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単純鋼床版箱桁橋架設における工法に関する一考察

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Academic year: 2022

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単純鋼床版箱桁橋架設における工法に関する一考察

東日本旅客鉄道(株) 東北工事事務所 正会員 ○田實 渉

はじめに

宮城県が計画する道路事業の一部において、東北本線を跨ぎ道路橋の上下線の桁を並列で架設する計画があ る。鉄道上空での桁架設という条件に加え、隣接工区との競合や作業ヤードの広さなどの制約条件がある中で の桁架設の工法選択についての考察を述べる。

1.プロジェクト概要

宮城県では、東北本線で交通が分断されている名取市の均衡ある発展を図るため、また、震災時の避難用道 路整備のため、東西を連絡する立体的な道路の整備が必要不可欠とされている。本プロジェクトは、宮城県が 計画する東北本線と増田川を越える延長約 250m、幅員約 25〜35mの道路の高架区間のうち、線路交差部分(L

=46.0m)を当社で受託施行する計画のものである(図1、2)。

2.桁架設概要

今回架設を計画するこ線橋は、単純鋼床版箱桁 のスパン約 45mの上下線分離 桁2連である。1連あたりの重量は約 200t、道路線形は R=1000m の曲線である が主桁は直線の各2主桁である。図1,2において塗りつぶした範囲が弊社で施 工する範囲である。鉄道上空という施工条件の下、安全性を確保しながら短時間 で施工を行うことが最大の課題となるため、架設方法の選択が非常に重要となる。

3.桁架設における制約条件

鉄道線路上空で桁架設を行うにあたっては、列車の安全・安定輸送を確保の観点から、列車が当該区間を走 行しない措置(線路閉鎖)および架線への電気の通電を停止する措置(き電停止)を取り施工する。通常、これ らの措置をとれる時間帯は、列車運行の少ない夜間となるが、当該区間は旅客列車以外に貨物列車等が走行す ることから線路閉鎖およびき電停止の時間は 1.5 時間程度しか確保出来ない。また、鉄道上空という条件に 加えて、事業全体の工期を考えた隣接工区との施工時期の調整、踏切を含む現道の交通への支障を与えないよ うにする必要があること、A1 側の作業ヤード幅が狭いことなど様々な制約条件がある。

4.桁架設工法の検討

はじめに、以下の第一案〜第四案の施工方法を考えた。(表1)

第一案:上り線送出し+横取り⇒下り線送出し 第二案:下り線送出し⇒上り線縦取り+横取り 第三案:上り線送出し⇒下り線:送出し 第四案:クレーン架設(800tクレーン)

鋼床版箱桁

45.5m

東北本線 盛岡方

東京方

A1橋台

P1橋脚

26.3m

キーワード:狭隘作業、施工順序

連絡先:〒980-8580 宮城県仙台市青葉区五橋

1-1-1 TEL:(022)266-9660 FAX:(022)262-1487

図2 全体概要図

図1 こ線橋平面図

奥州街道飯野坂踏切

側 道 東 北 本 線 旧 国 道 4 号 旧 国 道 4 号 ア プ ロ ー チ 増 田 川

市 道 1 号

A1 P1 P2 P3 P4 A2

鋼床版箱桁 3径間連続箱桁 鋼床版箱桁

45.0m 146.0m 55.0m

高架橋延長

246.0m

IV-7

土木学会東北支部技術研究発表会(平成24年度)

(2)

第1案 Ⅰ.上り線桁:送出し+横取り工法 第2案 Ⅰ.下り線桁:送出し工法

Ⅱ.下り線桁:送出し工法 Ⅱ.上り線桁:縦取り+横取り工法

安全性

(線路上空作業 )

高い位置での横取りが不要

経済性

上下線桁とも補強が必要

線路上空作業の日数が短い

上り線桁の送出しが不要

総合評価

△ ○

工期

上り線桁架設完了 下り線桁架設完了 下り線桁架設完了 上り線桁架設完了

大きく分類すると、主に手延べ機を使用した送り出し架設を行う第一案〜三案と、大型クレーンを使用した 第四案の二つの工法がある。ヤードの広さと桁の勾配の関係により、第一〜三案は A1 側が作業ヤードとなり、

