コモディティ化市場における製品ブランドの経験価
値マーケティング探究 : 使用状況を組み込んだブ
ランド・エクスペリエンスの検討を中心に
著者
鈴木 和宏
学位名
博士(商学)
学位授与機関
関西学院大学
学位授与番号
34504甲第453号
URL
http://hdl.handle.net/10236/11376
2012年
、
度
関西学院大学大学院商学研究科
博 士 学 位 論 文
学位
博士
(商
学
)論文提 出者
鈴
木
和
宏
論 文 題 ロ
コモデ ィテ ィ化 市場 にお ける製 品ブ ラ
ン ドの経 験 価 値 マ ー ケ テ ィ ン グ探 究
―使 用状況 を組 み込 んだブ ラン ド・エ
クスペ リエ ンスの検討 を中心 に一
審査委員会
主査
和
田
充 夫
(関西学院大学商学部教授)副査
川
端
基
夫
(関西学院大学商学部教授)副査
木
山
実
(関西学院大学商学部教授)目次 1。 はじめに.………1 1.1問題意識.…………1 1。
2目
的と新規性.………6 1.3本稿の構成と各章の要約.…………7 2。 コモディティ化とその要因.…………012 2.1コ モディティ化とは何か.………・13 2.1.1コモディティ化の定義の現状.…………13 2.1。2.コ モディティ化におけるコモディティ.…………15 2.1.3。 コモディティ化の定義と特徴.…………17 2。 1。4.コ モディティ化が注 目される理由.…….………`…………・………17 2.3コ モディティ化の要因整理.…………18 2.3.1.消費者要因.…………19 2.3.2。 競争要因.…………21 3.3。3.企業要因.…………23 2。3.4.コモディティ化要因の全体像.………¨24 2。3.5.コモディティ化の実態把握.………25 2。4.脱
0コモディティ化の一考察。………・27 2。4.1。 産業財を中心とした脱・ コモディティ化.………27 2。4.2。 消費財における脱・コモディティ化.…………28 2.4.3.感性的価値とコモディティ化の競争要因.…………29 2。5.脱 0コモディティ化と使用状況.………・33 2.5。1事
例紹介①:パナソニック 「ポケットドルツ」.…………∴……33 2.5.2事例紹介② :サン トリー 「ザ・プレミアム 0モルツ」.…………・35 2.5.3脱 0コモディティ化の諸施策と使用状況.…………38 2。6.本 章のまとめ.………40 3。 使用状況 と消費者行動研究.…………・41 3el状況要因と消費者行動.…………¨41 3.1.1状況要因の定義.…………41 3。1.2状況要因の類型.………49 3.1.3使用状況による消費者行動への影響.…………52 3.1。4消
費者行動研究における状況要因に関する研究の問題点.…………56 3.2状況要因に駆動される関与。………58 3。2.1関 与概念の源流と定義.………58 3.2.1認知的関与・感情的関与.…………60 3.2.2永続的関与 。状況的関与.…………623。
3本
章のまとめ.………065 4。 経験価値マーケティングの現状 と課題.…………674.1経
験価値マーケティングとは何か.…………68 4.1。1エ
スセティクス0マーケティングと経験経済 :新理論確立期.…………68 4.1.2経験価値マーケティングの概要 。………76 4。2経
験価値マーケティングの近年の研究動向.………81 4。2.1定性的・定量的裏付け:実証理論の精緻化期.……… 81 4(2.2経験価値の説明変数に関する研究 :通説理論の検証期 。………0:・…¨84 4。3経
験価値マーケティングの特徴 と意義の再考.………88 4。4経
験価値マーケティングの問題点.………¨91 4。5本
章のまとめ.………・935.使
用状況を組み込んだブラン ド0エクスペ リエ ンス 0モ デル。………・956.使
用状況 と状況的関与に関する探索的調査 とその結果.………99 6.1調査の目的 と手法.…………99 6.2 事1前靖涯隆≧.¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨……¨¨¨¨¨¨¨¨¨・・¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨………¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨100 6。2.1調査手順 と調査項 目.………100 6。2.2事前調査の結果.……… 102C第
一回ヒアリング.…………¨102 ②第二回ヒアリング.…………¨107 6。2.3使 用状況の設定.………¨………114 6.3.探索的仮説.…………・115 6.4。 本調査.…………0117 6。 4。1 調型蜃≡F川頁.¨¨""¨¨¨"・ 0¨¨¨¨¨・・¨¨・・¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨・・¨¨¨¨¨¨¨"・・¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨0117 6。4.2 分析結現護.¨¨¨¨"¨¨¨¨¨・・¨¨¨・・0・¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨・・¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨"¨¨¨¨・・・・¨¨¨0119 6.5結 果の考察.…………129 6。6 涎量力圃 査.¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨‥¨¨¨¨¨・`¨¨¨¨¨¨¨¨¨・・¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨132 6.6。1調
査設計 。………132 6.6.2使用状況の設定 と仮説.…………132 6。6.3 分析結果.¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨t・¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨0133 6。7結
果 の考察 と本章 のまとめ.…… … … …… … … …138 7。 使用状況を組み込んだブランド・エクスペリエンス0モデルの検証.…………144 7.1調査目的.…………144 7。2 仮説.¨¨¨¨¨¨¨¨¨・・・O¨¨・・・・¨¨¨・・""¨¨¨¨¨・・¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨“¨¨¨¨00"¨¨¨¨¨¨¨¨00""¨¨¨¨¨¨¨・00・¨・・・・・・¨¨146 7.3調査手続.…… … … …… … … …… …… … … …… … … … …… …148 7。4分
析 と結果.…… … … …… … ……… …… … … … ………1507.4.2比較モデル (使用状況を組み込まない
BEモ
デル)の
検証結果.…………0153 7。5結
果の考察と調査の限界.………154 7。6調
査の限界.………156 7。7二
つの調査から導き出されたBEモ
デルと調査結果のインプリケーション.……… 158 8。 tおわ りにe¨¨¨.…………¨¨¨¨¨¨¨・・¨¨……。・¨¨¨¨¨・・¨¨¨¨“¨¨¨¨¨¨………¨¨¨¨…160 8。1使
用状況を組み込んだBEモ
デルの特徴.…………0160 8。2製
品ブラン ドにおける経験価値マーケティングの検討セグメンテーション、ターゲティング、 ポジショニング.…………161 8.3本 稿の限界と課題.…………163 付録1近
年のアパ レル製品市場のコモディティ化について.…………167 付録2調
査票.…………172 調査1.…………・172 追加調査・調査 2.… ………¨175 舜 メ萄れR。 ...¨¨¨¨¨¨・・¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨………¨¨¨¨・・¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨…1801。 は じめ に
1.1問
題 意 識 近 年 、多 くの製 品 は ブ ラ ン ド化 を 目指 した マ ー ケテ ィ ング戦 略 が実 行 され て い る。 身 の 回 りの製 品 を見 て み る と、製 品 の基本 的な性 能 以外 の価 値 を訴求 した製 品 は多 い。 例 え ば、 コ ン ビニヘ 行 け ば、惣 菜 や ホ ッ ト・ スナ ック等 の一部 を除 き、そ こにあ る製 品 は ブ ラ ン ド・ ネー ム が付 いて い る ものが ほ とん どで あ る し、 デザ イ ン性 の あ るブ ラ ン ドの ロゴや パ ッケー ジ を持 つ製 品 は 山 ほ どあ る。 また 、我 々 は 自宅 で テ レビをつ け れ ば多 くの感 性 に訴 えか け るテ レビCMに
