年頭挨拶 理事長、学長、病院長 金沢医科大学 FORUM 2008 総合医学研究所市民公開セミナー ■学事 平成 21 年度医学部 AO・推薦入学試験 平成 21 年度看護学部編入・推薦入学試験 第 44 回・第 45 回教育懇談会 新任教授紹介 ■学生のページ 学生の表彰 ■学術 第 111 回中部日本整形外科災害外科学会 第 75 回日本脳神経外科学会中部支部 学術集会 第 11 回中部神経内視鏡勉強会 第 13 回日本神経精神医学会 第 6 回 KMU 研究推進セミナー ■病院 第 14 回金沢医科大学病院地域医療懇談会 平成 20 年度防災講習会・災害訓練 ■管理・運営 平成 20 年度教育功労者知事表彰 平成 20 年度永年勤続表彰 平成 20 年度文部科学大臣表彰 ■随想・報告 米欧回覧実記を読んで 永年勤続に思う ■同窓会・後援会 第 10 回金沢医科大学北斗会懇親・懇談会
No.
137
January 2009
唐崎松雪吊りライトアップ年頭挨拶
理事長
山 下 公 一
皆さん、明けましておめでとうございます。 今年の年末年始は、例年より長い 8 日間という休暇に恵まれて、皆さんゆっくりと過ごされたことと思 います。私も 3 人の孫達に囲まれてにぎやかな 1 週間を過ごしました。厳しい年を乗り切るために
さて、新しい年を迎えるにあたって、昨年を振り返りますと、2008 年という年はいろいろな点で実にひ どい年でした。アメリカに端を発した金融危機が世界規模に広がり、それに伴う世界的な経済活動の混乱 によって大量の労働者の失業が表面化するなど、経済や社会は大混乱のまま年が暮れました。年が改まっ て、この事態がどう好転していくか。私どもは事の成り行きに重大な関心を持って見守るほかはありませ んが、先見性のある対策が欠かせません。しばらくは難しい判断を必要とする事態が続くと思われますが、 理事、役職教授の皆さんなどを中心として教職員全員の英知と慎重な判断と協力によって乗り切り、本学 の発展につなげて行かねばならないと思っております。 最近数年間に表面化してきた医師不足問題は地域医療にとどまるものではなく、我が国の医療全体が長 い間背負ってきた問題点が露呈したものと思われます。本学は特定機能病院を持つ医育機関として、この 問題については積極的に解決に関与していかねばなりません。良質の医療の提供は、私ども特定機能病院 を持つ医育機関の責務であります。昨年末に行われた「金沢医科大学フォーラム 2008 」で話題としました が、本学の目標として、教育では「魅力ある大学へ」、医療では「信頼できる病院へ」、そして研究面では「や りがいのある研究を」を掲げたいと申しました。厳しい時期ですが、是非、みなさんの協力を得て、改善、 改革を心がけていかねばなりません。教育に関連して
医学教育は本学の使命の根幹であります。本学 37 年の歴史を振り返りますと、開学後約 20 年を経て入 学志願者数が募集定員の 10 倍を超えるようになり、すでに 10 数年の間、高い偏差値の学生が入学してお ります。石川県には、人口が全国の約 1%のところ、医育機関の数は全国の 80 校中 2 校で 2.5%です。しかし、 卒業して医師免許証を手にした学生のほとんどがこの地域に残らずに、親元や都会に行ってしまうという 現象がずっと続いております。是非、本学の英知を合わせて本当に 「 魅力のある大学 」 にして、この流れ を変えようではありませんか。 医師養成機関として、現在の最大の問題は、卒業した医師がほとんど本学に残らないという現実であり ます。いい表現ではありませんが、あえて言えば、これでは「国試予備校」と言わざるを得ません。まず、 本学独自の Professional Career Path Program として、魅力ある専門医コースのプランとともに、説得力 のある総合医コースのカリキュラムをさらに充実し、その意図や内容を学内外に示して、その意義を知っ てもらうことが大切であります。これについては、本学の教学スタッフが推し進める「立派な医師をつく る 12 年間一貫教育」キャンペーンとして、医学部案内や研修医募集案内の冊子にも公表しております。ての期間であるというものです。大学は専門学校と異なり、職業技術を主体に教えるという教育機関では ありません。医学の知識や技術を体系的に修得するとともに、しっかりとした人格、人間性、価値観とい った人間的基盤の基礎づくりの重要性を強調せねばなりません。 我が国の現在の制度では、医学部卒業と同時に医師国家試験合格によって医師の資格が与えられますが、 本当の一人前の臨床医になるためには、Second Stage としての適切な「6 年間程度の卒後研修」に移行する ことが大切です。それが「卒後初期臨床研修」であり、その後に続く「後期臨床研修」や「大学院」のコース であります。 その後には Advanced Stage として、病院勤務医、あるいは開業医、医学研究や高度の専門医、大学な どでの次世代の教育や研究への道がありますが、本学にも、継ぎ目なく選ぶことができる独自の魅力ある Professional Career Path が用意されており、その選び方も公開されております。この中には選択肢とし て長期海外研修などを含めることも可能であります。 次に、「魅力ある大学」とするためには、教師の質は等閑視できないものがあります。一般的に医学部の 教師は元来教育手法の訓練を受けておらず、いわば教育の素人で、自己流を通す傾向がありますが、教育 を受ける側にとっては、迷惑な場合もあるので注意が必要でしょう。最近の医学教育ではスモールグルー プ教育を多く採り入れる傾向があり、教育スタッフが多数必要となっており、若手の教育への参画は重要 な課題となっております。教育に関するワークショップなどのさらなる充実が必要と思われます。 文科省はこのたびの医師不足対策として、平成 20 年中に全国で 861 名の医学部入学定員増を認めました。 本学でも 10 名の増員が認められております。この医学部定員の増員は必要と考えますが、単に増員しただ けでは医師不足の解決に対する効果は疑問であるばかりか、無駄な過当競争の原因となる恐れもあります。 医師の適正配置についての行政的配慮は不可欠であると思います。本学ではこのたびの増員を機会に、学 長からの要望にしたがって、卒後に本学のスタッフとして活躍することを期待して地域枠を認め、従来の 奨学金の枠も倍増しました。各学年に 10 名ずつ、全学年で 60 名に対して奨学金を出す制度を実施するこ とになっております。これには年間 2 億円の資金が投入されます。このことにより、6 年の医学部卒前教 育を終えた時点で本学を去る動きを止める力となることを期待しております。また、研修医や医師のため の宿舎を用意すべく検討中であり、心おきなく医療と研修に携わることができる生活環境の整備をするこ とが緊急課題であると考えております。 氷見市民病院の経営委託を引受けて、文科省の解釈は現状では収益事業として分類されますが、特に地 域医療の観点から学生、研修医の教育、研修に利用する重要な施設として注目されており、しっかりした 地域医療カリキュラムの作成を急いでいただきたいと思っております。
