PCC床版Butt−joint部の補強方法
(昭和60年5月31日 原稿受付)
開発土木工学科(大学院1内田博之 畦土木工学科伏学院}岩 上 恵 治
開発土木工学科出光 隆
Reinforcing Method of Butt−joint Section in PCC SIab
by Hiroyuki UCHIDA Keiji IWAGAMI Takashi IDEMITSU
Abgtm61
ThE construction of RC slab can be improved greatly by the adoption of the PCC slab, which only needs simple and safe works as compared with that of ordinaly cast・in・place RC slab、 But some un.
known points on tトe PCC slab still remain, as it is a new type of composit巴member composed ohwo layers o「cast・in・Place concrete and precast PC planks.
The most important poin口o be made clear is the rei皿forcing method ohhe weak記ction where 51it dlle to血e butt.loint of plank5 remains in lower portion. In the叩ecification of AASHTOjt is recom.
mended that the reinforcing bar sh白uld be placed at the cel甘er of cast・in−place concrete section. BuL its reason is not explained.
The authors made the specimen simulating the b田t・joint part and conducted static and fatig1」e tests.
in order to exami爬whether the method of AASHTO i5 the best,
As the resulL it is found that placing the reinfocing bars as low as possible 呂ives high{≡r strength than the method of AASHTO.
られるのがButt−jointの補強方法である。そこで筆者等
1・まえ特 憾礎的実験と.してB.,,.j。i。、部をシミュレートした 近年,建股技術の向上に伴い建設工事も複雑化し,施 RC部材に,交番するせん断力を作用させ、その破壊機 工の合理化が重要な問題となっている。一方.労力の不 構,耐疲労性等を鯛べた。
足・特に型枠灯弐工鉄筋工鞠酬労儲の不足 2..,CC床肛法の醒
が進む中で安全管理上の条件は一層厳しさを増してきて
いる。鉄筋コンクリート床版施工の際,上記の諸問題を 図一](血},〔b)1(c)にPCC床版工法の概要を示す。主 解決する工法として、プレキャス、トPC板を埋股型枠と 桁架股終了後,まずプレキャストPC板をその間に敷き
して用いるPCC床版工法(PC Composile slabの略 並べる(図一1(a})。次にPC板に型枠の役目をさせて 称)が開発され,すでに一部で実用化されている。この 現場打ちコンクリートを打設する{図一1(bl)。コンク 工法によると型枠,支保工の組み立て作業などが省略さ リート硬化後はそれらは一体となり合成床版を構成する・
れ,少ない労働力で安全かつ迅速にコンクリート床版を しかしながら,この工法ではpCC床版下面の橋軸直角 施工できる。1}21しかしながら,合成構造であるための 方向にButt−lointの切れ目が残ることになり(図一1 未解決な問題点も残っている。そのうち最も重要と考え 〔C})、その部分より上面にまで貫通するひびわれが発生す
ZO 内田博之・岩上恵二・出光 隆
. ,c板 ㌣. 二 革一「
・・f ・ ・: 主桁
1
{ ]pc板の離 」
コ
A l 現場打ちコ.列一ト §
二 ^ 二 1
… . ・. _」一_
{b1」日1場打ち:1ンク1,一トのすf副t
s1〕φ】3
「a
ヲ 1 ・ ▼
1
P70
1
゜ ㎡
̲/ L ㌧
図一2 供試体の断面形状・寸法 {叶A−A断面