遭遇 す る し、外 に出て みて もや は り屋 外 広 告や 電 車 の 中 吊 り等 で感 性 に訴 えか け られ る こと とな る。 もち ろん全 て の製 品がそ う で あ る とは言 えな い。 しか し、多 くの消 費 財 メー カー は五感 や 感 情 によ りもた らされ る感 性 的価 値 (青木,2011)や
経験 価 値(Schmitt,1999)を
訴 求 す る こ とによ り、 自 社 製 品 の ブ ラ ン ド化 に注 力 して い るのが現 在 のマー ケテ ィ ングの潮 流 で あ る とは言 え るだ ろ う。 そ の一方 で 、 いわ ゆ る 「コモデ ィテ ィ化 」 とい う現 象 が近 年 は多 くの市 場 にお いて 生 じて い る とい う指 摘 が存在 す る (e.g.恩 蔵 2007)。 コモデ ィテ ィ化 とは一般 的 に、 「製 品や サ ー ビス にお ける本質 的部分 での差別化 が 困難 とな り、 どのブ ラ ン ドを取 り 上 げて みて も顧 客側 か らす る とほ とん ど違 いを見 出す ことので きな い状況 」 (恩蔵,2007,p.2)で
あ る1。 この よ うな状 況 で は、顧客 は製 品間 の違 いが 無 い と判 断す るた め、価 格 は購 買意思 決定 へ の影 響 度 合 いを高 め る とい う (eogo Shapiro,1987)。 従 っ て 、 コモデ ィテ ィ化 によ り市場 は従 前 よ りも価 格 競 争が 生 じや す い状態 にな る。 この よ うな 市 場状態 は多 くの企 業 に とって望 ま しくな い。 なぜ な らば、 コス ト・ リー ダー シ ップ(POrter,1985)を
採 用 で き る企 業 は限 られ て いるか らで あ る。現 実 的 には起 こ りに くいだ ろ うが 、究極 的な価 格 競 争で は最 も製造 コス トが低 い企 業以外 は撤 退せ ざ る を得 な いだ ろ う。意 図的 に コモデ ィテ ィ化 を けん 引す る企 業 もあ るだ ろ うが (藤 川,2006)、 そ れ は コス ト・ リー ダー シ ップ を採 用 で き る一部 の企 業 だ けで あ り、大部 分 の企 業 は何 らか の差 別 化 に向 けた取 り組 み を行 う ことにな るだ ろ う。そ して この動 きが今 日の我 々 の身 の 回 りで 生 じて いる 「感 性 的価 値 の氾濫」 とで も言 うべ き状 態 を 作 って い る と思 われ る。 現 在 の多 くの市 場 で は 、従 来 の ブ ラ ン ド論 で は一見 説 明が付 か な い現 象 が 生 じて い る。 各 メー カー は ブ ラ ン ド価 値 の源 泉 と して支持 され て いる感 性 的価 値 の構 築 と訴求 によ り、 ブ ラ ン ド化 (差別 化)を
しよ う とマ ー ケテ ィ ング活 動 に膨 大 な労 力 を投 入 し て い る。 しか しそ の一方 で 、製 品 間 は 同質 的で あ る と消 費者 に知 覚 され る とい う一見1研
究 者 に よ リコ モ デ ィ テ ィ化 の定 義 は多 様 性 が あ り 定 義 は 恩 蔵(2007)で
あ る た め これ を一 般 的 な 定 義 と ィ テ ィ化 の 定 義 を第 二 章 で 試 み て い る。 最 も多 くの 引用 を受 け て い る して 引 用 した 。本 稿 で は コ モ デ矛 盾 した現 象 が存在 して いる。確 か に感 性 的価 値や 経験価 値 は学 術 的 に も実 務 的 に も ブ ラ ン ド化 にお いて 重 要 な価 値 で あ る と思 われ る。 しか し、 コモデ ィテ ィ化 と言 われ るよ うな 市場状態 で は、感 性 的価 値や 経験価 値 によ るブ ラ ン ド化 は上 手 く機 能 して い な いよ うに思 え る。 典 型 的な コモデ ィテ ィ化 市 場 の事 例 と して しば しば取 り上 げ られ る、薄 型 テ レビ市 場 を見 て み よ う (e.g.延 岡他
,2006;田
日,2008)。 図 1.1は 延 岡他(2006)が
提 示 し た 、主 要デ ジタル 家電機 器 の 日本 国 内 にお け る販 売価 格 の推 移 で あ る。 こ こで は様 々 な デ ジ タル 家電機 器 が取 り上 げ られ てお り、薄 型 テ レビ市 場 に関連 す る製 品 は 「液 晶 テ レビ32型
」 と 「プ ラズ マ テ レビ42型
」 で あ る。 図 1。1は
、液 晶テ レビ32型
は本 格 的 に発 売 が 開始 され た2003年
の販 売価 格 を100と
し、プ ラズ マ テ レビ42型
は1998
年 の販 売価 格 を100と
した 場 合 の 、各年 各 月 のそ れぞ れ の数 値 の推移 を表 して い る。 延 岡他(2006)で
は数値 を表 して いな いので具体 的な販 売価 格 は不 明で あ るが 、販 売 価 格 が右 肩 下 が りで あ る ことは読 み とれ る。液 晶 テ レビ32型
は2006年
に50を
割 っ て お り、発 売 か ら約3年
で販 売価 格 は半額 以下 とな って い る。また プ ラズマ テ レビ42
型 は2006年
に20を
割 って い る ことか ら、約8年
で2割
弱 の価 格 にな って い る こ とが 分 か る。つ ま り、延 岡他(2006)に
よ る と薄 型 テ レビ市場 は ヨモデ ィテ ィ化 が 生 じて お り、価 格 競 争が 生 じて いるよ うで あ る。そ の結 果 、近 年 はテ レビ事業 の不振 に苦 し む電機 各社 の再 生へ 向 けた取 り組 みが報 じ られ て い る。例 え ば、 ソニー のテ レビ事 業 は8期
連 続 の赤 字 を計上 した た め経 営資源 を他 事 業 へ移 す ことを表 明 して い る し、東 芝 は コス ト面 で の不 利 を払 しょ くす るた め に国 内生産 か らの撤 退 を表 明 して いる2。 日 立 製 作 所 は既 に国 内生産 か ら撤 退 して お り、パ ナ ソニ ックはテ レビ用 のパ ネル エ場 を5工
場 か ら2工
場 へ集 約 済 み で あ る3。 シ ャー プ は液 晶テ レ ビの不振 が続 き2012年
度3月
期 には約3760億
円の連 結 最 終 赤 字 を出 し、 テ レビの海 外 生産 拠 点 を売却 す る と い う再建 計画 を打 ち 出 して い る4。 この よ うに、日本 を代表 す る家電 メー カー のテ レビ 事 業 は海外 メー カー の安価 な製 品 との差別 化 が 出来 ず 、価 格 競 争 か ら脱 す る ことが 出 来 な か った ので あ り、す な わ ち コモデ ィテ ィ化 か ら脱 す る ことが 出来 な か った ので あ る (e.g.延 岡他,2006)。 そ の結 果 、国 内のテ レビメー カー は 「脱 テ レビ事 業」 に向 け た事 業 再編 を模 索 して い るのが今 の状態 で あ る5。2「
電 機 、 テ レ ビ再 生 へ 大 転 換 J『 日経 産 業 新 聞 』2012年
6月
3「
電 機 、 テ レ ビ再 生 へ 大 転 換 」『 日経 産 業 新 聞 』2012年
6月
4「
シ ャー プ 再 建 猶 予 半 年 」『 日本 経 済 新 聞 』2012年
9月 26
5「
「変 態 」 をた め ら うな 」『 日経 ビジネ ス 』2012年
5月
21日
18日
、2面
18日
、2面
日朝 刊 、3面
pp。 32‐37
図表 1。
1
主 要 デ ジタル 家電 の価 格 推移 や尋 ?T O参 春1 02 幸参 や―凛 摯心 奪碁 奪震 ※見 や す さの観 点 か ら液 晶テ レ ビ32型
とプ ラズ マテ レ ビ42型
の グ ラ フの始 点 と終 点 を矢 印で結 ん で いる。 出所:延
岡他(2006)p.7よ
り加 筆 引用 で は、 上述 のテ レビメー カー は感 性 的価 値や 経験価 値 の構 築 によ る ブ ラ ン ド化 に向 けた 取 り組 み を して こな か った か とい うと、そ うで はな い。例 え ば、 シ ャー プの液 晶 テ レビ0ブ
ラ ン ドの 「AQUOS」
は ブ ラ ン ド化 へ の取 り組 み を積 極 的 に行 い、2005年
には消費者 に感 動 を与 え るブ ラ ン ドと して 高 い評価 を得 て お り、優 れ た マー ケテ ィ ン グ を行 った メー カ ー と して メデ ィア に も紹 介 され て いる6。 また 、ソニ ー の「BRAVIA」
もそ のテ レビCMは
高 く評価 され て いた7。 この よ うに、 国 内 の各 テ レビメー カー は 優 れ た感 性 的価 値 を持 つ製 品設 計や コ ミュニ ケー シ ョンを行 って お り、 ブ ラ ン ド論 の セ オ リー に則 って感 性 的価 値 を訴求 す るマ ー ケテ ィ ング活 動 を行 って きた と思 われ る。 しか し、結 果 は伴 って いな い。 この理 由 を推 定 す る と、 コモデ ィテ ィ化 市場 で は行 う べ き ブ ラ ン ド化 戦略 が、通常 のそれ とは異 な るか らで はな いだ ろ うか とい う漠然 と し6「