医療について
医療についての本学の経営状況は厳しいものがあり、放置できない状況にあります。本学の収入の 7 割 を占める医療収入が 2004 年以降大きな下落を示しております。医療収入の減少原因は、国の医療費抑制政 策と院外処方化、そして外来患者の減少にあります。2002 年までは 20 億円/年の収支差額があり、この 蓄えによって借金なしで病院新館の建設ができました。外来患者数は 2000 年をピークとして、2002 年か ら減少し、2006 年以降、ピーク時の 82%という状況が続いております。入院患者数も外来患者数と平行関 係で減少状態となっています。 医療収入の低下の原因として今一つ、本学病院の入院・外来を担当する医師数の減少も見逃すわけには ゆきません。それが、長い待ち時間、患者への病状説明の不足につながり、せっかく来院した患者が他の 病院に流れるといった現象も一部に起こっております。先日のフォーラムでも、医療収入の増加対策とし て、患者サービスの徹底や教授の外来診察日の増加などをお願いしました。本学病院をわざわざ訪ねて来 院される患者さんは、良質の医療を求めて、教授の診療を求めていることを忘れてはなりません。 病院当局や看護部からの看護師不足に対する対策についてもほとんどの要望を実現してきており、3 月 には新しい看護師宿舎が完成します。 次には、教授をはじめとした臨床医師の院外勤務体制の見直しという大きな課題の解決と併せて、大学全体が一丸となって病院運営に協力していく態勢づくりの年となるよう、可能な施策は積極的に採り上げ ていきたいと思っております。医師の院外派遣については、学長からいただいている大学運営委員会の提 案である臨床系教育職員の「医療職手当」の支給も院外派遣業務の見直しとともに実施の方向に検討を進 めねばならないと思っております。 先般のフォーラムでも申しましたが、本学病院は他大学病院に比して大型医療機器を含む設備投資が過 大であるのに対して、収益が非常に少ないのが目立つことが指摘されております。このような状態を続け ていれば、やがて破綻を迎えるということになります。これを避けるには、何よりも収入を上げる努力を しなければなりません。現在の状況で本学が収益を上げられるのは、まずは医療収入なのであります。現 在法律上の問題を含んでいる臨床医師の院外勤務については、現状を十分に配慮しながら、働きやすくし た上で、医師にとっても大学にとっても有利で、遵法上ぎりぎりの線までもっていく必要があると思って おります。 氷見市民病院については、現在派遣されているスタッフにかなりのハードワークを強いておりますが、 本学の一部となったわけであり、大学としての積極的協力体制を早く実施していただきたいと思います。 これは本学の経営基盤の安定化にも必要な最重要課題として取り組まなければならないと思っておりま す。よろしくお願いいたします。
研究について
研究には大きな資金が必要です。科学研究費補助金の採択数は皆さんの努力で着実に上がってきており ますが、私立医科大学の中では依然下位に位置し、なかなか 1 億円の大台をクリアできないのが実状です。 科研費は貴重な研究資金の収入であり、最近の国の補助金の政策も経常費補助金を絞る反面、研究補助へ のウエイトを高めているので、是非採択されるような研究内容の申請書を書いていただきたいと思います。 計画性、将来性のあるすぐれた研究は採択率も高くなっております。また近年、産 ・ 学 ・ 官連携による研 究の成果も上がってきております。すぐれたリサーチマインドでものを見る習慣を発揮して研究を発案し、 やりがいのある研究を企画し申請して良い成果に結びつけていただきたい。良い成果を上げてご自分の名 をあげ、大学の名をあげていただきたいと思っております。管理運営について
最後になりますが、大学全体での収支差額のマイナスは開学 20 周年以降はなくなっていたのですが、こ のところ久しぶりにマイナスに転化しました。この状態は今後しばらくは続くものと思われます。この状 況に対応するために、経費節減も重要な資金確保の手段とせざるを得ません。次年度については、徹底し たムダの排除に努めなければならないと思っております。ただ、将来性のある収入に結び付く部門の必要 経費や現在進めている病院別館の改造後に予定される病院本館の解体工事などは先行投資と考えて、必要 な資金まで抑制することはないと思っております。計画性のある、そして最終的には大学の利益に結びつ く研究や教育、診療への投資には予算配付を考えたいと思います。教職員の皆さんには危機意識をもって 経費の節約にご協力をいただきたいと思います。 昨年 12 月に「全員参加の大学と病院の経営」をテーマに「金沢医科大学フォーラム 2008 」を開催しまし た。前年度の初回フォーラムをしのぐ 300 名以上の教職員の皆さんが参加され、続いて行われた忘年会を 楽しまれました。大学や病院の経営について関心を持っていただき、運営に協力いただくのには、このよ うな機会をもっと持った方が良いのではないかと思っております。 以上、年頭にあたって、本学の現況を振り返り、さらなる発展に向けた目標と課題について、考えてお ります一端を申し上げました。ご理解とご協力をお願いいたす次第です。どうか皆さん本年も健康に気を つけてご活躍ください。年頭挨拶
学 長
山 田 裕 一
皆さま、あけましておめでとうございます。謹んで 新年のお祝いを申し上げます。 さて、昨年は大変な年でありました。言うまでもな く、米国のサブプライムローンの破たんを契機とした 世界的金融危機です。当初、日本への影響はさほどで はないと言われましたが、一旦、影響が及ぶや津波の ように襲いかかり、株価は急落し、いわゆる「派遣切 り」による解雇で、失業者が文字どおり「路頭に迷う」 状況が出現しました。輸出、すなわち外需依存型の日 本の経済構造が、このような状況で、いかに脆弱なも のであるかが浮き彫りにされました。私たちにあらた めて、内需、すなわち教育や福祉、医療など、国民生 活への投資とその消費による国内需要に重点を置くよ うな経済構造を、日本の中に大きく育てていく必要性 を強く実感させてくれる出来事でした。 もう一つ、もはや日常語として使われる「医療崩壊」 の問題ですが、医療崩壊をめぐる議論が深まる中で、 実は医療ばかりでなく、日本の福祉も教育も、その現 状は世界的に見て、もはや先進国とは呼べないほどに 低水準であることが判明してきました。最近になって、 マスコミもようやくそのことを取り上げるようになり ました。 