の補強方法としてAASHTOでは(幅1m当た1)5.3
図一3 せん断面の補強方法の種類 cm 2の鉄筋を現場打ちコンクリート厚さの1/2の位置に
いれて聞題い〉ユ)としているがそ噸齢搬は 表一1供試体の馴
明らかにされていない。筆者らは,この補強方法の妥当
性に疑問を持ち,以下の基礎的研究を行った。 方法
3.実験供試体
供試体の断面形状・寸法を図一2に示す。構造的には 2本のはりがせん断面(a−a断面)でつながった形を
しており,PC板問のB岨・loint部と床版厚を実橋のも B のと同じにした。補強鉄筋の位置,鉄筋量のちがいによ
る彫響を腐ぺるため図一3.および表一11こ示す供試体 C を作製した。A−1, A−nシリーズはφ6mm.φ
9㎜の脇をそれぞれ下層に,B−1,B一皿シ
リーズはAシリーズと同じ鉄筋をそれぞれ上層に.C一 ちコンクリート断面に作用する鉛直方向せん断応力の向 皿シリーズはφ6㎜の鉄筋を上・下層に配置したも きは交番するため、厳密には両振りせん断賦験を行わな のである。AASHTOの規定(lm当たり5,3cm 2) ければならない。しかしながら.交番載荷の方法が極め に近いものはA一皿,B一皿, C一田シリーズである。 て難しいため,図一4に示す要領で数回毎にjoim部の 右又は左側に載荷点を移動させて,せん断応力の向きを
4ほ験施 @ 蹴ることにした.つまり、図_5畦示揃励せん
Bu両oi耐上を輪荷重が通過するたびに,その現場打 断力を同図{』}に示す片振りせん断力の組み合わせで代用 配 筋
菇@
種類 鉄筋量
oCr㎡)
コンクリート圧縮 ュ度(K9/c㎡)
1 0.28 406
A
n 0.54 355
1 028 360
B
皿 0.64 355
C 田 0.57 355
させるのである。片振りせん断力の上限値は静的ひびわ 進行状況等で,荷重位置を変えるとき静的載荷により測 れ貫通せん断力の50〜90%の範囲で変化させた。似下、 定した。
その値を上限せん断力比と呼ぶ。)下限せん断力比は 繰り返し荷重載荷方法を表一2に示す。初めAで1回,
7%と一定とした。 荷重位置を変えてBで1回,次にAにもどして9回,B 図一4に示す載荷状態の時,joint部が受けるせん断 に変えて9回さらにAに変えて三〇回という要領で表一2
力はAグループの荷重計(4個)によって測定した反力 の順に載荷し換算繰り返し回数200万回まで続けた。
の和である。荷重計は手製のもので,その形状・寸法を
_ 5.実験結果 図一6にホす。上・下面に凹凸をつけることにより直線
性,再現性ともに良好な荷重〜ひずみ直線を得ることが 5.1.静的試験結果
できた。測定項目は上緑コンクリートのひずみ,鉄筋の a−a断面に働くせん断力と鉄筋およびπ型ゲージの ひずみ,下緑に貼付したπ型ゲージのひずみ,ひびわれ ひずみの閲係を図一7に示す。両曲線ともひびわれ貫通
A B
V
o
一Ψ
V
0
一V
A=載荷点=プ 郵 [
L
芒一._」
1司岡撮りせん断力
佑}片振りせん断力 45000
図一5 換算両振り回数のおきかえ囲
図一6 荷1計
ストレインゲージ2mm
表一2 繰り返し載荷の要領
繰り返し回数
載荷位置A 載荷位置B
載荷位置
番回数
換算両振り回数
1 1 1 1
9 9 2 1ゴ0
90 90 2 10〜100
450 450 4 100−1000
4500 4500 4 1000−]万
45000 45000 4 1万一10万
50000 50000 78 10万〜200万
針95
22 内田博之・岩上恵二・出光 隆
時,破壊時にひずみの急増する様子が明確に表れてお 効果を血視してかぷりをなるべく大きくとるように定め り,それらの曲線から,ひびわれ貫通せん断力,破壊せ たものと推察されるが,せん断のみでなく曲げ作用も同 ん断力を求めることができる。静的試験結果を後述する 時に働く場合は,dowel actionが十分期待できる範囲 疲労試験結果とともにまとめて表一3に示す。鉄筋量が 内で.できるだけ下層に鉄筋を配置した方が補強効果は 大きくなると,ひびわれ貫通せん断力,破壊せん断力と 大きくなる。
もに大きくなるが前者と後者の比は逆に小さくなる。 5.2.疲労試験結果