「物語性」 が感動 を招 く」『 日経流通新 聞 』2005年
10月
24日
、14面
。 同報 道 で は、消 費者 調 査 によ り感 動 を与 え るブ ラ ン ドの ラ ンキ ング を して いる。 こ こで は調査 対 象 の167品
目の全 ブ ラ ン ドの 中で 「ア クオス」 は2位
とな って お り、品質 に加 えて デザ イ ン性 の評価 も高 い ことが記 され て い る。7「
第17回
CMグ
ラ ンプ リ、2008年
広 告・宣 伝 担 当者 ア ンケー ト」『 日経 流通新 聞 』2008年
12月
26日
、1面
た疑 間が 出て くる。 つ ま り、 コモデ ィテ ィ化 市 場 には何 らか の要 因が存在 し、そ の要 因が マ ー ケテ ィ ング戦 略 の 「機 能 不 全」(小り││,2011,p。
178)や
「伝統 的なマー ケテ ィ ングの限界」(恩蔵 ,2007,p。3)を
生 じさせ て い るの で はな いだ ろ うか 。 もち ろん差 別化 要 因 はマー ケテ ィ ングや ブ ラ ン ド化 だ けで はな い。MOT領
域 で議 論 され るよ うな技 術 によ る差別 化 も当然存 在 す る。 これ らの知見 に従 い、各 国 内テ レ ビメー カー が コモデ ィテ ィ化 を脱 す る ことが 出来 な い理 由 を、製 品設 計 のモ ジ ュール 化8ゃ中間材 の市 場化9に求 め る こと もで き る (延岡他,2006)。 これ らを用 いたデ ジタ ル 家電 市場 で の説 明 は非 常 に説得 力が あ る。 しか し、多 くの市 場 で コモデ ィテ ィ化 は 生 じて いる (e.g.恩 蔵,2007)と
い う指 摘 が正 しいので あれ ば、や は リコモデ ィテ ィ 化 市 場 にお け るブ ラ ン ド化 の あ り方 は従 来 の方 法 とは何 か が 異 な るので あ ろ う。多 く の市場 でモ ジュール化 や 中間材 の市場化 が起 きて い る とは考 え に くいか らで あ る。 一方 で この よ うな市 場 状態 の 中、製 品 の 「使 用状況」 に着 目して ブ ラ ン ド化 を成 し 遂 げた製 品 も存 在 す る。例 え ば、パ ナ ソニ ックの携 帯 用電 動 歯 ブ ラ シ 「ポ ケ ッ ト ドル ツ」 は優 れ たデザ イ ン性 とい う感 性 的価 値 を持 つ製 品で あ り、そ して 同時 に、 歯 を磨 く状 況 (使用 状 況)に
着 目 して製 品設 計や コ ミュニ ケー シ ョン戦 略 が な され て成 功 し た ブ ラ ン ドで あ る。また別 の例 で は、サ ン トリー の 「ザ・ プ レミアム 。モル ツ」は 「小 バ レ」(大崎,2012)と
い う使 用 (飲用)状
況 と製 品 を結 び つ け るマ ー ケテ ィ ング活 動 をす る ことによ り、初 めてそ の高級 感 とい う感 性 的価 値 は、安価 な発泡酒0新
ジ ャ ン ル との重 要 な特 異性 と して顧客 に知覚 され 、差別 化 を確 立 した ブ ラ ン ドとな った10。 す な わ ち、 これ らの事 例 は、 コモデ ィテ ィ化 市 場 で は製 品 を特 定 の使 用状 況 と結 びつ け る こ とで 、感 性 的価 値 に対 す る顧 客 側 の受 け入 れ 基 盤 が確 立 した事例 で あ る と捉 え る ことが 可能 で あ ろ う。脱 。コモデ ィテ ィ化 の諸 施策 と して も使 用状況 へ の価 値 転換 を主 張 す る ものが多 く (楠木 0阿 久 津,2006)、 理 論 的 に も使 用 状 況 の注 目が集 ま って い る。 と ころで 、 ブ ラ ン ド論 で は脱 。コモデ ィテ ィ化 のマ ー ケテ ィ ング戦 略 と して 「経験 価 値 」 に近 年 注 目が集 ま って い る (eog.恩 蔵,2007;青
木,2011)。 従 来 の ブ ラ ン ド価 値 の所 在 は製 品や企 業 にあ った。 一方 、経 験価 値 は製 品 に所在 す るので はな く、製 品 との全 て の接 点 にお け るブ ラ ン ドとの快 楽 的な体 感 に存在 す る と して い る。経験価 値8田
口(2008)に
よ る とモ ジ ュ ー ル 化 とは 「(製品 の)設
計 に お いて 部 品 間 の イ ン タ ー フ ェ イ ス が 単 純 化 す る こ と、 及 び 、 部 品 と部 品 間 の イ ンタ ー フ ェイ ス が 産 業 内 で 広 く標 準 化 され る こ と」(p.2)で
生 じ る も の で あ る。 モ ジ ュ ー ル 化 した 製 品 は 、 そ の 部 品 を調 達 で きれ ば組 み 立 て 段 階 で 技 術 や 知 識 を必 要 と しな いた め 、 参 入 す る企 業 が 増 え る と い う。 しか し短 期 的 に は製 造 コ ス トの 削 減 や 生産 性 向 上 に繋 が る と され て い る (田 口,2008)。9当
該 製 品 を構 成 す る部 品 や デ バ イ ス が 市 場 で 購 入 で き る よ う にな る こ とで あ る (延 岡他 ,2006)。とは「今,こ こで感 じる身体 的 、精 神 的 あ る いは美 的な快 楽 、感 動」(岡本
,2004,p.201)
で あ り、「忘れ られ な い思 い出 に残 る出来事」(岡本 ,2004,p。201)で
あ る。 しか しな が ら、 コモ デ ィテ ィ化 とい う前提 を置 いた 上 で 、経験価 値 マー ケテ ィ ング につ いて検 討 を加 えた研 究 はそ れ ほ ど存 在 しな い。 な ぜ な らば 、 コモデ ィテ ィ化 の要 因 も経 験価 値 が顧 客 に受 け入れ られ 差 別 化 とな る要件 も、考 察 は あ ま りされ て いな いか らで あ る。 経 験価 値 は提 唱 され て 十 余 年 が経 つ もの の、近 年 よ うや く尺度構 築 がな され (伊藤 他 ,2004;Brakus,et al.,2009)、 定 量 的な ア プ ロー チ も始 ま りつ つ あ る状 態 で あ る(eog.壱丹藤他
,2004;
ノk宰,2008a;2008b;Brakus,et al.,2009;Zarantone1lo and
Schmitt,2010)。 従 って 、事 例研 究 な ど定性 的な企 業側 か らの アプ ローチ は多 い もの の 、 消 費者視 点 の定 量 的な デ ー タの蓄積 や検 討 が非 常 に少 な い とい う問題 点 を持 つ。 更 に問題 で あ るの は、経験価 値 は生物 進化 学 的立 場 に立 つ 認知科 学や 哲学や 環 境 心 理 学 な ど比 較 的個 人 間 の普遍 性 を想 定 した理 論 を援 用 して構 築 され てお り、消 費者 行 動 論 に立脚 した経 験価 値 を受 け入れ る消 費者 要 因が 明 らか とな って いな い点 で あ る。従 って 、感 動 的な 出来事 を起 こす必 要性や そ の構 成 要 素 は判 明 しつ つ あ る ものの、 どの よ うな 消 費者 に対 して有効 で あ るのか とい う適 用 条件や 適応 範 囲 は不 明瞭 で あ り、 あ る種 万能 的な捉 え られ 方 が な され て いるよ うに も思 え る。 特 に脱 ・ コモデ ィテ ィ化 の 一施 策 と して 関心 が 高 まって いる以 上 、 コモデ ィテ ィ化 とい う市場状 態 にお け る消 費 者 特 性 に、経験価 値 の消 費者 要 因は合 うもので あ るのか を明 らか にす る必 要が あ るだ ろ う。 先 に展望 を述 べ るな らば、 コモデ ィテ ィ化 市 場 にお いて経験価 値 は差別 化 要 因 とは な りに くい と思 わ れ る。 なぜ な らば、経験価 値 は ブ ラ ン ド化 の具体 論 と して位 置 づ け られ て お り (e.g.青 木 2006)、 ブ ラ ン ド価 値構 造 (eog.和 田
,2002)上
は感 性 的価 値 と類似 した概念であるか らで ある。そ して 、コモデ ィテ ィ化 の要因には、感性的価値 の消費者の動機基盤である製 品関与度の低下が指摘 されて いるか らである (e.g.池 尾, 2010)。 一方 、先 に挙 げた 「ポ ケ ッ ト ドル ツ」 や 「ザ ・ プ レミアム 0モ ル ツ」 は、使 用 状 況 と製 品 を結 びつ け る ことで感 性 的価 値や 経 験価 値 が受 け入れ られ た事例 で あ る。使 用 状 況 には消 費者 の動 機 と して の関与 を駆 動 す る作 用 が あ り、 これ らの製 品 は使 用 状 況 の設定 を通 じて 関与 とい う動機 基 盤 を確保 したた め、感 性 的価 値や経験価 値 は顧客 に 受 け入 れ られ ブ ラ ン ド化 に成 功 した ので はな いだ ろ うか と本 稿で は推測 した。 この よ うに、 メー カー は関与 を駆 動 す る使 用 状況 と製 品 を結 びつ けつつ感性 的価 値 お よび経験価 値 を構 築す る ことで 、消 費者 は ブ ラ ン ドの快 楽 的使 用経験 が思 い出 に残 り積 み重 な る ことで 、 コモ デ ィテ ィ化 市場 にお け る製 品 ブ ラ ン ドの経験価 値 マー ケテ ィ ングは成 立 す るの で はな いか と筆 者 は考 えて いる。10そ