1973 年ですから、今から 36 年前、ずいぶん昔のよ うですが本学創立の 2 年目で、そして私の学生時代の 後半の頃です。この年、老人医療費が無料化し、高額 療養費の援助制度が創設され、また、年金給付水準が 引き上げられるとともに、物価、賃金スライド制が導 入されるなど、日本の社会保障が著しく拡充して欧米 並みに迫り、「福祉元年」と呼ばれました。しかし、そ の年の秋に勃発したオイルショックで早々に「福祉」 に冷水を浴びせられ、1980 年代に入ると、社会保障 の見直しが唱えられ、全般的な縮小が始まります。悪 名高い「医療費亡国論」も 1983 年に述べられたもので す。 1990 年のバブル崩壊で、日本の社会保障はさらに 後退しますが、2001 年の「小泉構造改革」で一気に 加 速 さ れ ま し た。1980 年 初 頭 以 降 の 25 年 あ ま り に わたる社会保障費抑制政策の結果、2006 年の統計で は、日本の社会保障費は対 GDP 比 17.7%で、これは OECD 29カ国中の23位です。先進諸国の中で、今日 の日本は、社会保障レベルがきわだって低い国に位置 することになってしまいました。 一方、労働市場の規制緩和で「非正規雇用者」が急 増し、彼らはワーキング・プアと呼ばれはじめまし た。格差の拡大の中で社会は分極化し、分裂しました。 産地や賞味期限の偽装などの商業モラルの欠如が氾濫 し、また、老人や貧困者など弱い者をねらいうちする 詐欺が横行し、さらには、はした金目当ての殺人、社 会への憎悪に由来する無差別殺傷事件、理由不明な不 気味な犯罪など、いったいこの国はどうなってしまっ たのかと思わせるような状況に陥っています。 このような時代に、私たちは日々黙々と教育し、研 究し、診療にあたってきたわけですが、それで良いの かと自問する毎日です。医療も社会も悪くなるばかり です。日本医師会も、全国医学部長病院長会議も、そ して私立医大協会もいろいろ政府に向かって発言し始 めました。今年は、私たちも自分自身のことばかりで なく、社会の大きな流れに目を向け、そこに合流し、 しっかりと政策を持ち、積極的に発言していくことが 大事ではないかと思いながら新しい年を迎えました。 もう一つ、医療崩壊の問題ですが、根底にはこれま で申し上げた医療費を含む社会保障費が抑制され続け たことがあります。しかし、医療崩壊のもう一つの原 因として、私たち大学医学部、大学病院という医育機 関が、これまであまりにも地域医療の現実について無 関心であったと反省しています。もちろん、大学医学部、病院ばかりでなく、その監督官庁である文部科学 省、厚生労働省も、地域医療について無関心で、かつ 無責任であったと思います。 1968 年にインターン制度が廃止されて以来、卒後 の臨床研修は公的制度として放置されてきました。卒 業したての医師の多くは大学医局に「入局」し、そこ で、それぞれの医局に特有の形式、内容の研修を受け てきました。大学医局が基本的に「専門医」の集団で あるため、その研修は著しく専門に偏ったものでもあ りました。当時の若い医師の受けた卒後の臨床研修は、 非常に偏狭なものであったと言わざるをえません。 今、どこの大学医学部の卒業生も、そのほとんどが 「臨床医」となることを目指しており、しかもその少 なからぬ部分が将来は地域の第一線で働くことを望ん でいます。そのような状況の中で、マッチングを契機 に、「専門に偏った」大学からの研修医の離散が起こっ たのです。大学病院の医師が自分の専門に偏った教育 をしがちなのはやむを得ないところもありますが、し かし今後は、「学び手」である研修医の要求に沿った、 彼らの将来に真に役立つ教育をしなければ、私たち大 学病院は研修医から見離されてしまうでしょう。 本学の学生も、その 7 割から 8 割が、将来、地域の 第一線の病院や診療所で働くことを望んでいます。私 たちは、彼らがそうした第一線の医師として、患者さ んや地域住民の期待に応え、その信頼を得られるよう になれる、そうなるための教育に集中する必要があり ます。第 1 次、2 次の救急医療や Common disease の 的確な診療、地域住民を巻き込んだ疾病予防と健康増 進活動などができる、そんな医師を育てる教育が必要 です。 そこで今年 2009 年に、私は学事の長として 2 つのこ とを目指したいと考えています。 1 つは氷見市民病院の問題です。経営破綻した自治 体病院の再生という、非常に困難な事業を私たちは引 き受けました。この困難な事業を成功させるためには、 何よりも明確な政策、巧妙な戦略が必要ですが、これ から、大学全体でのコンセンサスを創りあげなければ ならないと思います。 その地域の人口構造や医療需要、さらに人的資源、 必要経費と財源などがしっかりと分析され、資源の共 有化と節約を地域全体で進められるような政策と戦略 を持つ必要があります。たとえば、兵庫県柏原病院や 夕張などの実例が示すところは、単なる病院再生モデ ルでなく、地域住民を巻き込んだ地域全体の再生モデ ルが必要です。学外の専門家の力も借りて、しっかり と議論を尽くし、住民の経営参加をも盛り込んだ、氷 見市民病院のみならず、氷見市全体の地域医療再生プ ランを作ることが重要です。 市民自身が参加しながら再生が進む氷見市と氷見市 民病院の医療は、将来地域で働こうとする若い医師の 格好の教育の場になるに違いありません。地域医療に 必要な知識や技術、そして思想や態度を学ぶことがで きると思います。大学全体として氷見市民病院を支え、 育てる中で、学生たちを育てようではありませんか。 そういうシステムを作り上げ、氷見モデルとして社会 に提案しようではありませんか。それが一つ目の課題 です。 もう一つ忘れてならないのは、将来専門医あるいは 研究者として働くことを目指している、残り 2 割から 3 割の学生についてです。彼らの進路に相応しい教育 もまた、私たちは責任を持って提供しなければなりま せん。本学入試での成績上位者は、入学後も安定して 良い成績を示し、その基本能力が高いことが明らかに なっています。彼らが専門医や研究者として育つよう な教育も進めましょう。将来の私たちの跡継ぎを積極 的に育てようではありませんか。 方策の一つは、MD/PhD コースの設置です。能力 の高い学生には、第 5、6 学年に大学院の 2 年間の単位 履修を認め、初期研修終了後に 2 年間の実地研究で学 位論文を完成させます。そうすると、初期研修を含ん でも 10 年間で学位が取れます。この研究職・専門医 コースを奨学金とドッキングさせると、なお効果が高 いと思います。方策の第二として、第 3 学年を一時期、 基礎や臨床の各部門、すなわち教室へ配属することで す。うまくいけば、専門医だけでなく、基礎の研究者 を目指す学生も現われるかもしれません。 以上、今年 2009 年は、一つは氷見市民病院の再生 を成功させることを通して、7∼8 割の地域医療志向 の学生を育てる、一方で残る 2∼3 割の学生には、早 めに専門あるいは研究能力を磨く機会を与えることが できる、そんな 2 方向の教育システムの構築を目指し たいと思います。一人ひとりの学生の希望や期待、願 いに沿った「学び手本位」の医学教育を提供できるこ とが、これからの大学医学部に強く求められていると 信じるからです。 教職員の皆さま、新しい年の、本学の新しい飛躍の ために、どうか一層のご助力、ご協力を賜りますよう、 心からお願い申し上げます。 あらためて、今年 2009 年の皆様とご家族のご多幸 をお祈りして、私の年頭の挨拶とさせていただきます。 ありがとうございました。
