• 検索結果がありません。

博 士 ( 工 学 ) 豊 澤 康 男 学 位 論 文 題 名

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博 士 ( 工 学 ) 豊 澤 康 男 学 位 論 文 題 名"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士 ( 工 学 ) 豊 澤 康 男

学 位 論 文 題 名

開 削 工 事 に お け る 土 砂 崩 壊に よ る 労 働 災 害 の 防 止 に 関 す る 研 究

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  土砂崩壊による労働災害は、毎年繰り返し発生し、それらの中にはー時に三人以上の死傷者を 出すに至る重大災害が多く含まれる。日本における土砂崩壊による労働災害の発生件数は、長期 的に 減少 傾向 にあ るものの、 現在においても死亡者は年間30〜40名に及ぶ。土砂崩壊 による 労働災害は、大別すると、@溝掘削工事、◎建築物の基礎等のための開削工事、◎斜面の掘削工 事 、 @ ト ン ネ ル 工 事 、 ◎ 土 石 流 、 等 に お い て 発 生 し て い る 現 状 で あ る 。   本論文の目的は、まず土砂崩壊による労働災害全体の発生状況について概説し、次に上記の@

溝掘削工事及び◎建築物の基礎等の開削工事について災害事例の検証結果に基づき、発生メカニ ズムを明らかにするとともに土砂崩壊による労 働災害防止対策について考察することにある。

  溝掘削を含む掘削工事においては、掘削が進 行する過程で予期せぬ土留めの変形や地盤の変 形・沈下などが生じることが多い。これらが更に進行した場合にはトラブル、事故、最悪な場合 には人身事故が絡む労働災害に至る。こうした労働災害、事故の事例の背景には、仮設構造物と して施工される土留めは作業効率や経済性が求められるために、一般に本体構造物よりも低い安 全率のもとで設計・施工が行なわれることが多いことが挙げられる。さらには、設計時における 地盤条件の入力値の誤差や、施工過程における作業手順、プレロードなどの応力負荷、士留めの 変形の影響など、多様な要因が影響していると考えられる。

  一方、他の構造物と同様に土留めの設計も許容応力度設計から、より合理的で経済的な設計法 として限界状態設計が行われるようになるに当たって、土留めの破壊・土砂の崩壊という終局状 態に至るメカニズムを的確に予測するとともに、終局状態に至るまでの土圧分布をより正確に推 定することの重要性が増してきている。すなわち限界状態設計法に基づき設計が行われる場合は、

終局状態に至るメカニズムやそれまでの壁面土圧の変化の予測を誤るとそれが事故に繋がりかね なぃ危険性を孕んでいるといえる。

  しかしながら、◎溝掘肖I』工事における土砂崩壊災害については、その災害規模が小さいことな どから、ほとんど報道もされず、従って限られた人にしか知られず、研究の対象とされて来なか ったのが現状であった。◎建築物の基礎等のための開削工事における土砂崩壊災害についても、

一旦発生すると規模が大きいため報道はされるが、崩壊現象が研究の対象とされることはほとん どなかった。このような災害を防止するためには、災害の調査・分析とそれに基づぃた対策の確 立が欠かせない。

  このような背景において、土留め掘削工事中の崩壊災害を未然に防ぐためには、崩壊前兆現象、

崩壊に至るまでの挙動、掘削に伴う士圧の再配分等についての体系化された知見を得ることが非 常に重要な研究課題と考えられる。

  そのため、本論では、◎溝掘削工事のような自立地山における土砂崩壊災害について調査・分 析し、溝掘削工事のような鉛直な法面を有する自立地山の崩壊現象とともに建設機械の荷重によ る溝掘削部の崩壊現象について検討した。その結果、すべり面がほば直線となり、くさび形状で 崩壊する斜面内破壊が溝崩壊災害を引き起こす可能性が高いことなどを指摘できた。さらに建設 機械の荷重の影響について、定荷重の接地圧が地盤の強度より小さぃ場合、地盤重量と併せて定

147

(2)

荷重の接地圧に起因する崩壊現象となることを指摘し、この崩壊現象について解析法を示した。

  次に、災害発生当時、新聞等で大きく取り上げられた開削工事における土砂崩壊災害の2事例 について検証し、当該災害と深く関わる次の3つの崩壊現象について、それらの発生メカニズム を解明するとともに対策について検討した。