第四案は P1 側が作業ヤードとなる。

次に、各方法の実現可能性の検討を行った。第三案は上り線送出し施工時に、現道の交通を支障する。踏切 からの距離や作業スペースの問題で道路の切り回しが非常に難しいため、通行止め等の処置が必要となり周辺 の交通に与える影響が大きい。一方、P1側ヤードを使用する第四案は、準備工を含めた桁架設作業時に、全 体工程のクリティカルとなる三径間連続桁の施工ができないため、工期が大幅に伸び全体工期を満足できない。

そのため今回は、周囲に影響を与えず施工可能な第一案と第二案の詳細比較を行う。

第一案、第二案の詳細検討結果を表2に示す。第一案は、上り線桁を送り出し横取りを行い、同じ位置で下 り線桁を送り出すのに対し、第二案は下り線桁を先に送り出し、その桁の上で上り線桁の軌条設備等を利用し た縦引き・横取りを行うものである。

① 安全性(線路下上空作業)

本検討では、安全性を線路下上空作業について評価することとした。第二案は、上り線桁の送り出しが不要 となり作業工程の短い縦取りで済むため、線路下上空作業の日数が少なくなる。しかし、上り線桁を高い位置 で横取りする必要があるため、耐震設備等に留意する必要がある。

② 経済性

縦取り・横取りの設備は必要となるが、手延べ機の使用期間が短くなる第二案が有利となる。また、送り出 しが不要となることで、上り線については、桁の補強も不要となる。なお、上り線桁縦引きによる下り線桁の 補強も不要である。

③ 工期

手延べ機の組立て・解体が1回で第二案が有利となる。

これらの検討を踏まえると、高い位置での横取りが必要となるものの、線路上空作業日数、工期、経済性と もに優れる第二案が優位であると考えられる。

おわりに

本報告では線路上空での桁架設計画の工法比較について報告した。本工事は来年度から工事着手する計画と なっており、よりよい施工計画の策定へ向け、引き続き検討を行う所存である。

2

架設方法の検討結果 表1 架設方法の概要

第一案 Ⅰ.上り線桁:送出し+横取り工法 第二案 Ⅰ.下り線桁:送出し工法 第三案 Ⅰ.下り線桁:送出し工法 第四案 Ⅰ.下り線桁:クレーン架設

Ⅱ.下り線桁:送出し工法 Ⅱ.上り線桁:縦取り+横取り工法 Ⅱ.上り線桁:送出し工法 Ⅱ.上り線桁:クレーン架設

E E

ブーム3 0.4 8 m、ジブ4 2. 6 7m

(1 0 0tフック:4 .6 t ) 8 0 0t 吊りクローラクレーン 作 業 半 径38 .0m×100 .5t

3径 間 連 続 鋼 箱 桁 橋  144900 (下 り)  149900 ( 上り ) 100 桁  長  144750 (下り ) 149750 (上り )

400 支 間 長 51100

100 600

Ag3 As1

As2 Ac3 Bk

Ag3

Ac1

6360 6360 4700

跨  線  部

4700

A1 P1

N o . 3 2 + 1 0 . 9 4 3 東北本線上 り

R L = 6 . 5 9 0 N o . 3 2 + 7 . 0 7 6 東北本線下 り

R L = 6 . 6 4 5 国道4 号C L

国道 4号アクセスランフ N o . 9 + 1 2 . 1 5 3 F H = 7 . 7 8 6 単 純 鋼 床 版 箱 桁 橋 44200

桁  長  44000 支 間 長 42800

2450

場所打 ち杭 φ 1 5 0 0 L= 1 4. 5 0 0m     n=1 0本 2000 20001900850010400

3000

1270

M 100

1440

土被り 5 0 0m m以上 F 100085001000

10500 210067001765 210065002000

1500 50047004837000 踏 掛 板  6000

土木学会東北支部技術研究発表会(平成24年度)

参照

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