年頭挨拶
病院長
飯 塚 秀 明
病院職員の皆さん、新年おめでとうございます。昨 年の社会情勢はこれまでにない厳しいものでしたが私 共の病院も例外ではなく厳しい経営環境におかれてい ます。私は昨年 4 月に病院長を拝命いたしましたが、 教職員の皆さんのご協力で、これまで何とか任務を遂 行できたと考えており、あらためて感謝申し上げま す。病院長就任に際して幹部職員の皆さんには病院の 部科長会および連絡会におきまして私の基本方針をお 示しいたしましたが、この機会にあらためて職員の皆 さんにご挨拶をかねてその概要を呈示させていただき ます。大学病院としての機能と役割
大学病院が社会から求められている役割の第一は、 高度な先進的医療の充実である。特に、研究活動と結 びついた高度かつ先進的医療は大学病院の存在価値で ある。患者が病院を選ぶ基準について、①診療実績が 多い・医療レベルが高い、②専門医がいる・良い医師 がいる、との報告(患者の病院選択動向調査報告書) にみられるように、高い診療レベルを維持すること が社会のニーズであることを再認識しなければならな い。各診療科は高度な医療に取り組むとともに、それ ぞれの医師も自身の価値創造として取り組むことを求 めたい。現在、各診療分野で、各疾患についての標準 的医療のためのガイドラインが提示されている。これ らを踏まえるのは教育的観点からも当然であるが、大 学病院としてさらにその上の医療水準を目指すべきで あり、提供しているあるいは提供すべき高度医療の内 容を明確に、わかりやすい方法で社会に発信していか なければならない。 大学病院における診療活動は、大学法人の収入源と して重要であるがそれとともに学生、研修医、若手医 師、さらには看護師をはじめとするコ・メディカルへ の実地教育、人材育成の場であることを銘じるべきで ある。ここでの教育には診療の知識や技術だけでなく、 他のコ・メディカルスタッフとの協調、連携などの思 想・態度(すなわちチーム医療)の教育も重要である。 新臨床研修制度は現在見直しが行われているが、現在 のいわゆる「医師不足」はほぼすべての診療科におけ る専門医志向もその要因の一つと考えられる。また、 初期臨床研修の最も大切な部分は、真の意味でプライ マリケアを身に付けることである。これらの課題も含 めて、最近、専門医制度の見直しといわゆる「総合医・ Generalist 」養成のための検討が論議されていること は周知のとおりである。大学病院は、高度に分化した 専門医の集団としての存在価値はこれからも認められ ると考えるが、本学のように開業医の師弟が多いとい う現実や北陸という地域性を考えた地域医療への貢献 の 2 点から、総合的な診療能力を備える総合医の育成 システムを持つ必要があると考える。 わが国の大学病院では、教育病院として総合医を育 成・教育するプログラムが構築されていない点が問題 とされており、特に外来診療・救急診療とも関連する 問題として認識する必要がある。特定機能病院は、特 定の疾患で最新の治療を提供することが求められてい るが、患者の急速な高齢化が進んでいる現状では、特 定領域の専門医としても、医師の能力として複合的疾 患への対応能力を備えた総合性も欠かせないものとな っている。大学病院での初期臨床研修を魅力あるもの とするためには、基本的臨床・診療能力の涵養と専門 的研修の導入期としての位置付けの再編が必要である ことをあらためて認識する必要がある。さらには、医 師のみならず、看護師、薬剤師、その他のコ・メディ カルにおいても病院での臨床実習と臨床研修の充実が 求められる。すべての医療職に対する、卒前および卒 後の一体化した教育を考慮した教育研修センターを構 築すべき時代に来ていると思われる。大学病院は、医 療職養成のためのキャリア形成支援センターとしての 役割を再認識し、医師およびコ・メディカル育成のた めの段階的プロセスを明示しなければならない。教育研修システムの充実のためには人的および物的に多大 な経費を要するが、高度な質の高い、安全な医療の提 供に結びつくものであり、さらに優秀な人材の確保と ともに結果的には経営環境の改善にも大きく寄与する と考えられる。
人材の確保と育成
医師の確保は診療の質を担保するうえでも最重要課 題である。新臨床研修制度への対応は前述したが、大 学病院における医師の勤務形態を再考する必要があ る。大学病院においても医師の労働条件の緩和対策、 例えば交代性勤務の導入、安全とのバランスを考慮し たうえでの当直体制の見直し、いわゆる書類の雑用を 減免するメディカルクラークの導入などである。また、 女性医師の増加に対して、出産・育児を含めた労働環 境を考慮する時代になっている。病院は、ワーク・ ライフ・バランスを十分に考慮した労働環境を医療人 に対して提供しなければならない時代になったといえ る。「医師養成のためのグランドデザイン」では、生涯 教育の観点に立った医学教育改革を行うことが謳われ ているが、大学病院の人材育成と医師供給機能の強化 のための循環型医師養成システム、すなわち大学病院 と地域医療機関との連携による医師養成システムも考 慮すべきと思われる。金沢医科大学氷見市民病院はこ の観点からも重要である。また、本学病院の診療科は 現状では講座の枠組みと重なるが、病院の経営的観点 からも、有為な人材の確保のために臨床教授を指導者 とする特別の診療チーム(診療科)を設立するなど大 学医学部の講座(部門)の枠組みを超えた人材活用も 考慮すべきと思われる。また、現在、ハイリスクの医 療を担う、また多くの時間を拘束される診療科への志 望者が減少傾向にある。わが国の医療システム全体の 問題ではあるが、本学としての給与体系を再考する必 要もあると思われる。 現在の病院機能の維持のためにコ・メディカルの果 たす役割の重要性は論を待たない。医療の質と安全の 確保のためのコ・メディカルの体制整備と職員確保・ 養成は喫緊の課題である。特に看護職員の確保は本学 病院にとって最重要課題のひとつである。看護師の 離職率は徐々に減少傾向にあるが、「結婚・妊娠・育 児」を理由とする退職者は依然多い。また看護職務満 足度においては「看護業務」「労働条件」が低値を示し ている。