担っている可能性が示唆された。

次に腫瘍内血管量について検討したところ、MFG-E8 WTマウス由来MSCを移植した腫瘍②では血管内皮細胞 とペリサイトの量が亢進していた。また、MFG-E8 WTマウス由来MSCを移植した腫瘍②内にはCD68+, CD206+ 腫瘍随伴性マクロファージ(TAM)の量がMFG-E8 KOマウス由来MSCを移植した腫瘍③より増加していた。

クロドロネートリポソームの腹腔投与によってマクロファージを除去したところ、MFG-E8 WTマウス由来MSC による腫瘍増殖亢進が抑制された。さらに、In vitroでMSCによるマクロファージの分化能(M1/M2マクロファ ージ)への影響について検討したところ、MFG-E8 WTマウス由来MSCの培養上清で培養したマクロファージ

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博士課程用(甲)

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RAW264.7)は、M2マクロファージのマーカーであるarginase-1, CD206の発現が増加したが、MFG-E8 KOマ ウス由来MSCの培養上清では増加しなかった。これらの結果より、MSCによるM2マクロファージへの分化誘 導促進にはMFG-E8が関与している可能性が示唆された。

さらに、MFG-E8 WTマウス由来MSCは、VEGFやエンドセリン-1などの血管増殖因子の発現も増加してい た。最後に、ヒト悪性黒色腫内のMFG-E8の局在を検討した結果、MFG-E8 は血管周囲に発現し、特にペリ サイトに一致していた。これらの結果から、悪性黒色腫内に骨髄から遊走したMSCは血管周囲でMFG-E8や VEGFなどを産生して血管新生を亢進させることと、腫瘍随伴性マクロファージ(M2マクロファージ)を誘 導し腫瘍の成長を促進させることが示唆された。抗MFG-E8抗体が上記の機序を抑制することにより悪性黒 色腫の成長を抑制し、新たな治療薬として臨床応用できる可能性が示唆された。

以上,本論文は悪性黒色腫の増殖促進におけるMFG-E8の役割解明に寄与する極めて重要な事実を証明 し,博士(医学)の学位に値するものと判定した。

(平成29年1月23日)

審査委員

主査 群馬大学教授(医学系研究科)

病態総合外科学分野担任 印

副査 群馬大学教授(医学系研究科)

病態病理学分野担任 印

副査 群馬大学教授(医学系研究科)

腫瘍放射線学分野担任 印

参考論文 1.

2.

3.

参照

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