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鋼床版箱桁橋梁の温度変形挙動について ○東京工業大学

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Academic year: 2022

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鋼床版箱桁橋梁の温度変形挙動について

○東京工業大学 大学院 学生会員 小林 裕介 東京工業大学 大学院 学生会員 古庄 龍悟 東京工業大学 大学院 フェロー 三木 千壽

1.はじめに 1.はじめに 1.はじめに

1.はじめに 橋梁は日射や外気温の変化によって大きな変形を生じる.それ故,道路橋示方書・同解説に 橋梁設計時に考慮すべき変形および荷重として挙げられている他,架設時にもその変形の影響を踏まえて作 業を深夜に行うなど,温度変形は十分に注意が必要な変形である.しかしながら,その変形は日射のあたり 方もしくは橋梁の温度分布によって非常に複雑な挙動をし,温度と変形の関係については明らかとなってい ない点が多い.本研究では温度変形挙動の把握を目的として,特に日射の影響を受けやすい鋼床版箱桁橋梁 を対象として実橋にセンサを設置し,温度分布と変形挙動を長期間連続測定した.

2.対象橋梁 2.対象橋梁 2.対象橋梁

2.対象橋梁 本研究で対象とした橋梁は,

1995 年に完成した荒川河口橋(国道 357 号 下り線・車線数2)で,形式は2径間連続鋼 床版箱桁橋である.荒川河口橋の概略を図 1 に示す.橋梁はほぼ東西方向に伸びてい る.

3.測定項目 3.測定項目 3.測定項目

3.測定項目 測定は図 1 に示す P1〜P2 橋脚間を対象とし,2001年11月7日から 連続で1ヶ月以上実施した.測定項目・使用 センサ・測定位置については表1にまとめ る.なお,センサはすべて桁内に設置した.

本研究では,たわみの計測にレーザーレベ

ルを用いた.このレーザーレベルとは,レーザーを360°回転しながら(最大5回点/秒)水平に照射する発 射機と,そのレーザー光を受光する受光機からなる測量機器である.本測定では,発射機を P2 橋脚上の桁 内に,受光機を図1のB・Cに設置し,同位置での鉛直方向のたわみを計測した.

4.温度分布 4.温度分布 4.温度分布

4.温度分布 測定期間中,11/10が雨・11/11が快晴であった.この両日について,桁の温度が最大となっ た15:00の支間中央(図1:C断面)における断面温度分布を図2・図3に示す.日射のない日は桁の温度分布は ほぼ一様で,気温と

同程度の温度となっ ている.一方で,日 射がある日には,荒 川河口橋の場合は,

日射を受けるのがデ ッキプレート上面の みとなっているため,

図3に示されるよう に上にいくほど温度

測定項目 使用センサ 測定位置

温度分布 物体温度計 A,B,Cのデッキプレート・下フランジ・ウェブ 温度応力 ひずみゲージ Cの下フランジ・Uリブ下面(橋軸方向)

沓変位 変位計 Aの可動沓(2ヵ所)

たわみ レーザーレベル B,C

測定位置A,B,Cは図1を参照 表1 測定項目

東京 千葉

測定対象径間

図1 荒川河口橋

C A B

キーワード:鋼床版箱桁,日射,温度変形,レーザーレベル

連絡先:〒152-8852 東京都目黒区大岡山2-12-1 [TEL]03-5734-2596 [FAX]03-5734-3578 物体温度計

図2 日射なし(11/10 15:00 気温11.3℃) 図3 日射あり(11/11 15:00 気温16.0℃) 25.6℃

14.2℃

11.1℃

11.3℃

※紙面奥 千葉 土木学会第57回年次学術講演会(平成14年9月)

‑1443‑

I‑722

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が高くなる温度分布を示した.

5.変形挙動 5.変形挙動 5.変形挙動

5.変形挙動 図4に支間中央下フランジの温度応力の変動について示す.日射のない日(11/10)と日射の ある日(11/11)の両日とも,下フランジの左・右の温度応力変動はほぼ同様の傾向を示しており,橋軸直角 方向にはほとんど変形が生じていないことが分かる.これは両日とも両側ウェブで温度の分布に差がないた めである.図5に日射がない日とある日の,レーザーレベルで測定した支間中央のたわみと可動沓変位,お よび変形模式図を示す.日射がない日では,桁はほとんどたわまず,橋軸方向に一様に伸縮していることが 分かる.これに対して,日射のある日では桁は大きく上方にたわみ,かつ可動沓も日射のない日と比べて大 きく変位が生じている.デッキプレートの温度がウェブ・下フランジの温度よりも高く,デッキプレートが橋 軸方向に他の部材よりも伸びようとするが,ウェブに拘束されるためこのように上方へとたわんだと考えら れる.

6.温度変化と変形挙動 6.温度変化と変形挙動 6.温度変化と変形挙動

6.温度変化と変形挙動 ここでは重回帰分析により,温度変化と変形挙動間の関係についての考察を行う.

重回帰分析で独立変数として用いた部材温度は,図 2 で示す支間中央断面の 10 点とした.従属変数は可動沓 変位とし,一ヶ月のデータから重回帰分析を行った結果,以下の式が得られた. 

(可動沓変位) = 0.985TB + 0.273TU– 17.1874 (式1) ここで,TB:デッキプレート中央温度,TU:下フランジ中央温度である.独立変数であるウェブ温度について は重回帰分析の結果,各々の係数の値が上記 2 つと比べて小さかったため,(式 1)からは除外した.重回帰 分析を実施しなかった 1 週間の温度データについてこの(式 1)を用いて可動沓変位の推定を行った.結果を 図 6 に示す.実測値と推定値には高い相関が得られた.このことから,荒川河口橋の温度変形による可動沓 変位においては,デッキプレート中央温度と下フランジ中央温度が支配的要因であることが分かった. 

7.まとめ 7.まとめ 7.まとめ

7.まとめ 本研究では,鋼床版箱桁橋梁が日射のある日とない日で温度変形挙動が大きく異なり,日射の ない日では桁が一様に伸縮しているのみだが,日射のある日では桁が上方へ大きくたわんでいることを明ら かにした.また,部材温度を独立変数,可動沓変位を従属変数として重回帰分析を行った結果,デッキプレ ートと下フランジの温度によって,可動沓変位を精度よく推定することが出来た.

図5支間中央たわみ・沓変位・変形模式図

-10 -8 -6 -4 -2 0 2 4

0:00 6:00 12:00 18:00 0:00

時間

たわ(mm)

11/10 日射なし

-10 -8 -6 -4 -2 0 2 4

0:00 6:00 12:00 18:00 0:00

時間

たわ(mm)

11/11 日射あり

-4 -2 0 2 4 6 8 10

0:00 6:00 12:00 18:00 0:00

時間

沓変(mm)

11/10 日射なし

-4 -2 0 2 4 6 8 10

0:00 6:00 12:00 18:00 0:00

時間 沓変(mm) 11/11 日射あり

支間中央 断面 ひずみゲージ(橋軸方向)

左 右

※紙面奥 千葉

図4 支間中央下フランジ 温度応力 -2

0 2 4 6 8

0:00 6:00 12:00 18:00 0:00 6:00 12:00 18:00 0:00 時間

温度応力(MPa

11/10 11/11

R2 = 0.9929

-8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8

-8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 可動沓変位 実測値(mm)

推定値(mm)

図6 可動沓変位の実測値と推定値の関係

桁の変形模式図(15:00)

日射なし

日射あり

土木学会第57回年次学術講演会(平成14年9月)

‑1444‑

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参照

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