短期的な緊急対策も必要な状況ではあるが、 労働環境・待遇の改善、教育システムの構築による明 確なキャリアパスの提示、子育ての支援体制の充実な ど仕事を継続できる体制整備などにより若手看護職の 満足度を高めるための中・長期的な取り組みが必要で ある。今後の看護職のキャリアパスとしては、特定領 域の高度な専門知識を持った認定看護師や専門看護師 (おそらく近い将来にはナースプラクティショナーも 認められることが予想される)、臨地実習・臨床研修 などを専従で担当する教育担当看護職、病院経営も含 めたマネージメント能力を有する管理職などが考えら れる。 薬剤師養成のために、薬学部 6 年制に伴った新たな 病院実習が行われる予定であるが、大学病院の人材育 成の役割を担う部門の一つとして、今後薬剤部は本学 病院にとって一層重要となる。すでに病院薬剤師の業 務と人員配置については平成 19 年 7 月に厚労省が示し ているが、その業務は (1 )医療・薬物治療の安全確保 と質の向上のための業務 (2 )医療の安全確保のため の情報に関する業務 (3 )その他取り組むべき業務の 3 点に分類されている。医療・薬物治療の安全確保と質 の向上については、「薬歴に基づく処方鑑査の充実」・ 「入院患者の持参薬管理」・「がん化学療法」・「高齢者 に対する適正な薬物療法」・「夜間・休日における薬剤 師の業務の実施」などが挙げられている。このような 観点からは大学病院の薬剤業務維持と改善のための必 要な人員計画を再考する必要がある。医療技術職の確 保とその育成も重要である。医療技術職はその業務内 容は多岐にわたるが今後は医療技術部として統合し、 人員計画や教育体制を見直していく必要があり、その ことによって医療技術職のより一層の活性化も期待さ れる。すべての病院職員の専門職としての養成システ ム、業務の見直し、適正人員の配置、など人事管理と 職員の質の維持のための教育システムが一体となった 体制を早急に構築しなければならない。診療の質と安全の確保
本来不確実性が伴う医療においてその安全性を担保 することは難しいが、特に重症患者を扱い、高度医療 を行い、かつ教育機能も担わなければならない大学病 院では一層の困難さがある。安全性を高める手段の一 つとして、クリニカルパスの効率的な運用が求められ る。これは医療安全のみならず、医療経済的にも効率 的かつ標準的医療システムの確立とその見直しの観点 から充実していくべきである。また、各種の臨床指標 を用いた治療成績の分析は、病院組織全体としてはい まだ不十分であり、この面からの医療の質の確保のた めの評価システムを早急に構築する必要がある。 現在、医療安全と感染対策に対する体制として各々 対策室が設置されているが、事務組織を含め十分な体 制とはいい難い。病院全体の医療安全をさらに推進す るために、専従医師の配置など人材の確保とスタッフ の継続的な養成、職員教育のシステム整備が課題であ る。職員教育では、例えば医療現場におけるグッドプ ラックティスを推奨し、あるいは反面教師としてのイ ンシデント事例の検討などから、病院としてそれらを 吸い上げ、職員全体への教育システムのひとつとする などが考慮される。また患者・家族からの要求・クレームは確実に増加しており、職員が現場で直接対応す るストレスが大きくなっている。院内での理不尽な 暴力事件も看過できない状況である。医療メディエー ターや保安に習熟した担当者(例えば警察官経験者な ど)を配置することも早急に取り組む課題である。「安 全な医療」から、患者・家族にとって質の高い「安心 を与えられる医療」、職員にとっては「安心して行え る医療」のための体制整備を進めなければならない。
経営環境の改善
1 )医療資源(人的資源・施設設備)の効率的集中化 人的資源、特に看護職員の慢性的な人員不足は早急 に解決することは困難な状況といえる。従って、経営 面および業務内容等を考慮した適正な人員配置が必要 である。救急医療・集中治療部門は、大学病院への社 会的ニーズとともに医療職育成のために不可欠な場で あることなど教育上も大切な部門であるが、患者増な ど経営面からも重要である。このためには施設基準に 対応する設備・人的体制の整備を再構築しなければな らない。病棟の看護職の配置についても、看護必要度・ 病床稼働率など客観的基準からも看護体制を見直すシ ステムにする必要がある。また、各診療科の病床数に ついても、客観的な基準(例えば、年間新規入院患者 数、平均在院日数、診療単価、収益状況など)、すな わち単なる延べ患者数や総収入だけでの判断を再考し て病棟再編成をする必要がある。21 世紀集学的医療 センターの適切な運用についてはさらなる検討を要す る。がんの集学的診療体制の充実、生活習慣病や高齢 者医療のモデル策定などは社会からのニーズに対応す るものであるが、人的資源は不十分であり、他の診療 科とのバランスを考慮した体制の再構築を検討しなけ ればならない。診療機器の購入や効率的運用について も(特に高額医療機器)再考しなければならない。中・ 長期計画に基づいて、選定基準や投資額の基準を明確 にし、適切な購入計画を策定する必要がある。 2 )医業収支の改善への取り組み 経営改善のためには医業収入を増加させる方策を 考えなければならないが、医療費抑制の圧力がなくな る状況が今後も見込めないなかでは困難な課題であ る。各診療科、さらには診療スタッフ各々が価値創 成(Value Creation )をこころがけ、質の高い安全な 医療を提供することが大前提である。このために、給 与面を含めた待遇面からの人事評価も必要となるであ ろう。広報活動においても、病院・部門・診療科とし てだけでなく各診療スタッフが情報発信する姿勢が望 まれる。同時に、格段の医業収入の改善が見込めない 状況では、どうしても医業経費削減による収益確保が 不可欠である。医療の質と安全を確保しながら、職 員にコスト意識をどのように持ってもらうかは難し い。設備投資や機器整備、さらには自分たちの待遇改 善に直結するための医業キャッシュフローの確保のた めに経費削減が必要であることを認識してもらい、ま た感染などの合併症、アクシデント・インシデントを 減らすことが結果的に経費削減になることも認識して もらうことが大切である。これらのために、例えば現 場でのコスト削減プロジェクトや、ベンチマーキング によってコスト意識を確認させるなどの方策も考えら れる。現在の用度・管財システムの見直しも必要であ る。DPC 制度は定着したと思われるが、平成 20 年度 の診療報酬改定では回復期リハビリ病棟にアウトカム 加算が導入され、今後はがん治療を対象にプロトコル DPC(1回入院あたりの定額報酬:プロトコルに基い て基本点数を設定)の導入の議論も出ている。