れ ぞ れ の 事 例 の 詳 細 につ いて は 第 二 章 で 述 べ る。しか し、現 状 の経験価 値 マー ケテ ィ ングは 、使 用 を含 めた 消費 プ ロセ ス を包 括 的 に
検 討対 象 とす る ことで 、「経 験 経済 」
(Pine H and Gilmore,1999)の
対 象 範 囲 を、サー ビスか ら製 品 に押 し広 げた と言 うとい う点 でそ の意義 が あ るの に もかかわ らず 、サ ー ビス財や 製 品 の コ ミュニ ケー シ ョン効 果や 総 合 的な ブ ラ ン ド・ マ ネ ジ メン ト結 果 の 測 定 に研 究 の焦 点 が集 中 して いる。す なわ ち、 いか な る使 用 状況 に対す る製 品 の使 用 に価 値 を込 め るべ きか は ほ とん ど考 察 され て お らず 、経験価 値 マ ー ケテ ィ ングの最 大 の意 義 で あ るはず の メー カーヘ の理論 拡 張 が 強 調 され た マー ケテ ィ ング・ コ ンセ プ ト とはな って いな いの で あ る。 従 って 、 いか な る製 品 の使 用状況 に対 して 経 験価 値 を構 築す るべ きで あ るのか を考 察 し、 ブ ラ ン ドが もた らす 経験価 値 と使 用 状 況 の 関係 を考 察 す る ことが 可能 で あ るモ デル を検 討す る。 これ が コモデ ィテ ィ化 市 場 にお け る製 品 ブ ラ ン ドの経験価 値 マー ケ テ ィ ングの探 究 と礎 とな る と筆 者 は考 え る。
1.2目
的 と新 規 性 以 上 の よ うに本 稿 の 目的 は、 コモ デ ィテ ィ化 市 場 にお け る製 品 ブ ラ ン ドの経験価 値 マ ー ケテ ィ ング を探 究 す る ことで あ る。 具体 的 には使 用状況 によ り動機 と して の関与 を駆 動 させ る消 費者 像 の存在 可能 性 を探 り、そ の上 で使 用状況 を組 み込 んだ ブ ラ ン ド・ エ クスペ リエ ンス0モ
デル の いち検 討 を試 み た い。 この 目的 を果 たす た め には二 つ考 察 を行 わ な けれ ばな らな い。 まず 「I:コ
モ デ ィ テ ィ化 市場 にお いて 経 験価 値 マー ケテ ィ ングは成 立 す るのか」、「Ⅱ :コ モデ ィテ ィ化 要 因 と使 用 状 況 は関係 の あ る変 数 で あ るのか」 を考 察 し、そ してそ の 上で 「Ⅲ:使
用 状 況 は ブ ラ ン ド・ エ クス ペ リエ ンス に影 響 を与 え るのか」 を考察 す る必 要 が あ る。 Iを 行 うためには、以下 の三つのプロセスが必 要である。「① コモデ ィテ ィ化 の要因 を先行研究か ら整理 を行 う」、「② 経験価値マー ケテ ィングの先行研究か ら消費者要因 を検 討す る」、「③ コモデ ィティ化要因 とブ ラン ド・エクスペ リエ ンスの消費者要因が 一致す るか しな いか を確認す る」である。③ につ いてはヨモデ ィテ ィ化要因 とブラン ド・エ クスペ リエ ンスの消費者要因は一致 し、経験価値マー ケテ ィングは直接 的には 製品の脱 0コ モデ ィテ ィ化 に貢献 しな い ことを仮定 して いる。 Ⅱを行 うため には、 I一 ① と同様 に 「① コモデ ィティ化 の要因を先行研究か ら整理 を行 う」 こと、そ して新た に 「②使用状況 と消費者行動の関係 を レビューす る」 こと が必要である。 Ⅲを行 うためには、「①使用状況 はブラン ド・エ クスペ リエ ンスの消費者要因を駆動 す るのか を検証」 し、「②そ の変数 を組み込んだブ ラン ド・エクスペ リエ ンス 。モデル の実証」 を行 う必要が ある。 これ らの研究過程 によ りもた らされ る本稿の新規性は、経験価値マー ケテ ィングを 製品へよ り適用 しや す い形へ と変 えるとい う経験価 値マーケティング理論 の昇華であり、具体 的 には使用状況 を組み込 んだ ブラン ド・エ クスペ リエ ンス 0モ デル の提示で ある。 しか しなが ら、本稿では単一 ブラン ドのみ を対象 と してブラン ド・エクスペ リ エ ンス・モデル を検 証 したため、適用範囲の明確化 につ いては限界がある。従 って、 まず は使用状況がブ ラン ド 。エ クスペ リエ ンス に与える影響がある可能性が高 い こと を示す に留 まる。だが、経験価値マー ケテ ィングの文脈で定量調査 を用 い、使用状況 をモデル に組み込み検 討 を加 えた研究 は本 稿が初であると思われ る。
また、副次的な貢献 として① コモディティ化の要因を整理 した点、②使用状況 と状
況的感情関与の関係 を定量調査 した点、③永続的関与 と状況的関与の関係の一例を提
示 した点、④ ブラン ド・エクスペ リエンスの定量的なデータを収集 した点、⑤永続的
関与を組み込んだブラン ド 。エクスペ リエ ンス・モデルを検証 した点である。上述の
どれ も比較的研究が少ない領域であ り、⑤ は本稿では改良前のモデルの位置づけでは
あるが、ブラン ド・エクスペ リエ ンスの適用範囲を示唆するという意味で、意義があ
ると思われる。
本 稿 の 問題 点 と限 界 につ いて は終 章 にて述 べ る。 1。3本
稿 の構 成 と各 章 の 要 約 本 稿 は前述 の プ ロセ ス を七つ の章 に分 けて 実 施 して いる。調査 は大 き く分 けて2度
の定 量調査 を行 って い る。本 稿 の構 成 につ いて は次 のよ うにな る。 第 二 章 で は コモ デ ィテ ィ化 の定義 とそ の要 因 につ いて整理・検 討 を加 えた。 コモデ ィテ ィ化 をテ ー マ と した研 究領 域 はマー ケテ ィ ング領 域 で は相 対 的 に少 な く、 コモデ ィテ ィ化 要 因 の全体 像 の把 握 に努 めた文献 も少 な い。本 章 で は まず コモ デ ィテ ィ化 の 定 義 に対 す る検 討 を加 え、そ の上 で 、既 存研 究 で指 摘 され て いる コモデ ィテ ィ化 要 因 につ いて類 型化 と構 造 把握 を試 み た。そ して 、 コモデ ィテ ィ化 要 因の 内、競 争要 因 と 消 費者 要 因が最 も重 要 で あ る と解 釈 し、 ブ ラ ン ド価 値 の源 泉 た る感 性 的価 値 (和 田,1998;青
木,2011)と
経 験価 値(e.ge Schmitt,1999)の
これ らコモデ ィテ ィ化 要 因 と の適 合性 につ いて検 討 を加 えた。 理論 的 には、感 性 的価 値 は コモデ ィテ ィ化 要 因の う ち競 争要 因は回避 し うる もの の、 コモデ ィテ ィ化 市 場 は消費者 要 因で あ る製 謂!関与 度 の低 下 (青木,2011)と
い うコモデ ィテ ィ化 市 場特 有 の消 費者特 性 を持 つ た め、感 性 的価 値や 経 験価 値 マ ー ケテ ィ ング を用 い るだ けで は脱 0コ モデ ィテ ィ化 は難 しい可能 性 が 高 い と結 論 付 けた 。そ して 、近年 の脱 ・ コモデ ィテ ィ化 の諸 施策 は使 用 状況 で の 価 値 に注 目 して い る ことか ら、使 用状況 と製 品 を結 びつ けた ことによ リブ ラ ン ド化 に 成 功 した二 つ の事 例 を考 察 し、製 品 と結 び つ け る使 用状況 によ って 、低 関与化 の 問題 を解 決 しうる可能 性 が あ る ことを示 した。 従 って 、第 三 章 で は消 費者行 動研 究 にお け る使 用 状況研 究 と関与研 究 を概 観 す る こ とで 、使 用状 況 は関 与 を規 定 す る ことを確 認 した。本 章 で は、 まず使 用 状況 の定 義 をして 、 使 用 状 況 は 消 費 者 の 目的 を定 義 す る こ とで 選 好 や 考 慮 集 合 の 形 成 に対 し影 響 を 与 え る こ とが 明 らか とな っ て は い る。 しか し、 使 用 状 況 の 操 作 に つ いて 多 様 性 が あ り 何 を操 作 して い る の か 不 明 瞭 で あ る と い う問 題 点 が あ る こ と を指 摘 した 。 これ は使 用 状 況 研 究 の研 究 特 性 に よ る もの で も あ る が 、 使 用 状 況 の抽 出 過 程 につ いて 明 言 して い な い点 に 問 題 が あ る と考 え た 。 従 っ て 、 第 五 章 の 事 前 調 査 は 出 来 る だ け詳 細 に 書 くよ う に務 め た 。 また 、 使 用 状 況 と関 与 に 関 す る研 究 は非 常 に少 な い が 存 在 し、 使 用 状 況 に よ っ て 製 品 と 自己 知 識 の 自己 関 連 性 (personal relevance)(Celsi and 01son,1_988)