  @切梁の設置及び根入れが不十分な場合の崩 壊   ◎一段式アンカーによる土留めの崩壊

  ◎控え矢板およびタイロッドを有する土留め の崩壊′

  こ れら の災 害に共通しているのが、変形が止まらず 加速度的に進行しているということで あった。変形の途中で「変形が止まる」と災害 にはならず、「変形が加速度的に進む」と災害 にっ なが る可 能性が高いと考えられた。変形が加速度 的に進むか否か、すなわち、掘削時に おけ る土 砂崩 壊災害を防止するためには、土留め壁の 変形状態と土圧の発生の関連性を理解 しておくことが重要であると考えられた。

  上 記の こと を踏まえて、本論では、土留め壁の変形 を高精度に制御することができる遠心 場可 動土 留め 装置を開発し、従前の研究では行われて いなかった遠心場において土留め壁を 高精 度で 強制 的に変形させた実験研究を行った。その 結果、変形モードによって土圧分布が 大き く異 なる にもかかわらず、土圧の合カが一定にな ることから、結局のところ土圧の「再 配分 」問 題で あることなどを明らかにした。すなわち 、土留めの変形状態によっては、土圧 合カ がー カ所 に集中することがあり、災害時に切りば りが次々に座屈していく現象は、まさ に土 留め 壁の 変形に伴い土圧の集中現象が次々と位置 を変えて発生していると考えられる。

  最 後に 、上 記で検討した結果を踏まえて、掘削工事 を安全に遂行するためには、地盤の内 部は 完全 には 掌握し切れていないブラックボックスで あるということに鑑み、地盤調査や施 工中 の情 報化 施工により計測した事項のみが明らかに なっているということを十分に認識し た施 工が 不可 欠であることを指摘した。開削工事の安 全化を達成するには、機械分野で採用 され てい る「 安全技術」の概念を採用し、土留め支保 工の安全化、工法の多重化やフェール セーフ化を推進させる必要があると考える。

148

(3)

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 助教授

三田地 三浦 藤井 田中

学 位 論 文 題 名

利之 清一 義明 洋行

開削工事における土砂崩壊による 労働災害の防止 に関する研究

  わが 国 に おけ る 土 砂崩 壊 に よ る労 働 災 害の 発 生件数 は,長 期的に減 少傾向に あるも のの,

現 時 点で 年 間30〜40名 に 及 ぶ 死亡 者 が 発生 し て いる 。

  溝 掘 削 を 含 む 開削 工 事 にお い て は, 掘 削 が進 行 す る 過程 で 予 期せ ぬ 土 留め の 変 形や 地 盤 の 変 形 ・ 沈 下 な ど が生 じ る こと が 多 い。 こ れ らが さ ら に 進行 す る と, 最 悪 の場 合 , 人身 事 故 が 絡 む 労 働 災 害 に至 る 。 仮設 構 造 物と し て 施工 さ れ る 土留 め は 作業 効 率 や経 済 性 の要 求 か ら , 多 く の 場 合 ,本 体 構 造物 よ り も低 い 安 全率 の も と で設 計 ・ 施工 さ れ るこ と が ,こ う し た 労 働 災 害 の 背 景に あ る 。こ れ に 加え て , 設計 時 に お ける 地 盤 条件 の 評 価, 施 工 過程 に お け る作 業 手 順, プ レ ロー ド な ど の応 力 負 荷, 土留 めの変形 など, 、多様な 要因が 影響して い る と考 え ら れる 。

  一 方 , 他 の 構 造物 と 同 様に 土 留 めの 設 計 も許 容 応 力 度設 計 か ら限 界 状 態設 計 に 移行 す る に 当 た っ て , 終 局 状態 に 至 るま で の 土圧 分 布 をよ り 正 確 に推 定 す るこ と の 重要 性 が 増し て き て い る 。 す な わ ち限 界 状 態設 計 法 に基 づ ぃ て設 計 す る 場合 , 終 局状 態 に 至る ま で の壁 面 土 圧 の 変 化 の 予 測 を誤 る と それ が 事 故に 繋 が りか ね な い 危険 性 を 孕ん で い るか ら で ある 。   こ の よ う な 背 景に お い て, 土 留 め掘 削 工 事中 の 崩 壊 災害 を 未 然に 防 ぐ ため に は ,崩 壊 の 前 兆 現 象 , 崩 壊 に 至る ま で の挙 動 , 掘削 に 伴 う土 圧 の 再 配分 等 に つい て の 体系 化 さ れた 知 見 を 得 る こ と が き わめ て 重 要と 考 え られ る 。 しか し な が ら, 小 規 模な 溝 掘 削工 事 は もち ろ ん , 建 築 物 の 基 礎 等の た め の開 削 工 事に お け る土 砂 崩 壊 につ い て も, 崩 壊 の前 兆 段 階か ら 崩 壊 に 至 る ま で の 大 変 形 挙 動 が 研 究 の 対 象 と さ れ る こ と は ほ と ん ど な か っ た 。   以 上 の よ う た 状況 の 下 で, 本 論 文は 小 規 模な 溝 掘 削 工事 を 含 む開 削 工 事に お け る土 砂 崩 壊 に よ る 労 働 災 害 に焦 点 を あて , 災 害発 生 の メカ ニ ズ ム を明 ら か にす る と とも に 労 働災 害 防 止 対策 に っ いて 考 察 した も の で ,8章 か らな る 。