現在の 状況が Pay for Performance 導入へ向かっているとは 断言できないが、成果主義の導入への動きがあること は事実であり、医療費抑制の一環としても今後はアウ トカムを重視する方向性が強まることは予想される。 こうした状況を踏まえ、経営上の観点からも一層の医 療の質の向上を目指す必要がある。 病院経営者の姿勢は、①的確に情報収集し、組織 内でその情報を共有すること、②現状の経営課題を見 つめ直すこと(できること・できていないこと、した いこと・しないこと、職員および患者から求められて いること・求められてはいないこと)、これらを冷徹 に分析し計画的に改善することです。病院職員の皆さ んはすべてが専門技術・知識・情報を有している専門 職であり、皆さんの能力を活用するための「選択と集 中」、すなわち、限りある医療資源(人材・資金・設備) を、費用対効果を見極めながら、不満を最小限におさ え満足を最大にするようにするのがリーダーの仕事と 考えております。職員の皆さんには一層の意識改革を すすめていただき、すべての職員が専門職としての明 確な責任、Professional Responsibility を常に心がけ て業務に励むことを望みます。また、職種間・職員間 の良好な人間関係は職場環境にとって最も重要です。 お互いが認め合う(Respect )なかで医療の質と安全は 高まると思います。 大学病院という大きな組織における職員の不満に対 して、その組織の責任者としての病院長はきめの細か い対応をすべきと考えています。その試みとして、コ メディカルの皆さんとの定期的なミーティングを行っ てきました。まだ十分な成果が得られているとは思い ませんが、大きな組織だからこそ風通しの良い組織に するための取り組みは続けていきたいと考えていま す。平成 21 年がすべての病院職員の皆さんにとって、 また金沢医科大学病院にとってすばらしい1年になる ことを切望いたします。金沢医科大学
平成 20 年 12 月 16 日(火) 18:00 ∼ 21:30
ホテル金沢
「金沢医科大学フォーラム 2008 」が平成 20 年 12 月 16 日(火)、ホテル金沢にて開催された。前年暮れに 行われた金沢医科大学創立 35 周年記念フォーラムが、 本学の全職種、全職階の職員の参加のもとに本学の教 育の現状と将来について討論し、有意義な評価を残し たことから、その精神を受け継いで企画されたもので、 今年の参加者は 319 名にのぼった。 今回はテーマを『全員参加の大学と病院の経営』と した。総合司会は山田裕一学長が担当し、しっかりと した倫理性をもって大学経営にあたることが、社会か ら信頼され本学の社会的評価を向上することにつなが るとの基本的な考えを述べ、シンポジウム形式でフォ ーラムが開始された。 まず、山下公一理事長が本テーマについての基調 講演を行った。「全員参加の経営」とした意味について は、われわれ教職員は全員が同じ舟に乗っているよう なものであり、問題点については一人ひとりが関心を 持って共有し、危機意識を持って改善に努力をする。 〈プログラム〉テーマ
全員参加の大学と病院の経営
総合司会 山田裕一 学長 開会挨拶 学長 山田裕一基調講演:
全員参加の大学と病院の経営
理事長 山下公一指定講演Ⅰ:
メディカルプロフェッション育成のための一貫教育
病院長 飯塚秀明指定講演Ⅱ:
金沢医科大学氷見市民病院の現状と将来
氷見市民病院副院長 木越俊和 総合討論 司会 中農理博 事務局局次長忘年会
20:20 ∼ 21:30それが経営への参加の始まりである。本学の目標を、 教育では「魅力ある大学へ」、医療では「信頼される病 院へ」、研究では「やりがいのある研究を」とし、社会 に貢献できる大学を目指したい。当面の課題として は、教育では社会が求める良医をつくる Professional Career Path Program を展開できる教育環境とスタ ッフの充実が、医療では本学の重要な財源であり資源 となる医療収入の維持と過剰な設備投資の節減、病院 内での「May I help you? 精神」の徹底、研究では科研 費増への努力などが当面の課題として挙げられた。 次に、飯塚秀明金沢医科大学病院長から「メディカ ルプロフェッション育成のための一貫教育」、木越俊 和金沢医科大学氷見市民病院副院長から「金沢医科大 学氷見市民病院の現状と将来」と題して指定講演が行 われた。 飯塚病院長は、医師、看護師という職業は Learned Profession と呼ばれ、法律で業務独占とされているこ とについて述べ、良質の医療を提供できる人材の教育 のため、卒前教育からつながる一貫した能率的かつフ レ キ シ ブ ル な Professional Career Path Program の 実施が重要であるとし、本学病院では、総合医志向の もの、専門医志向のものが用意されており、プログラ ムの選択が可能である。また、同じ考え方で看護師、 薬剤師などコ・メディカルに対しても行っていく予定 であると述べた。 木越氷見市民病院副院長は、氷見市民病院の経営を 引き受けてから 9 カ月、着々と整備を進めてきている 現況を報告し、残っている問題は医師不足であり、ぜ ひ、本院からの支援を得て常勤医師、殊に内科医の充 実を含めて医師 35 名体制を築き上げたい旨を訴えた。 総合討論は、中農理博事務局局次長が司会を務めて 行われ、医師不足問題、研修医確保対策などが論じら れたが、リサーチマインドを育む教育・研修態勢・地 域との協力関係が重要であると同時に、研修医の生活 環境、宿舎や給与に配慮が必要などの意見が強かった。 また、地域との密接な連携、特に氷見市民病院への医 師派遣については、関係各科へ協力を求める声が上が った。 フォーラム終了後、会場を移して盛大に忘年会が開 かれた。和太鼓演奏やフラメンコ鑑賞、お楽しみ抽選 会などが行われ会場は大いに盛り上がった。閉会の挨 拶で松本忠美副理事長は、フォーラムの成果を 2009 年の金沢医科大学の発展と躍進に生かしたいと締めく くり、「フォーラム 2008 」は盛会のうちに終了した。 なお、詳細は本学ホームページの VOD(ビデオ・オ ン・デマンド)で視聴することができる。また、記録 集の発行が予定されている。(理事長室 黒田明由美記)
基調講演
指定講演
総合司会 総合討論 山下公一理事長 飯塚秀明病院長 木越俊和副院長 (氷見市民病院) 山田裕一学長 松本忠美副理事長 竹越 襄副理事長 八十出泰成内灘町長 中農理博事務局局次長 堂故 茂氷見市長 俵友惠看護学部長 勝田省吾学長補佐 木村晴夫事務部長 (氷見市民病院) 忘年会(挨拶の方々)総合医学研究所 市民公開セミナー
̶ 若さを保つ処方箋 ̶
日 時 平成 20 年 10 月 18 日(土)13:30 ∼ 15:10
場 所 金沢市文化ホール
共 催 金沢医科大学病院 21 世紀集学的医療センター
♢ 講演:
1.