が 可 変 す る こ と に よ り、 使 用 状 況 に よ り状 況 的 感 情 関 与は 高 ま る こ とが 先 行 研 究 で 確 認 され た
(ChOw,et.al,1990)。
しか し、 この よ うな研 究 は ほ とん ど見 当た らず 、 ま た使 用状況研 究 の 問題 点 で あ る使 用 状況 の抽 出過 程 も明 らか とな ってお らず 、本 稿で は探 索 的 に調査 を行 う必 要性 が あ る ことが 判 った。 そ して 、使 用 状況 は状 況 的感 情 関 与 を高 め る ことは示 唆 され て お りこの よ うな研 究 が進 む ことで 、使 用状 況 によ り駆動 され る消 費者 像 を捉 え うる可能 性 が あ る ことを言 及 し、本 章 の締 め く く りと した。 第 四章 で は経験価 値 マ ー ケテ ィング に関す る研 究 の レビュー と、経験価 値 マー ケテ ィ ングの意 義・ 問題 点 を抽 出 した 。 経 験価 値 マー ケテ ィ ングは Schmitt(1999)に よ り 提 唱 され た マ ー ケテ ィ ング 0コ ンセ プ トで あ り、経験価 値 は体 感 す る感 性 的価 値 と し て位 置 づ け られ る。Schmitt(1999)の 貢 献 は、経 験価 値 の前段 階 と して提 唱 され た 「経験 経 済 」
(Pine H and GilmOre,1999)の
対 象 を、サ ー ビス か ら製 品 に拡 張 した 点 で新 規 性 が あ った 。そ して 、 これ まで の ブ ラ ン ド論 は購 買前・購 買後 に力点 が集 中 して お り、 一 方 、 経 験 価 値 マ ー ケ テ ィ ン グ は 経 験 と い う包 括 的 な 概 念 で 消 費 行 動 プ ロセ ス の 全 て を捉 え 、 製 品 の 消 費 (使用
)を
価 値 の 中 に取 り入 れ た 点 で 意 義 が あ る コ ンセ プ トで あ っ た と筆 者 は 考 え た 。 経 験 価 値 は 、 定 量 的0定
性 的 な ア プ ロー チ に よ り理 論 の検 証 が 進 み つ つ あ り、 あ る 程 度 経 験 価 値 マ ー ケ テ ィ ン グ の効 果 は 明 らか とな っ て い る。しか し問 題 点 も存 在 す る。 第 一 の 問 題 と して 製 品 の使 用 を包 含 しな が ら も、 どの よ うな 使 用 状 況 を 狙 うべ き か と い う示 唆 が 無 く、 経 験 を直 接 演 出 しや す いサ ー ビ ス財 や コ ミュ ニ ケー シ ョ ン効 果 を 中心 に検 討 が 加 え られ て い る こ とで あ る。 す な わ ち 、 製 品 に適 用 可 能 な マ ー ケ テ ィ ン グ・ コ ンセ プ トと して は 改 良 の 余 地 が あ り、 製 品 の使 用 状 況 を加 味 した ブ ラ ン ド・ エ ク ス ペ リエ ンス 0モデ ル を検 討 す る こ とで 、 真 に製 品 ブ ラ ン ドを 対 象 とす る経 験 価 値 マ ー ケ テ ィ ン グヘ の 発 展 可 能 性 が 拓 け る の で は な いか と筆 者 は考 え た 。 第 二 の 問 題 は 、 適 用 範 囲 す な わ ち 、 経 験 価 値 が 成 立 す る 消 費 者 要 因 が 明 らか とな っ て いな い 点 で あ る。 従 っ て 、 脱 0コモ デ ィ テ ィ化 に真 に資 す る か は見 当 が な され て い な い。 現 在 、 経 験 価 値 マ ー ケ テ ィ ン グ は 適 用 範 囲 を 明 らか にす る必 要 が あ る研 究 段 階 に あ り、特 に ブ ラ ン ド・ エ ク ス ペ リエ ンス (以下 、BE)の
消 費 者 要 因 を 明 らか にす る 必 要 が あ る。 な ぜ な らば 、 経 験 価 値 マ ー ケ テ ィ ング は進 化 論 的 な 認 知 科 学 や 哲 学 な ど を理 論 背 景 と して お り、 一 様 に快 楽 的 な 経 験 を望 む 消 費 者 像 を想 定 して いた か らで ある。 しか し、 元 来 消 費 者 行 動 研 究 は 、 例 え ば
SORモ
デ ル の 限 界 が 消 費 者 の 情 報 処 理 能 力 に個 人 差 が あ る 点 に あ った よ う に (清水 ,1999)、 消 費 行 動 に対 す る個 人 要 因 を究 明 して き た 学 問 領 域 で あ る。 当 然BEに
も消 費 者 要 因 が あ る は ず で あ る。BEの
消 費 者 要 因 に注 目 した 研 究 は 少 な いな が ら も登 場 し始 め て い る 。 特 に重 要 な 先 行 研 究 は太 宰(2008b)の
調 査 結 果 で あ る。 同 調 査 を基 に推 定 す る と、 製 品 関 与 度 (永続 的 感 情 関 与)は BEの
基 盤 とな る可 能 性 が 高 い。 しか し これ は体 験 型 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン の効 果 に 関 す る調 査 で あ った 。従 っ て 、製 品 関 与 度 とBEの
関 係 を確 認 し、 同 時 に使 用 状 況 を組 み 込 ん だBEOモ
デ ル の検 討 ・ 検 証 を行 う必 要 が あ る と締 め く く っ た 。 第 五 章 で は 、 これ まで の議 論 か ら使 用状況 を組 み込 んだBEモ
デル を提 示 した 。 こ こで は外 生変 数 と して使 用状 況 と永 続 的関 与が組 み込 まれ て いる点 で、従 前 のBEモ
デル とは異 な る仮 説 モデル を提 示 した。 これ らの関係 を検 証 す るた め に、調 査 を行 う ことに した。 第 六 章 で は、 前 章 で挙 げた モデル の内、製 謂Iの使 用 状況 と状 況 的 関 与 と永 続 的 関与 の関係 につ いて検 証 を行 って い る。対 象 は コモデ ィテ ィ化 傾 向が あ る (も し くは ヨモ デ ィテ ィ化 傾 向が あ った)市場 の製 品 と し、アパ レル 製 品 と ビー ル 系飲 料 を選 択 した。 まず 、事 前調査 の ヒア リング によ り状況 的感 情 関与 が 高 い と思 わ れ る (客観 的)使
用 状況 を抽 出 した 。 そ の結 果 、客 観 的使 用状 況 の内、異性や 友 人な ど 「関係 性 を望 む他 者」 が居 る使 用 状 況 や 、誕 生 日や 楽 しい出来事 な ど 「特別 性」 が あ る使 用 状況 で は着 用 ・飲 用 す るブ ラ ン ドに対 す る こだわ りが 生 じて いた傾 向 にあ った。 この ヒア リング の結 果や後 に定 量 調 査 で使 用す る仮想 的使 用状況 の選定過 程 は、第二 章 の使 用状況研 究 の課 題 と して指 摘 した よ うに、 出来 るだ け紙 面 を割 いて記述 して い る。そ して これ らの 「関係 性 を望 む他 者」 の有 無 と 「特別 性」 の有 無 を操作 した 四つ の仮 想 的使 用状 況 を作 成 し、Webに
よ り定 量 調査 を行 った 。 分 析 は状 況 的感 情 関与・ 状況 的認 知 関与 を 目的 と し、永 続 的 関与 と使 用状 況 を独 立 変 数 と した分 散 分 析 を行 って い る。 そ の結 果 、 アパ レル製 品 で は提 示 した使 用状況 は 状況 的感 情 関与 ・状 況 的認 知 関与 に影 響 を与 え る ことが確 認 で きたが 、 ビール 系飲 料 につ いて は影 響 が 出な か った。 また 、永 続 的感 情 関与・ 永続 的認知 関与 はそれぞ れ状 況 的感 情 関 与・ 状 況 的認 知 関与 に影 響 を与 えて い る ことが示 唆 され た。 ビール 系飲 料 につ いて は提 示 した使 用状況 は ビール 系飲 料 に適 合 して いな い可 能 性 が あ った た め、 事 前 調 査 で 明 らか とな って い る 「関係 性 を望 む他 者」 と 「特別 性 」 につ いて他 の使 用 状 況 を用 いて追 加 調 査 を行 った 。 そ の結 果 、 ビール 系飲 料 で もアパ レル 製 品 と同様 に ほ ぼ仮 説 を支持 す る結 果 とな った 。従 って 、使 用状 況 は状 況 的感 情 関与 。状 況 的認 知 関 与を駆 動 す る ことが確 認 で きた 。 第 七章 で は永 続 的 関与 と状況 的 関 与がBEに
与 え る影 響 を考 察 す るた め に定 量調 査― ル 系飲 料 市 場 の ブ ラ ン ド
