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博士(農学)管 国平 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(農学)管   国平 学位論文題名

サンテイにおける抽苔・開花に関する遺伝育種学 的研究 学位論文内容の要旨

テ ンサイ(Beta vulgarisL.var. saccharlreraALEFELD)は,主にゴヒ半球 の温;;if地域を中心に栽培される砂糖生産をEI的に,その原料となる栄養生長の 産物である砂糖を蓄積した根部を収穫する作物である。その栄養生長期に,し ばしば発生する生殖生長である当年抽苔・開花の現象は,根部の収量や糖分含有 率の低下をもたらすだけではなく,製糖過程での砂糖の結晶化を妨げる有害性 非糖分の増加や繊維含有量の増加による加工コストの増大など,砂糖生産の上 で 重 要な 減 少要 因 であ り ,難 当 年抽 苔が育種目 標に常に掲 げられてい る。

  本研究は,テンサイの抽苔・開花を支配する遺伝機構を,広く近緑野生種も 含めて,明らかにし,栄養生長期における難抽苔性の品種育成の遺伝資源の基 礎的知見を得ることを鬥的とした。

1)1年 生 系統 を 利用 レ た開 花 早晩 性 およ び 長日 要 求 性の 抽 苔遺伝子 の解析   通常のテンサイ系統(2年生)と非低温要求性の抽苔を支配する遺伝子( ̲B) をホ モ接合型で 有する系統(1年 生)の交雑 後代で分離 レた開花早 晩性ならび に 高 温 ・ 短 日 条 件 に お け る 抽 苔 を 支 配 す る 遺 伝 様 式 を 解 析 し た 。   開花早 晩性の異な るFl個体に由 来するF2では ,家系間お よび家系内 に開花 早 晩性 の 変 異が 観 察さ れ た。F3後代の 解析から, 開花早晩性 の変異は,B座 の近 傍に位置する長目要求性の抽苔遺伝子の存在が示唆される。また,それに 加え ,開花の早 生性と晩生 性の分離に はそれぞれ少なくとも2つ以上の遺伝子 が関与していると推察された。

  ti温・短H条件における抽苔にfま,優性と劣'tLの2つの抽苔遺伝予が剛Jj.し,

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そのう ち優性遺伝 子がB座と密接に連鎖していた。また,日長処理に対する反 応から,これらの抽苔抑制遺伝子は比較的短い日長下で作用する遺伝子と考え られた 。このこと から,テン サイの1年生を支 配するB座は,非低温要求性の 優性抽苔遺伝子と長目要求性の劣性抽苔遺伝子が連鎖する遺伝子複合体とレて 理解された()

2) 2年 生 系 統 の 抽 苔 性 お よ び 易 抽 苔 変 異 体 の 遺 伝 様 式 の 解 析   抽苔性の異なる系統鬮の交雑後代において,抽苔性の分離様式ば交雑荊t合せ,

家系,お よび個体により異なり,抽苔性には多数の遺伝子が関与することが示 唆された 。また,抽苔性は複数のアイソザイム遺伝子座との連鎖関係が認めら れた。特 に,抽苔性 を支配する 遺伝子のう ち,1っはIdhlアイソザイム遺伝子 座と強く 連鎖していることを明らかにした。易抽苔性は,比較的短いj明間(8 週間以内)の低温に感応レて抽苔を誘導する4IfI苔遺伝子に支配され,また,長 い期間(12週間以上) の低温を必 要とする抽 苔遺伝子に 対し優性で あると考 えられた 。また,抽苔性には,旦座と連鎖する長目要求性の抽苔遺伝子の存在 が示唆されたェ)

  品種「エマ」で兇いだされた易抽苔変興体の遺伝様式は,20時lfl|』凵長条件 で非低温 要求性の抽 苔を支配す るB座 の対立遺伝子により説明されたが,白然 日長条件 では,それ に加え,さ らにB座と異なる複数の長日要求性の抽苔遺伝 子の関与が示唆された。

  白殖系統「N2n―35ー・70」で見いだされた易抽苔変異体は,B座とは異なる非 低 温 要 求 性 と 長 目 要 求 性 の 抽 苔 遺 伝 子 の 存 在 が 示 唆 さ れ た 。