高血圧治療と認知症
森本茂人教授
高齢医学(老年病学)2.
形成外科におけるアンチエイジング治療
川上重彦教授
機能再建外科学(形成外科学)♢ 特別講演:
老い老い楽しく若さの処方箋
後藤 眞教授
桐蔭横浜大学医用工学部臨床工学科 不老科学・加齢制御学部門 総合医学研究所主催の第 20 回市民公開セミナーが、 平成 20 年 10 月 18 日(土)金沢市文化ホールで開催され た。本セミナーは、総合医学研究所の社会活動の一環 として、一般市民の方々に病気を理解していただくこ とを目的に毎年行われている。 今年度は、秦の始皇帝も求めた永遠のテーマ「不老 長寿」につながる「アンチエイジング」をメインテーマ に採り上げた。本セミナーでは、まず最初に老化にお ける最大の問題である認知症に関して、森本茂人教 授(高齢医学)から「高血圧と認知症」の講演があった。 認知症発症には先行する高血圧が深く関係しているこ と、またその対策として家庭血圧や夜間血圧、起立性 低血圧を把握し、自己管理することの重要性を強調さ れた。次に女性に関心の深い美容外科からの皮膚老化 対策に関して、川上重彦教授(機能再建外科学)から 「形成外科におけるアンチエイジング治療」の講演が あり、しみ(皮膚の色素沈着)と皺(皮膚のたるみ)に 対する具体的な治療法が紹介された。女性の参加者か らの活発な質問に講演時間も延長され、美容外科への 関心の高さが窺われた。 特別講演では、Werner 症候群の権威で不老学の第 一人者である後藤 眞教授(桐蔭横浜大学加齢制御学) が「老い老い楽しく若さの処方箋」と題して、元気で長 生きする具体的なコツをお話した。後藤教授は、老化 には生理的老化と病的老化の二つの老化があり、老化 が病気なら治療できるかもしれないとの観点から、老 化にかかわる食事・毒素・紫外線・感染・ストレスな どの環境の重要性を認識し、不老長寿への挑戦として、 「水分補給で脱水を予防する」「ダイエットで不要なカ ロリー摂取を避ける」「運動で筋力アップを図る」「禁 煙する」「紫外線を避ける」ことの重要性を示された。 最近は、「健康寿命」が個々人の人生設計に大きな影 響を与えるのみならず、社会経済的な観点からも 21 世紀型医療に求められる医療の基本のひとつとして注 目されている。講師の先生方からは、様々な観点から アンチエイジング医学の実践に焦点をあてていただ き、自分自身の老化と寿命を管理する手段があり、健 康長寿を得る可能性が現実のものとなってきているこ とを十分に確認することができた。 当日は、絶好の秋日和で行楽に出かける人々が多い なか、「アンチエイジング」に関心の高い女性・高齢者 を中心とした 60 名余りの一般市民の方々が参加され、 それぞれの講演のあと活発な質疑応答が交わされ、社 会的ニーズにも答えた大変有意義な会となった。 (総合医学研究所 友杉直久記) 川上重彦教授 森本茂人教授 後藤 眞教授学 事
◇特別推薦入学試験(AO入試)
本学の特別推薦入学試験(AO 入試)は、医師となる 者の倫理性や人間性が一層強く求められる時代にあっ て、従来の学力を中心とした入学試験では評価が困難 であった学習意欲、使命感などに評価の重点をおいて 選考することを主旨として設けられた入試である。建 学の精神に沿った人間性豊かな活力のある人材を求め るために、平成 13 年度入試から実施されている。 平成 21 年度は募集人員約 10 名に対して全国から 173 名の出願があった。 第 1 次選考は書類選考であり、調査書とともに、本 人、教師、家族などによって書かれた推薦書について 選考が行われ、平成 20 年 9 月 25 日(木)に第 1 次選考 合格者 38 名が発表された。 第 2 次選考は、10 月 19 日(日)に本学において「基礎 学力テスト」・「グループ面接」・「個人面接」が行われ た。また、この 38 名については、試験委員が全国に 出向き、推薦書を書いた第 2 推薦者(教師など)から聞 き取り調査を実施し選考の参考とした。 選考の結果 11 名が合格し、10 月 23 日(木)午後 5 時 に本部棟正面玄関ならびに本学 HP 上に公表された。◇推薦入学試験(公募制・指定校制)
本学の推薦入学試験制度は、目的意識を持ち個性豊 かで優秀な人材を見い出し、ゆとりを持って学習を進 めてもらうことを目的として、昭和 61 年度入試から 実施されている。 平成 21 年度からは新たに指定校制を導入し、5 名の 枠を設けた。 推薦入学試験は、11 月 15 日(土)、本学で行われた。 公募制募集人員約 20 名に対して 88 名、指定校制 5 名 に対して 5 名、計 93 名の出願があり、「基礎学力テス ト」・「小論文」・「面接」の各試験に全員が取り組んだ。 合格者は公募制 20 名、指定校制 5 名の計 25 名で、 11 月 20 日(木)午後 5 時に本部棟正面玄関ならびに本 学 HP 上に公表した。 今年の推薦入試の特色としては、従来一般入試のみ 対象だった奨学金貸与制度を、推薦入試にも拡大し、 公募制 3 名・指定校制 2 名の枠を設けたことが挙げら れる。 (入学センター)平成 21 年度
特別推薦入学試験(AO 入試)・推薦入学試験(公募制・指定校制)
終わる
医 学 部
1. 募集人員: 約 70 名 2. 出願期間: 平成 20 年 12 月 8 日 (月)から 平成 21 年 1 月 13 日 (火)まで 3. 試験期日 第 1 次試験: 平成 21 年 1 月 22 日 (木) 第 2 次試験: 平成 21 年 2 月 2 日 (月) 、3 日(火) のいずれか希望する日 4. 試験科目: 第 1 次試験: 外国語(英語)、数学、小論文 選択科目(物理 ・ 化学 ・ 生物から 2 科目選択) 第 2 次試験: 面接 5. 試験会場: 第 1 次試験: 本学、東京、大阪、名古屋、札幌、 仙台、広島、福岡 第 2 次試験: 本学 6. 合格者発表日 第 1 次試験: 平成 21 年 1 月 27 日 (火)午後 1 時 第 2 次試験: 平成 21 年 2 月 5 日 (木)午後 1 時医学部一般入学試験
一般入試は第 1 次試験で学力試験が行われ、その合格者に第 2 次試験として面接試験を課して最終判定が 行われる。日程等は以下のとおり。◇編入学試験