(4)

   第1 章では,研究の背景,既往の研究の問題点を示し,本研究の目的を明らかにした。

   第2 章ではわが国および海外の土砂崩壊災害の発生状況の概要を示すとともに,各国に お け る労 働 災 害 防 止 関 連 の 法 律 ・ 規 則 ・ ガ イ ド ラ イ ン等 にっ いて 簡単 にまと めた 。    第3 章では,小規模な溝掘削工事における土砂崩壊災害の実態把握のための調査・分析 結果を示した。

   第4 章では,鉛直な法面を有する自立地山の崩壊現象とともに建設機械の荷重による溝 掘削部の崩壊現象にっいて遠心模型実験によって検討した。その結果,すべり面が直線に 近いくさび形状で崩壊する斜面内破壊が,溝掘削工事における土砂崩壊災害を引き起こす 可能性が高いことなどを指摘した。さらに建設機械の荷重の影響にっいて,定荷重の接地 圧が地盤の強度より小さい場合,地盤重量と併せて定荷重の接地圧に起因する崩壊現象と なることを指摘し,上界値計算による解析法を提案した。

   第 5 章で は, 災害 発生当時大きく報道された開削工事における土砂崩壊災害の2 事例に つい て検 証し, 第6 章では,前章で紹介した災害と深く関わる3 つの崩壊現象,すなわち

◎切りばりの設置及ぴ根入れが不十分な場合の崩壊,◎一段式アンカーによる土留めの崩 壊,◎控え矢板およびタイロッドを有する土留めの崩壊,の発生メカニズムを遠心模型実 験によって解明し,掘削時における土砂崩壊災害を防止するためには,土留め壁の変形状 態 と 土 圧 の 発 生 の 関 連 性 を 理 解 し て お く こ と の 重 要 性 を 指 摘 し た 。    前章の結果を踏まえて,第7 章では土留め壁の変形を細かく制御することができる遠心 場可動土留め装置を開発し,従前の研究では行われていなかった遠心場において土留め壁 を高精度で強制的に変形させた実験を行った。その結果,変形モードによって土圧分布が 大きく異なるにもかかわらず,土圧の合カが一定になることから,結局のところ土圧の「再 配分」問題に帰着するとしている。すなわち,土留めの変形状態によっては,土圧合カが ーカ所に集中することがあり,災害時に切りばりが次々に座屈していく現象は,まさに土 留め壁の変形に伴い土圧の集中現象が次々と位置を変えて発生していることの証左である ことを明らかにした。

   第8 章は本研究の結論であり,得られた知見を要約した上で,今後の展望と課題を述べ ている。すなわち,地盤の内部は完全には掌握し切れていないブラックボックスであり,

地盤調査や情報化施工により計測した事項のみが明らかになっているということを十分に 認識した施工が,掘削工事を安全に遂行するために不可欠であることを指摘した。さらに,

開削工事の安全化を達成するには,機械工学分野で採用されている「安全技術」の概念を 採用し,土留め支保工の安全化,工法の多重化やフェールセーフ化を推進させる必要があ ることを指摘した。

   これを要するに著者は,従来ほとんど研究の対象とされることのなかった小規模な溝掘 削工事を含む開削工事に韜ける土砂崩壊の発生メカニズムを,広範で詳細な遠心模型実験 によって解明するとともに,労働災害防止対策に関わる貴重な知見を得ており,地盤工学 ならぴに安全工学の発展に寄与するところ大なるものがある。

   よ って 著者は ,北 海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認める。

参照

関連したドキュメント

   第6 章では、まず三元系 FeCl3 ーPbCl2 −GIC の加圧成形した状態での抵抗率と三元系 FeCl3 −PbCl2

2

   本研究 は高 圧流体 をチゼ ル先端 のノズ ルか ら噴出 させて ,流体 の圧 カで土 壌を破壊するサブソ イラを 開発す ること を目 的とす る。こ のサプ ソイ

4 .微小重力場の静止雰囲気中における導線被覆材の燃焼現象に及ばす心線材質の影響を

   第4 章では、通常のクラスター変分法を用いて、2 次元正方格子上の 2 元合金

   第4 章では、fMRI