Aを
対 象 に して 、BEと
永 続 的 関 与 (感情 ・ 認 知)と
日々 の使 用 (飲用)状
況 を測 定 した 。 尚 、 こ こで は 前 章 の 調 査 で 状 況 的 感 情 関 与 に影 響 を 与 え た 使 用 状 況 で 飲 用 して い る傾 向 を以 て 、 状 況 的 感 情 関 与 を測 定 して い る。 分 析 は 共 分 散 構 造 分 析 を採 用 し、 永 続 的 関 与 と使 用 状 況 (状況 的 関 与)を
組 み 込 ん だBEモ
デ ル と比 較 モ デ ル と して 永 続 的 関 与 の み を組 み 込 ん だBEモ
デ ル を検 証 して い る。そ の結 果 、使 用状況 を組 み込 んだBEモ
デ ル が 比 較 モデ ル よ りも適 合 度指 標 が 大 き く優 れ て お り、使 用 状 況 を組 み込 んだBEモ
デ ル が採 用 され た 。 当モ デル か ら、 永 続 的 関与 は使 用 状 況 にお け る状 況 的感 情 関与 を媒介 してBEに
対 して影 響 を与 え る ことが判 明 した。従 って 、 コモデ ィテ ィ化 市場 にお いて 、BEの
構 築 を 目指 す 経 験価 値 マ ー ケテ ィ ングは 、BEは
感 情 関与 を必 要 とす る ことか ら、成 立 しに くい ことが 明 らか とな った 。 第 八 章 で は 、 当研 究 で 明 らか とな ったBEモ
デル の特 徴 と意 義 を提 示 し、 マー ケテ ィ ング 0イ ンプ リケー シ ョンにつ いて述 べ 、本 稿 の限 界 と課 題 を述 べ て本 稿 を締 め く くった 。 尚、以 降 の各 章 の 関係 と主 要 な概 念 関係 を図示す る と図表 1。1、 次 頁 図表 1.2の よ うにな る。 図表1.1第
二 章 以 降の 関係 図 第 二章:コモディティ化 とその要 因 第四章;経験価値マーケティングの 現状と課題 第五章i使用状況を組み込んだブラ ンド・エクスペリエンス・モデル 第六章:使用状況と状況的関与に 関する探索的調査とその結果 第六章i使用状況を組み込んだブラ ンドエクスペリエンスモデルの検証 第八章:おわ りに 出所 :筆者 作 成製品(束1激 )要因 コモディティ化 消費者要因 図 表
1,2主
要 な 概 念 関 係 図 出所 :筆 者作成 では、 まず第二章 にて コモデ ィテ ィ化 の定義 と要因を中心 に検 討 を加 えて いこう。2。 コ モ デ ィ テ ィ 化 と そ の 要 因 コモデ ィテ ィ化
Hは
消 費 者行 動研 究 や ブ ラ ン ド論 にお け る根 本 的な 市 場 課 題 で あ る。 なぜ な らば、 コモ デ ィテ ィ化 は基 本 的 に商 品 間 の 同質化 を指 す もので あ り、 マ ー ケテ ィ ングの基 本 は差 別 化 自体 にあ るか らで あ る (高嶋,2011)。 従 って 、マ ー ケテ ィ ング 領 域 にお いて も今 日的市 場 課題 と して コモ デ ィテ ィ化 は取 り上 げ られ る ことが 増 えて きて い る。 コモ デ ィテ ィ化 とい う単語 を取 り上げ 市場課 題 とす るのな らば、 コモ デ ィ テ ィ化 の要 因 は続 いて展 開 され る新 たな理 論や 諸施策 を適 用す る市 場 の前提 条件 とな るはず で あ る。 しか しな が ら、 コモデ ィテ ィ化 の要 因 を整理 した 上 でマ ー ケテ ィ ング 研 究 や 理 論 を展 開 した 文献 は少 な い と思 わ れ る12。 本 章 で は消 費 財 市 場 を 中心 と した コモデ ィテ ィ化 につ いて 、そ の要 因 を 中心 に整理 を行 う。 なぜ な らば、 コモデ ィテ ィ化 とい う市場現 象 はそ の関心 の高 さ とは裏 腹 に、 定 義 や 要 因 につ いて の レビューや 考察 は少 な いか らで あ る。特 に コモデ ィテ ィ化 の要 因 につ いて 整 理 し一考 察 を加 え る ことは、今後 の消 費者 行 動論や ブ ラ ン ド論 の発 展 に 資 す る可能 性 が 高 い と考 え る。本 章 は コモ デ ィテ ィ化 の新 た な 要 因 を明 らか とす る こ とや 、 コモデ ィテ ィ化 に対 す る新 たな解 決策 を提 示 す る ことを 目的 と しな いた め 、 コ モ デ ィテ ィ化 の知見 に関す る直接 的な新規 性 はな い。 しか し、既 存研 究 の整 理 を試 み る ことで マ ー ケテ ィ ング理 論や ブ ラ ン ド論や 消 費者 行 動研 究 の発 展 に間接 的 に貢 献 で き る と考 え る。 本 章 は以下 の よ うに展 開 され る。 まず 、 コモ デ ィテ ィ化 の定 義 につ いて検 討 を加 え る。既 存研 究 にお け る多 様 な定 義 を示 した うえで 、対 象・要 因・弊 害 を分別・明記 し、 コモ デ ィテ ィ とは何 た るか を把握・検 討す る ことによ って 、 よ り明示 的な定義 づ けを 試 み る。 続 いて 、 コモ デ ィテ ィ化 の要 因 につ いて類 型化 を行 い、 要 因の全体 像 を描 写 す る ことを試 み る。 こ こで は コモデ ィテ ィ化 要 因 は消 費者 要 因、競 争要 因、企 業 要 因 の三 つ の次 元 によ り類 型化 され 、 これ らは相 互 に関連 す る とい う全体 像 が描 かれ る。11小
り││(2011)に
よ る と コモ デ ィテ ィ化 の英 語 表 記 に は"commoditization" と"commOdiication"が
存 在 す る と い う。前 者 は マ ー ケ テ ィ ン グ な い し経 営 学 領 域 にお いて 使 用 され る いわ ゆ る コ モ デ ィテ ィ化 に相 当 し、 後 者 は 「商 品 化 」(cf.Kopytoff,1985)に
相 当 す る と指 摘 して い る。 よ って 、 本 稿 にお い て も レ ビ ュ ー で は"commOditization"を 対 象 と して い る。 しか し、"commoditization"も 商 品 化 を指 す 場 合 もあ る た め (e.go Hirschman and Hill,2000)、 本 稿 に お いて 考 察 の 対 象 と して い る の は 、"cOmmOditizatiOn"の 表 記 の うち 、 商 謂』化 を指 す もの 以 外 を対 象 と して い る 。12関
連 す る指 摘 と して 、 コ モ デ ィテ ィ化 と い う市 場 状 況 で は 、「マ ー ケ テ ィ ン グ 戦 略 が 機 能 不 全 を起 こ して い る」(小り││,2011,p。178)と
い う指 摘 や 、既 存 「マ ー ケテ ィ ン グ活 動 の修 正 」 が 必 要 で あ る と い う指 摘 (高嶋,2011,p.29)、 「伝 統 的 な マ ー ケテ ィ ン グ の 限 界 」(恩蔵 ,2007,p。3)と
い う指 摘 が あ る。仮 に これ まで の マ ー ケ テ ィ ン グ戦 略 が 効 力 を発 揮 して き た とす る の で あれ ば 、 コ モ デ ィ テ ィ化 と い う市 場 の 要 因 に よ って これ らの現 象 が 生 じて い る と思 わ れ る。 従 っ て 、 コモ デ ィ テ ィ化 の 要 因 を検 討 した 上 で マ ー ケ テ ィ ン グ の 在 り方 を検 討 す る必 要 が あ る と考 え る。そ して 、 これ らの要 因 を元 に脱 ・ コモ デ ィテ ィ化 の諸施 策 につ いて い さ さか の検 討 を 加 え 、使 用 状 況 の設 定 によ る成 功 事 例 を
2例
紹 介 し本 章 を締 め く く りた い。2.1コ
モ デ ィテ ィ化 とは何 か 2.1。1コ
モ デ ィテ ィ化 の定義 の現 状 コモデ ィテ ィ化 の定義 は様 々な ものが存在 してお り統 一見解 は無 い。例 えば、 コモ デ ィテ ィ化 の定 義 つ いて 国 内論 文 を対 象 に レビュー を行 った 小川(2011)に
よ る と、 コモデ ィテ ィ化 は多 義 的で曖 味な概 念 で あ る と述 べて い る。 また伊藤(2007)は
「販 売価 格 が下 が り続 け企 業収益 が確 保 で きな い場合 に使 用 され る用 語 で あ るが厳 密な定 義 はな い」(p.95)と
指 摘 して い る。 更 には、 コモデ ィテ ィ化 とい う概 念 を使 用 す る も、そ の定 義や 何 を指 して いるのか を示 さず に議 論 を行 って い る研 究 が あ る とい う指 摘や 、効 果 や 要 因が混 在 した定義 が存在 す る とい う指 摘 が あ る (小川 2011)。 また 、 海 外 文献 にお いて も国 内 と同様 で あ り、 コモデ ィテ ィ化 の定 義 につ いて はあ ま りな さ れ て いな いよ うで あ る。 図 表2.1