3)フ ダ ンソ ウ およ び 近緑 野 生種 に おけ る 抽苔 性 を支 配 す る遺 伝 予の 解析   中国および日本のフダンソウ在来系統について,播種当年の抽苔性を調査し た結果,中匡1の四川省や江蘇省など低緯度地方の在来系統に抽苔個体が高頻度 で観察された。抽苔性は,Idhエと平均10.9%の組換価で連鎖する非低温要求性 の罰ll苔遺伝fがI剿与し,また,B座と興なる複数の長日要求性の抽苔遺伝‑ J∴の 関与が示唆された。

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近緑野 生種 の1年生の遺伝様式を,テンサイ2年生系統との戻し交雑後代で 解析した。B. vulgarlSSSp.marltimaおよびSSp.adanenSiSの1年生は,非低温 要求 性の抽苔を支配するB座の対立遺伝子と複数の長日要求性の抽苔遺伝子の 関与を明らかにした。また,ssp. maritimaの有する長日要求性の抽苔遺伝子は テン サイの1年生系統の有する長日要求性の抽苔遺伝子の作用と比較して,抽 苔を誘導する上でより長い日長を必要とする抽苔遺伝子として特徴づけられた。

B. macrocarpaの1年生を支配する非低温要求性の抽苔遺伝子はB座の対立遺伝 子 に 加 え , そ れ と は 異 なる 非 低 温 要 求 性 の 抽 苔 遺 伝 子が 関 与 して いた 。

4)テ ンサ イを含むBeta節植物の抽苔性は,低温要求性の抽苔遺伝子と複数の 長日要求性の抽苔遺伝子に支配され,前者は後者のーっと連鎖し,遺伝子複合 体を構成していた。,里座と密接に連鎖している長日要求性の抽苔遺伝子座は,

比較的短い長日の要求性,より長い長目の要求性など作用性の異なる対立遺伝 子が分化していた。非低温要求性には,Idhlと強く連鎖している里座の対立遺 伝子が関与し,非低温要求性,弱低温要求性および強低温要求性など作用性の 異なる対立遺伝子が分化しており,テンサイならびにその近緑野生種の抽苔の 低温要求性に多様な変異をもたらしていた。

5)本研究の結果をもとに,テンサイの難抽苔品種の育成に関して考察した。

抽苔性を支配する主要な遺伝子座であるB座での非低温要求性あるいは弱低温 要求性の抽苔を支配する対立遺伝子から強低温要求性の抽苔を支配する対立遺 伝子への置換が必要であろう。旦座と密接に連鎖するIdhユ座は幼苗期での検定 が可能であることから,生育初期における間接的な選抜の標識として有効であ ると考えられる。また,長目要求性の抽苔遺伝子も複数存在しているものと推 察 さ れ , こ れ ら の 改 変 に よ る 難 抽 苔 品 種 の 育 成 も 期 待 さ れ る 。

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

サンテイにおける抽苔・開花に関する遺伝育種学的研究

  本 論 文 は , 図 5, 表51, 引 用 文 献101を 含 み , 6章 か ら な る 総 頁 数126 の 和 文 論 文 で あ る 。 別 に , 参 考 論 文 19編 が 添 え ら れ て い る 。   テ ン サ イ(Beta vulgaris)は , 砂 糖 生 産 を 目 的 に , そ の 原 料 と な る 栄 養生 長 の 産 物で あ る 砂 糖 を 蓄 積 し た 根 部 を 収 穫 す る 作 物 で あ る。 その 栄養 生長 期に ,レ ば し ば生 ず る 生 殖 生 長 で あ る 当 年 抽 苔 ・ 開 花 の 現 象 は ,根 部の 収量 や糖 分含 有率 の 低 下を も た ら す だ け で は な く , 製 糖 過 程 で の 砂 糖 の 結晶 化を 妨げ る物 質の 増加 に よ る加 工 コ ス ト の 増 大 な ど , 砂 糖 生 産 の 上 で 重 要 な 減収 要因 であ り, 難当 年抽 苔 が育 種目標 に常 に掲 げら れて いる 。

