• 検索結果がありません。

博士(医学)泉澤康晴 学位論文題名

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博士(医学)泉澤康晴 学位論文題名"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

     博士(医学)泉澤康晴 学位論文題名

Nd:YAG レーザー による小 動脈吻合 に関する基 礎的研究 学位論文内容の要旨

1.研 究目 的

  レー ザー血 管吻合法はレーザー光熱反応による組織凝固作用を利用するも の で, 従来の 手縫いによる血管吻合に比べて吻合時間が短く,組織治癒,開 存 率の 点で優 れている点が注目され,主に低出力炭酸ガスレーザーを用いた 臨 床 応 用 が 行 わ れ て いる .Nd:YAGレ ー ザ ー は 汎 用 性が あ り , 操 作 性に 優 れ 、し かも低 出カでパルス照射が可能である等多くの利点を有している.本 研 究 ではNd:YAGレー ザー を用い たイ ヌ総 頚動 脈吻合 を行 い, 吻合 の至適 条 件 を確 立する とともに、吻合部の形態学的,生化学的,物性的特性を調べ,

従 来の 手縫い によ る血 管吻 合と比 較検 討し た.

2.レーザーの至適照射条件の検討(予備実験)

  イ ヌ 総 頚動 脈 血 管 壁 に レ ー ザ ー 出 力(W)、 時 間 ( 秒 ) 、 回数(pulse,照 射間 隔0.5秒 )を 変え て照射 し、 照射 部位の 温度 変化 、肉 眼およ び組 織学的 変化 を観 察した 。こ れら の観 察は、 照射 部位 を変 えて3回 以上繰 り返 し実施 し、 再現 性を確 認し た。 レー ザー照 射部位の温度測定には日本電気三栄社製 サー モト レーサ ー6T67を 用い た。肉 眼的検索は、照射部位の色調の変化、炭 化: 蒸散 による 組織 欠損 の程 度およ び貫通による出血の有無等を観察した。

組織学的検索は、光顕的変化(HE、EVG)を観察した。

本レ ーザー装置の至適照射条件として、(1)肉眼的に軽度の炭化が見られ、

(2)照射部位の温度がコラーゲンに障害を与え、吻合成績が低下するといわれ る60℃を超えずに、(3)病理組織学的に組織の欠損が少なく外膜の凝固が認め ら れ た 時 の条 件 と し た 。 こ れら 三条件 を満 たす 照射条 件は 出力SW、 照射時 間0.1秒、3回照射であった。

(2)

3.材料と方法

実験動物:体重10kg前後の健康な雑種成犬25頭を用いた。

血 管 吻合 : 両側 総 頚動 脈 を 約7cm剥 離 ,露 出した のち鋭利な 眼科剪刀を 用い て3cmの 長 さの 血 管を 切 離し , レー ザ ー吻 合と従 来の手縫い 吻合による 端々 吻合を行った.

片 側 は中 枢 側をレーザ ー吻合,末 梢側を手縫 い吻合,対 側はその逆 の方法で 吻 合した.レ ーザー吻合 は7‑0 Polypropylene糸を用 いて4ないし6箇所の支持 糸 を 置き 、 切断面を正 確に密着さ せた。支持 糸を相反す る方向に牽 引して、

そ の間の血管 断端にレー ザーチップ を接触させ 、照射接合した(n‐50)。対 照 として7−O Polypropylene糸を用 いた連続縫 合による手縫い吻合(n=50)を 行 っ た。 レ ーザ ー 装置 はLaserSonics社製Model 6000を使用 し、血管へ の照 射 は 先端 径0.6mmの 拡 散型 セ ラミ ッ クス チ ッ プ(LTI0‑08)を用 い て接 触 法で 行った。

形 態 学 的 検 討 : 直 径2.2mmの フ ん イ バー ス コー プ を用 い た血 管 内視 鏡 観察

( 吻 合 後30日 、n‑3、 光 学 顕 微 鏡 観 察( 吻 合後1時間 、7日 、14日 お よび30 日、各nニニニ3)および走査型電子顕微鏡観察(吻合後30日、n二ニニ3)を行った。