コモ デ ィテ ィ化 の 主 な 定 義 一 覧 論 者 コモデ ィテ ィ化 の定義 青 木 (2011) 「一般 的 に、差別 性 が無 く価格 競 争 に陥 りや す い商品の こと を 「コモデ ィテ ィ」 と呼 び 、そ の様 な企 業 間 で の模 倣や 同質 化 の結 果 、製 品 間 で の差 別 性 が失 わ れ て い く状 況 を指 して コ モ デ ィテ ィ化 と呼 ぶ」 (p.287) 伊 藤(2005)
「市場 が拡 大 し、旺盛な需 要が存在 す るに も関わ らず適正利 潤 が 確 保 で き な くな る ほ ど価 格 が 急 激 に 低 下 す る 現 象 」 (p.25) 伊 藤(2007)
「コモデ ィテ ィ化 は、製 品品質 の同質化 0成 熟化 による平均 販 売価 格 低 下 」 お よ び 、 「製 品品質 の向 上が価 格 へ十分 に転 嫁 され な い とき に認 識 され る現 象」 (p.95) 栗 木(2009)
「類似 の製 品や サ ー ビスが数多 く存在 す るな かで、企 業が価 格 に訴 え る競 争 か ら脱 す る ことが 出来 ず 、利 益 水 準 が低下 す る現 象」(pp.61-62)
楠 木(2006)
「 「価 格 」 と い う最 も特 定 しや す く、沢1定 しや す く、 普 遍 的 で 安 定 的 な 次 元 で 製 品 の価 値 が 決 ま る と い う状 態 」 (p。10) 楠 木 ・ 阿 久 津 (2006) 「あ る 商 品 カ テ ゴ リー に お け る 競 合 企 業 間 で 製 品 や サ ー ビ ス の 違 い が 価 格 以 外 に は な い と 顧 客 が 考 え て い る 状 態 」 (p。4)Matthyssens and
Vandenbempt(2008)
「競 争 的差 別 化 可 能 性 を浸 食 し、結 果 と して あ らゆ る組 織 の 財 務 状 態 を 悪 化 させ る 動 態 的 な プ ロセ ス 」 (p.31) /1ヽり││(2011)
「製 品や サ ー ビス の 間 に価 格 以 外 の違 いが 無 い (これ は稀 な こ とだ と思 うが)、 また は 、違 いが あ っ て も 買 い 手 に と っ て は 同 等 とみ な して も 問 題 な い 市 況 商 品 の 様 な 状 況 に 製 品 が 陥 っ て しま う こ と」 (p.183) 恩 蔵 (2007) 「企 業 間 にお ける技術 水準 が次第 に同質化 とな り、製 品やサ ー ビス にお け る本 質 的部分 で の差別 化 が 困難 とな り、どの ブ ラ ン ドを取 り上 げ て み て も顧 客 側 か らす る と ほ とん ど違 い を見 出す ことので きな い状 況」 (p.2)Relmann
et al.(2010) 「競 合 製 品 の類 似 性 の増 加 、顧 客 の価 格 反 応 度 の増 加 、ス イ ッチ ン グ・ コス トの 減 少 、競 争 構 造 の安 定 性 の 増 加 に よ って 描 写 され る」 市 場 の 状 態 変 数 (p。189) 延 岡他 (2006) 「参入企業 が増加 し、商 品 の差別化 が 困難 にな り、価 格 競争 の結 果 、企 業 が 利 益 を上 げ られ な い ほ ど に価 格 低 下 す る こ と」 (p。24) 竹 之 内 (2008) 「企 業 間 で の模 倣 行 動 や 競 争 の結 果 、製 品 間 の 差 別 化 可 能 性 が 失 わ れ 同 質 化 して い く状 況 」 (p.44) 内 海 (2009) 「パ ッ ケー ジ ド 質 に変 わ る こ と」 グ ッズ が 市 場 にお いて 一 次 産 品 の よ うな 性 (p。120) コモデ ィテ ィ化 の定義 方法 につ いて は大別 して二 つ の方 法 が あ る。 一つ は直接 コモ デ ィテ ィ化 を定 義 した もので あ り (e.g.延 岡他,2006)、 今 一つ は ヨモ デ ィテ ィ とい う 単 語 を定 義 した 上 で 、コモ デ ィテ ィ とは何 か を定 義 した もので あ る (e.g.小 り││,2011)。 また 、コモ デ ィテ ィ化 の対 象 につ いて は製 品・ブ ラン ドを指 す もの (eag.恩 蔵 2007; 小 り│12011)、 市 場 全体 を指 す もの (e.g.伊 藤2005;内
海2008;Greenstein,2004;
Reimann et al.,2010)の
二 つ が あ る。 つ ま り、市場全体 の傾 向で あ るのか、個別企 業 (個別 製 品/ブラ ン ド/サー ビス)の
傾 向 で あ るの か二 つ の解 釈 が 存 在 す る。 更 に、 製 品 0ブ ラ ン ド間 が 同質 的 とな る要 因 につ いて含 め る ものや (eog.恩 蔵2007;延
岡他, 2006)、 コモデ ィテ ィ化 の弊害 まで を含 む ものや (e.g.伊 藤2005;2007,栗
木 2009)、 独 自の視 点 か ら定 義 を行 って いる もの(e.ge伊
藤2005;2007,
楠 木2006)が
あ る。 一方 、定義 の多 くにお いて共通 して いる点 は製 品0ブ
ラ ン ド間 の 同質化 とい う現 象 と、そ れ によ る弊 害 で あ る、価 格 競 争 によ る収 益 性 の圧 縮 で あ る (小川,2011)。 本 稿 で は、 まず コモ デ ィテ ィ化 の対象 に関 して は市場全体 の傾 向 と して捉 え る こと とす る。仮 に コモ デ ィテ ィ化 が個別 企 業 を対 象 とす る もので あ るな らば、競合企業 の自社 製 品 の模 倣 と い う競 争 対 応 を指 す もの で あ り、 改 め て コモ デ ィ テ ィ化 と名 付 け考 察 をす る必 要 は な い か らで あ る1314。 また 、 コモ デ ィテ ィ化 を非 コモデ ィテ ィか らコモデ ィテ ィの よ うな 市場状態 と しな る こ と と して 捉 え るな らば15、 コモ デ ィテ ィ とは何 た るか を考 察 した 上 で コモデ ィテ ィ化 を定 義 しな けれ ばな らな い。 従 って 、 これ を考 察 す る。 2.1.2.コ モデ ィテ ィ化 にお ける コモデ ィテ ィ 近年 の研 究 にお いて は、コモ デ ィテ ィ を市況 品 と捉 え る立 場 (e.g.Christensen and
Raynor,2003;小
川,2011;高
嶋,2011)、 第 一 次産 業 生産 物 と捉 え る立場 (e.g。 内海, 2008)、 一般 的 に価 格 競 争 に陥 りや す い商 品 (竹之 内,2008;青
木,2011)と
捉 え る立 場 が 主 に存 在 す る。 コモデ ィテ ィ化 の初 期 の研 究 にお いて もコモデ ィテ ィ と非 コモデ ィテ ィの対 比 によ って コモデ ィテ ィ化 は考 察 され て い る。 コモデ ィテ ィ化 とい う研 究 文脈 にお いて 、 コ モ デ ィテ ィに焦 点 を 当て た初 期 の考 察 と して は Shapiro(1987)が 挙 げ られ る16。 同論 文 で は ヨモ デ ィテ ィ と対 称 をな す もの と して 専 門 品 (specialty)を 取 り上 げ、 専 門 品市 場 が コモデ ィテ ィ市場 に変化 す る要 因 を提 示 して いる。ここで の専 門品 とは、 利 便 性 、入 手 可能 性 、機 能 性 、信頼 性17にょ って販 売・購 買が な され る もので あ る18c つ ま り、何 らか の価 値 によ って差別 化 がな され 、そ の価 値 によ って購 買意思 決定 がな 13小 り││(2011)も
企 業 の収 益 性 の圧 縮 と言 う弊 害 の最 大公 約 数 を以 て定義 とす る こと は、「そ もそ も 「コモ デ ィテ ィ化 」 と名付 け る必 要 は生 じず 、 これ だ けで は 「コモデ ィ テ ィ化 」 とい うネー ミ ング に意 味が見 出せ な い」(p.182)と
指 摘 して い る。14対
象 を市 場 と して捉 え る別 の理 由は、市 場 を製 品 。ブ ラ ン ドの集 計 と して捉 え るな らば、 各製 品・ ブ ラ ン ドの傾 向 の集 計 は市 場 全体 の傾 向 を指 す こと とな るた め 、個 別 企 業・ 製 品・ ブ ラ ン ドを対 象 と した定 義 と も削 館 をきた さな いた めで あ る。 15内 海(2009)は
「コモデ ィテ ィ化 とは “コモデ ィテ ィ(commOdity)"十
“化"と
い う、二 つ の語 (英単語 と表 意 文字)を
つ な げた造 語 で あ る」(p.119)と
指 摘 して い る。16 “
cOmmoditization"と
い う記述 は行 って いな いが 、“commOdity magnet"と
