ヌードマウスを用いた胃壁内腫瘍細片注入法による 胃癌肝転移モデルの作成: 特異的DNA増幅反応を用 いた肝微小転移巣の検出
著者 渡辺 美智夫
著者別名 Watanabe, Michio
雑誌名 博士学位論文要旨 論文内容の要旨および論文審査
結果の要旨/金沢大学大学院医学研究科
巻 平成6年7月
ページ 31
発行年 1994‑07‑01
URL http://hdl.handle.net/2297/15132
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学位授与番号 学位授与年月日 氏名 学位論文題目
医博甲第1121号 平成6年3月25日 渡辺美智夫
ヌードマウスを用いた胃壁内腫瘍細片注入法による胃癌肝転移モデルの作成 一特異的dna増幅反応を用いた肝微小転移巣の検出一
論文審査委員 主査 副査
教授 教授 教授
磨伊 佐々木 宮崎
正義 琢磨 逸夫
内容の要旨および審査の結果の要旨
癌の転移機構を解明する上で,転移モデルの確立は,転移という現象の経時的な観察を可能にすること から,適切な転移モデルの開発が要求されてきた。本研究では,移植腫瘍細胞の生物学的特性を保持する といわれるヌードマウスを使用し,同所移植(orthotopoctransplantation)による胃癌の自然肝転移 モデルの作成に成功した。移植は,胃壁内に腫瘍細片を,18G注射針で注入する方法を用いた。またこの 肝転移モデルを使用し,マウスの組織からヒト腫瘍細胞を特異的に検出するために,ヒトに特異的なDN A領域であるβ-グロビン遺伝子配列をポリメラーゼ連鎖反応(polymerasechainreaction,PCR)
法を用い,NAを増幅し,サザンプロット法にて検出・解析し,移植後早期における肝微小転移巣の検出 を試みた。結果は以下の如く要約される。
1.今回移植したのは,いずれもヒト胃癌細胞株KKLSおよびKATOⅢで,全経過にわたりすべてのヌー ドマウスの胃に肉眼的な腫瘤形成が確認された。肉眼的な肝転移はKKLSでは,移植後2週間目以降に,
KATO-mでは移植後3週間目以降に出現し,最終的な肝転移率はそれぞれ60%およ’100%と高率で
あった。
2.肝における転移腫瘍細胞の存在を示唆するPCR産物は,KKLSKATO-Ⅲとも移植後1週間目とい う非常に早期から検出された。すなわち肉眼的に肝転移が出現する以前より検出され,さらに,PCR 産物は,週を追うごとに増加していた。
3.移植後各時期における胃および肝の腫瘍細胞数を求め,その平均値の推移を検討したところ,週を追
うごとに指数関数的に増加していた。
以上の結果より,腫瘍細片つまり腫瘍塊を同所移植するという新しい移植方法を用いたことで,従来に ない高い肝転移率を示す胃癌肝転移モデルの作成に成功した。また,これまで肝転移巣の検出は,肉眼的 所見や病理組織学検索により行われていたが,分子生物学的手法を用いることで,これまで検出しえなかっ た微小転移が特異的かつ定量的に検出することが可能となった。
本研究は同所移植による胃癌の肝転移モデルを確立し,微小転移を検出する方法を考案したものであり,
転移機構の解明や癌化学療法など基礎研究及び臨床面に寄与する労作と評価された。
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