生 化 学的 検 討:色素結 合法を用い た血管組織 コラーゲン 簡易微量測 定法によ り 吻 合部 ( 吻合後14日、各n=6)お よび健常部 の血管のコ ラーゲン量 (ルg) およびコラーゲン濃度(ルg coll./mg pr.)を算出した。物性的検討:抗張力   ( 吻合後1時間、7日、14日、21日 および30、各nニニ6)、耐圧性(400mHgで 10分 間放置、吻 合後30日、n二ニ5)および弾 性特性(stiffness parameterB、 吻合後30日、n=ニ5)について行った。

4.結果

1) 開 存性 : レー ザ ー 吻合群 、手縫い群 ともに50例全 て開存し、 動脈瘤様変 化や拡張は 認めなかっ た。

2) 吻 合 部 の 形 態 学 的特 徴 :血 管 内視 鏡 、 光顕 お よび 走 査電 顕 観察 か ら、

レー ザ ー吻 合 は手 縫 い吻 合より も内皮形成 が早く(7日)、組 織反応も少 な く、平滑で 良好な治癒 状況が認め られた。

3) 生 化学 的 検討 : レ ーザー 吻合部のコ ラーゲン量 (1.29土0.11)は、手 縫 い吻合部(1.39土0.19)とほ ば同値であ ったが、コ ラーゲン濃 度は(23.18土 5.80)と 手 縫い 吻 合部 (15 .81土2.18)に比べ 有意(Pく0.01)に高 かった。

4) 物 性 的 検 討 : レ ーザ ー 吻合 部 の抗 張 力(32%) は 、吻 合7日 後 で は手 縫 い吻合部(85%)より低 値であった が、14日目に は有意差は 消失し、その後 逆転 し て30日 後に は 高値 (82% )を 示 した 。 耐圧 試 験 では、両群 とも破裂

(3)

なく、負荷圧を維持した。レーザー吻合部のstiffness parameter ロ(31.7 土 6.2) は、手縫い吻合部(49.4 土7.5 )に比べ有意(P く 0.05 )に低く、高いコ ンプライアンスを示した。

5 .考察

   レーザー吻合部の血管は、仝て開存し、動脈瘤様変化や拡張のなぃ良好な 成績が得られた。これは、血管照射部位の温度や組織学的変化を十分考慮し た至適照射条件を採用することで、 Nd:YAG レーザーが、C02 レーザーに比 べて組織深達度が強いことから危惧されている内膜や中膜の傷害を回避でき たためと考えられた。

   レーザー吻合部では、血管内視鏡、光顕、操作電顕観察により、内皮形成 が早く、組織反応の少なぃ、平滑で連続性の良好な治癒状況が認められた。

レーザー吻合部の組織コラーゲン濃度が手縫い吻合部に比べて、吻合早期に 著しく増加していることからも、組織修復が限局した範囲で効率良く進めら れるものと考えられた。

   レーザー吻合部の抗張カは、手縫い吻合に比べて吻合早期において弱かっ たが、これは従来の手縫い吻合が縫合糸により血管の両断端を絞扼密着させ るのに対し、レーザー吻合では、血管の断端の接合が蛋白凝固による膠着に よるためである。しかし、吻合14 日には相互の有意差は消失しその後は逆転 し、正常部に近い高値を示した。また、弾性も有意に高かった。このこと は、レーザー吻合部の組織修復が速やかに進むことを示しており、逆に手縫 い吻合では、吻合部の異物としての縫合糸の存在や絞扼により生ずる壊死塊 の存在が組織修復を遅らせ、物性面で劣る結果をもたらしているものと思わ れた。

   小動脈血行再建手術においては、遠隔期における吻合部の内膜肥厚が大き な問題となっており、その機序として吻合部コンプライアンス変化が指摘さ れている。レーザー吻合では、良好ぬコンプライアンスが保持されており、