AASHTOの規定に近い鉄筋量の場合(A−n. B−n, 実橋の床版では,ひびわれが上面にまで達すると,舗 C一皿),ひびわれ貫通せん断力,破壊せん断力とも下 装面にもひびわれがはいり、雨水等が浸透するので好ま 層に配置した鉄筋量が多いものほど高くなる傾向を示し しくない。したがって,本疲労試験ではひびわれが上面 た。その理由は,下層配置ほど抵抗曲げモーメントが大 に達した時(ひびわれ貫通時)を疲労限界状態とみなす きく,ひびわれ幅の増加をおさえる結果,ひびわれが ことにした。疲労試験結果を図一8に示す。岡図は上限 入っても骨材のかみ合いによるせん断抵抗が大きくなり, せん断力と破壊両振り回数を示したものである。中層に それがせん断耐力に有効に働くためと考えられる。 配置したBシリーズの結果はA,Cシリーズのものにく AASHTOの規定は,鉄筋のdowel action (ほぞ作用) らべて全体的に小さく,また著しくばらついている。試
芹型ゲージのひずみ(μ)
0 ㎜ 4000 6000 80001000012〔淑〕14㎜1蜘1㎜2㎜
ヨコロ ト
lll :螂:娚接 、\\°・
る ロ
1111 \\ 野゜戸く
蓮巳5
㌻ 1.5 1.0 0.5
00
X 櫟蹴 §1 \逼△
1㌔酬澗せ働 亘1.。1.。−1身,.ズ \・目 。A−uシリーズ |
■B−1シ1」一ズ ロB−nシリーズ ムB一田シリーズ
1囎㎜蜘4㎜蜘㎜ @ 01び1ま lo5 iO62XI。6
鉄筋ゲージのひずみ〔μ}
破壊日6両振り回監個)
図_7せん断批蠕,π型ゲージのひずみの離 図一8上限せん断力と醐時両振り回数の関係
表一3 静的、疲労試験結果
静的試験結果 疲労試験結果
鉄 筋 ハ 置
鉄筋量
k亡「㎡) ひびわれ貫通
ケん断力{tml
破壊せん断力
@ {励
上限せん断力
@ 〔tm)
上限せん断力比
@ 偶1 A−1 下 層
0.28
@ 伸6〕 2.10 2.93 LOゴ.1 48−53
A−n 下 層
0.64
@ け9} 3.20 4.71 1.8−1.9 56−59 B−1 上 層
0.28
@ 〔≠5) 2.00
2.95 一 一
B一皿 上 層
0.64
@ (φ9} 2.31 3.92 L2〜1.3 52−56
C一田 上・下層 0.59
@{2×φ6) 2.59 3.97 1.5−1.6 58−62
験値の数は少ないが.一応阿図よ}L換算両振り回数 コンクリートとしているが,PCC床版ではその部分が 200万回に対する上限せん断力を推定すると表一3の通 プレキャストPC板となるから,婁際には鉄筋の下に水 りとなる。これより・疲労の面からも,下層配置で鉄筋 平打ち継ぎ面が存在する。したがって.それがdowel 量が多いものほどせん断耐力は大きいことがわかる。 actionに若干影響を与えるかもしれない。しかしながら,
次に・ 接合部(図一2、a−a断面付近)のひびわ これまでの研究結果から,水平打継面が存在しても合成 れ性状についてのべる。最初の静的載荷によって曲げひ 床版は一体として挙動することが確かめられている。現 びわれがはいり・それが荷重の繰り返しとともに仲ぴて 在.プレキャストPC板を用いて検肘を行っている。
行くが,その先端の方向は載荷点を交番するたびに代わ
り.荷重の載荷されている側へと傾く。その結果,ひび 謝辞:本研究に御協力頂いた昭和59年度大学院終了・
われはジグザグ模様を描くことになる。荷重を交番させ 辻 裕治氏(現富士P.S.コンクリートKK)
ない場合はひびわれは一方の側へ進展して行き,破壊状 および学部卒業・緒方純二氏(現ドーピー建股 況も異なってくることが予想される。本実験におけるひ 工業KK)に深謝の意を表します。
びわれ性状は,車両交通によって疲労したRC床版のひ
ひびわれ進展の状況と一致Lている4)ことから,供試 参考文献
体・載荷方法ともに,実際のRC床版をシミュレートし 1)渡辺明他IPC板埋般型枠の利用1こよる新省力 迅連施工 法に閲する研究,昭和56年・57年度科学研究費補助金研究成 たものであるといえる。 果報告書
2)江本幸雄.渡辺明.出光隆:PC板埋殴型枠を用いた合成 6.結 ■ 床版に間する研究,土木学会酷文集,第360号,pp,31−40 1985
AASHTOの規定は鉄筋を中層に配置し、かぷりを大 3)Tenlative De5ign and Constru仁tion SPeci』tion5 f。r
きくすることにより,より大き軸w・1・・・…を酬 、朧篇蕊路撚㍗;1こ㍑あひびわれ掴
したものと思われるが,本実験に用いた供試体のように 傷と疲労性状,土木学会論文集,第321号.pp.49一品 下面からのかぶりが6・m雛とれ醐合は下層{・鉄筋 謬。ク,一、ラィプ。,剃景プ。ス、。ス..ク
を配置した方が,静的,動的両荷重に対して有効である リート標準示方書.土木学会 ことが明らかとなった。
なお本実験では図一2(b)に斜線で示した部分を一体の