本学の編入学試験は、看護師免許または看護師国家 試験受験資格保有者を対象として、平成 21 年度より 新たに実施された。 平成 21 年度編入学試験は 10 月 12 日(日)、本学で行 われた。 募集人員約 10 名に対して 9 名の出願があり、欠席者 1 名を除く 8 名が「英文読解」・「小論文」・「面接」の各 試験に取り組んだ。 合格者は 8 名で 10 月 16 日(木)午後 1 時に本部棟正 面玄関ならびに本学 HP 上に公表した。 編入学試験合格者は、3 年次に編入となる。◇推薦入学試験
平 成 21 年 度 看 護 学 部 推 薦 入 学 試 験 は、11 月 16 日 (日)、本学で行われた。 募集人員約 20 名に対して 27 名の出願があり、全員 が「適性検査」・「小論文」・「面接」の各試験に取り組 んだ。 合格者は 20 名で 11 月 21 日(金)午後 1 時に本部棟正 面玄関ならびに本学 HP 上に公表した。 (入学センター)看護学部
1. 募集人員: 約 40 名 2. 出願期間: 平成 21 年 1 月 5 日 (月)から 平成 21 年 1 月 31 日 (土)まで必着 3. 試験期日: 平成 21 年 2 月 12 日 (木) 4. 試験科目: 英語、数学、理科(物理 ・ 化学 ・ 生物 から 1 科目選択)、面接 5. 試験会場: 本学 6. 合格者発表日: 平成 21 年 2 月 17 日(火)午後 1 時平成 21 年度
編入学試験・推薦入学試験終わる
看護学部一般入学試験
日程等は以下のとおり。医学部での臨床実習の
あり方
主催 医学教育センター・教務委員会・ 臨床実習委員会 日時 平成 20 年 8 月 23 日(土)∼24 日(日) 場所 能登ロイヤルホテル 今回のワークショップは、平成 20 年 8 月 23 日∼24 日に「医学部での臨床実習のあり方」というテーマで、 能登ロイヤルホテルで開催された。今回は 15 名参加 で 3 グループに別れ、A グループ、C グループは「第 5・ 6 学年臨床実習のあり方」、B グループは「臨床実習に おける CSC(クリニカル・シミュレーションセンタ ー)の位置づけについて」という課題で討論を行った。 会に先立って、山田裕一長から今までの種々の枠を取 り外した発想で斬新なプログラムを提案してほしい旨 コメントがあった。続いて、栂委員長がワークショッ プの進め方について解説した。大原義朗医学部長から、 A∼C各グループの担当するテーマについて、解説が 行われた。 A グループは必修事項修得に特化した実習プログラ ムを提案した。従来の各科の臨床実習の内容を大幅に 見直し、第 5 学年生が当該科をローテートする間に、 例えば内科各科に共通する必修事項を徹底的に繰り返 し学習することが重要であることを強調した。C グル ープは第 5、6 学年一貫した CCS の構築をテーマとし た。従来と異なり、1 人の学生が 5 学年ですべての診 療科をローテートするのではなく、選択性とし、6 学 年で残りの診療科を経験するという企画であった。5 学年では主として必修事項を中心に実習を行い、診療 科の違いはあまり大きくならないように配慮が必要で ある。6 学年ではより高いレベルの CCS を行うことが 可能になると思われた。第 6 学年生が第 5 学年生を教 える屋根瓦方式についても討論が行われた。B グルー プは、平成 21 年度から導入予定の CSC での実習を前 提として、BCLS・ACLS をシミュレーションシステ ムを用いて如何に第 5 年生の実習を構築していくかに ついて、具体的なプログラムが提示された。 結果的に、A グループ・C グループは第 5、6 学年を 統合した臨床実習プログラムとして新たな方式を生み 出す可能性が示された。また、B グループでは CSC を第 5、6 学年臨床実習で有効活用する可能性につい て、実のある討論が行われた。このワークショップの 結果が実際の新たな臨床実習立案に役立てば幸いであ る。 (臨床実習委員長 栂 博久記)第 44 回教育懇談会
共用試験 OSCE とその周辺
講師: 北村 聖先生(東京大学医学教育国際協力研究 センター教授) 日時: 平成 20 年 10 月 23 日(木) 午後 5 時 場所: 病院本館 4 階 C41 講義室 平成 20 年 10 月 23 日(木)、本学では何度かご講演を いただいている医学系 OSCE 実施小委員会委員長の 北村 聖教授をお招きして、第 44 回教育懇談会が開催 された。北村教授は、最近の活動状況として、ラオス におけるセタティラート教育病院での経験をお話しに なったが、この昔のアジアの香りの残る国での活動と いい、また、破壊されたアフガニスタンの大学病院で第 23 回 医学教育に関するワークショップ
ワークショップ進行について説明する栂 博久教授の医学教育といい、いずれ も、いわば教育の原点に立っ たお仕事ができるのか、お話 をされていても、とても楽し そうでいらっしゃるのが伝 わってきた。 さて、OSCE の現状として は、OSCE/CBT を厳しくす ることにより学生実習の際に は student physician badge を着用させ、実質的な参加型 実習を実現すれば、現行 2 年 間の初期研修を短くすることができるのではないかと の意見があるものの、全国均一となる評価方法の標準 化が難しいことを指摘された。しかし、個々の大学で は通常 OSCE は絶対評価が行われ、ステーション毎の 判定を行う大学と OSCE 全体で判定する大学が半々で ある。現在、実技試験を国家試験に導入すべしとする 意見よりも、卒業試験に取り入れる方向が望ましいと する意見の方が主流である。臨床実習の習得状況の評 価のために卒業前 OSCE(advanced OSCE )を導入し ている大学は 50% に上る。
最後に、OSCE では SP(Simulated Patient:模擬 患者)の問題が悩みの種であるが、共用試験実施機構 として、SP 養成と標準化を目指して、まずは SP 教育 に携わる教官の研修会を予定していることを知り、心 強く感じた次第である。 (OSCE 実施委員長 松井 真記)