内膜肥厚阻止の面からも期待が持たれる。

6. 結語

   レーザー吻合では、吻合早期の抗張カは弱いが、手縫い吻合に見られる縫

合糸絞扼による広範囲な組織壊死が生じなかった。また、縫合糸などの異物

が介在しなぃために炎症性変化が少なく、組織修復が限局した範囲で効率良

く進み、組織構造や物性の面で早期に正常部に近い状態に回復するものと考

(4)

えられた。汎用性があり、操作性のよいNd:YAG レーザーを用いたレーザー

血 管 吻 合 法 は 、 組 織 治 癒 が 良 好 で 小 動 脈 の 吻 合 に 有 用 で あ る 。

(5)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

Nd:YAG レ ー ザ ー に よ る 小 動 脈 吻 合 に 関 す る 基 礎 的 研 究

目的

  レーザー 血管吻合法 はレーザ ーの光熱 反応によ る組織凝 固作用を 利用するも ので、と く に 細小動 脈の血行再 建におい て注目さ れ、主と して炭酸 ガスレー ザーを用い た研究が なさ れて きた。丶d:YAG・レーザー は、炭酸 ガスレー ザーより も組織深達度が強く、操作性に優 れ 、汎用 性があるが 、基礎的 研究が十 分をされ ていない 。本研究 は、小動脈 吻合応用 にお け る¥d:YAGレー ザーの至適 照射条件 を確立す るととも に、吻合 部の形態 学的、生化 学的、

物性的特性を検討することを目的とした。

材料と方法

1.レーザーの至適照射条件の検討

イ ヌ 総頚 動 脈に 対 し 、Lase rSonics社製 丶d:YAGレー ザーMode16000を用 い、レー ザー出 力 (W)、 時 間 (秒 ) 、 回数 ( 照射間 隔0.5秒) を変え照 射した。 照射は、先 端径0.6mm の拡 散型セラ ミックスチ ップを用 いて接触法で行った。照射部位に対し、サーモ卜レーサー に よるの 温度変化、 肉眼的観 察による 色調の変 化、炭化 、蒸散に よる組織欠 損の程度 およ び 貫 通 に よ る 出 血 の 有 無 を 調 ペ 、 光 顕 像 (HE、EVG) に よ る 組 織 学 的 検 討を 行 った 。 2.レーザー血管吻合

体 重8ー11kgの 雑 種 成 犬 (25頭 ) を用 い 、 全身 麻 酔下 で 両 側総 頚 動脈 を 約7cm剥 離 、露 出し た後3cmの長 さの血管を 切離し、 レーザ一 吻合(n 50)と従来の手縫い吻合(n 50) に よる端 々吻合を行 った。レ ーザー吻 合は、4な いし6箇所 の支持糸 を置いて切 断面を正 確 に 密着さ せ、その間 の血管断 端にレー ザーチッ プを接触 させ、照 射接合した 。対照の 手縫 い 吻 合は ,710P〇lypropylene糸を 用い、連 続縫合し た。吻合 部の血管 に対し以 下の検討 を行った。

形態学的検討:直径2.2mm血管内視鏡による血管内腔の観察(吻合後30日、n二ニニ3)、光顕 的観 察(吻合 後1時間、7、14、30日、谷n 3)および走査電顕的観察(吻合後30日、n 3) を行った。

生 化 学 的 検 討 : 色 素 結 合 法 を 用 い た 血管 組 織コ ラ ー ゲン 簡 易微 量 測 定法 に よ り吻 合 部 秀

弘之 慶    紘 田部 藤 安阿 加 授授 授 教教 教 査査 査 主副 副

(6)

(吻合後14日、各n 6)および健常部の血管のコラーゲン量(ルg)およびコラーゲン濃度

(ルg coll./mg pr.)を測定した。

物性 的検討:抗張力(吻合後1時間、 7、14、21、30日、各n=6)、耐圧性(400mHgで 10分間放置、吻合後30日、n二ニ5)および弾性特性(stiffness parameterロ、吻合後30日、

n=ニ5)を検討した。

結果

至 適 照 射 条 件 は 、 出 力 5W、 照 射 時 間 O.l秒 、 照 射 回 数 3回 で あ っ た 。 レーザ一吻合部の血管は、全て開存し、動脈瘤様変化や拡張はなかった。レーザーによる 吻合は、内皮形成が早く、組織反応が少なく、平滑で良好な治癒が得られた。コラーゲン 量は、手縫い吻合部とほぼ同値であったが、コラーゲン濃度は有意な高値を示した。吻合 早期の抗張カは低値であったが,速やかに回復し,耐圧性,コンプライアンスも良好であっ た.