  本 研究は ,テ ンサ イの 抽苔 ・開 花を 支配 する 遺伝 機構 を, 広く近 縁種 も含 めて,

明 らか に レ , 栄 養 生 長 期 に お け る 難 抽 苔 性 の 品 種 育 成の 遺伝 資源 の基 礎的 知見 を 得る ことを 目的 とレ た。

  通 常 の テ ン サ イ 系 統 (2年 生 ) と 非 低 温 要求 性 の 抽 苔 を 支 配 す る 遺 伝 子 (B を ホ モ 接 合 型 で も つ 系 統 (1年 生 ) の 交 雑 後代F・ 個 体 の 開 花 早 晩 性 の 差異 に 山 来 す るF: とFユ 世 代 の 解 析 か ら , 開 花 早 晩 性は ,B座 の 近 傍 に 位 置 す る 長日 要 求 性 の 抽 苔 を 支 配 す る 遺 伝 子 お よ び 他 の 少 な くと も2つ 以 上 の 遺 伝 子 が 関 与し て い た 。 ま た , 高 温 ・ 短 日 に お け る 抽 苔 に は ,B座 に 加 え2つ の 長 日 要 求 性 の抽 苔 を 支 配 す る 遺 伝 子 が 関 与 し , そ の1っ がB座 と 密 接 に 連 鎖 し て い た 。 こ の こ と か ら,B座は 非低 温要 求性 と長 目要 求性の 才IlI苔 遺伝 子か ら成 る遺伝 子複 合体 とレて 理解 された 。

  抽 苔 性 お よ び ア イ ソ ザ イ ム 遺 伝 子 の 異 な る2年 生 系 統 間 の 交 雑 後 代 に おい て , 抽 苔性 の 分 離 様 式 は 交 雑 組 み 合 わ せ , 家 系 , 個 体 に より 異な り, 抽苔 性に は多 数 の 遺伝 子 が 関 与 す る こ と が 示 唆 さ れ , 複 数 の ア イ ソ ザイ ム遺 伝子 座と の連 鎖関 係 が 認 め ら れ た 。 特 に , 易 抽 苔 性 は 比 較 的 短 い期 間 (8週 間 以 内 ) の 低 温 要求 性 の

也博 夫 義   哲 本嶋 上 島中 三 授授 授 教教 教 査査 査 主副 副

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抽 苔 を誘導 する遺伝子 に支配され ,長い期間(12週間以 上)の低温 要求性の抽 苔遺伝子に対レ優性であり,Idhエ座の近傍に座位することを明らかにレた。した が って,テン サイの抽苔性は,Idh1座と強く連鎖しているB座およびその近傍に 座位する非低温要求性,弱低温要求性および強低温要求性の作用性の異なる遺伝 予の支配が示唆された。

  品種「エマ」で見いだされた易抽苔変異体の遺伝様式は,20時間E』長条件でB 座の対立遺伝子により説明されたが,白然日長条件では,さらに複数の長目要求 性の抽苔を支配する遺伝子の関与が示唆された。一方,自殖系統「N2n―35―70」 で 見いだされ た易抽苔変異体は,B座とは異なる非低温要求性の抽苔遺伝子と長 日要求性の抽苔遺伝子の支配が示唆された。

  フダンソウ(B. vulgaris)の抽苔性に1ま,20時間日長条件ではIdh1と連鎖する非 低温要求性の抽苔遺伝子の関与が,自然日長条件では複数の長日要求性の抽苔遺 伝 子の関与が 示唆された 。1年生 の近緑野生 種とテンサイ2年生系統との戻し交 雑後代の解析から,B. vulgaris ssp.maritimaおよびssp. adanensisの1年生は B座の非低 温要求性と 複数の長日要求性の抽苔遺伝子の関与が明らかとなった。

また,ssp. maritimaの有する長目要求性の抽苔遺伝子はテンサイの1年生系統の 有する長日要求性の抽苔遺伝子に比べて,抽苔を誘導する上でより長い日長を必 要 とする抽苔 遺伝子とし て特徴づけ られた。B. macrocarpaの1年生には,B座 に 加 え , そ れ と は 異 な る 非 低 温 要 求 性 の 抽 苔 遺 伝 子 が 関 与 し て い た 。   テ ンサイにお ける難抽苔性品種育成には,B座での非あるいは弱低温要求性か ら 強低温要求 性の抽苔性を支配する対立遺伝子への置換が必要であり,B座と密 接に連鎖するIdhユ座は生育初期における検定が可能であることから,選抜の標識 として有効であると考えられる。また,長目要求性の抽苔遺伝子も複数個存在し ているものと推察され,これらの改変による難抽苔品種の育成も!引待される。

  本研究は,テンサイの抽苔性の遺伝的機構を明らかにし,学術上の貢献が大き く,学会においても高く評価されており,また,テンサイの難抽苔品種の育成に 寄与することが期待され,産業上も高く評価できる。

  よ って,審査 員一同は, 最終試験の 結果と合わ せて,本論文の提出者管国平 ば 鱒 士 ( 農 学 ) の 学 位 を 受 け る に 十 分 ナ ょ 資 格 が あ る も の と 認 定 し た 。

参照

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