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鋼逆π形合成桁橋架設時の合成床版底鋼板による補剛効果

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Academic year: 2022

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鋼逆π形合成桁橋架設時の合成床版底鋼板による補剛効果

大阪大学大学院工学研究科 学生員 ○日下 敦 駒井鉄工(株) 正会員 玉田 和也 大阪大学大学院工学研究科 フェロー 西村 宣男 JFEエンジニアリング(株) 正会員 加藤 久人 三菱重工業(株) 正会員 小西 英明 大阪大学大学院工学研究科 正会員 小野 潔

1.研究の背景と目的

近年,我が国では社会基盤施設の建設コスト縮減と合理化,省力化を目指し,様々な分野において技術革 新が達成されている.鋼橋を中心とした橋梁分野でも合理化設計に向けて数多くの検討が行われ,多彩な橋 梁形式が提案されてきた.その中の一つである,鋼逆π形合成桁橋と称されている桁橋は,最近になって再 び注目されるようになった橋梁形式で,第二京阪道路木津川橋等数多く採用されている.しかし現在施工中 の福岡高速

5

号線

501

工区において,偏心荷重がかかる区間で施工中に予想値よりも大きなねじり変形を生 じる等,施工前に行われた解析のモデルは改良の余地を残していると思われる.そこで本研究では,短時間 で精度良く変形予測を行える骨組構造解析手法を提案する.また,開断面はりを対象とした弾性梁理論によ って基礎方程式を誘導し,合成床版底鋼板による補剛効果に関する力学的パラメータについて考察する.

2.解析モデル

鋼逆π形合成桁橋は,逆π形断面鋼桁にコンクリート床版或いは合成床版を乗せて箱断面とする構造形式 で,鋼桁を架設した後に床版を打設する方式が一般的である.コンクリート硬化前の構造系は開断面鋼桁の 特性が支配的であるため,ねじり剛性が低い.この弱点を補うために,合成床版の底鋼板を上フランジと連 結し,開断面鋼桁の軸方向変位を拘束する工法が採用されている.これは底鋼板の面内せん断剛性に期待す る考え方であるが,合成床版の実積調査によると底鋼板間ボルト継手に用いられるのは普通ボルトである事,

およびボルト孔は過大孔が用いられる事から,底鋼板間のせん断力の伝達は期待できず,図-1のような状 態になっていると考えられる.そこで骨組構造解析においては,基本構造は開断面とし,底鋼板は変形を拘 束する要素という扱いとした.

キーワード 鋼逆π形合成桁橋 架設系 骨組構造解析

連絡先 〒565-0871 大阪府吹田市山田丘

2-1 TEL 06-6879-7599 FAX 06-6879-7601

図-1 鋼逆π形合成桁橋架設時の構造 図-2 骨組構造解析の全体モデル

土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)

‑985‑

1‑494

(2)

モデル化した全体構造を図-2に示す.通常の骨組構造 解析で用いる節点を実節点とし,開断面鋼桁を実節点結合 要素とした.また,底鋼板と開断面鋼桁フランジの接合部 分に仮想節点を設け,底鋼板は仮想節点を結ぶトラス要素 とした.骨組構造解析においては,節点変位自由度を

7

と し,仮想節点変位は実節点変位の従属量となるようにした.

解析の妥当性は,開断面鋼桁および底鋼板にシェル要素を 適用した立体

FEM

解析の結果と比較する事により確認し た.

3.合成床版底鋼板のトラス部材換算

図-3に示すように,底鋼板の

4

隅に面内せん断力を作 用させたときに生じる変形と等価な変形を生じるダブルワ ーレントラスの斜材の断面積を換算断面積

A

S*とした.本 解析では,底鋼板にシェル要素を適用した

FEM

解析よっ て求めたトラス換算断面積を使用した.

4.結果と考察

本稿では,多径間連続開断面桁橋の中央径間に非常駐車 帯が設置された場合の,偏心荷重によるねじれ変形を対象 とする.両端固定梁に等分布ねじり荷重を作用させたとき のねじれ角

φ

の橋軸方向分布を図-4に示す.底鋼板無し

(①;完全開断面)の場合は,FEM 解析(②)と良好に 一致した.底鋼板の

4

隅をスタッドボルトで固定したモデ ル(③)は,FEM 解析(④)と比較すると,若干変形が 大きくなっているが,安全側の予測であるから,問題はな いと考えられる.スタッドボルトよりも強固なπ型金具で 底 鋼 板

4

隅 を 固 定 し た モ デ ル ( ⑤ ) で は ,

FEM

解 析

(⑥)と良好に一致した.トラス換算断面積が最大ねじれ 角(支間中央)に与える影響を図-5に示す.この図から も,本解析手法が

FEM

解析と同等の精度を有しているこ とが確認された.

また,開断面部材のねじりに関する弾性方程式の中に換算トラス部材の補剛効果を取り込むと,底鋼板に よる補剛効果

A

S*は,次式に示すような付加的ねじり剛性

GJ

*を与えることが分かった.

t

w

GJ GJ m

EC φ

IV

− ( +

*

) φ ′′ =

5.まとめ

鋼逆π形合成桁橋架設時に,開断面鋼桁に合成床版底鋼板を取り付けると,準閉断面を形成する.この系 において変形予測を行う際,基本構造を開断面とした骨組構造解析によって,シェル要素を用いた立体有限 要素解析と同等の精度を有する解析が可能であることを示した.骨組構造解析は,シェル要素を用いた

FEM

解析に比べて時間と労力の削減が期待でき,底鋼板のトラス換算断面積が求まれば,容易に変形予測 が行える.さらに弾性方程式の閉じた解を求めることにより,変形の簡易評価を行うことができる.

図-3 せん断を受ける鋼板のトラス換算

0.00 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06

0 20 40 60

橋軸方向位置x /m

φ /rad

図-4 ねじれ角の橋軸方向分布

0.00 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06

0 1000 2000 3000 4000

AS*

/mm2 φmax /rad

骨組構造解析 シェル要素FEM

図-5 トラス換算断面積の影響 土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)

‑986‑

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参照

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