考察

レーザー血管吻合法においては照射条件の設定が重要であり、適切な条件下に行われない と吻合部離解や内膜や中膜の傷害により瘤形成が生ずるといわれるが、今回吻合血管全て において良好な治癒、開存が得られたことは、血管照射部位の温度や組織学的変化により 至適照射条件を十分考慮した結果であると思われる。レーザ一吻合部では、内皮形成が早 く、組織反応の少ない、平滑で連続性の良好な治癒状況が認められたが、レーザー吻合部 の組織コラーゲン濃度が手縫い吻合部に比べて吻合早期に著しく増加していることからも、

組織修復が限局した範囲で効率良く進められるものと考えられた。また、レーザ一吻合部 では、手縫い吻合部で見られた縫合糸そのものの存在や縫合糸絞扼により生ずる壊死塊の 存在により受ける組織修復への障害が少なく、創治癒が速やかがつ良好に進むものと思わ れた。

  口頭発表にあたり、阿部教授より、応用可能な血管□径、端側吻合の可能性、臨床応用 の現況、静脈への応用の可能性、加藤教授より、□径の太い血管への応用、トレーニング の必要性、血管壁性状による照射条件変化の必要性、Biograftと血管との吻合、金田教授 より、治癒過程でのne crosisによる吻合部への影響、石灰化の有無、小柳教授より、

tissue weldingの面では有効であるが初期に抗張カが低いことは動く血管には問題がある、

レーザー装置が高価である、大浦教授より、吻合に時間がかかる、実験での対照の設定に は結節縫合が望ましい、等の質問、コメントがなされたが、申請者はおおむね適切な回答 をなし得た。また、副査の阿部教授、加藤教授には個別に審査を受け合格と判定された。

  以上本研究は、汎用性があり、操作性のよい¥d:YAGレーザーを用いた小動脈吻合法に ついて、至適照射条件を確立するとともに、組織治癒や物性面からその有用性を動物実験 により示したものである。よって博士(医学)の学位授与に充分値するものと判定された。

参照

関連したドキュメント

aggressive な ATL では、 pX が発現 できない 状態に なってい ること が多いと いう報告を引 用 し、 こ の 腫瘍 の場 合も、p16 と ARF の発現 がなくな った状 態では、 増殖の ための

  3 .  GVHD マウ スにおける血清IFN‑y レベル.これまでの報告ではIFN‑y などの Thl サイト カイ ン は,急 性GVHD の誘 導に重要 な役割 を果たし ている と考えら

   はじめに、 SH3 (N) を介してシグナルを伝えるC3G 蛋白への結合を、COS 細胞に一過性 に発現させたCrk エエまたは変異型Crk

しかし、cell surface biotinylation でみた受容体の膜発現検索では、Pr087IR は 膜表面まで輸送されることが示された。Scatchard plot 解析によるインスリン結 合 親和 性の

また 、会 場か らは 、喘 息に おぃて EGF の上 皮治 癒に おけ る役割と増悪因子としての役割 の関 係、 G 蛋白 の関 連に つい て質 問が あっ た。 これ らの 質疑に 対し 申請 者は

本 研究 においてジピリダモールは虚血再灌流時の組織間液中 アデノシン濃度を無投薬群に 比べ約3 倍に増加させ,それに伴い心機能は有意に改善された.また,アデノシンの非選択的拮 抗

   全被験者における剪断力(Fs )の平均値は、体幹および膝屈曲角度にかか わらず体重の7 〜

BI014.6 は 20 週,30 週ともFlb に比し大きく有意差を認めた。心筋湿性重量に対するコラ―ゲ ン量は, BI053 .58 では 11