い う表 記 を用 いて 、専 門 品市場 が コモデ ィテ ィ市場へ移 行 す る要 因 を検 討 して いる。従 っ て 、 コモ デ ィテ ィ化 を検 討 した論 文 で あ る。 17 shapirO(1987)で は 「関係性 (relationship)」 とい う単 語 を使 用 して いる。 こ こで の 関係 性 とは、製 品 の性 能や 付 随す るサ ー ビス によ る問題解 決能 力 を指 してお り、和 田
(2002)の
製 品 の信 頼 性 を指 す もので あ る と考 え られ る。従 って 、ブ ラ ン ド論 の 関 係 性 との混 同 を避 け るた め に、信 頼 性 と こ こで は表 記 す る。18初
期 の研 究 と して は、Unger(1983)に
お いて もコモ デ ィテ ィ と専 門品 を対 比 した 考 察 を行 って い る。 こ こで の議 論 は化 学 薬 品産 業 の考 察 で あ るが 、多 くの産 業 に適 応 で き る もの と同論 文 で は指 摘 して い る。 こ こで は製 品 を取 引量 の大 き さ と差別 化 の程 度 によ って4つ
に類 型 し、差 別 化 な され ず 大 量取 引が な され る もの を真 の コモデ ィテ ィ(true commOdities)、 差 別 化 され 少 量取 引がな され る もの を専門材 料/製品(specialty
され る商 品 を ここで は専 門品 と呼 ん で いる。 一方 コモデ ィティとは、一義的に価格 によって購 買意思決定がな され るものであ り 以下 の四つ の特徴が あるとして いる。①製 品/サー ビスが複数存在す る こと、②選択肢 内の製 品/サー ビスが正確 に比較可能 で ある こと、③購 買者が製品/サー ビスの質 の測 定や特性 の評価 に確信 を持 って いる こと、④購 買者が製品/サー ビスの購 買に対す る知 覚 リスクが低 く、専 門品 に見 られ る四つ の価 値 につ いてわずかな関心 しか持たな い こ とである。そ して、究極 的な コモデ ィテ ィは商品取 引所 の穀物売 り場 に見 られ ると述 べて いる (ShapirO,1987,p.5)。 つ ま り、 ここではコモデ ィテ ィとは市況品で あると捉え られて いる。 しか し、 コモ デ ィテ ィ市場は二つ の種類が存在す る とい う。純 コモデ ィテ ィ
(pure commodities)
市場 と価格/パ フォーマ ンス 0コ モデ ィテ ィ(price/performance commodities)市
場 である。純 ヨモデ ィティ市場 とは、それぞれ の商品にお いて標準的な仕様があ り、製 品 ライ ンや等級 がほ とん ど無 い市場である。一方 、価格/パ フォーマ ンス・ コモデ ィテ ィ市場 は、商品のパ フォーマ ンス と価格 を考慮 しなが ら、購 買意思決定がな され る市 場である。純 コモデ ィテ ィ市場 にお いては価格 のみ によって購 買意思決定がな され る が、価格/パ フォーマ ンス0コ モデ ィテ ィ市場 にお いては商品のパ フォーマ ンスあた り の価格 を競合商品間で比較す る ことによって購 買意思決定がな され る。従 って、価格 の重要度は純 コモデ ィテ ィ市場の方が、価格/パ フォーマ ンス・コモデ ィテ ィ市場 よ り も高い と指摘 して いる。また専門品市場は価格/パ フォーマ ンス・コモデ ィテ ィ市場 を 経て純 コモデ ィテ ィ市場へ と変遷す る と指摘 されて いる。 以上よ り、 コモデ ィテ ィ化 にお けるコモデ ィテ ィとは市況 品を表す単語である。 ま た、非 コモデ ィテ ィ とは専門品であ り、専 門品市場 とは何 らかの価値 (パ フォーマ ン ス)に
よ り差別化がな された商品 によって構成 され る市場であ り、相対的にパ フォー マ ンスや価値 によ り購買意思決定がな され る市場であると考 え られ る。つ ま り、コモ デ ィテ ィ化 にお けるコモデ ィテ ィとは、市況品そ の ものを指す ものではな い。なぜな らば ShapirO(1987)で 指摘 され るよ うに、程度 の問題があるか らである19。 ここでの コモデ ィティとは、純粋な コモデ ィテ ィ (市況 品)だ
けでは無 く、パ フォーマ ンスや 価値 あた りの価格 によって購 買意思決定がな され る もの も含む。 コモデ ィティ化 とい う単語 にお けるコモデ ィテ ィとは、あ くまで特徴 によって描写 され る概念であ り、代 替 しうる複数 の商品が存在 し、パ フォーマ ンスや価値 と価格 につ いて正確 に比較が可 能であ り、確信 を持 って評価 がな され るものであ り、購買者が抱 く知覚 リスクが低 く19同
様 な 主張 と して 、恩 蔵(2007)で
は 「中程 度 な コモデ ィテ ィ」(p.41)と
表 現 し て お り程度 問題 と して把握 で き る ことを示 して いる。更 に Reimann,et.al。 (2011)は 連 続 変 数 と して コモ デ ィテ ィ化 の程度 を捉 え、 コモ デ ィテ ィ化水 準 の尺度 を開発 して い る (詳細 は後 述)。い とい う特徴 を持`つ概 念 的 商品で あ る と考 え られ る。 従 って 、 コモ デ ィテ ィ化 とは差別 化 され た価 値 を基 準 に購 買意思 決定 がな され て い た 商 品市 場 が 、純 コモデ ィテ ィや価 格/パ フ ォー マ ンス 。コモデ ィテ ィの よ うに、よ り 価 格 に比 重 を置 いた 購 買意 思 決定 が な され るよ うにな る ことを指 して いる。 言 い換 え れ ば、 コモ デ ィテ ィ化 は商 品が 同質 的 と顧 客 にみ な され る ことや パ フ ォー マ ンス あた りの価 格 の商 品 間比 較が容 易 にな る ことによ り、競 争次 元が以 前 よ り価 格 に集 中す る よ うにな る現 象 で あ る。 また 、 商品 間 は異 質 で あ って もそれ が顧 客 に とって重 要な次 元 で な けれ ば、 当然 差別 化 され た 商 品 (専門 品
)と
はな らな い (Porter,1985)。 2.1.3.コ モデ ィテ ィ化 の定 義 と特徴 以 上の議 論 よ りこ こで の コモデ ィテ ィ化 の定 義 を示す。 コモデ ィテ ィ化 とは市 場 の 動 向 を示 す概 念 で あ り、専 門品 の よ うに差 別 化 され た 商 占11によ って 形成 さオ1´て いた 市 場 が 以 前 よ り同質 的 とな る こと、 も しくは 異 質 で あ って もパ フ ォー マ ンス 当た りの価 格 の比 較 が容 易 にな る こと、 異質性 の次 元 の重 要度 が低 く顧 客 に とって 同質 的 と捉 え られ る ことによ り、競 争次 元が以 前 よ りも価 格 に集 中す るよ うにな る ことで あ る。 また こ こで の コモデ ィテ ィ とは市況 品 のみ を指 す もので は無 く、商 品 の特 徴 によ り 定 義 され る概 念 で あ る。 こ こで の コモデ ィテ ィ とは価 格 によ リー義 的 に購 買意 思 決定 が な され る もので あ り、代 替 しうる複 数 の商 品が存在 し、標 準 的な製 品 仕様 が定 まっ て お り、 消 費者 は商 品 の評価 ・ 比 較 が確 信 を持 って行 う ことが で き、購 買意 思 決定 に 対 して 知覚 リス クが 低 い とい う特徴 を持 つ 商 品 を指 す 。 また 、 コ モデ ィテ ィ化 には水 準 が存 在 し、究極 的 に コモデ ィテ ィ化 した 市 場 で は、市況 品 のよ うに価 格 のみ によ っ て購 買意思 決定 が な され るが 、 中間点 にお いて はパ フ ォー マ ンス に対す る価 格 よ って 購 買意 思 決 定 が な され る。 コモデ ィテ ィ化 の水 準 が 高 けれ ば高 いほ ど、相対 的 に購 買 意 思 決定 にお け る価 格 の重 要度 が 高 くな る。そ して 、 コモデ ィテ ィ化 の弊 害 は価 格 競 争 によ る各企 業 の収 益 性 の圧 縮 で あ る。 2.1。4.コ
モデ ィテ ィ化 が注 目され る理 由 また 、考 慮す べ き点 は何 故 近年 コモデ ィテ ィ化 とい う現 象 が今 日的市 場 問題 と して 注 目され る ことにな った のか とい う点 で あ る。 マー ケテ ィ ング領 域や 経 営 計画 領 域 に お いて 、 コモデ ィテ ィ化 とい う単 語 を使 用 した論 文 は1990年
後 半 よ り増加 し始 め 、 そ の後 毎 年 一定 数 の使 用 が見 られ る20。 そ の理 由 と して考 え られ るの は、適 用 市 場 の 広 さ と市 場 の 成 熟 化 の 早 期 化 (大橋 ・ 高 辻,1994;原
田1996;Matthyssens and
20 「PrOQuestCentral」 }こて了Marketing''と
"Planning
を"commoditization"で キー ワー ド検 索 した
(2012年
"領域 の学 術 論 文